JP2013122075A - 溶融Al系めっき鋼板とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】常温でプレス加工してもめっき層の剥離が生じない、従来よりも加工性及び耐食性に優れる溶融Al系めっき鋼板とその製造方法を提供する。
【解決手段】溶融Al系めっき鋼板において、鋼板表面に、ビッカース硬度が400Hv以上600Hv以下のAl系金属間化合物を含有する金属被覆層を設け、前記金属被覆層が、前記Al系金属間化合物を50質量%以上含有する合金層を少なくとも有するようにし、前記合金層の厚みを8μm超30μm以下とする。
【選択図】なし
【解決手段】溶融Al系めっき鋼板において、鋼板表面に、ビッカース硬度が400Hv以上600Hv以下のAl系金属間化合物を含有する金属被覆層を設け、前記金属被覆層が、前記Al系金属間化合物を50質量%以上含有する合金層を少なくとも有するようにし、前記合金層の厚みを8μm超30μm以下とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、加工性及び耐食性に優れる溶融Al系めっき鋼板とその製造方法に関する。
溶融アルミニウム系めっき鋼板(以下、「溶融Al系めっき鋼板」と記載する。)は、高い耐熱性及び耐食性や、美麗な金属外観等を有することから、暖房器具、調理家電、自動車の排気系部品等の素材として、広く用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
ところが、溶融Al系めっき鋼板では、地鉄となる鋼板とめっき層との界面に、脆性を有する合金層が形成される。この合金層は、具体的には、FeAl3、Fe2Al8Si、FeAl5Si等の組成を有し、ビッカース硬度で概ね800Hv以上と非常に硬質なものである。したがって、硬質で脆性を有する合金層が鋼板とめっき層との界面に形成されると、溶融Al系めっき鋼板のプレス加工時に合金層が破壊されることにより、めっき層の剥離が生じる懸念があった。
このようなめっき層の剥離を防止するため、溶融Al系めっき鋼板のプレス加工は、一般に、熱間プレス(ホットプレス、ホットスタンプ、ダイクエンチ、プレスクエンチ等とも呼称される。)により行われている。この熱間プレスは、鋼板を800℃以上のオーステナイト域で加熱した後に熱間で成形することにより成形性を向上させ、成形後の冷却により焼きを入れて所望の材質を得る技術である。
また、上記プレス加工時におけるめっき層の剥離を防止する技術として、溶融Alめっきの前に他の金属を用いて鋼板にプレめっきを施す技術が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。この技術によれば、不めっき部分がなく、めっき密着性に優れる、とされている。
しかしながら、上記特許文献2の技術は、めっき性およびめっき密着性を向上させるための技術であって、めっき後のプレス加工時における溶融Al系めっき鋼板の加工性を向上させることはできなかった。したがって、上記特許文献2の技術を採用したとしても、溶融Al系めっき鋼板のプレス加工の際に、依然として、熱間プレスを用いる必要があった。
熱間プレスは、超高強度の部材を成形する方法としては有望であるが、通常は、大気中で鋼板を加熱する工程を有しており、この際、鋼板表面に酸化スケールが生成するため、スケールを除去するショットブラストや酸洗等のスケール除去工程が必要であった。このようなスケール除去工程は、スケールの除去能や環境負荷等の観点から、別途対応策を講じる必要があった。そのため、熱間プレスを用いずに常温でプレス加工しても、めっき層の剥離が生じない溶融Al系めっき鋼板が希求されていた。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、常温でプレス加工してもめっき層の剥離が生じない、従来よりも加工性及び耐食性に優れる溶融Al系めっき鋼板とその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、鋼板に所定の金属をプレめっきした後にAlめっきし、所定条件で加熱合金化させることで、鋼板とめっき層との界面に形成される合金層の組成を制御することにより、比較的軟質な合金層を形成することができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のある観点によれば、鋼板表面に、ビッカース硬度が400Hv以上600Hv以下のAl系金属間化合物を含有する金属被覆層を有し、前記金属被覆層は、前記Al系金属間化合物を50質量%以上含有する合金層を少なくとも有し、前記合金層の厚みが、8μm超30μm以下である、溶融Al系めっき鋼板が提供される。
前記溶融Al系めっき鋼板において、前記Al系金属間化合物としては、Al7Cu2Feが挙げられる。
前記溶融Al系めっき鋼板において、前記金属被覆層が、Alめっき層と、前記鋼板と前記Alめっき層との間に位置する前記合金層とからなり、前記Alめっき層の厚みが、5μm未満であってもよい。
前記溶融Al系めっき鋼板において、前記金属被覆層が、前記合金層のみからなっていてもよい。
前記溶融Al系めっき鋼板において、前記金属被覆層が、Alめっき層と、前記鋼板と前記Alめっき層との間に位置する前記合金層とからなり、前記Alめっき層の厚みが、5μm以上であってもよい。
前記溶融Al系めっき鋼板において、前記鋼板の厚みが、200μm以上800μm以下であってもよい。
また、本発明の別の観点によれば、鋼板表面に、厚みが4μm超15μm以下のプレめっきを施すプレめっき工程と、前記プレめっきが施された前記鋼板の表面に、Alめっきを施すAlめっき工程と、前記プレめっき及び前記Alめっきが施された前記鋼板を、400℃以上660℃以下の温度で15秒以上60分以下加熱し、ビッカース硬度が400Hv以上600Hv以下のAl系金属間化合物を50質量%以上含有する合金層を形成する合金化工程と、を含む、溶融Al系めっき鋼板の製造方法が提供される。
前記溶融Al系めっき鋼板の製造方法において、前記プレめっきに用いる金属が、Cuであり、前記Al系金属間化合物が、Al7Cu2Feであることが好ましい。
本発明によれば、溶融Al系めっき鋼板とその製造方法において、鋼板とめっき層との界面にビッカース硬度が400Hv以上600Hv以下の軟質な合金層を所定の厚みで設けることにより、常温でプレス加工しても、合金層の破壊が生じず、めっき層の剥離を防止することができる。したがって、本発明によれば、従来は困難であった溶融Al系めっき鋼板の常温でのプレス加工が可能な、従来よりも加工性及び耐食性に優れる溶融Al系めっき鋼板を得ることができる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[溶融Al系めっき鋼板の構成]
まず、本発明の好適な実施形態に係る溶融Al系めっき鋼板の構成について詳細に説明する。
まず、本発明の好適な実施形態に係る溶融Al系めっき鋼板の構成について詳細に説明する。
本実施形態に係る溶融Al系めっき鋼板は、鋼板の表面にAl系金属間化合物を含有する金属被覆層を有する。
(鋼板)
鋼板は、溶融Al系めっき鋼板の地鉄となる鋼材である。鋼板の種類としては、特に限定されるものではなく、例えば、炭素鋼、ステンレス等の鉄基合金等が挙げられる。これらの鋼板の中でも、本実施形態への適用において最も好適なものは、JIS G3141に規定されるところのSPCC、SPCD、SPCEなどの加工に適した冷延鋼板である。
鋼板は、溶融Al系めっき鋼板の地鉄となる鋼材である。鋼板の種類としては、特に限定されるものではなく、例えば、炭素鋼、ステンレス等の鉄基合金等が挙げられる。これらの鋼板の中でも、本実施形態への適用において最も好適なものは、JIS G3141に規定されるところのSPCC、SPCD、SPCEなどの加工に適した冷延鋼板である。
また、鋼板の厚みも特に限定されるものではないが、概ね、200μm以上800μm以下とすることができる。鋼板の厚みが厚くなれば溶融Al系めっき鋼板の強度が高くなり、鋼板の厚みが薄くなれば溶融Al系めっき鋼板の加工性が高くなるので、鋼板の厚みは、用途に応じて必要とされる強度や加工性のバランスを考慮して決めればよい。
(金属被覆層)
金属被覆層は、鋼板の表面に形成され、ビッカース硬度が400Hv以上600Hv以下のAl系金属間化合物を含有する層である。また、金属被覆層は、詳しくは後述するように、Alめっき層と、Al系金属間化合物を主成分とする合金層の2つの層からなるか、あるいは、合金層のみからなっていてもよい。
金属被覆層は、鋼板の表面に形成され、ビッカース硬度が400Hv以上600Hv以下のAl系金属間化合物を含有する層である。また、金属被覆層は、詳しくは後述するように、Alめっき層と、Al系金属間化合物を主成分とする合金層の2つの層からなるか、あるいは、合金層のみからなっていてもよい。
<Alめっき層>
Alめっき層は、溶融Al系めっき鋼板の表層に位置するめっき層であり、溶融Al系めっき鋼板に主に耐食性を付与する役割を有する。Alめっき層には、めっき金属として、純Alを勿論使用可能であるが、好ましくは、1〜15質量%程度のSi及び/又は1〜40質量%程度のCuを含有させることで、めっき浴の融点が低下し、めっき工程が簡便となる。より好ましくは、Al−4.7質量%Si−27.1質量%Cu、又はAl−質量32%Cuという組成、あるいは、これらの組成から±5質量%以内の組成とすると、めっき浴の融点がより低下するので、めっき工程がさらに簡便となる。ただし、SiやCuといった成分の含有量が1質量%未満であると、融点の低下効果は得られず、一方、15質量%を超えるSiや40質量%を超えるCuを含有させると、めっき浴の融点が逆に上昇してしまい、不めっき部分が生じるおそれがあるため、好ましくない。
Alめっき層は、溶融Al系めっき鋼板の表層に位置するめっき層であり、溶融Al系めっき鋼板に主に耐食性を付与する役割を有する。Alめっき層には、めっき金属として、純Alを勿論使用可能であるが、好ましくは、1〜15質量%程度のSi及び/又は1〜40質量%程度のCuを含有させることで、めっき浴の融点が低下し、めっき工程が簡便となる。より好ましくは、Al−4.7質量%Si−27.1質量%Cu、又はAl−質量32%Cuという組成、あるいは、これらの組成から±5質量%以内の組成とすると、めっき浴の融点がより低下するので、めっき工程がさらに簡便となる。ただし、SiやCuといった成分の含有量が1質量%未満であると、融点の低下効果は得られず、一方、15質量%を超えるSiや40質量%を超えるCuを含有させると、めっき浴の融点が逆に上昇してしまい、不めっき部分が生じるおそれがあるため、好ましくない。
<合金層>
合金層は、比較的軟質のAl系金属間化合物を主成分とする層であり、上述したAlめっき層と鋼板との間に位置する層である。この合金層は、溶融Al系めっき鋼板のプレス加工時におけるAlめっき層の剥離を防止する役割を有する。
合金層は、比較的軟質のAl系金属間化合物を主成分とする層であり、上述したAlめっき層と鋼板との間に位置する層である。この合金層は、溶融Al系めっき鋼板のプレス加工時におけるAlめっき層の剥離を防止する役割を有する。
合金層に含有されるAl系金属間化合物は、ビッカース硬度が400Hv以上600Hv以下のAlxMyFez(MはAl、Fe以外の金属、x、y及びzは自然数)で表される金属間化合物である。このように、合金層を構成するAl系金属間化合物は、従来の溶融Al系めっき鋼板の鋼板とめっき層との界面に形成されるFeAl3、Fe2Al8Si、FeAl5Si等の合金層よりも遥かに軟質であり、また、脆性も有しない。したがって、合金層がAlめっき層と鋼板との間に存在することにより、溶融Al系めっき鋼板のプレス加工時におけるAlめっき層の剥離を防止することができる。特に、本実施形態に係る溶融Al系めっき鋼板によれば、熱間プレスによらずに常温でプレス加工を行ったとしても、合金層が軟質であるため、Alめっき層の剥離を防止することができる。
なお、Al系金属間化合物のビッカース硬度は、JIS Z 2244の「ビッカース硬さ試験−試験方法」に準じて測定することができる。
以上のような軟質の合金層を構成するAl系金属間化合物としては、例えば、Al7Cu2Feが挙げられる。
Al7Cu2Fe等のAl系金属間化合物は、鋼板にCu等の所定の金属をプレめっきした後に、Alめっきをし、さらに所定条件で加熱合金化させることで形成される。すなわち、鋼板からFeがAlめっき層に拡散し、プレめっき層からCu等の所定の金属がAlめっき層に拡散することで、鋼板由来のFeと、プレめっき層由来のCu等の金属と、Alめっき層中のAlとが合金化することで、AlxMyFez(例えば、Al7Cu2Fe)金属間化合物が形成される。
合金層は、上述したAl系金属間化合物を主成分とする層であるが、具体的には、Al系金属間化合物を50質量%以上含有する。Al系金属間化合物を50質量%以上含有する合金層が、後述するように8μm超30μm以下存在することにより、合金層の加工追随性が向上し、従来のFeAl3、Fe2Al8Si、FeAl5Si等の合金層よりも破壊されにくくなるため、溶融Al系めっき鋼板のプレス加工時におけるAlめっき層や合金層自体の剥離を防止することができる。ここで、溶融Al系めっき鋼板のプレス加工が熱間プレスである場合は勿論のこと、常温でプレス加工した場合にも、Alめっき層や合金層自体の剥離を防止することができる。
Alめっき層や合金層の剥離をより確実に防止するという観点から、合金層中のAl系金属間化合物の含有量は、80質量%以上であることが好ましく、100質量%であることがより最も好ましい。言い換えると、Al系金属間化合物を80質量%以上含有する層が8μm超30μm以下存在することが好ましく、Al系金属間化合物を100質量%含有する層が8μm超30μm以下存在することが最も好ましい。
また、合金層の厚みは、上述したように、8μm超30μm以下である。合金層の厚みが8μm以下では、溶融Al系めっき鋼板のプレス加工時におけるAlめっき層の剥離防止効果が十分に得られない。特に、溶融Al系めっき鋼板を常温でプレス加工した場合には、Alめっき層の剥離がさらに起こりやすくなる。一方、合金層の厚みが30μmを超えると、合金層の加工追随性が低下するため、Alめっき層の剥離が起こりやすくなる。
なお、金属被覆層全体の厚みとしても、金属被覆層の加工追随性を考慮し、30μm以下とすることが好ましい。一方、金属被覆層の厚みの下限は、耐食性を確保する観点から、1μm以上であることが好ましい。
<Alめっき層と合金層とのバランスについて>
金属被覆層は、基本的には、Alめっき層と合金層の2層からなるが、合金層は、鋼板中のFeと鋼板上にプレめっきされた金属がAlめっき層中のAlと加熱合金化することにより形成される。したがって、加熱温度や加熱時間等の加熱合金化の条件を制御することにより、Alめっき層と合金層の厚みを制御することができる。具体的には、Alめっき層の合金化が進行するほど、合金層の厚みが厚くなり、Alめっき層の厚みが薄くなる。そして、これら2層の厚みについては、Alめっき層の役割である耐食性と、合金層の役割である加工時のめっき剥離防止性とのバランスを考慮し、溶融Al系めっき鋼板の所望の用途で必要とされる特性に応じて決めればよい。
金属被覆層は、基本的には、Alめっき層と合金層の2層からなるが、合金層は、鋼板中のFeと鋼板上にプレめっきされた金属がAlめっき層中のAlと加熱合金化することにより形成される。したがって、加熱温度や加熱時間等の加熱合金化の条件を制御することにより、Alめっき層と合金層の厚みを制御することができる。具体的には、Alめっき層の合金化が進行するほど、合金層の厚みが厚くなり、Alめっき層の厚みが薄くなる。そして、これら2層の厚みについては、Alめっき層の役割である耐食性と、合金層の役割である加工時のめっき剥離防止性とのバランスを考慮し、溶融Al系めっき鋼板の所望の用途で必要とされる特性に応じて決めればよい。
具体的には、本実施形態に係る溶融Al系めっき鋼板の用途において、高い耐食性が要求される場合には、Alめっき層の厚みを少なくとも5μm以上とすることが好ましい。ただし、この場合には、繰り返し曲げや180度密着曲げ等の高い加工性が要求される場合には、Alめっき層と合金層との界面で剥離が生じるリスクが高まる。
一方、本実施形態に係る溶融Al系めっき鋼板の用途において、それほど高い耐食性が要求されない場合には、Alめっき層の厚みを5μm未満とすることが好ましい。これにより、繰り返し曲げや180度密着曲げ等の高い加工性が要求される場合であっても、Alめっき層と合金層との界面で剥離が生じるリスクを低減することができる。特に、高い加工性が要求される場合にAlめっき層と合金層との界面で剥離が生じるリスクを低減するという観点からは、Alめっき層の厚みをゼロとすること、すなわち、Alめっき層を完全に合金化して金属被覆層が合金層のみからなるようにすることが最も好ましい。
(プレめっき層)
合金層を形成するためには、上述したように、Cu等の金属によるプレめっきが鋼板に施されるが、このプレめっきに使用したCu等のプレめっき層を2μm以上10μm以下の厚みで残存させると、鋼板と合金層との間の密着性が向上するため、プレス成形や深絞り等の過酷な加工を行っても、合金層の剥離が生じにくくなるため好ましい。プレめっき層の厚みが2μm未満であると、鋼板と合金層との間の密着性の向上という効果が十分に得られず、一方、10μmを超えると、プレめっき層の分だけコストが高くなるため、好ましくない。
合金層を形成するためには、上述したように、Cu等の金属によるプレめっきが鋼板に施されるが、このプレめっきに使用したCu等のプレめっき層を2μm以上10μm以下の厚みで残存させると、鋼板と合金層との間の密着性が向上するため、プレス成形や深絞り等の過酷な加工を行っても、合金層の剥離が生じにくくなるため好ましい。プレめっき層の厚みが2μm未満であると、鋼板と合金層との間の密着性の向上という効果が十分に得られず、一方、10μmを超えると、プレめっき層の分だけコストが高くなるため、好ましくない。
なお、鋼板と合金層との間のCu等のプレめっき層の存在は、上述した合金層自体の奏する効果を妨げるものではない。
(金属被覆層中の各層の組成の確認方法及び厚みの測定方法)
上述した金属被覆層中の各層の組成の確認方法及び厚みの測定方法は、金属被覆層の表面からスパッタ法により深さ方向に掘り下げながら分析する手法や、金属被覆層の断面での線分析又は点分析する手法が有効である。前者の掘り下げながら測定する手法では、測定深さが大きくなると測定時間が掛かり過ぎるが、後者の線分析又は点分析は、断面全体での濃度分布や数箇所での再現性の確認等が比較的容易である点が利点である。金属被覆層の断面では線分析が比較的簡便であるが、分析の精度を向上させたい場合には、線分析での分析間隔を狭くしたり、特に詳細に分析したい領域を拡大した上で点分析を行うことも有効である。ここで、各層の厚みは、標準試料(即ち濃度100質量%)の値をあらかじめ測定しておき、その50質量%以上となる部分の距離(深さ)である。これらの分析に用いる分析装置としては、EPMA(電子線マイクロ分析、Electron Probe Micro Analysis)、EDX(エネルギー分散型X線分析、Energy Dispersive X−Ray Analysis)、AES(オージェ電子分光法、Auger Electron Spectroscopy)、TEM(透過型電子顕微鏡、Transmission Electron Microscope)等が利用できる。なお、上記いずれか1つの方法で得られる組成や厚みが本発明の範囲内であれば、本発明の作用効果が得られるものである。
上述した金属被覆層中の各層の組成の確認方法及び厚みの測定方法は、金属被覆層の表面からスパッタ法により深さ方向に掘り下げながら分析する手法や、金属被覆層の断面での線分析又は点分析する手法が有効である。前者の掘り下げながら測定する手法では、測定深さが大きくなると測定時間が掛かり過ぎるが、後者の線分析又は点分析は、断面全体での濃度分布や数箇所での再現性の確認等が比較的容易である点が利点である。金属被覆層の断面では線分析が比較的簡便であるが、分析の精度を向上させたい場合には、線分析での分析間隔を狭くしたり、特に詳細に分析したい領域を拡大した上で点分析を行うことも有効である。ここで、各層の厚みは、標準試料(即ち濃度100質量%)の値をあらかじめ測定しておき、その50質量%以上となる部分の距離(深さ)である。これらの分析に用いる分析装置としては、EPMA(電子線マイクロ分析、Electron Probe Micro Analysis)、EDX(エネルギー分散型X線分析、Energy Dispersive X−Ray Analysis)、AES(オージェ電子分光法、Auger Electron Spectroscopy)、TEM(透過型電子顕微鏡、Transmission Electron Microscope)等が利用できる。なお、上記いずれか1つの方法で得られる組成や厚みが本発明の範囲内であれば、本発明の作用効果が得られるものである。
[溶融Al系めっき鋼板の製造方法]
以上、本実施形態に係る溶融Al系めっき鋼板の構成について詳細に説明したが、続いて、上述した構成を有する溶融Al系めっき鋼板の製造方法について説明する。本実施形態に係る溶融Al系めっき鋼板の製造方法は、主に、プレめっき工程と、Alめっき工程と、合金化工程の3つの工程を含むものである。また、本実施形態に係る溶融Al系めっき鋼板の製造方法では、必要に応じて、圧延工程が含まれていてもよい。以下、各工程について詳細に説明する。
以上、本実施形態に係る溶融Al系めっき鋼板の構成について詳細に説明したが、続いて、上述した構成を有する溶融Al系めっき鋼板の製造方法について説明する。本実施形態に係る溶融Al系めっき鋼板の製造方法は、主に、プレめっき工程と、Alめっき工程と、合金化工程の3つの工程を含むものである。また、本実施形態に係る溶融Al系めっき鋼板の製造方法では、必要に応じて、圧延工程が含まれていてもよい。以下、各工程について詳細に説明する。
(プレめっき工程)
プレめっき工程は、鋼板にAlめっきを施す前に、Cu等の金属によるめっき層(プレめっき層)を形成する工程である。プレめっき層の初期厚みが4μm超15μm以下となるように、プレめっき層のめっき付着量を調整する。プレめっき層の初期厚みを4μm超15μm以下とすることにより、後述する合金化工程において、合金層の厚みを8μm超30μm以下とすることができる。
プレめっき工程は、鋼板にAlめっきを施す前に、Cu等の金属によるめっき層(プレめっき層)を形成する工程である。プレめっき層の初期厚みが4μm超15μm以下となるように、プレめっき層のめっき付着量を調整する。プレめっき層の初期厚みを4μm超15μm以下とすることにより、後述する合金化工程において、合金層の厚みを8μm超30μm以下とすることができる。
ここで、上述したように、鋼板と合金層との間にプレめっき層を残留させる場合には、残留させるプレめっき層の厚み分だけ初期厚みが厚くなるように、プレめっき層を形成すればよい。例えば、15μmの合金層と鋼板の間に5μmのプレめっき層を残留させるためには、プレめっき層の初期厚みを15+5=20μmとすればよい。
また、プレめっきの方法としては、プレめっき層の組成となるように調製しためっき浴中に鋼板を浸漬させて電解めっき法や無電解めっき法を用いることが、緻密で均質なめっき層を比較的安価に形成できるため、好ましい。
なお、特許文献2にも、溶融Alめっきの前に他の金属を用いて鋼板にプレめっきを施すことが記載されているが、これは、鋼板とAlめっき層との間の密着性やめっき性を改善することを目的としており、本発明のように、合金層の組成を制御することにより、合金層の破壊やAlめっき層の剥離を防止して、溶融Al系めっき鋼板の加工性を向上させることを目的としているのではない。したがって、後述するような加熱合金化の際の条件が異なり、そのために、合金層の組成も本発明と特許文献2の技術とでは全く異なるものと考えられる。
(Alめっき工程)
Alめっき工程は、上記プレめっき工程でCu等の金属によりプレめっきが施された鋼板の表面、すなわち、プレめっき層の表面に、Alめっき層を形成する工程である。Alめっき層の初期厚みが8μm超30μm以下となるように、Alめっき層のめっき付着量を調整する。Alめっき層の初期厚みを8μm超30μm以下とすることにより、後述する合金化工程において、合金層の厚みを8μm超30μm以下とすることができる。
Alめっき工程は、上記プレめっき工程でCu等の金属によりプレめっきが施された鋼板の表面、すなわち、プレめっき層の表面に、Alめっき層を形成する工程である。Alめっき層の初期厚みが8μm超30μm以下となるように、Alめっき層のめっき付着量を調整する。Alめっき層の初期厚みを8μm超30μm以下とすることにより、後述する合金化工程において、合金層の厚みを8μm超30μm以下とすることができる。
ここで、Alめっきの方法としては、上述したAlめっき層の組成となるように調製しためっき浴中に鋼板を浸漬させて電解めっき法や無電解めっき法を用いることが、緻密で均質なめっき層を比較的安価に形成できるため、好ましい。
(合金化工程)
合金化工程は、上記各工程でプレめっき及びAlめっきが施された鋼板を加熱することにより、Alめっき層と、鋼板(またはプレめっき層)との間に、上述したビッカース硬度が400Hv以上600Hv以下のAl系金属間化合物を50質量%以上含有する合金層を形成する工程である。このときの加熱条件としては、加熱温度が400℃以上660℃以下であり、加熱時間が15秒以上60分以下である。加熱条件を上記のようにすることにより、ビッカース硬度が400Hv以上600Hv以下のAl系金属間化合物を50質量%以上含有する合金層の厚みを8μm超30μm以下とすることができる。
合金化工程は、上記各工程でプレめっき及びAlめっきが施された鋼板を加熱することにより、Alめっき層と、鋼板(またはプレめっき層)との間に、上述したビッカース硬度が400Hv以上600Hv以下のAl系金属間化合物を50質量%以上含有する合金層を形成する工程である。このときの加熱条件としては、加熱温度が400℃以上660℃以下であり、加熱時間が15秒以上60分以下である。加熱条件を上記のようにすることにより、ビッカース硬度が400Hv以上600Hv以下のAl系金属間化合物を50質量%以上含有する合金層の厚みを8μm超30μm以下とすることができる。
ここで、加熱温度を高温(例えば、600℃程度)にした場合には、15秒〜3分程度の短時間の加熱合金化で、8μm超30μm以下の厚みを有する上記組成の合金層を形成することができる。この高温での加熱合金化は、高速プロセスに向いているが、加熱時間の精密な制御が必要となる。具体的には、加熱時間が短いと、異なる脆性を有する合金層が生じる危険性が高まる一方で、加熱時間が長いと、合金層が不均質に成長し、局所的に合金層の厚みムラが生じる危険性がある。
また、加熱温度を低温(例えば、400℃程度)にした場合には、8μm超30μm以下の厚みを有する上記組成の合金層を形成するために、30分〜60分という長い加熱時間が必要となる。したがって、高速プロセスには向かないが、合金層の均質化や加熱時間の制御が簡単になる、というメリットがある。
(圧延工程)
本実施形態に係るAl系めっき鋼板の製造方法には、必要に応じて、圧延工程が含まれていてもよい。例えば、本実施形態に係るAl系めっき鋼板の製造方法は、プレめっき工程前に、鋼板を所望の厚み(例えば、200μm以上800μm以下)とするための圧延工程が含まれていてもよい。また、プレめっき工程とAlめっき工程の間に、圧延工程が含まれていてもよい。
本実施形態に係るAl系めっき鋼板の製造方法には、必要に応じて、圧延工程が含まれていてもよい。例えば、本実施形態に係るAl系めっき鋼板の製造方法は、プレめっき工程前に、鋼板を所望の厚み(例えば、200μm以上800μm以下)とするための圧延工程が含まれていてもよい。また、プレめっき工程とAlめっき工程の間に、圧延工程が含まれていてもよい。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例にのみ限定されるものではない。
(溶融Al系めっき鋼板サンプルの作製)
試験片は、板厚0.27mmの極低炭素鋼(SPCC)から成る地鉄上に純Cuプレめっき層を電解めっき(めっき浴としては硫酸銅浴を用いた)で施した板を、660℃に保持された表1〜2記載のAl系金属中に20秒間浸漬することで成膜した後、系全体を加熱することで合金層を成長させて作製した。試験片表面の金属被覆層の各層の厚みは、表1〜2記載の厚みになる様、あらかじめ計算して決定した。
試験片は、板厚0.27mmの極低炭素鋼(SPCC)から成る地鉄上に純Cuプレめっき層を電解めっき(めっき浴としては硫酸銅浴を用いた)で施した板を、660℃に保持された表1〜2記載のAl系金属中に20秒間浸漬することで成膜した後、系全体を加熱することで合金層を成長させて作製した。試験片表面の金属被覆層の各層の厚みは、表1〜2記載の厚みになる様、あらかじめ計算して決定した。
各層の組成の同定は、エネルギー分散型X線分析法で実施した。また、各層の厚みは、試験片を断面研磨して走査型電子顕微鏡で観察することで測定し、合金層の硬度の測定は、試験片の断面部をビッカース硬度計で測定することで得た。これらの値は表1〜2にそれぞれ示した。
(サンプルの評価方法)
ピール試験は、金属被覆層の表面に市販の粘着テープを付着させ、それを4kgの力で上から押しつけながらテープ状を4往復こすって強固に接着させた後にテープを試験片からひきはがし、テープを顕微鏡で観察した際に金属被覆層表面の金属がテープ上に残存していれば劣悪であるとして×印で、前記金属がテープ上に残存していなければ良好であるとして○印で表1〜2に示した。更に、同様の試験を5回繰り返し、一度も前記金属がテープ上に残存していなければ極めて良好であるとして◎印で表1〜2に示した。更に過酷なピール試験としては、金属被覆層の密着性をあえて低下させるために試験片を15回折り曲げてから上記の試験を行い、その際、前記金属がテープ上に残存していれば劣るものとして△印で、残存していなければ良好であるとして○印で、更に、同様の試験を5回繰り返し、一度も前記金属がテープ上に残存していなければ極めて良好であるとして◎印で、同様の試験を10回繰り返し、一度も前記金属がテープ上に残存していなければもっとも良好であるとして◎◎印で表1〜2に示した。
ピール試験は、金属被覆層の表面に市販の粘着テープを付着させ、それを4kgの力で上から押しつけながらテープ状を4往復こすって強固に接着させた後にテープを試験片からひきはがし、テープを顕微鏡で観察した際に金属被覆層表面の金属がテープ上に残存していれば劣悪であるとして×印で、前記金属がテープ上に残存していなければ良好であるとして○印で表1〜2に示した。更に、同様の試験を5回繰り返し、一度も前記金属がテープ上に残存していなければ極めて良好であるとして◎印で表1〜2に示した。更に過酷なピール試験としては、金属被覆層の密着性をあえて低下させるために試験片を15回折り曲げてから上記の試験を行い、その際、前記金属がテープ上に残存していれば劣るものとして△印で、残存していなければ良好であるとして○印で、更に、同様の試験を5回繰り返し、一度も前記金属がテープ上に残存していなければ極めて良好であるとして◎印で、同様の試験を10回繰り返し、一度も前記金属がテープ上に残存していなければもっとも良好であるとして◎◎印で表1〜2に示した。
耐食性は塩水噴霧試験(SST)によって評価し、35℃に保持された5%NaCl水を噴霧し、350時間経過しても金属被覆層表面が腐食していないことが目視で確認できれば良好であるとして○印で表1〜3に示した。逆に腐食が見られれば、劣悪であるとして×印で、450時間経過しても金属被覆層表面が腐食していなければ更に良好として◎印で、それぞれ表1〜2に示した。
更に過酷な耐食性試験として、150mm×70mmに切り出した各試験片に、60℃に保持された15%NaCl水を噴霧し、300時間経過しても金属被覆層表面が腐食していないことが目視で確認できれば良好であるとして○印で、400時間経過しても金属被覆層表面が腐食していなければ更に良好として◎印で、500時間経過しても金属被覆層表面が腐食していなければ極めて良好として◎◎印で、600時間経過しても金属被覆層表面が腐食していなければ最も良好として◎◎◎印で、それぞれ表1〜2に示した。
繰り返し曲げ疲労試験は、50mm×10mmに切り出した各試験片をL字型(90℃)に繰り返して折り曲げてから光学顕微鏡で金属被覆層の表面を観察し、50回繰り返しても金属被覆層表面に亀裂が生じていなければ良好として○印で、70回繰り返しても金属被覆層表面に亀裂が生じていなければ極めて良好として◎印で、逆に50回繰り返した際に金属被覆層表面に亀裂が生じていれば劣悪として×印で表1〜2に示した。
(サンプルの評価結果)
上記表1に示すように、本発明の実施例1〜9は、ピール試験、耐食試験、繰り返し曲げ疲労特性試験のいずれについても優れた性能を有していた。この結果から、本発明に係る溶融Al系めっき鋼板によれば、従来よりも耐食性および加工性に優れ、常温でプレス加工等を行ってもめっき層の剥離が生じないことが示唆された。このとき、合金層の厚みが、本発明範囲の下限に近いほど加工性やめっき密着性に優れ、本発明範囲の上限に近いほど耐食性に優れることもわかった。
上記表1に示すように、本発明の実施例1〜9は、ピール試験、耐食試験、繰り返し曲げ疲労特性試験のいずれについても優れた性能を有していた。この結果から、本発明に係る溶融Al系めっき鋼板によれば、従来よりも耐食性および加工性に優れ、常温でプレス加工等を行ってもめっき層の剥離が生じないことが示唆された。このとき、合金層の厚みが、本発明範囲の下限に近いほど加工性やめっき密着性に優れ、本発明範囲の上限に近いほど耐食性に優れることもわかった。
一方、合金層が形成されていない比較例1では、ピール試験、耐食試験、繰り返し曲げ疲労特性試験のいずれの評価も劣悪であり、加工性、めっき密着性、耐食性に劣っていた。また、合金層の厚みが本発明範囲を超える比較例2では、ピール試験、繰り返し曲げ疲労特性試験の評価が劣悪であり、加工性、めっき密着性に劣っていた。
また、表2に示すように、プレめっき層を残存させた場合には、実施例1と実施例10〜12との比較、実施例2と実施例13〜15との比較、実施例3と実施例16〜18との比較からわかるように、ピール試験の評価が向上することがわかった。この結果から、プレめっき層を残存させることにより、過酷な加工を行っても、めっき層を抑制することができることが示唆された。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
Claims (8)
- 鋼板表面に、ビッカース硬度が400Hv以上600Hv以下のAl系金属間化合物を含有する金属被覆層を有し、
前記金属被覆層は、前記Al系金属間化合物を50質量%以上含有する合金層を少なくとも有し、
前記合金層の厚みが、8μm超30μm以下であることを特徴とする、溶融Al系めっき鋼板。 - 前記Al系金属間化合物が、Al7Cu2Feであることを特徴とする、請求項1に記載の溶融Al系めっき鋼板。
- 前記金属被覆層が、Alめっき層と、前記鋼板と前記Alめっき層との間に位置する前記合金層とからなり、
前記Alめっき層の厚みが、5μm未満であることを特徴とする、請求項1または2に記載の溶融Al系めっき鋼板。 - 前記金属被覆層が、前記合金層のみからなることを特徴とする、請求項1または2に記載の溶融Al系めっき鋼板。
- 前記金属被覆層が、Alめっき層と、前記鋼板と前記Alめっき層との間に位置する前記合金層とからなり、
前記Alめっき層の厚みが、5μm以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の溶融Al系めっき鋼板。 - 前記鋼板の厚みが、200μm以上800μm以下であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の溶融Al系めっき鋼板。
- 鋼板表面に、厚みが4μm超15μm以下のプレめっきを施すプレめっき工程と、
前記プレめっきが施された前記鋼板の表面に、Alめっきを施すAlめっき工程と、
前記プレめっき及び前記Alめっきが施された前記鋼板を、400℃以上660℃以下の温度で15秒以上60分以下加熱し、ビッカース硬度が400Hv以上600Hv以下のAl系金属間化合物を50質量%以上含有する合金層を形成する合金化工程と、
を含むことを特徴とする、溶融Al系めっき鋼板の製造方法。 - 前記プレめっきに用いる金属が、Cuであり、
前記Al系金属間化合物が、Al7Cu2Feであることを特徴とする、請求項7に記載の溶融Al系めっき鋼板の製造方法。
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