JP2006089787A - 耐溶融金属脆化割れ性に優れたZn−Al−Mg合金めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

耐溶融金属脆化割れ性に優れたZn−Al−Mg合金めっき鋼板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 Siと共にCr,Cu,Ni等が共存した皮膜を鋼板表面に形成することにより、耐溶融金属脆化割れ性が改善されたZn-Al-Mg合金めっき鋼板を提供する。
【解決手段】
C:0.001〜0.3質量%,Si:0.01〜1.5質量%,Mn:0.05〜2.0質量%,P:0.2質量%以下,S:0.03質量%以下,Cr,Cu,Niの一種又は二種以上:0.05〜0.5質量%,必要に応じB:0.0001〜0.01質量%を含む鋼板をめっき原板に使用する。めっき原板を500〜850℃で還元焼鈍した後、溶融Zn-Al-Mg合金めっき浴に導入することにより、耐溶融金属脆化割れ性に優れたZn-Al-Mg合金めっき鋼板が製造される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、Zn-Al-Mg合金めっき層の優れた高耐食性を活用し、溶接,ろう付け時等に加熱されても溶融金属脆化割れを生じがたいZn-Al-Mg合金めっき鋼板を製造する方法に関する。
代表的な耐食材料にめっき鋼板があり、なかでもZn-Al-Mg合金めっき鋼板は過酷な腐食雰囲気においても優れた耐食性を呈する。Zn-Al-Mg合金めっき鋼板を用い各種構造体を組み立てる場合、所定形状に成形したZn-Al-Mg合金めっき鋼板を溶接する方法が多用されているが、溶接時の高温加熱で溶接熱影響部に粒界割れが発生しやすい。粒界に沿って割れが伝播すると、溶融金属脆化現象として現れる。
溶融金属脆化割れは、たとえば鋼材を溶接して鉄塔,橋梁等の大型構造物を組み立てた後、防錆を狙って溶融亜鉛めっき(ドブ漬けめっき)する場合にも溶接熱影響部に発生しやすい。溶融金属脆化割れの防止には、旧オーステナイト粒界の不鮮明化,Bを初めとする鋼中不純物元素の低減等が有効とされている。しかし、旧オーステナイト粒界の不鮮明化や鋼中不純物元素の低減等は、たかだか450℃程度の溶融亜鉛めっき浴にドブ漬けする場合に発生する割れ防止の対策であり、溶接時に短時間で千数百度の高温に曝された直後に溶接熱影響部に発生する割れの防止には別途の対策が必要とされる。
具体的には、ドブ漬け溶融亜鉛めっきした溶接部品に発生しがちな溶融亜鉛めっき割れを防止するため、TiNを析出させて溶接時に溶接熱影響部のオーステナイト粒の成長を抑制し、溶接後の冷却時、溶接熱影響部の粒界に微細なフェライト粒からなる金属組織とする方法が知られている(特許文献1)。しかし、溶接,冷却後の金属組織が細粒化されるに留まり、溶接直後のオーステナイト域で生じる割れの抑制には十分な対策とはいえない。
特開平10-96021号公報
極低炭素鋼では、溶接やろう付け時に高温加熱されたときのオーステナイト粒の異常成長をNb炭化物で抑制し、成形性,疲労強度に優れ、耐溶融金属脆化割れ性も改善された薄鋼板が知られている(特許文献2)。Nb炭化物によるオーステナイト粒の粗大化防止は鋼板の成形性,疲労特性の改善を狙ったものであり、Cu含有量に対応して適量のNiを含有させることにより溶融金属脆化割れを抑制している。
特開平10-195597号公報
Zn-Al-Mg合金めっき鋼板に発生しがちな溶融金属脆化割れは、低融点のMg含有相が原因と考えられており、同じ鋼材を下地鋼に用いた場合でも通常の亜鉛系,アルミニウム系めっきに比較して発生傾向が強い。そのため、従来の溶融金属脆化割れ防止法に代わる対策が要求される。
本発明は、溶融金属脆化割れの発生,進展防止に下地鋼の表面状態が影響を及ぼしている知見をベースに、鋼材表面に強固で薄い皮膜を形成することにより下地鋼表面の結晶粒界への溶融めっき金属の侵入を抑え、耐溶融金属脆化割れ性を改善したZn-Al-Mg合金めっき鋼板を製造することを目的とする。
本発明は、Cr,Cu,Ni等をSiと複合添加することにより、強固で薄い皮膜が形成された鋼板を溶融Zn-Al-Mg合金めっきの下地鋼に使用することを特徴とする。
下地鋼は、C:0.001〜0.3質量%,Si:0.01〜1.5質量%,Mn:0.05〜2.0質量%,P:0.2質量%以下,S:0.03質量%以下を含み、更にCu:0.05〜0.5質量%,Ni:0.05〜0.5質量%,Cr:0.05〜0.5質量%の一種又は二種以上を含む。必要に応じて、B:0.0001〜0.01質量%を含ませた下地鋼も使用できる。
下地鋼を500〜850℃で還元焼鈍した後、溶融Zn-Al-Mg合金めっき浴に導入することにより、耐溶融金属脆化割れ性に優れたZn-Al-Mg合金めっき鋼板が製造される。
発明の効果及び実施の形態
Zn-Al-Mg合金めっき鋼板をアーク溶接等で溶接すると、溶接金属と母材との境界近傍(溶接止端部)に割れが発生しやすい。溶接点から溶接トーチが去った後で割れが発生することから、割れ発生のメカニズムが次のように推察される。
割れ発生個所にある溶融めっき層は、溶接トーチの接近に従って溶融状態になり、非常に高温の溶接熱のため最終的には蒸発・枯渇する。しかし、溶接トーチが去った直後、溶融めっき層の蒸発温度よりも低くなってくると、比較的低温で溶融状態の溶融めっき層が溶接点の周囲から溶接止端部に向かって流れ込んでくる。このとき、形状的に応力が集中しやすい個所である溶接止端部では、冷却過程で鋼材内部に生じる引張り応力により溶融めっき金属が鋼材表面の結晶粒界に侵入しやすい状態になり、結果として溶融金属脆化が発生する。
溶融金属脆化割れの発生メカニズムを前提にすると、溶接止端部に流入した溶融めっき金属が鋼材表面の結晶粒界に侵入することを抑制することが溶融金属脆化割れの防止に有効といえる。そこで、本発明においては、Cr,Cu,Ni等がSiと共に濃化した強固で薄い皮膜が形成された下地鋼を使用することにより、鋼材表面の結晶粒界に溶融めっき金属が侵入することを抑制している。
Cr,Cu,Ni等がSiと共に濃化した皮膜は、環境遮断能が高く、溶接,ろう付け時等にZn-Al-Mg合金めっき鋼板が高温加熱されて生じる溶融めっき金属に対するバリアとして作用する。そのため、溶融めっき金属が鋼板表面の結晶粒界に侵入することに起因する溶融金属脆化が抑えられ、Zn-Al-Mg合金めっき鋼板の耐溶融金属脆化割れ性が向上する。しかも、Cr,Cu,Ni等を含む薄膜であるため、めっき性の低下も少なく、健全な溶融Zn-Al-Mg合金めっき層が鋼板表面に形成される。
以下、下地鋼に含まれる合金成分,含有量等を説明する。
・C:0.001〜0.3質量%
材料強度の確保に有効な成分であり、必要強度を得るため0.001質量%以上にC含有量を定める。しかし、フェライト相への固溶,炭化物の形成により鋼板の延性を低下させるので、上限を0.3質量%に規制する。
・Si:0.01〜1.5質量%
材料強度を上昇させる固溶強化成分であり、溶接時の高熱によって鋼板表面に皮膜を形成し、溶融金属脆化を防止する作用を呈する。このような作用は、0.01質量%以上のSi添加でみられる。Si含有皮膜は、鋼板表面に濃化しやすいCr,Cu,Ni等を取り込み、溶融金属脆化の抑制に有効な一層強固で緻密な皮膜に改質される。しかし、1.5質量%を超える過剰量のSiが含まれると、鋼板の延性が低下し、めっき密着性にとって有害なSi濃化層が鋼板表面に生成しやすくなる。好ましくは、0.01〜0.5質量%の範囲でSi含有量を選定する。
・Mn:0.05〜2.0質量%
S起因の脆化を防止すると共に強度向上にも有効な元素であり、0.05質量%以上でMnの添加効果がみられる。しかし、2.0質量%を超える過剰量のMnは、加工性,溶接性を劣化させ、めっき密着性にとって有害なMn濃化層を鋼板表面に生成させる。好ましくは、0.1〜1.5質量%の範囲でMn含有量を選定する。
・P:0.2質量%以下
延性に悪影響を及ぼす成分であることから、高加工性が要求される用途ではP含有量が低いほど好ましい。他方、強度向上に有効な成分であるので、高強度化用途には加工性,めっき密着性に悪影響を及ぼさない範囲(具体的には0.2質量%以下,好ましくは、0.15質量%以下)でPを添加できる。
・S:0.03質量%以下
熱間脆化の原因となり、加工性,耐食性に有害な成分であるので、可能な限り低減することが好ましい。本成分系では、製造コストを考慮してS含有量の上限を0.03質量%(好ましくは、0.015質量%)に定めた。
Cr,Ni,Cu:0.05〜0.5質量%
何れも鋼板表面に濃化しやすい成分であり、Si含有皮膜を強固で緻密な皮膜に改質する。鋼材表面に皮膜を形成する元素としてSi,Mn等が知られているが、SiやMnの単独添加又はSi,Mnの複合添加による皮膜形成効果だけでは、溶接時に発生しがちな溶融金属脆化割れを十分に防ぎきれない。他方、Siと共にCr,Cu,Niの一種又は二種以上を複合添加すると、Si単独添加に比較して格段に強固で緻密な皮膜が鋼材表面に形成される。該皮膜は、溶融めっき金属に対し十分なバリア機能を呈し、耐溶融金属脆化割れ性を向上させる。このような効果は、0.05質量%以上のCr,Cu及び/又はNiを添加することにより得られる。しかし、Cr,Cu,Ni等を過剰添加すると鋼材の加工性が低下するので、添加量の上限を0.5質量%に定めた。
B:0.0001〜0.01質量%
必要に応じて添加される成分であり、結晶粒界に偏析することにより界面結合力を高め、耐溶融金属脆化割れ性を改善する。0.0001質量%以上でBの添加効果が現れるが、0.01質量%を超える過剰量のBは硼化物の生成,結晶粒の成長阻害,加工性の劣化等、悪影響を及ぼす。Bを添加する場合、0.0005〜0.005質量%の範囲で含有量を選定することが好ましい。耐溶融金属脆化割れ性の改善には有効B量の確保が必要であり、C,Nを低減した成分系やC,NをTiで固定した成分系が好適である。
・溶融めっき前の還元焼鈍
連続溶融めっきラインでは、還元焼鈍炉に鋼帯を送り込んで鋼板表面を活性化した後、溶融めっき浴に導入し、溶融めっき浴から引き上げられた鋼帯の表面に付着している余剰の溶融めっき金属をガスワイピング等で除去することにより、所定の付着量で溶融めっき層が形成された溶融めっき鋼板を製造している。溶融めっき浴への導入に先立つ還元焼鈍過程で加熱温度:500〜850℃で鋼帯を還元焼鈍すると、適量のCr,Cu,Ni等が鋼帯表層に濃化し、強固で緻密な皮膜が鋼帯表面に形成される。還元焼鈍温度が高すぎるとCr,Cu,Ni等の濃化が著しく進行し、不めっき等のめっき欠陥が発生しやすくなる。逆に低すぎる還元焼鈍温度では、鋼帯表層に適量のCr,Cu,Ni等を濃化させるのに長時間加熱を要する。
具体的には、還元焼鈍によってCr,Cu,Ni等が5原子%以上に濃化すると、溶接時の高熱によっても破壊されない強固な皮膜が生成する。Cr,Cu,Ni等の皮膜強化作用はSi,Mn量によって影響を受けるので、好ましくはSi:25原子%以下,Mn:15原子%以下に規制する。また、Mn,Siに加えCr,Cu,Ni等が多すぎると溶融めっき時に不めっきが発生しやすくなるので、前述したようにCr,Cu,Ni等の過剰添加を避ける。
溶融Zn-Al-Mg合金めっき浴には、Mg:0.05〜10質量%,Al:4〜22質量%を含み、必要に応じて、Ti:0.001〜0.1質量%,B:0.0005〜0.045質量%,希土類元素,Y,Zr,Si等の易酸化性元素少なくとも一種:0.005〜2.0質量%を含む溶融めっき浴が使用される。溶融めっき浴の組成は、溶融Zn-Al-Mg合金めっき層の組成にほぼ等しく反映される。
Mgはめっき層の最表層にMgを含むZn系腐食生成物を形成させ、該腐食生成物がインヒビターとなって高耐食性を付与する。溶接ビード部や切断端面にも腐食生成物の一部が流れ込み、ビード部や切断端面の腐食が抑制される。めっき層中にZn-Mg系の金属間化合物を形成させてめっき層を硬質化する上でもMgは有効な成分である。このような効果を発揮させるため、Mg含有量を0.05〜10質量%(好ましくは、1〜4質量%)の範囲に調整する。
めっき層中のZn,MgがMg含有Zn系腐食生成物を形成するのに対し、Alは固着性の極めて強いZn-Al系腐食生成物を形成し、耐食性の向上に寄与する。また、Al含有によりZn/Al/Zn2Mg三元共晶がめっき層の凝固組織に出現する。Zn/Al/Zn2Mg三元共晶組織は、Zn/Zn2Mg二元共晶組織より組織が微細であり、耐食性向上,めっき層の硬質化に有効である。固着性の強いZn-Al系腐食生成物を形成し、Zn/Al/Zn2Mg三元共晶組織を形成させるため、4質量%以上のAl含有量が必要である。しかし、Al含有量の増加に応じてめっき金属の融点が上昇し、めっき浴を高温に保持することが必要になり素材の生産性も悪くなるので、Al含有量の上限を22質量%とすることが好ましい。
任意成分であるTi,Bを添加すると、表面外観を害するZn11Mg2相の生成が抑制され、めっき層中に晶出するZn-Mg系金属間化合物が実質的にZn2Mgのみになる。具体的には、Ti:0.001質量%以上(好ましくは、0.002質量%以上)でZn11Mg2相の生成を効果的に抑制される。しかし、0.1質量%を超える過剰量のTiが含まれると、めっき層中にTi-Al系析出物が成長し、めっき層に凹凸(ブツ)が生じ、外観が損なわれる。
Zn11Mg2相の生成抑制は、0.0005質量%以上(好ましくは、0.001質量%以上)のB含有によっても達成される。しかし、0.045質量%を超える過剰量のB含有では、めっき層中にTi-B系析出物、Al-B系析出物が成長し、めっき層に凹凸(ブツ)が生じ、外観を損ねるようになる。更に、易酸化性元素である希土類元素,Y,Zr,Siの少なくとも一種を0.005質量%以上添加することにより、表面光沢劣化現象を抑制できる。しかし、過剰添加しても増量に見合った改善効果が得られないので、希土類元素,Y,Zr,Si等の添加量上限は2.0質量%とする。
表1の鋼材を真空溶解炉で溶製し、インゴットに鋳造した後、鍛造,熱間圧延を経て板厚:5mmの熱延鋼帯を製造した。
Figure 2006089787
各熱延鋼帯を表面研削してスケールを除去した後、還元焼鈍炉に送り込んだ。還元焼鈍炉では、H2:50体積%,N2:50体積%の不活性雰囲気下で加熱することにより、鋼帯表面を活性化すると共に、Si,Cr,Cu,Ni等を鋼帯表層に濃化させた。還元焼鈍された鋼帯をサンプリングし、還元焼鈍条件がSi,Cr,Cu,Ni等の濃化,鋼帯表面に生成した皮膜の物性に及ぼす影響を調査した。なお、鋼帯表層としては、鋼帯表面から1μm深さまでの領域を選定した。
表2の調査結果にみられるように、Cr,Cu,Ni等を添加した鋼帯では、鋼帯表層へのSi,Cr,Cu,Ni等の濃化が生じていた。他方、Cr,Cu,Ni無添加の鋼帯では、鋼帯表面に生成した皮膜が比較的ポーラスで、めっき性に悪影響を及ぼすMn量も多くなっていた。
Figure 2006089787
還元焼鈍後の鋼帯を浴温:400℃の溶融Zn-Al-Mg合金めっき浴(Al:6質量%,Mg:3質量%,Zn:残部)に浸漬した。溶融めっき浴から鋼帯を引き上げた後、ガスワイピングでめっき付着量を90g/m2に調整した。
得られためっき鋼板から試験片を切り出し、高温引張試験に供した。
高温引張試験では、室温から昇温速度:100℃/秒で1000℃まで加熱することにより試験片をオーステナイト化した後、冷却速度:50℃/秒で800℃,550℃の設定温度まで冷却し、設定温度に保持した試験片を破断するまで引っ張った。破断した試験片の破面を観察すると共に、無めっき材の破断伸びに対するめっき材の破断伸びの比率として破断伸び比を算出した。
表3の調査結果にみられるように、Siと共にCr,Cu,Ni等を鋼帯表層部に濃化させたAグループの鋼帯を下地鋼に用いたZn-Al-Mg合金めっき鋼板は、破断伸び比が大きく、無めっき材と比較して破断特性に大きな変動がなかった。すなわち、Si,Cr,Cu,Ni等を鋼帯表層部に濃化させ、緻密で強固な皮膜を鋼帯表面に形成することにより耐溶融金属脆化割れ性が改善されたことが確認できる。
他方、Cr,Cu,Ni無添加の鋼帯B1に溶融Zn-Al-Mg合金めっき層を形成しためっき鋼板は、高温雰囲気に曝したとき溶融めっき金属に起因する溶融金属脆化が著しく、破断面が脆性破断していた。Cr,Cu,Ni等を添加しても860℃の高温で還元焼鈍した鋼帯B2では、鋼帯表面にCr,Cu,Ni等が過度に濃化したことから不めっき等の欠陥がある溶融めっき層が形成され、正常な溶融めっき鋼板の安定的な製造が困難であった。
Figure 2006089787
以上に説明したように、Cr,Cu,Ni等を添加した鋼帯,鋼板を加熱温度:500〜850℃で還元焼鈍することによって、Siと共にCr,Cu,Ni等が含まれることにより強固で緻密な皮膜が鋼板表面に形成される。この皮膜は、環境遮断能が高く、高温加熱で溶融しためっき金属が鋼板表層の結晶粒界に侵入することを防止する。そのため、Zn-Al-Mg合金めっき鋼板を溶接しても、溶接止端部に生じがちな溶融金属脆化がなく、溶融Zn-Al-Mg合金めっき浴の高耐食性を活用した各種構造材として好適な溶融めっき鋼板となる。

Claims (2)

  1. C:0.001〜0.3質量%,Si:0.01〜1.5質量%,Mn:0.05〜2.0質量%,P:0.2質量%以下,S:0.03質量%以下を含み、更にCu:0.05〜0.5質量%,Ni:0.05〜0.5質量%,Cr:0.05〜0.5質量%の一種又は二種以上を含み,残部が実質的の組成をもつ下地鋼を500〜850℃で還元焼鈍した後、溶融Zn-Al-Mg合金めっき浴に導入することを特徴とする耐溶融金属脆化割れ性に優れたZn-Al-Mg合金めっき鋼板の製造方法。
  2. 更にB:0.0001〜0.01質量%を含む下地鋼を使用する請求項1記載の製造方法。
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