JP2002146505A - 溶融Sn−Mg系めっき鋼板 - Google Patents

溶融Sn−Mg系めっき鋼板

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JP2002146505A
JP2002146505A JP2000344557A JP2000344557A JP2002146505A JP 2002146505 A JP2002146505 A JP 2002146505A JP 2000344557 A JP2000344557 A JP 2000344557A JP 2000344557 A JP2000344557 A JP 2000344557A JP 2002146505 A JP2002146505 A JP 2002146505A
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plated steel
hot
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Yasuto Goto
靖人 後藤
Shinichi Yamaguchi
伸一 山口
Masahiro Fuda
雅裕 布田
Jun Maki
純 真木
Teruaki Isaki
輝明 伊崎
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Nippon Steel Corp
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた耐食性、接合性、加工性を兼備し、自
動車燃料タンク材料、家庭用電気機械、産業機械材料と
して好適な、溶融Sn−Mg系めっき鋼板を提供する。 【解決手段】 鋼板表面に溶融めっき層の組成がSnに
加えて、質量%でMgを0.1〜4%含有し、その下層
に厚み3μm以下でSnを含有する金属間化合物層と金
属層の混合層で、金属間化合物層の面積率が1%以上1
00%未満である溶融Sn−Mg系めっき鋼板。更にZ
n:0.5〜20%、Ca:0.01〜2%の1種また
は2種以上を含有し、表面粗度、表面光沢に最適値を有
する。最表面に化成処理皮膜を有することが好ましい。 【効果】 該めっき鋼板は、Pbを使用しない燃料タン
ク材料、電気部材用表面処理鋼板として好適な特性を有
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた耐食性、接
合性、加工性を兼備し、自動車燃料タンク材料、家庭用
電気機械、産業機械材料として好適な溶融Sn−Mg系
めっき鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、Snめっき鋼板は、Snの有する
優れた耐食性と加工性から、食缶、飲料缶用途を主とし
て広く使用されている。しかしながら、食缶内部等の溶
存酸素の無い環境では、Snは地鉄を犠牲防食すること
が知られているが、酸素の存在する環境下では地鉄から
腐食が進行しやすいという欠点がある。これを補うた
め、Znを20〜40%添加したSn−Znめっき鋼板
が電子部品、自動車部品等への後めっき分野を主として
使用されている(特開平6−116749号公報)。し
かし、これは電気めっき法によるものである。Snの電
気めっきはコスト、生産性上の理由で高付着量の確保は
困難であった。一方、自動車燃料タンク用途でこのSn
−Znめっき鋼板が優れた特性を有することが知見さ
れ、特開平8−269733号公報、特開平8−269
734号公報等において、めっき組織を制御した溶融S
n−Znめっき鋼板が開示されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記したSn−Znめ
っき鋼板は、確かに優れた耐食性、加工性、半田性を有
するものである。しかし、近年、更なる耐食性の向上が
求められており、Sn−Znめっき鋼板では巾の狭いカ
ット部(地鉄まで達するような疵)の犠牲防食効果はあ
る程度あるものの、カット部の巾が広い場合や、めっき
が被覆されてない端部では犠牲防食能が十分に発揮され
ない。特に塩害環境を想定した塩水噴霧試験では赤錆発
生に至るまでの期間が十分とはいえない。犠牲防食能を
更に向上させるためにはZnの添加量を増やせば良いの
であるが、Zn量が高くなりすぎるとめっき層の主体が
SnからZnへと移行していき、この場合、Zn自体の
溶出がSnよりも遙かに大きいため、めっき層自体の耐
食性が損なわれる。
【0004】また、Zn量がSn−Zn二元系の共晶点
(9%Zn)以上のZnの添加はSn−Zn合金の融点
を上昇させることになる。融点が上昇したとき、必然的
に溶融めっきの浴温は上昇させざるを得ないが、高い浴
温でのめっきは合金層の成長へとつながる。合金層は一
般的にめっき金属と地鉄の反応物で、金属間化合物層で
ある。従って、一般に脆性な層で厚く連続的に成長する
と加工時に亀裂を生じたり、内部で層状剥離を誘起する
ことがある。そういう意味から、厚い連続した合金層を
有する鋼板はやや加工性に劣る傾向がある。上記の理由
から、Zn量の増加のみで犠牲防食能を向上させるわけ
にはいかなかった。
【0005】また、厚く連続した金属層を有する溶融S
n系めっき鋼板は表面粗度が大きい傾向にあるという知
見がある。そして、そのような粗い表面にクロメート処
理等の化成処理を施すと、表面形状に沿って化成処理が
分布し、化成処理皮膜にムラが生じ易い。このような皮
膜構造の溶融Sn系めっき鋼板は溶接性、特にスポット
溶接性に劣る傾向がある。この原因は溶接時には表面皮
膜が発熱抵抗として作用するが、表面皮膜が不均一なた
め発熱が不均一となり局部発熱しやすくなったことにあ
ると考えられる。更に、このような表面粗度の大きい状
態では、艶消し外観となり、Sn系めっき特有の光沢外
観は失われる傾向にある。
【0006】本発明は、上記の課題、すなわち溶融Sn
系めっきの更なる耐食性向上と合金層が連続的に形成さ
れることによる、溶接性、表面外観、加工性の劣化とい
う課題を解決し、耐食性、加工性、溶接性を高度にバラ
ンスし、表面も光沢のある美しい外観となるような溶融
Sn系めっき鋼板を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、カット
部、端面の防錆能向上と防錆能を向上せしめる添加量内
でSnとの合金が極端な融点上昇をもたらさない金属と
してMgに着目し、めっき層組成、合金層を適正に制御
することで、より高い性能が得られるとの知見を得、本
発明を完成させたものである。その骨子は溶融Sn系め
っき層にMgを分散させ、カット部、端面の防錆能を向
上させ、更に合金層の分布を不連続とすることにより、
表面粗度を低く保ち、優れた溶接性、表面外観を得るこ
とである。同時に厚い合金層は加工性も阻害する。めっ
きの表面粗度が合金層に影響される理由は明確ではない
が、合金層が凝固時に核生成に寄与していると想定でき
る。
【0008】本発明の要旨とするところは、次のような
ものである。 (1)鋼板表面に溶融Sn−Mgめっき層を有し、めっ
き層の組成が質量%でSnに加えてMgを0.1〜4%
含有し、残部がSnと不可避的不純物であり、その下層
に厚み3μm以下でSnを含有する金属間化合物層とS
nを含有する金属層の混合層で、下層の金属間化合物層
の面積率が1%以上100%未満であることを特徴とす
る溶融Sn−Mg系めっき鋼板。 (2)鋼板表面に溶融Sn−Mgめっき層を有し、めっ
き層の組成が質量%で74〜99.9%のSnを含有す
ることを特徴とする前記(1)に記載の溶融Sn−Mg
系めっき鋼板。
【0009】(3)めっき層の組成がSn、Mgに加
え、質量%でZn:0.5〜20%、Ca:0.01〜
2%の1種または2種以上を含有することを特徴とする
前記(1)または(2)に記載の溶融Sn−Mg系めっ
き鋼板。 (4)めっき層の表面粗度がRMSで2.5μm以下で
あることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに
記載の溶融Sn−Mg系めっき鋼板。
【0010】(5)めっき層の表面光沢が30以上であ
ることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記
載の溶融Sn−Mg系めっき鋼板。 (6)めっき層表面に、無機化合物あるいは有機化合
物、またはその複合物よりなる後処理層を有することを
特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の溶融
Sn−Mg系めっき鋼板にある。
【0011】次に、本発明を詳細に説明する。本発明
は、Snを含有するめっき下層の金属間化合物層(いわ
ゆる合金層)を不連続に有するSn−Mg系めっき鋼板
であり、Sn−Mg系めっき層と母材の界面に不連続な
金属間化合物層を有する。更に、この界面部にはNi、
Coをベースとする金属層も有することもあるとする。
このNi、Co系の合金層は、Sn−Zn系めっきに先
だって処理されるもので、これら金属はFeよりもSn
との反応性が高いために、不めっきと呼ばれるめっき欠
陥を抑制する効果がある。従って、先に述べた界面の金
属間化合物の組成としては、Ni、Co、母材FeとS
nとの化合物、例えば、Ni3 Sn、FeSn2 等が好
ましい。Ni、Co系の金属層は、P、B、C等の非金
属元素との合金、あるいはNi−Fe、Ni−Co等の
合金であっても構わない。
【0012】そして本発明において、めっき下層の金属
間化合物層の存在比率を1%以上100%未満に限定す
る。これはこの比率が1%未満であると、界面に反応層
が殆ど全く存在しないことを意味し、Sn−Mg系皮膜
の密着性に劣るためである。また、めっき下層の金属間
化合物層が100%、すなわち完全に連続した構造とな
ると、前述したように加工性、溶接性、外観等の性能が
劣化する。この比率は好ましくは5%以上80%未満で
ある。
【0013】この比率の求め方は、Sn−Mg系めっき
層のみを電解剥離等で剥離し、めっき下層の金属間化合
物層と金属層を露出させ、SEM、EPMA等で表面を
観察することによる。めっき下層の金属間化合物層はS
nを含有するため、EPMAで識別可能で、またこれら
のめっき下層の金属間化合物層は特定の結晶形態を有す
るため、SEM観察でも識別可能である。このめっき下
層の金属間化合物層の厚みは3μm以下とする。これ
は、不連続な金属間化合物層であっても、その厚みが3
μmを超えると、加工性に悪影響を及ぼすためである。
【0014】本発明者らは、溶融Sn−Mg系めっきに
おいては、特にめっき下層の金属間化合物層の存在比
率、厚みがめっき浴の温度あるいはめっき浴中の浸漬時
間で変動し、これらの条件の組み合わせを制御すること
が、本成分系のめっき鋼板にとっては特に重要であるこ
とを知見し、本発明を完成した。
【0015】即ち、本発明においてはSn−Mg系の
めっき浴の融点は200℃前後であるが、特に本発明の
成分系においては融点より著しく高い温度でめっきする
ことは下層の金属間化合物層の必要以上の成長を促進
し、かつエネルギー的にも効率が悪いため好ましくなく
望ましいめっき浴温度は300℃前後であること、推
奨されるめっき温度においても、製造時のラインスピー
ドが著しく低速になったときには、めっき浴中の浸漬時
間が長くなり、めっき下層の金属間化合物層の必要以上
の成長を促進する傾向が特に大きいことを知見し、これ
らの知見を基に実際の製造において各ラインの構成を考
慮の上、浴温と合わせ浸漬時間(ラインスピード)を制
御することで本発明を完成した。
【0016】次に、めっき層の限定理由について述べ
る。めっき層はSn−Mg系のめっき層であり、Mgの
比率は0.1〜4%とする。本発明において、Mgを添
加する理由はMg系水酸化物によるカット部、端面の防
錆であり、安定した耐食性を得るためである。この目的
のためにはMgの添加量が0.1%以上必要であり、一
方、過剰な添加は、融点上昇すなわちめっき浴温の上昇
に伴うめっき下層の金属間化合物層の過剰な成長を引き
起こす。このため、Mg量は前述した範囲に限定する。
めっき層の不純物元素として、微量のFe、Ni等鋼成
分、あるいはプレめっき成分があり得る。
【0017】Mgの添加でカット部、端面の防錆能は向
上するが、更にZn:0.5〜20%、Ca:0.01
〜2%を添加してもよい。Znの添加はめっき層の電位
を下げ、犠牲防食能を付与する。そのためには0.5%
以上の添加が望ましく、過剰な添加はやはり融点上昇を
ひきおこし、めっき下層の金属間化合物層の過剰な成長
につながるので20%以下とする。CaはMgに比べる
と効果は低いが、Mg同様にカット部、端面部での防錆
能を付与する。しかしながら、融点の上昇に対する寄与
も大きいため過剰に添加することはやはり好ましくなく
0.01〜2%に限定する。一方、めっき層の厚み、す
なわち付着量であるが、少なすぎると十分な耐食性が得
られず、多すぎると溶接性の低下につながる。この意味
から、付着量を片面当たり15〜60g/m2 程度にす
ることが好ましい。
【0018】次に、表面粗度の限定理由を述べる。前述
したように、めっき層表面の粗度が過大であると、表面
の化成処理の分布にムラが生じやすく溶接性の低下を招
きやすい。この意味から表面粗度は小さいほど好まし
い。本発明においては上限をRMSで2.5μmとする
ことが望ましい。ただし、あまり低いと油の保持性が悪
くなり、加工性の低下につながりやすくなるため、好ま
しくはRMS0.5μm以上である。このとき、表面粗
度の指標としてはRMSを使用するものとする。これは
この指標を用いたときに最も粗度と溶接性の関係に相関
が強くなるためである。RMSは自乗平均粗さを意味
し、ある区間の粗さ曲線の自乗の積分値を区間長さで除
し、平方根をとったものである。表面粗度の制御はめっ
き条件、めっき後の冷却条件、調質圧延等によるものと
する。
【0019】表面の粗度が変わってくると、Sn−Mg
系めっき鋼板の外観、特に光沢に影響する。光沢が減じ
ると、Sn系めっき特有の美しい外観が損なわれるた
め、本発明において光沢値の下限は30が望ましい。め
っき層の表面に種々の後処理を施すことも可能である。
その目的は初期防錆、酸化皮膜の成長防止、溶接性等で
あるが、本発明において後処理は無機化合物、有機化合
物、またはその混合物からなり、付着量が片面0.00
5〜2g/m 2 であることが望ましい。本発明におい
て、後処理皮膜は特に溶接性への影響が大きく、溶接性
を向上せしめるには、0.005g/m2 以上の処理量
が必要であり、一方、処理量が多すぎても鋼板・電極間
で発熱が起こりすぎて溶接性を阻害する。
【0020】皮膜の種類として、酸化皮膜、水酸化皮
膜、陽極酸化皮膜、化学皮膜、有機樹脂皮膜等がある
が、特に種類あるいは製造法を限定するものではない。
また処理の仕方として、片面処理、両面同一処理、両面
異処理がありうるが、本発明においては、特に規定せ
ず、どのような処理でも可能である。使用するめっき原
板の組成も特に限定するものではない。しかし高度な加
工性が要求される部位には、加工性の優れたIF鋼の適
用が望ましく、さらには溶接後の溶接気密性、二次加工
性等を確保するためにBを数ppm添加した鋼板が望ま
しい。また鋼板の製造法としては通常の方法によるもの
とする。鋼成分は例えば転炉・真空脱ガス処理により調
節されて溶製され、鋼片は連続鋳造法等で製造され、熱
間圧延される。
【0021】溶融めっき法として大きくフラックス法と
ゼンジマー法があるが、どちらの製造法でも製造可能で
ある。さらに、めっき後の後処理として、クロメート等
の化成処理、有機樹脂被覆以外に、溶融めっき後の外観
均一化処理であるゼロスパングル処理、めっきの改質処
理である焼鈍処理、表面状態、材質の調整のための調質
圧延等があり得るが、本発明においては特にこれらを限
定せず、適用することも可能である。
【0022】
【実施例】次に、実施例により本発明を更に詳細に説明
する。 (実施例1)表1に示す成分の鋼を通常の転炉−真空脱
ガス処理により溶製し、鋼片とした後、通常の条件で熱
間圧延、冷間圧延、連続焼鈍工程を行い、焼鈍鋼板(板
厚0.8mm)を得た。この鋼板の一部に電気めっき法
でNiめっき、Ni−Pめっき、Coめっき、Ni−C
oめっきを施した。しかる後にフラックス法でSn−M
gめっきを行った。フラックスはZnCl2 水溶液をロ
ール塗布して使用し、Mgの組成は0〜6%まで変更し
た。浴温は240〜400℃とし、めっき後エアワイピ
ング法によりめっき付着量を調整した。こうして製造し
ためっき鋼板を種々の粗度を有するロールで調質圧延し
て表面粗度を調節した。これらの鋼板の一部には後処理
を施した。後処理の種類と組成を表2に示す。
【0023】なお、後処理皮膜は全て両面同一処理と
し、その付着量の表示方法は次のようにした。クロメ
ート皮膜:金属Cr量をg/m2 で表示、化成処理
A:シリカ量をg/m2 で表示、樹脂皮膜:皮膜全体
量をg/m2 で表示。これらを燃料タンクとしての性能
を評価した。このときの評価方法は下に記述した方法に
よった。めっき条件と性能評価結果を表3に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】(1)金属間化合物の面積率 Sn−Mgめっき鋼板のSn−Mg層のみを電解剥離法
で剥離した。電解剥離は、5%NaOH溶液中で行い、
電流密度は10mA/cm2 とした。その後、剥離面の
表面をEPMAで倍率1000倍で任意の3視野を分析
し、Sn系金属間化合物の生成した面積率を求め、その
平均値を求めた。 (2)表面粗度 表面粗度の指標である、RMS値を測定した。表示は表
裏の平均値とした。
【0027】(3)合金層厚み 断面から組織観察(1000倍光学顕微鏡観察)によ
り、合金層厚みを測定した。不連続合金層の場合には、
視野(100μm)中の最大厚みとした。 (4)光沢値 市販の光沢計により、光沢値を設定した。この際の入射
角は60°とした。
【0028】(5)めっき層加工性の評価 ドロービード試験を行った。このときの金型はビード
部:4R、ダイス肩:2Rであり、油圧により押え付け
力1000kgで圧下した。試験片の幅は30mmであ
り、引き抜いた後のビード通過部のめっき損傷状況を4
00倍の断面観察により調査した。観察長は20mmと
し、めっき層のクラック発生を評価した。 〔評価基準〕 ○:めっき層の欠陥無し △:成形可能で、めっき層にクラックが発生 ×:局部剥離発生
【0029】(6)耐食性試験 JIS Z2135に準拠したSST試験20日を行
い、白錆、赤錆発生状況を観察した。 〔評価基準〕 ○:赤錆発生無し、白錆発生3%以下 △:赤錆発生無し、白錆発生20%以下 ×:赤錆発生
【0030】(7)溶接性試験 下に示す溶接条件でスポット溶接を行い、ナゲット径が
4√tを切った時点までの連続打点数を評価した。 〔溶接条件〕 溶接電流:10kA 加圧力:240kg 溶接時間:12サイクル(60Hz) 電極:ドーム型電極、先端径6mm 〔評価基準〕 ○:連続打点500点超 △:連続打点200〜500点 ×:連続打点200点未満
【0031】
【表3】
【0032】番号30のようにMgを含有しない純Sn
めっきの場合には赤錆を発生しやすく、耐食性に劣る。
番号31のようにMg量が多すぎると、浴温を高める必
要があり、結果的に合金層が成長しやすくなり、表面粗
度が粗くなり、溶接性が劣化する。番号32のように金
属間化合物が全く生成しないときには、めっきの加工性
に劣る。一方、番号33、34のように、表面粗度が大
きいと、やはり溶接性に劣る。これ以外の条件では、い
ずれの特性も優れている。ただし、番号29のように表
面粗度が大きいと抵抗溶接性がやや劣化し、また番号2
5のように、めっき表層の皮膜が無いときにも溶接性、
耐食性に劣る傾向がある。したがって、このような鋼板
は溶接性を要求されない用途への適用が望ましい。
【0033】(実施例2)実施例1の表1に示す鋼成分
の冷延鋼板を材料として、ゼンジマー方式の溶融Sn−
1%Mgめっきを行った。溶融Sn−Mgめっきは無酸
化炉−還元炉タイプのラインを使用し、焼鈍もこの溶融
めっきライン内で行った。めっきに先立って、Ni、N
i−Fe、Fe−Pめっきをそれぞれ1g/m2 施し
た。焼鈍温度は800〜850℃とした。めっき後、ガ
スワイピング法でめっき付着量を片面35g/m2 に調
節した。この際のめっき温度は280℃とした。こうし
て製造したSn−Mgめっき鋼板に調質圧延を施して、
表面粗度を0.5〜1.5の範囲で調整した。更に、表
2の符号αの後処理皮膜を0.020g/m2 施した。
こうして製造した鋼板の燃料タンクとしての性能を評価
した。このときの評価方法も実施例1のそれと同じであ
る。評価結果は、いずれの鋼種、プレめっき種、表面粗
度でも良好な結果を示した。
【0034】(実施例3)実施例1の表1に示す鋼成分
の冷延鋼板を材料として、ゼンジマー方式の溶融Sn−
1%Mg−Znめっきを行った。Znの組成は0.5〜
20%まで変更した。溶融Sn−1%Mg−Znめっき
は無酸化炉−還元炉タイプのラインを使用し、焼鈍もこ
の溶融めっきライン内で行った。めっきに先立って、N
i、Ni−Fe、Fe−Pめっきをそれぞれ1g/m2
施した。焼鈍温度は800〜850℃とした。めっき
後、ガスワイピング法でめっき付着量を片面35g/m
2 に調節した。この際のめっき温度は280℃とした。
こうして製造したSn−1%Mg−Znめっき鋼板に調
質圧延を施して、表面粗度を0.5〜1.5の範囲で調
整した。更に、表2の符号αの後処理皮膜を0.020
g/m2 施した。こうして製造した鋼板の燃料タンクと
しての性能を評価した。このときの評価方法も実施例1
のそれと同じである。評価結果は、いずれの鋼種、プレ
めっき種、表面粗度でも良好な結果を示した。
【0035】(実施例4)実施例1の表1に示す鋼成分
の冷延鋼板を材料として、ゼンジマー方式の溶融Sn−
1%Mg−Caめっきを行った。Caの組成は0.1〜
2%まで変更した。溶融Sn−1%Mg−Caめっきは
無酸化炉−還元炉タイプのラインを使用し、焼鈍もこの
溶融めっきライン内で行った。めっきに先立って、N
i、Ni−Fe、Fe−Pめっきをそれぞれ1g/m2
施した。焼鈍温度は800〜850℃とした。めっき
後、ガスワイピング法でめっき付着量を片面35g/m
2 に調節した。この際のめっき温度は280℃とした。
こうして製造したSn−1%Mg−Caめっき鋼板に調
質圧延を施して、表面粗度を0.5〜1.5の範囲で調
整した。更に、表2の符号αの後処理皮膜を0.020
g/m2 施した。こうして製造した鋼板の燃料タンクと
しての性能を評価した。このときの評価方法も実施例1
のそれと同じである。評価結果は、いずれの鋼種、プレ
めっき種、表面粗度でも良好な結果を示した。
【0036】(実施例5)実施例1の表1に示す鋼成分
の冷延鋼板を材料として、ゼンジマー方式の溶融Sn−
1%Mg−8%Zn−0.5%Caめっきを行った。溶
融Sn−1%Mg−8%Zn−0.5%Caめっきは無
酸化炉−還元炉タイプのラインを使用し、焼鈍もこの溶
融めっきライン内で行った。めっきに先立って、Ni、
Ni−Fe、Fe−Pめっきをそれぞれ1g/m2 施し
た。焼鈍温度は800〜850℃とした。めっき後、ガ
スワイピング法でめっき付着量を片面35g/m2 に調
節した。この際のめっき温度は280℃とした。こうし
て製造したSn−1%Mg−8%Zn−0.5%Caめ
っき鋼板に調質圧延を施して、表面粗度を0.5〜1.
5の範囲で調整した。更に、表2の符号αの後処理皮膜
を0.020g/m2施した。こうして製造した鋼板の
燃料タンクとしての性能を評価した。このときの評価方
法も実施例1のそれと同じである。評価結果は、いずれ
の鋼種、プレめっき種、表面粗度でも良好な結果を示し
た。
【0037】(比較例1)実施例1の表1に示す鋼成分
の冷延鋼板を材料として、ゼンジマー方式の溶融Sn−
1%Mg−8%Znめっきを行った。溶融Sn−1%M
g−8%Znめっきは無酸化炉−還元炉タイプのライン
を使用し、焼鈍もこの溶融めっきライン内で行った。焼
鈍温度は800〜850℃とした。めっき後、ガスワイ
ピング法でめっき付着量を片面35g/m2 に調節し
た。この際のめっき温度は400℃とし、通常のSn−
Mg系におけるめっき温度より100℃以上高く設定し
た。更に、表2の符号αの後処理皮膜を0.020g/
2 施した。こうして製造した鋼板の燃料タンクとして
の性能を評価した。このときの評価方法も実施例1のそ
れと同じである。結果は、浴温が高いために合金層の成
長を促進し下層の金属間化合物層の面積率が100%と
なった。そのため表面粗度が粗くなり、溶接性が劣化し
良好な結果を得ることはできなかった。
【0038】
【発明の効果】以上述べたように、本発明は優れた耐食
性、接合性、加工性を兼備し、自動車燃料タンク材料、
家庭用電気機械、産業機械材料として好適な溶融Sn−
Mg系めっき鋼板を提供するものである。これまでPb
系めっきを適用していた箇所に対し、有害性の無いSn
系めっきの適用を可能にするもので、産業上の寄与は大
きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 布田 雅裕 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 真木 純 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 伊崎 輝明 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内 Fターム(参考) 4K027 AA02 AA22 AB01 AB02 AB05 AB13 AB14 AB26 AB28 AB46 AC82 AE03 AE25

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板表面に溶融Sn−Mgめっき層を有
    し、めっき層の組成が質量%でSnに加えてMgを0.
    1〜4%含有し、残部がSnと不可避的不純物であり、
    その下層に厚み3μm以下でSnを含有する金属間化合
    物層とSnを含有する金属層の混合層で、下層の金属間
    化合物層の面積率が1%以上100%未満であることを
    特徴とする溶融Sn−Mg系めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 鋼板表面に溶融Sn−Mgめっき層を有
    し、めっき層の組成が質量%で74〜99.9%のSn
    を含有することを特徴とする請求項1に記載の溶融Sn
    −Mg系めっき鋼板。
  3. 【請求項3】 めっき層の組成がSn、Mgに加え、質
    量%でZn:0.5〜20%、Ca:0.01〜2%の
    1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項
    1または2に記載の溶融Sn−Mg系めっき鋼板。
  4. 【請求項4】 めっき層の表面粗度がRMSで2.5μ
    m以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    に記載の溶融Sn−Mg系めっき鋼板。
  5. 【請求項5】 めっき層の表面光沢が30以上であるこ
    とを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の溶融S
    n−Mg系めっき鋼板。
  6. 【請求項6】 めっき層表面に、無機化合物あるいは有
    機化合物、またはその複合物よりなる後処理層を有する
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の溶融
    Sn−Mg系めっき鋼板。
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