JP2009287082A - 亜鉛系めっき鋼板、亜鉛系めっき鋼板の切断加工方法および切断加工用金型 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ダイ、ポンチおよびダイ押えからなる金型を用いて、片面当たりのZn目付量が10g/m2以上で、板厚が2.0mm以下の亜鉛系めっき鋼板を切断加工するに当たり、製品鋼板側となるダイおよびポンチのいずれか一方の肩に上記鋼板板厚の0.10〜0.50倍の曲率半径の丸みをもたせ、他方の肩とダイ押えの肩を直角とすると共に、ダイとダイ押えの側面を揃えて、ダイとポンチとの間のクリアランスを上記鋼板板厚の1.0%以下として切断加工を施し、剪断面比率が90%以上でかつ剪断面の亜鉛被覆率が50%以上である端面を形成する。
【選択図】図1
Description
本発明が対象とする亜鉛系めっき鋼板は、Zn単独のめっき鋼板に限定されるものではなく、例えば、ZnとNi,Fe,Al,Cr等からなる2元系めっき鋼板、ZnとNi−Co、Al−Cr等からなる3元系めっき鋼板、さらにはZnと3以上の他元素からなる多元系めっき鋼板等が含まれる。ただし、本発明の亜鉛系めっき鋼板は、めっき層中のZn含有量が50mass%以上のものに限られる。さらに、本発明が対象とする鋼板は、上記亜鉛系めっき鋼板の上層に化成処理などを施した鋼板であってもよい。また、上記亜鉛系めっき鋼板の素材(原板)は、熱延鋼板、冷延鋼板のいずれでもよく、鋼種についても、極低炭素鋼板や低炭素鋼板、合金元素を多量に含む高強度鋼板のいずれであってもよい。
Zn目付量:10g/m2以上
Zn目付量は、鋼板の切断端面に犠牲防食性を付与するための、本発明においては極めて重要な管理項目である。Znの目付量が10g/m2未満であると、切断後の切口である端面の剪断面に十分な量のZnを被覆することができず、耐錆性の向上効果が得られない。よって、Zn目付量は10g/m2以上とする必要がある。なお、Znの目付量を30g/m2を超えて多くしても、端面の耐錆性の向上効果は飽和するだけで、製造コストの上昇を招く。よって、本発明が対象とする亜鉛めっき系鋼板のZn目付量は、10〜30g/m2の範囲とすることが好ましい。本発明は、Zn目付量が30g/m2以下の薄目付の亜鉛系めっき鋼板であっても、端面の耐錆性を向上することができる。
ここで、上記Zn目付量とは、Zn系めっき層中のZnの目付量を意味し、例えば、Zn−Ni2元系のめっき鋼板の場合でも、Znの目付量を意味する。
なお、上記目付量の亜鉛系めっきを施す方法は、電気めっき法、蒸着法および溶融めっき法のいずれでもよいが、目付量の制御性、製造コスト、表面の美麗性等の観点からは、電気めっき法が最も好適である。
本発明が対象とする亜鉛系めっき鋼板は、板厚:2.0mm以下であることが必要である。板厚が2.0mmを超えて厚くなると、切断した切口(端面)の面積が増大するため、亜鉛被覆率が低下し、耐錆性を確保することが難しくなるからである。なお、一般に、板厚が薄くなると、端面に発生する錆はあまり問題とされなくなるので、鋼板の下限板厚は特に設ける必要はないが、概ね0.3mm程度である。
端面の剪断面比率:90%以上、剪断面の亜鉛被覆率:50%以上
図1は、Znの目付量が20g/m2で、板厚1.0mmの電気亜鉛めっき鋼板を打ち抜き加工した端面の耐食性に及ぼす端面の剪断面比率と剪断面の亜鉛被覆率の影響を示したものである。ここで、上記剪断面比率とは、剪断面と破断面の合計面積に対する剪断面面積の割合のことである。また、上記剪断面の亜鉛被覆率とは、端面の剪断面をEPMAで面分析したときの、Znの検出レベルがバックグランドの3倍以上である剪断面の面積率のことである。また、上記図に示した耐食性は、打ち抜き加工した試験片を屋内に大気曝露する腐食試験において、目視で確認できる錆が発生するまでの日数を測定し、その日数が30日以下を耐食性劣(×)、31日〜90日を耐食性良(△)、91日以上を耐食性優(○)と判定したものである。図1から、錆発生までの時間を4ヶ月以上、即ち91日以上とするためには、端面における剪断面比率を90%以上かつ剪断面の亜鉛被覆率を50%以上とする必要があることがわかる。そこで、本発明の端面の耐錆性に優れる亜鉛系めっき鋼板は、端面の剪断面比率が90%以上、剪断面の亜鉛被覆率が50%以上を必須の要件とする。なお、多元系めっき鋼板の場合でも、少なくとも上記したような、亜鉛被覆率が50%以上を満たせば、十分な耐錆性を得ることができる。
亜鉛系めっき鋼板の切断加工に用いる本発明に係る金型は、少なくともダイ、ポンチおよびダイ押えから構成されたものであることが必要である。上記構成からなる金型を用いる切断加工としては、打抜き加工や孔抜き(孔あけ)加工、切込み(切欠き)加工、縁取り(縁切り)加工、分断加工等が挙げられるが、上記加工に限定されるものではなく、切断線に対し、鋼板の一方の側を一対の工具(例えば、ダイとダイ押えの類)で挟んで固定し、鋼板の他方を、他の工具(例えば、ポンチの類)を鋼板の板厚方向に移動させて鋼板の板厚方向に剪断力による破断を生じさせて切断する剪断加工を伴う加工方法であればいずれでもよい。
切断時におけるポンチとダイとの間のクリアランスが大きくなるに従い、端面における剪断面の比率が小さくなるとともに、バリも発生しやすくなり、この傾向は、クリアランスの値が鋼板板厚の1.0%を超えると顕著になる。よって、本発明の切断加工方法においては、ポンチとダイとの間のクリアランスは、亜鉛系めっき鋼板の板厚の1.0%以下に制御する必要がある。なお、クリアランスは小さいほど好ましく、下限値は特に設けないが、1μm以上であれば十分である。
本発明の切断加工方法は、上記の亜鉛系めっき鋼板を、上記の切断加工用金型を用いて切断加工する方法である。この際、重要なことは、本発明の切断加工用金型において、肩に丸みをもたせたダイまたはポンチ側を製品鋼板側となる、即ち、切断加工後、製品(部材)として使用する側となるようにして切断加工を行うことである。こうすることによって、製品となる鋼板側に、上述した端面の剪断面比率が90%以上で、剪断面の亜鉛被覆率が50%以上の耐錆性に優れる端面を形成することができるからである。
さらに、端面における剪断面比率と剪断面の亜鉛被覆率を測定した切断加工後の鋼板を用いて、屋内での大気曝露試験を行い、切断した端面に目視で確認できる錆が発生するまでの時間(日数)を調査した。
また、表1のNo.12,13および14の鋼板の場合のように、鋼板板厚、Zn目付量およびクリアランスと板厚の比のいずれかが本発明の範囲を外れている場合には、端面の剪断面比率および剪断面の亜鉛被覆率が本発明の範囲から外れており、その結果、端面における錆発生までの日数が90日以下と短くなっている。
2:ポンチ
3:ダイ
4:ダイ押え
5:ダイとポンチの間のクリアランス
R:ダイ肩(ポンチ肩)の丸みの曲率半径
Claims (3)
- 片面当たりのZn目付量が10g/m2以上で、板厚が2.0mm以下の亜鉛系めっき鋼板であって、めっき後に切断加工された端面における剪断面比率が90%以上でかつ剪断面の亜鉛被覆率が50%以上であることを特徴とする亜鉛系めっき鋼板。
- ダイ、ポンチおよびダイ押えからなる金型を用いて、片面当たりのZn目付量が10g/m2以上で、板厚が2.0mm以下の亜鉛系めっき鋼板を切断加工するに当たり、製品鋼板側となるダイおよびポンチのいずれか一方の肩に上記鋼板板厚の0.10〜0.50倍の曲率半径の丸みをもたせ、他方の肩とダイ押えの肩を直角とすると共に、ダイとダイ押えの側面を揃えた金型を用いて、ダイとポンチとの間のクリアランスを上記鋼板板厚の1.0%以下として切断加工を施すことを特徴とする亜鉛系めっき鋼板の切断加工方法。
- ダイ、ポンチおよびダイ押えからなる鋼板の切断加工用金型において、製品鋼板側となるダイおよびポンチのいずれか一方の肩が上記鋼板板厚の0.10〜0.50倍の曲率半径の丸みを有し、他方の肩とダイ押えの肩が直角であると共に、ダイとダイ押えの側面が揃い、ダイとポンチとの間のクリアランスが上記鋼板板厚の1.0%以下であることを特徴とする亜鉛系めっき鋼板の切断加工用金型。
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