JP4299591B2 - 接合特性に優れた溶融Sn−Zn系めっき鋼板 - Google Patents

接合特性に優れた溶融Sn−Zn系めっき鋼板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた接合特性、特に抵抗溶接性、半田、ロウ付け性に優れ、自動車燃料タンク材料、家庭用電気機械、産業機械材料として好適な溶融Sn−Zn系めっき鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車燃料タンク材料として耐食性・加工性・半田性(溶接性)等の優れたPb−Sn合金めっき鋼板が主として用いられ、幅広く使用されている。一方、Sn−Zn合金めっき鋼板は、例えば特開昭52−130438号公報(特許文献1)のように、ZnおよびSnイオンを含む水溶液中で電解する電気めっき法で主として製造されてきた。Snを主体とするSn−Zn合金めっき鋼板は、耐食性や半田性に優れており電子部品などに多く使用されてきた。一方、自動車燃料タンク用途でこのSn−Znめっき鋼板が優れた特性を有することが知見され、特開平8−269733号公報(特許文献2)、特開平8−269734号公報(特許文献3)等において溶融Sn−Znめっき鋼板が開示されてきた。
【0003】
自動車燃料タンクは、多くの付属品やパイプを接合する必要や、燃料の漏れの無いよう、周囲をシーム溶接する必要があり、材料側には良好で、連続生産を妨げない安定した接合性が要求される。ところが、Sn系めっき鋼板は、スポット溶接やシーム溶接等の抵抗溶接は可能であるものの、めっき層のSnが溶接電極であるCuと合金化しやすいという性質を有するために、電極先端がSn−Cu系金属間化合物に転化していく。この金属間化合物は脆性であるため次第に欠損していって十分な発熱が得られなくなり、電極の寿命が劣るという課題があった。この課題は特にスポット溶接時に顕著となるもので、スポット溶接時の電極寿命が極端に短くなっていた。この課題に対して特許第3002445号公報(特許文献4)においてSn系めっき鋼板のめっき表面粗度、表面皮膜量により表面接触抵抗値を適正に制御することで連続溶接性を向上させる技術が開示されてきたが、更なる連続溶接性向上に対するニーズは依然高い。
【0004】
【引用文献】
(1)特許文献1(特開昭52−130438号公報)
(2)特許文献2(特開平8−269733号公報)
(3)特許文献3(特開平8−269734号公報)
(4)特許文献4(特許第3002445号公報)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記の接合性の課題を解決することで、Pbを使用せず、有機物環境における優れた耐食性を備える、新しい自動車燃料タンク用防錆鋼板を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、抵抗溶接性、半田、ロウ付け性に及ぼす材料側の諸因子について詳細に検討し、めっき表面の粗度と元素分布を適正に制御することで、良好な抵抗溶接性、半田、ロウ付け性を得られることを知見した。更により安定な連続生産性を達成するための適正な表面皮膜量を見出した。通常の溶接缶用材料にもSn系めっきが利用され、溶接電極もCuであるが、缶用材料の場合は、スポット溶接ではなくシーム溶接であるうえ、板厚が薄く、また鍛接状態の接合であるため、溶接に必要な熱量は非常に小さい。かつSnの付着量も非常に小さいため、このような問題は生じない。自動車燃料タンクというような、高い防錆力と強度を求められる用途においては、板厚、めっき付着量を高くする必要があり、かつスポット溶接を多用するような用途であるため、電極材料と反応しやすいSn系めっきにおいては、電極とSnとの反応という問題が生じる。
【0007】
この課題に対し、本発明において、特にめっき後の表面の粗度と元素分布制御が抵抗溶接性に対して重要であることを知見した。一般に、表面処理鋼板の接触抵抗値は最表面の酸化皮膜、あるいは化成皮膜等の後処理皮膜に依存する。しかし、めっき層の表面粗度が過大であると、その接触抵抗に寄与する表面皮膜の生成が不均一になる、あるいは凸部の点接触になり溶接電流の電流経路が限定され極めて不安定な溶接状態になる。更にこれに加え、Sn系めっきにおいて、Snは電極と反応しやすいという問題がある。しかし、Snは非常に軟質な元素であるため溶接時の加圧により均一に押しつぶされた場合、電流経路が広がり、大きなナゲットを形成することができる。本発明はこのような知見に基づくもので、その要旨とするところは、次のようなものである。
【0008】
(1)1〜8.8質量%のZnと残部がSn:91.2〜99.0質量%を含有した溶融金属をめっき付着量が片面当たり30〜100g/m 2 で、かつ粗度RMS0.2〜1.7μmの原板表面に形成した溶融Sn基めっき鋼板であって、当該めっき表面粗度がRMS2μm以下で、凸部の面積率の20%以上がβ−Sn単相であることを特徴とする溶融Sn−Zn系めっき鋼板。
)鋼板表面に化成処理または/および樹脂皮膜を片面当たり合計で2g/m2 以下有することを特徴とする前記(1)に記載の溶融Sn−Zn系めっき鋼板にある。
【0009】
以下に本発明について詳細に説明する。
鋼鋳片を熱間圧延・酸洗・冷間圧延・焼鈍・調質圧延等の一連の工程を経た焼鈍済みの鋼板、また圧延材を被めっき材として、圧延油あるいは酸化膜の除去等の前処理を行った後、めっきを行う。鋼成分については、燃料タンクの複雑な形状に加工できる成分系であること、鋼−めっき層界面の合金層の厚みが薄くめっき剥離を防止できること、燃料タンク内部および外部環境における腐食の進展を抑制する成分系である必要がある。
【0010】
本発明では、Sn−Zn合金めっきは溶融めっき法で行うことを基本とする。溶融めっき法を採用した最大の理由は、めっき付着量の確保のためである。電気めっき法でも長時間の電解を行えばめっき付着量は確保できるが、経済的ではない。本発明で狙うめっき付着量範囲は、10〜100g/m2 (片面)と比較的厚目付の領域であり、溶融めっき法が最適である。さらにめっき元素の電位差が大きい場合、適切に組成を制御することは困難を伴うため、Sn−Zn合金は溶融めっき法が最適である。
【0011】
めっき組成のZnの限定理由であるが、燃料タンク内面と外面における耐食性のバランスにより限定したものである。タンク外面は、完璧な防錆能力が必要とされるためタンク成形後に塗装される。したがって、塗装厚みが防錆能力を決定するが、素材としてはめっき層のもつ防食効果により赤錆を防止する。特に、塗装のつきまわりの悪い部位ではこのめっき層のもつ防食効果は極めて重要となる。Sn基めっきのZnの添加でめっき層の電位を下げ、犠牲防食能を付与する。そのためには1質量%以上のZnの添加が必要である。Sn−Zn二元共晶点である8.8質量%を超える過剰なZnの添加は、Sn初晶が晶出しない、融点上昇をひきおこし、めっき下層の金属間化合物層の過剰な成長につながる等の理由で8.8質量%以下でなくてはならない。
【0012】
一方、タンク内面での腐食は、正常なガソリンのみの場合には問題とならないが、水の混入・塩素イオンの混入・ガソリンの酸化劣化による有機カルボン酸の生成等により、かなり激しい腐食環境が出現する。もし、穿孔腐食によりガソリンがタンク外部に漏れた場合、重大事故につながる恐れがあり、これらの腐食は完全に防止されねばならない。上記の腐食促進成分を含む劣化ガソリンを作製し、各種条件下での性能を調べたところ、Znを8.8質量%以下含有するSn−Zn合金めっき皮膜は極めて優れた耐食性を発揮することが確認された。
【0013】
Znを全く含まない純SnまたはZn含有量が1質量%未満の場合、腐食環境中に暴露された初期より、めっき金属が地鉄に対し犠牲防食能を持たないため、タンク内面ではめっきピンホール部での孔食、タンク外面では早期の赤錆発生が問題となる。一方、Znが8.8質量%を超えて多量に含まれる場合、Znが優先的に溶解し、腐食生成物が短期間に多量に発生するため、キャブレターの目詰まりを起こしやすい問題がある。また、Zn含有量が多くなることによってめっき層の加工性も低下し、Sn基めっきの特徴である良プレス成形性を損なう。さらにZn含有量が多くなることによってめっき層の融点上昇とZn酸化物に起因し、半田性が大幅に低下する。したがって、本発明におけるSn−Zn合金めっきにおけるZn含有量は、1〜8.8質量%の範囲、更により十分な犠牲防食作用を得るには3.0〜8.8質量%の範囲にすることが望ましい。
【0014】
次に、接合特性を向上させる上で重要な接触抵抗値を制御する方法であるが、前述したようにSn系めっき鋼板においては、表面粗度と最表面の皮膜とが接触抵抗値に大きく影響する。表面粗度がRMSでμm超であると、表面皮膜の厚みにムラが出来、局部発熱となりやすくなり、抵抗溶接性に劣る。抵抗溶接性からは低いほうが好ましいが、RMS0.02μm未満になると、タンク成形時の油保持性が低下するため、RMS0.02μm以上の粗度がついているほうが好ましい。このとき、表面粗度の指標としてはRMSを使用するものとする。これはこの指標を用いたときに最も粗度と溶接性の関係に相関が強くなるためである。RMSは自乗平均粗さを意味し、ある区間の粗さ曲線の自乗の積分値を区間長さで除し、平方根をとったものである。表面粗度の制御はめっき条件、めっき後の冷却条件、調質圧延等によるものとする。
【0015】
次に、めっき最表面の凸部はβ−Sn単相であることを特徴とする。SnもZnも加工性に優れる金属であるが、特にSnは軟質で延性に富み、スポット溶接時の加圧で容易に押しつぶされる。β−Sn単相が凸で存在するとスポット溶接時に電極により最初に押し広げられるため、電流経路が広がり、局部加熱が回避される。このような溶接状態では安定した大きなナゲットが形成されやすくスポット溶接性が向上する。凸部、凹部は光学顕微鏡でも十分認識できるが、REM、EPMAを使用すると容易に元素分布も合わせて識別できる。凸部は必ずしも面積率100%がβ−Sn単相である必要はない。しかし、面積率が20%未満になると凸部の延性が低下し上述の効果が薄れる。より好ましくは凸部のβ−Sn単相の面積率は50%以上が好ましい。凸部のβ−Sn単相は延性が低下しない程度に元素が存在しても構わない。具体的にはZn、Ni、Pb、Sb、In、Bi、Ti、Fe等がβ−Snの固溶限程度に元素が存在しても影響はない。
【0016】
凸部をβ−Sn単相にするためには、Sn初晶を凝固過程で積極的に発達させればよく、Sn初晶の成長起点を増やしてやればよい。この溶融めっきの凝固過程は鋼板側の抜熱が大きく、めっき/地鉄の界面側から凝固していく、したがって、溶融めっき層の下層の合金層に微細な凹凸をつけるが、地鉄そのものに微細な凹凸をつければ、Sn初晶の成長起点をつくることができる。合金層に微細な凹凸をつけるには、溶融めっきと鋼板との合金化反応を制御すればよく、具体的にはプレめっきの種類、めっき浴温、浸漬時間を制御すればよい。プレめっきの種類としてはNi、Co、Cuの単体やFeとの合金あるいはこれらの金属同士の合金であっても良い。プレめっき量としては0.01〜2.0g/m2 程度で十分である。また、地鉄表面に凹凸をつけるには溶融めっき前の圧延工程にて表面粗度を付与すればよい。
【0017】
めっきの付着量としては、片面当たり30〜100g/m2 であることが望ましい。一般に、めっき付着量が増大するほど、電極との反応物質が多いことを意味し、溶接性は劣化する傾向にある。その一方で、耐食性はめっき付着量が多いほど有利に働くため、両特性を満足する付着量は限られる。更に、本発明は、溶融めっき法を前提としているが、溶融めっき法では、極端に薄目付けとすることは困難である。従って、付着量の下限は30g/m2 とし、また溶接性が劣化するため、上限を100g/m2 とする。
【0018】
本発明において、鋼板の表面に接触抵抗に寄与する何らかの皮膜を付与するものとする。これらは酸化皮膜、水酸化皮膜、陽極酸化皮膜、化成皮膜、有機樹脂皮膜等であるが、本発明においては特にその種類及び製造法を限定するものではない。但し、工業的によく利用されているのはクロメートに代表される化成皮膜、あるいは有機樹脂皮膜である。この皮膜量を合計で片面2g/m2 以下とする。これ以上の皮膜量では、接触抵抗値が大きくなりすぎて、抵抗溶接性、半田、ロウ付け性を阻害する。処理の仕方として、片面処理、両面均一処理、両面不均一処理がありうるが、本発明においては、特に規定せず、どのような処理も可能である。
【0019】
使用するめっき原板の組成は特に限定するものではない。しかし高度な加工性を要求される部位だけに、加工性に優れたIF鋼の適用が望ましく、さらには溶接後の溶接気密性、二次加工性等を確保するためにBを数ppm添加した鋼板が望ましい。また鋼板の製造法としては通常の方法によるものとする。鋼成分は例えば転炉−真空脱ガス処理により調節されて溶製され、鋼片は連続鋳造法等で製造され、熱間圧延される。熱間圧延、またそれに続く冷間圧延の条件は鋼板の深絞り性に影響を与える。特に優れた深絞り性を付与するには、熱延時の加熱温度を1150℃程度と低めに、また熱延の仕上げ温度は800℃程度と低めに、巻き取り温度は600℃以上と高めに、冷延の圧下率は80%程度と高めにすると良い。
【0020】
めっきの前処理、めっき条件等は特に限定するものではない。Sn系めっきの前処理としてNi等のプレめっきを施すことも可能である。また、溶融めっき方法として大きくフラックス法と、ゼンジマー法があるが、どちらの製造法でも製造可能である。
更に、めっき後の後処理として、クロメート等の化成処理、有機樹脂被覆以外に、溶融めっき後の外観均一化処理であるゼロスパングル処理、めっきの改質処理である焼鈍処理、表面状態、材質の調整のための調質圧延等があり得るが、本発明においては特にこれらを限定せず、適用することも可能である。
【0021】
【実施例】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
表1に示す成分の鋼を通常の転炉−真空脱ガス処理により溶製し、鋼片とした後、通常の条件で熱間圧延、冷間圧延、連続焼鈍工程を行い、焼鈍鋼板(板厚0.8mm)を得た。圧延の際、種々の粗度を有するロールで表面粗度を調節した。この鋼板の一部にワット浴でNiめっきを1g/m2 施した後、フラックス法でSn−Znめっきを行った。フラックスはZnCl2 水溶液をロール塗布して使用し、めっき浴の組成はZnを0〜20%まで変更した。浴温は280℃とし、めっき後エアワイピングによりめっき付着量を調整した。この鋼板に樹脂皮膜:(皮膜の全体量をg/m2 で表示)を後処理皮膜として塗布した。
これらを燃料タンクとしての性能を評価した。このときの評価方法は下に記述した方法によった。めっき条件と性能評価結果を表2に示す。
【0022】
【表1】
Figure 0004299591
【0023】
(1)表面粗度
表面粗度計で、表面粗度指標である、RMS値を測定した。表示は表裏の平均値とした。
(2)めっき表層凸部のSn面積率
SEMにより凸部を判定し、同じ箇所をEPMAによりSnとZnの特性X線を測定し、凸部のSnの面積率を測定した。
【0024】
(3)プレス加工性評価
油圧成形試験機により、直径50mmの円筒ポンチを用いて、絞り比2.3で成形試験を行った。このときのシワ抑え圧は500kgで行い、成形性の評価は次の指標によった。
〔評価基準〕
○:成形可能で、めっき層の欠陥無し
△:成形可能で、めっき層に僅かに疵発生
×:成形可能で、めっき層に剥離発生
【0025】
(4)溶接性評価
下記に示す溶接条件でスポット溶接を行い、ナゲット径が4√tを切った時点までの連続打点数を評価した。
〔溶接条件〕
溶接電流:10KA
加圧力:240Kg
溶接時間:12サイクル(60Hz)
電極:ドーム型電極、先端径:6mm
〔評価基準〕
◎:連続打点800点超
○:連続打点500点超〜800点
△:連続打点300〜500点
×:連続打点300点未満
【0026】
(5)半田性評価
半田広がり性を評価した。使用した半田はSn−3.5%Agとし、フラックスはZnCl2 水溶液系のものを使用した。一定量の半田をフラックスに浸漬し、取り出した後、試験片上に乗せ、加熱したPbの上に静かに正置して加熱した。一定時間経過後、試験片を引き上げ、画像解析装置にて半田広がり面積を測定した。
〔測定条件〕
半田量:500mg
温度 :300℃
保持時間:45秒
〔評価基準〕
○:広がり面積300mm2
△:広がり面積100超〜300mm2
×:広がり面積100mm2 以下
【0027】
(6)耐食性評価
ガソリンに対する耐食性を評価した。方法は油圧成型試験機により、フランジ幅20mm、直径50mm、深さ25mmの平底円筒絞り加工した試料に、試験液を入れて、シリコンゴム製リングを介してガラスで蓋をした。この試験後の腐食状況を目視観察した。なお片面処理材の試験面は処理面とした。
〔評価条件〕
試験液:ガソリン+蒸留水10%+蟻酸200ppm
試験期間:40℃で3ヶ月放置
〔評価基準〕
○:赤錆発生0.1%未満
△:赤錆発生0.1〜5%または白錆発生有り
×:赤錆発生5%超または白錆顕著
【0028】
【表2】
Figure 0004299591
【0029】
本発明例(No.1〜25)では、いずれも十分使用可能なレベルに達している。ただしNo.5ではZn%が低いため、耐食性がやや劣る。No.1214では後処理皮膜の付着量が少ないため、電極とめっきの反応が進行し、溶接性がやや低下している。逆にNo.2021では後処理皮膜の付着量が多いため、接触抵抗が増大し、溶接性がやや低下している。また、後処理皮膜により半田とめっきの濡れ性が阻害され半田性がやや低下する。
【0030】
比較例No.26では純Snであるために電極とめっき層の反応が大きく溶接性が低下している。また犠牲防食能を伴わないため耐食性も低下する。比較例No.2729では凸部にβ−Sn単相は存在しないため溶接性が低下しており更に成形性も劣る。またZnが増えてきているため半田との濡れ性も低下する。比較例No.3031では原板の粗度が低いため十分にβ−Sn単相が凸状に核生成できず、溶接性が低下している。逆に比較例No.3233では原板の粗度が大きすぎるため、後処理皮膜が不均一になり局部加熱を生じるために溶接性が低下する。
【0031】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によって、接合特性に優れるため生産性の良好でかつ耐食性の良好な燃料タンク用の鉛フリー防錆鋼板を得られた。

Claims (2)

  1. 1〜8.8質量%のZnと残部がSn:91.2〜99.0質量%を含有した溶融金属をめっき付着量が片面当たり30〜100g/m 2 で、かつ粗度RMS0.2〜1.7μmの原板表面に形成した溶融Sn基めっき鋼板であって、当該めっき表面粗度がRMS2μm以下で、凸部の面積率の20%以上がβ−Sn単相であることを特徴とする溶融Sn−Zn系めっき鋼板。
  2. 鋼板表面に化成処理または/および樹脂皮膜を片面当たり合計で2g/m2 以下有することを特徴とする請求項1に記載の溶融Sn−Zn系めっき鋼板。
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