JP7246644B2 - 肺炎球菌表面プロテインaの選択されたアルファヘリカルドメインおよびプロリンリッチドメインを組み合わせた肺炎球菌ワクチン - Google Patents

肺炎球菌表面プロテインaの選択されたアルファヘリカルドメインおよびプロリンリッチドメインを組み合わせた肺炎球菌ワクチン Download PDF

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Description

関連出願
本出願は、2016年12月3日付けで出願された米国仮特許出願第62/429,782号の優先権の利益を主張し、該仮特許出願はあらゆる目的のために本出願中に包含されている。
政府のライセンスの権利
本発明は、NIH/NIAIDによって付与された認可番号R01AI118805号および2R56AI021548号に基づく政府支援を受けてなされた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで同時に提出された配列表を含有し、その全体が本明細書の一部として組み入れられる。
分野
本発明の実施形態は、組換え肺炎球菌タンパク質、それを発現する組換え遺伝学的コンストラクト、ならびにそのタンパク質を含む抗原、免疫原、およびワクチンに関する。
Streptococcus pneumoniaeは、肺炎球菌としても公知であり、世界的に細菌性肺炎による死の主な原因である。これはまた、侵襲性肺炎球菌疾患(IPD)として分類される状態である髄膜炎および細菌性血液感染(敗血症)の主な原因でもある。その犠牲者は、主として若い子供と高齢成人である。米国では、ワクチンが広く普及している今日でさえ、年間約50,000ケースの肺炎球菌性菌血症および5000ケースの髄膜炎が生じている。これらの患者のうち25%を超える患者が死亡し、髄膜炎の生存者は通常、永久的に障害を有し、毎年120,000人を超える米国人が、敗血症が確認されていない肺炎球菌性肺炎のために入院する。加えて肺炎球菌は、小児の中耳炎の主な原因である。
現在承認済みのワクチンは、タンパク質担体にコンジュゲートした数種の肺炎球菌表面多糖類(莢膜抗原としても公知)(肺炎球菌コンジュゲートワクチン:PCV)またはコンジュゲートしていないもの(肺炎球菌多糖類ワクチン:PPSV)のいずれかを含む。80種を超える肺炎球菌の血清型があり、それぞれ莢膜抗原によって特徴付けられる。そのため現行のPVCは数種の血清型に対して有効であるにもかかわらず、莢膜抗原の大部分がワクチンに全く包含されていないため、それらは一般的に疾患に対する広範な防御を提供しない。数々の国からのデータから、PCV導入後、IPDの発生率はPCVより前の時代のレベルの10%未満に劇的に低下したが、近年、乳児では、IPD率がPCVより前の時代のレベルの半分を超えており、高齢成人では、PCVより前の時代のレベルより高いことが示される。この増加は、ほぼ完全にPCVが対応していない肺炎球菌の血清型が原因である。したがって、現在提供されているものより肺炎球菌疾患に対してよりカバー範囲が広いワクチンへの必要性が益々高まっている。最後に、PPSVについては、これらのワクチンは、子供では防御免疫応答を誘導せず、高齢成人では、このワクチンに包含される23種の莢膜抗原に対して弱から中程度の応答しか誘導しない。
本発明の実施形態は、交差反応性を最大化し、広範な肺炎球菌の血清型に対する防御を提供する新規のタンパク質免疫原を提供する。より具体的には、本明細書に記載される組換えコンストラクトは、S.pneumoniaeによって引き起こされる肺炎、髄膜炎、および敗血症などを含む肺炎球菌疾患に対する広範な免疫性を提供することができる肺炎球菌表面プロテインA(PspA)の、選択され、連結された部分を提供する。特に、これらの実施形態は、アルファヘリカルドメイン(aHD)、またはその部分、およびプロリンリッチドメイン(PRD)、またはその部分を含む新規の組換え抗原性および免疫原性タンパク質を提供し、各ドメインは異なる肺炎球菌株のPspAタンパク質由来であり;該組換えタンパク質は、本明細書ではaHD-PRDコンストラクトと称される。本発明の実施形態はまた、少なくとも1つのaHD-PRDコンストラクト、例えば1、2、3、または4つのaHD-PRDコンストラクトを含むワクチンも提供する。本ワクチンは、PRDポリペプチドに連結されていない組換えaHDタンパク質をさらに含んでいてもよい。1つより多くのaHD-PRDコンストラクトを含むワクチンにおいて、各コンストラクトのそれぞれのPRD部分は、1、2、または3つの異なるPRDグループから選択することができ、これらのグループは、これまでに特徴付けられていない。加えて、本発明の実施形態は、aHD-PRDコンストラクトを構成するアミノ酸をコードする核酸分子(例えば、DNA);このような核酸分子を含むベクター;このような核酸分子またはベクターを含む組換え宿主細胞;このような核酸分子の発現産物;組換え技術によりaHD-PRDコンストラクトを発現させるためのこのような核酸分子の使用;および好適な宿主における肺炎球菌疾患に対する免疫または防御応答を惹起させるための発現産物の使用を提供する。
本発明の実施形態の一態様は、抗原性aHDタンパク質および抗原性PRDポリペプチドの組合せからなる人工キメラタンパク質、すなわちaHD-PRDコンストラクトを提供する。言い換えれば、特定の実施形態は、肺炎球菌疾患に対する免疫応答を誘導することが可能なPspAのプロリンリッチドメインまたはその部分(PRD)と連結されたPspAのアルファヘリカルドメインまたはその部分(aHD)(すなわち、融合またはキメラタンパク質)(以下、aHD-PRDコンストラクト)を提供する。一部の実施形態において、aHDは、直接の末端と末端のペプチド結合でPRDに連結されており、すなわち、aHDのC末端は、ペプチド結合によってPRDのN末端に直接連結される。一部の実施形態において、aHDおよびPRDは、ペプチド「リンカー」を介して連結される。他の実施形態において、aHDおよびPRDは、化学成分を介して連結またはコンジュゲートされる。一部の実施形態において、免疫原性aHD-PRDコンストラクトまたはaHD-PRDコンストラクトの組合せは、ワクチンの構成要素として使用される場合、肺炎球菌疾患に対する防御免疫を提供する。他の実施形態において、aHD-PRDコンストラクトおよび非連結aHDの組合せは、ワクチンの構成要素として使用される場合、肺炎球菌疾患に対する防御免疫を提供する。
別の態様は、複数のaHD-PRDコンストラクト中に包含させるためのaHDおよびPRDを選択するためのプロセスであって、病原性の肺炎球菌に対する防御的な交差反応性の尤度を最大化する、選択プロセスを提供する。特に、3つの異なるPRDグループの1つを含むaHD-PRDコンストラクトは、これらのPRDをいずれかのグループに特徴付けるアミノ酸配列のパターンに基づき選択することができる。一実施形態において、プロセスは、(a)第1のaHD-PRDコンストラクト中への包含のために、肺炎球菌の血清型の第1のファミリー内の第1のクレードから第1のaHDを選択し、第1のaHD-PRDコンストラクト中への包含のために、PRD血清型の第1のグループから第1のPRDを選択すること;および(b)第2のaHD-PRDコンストラクト中への包含のために、肺炎球菌の血清型の第1または第2のファミリー内の第2のクレードから第2のaHDを選択し、第2のaHD-PRDコンストラクト中への包含のために、PRD血清型の第2のグループから第2のPRDを選択することを含む。このプロセスを繰り返して、複数のaHD-PRDコンストラクトを設計するためにaHDおよびPRDの追加の異なる対を選択することができる。
さらなる実施形態は、少なくとも1つのaHD-PRDコンストラクトを含む組成物を補充するために、少なくとも1つの追加のaHDを選択するためのプロセスを提供し、該プロセスにおいて、aHDは、PRDに連結されておらず、該非連結aHDは、肺炎球菌株のカバー範囲の拡張のために免疫原性の交差反応性を増加させるべく選択される。例えば、補充されたaHDは、aHD-PRDコンストラクトに提示されないクレードまたはファミリーから選択することができる。
具体的な実施形態は、複数のaHD-PRDコンストラクトを含む抗原性組成物、免疫原性組成物、またはワクチンであって、aHDおよびPRDは、本明細書に記載されるプロセスに従って選択される、抗原性組成物、免疫原性組成物、またはワクチンを提供する。さらなる具体的な実施形態は、3つのaHD-PRDコンストラクトを含む免疫原性組成物またはワクチンであって、aHDおよびPRDは、本明細書に記載されるプロセスに従って選択される、免疫原性組成物またはワクチンを提供する。
少なくとも1つの実施形態は、本明細書に記載されるタンパク質またはコンストラクトの少なくとも1つ、例えば、少なくとも1つのaHD-PRDコンストラクト、および少なくとも1つのアジュバントを含む免疫原性組成物またはワクチンを提供する。該ワクチンは、少なくとも1つの補充された非連結aHDをさらに含んでいてもよい。
本発明の実施形態の別の態様は、本明細書に記載されるワクチンのための製剤および送達プロセス、例えば、投与に好適な製剤およびこのようなワクチン製剤を投与する方法を提供する。一実施形態は、本明細書に記載される、すなわち筋肉内(IM)注射のために製剤化された少なくとも1つのaHD-PRDコンストラクトを含むワクチンを提供する。別の実施形態は、粘膜投与のために製剤化された本明細書に記載されるワクチンを提供し、具体的な実施形態は、鼻腔内(IN)、経口(例えば、舌下[SL])に、またはスプレーによって肺気管支に投与できる製剤を提供する。具体的な実施形態は、粘膜表面への投与のための、ナノゲル中に閉じ込められた少なくとも1つのaHD-PRDコンストラクトを含むワクチンを提供する。例えば、該ナノゲルは、カチオン性コレステリル基を有するプルラン(cCHP)を含んでいてもよい。
本発明の実施形態のさらなる態様は、他の抗原を含む、抗原性または免疫原性の組合せに関する。少なくとも1つの実施形態は、少なくとも1つのaHD-PRDコンストラクトおよび少なくとも1種の他の抗原を含むワクチンまたは免疫原性組成物であって、他の抗原は、S.pneumoniaに対する免疫応答を強化する、ワクチンまたは免疫原性組成物を提供する。具体的な実施形態は、少なくとも1つのaHD-PRDコンストラクトおよび少なくとも1つの他のS.pneumoniae抗原、例えばニューモリシンまたはノイラミニダーゼを含む、S.pneumoniaに対するワクチンを提供する。
本発明の実施形態の別の態様は、遺伝子改変された微生物などを含む遺伝子改変された細胞を使用してaHD-PRDコンストラクトを発現させるプロセスを提供する。したがって、一実施形態は、抗原性または免疫原性aHD-PRDコンストラクトをコードする組換え核酸(ポリヌクレオチド)(例えばDNA分子)を提供する。一実施形態は、本明細書に記載されるaHD-PRDコンストラクトをコードする単離された合成DNA分子または組換えDNA分子(cDNAおよび半合成cDNAなど)を提供する。
本明細書に記載される組換えaHD-PRDコンストラクトは、S.pneumoniaeによって引き起こされる肺炎、髄膜炎、および敗血症などの肺炎球菌疾患に対する広範な免疫性を提供することができるPspAの選択された部分を提供する。特に、これらの実施形態は、PspAのアルファヘリカルドメイン(aHD)およびプロリンリッチドメイン(PRD)を含む抗原および免疫原;aHD-PRDコンストラクトを構成するアミノ酸配列をコードする遺伝子または遺伝子の部分、組換え技術によりaHD-PRDコンストラクトを発現させるためのこれらの使用、およびそれらのワクチンにおける使用を提供する。本発明の実施形態はまた、これらのaHD-PRD免疫原性コンストラクトの1つまたは複数を含むワクチンにも関する。
PspAドメインの構造および肺炎球菌の細菌表面に対するPspAの図式化した関係を例示する図であり、aHD、PRD、およびコリン結合領域の位置および相対的なサイズ、ならびにS.pneumoniaeの表面構造に対するPspAの関係が示される。 136種の肺炎球菌株のPspAタンパク質のaHD中のクレード定義領域(clade defining region:CDR)のアミノ酸相同性に従って分析およびグループ分けした上記肺炎球菌株をマッピングしたツリー構造図の実施形態である。ファミリーのグループも示される。いずれか2つの株をつなぐ垂直線の長さの合計(またはいずれか2つのクレードの平均)がCDR配列に沿ったいずれかの位置におけるアミノ酸置換の尤度に比例する、すなわちCDR相同性における違いの程度に比例するように、ツリー図を構築した。基準バーの長さは、分析された136種のいずれかの間の垂直方向の同じ長さの距離に対してサイト当たり平均0.2個の単一の対のアミノ酸の置換に相当する。実施例2を参照されたい。矢印は、aHD-PRDコンストラクトの4つの実施例の実施形態で使用されたaHD/CDRペプチドの由来する株を示す。 図2Aの分解図であり、それらのPspAタンパク質におけるグループ1のPRDを有する株(薄灰色の書体(typeface))を示す(図3A~図3Dを参照)。 グループ2のPRDを有する株(黒色の書体)を示す図である。 グループ3のPRDを有する株(灰色の書体)を示す図である。 136種の肺炎球菌株(図2Aの場合と同じ株)のPspAタンパク質のPRD間のアミノ酸相同性に従ってグループ分けした肺炎球菌株の新規のツリー図の実施形態を示す図である。これは、本発明者らの知る限り、この様式でPRDを特徴付けて、3つのPRDグループを解明した初めてのことである。グループ1:太字のイタリックの書体;グループ2:太字の書体;グループ3:プレーンな書体;矢印は、示された通りaHD-PRDコンストラクトの4つの実施形態のPRD構成要素を提供した株を示す。 PRDグループ1のメンバーを示す図3Aの分解図である。 PRDグループ2のメンバーを示す図である。 PRDグループ3のメンバーを示す図である。図3Aにおける書体は、どのようにPRD間の多様性を分類できるかを明示し、この情報は、各グループを網羅し、少なくともそのグループ間の交差反応性を提供するワクチンの構成要素を設計するのに使用することができる。各PRDグループ中の多数の反復モチーフに加えてPRD長さのバリエーションのために、株/グループをつなぐ垂直線の合計の長さは、図2におけるCDRで可能であったように、種/グループ間の部位特異的な単一の対のアミノ酸置換の尤度を確実には推測しない。 組換えaHD-PRD融合タンパク質の実施例の実施形態を生産するように遺伝子操作された宿主細菌からの3つの発現産物の高純度分析((LDS-PAGE)を例示する図である。レーンM:タンパク質標準;レーン1:1μg/レーン;レーン2:5μg/レーン;レーン3:10μg/レーン。 コンストラクト1つ当たりの抗原特異的な血清の濃度によって特徴付けられた交差反応性を示す図である。血清抗原特異的なIgGのELISAタイター(逆数のlog)を、3つのaHD-PRDコンストラクト(PspA01.1、PspA02、またはpspA03)のそれぞれに対して、単一のaHD-PRDコンストラクト(コンストラクト1つ当たり2匹のウサギ、それぞれコンストラクトおよび接尾辞「R1」または「R2」により命名した)でウサギIMを免疫化することによって決定した。非免疫化コンストラクトに対して生じたタイターは、非類似のPspA抗原に対する交差反応性の程度を示す。実施例4を参照されたい。 代表的なaHD-PRDコンストラクト(n=5匹/グループ、バーは、標準偏差を示す。3つのコンストラクトのそれぞれにつき2つの用量レベル[図6A:3μg/用量、図6B:10μg/用量])それぞれでIMにより免疫を行った後のマウス(n=5匹/グループ)における、初回(白色)およびブースト(黒色)での抗原特異的な血清のIgG応答を示す図である。y軸:逆数のlogのELISAタイター;バーは、標準偏差を示す。これらのデータは、強い抗原特異的な全身IgG応答を惹起させるIM免疫化の能力を示している。 代表的なcCHP-aHD-PRDコンストラクトそれぞれでINによる免疫(ナノゲル製剤の経鼻投与)を行った後のマウス(n=5匹/グループ)における、初回(白色)およびブースト(黒色)での抗原特異的な血清IgG応答を示す図である。ナノゲル複合体(すなわち、cCHP-aHD-PRD)を、2つの異なる温度(図7A:40℃;図7B:50℃)での熱処理によって製剤化した。y軸:逆数のlogのELISAタイター;バーは、標準偏差を示す;免疫化抗原を基準とする。これらのデータは、経鼻投与されたナノゲルに製剤化された抗原それぞれの、強い全身の抗原特異的なIgG応答を惹起させる能力を示している。 一緒に投与された3つの実施例のaHD-PRDコンストラクト(n=60匹/グループ、アラムを用いて製剤化されたIM用量、ナノゲルを用いて製剤化されたIN用量)でのIM(図8A)またはIN(図8B)での免疫(ブーストを包含する)を行った後のマウスにおける抗原特異的な血清IgG応答を示す図である。y軸:逆数のlogのELISAタイター;バーは、標準偏差を示す;IMまたはINグループにおける免疫化抗原を基準とする。これらのデータは、aHD-PRD抗原の組み合わされた投与は、強い全身の抗原特異的なIgG応答を惹起すること、およびIN-ナノゲル投与によって生じた応答は、IM投与によって生じた応答と同等であることを示す。 対照マウス(免疫化されていない)および3つの代表的なaHD-PRDコンストラクトの混合物に対して免疫化されたマウス(IMまたはIN;n=10匹/グループ)における、5つの肺炎球菌株を用いた鼻腔内攻撃後の生存曲線を示す図である。y軸:生存パーセント;x軸:以下の株:BG8838株:1×10コロニー形成単位(CFU);A66.1株:1×10CFU;BG12730株:1×10CFU;3JYP2670株:1×10CFU;ATCC6303株1×10CFUの菌のマウス1匹当たりに鼻腔内感染後の日数。〇対照;▲IN;■IM;PCV13およびPPSV23でのカバーが不十分;**PPSV23でのカバーなし。これらのデータは、3つのaHD-PRDコンストラクトでのIMまたはIN-ナノゲル免疫化は、肺炎球菌疾患からの防御をもたらすことを示唆する。防御は、ワクチン抗原に提示されないPspAのaHDクレードを有する株、および現在のワクチンが対応していない莢膜型に対してまでも拡大する。
本発明は本明細書に記載される特定の手法、プロトコール、および試薬などに限定されず、したがって変更が可能であることが理解されるものとする。本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明するためのものであり、発明の範囲を限定することは意図されず、その範囲は特許請求の範囲によってのみ定義される。
特定された全ての特許および他の公報は、例えば、本発明と関連して使用できるこのような公報に記載された手法を説明および開示する目的で参照により本明細書に組み入れられるが、本明細書で示された定義と矛盾する用語の定義は提供されないものとする。これらの公報は、本出願の出願日前にそれらが開示されたために提供されているにすぎない。これに関するいかなる部分も、先行発明に基づき、または他の何らかの理由で発明者らがこのような開示に先行する権利がないことの承認として解釈されないものとする。これらの文書の日付に関する全ての記述または内容に関する表示は、出願人が利用できる情報に基づいており、これらの文書の日付または内容の正確さに関するいかなる承認も構成しない。
単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、文脈上明らかに別段の指示がない限り複数形の指示物を包含する。本明細書にわたり、別段の指定がない限り、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」および「含むこと」は、述べられた整数または整数の群が、1つまたは複数の他の述べられていない整数または整数の群を包含し得るように、排他的にというより包括的に使用される。用語「または」は、例えば「いずれか」によって修飾されない限り、包括的である。したがって、文脈上別段の指示がない限り、言葉「または」は、具体的に列挙されたもののいずれか1つのメンバーを意味し、さらにその列挙したもののメンバーのあらゆる組合せも包含する。
抗原に対する担体分子(例えば、ナノゲル)またはアジュバント(例えば、アラム)の比率、これらの担体分子、アジュバントおよび抗原の正確な組成、および製剤プロセスに多少のばらつきがあるため、全ての値はおよその値である。したがって、機能的な実施例の場合、または別段の指示がある場合を除き、本明細書で使用される量を表す全ての数値または反応条件は、そうではないことが述べられない限り、全ての場合において用語「約」で修飾されていると理解されるべきであり、「約」は、一般的に、指示された値の±1%を指すが、当業者によって関連する状況で容認される場合、指示された値の±5%または±10%も許容されることがある。
組換えDNA技術は、当業界で公知の標準的なプロトコールに従って行うことができる。例えば、Sambrookら、MOLECULAR CLONING:LAB.MANUAL(第2版、Cold Spring Harbor Lab.Press、NY、1989);Ausubelら、CURRENT PROTOCOLS MOLEC.BIOL.(1994年および改訂版);DNA CLONING:PRACTICAL APPROACH、1~4巻(GloverおよびHames編、IRL Press 1995、1996)、Croy、PLANT MOLEC.BIOL.LABFAX(BIOS Sci.Pub.Ltd.およびBlackwell Sci.Pub.、UK、1993);WO2015089587を参照されたい。
項目は、単に便宜上提供されたものであり、本発明の限定として決して解釈されないものとする。別段の指定がない限り、本明細書で使用される全ての専門用語や科学用語は、当業者に一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明するためのものであり、発明の範囲を限定することは意図されず、その範囲は特許請求の範囲によってのみ定義される。本発明の開示をより容易に理解できるようにするために、特定の用語が定義される。追加の定義は、詳細な説明中で明示される。
抗原は、免疫応答の生成物によって認識される物質である。適切な条件下で、抗原は、免疫原として作用し、体内で特異的な免疫応答を誘導することが可能であり、したがって抗原は、その応答の生成物と反応することが可能である。一般的に言えば、特異的な免疫応答の生成物は、抗原に特異的に結合する抗体、または抗原と反応するように感作されたTリンパ球であり得る。抗原としては、細菌、ウイルス、真菌、または他の微生物の、タンパク質またはその部分(ポリペプチドまたはペプチド)、核酸または多糖類などの外来物質が挙げられる。
交差反応性は、一般的に、特定の抗原に対する免疫応答が他の抗原にも応答する程度を意味する。最も防御的な応答を惹起する抗原または病原体はしばしば、構造が多様である傾向がある。感染性微生物に対する防御応答を生じるように意図されたワクチンのケースにおいて、交差反応性は、典型的には、ワクチン中の特定の抗原に対する免疫応答が、免疫化抗原だけでなく、病原微生物の異なる株における同じ抗原のより広範な多数のバリアントにも反応する抗体を生産する程度を指す。このような抗原の全てのバリエーションを含有するワクチンを商業的に生産することは非現実的であることが多いため、限られた数の株由来の高度な交差反応性を有する抗原の多数のバリアントを慎重に選択することで、抗原の多種多様なバリアントを有する株に対して反応する抗体を誘導することができる。肺炎球菌のケースにおいて、莢膜多糖抗原(すなわち、現在のワクチン中の抗原)は、低い交差反応性を有する。一部のタンパク質抗原、特にPspAは、高い交差反応性を有する。
免疫応答(免疫原性応答)は、免疫系の要素によって実行される、抗原に対する宿主反応である。最も一般的に免疫応答に関与する免疫系の要素は、なかでも特に、好中球、好塩基球、好酸球、単球およびそれらの後代、ならびにリンパ球からなる白血球(leukocyte、white cell)が挙げられる。リンパ球は順に、ナチュラルキラー細胞;抗体を産生するB細胞;およびT細胞に分類することができ、T細胞はなかでも、免疫応答の様々な態様を制御または強化する様々なタイプのT細胞がある。ほとんどのワクチンは、適応免疫応答を惹起するように設計されており、このような応答は、ワクチン抗原を「外来」として識別すること、続いてこれらの抗原と反応する抗体分子またはT細胞を産生することを含む。有効な抗体およびT細胞の反応は、このような抗原を提示する病原体の破壊を引き起こすことができる。また有効な抗体反応は、病原体表面上にある、または病原体によって放出される毒性分子の機能も妨害することができる。
免疫原は、免疫応答を生じさせることができる物質であり、典型的には抗原である。より具体的には、免疫原は、生物の免疫系によって免疫応答を惹起することができる分子を指し、それに対して抗原は、その免疫応答の産物に結合することができる分子(ハプテン)を指す。したがって、免疫原は、典型的には抗原であるが、抗原は、必ずしも免疫原でなくてもよい。それゆえに免疫原性とは、体液性または細胞媒介性免疫応答を誘導する能力である。例えば、B細胞が免疫原によって活性化される場合、それは、抗原と結合する抗体を産生する血漿B細胞に分化する。肺炎球菌ワクチンに関して、莢膜多糖は抗原であるが、タンパク質担体にコンジュゲートしていない限り、乳児では免疫原として作用しない。
ワクチンは、通常、特定の疾患に対して、その疾患の重度の形態を引き起こすことなく特異的および防御的な免疫を提供するような免疫応答を誘導するのに使用される組成物である。感染症に対するワクチンのケースにおいて、ワクチンは、典型的には、疾患を引き起こす病原体の抗原に似た物質を含有する。この物質は、弱化した(弱毒化した)または死滅させた病原体の形態、そのトキソイド(毒素を無毒化したもの)、またはその表面タンパク質もしくは表面多糖類の1種であることが多い。このような物質は、病原性免疫原を模擬し、体の免疫系を刺激して、病原体を外来(すなわち、抗原)として認識し、それを破壊するか、または病原体を含有する細胞を破壊する。理想的には、ワクチンはまた、免疫系が将来的に病原体の抗原をより容易に認識して中和するように、免疫原および免疫原の元となる病原体を免疫系に「記憶させる」。ワクチン組成物は、あらゆる適切な形態で製剤化することができ、医薬的に許容される賦形剤、例えば希釈剤もしくは担体、またはさらなる成分を包含していてもよい。賦形剤は、典型的には、投与されても本発明の実施形態の免疫原によって惹起される作用に寄与しないが、本発明の免疫原性コンストラクトの作用に寄与するかまたはモジュレートする成分または化合物、特にアジュバントが想定される。当業者は、このような好適な賦形剤を決定することができ、このような賦形剤は周知であり、ヒトおよび動物ワクチンのケースでは、FDAによって承認されている。ワクチンは、適切な剤形で、注射、摂取、皮膚への適用、または粘膜表面への適用により投与することができる。
上述したように、本発明の実施形態は、世界的に細菌性肺炎による死の主な原因、IPDの主な原因、および小児の中耳炎の主な原因であるS.pneumoniaeに対する、新規の抗原、免疫原、およびワクチンを提供する。
細菌細胞壁を覆う抗原性莢膜多糖に基づき、およそ100種の肺炎球菌の血清型が同定されている。現在の肺炎球菌ワクチンは、数種の莢膜多糖の混合物を含有する。最も初期に承認された肺炎球菌多糖類ワクチン(PPSV14またはPneumovax(登録商標)ワクチンとして公知であり、1977年にFDA承認)は、14種の通常見出される肺炎球菌の血清型由来の莢膜多糖を含有していた。これらの抗原は非コンジュゲートであったが、これは、多糖類が免疫系共刺激剤として役立つタンパク質に結合(コンジュゲート)していないことを意味する。その後、追加の9種の非コンジュゲート多糖類莢膜抗原を含有するPPSV23ワクチン(Pneumovax(登録商標)23ワクチン、1983年にFDA承認)が導入された。しかしながら、2歳未満の子供は一般的に、これらのワクチン中の非コンジュゲート莢膜抗原に応答しない。Wald、40 Clin.Pediatr.601(2001)。加えて、既存の医学的状態下にあるそれより年齢の高い子供では、防御は低い。65歳を超える成人では、PPSV23は、敗血症に関連する肺炎を発症させるリスクを約45%低減するが、肺炎の全体的なリスクを低減せず、ワクチン接種から3年以内の全体的な死亡のリスクも低減しない可能性がある。Jacksonら、348 N.Engl.J.Med.(2003);Ladhaniら、58 Clin.Infect.Dis.517(2014)。
より近年のワクチンは、免疫系を共刺激するタンパク質分子にコンジュゲートした莢膜多糖を含有する。これらの肺炎球菌コンジュゲートワクチン(PCV)は、T細胞免疫応答とB細胞(体液性)応答を生じる抗体の両方を活性化する。PCVは、乳児の血清型の95%以上の範囲をカバーするため、IPDのリスクを低減することが示されている。66歳を超える年齢の成人における大規模な研究から、PCV免疫化は、ワクチンが対応しうる血清型で引き起こされる敗血症関連の肺炎のリスクを75%低減し、同時に、カバー範囲である血清型で、敗血症を伴わない肺炎のリスクを約45%低減することが示された。Bontenら、372 N.Engl.J.Med.1114(2015)。
最初のPCVワクチン(PCV7またはPrevnar(登録商標)ワクチン、2000年にFDA承認)においては、当時最も一般的かつ発病率の高い血清型をカバーするべく7種の血清型が選択されたが、ワクチンによって集団免疫性が強化された状況下において、カバー範囲ではない血清型に起因する疾患の発生率がすぐに増加し始めた。これは、血清型置換と称される現象である。それに応じて、6種のさらなる血清型を添加して、PCV13ところ、これは、ほとんどの先進国では標準治療としてPCV7にとって代わるものとなっている。新たにカバー範囲となった6種の血清型のために疾患が減少したにもかかわらず、血清型置換は衰えず、疾患の割合は、PCV13でカバーされた13種以外の血清型のために上昇する可能性がある。より具体的には、数々の国からのデータによれば、PCV7の導入後、IPDの発生率は、劇的に、つまりPCVより前の時代の発生率の10%未満に低下したが、近年、その発生率は、乳児において、PCVワクチンより前の時代のレベルの半分より高く、高齢成人において、PCVより前の時代のレベルを超えたことが示されている。この増加は、ほぼ全てPCV-13がカバーしていない血清型に起因する。CDC、PINK BOOK、第13版(2015);Leputreら、33 Vaccine 359(2015);Public Health England(2016年3月4日)。
したがって、PCV13より広範なカバー範囲を有する肺炎球菌ワクチンへの必要性が益々高くなっている。単に多数のさらなる莢膜多糖抗原をPCV13に追加することは、長い目で見れば失敗する可能性がある。これはなぜなら、(1)多糖類抗原をコンジュゲートするプロセスが技術的に複雑であるため;および(2)より多くの抗原が追加されるため、既存の13種の莢膜抗原のそれぞれに対する免疫応答が減少する可能性があるためであり、この現象は抗原競合として知られている。PatonおよびBosiego、PROTEIN VACCINES 421(Siber編、ASM Press、2008);Andrewsら、14 Lancet Infect.Dis.839(2014)。
肺炎球菌タンパク質は、従来のPPSVおよびPCVワクチンにとって代わる免疫原性物質を提供することができる。肺炎球菌表面周辺にある数種の抗原性タンパク質が同定された(図1を参照)。抗原性、表面への露出、免疫原性、その様々な株間での交差反応性、およびワクチンとしてある程度の開発がすでになされている進捗の観点から、最も有望なものの一つは、肺炎球菌表面プロテインA(PspA)である。米国特許第6,592,876号(Brilesら、2003)および第5,997,882号(Brilesら、1999);Ginsbergら、11 Expert Rev.Vaccines 279(2012);Morenoら、17 Clin.Vaccine Immunol.439(2010);Danielsら、40 Microbial Path.228(2006)を参照されたい。PspAは、その天然状態で、肺炎球菌によって誘導された補体活性化を低減するように機能することから、感染宿主での肺炎球菌の生存および毒性における主要な要因である。PspAの肺炎球菌表面からの最も遠い伸長部(すなわち、PspAのN末端領域)は、アルファヘリカルドメイン(aHD)として公知の280から380個のアミノ酸からなる(図1を参照)。全てのPspAの領域のなかでも、aHDは、ワクチン抗原としての安全性および効能に関して最も研究されている。米国特許第6,592,876号、第6,638,516号(Brilesら、2003);Brilesら、18 Vaccine 1707(2000a);Hollingsheadら、68 Infect.Immun.5889(2000);Naborsら、18 Vaccine 1743(2000)。
つい最近になって、aHDの近位のC末端から細菌細胞膜に伸長するPspAのプロリンリッチドメイン(PRD)も、免疫原性であることが示された。米国特許第8,808,704号(HollingsheadおよびBriles、2014);Danielsら、78 Infect.Immun.2163(2010)。しかしながら、以前の研究は、PRDの多様性の十分な確認や特徴付けをしておらず、PRD交差反応性も検査しておらず、本明細書に記載されるような免疫原性aHD-PRDコンストラクトベースのワクチンへのPRD取り込みも試みていなかった。
有効なPspAワクチンの開発に関する課題は、病原性の顕著な肺炎球菌で見出されたPspAのほとんどの形態に対して強い交差反応性を誘導すること、同時に、抗原性の競合を回避し、製造が簡単なワクチンを提供するために、比較的少数の、異なるPspAタンパク質の抗原性領域を使用することである。これらの設計の課題は、PspAベースのワクチンに限ったことではなく、ほとんどのワクチンの設計および製造に関しても課題であり続けている。
aHDの近位(C末端)の30%がその最も免疫原性のある領域であることが報告されている。Hollingsheadら、2000。aHDのこの部分は、PspAのクレード定義領域(CDR)として公知である。これらクレード定義領域(CDR)のアミノ酸配列に基づいて、aHDは2つの主要なファミリーに分類することができ、これらを合わせると、公知の病原性サブタイプの約98%を占める。これらのファミリーは順に、それらのアミノ酸配列に応じて5つのクレードにグループ分けすることができる(クレード1およびクレード2はファミリー1を構成し、クレード3、4および5は、ファミリー2を構成する)。第3のファミリーは、クレード6のみからなり、患者から単離したS.pneumoniaeのわずか約2.2%であり(Hollingsheadら、2000;Vela Coralら、7 Emerging Infect.Dis.823(2001);Hotomiら、PloS one 8:e58124(2013))、およびそのPspA遺伝子配列は本明細書で特徴付けられている136種の固有なS.pneumoniae株(実施例2を参照)のうちわずか3種を占めるにすぎない。同じクレード由来のaHDは、類似のアミノ酸配列を有するが、異なるファミリーのクレード由来のaHDは、最も低い相同性を有する。HollingsheadおよびBriles、2000。図2は、本発明者らがそのPspA遺伝子配列を分析した136種の肺炎球菌株のツリー図である。これらは、それらのCDRを構成するアミノ酸間の相同性に従ってこれらの株がマッピングされたことを示す。これは、CDRを3つのファミリー(そのうち2つが臨床的に重要である)および6つのクレード(そのうち5つが臨床的に重要である)にクラスター化した初期の調査を確認するものである。
意外なことに、この研究から、同じクレード中の多くの株のCDRが同一であり、より一層多くの数の菌株が類似していることも示された。これは、多数の臨床的に重要な株にわたり共通するCDRを含有するaHDが、ワクチン抗原の優良な候補である可能性が高いことを示唆する。加えて、図2により、あらゆる肺炎球菌ファミリー、クレード、または特徴付けられた株のCDR間の相同性の程度を概算を概算することが出来る(実施例2を参照)。したがって、図2A~図2Dのツリー図とそこに記載される詳細図は、選択されたaHDとワクチンに包含されていない肺炎球菌株のaHDとの交差反応性を最大にするべく、ワクチン抗原として包含させるための限られた数のaHD(およびそれらの強い抗原性を有するCDR)を戦略的に選択するための新規で有利なガイドを提供する。
低い免疫交差反応性を有する多糖類の莢膜抗原とは異なり、特定のaHDへの曝露によって誘導される抗体は通常、同じPspAクレード由来の肺炎球菌に対してだけでなく、同じファミリー中の異なるクレード由来の肺炎球菌に対しても交差反応性を示し(米国特許第6,638,516号;McDanielら、59 Infect.Immun.222(1991);Naborsら、2000;Vela Coralら、2001、Darrieuxら、75 Infect.Immun.5930(2007);さらには一部の免疫化aHDのケースにおいて、異なるPspAファミリー由来の肺炎球菌に対しても交差反応性を示す(Rocheら、71 Infect.Immun.1033(2003)、Darrieuxら、57 J.Med.Micro.273(2008)、Morenoら、2010、Fukuyamaら、2015)。この異なるaHDとの肺炎球菌に対する交差反応性は、図2から導かれる新規の指針により、多様な病原性の肺炎球菌を防御できるワクチンの構成要素として比較的少数のaHDを選択するという本発明の戦略を支えるものである。
重要なことに、そして全く意外なことに、多くの肺炎球菌株にわたるPRDのアミノ酸配列の分析から、PRDは、PRDを含むアミノ酸配列に基づき3つの別個のグループの1つに特徴付けることができることが解明された(図3A~図3D)。これらのグループのそれぞれにおいて、配列相同性が高いことだけでなく、繰り返しのアミノ酸配列を有する特徴的なモチーフが頻繁に出現する(表1~表4)。意外なことに、各グループ内の異なる肺炎球菌株由来の多くのPRDは同一であり、これは、ワクチン中に包含させうるPRD抗原の範囲を狭めるのに役立つ。これらのPRD(またはその部分)の少なくとも一部は、抗原性を有している(下記の実施例4~6)(米国特許第8,808,704号;Danielsら、2010も参照)。PRDグループ内の繰り返しのモチーフにおける高い類似性のために、PRDグループ内の交差反応性が高いことを証明できる可能性が高い。したがって、3つのグループのそれぞれに由来する少なくとも1つのPRDを含有するワクチンは、病原性の肺炎球菌の多くの株をカバーする免疫応答を誘導する確率がより高い。図3A~図3Dは、本発明者らがそのPRDを分析した136種の肺炎球菌株に関する新規のツリー図およびそれらの詳細を提供する。したがって、図3A~図3Dに記載のツリー図は、ワクチン抗原として包含させる限定した数のPRDを戦略的に選択し、つまりは、選択されたPRDとワクチンに包含されていない肺炎球菌株のPRDとの交差反応性を最大にする上での、新規で有利なガイドを提供する。
本発明の実施形態はまた、特定のPRDの特徴が免疫原性を強化するのかまたは減らすのかの確認も可能にする。例えば、PRDグループ2ポリペプチドの長いPKPAPA(配列番号7)反復の特徴は、グループ1および3で見出されるより多様なモチーフ、特にグループ3を特徴付ける非プロリンブロック(NPB)より低い免疫原性を有する可能性がある。Daniels、2010。既に述べたように、PRDの選択も図3によってガイドすることができ、これは、特定のPRDグループ内で、同じグループ中の他のPRDと比較的近い相同性を有する特定のPRDをワクチン候補として、どのように選択するかを示唆する新規のアプローチを提供する。他の要因(例えば長さ)が等しいのであれば、これは、少なくとも他の同じグループのPRDとの広範な交差反応性の尤度を最大化することができる。
本発明者らは、3つのPRDグループのそれぞれに由来するPRD(またはPRDの部分)の選択と、aHDファミリーのそれぞれに由来する高い免疫原性および交差反応性を有するaHD(またはその部分)の選択とを組み合わせて単一のワクチンを提供することによって、ほぼ全ての病原性の肺炎球菌株を防御する強く多様な交差反応性を有する免疫性を生じさせることができる。
この論法に従って、少なくとも1つの実施形態は、個々に高度な免疫原性および交差反応性を有する単一のaHDと単一のPRD(またはその部分)とを組み合わせた組換えタンパク質コンストラクトを提供する(実施例4および5、図6~図7)。加えて、少なくとも1つの実施形態は、1回のワクチン手順における複数のaHD-PRDコンストラクトの組合せを提供するものであり、実験動物において、比較的少数のaHD-PRDコンストラクト、例えば3つのaHD-PDRコンストラクトが、本明細書に記載されるナノゲル製剤を使用して全身(例えばIM)または鼻腔内(IN)投与したかどうかにかかわらず、試験対象を多様な攻撃株から防御した。防御性の抗原投与で使用された株は、異なるPspAクレードおよびPRDグループの代表例であるだけでなく、異なる莢膜多糖株の代表例でもある。具体的には、例えば、本発明の実施形態は、PCV13またはPPCV23では十分カバーされていない株を防御するワクチンを提供する(実施例6)。したがって、およそ3つの多様なaHD-PRDコンストラクトの混合物による免疫は、ほとんどの病原性肺炎球菌を防御し得る。
さらに、各ワクチンコンストラクト中のaHDおよびPRDのサブセグメントは、必ずしも同じ肺炎球菌株由来でなくてもよいが、最適な交差防御のためにより広く選択してもよい。例えば、最も高い抗原性のaHD-PRDコンストラクトの一部は、異なるPspAクレードに属する株由来の、または時には異なるPspAファミリー由来のaHDおよびPRDと組み合わされる。
PspAタンパク質の場合と同様に、肺炎球菌ワクチンは、その天然に存在するPRDと共にaHDを包含する可能性があることが示唆されているが(米国特許公報第20150320851号;Piaoら、32 Vaccine 5607(2014);Darrieuxら、2007)、これらの公報は、別個のPRDグループを特徴付ける、または3つの別個のPRDグループのうち可能な限り多くからPRDを適切に選ぶという概念について言及していない。実際、本発明者らが知る限り、PDRの相同性はこれまで、図3Aで提供されるように特徴付けしたりまたはマッピングしたりされてこなかった。同様にこれらの公報は、本発明のaHD-PDRコンストラクトのキメラ融合タンパク質を教示も示唆もしていない。同様にこれらの公報は、製造が比較的シンプルで簡単なワクチン:抗原競合のリスクも最小化する比較的少数のキメラ抗原性タンパク質を含む組成物について示唆もしていない。要するに、これらの公報は、それぞれのサイズが60キロダルトン(kDa)以下の、わずか3つの製造が簡単な組換えaHD-PRDコンストラクトから有効な(かつ万能な)肺炎球菌ワクチンを作り出すことを教示も示唆もしていない。
本明細書に記載されるワクチンの実施形態は、全身に(すなわち、ほとんどのワクチンを用いた場合と同様に筋肉内(IM)に)注射された場合だけでなく、鼻および口腔粘膜表面に適用された場合も防御を誘導する。以前の調査は、aHDをIM投与されたヒトにおいて、さもなければ致死となってしまう肺炎球菌の攻撃からマウスを防御する抗体を産生したことを示している。Brilesら、182 J.Infect.Dis.1694(2000b)。また、アジュバントとしてAl(OH)を使用したaHD抗原のIM製剤も、ヒトで安全であることが示されている。Brilesら、2000a;Naborsら、2000。
IN免疫化に関して、本発明の実施形態のIN粘膜用製剤は、送達分子として、疎水性コレステロール側鎖が付加された親水性多糖類を包含する。このような送達分子の実施形態はまた、その表面上またはその近くに、正電荷を有する官能基、例えばカチオン性アミノ基も包含する。これは、負電荷を有する鼻粘膜表面上に、抗原-送達分子複合体をより長く保持することを可能にする。この送達分子のさらなる実施形態は、親水性多糖類であるプルランを含み、これは、マルトトリオース単位のポリマーである。プルランは、化粧品や医薬品コーティングでは抗酸化剤として、食品添加剤および保存剤として、さらに、LISTERINE(登録商標)マウスウォッシュなどのマウスウォッシュまたはLISTERINE POCKETPAKS(登録商標)ブレスストリップで使用されている。したがって、鼻への送達分子の具体的な実施形態は、カチオン性コレステリル基を有するプルラン(cCHPまたはナノゲル)である。米国特許第8,961,983号(Akiyoshiら、2015);WO2015/122518(Kiyonoら、2015)を参照されたい。cCHPの実施形態の製造は、実施例5に記載する。
以前の報告は、cCHP分子中に封入された単一のaHD抗原を含む経鼻製剤が、マウスと非ヒト霊長類において強い防御免疫応答を惹起したことを示す。Kongら、81 Infect.Immun.1625(2013);Fukuyamaら、8 Mucosal Immun.1144(2015)。致死性の攻撃からの防御に加えて、IN免疫化は、全体的な長期免疫性に寄与するT細胞免疫応答を惹起し、さらにマウスの鼻道における細菌の定着も予防した。cCHPベースのIN免疫化の成功は、ナノゲルが明らかにタンパク質免疫原を防御することと、鼻粘膜表面上でその存在を延長することの両方に起因する可能性があり、したがってその粘膜への段階的な吸収、および粘膜の基底膜での樹状細胞による取り込みを可能にする。Nochiら、9 Nat.Mats.572(2010);Kongら、2013;Fukuyamaら、2015。この特徴は、cCHP中に封鎖された抗原が、aHD-PRDコンストラクトまたは非連結aHDであるかどうかにかかわらずあてはまる。このIN製剤の非ヒト霊長類への投与は、いかなる有害作用も伴わなかった。具体的には、嗅球または中枢神経系の他の部分へのナノゲルまたは抗原の浸透は観察されなかった。Fukuyamaら、2015。
本明細書に記載されるaHD-PRDコンストラクトは、組換え宿主細胞中で産生される場合、安定である。aHD-PRDコンストラクトは、細胞非含有の発現系または組換え宿主細胞、例えば、細菌(例えば、Escherichia coli B株、E.coli K12株、Corynebacterium ammoniagenes、C.glutamicum、Serratia liquefaciens、Streptomyces lividans、およびPseudomonas putida;バキュロウイルス);真菌、例えば、Penicillium camembertii、Acremonium chrysogenum、または酵母(例えば、Saccharomyces cerevisiaeおよびPichia pastoris);チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)または他の哺乳類発現系;植物発現系;および当業界において公知の他の組換え発現系で発現させることができる。このような発現に必要な遺伝子工学プロセスは当業者にとっては公知である。細菌発現系のケースにおいて、細菌は、所望のaHD-PRDコンストラクトをコードするベクター(プラスミド)が含有されるように遺伝子操作される(実施例3を参照)。高い純度と収量で得られた組換え細菌で発現される特定のaHD-PRDコンストラクトの4つの実施形態が本明細書で開示される(例えば図4を参照)。組換え発現系での産生に加えて、本発明の実施形態の免疫原は、完全合成による方法によって、または組換え技術と化学合成技術との組合せによって産生してもよい。
組換え宿主中での発現を介したコンストラクト産生に関して、図2A~図3Eへの参照、本明細書で提供されるアミノ酸配列、および遺伝子コードの知識に基づき、当業者は、このような融合タンパク質をコードする核酸分子(例えば、DNA)を設計することができ、任意選択でこのような核酸分子は、所望の宿主細胞系での発現のために最適化される。例えば、PspA01.1をコードする遺伝子は、デノボ合成により得ることができ、当業者は、配列番号1のアミノ酸配列を参照することにより選択された配列を核酸配列に逆翻訳して、そのように合成された分子を得ることができる。また当業者は、選ばれたアミノ酸配列または対応する核酸配列への挿入、置換および欠失などの1つまたは複数の突然変異を導入することもできる。逆翻訳のために、当業者は、典型的には、発現を意図した宿主系のコドン頻度を反映する核酸コドンを使用してもよい。「コドン最適化」は、当業界で十分に理解されており、コドンが最適化された核酸(ポリヌクレオチド)が、配列の供給元となっている生物における核酸配列と比較して、それが1つまたは複数の宿主種におけるコドン使用頻度に適合するように改変されることをいう。典型的には、ポリヌクレオチド、特にコード領域において、所与の生物(例えば菌株)における発現のために、少なくとも1つのコドンを、計画された宿主生物の遺伝子においてより高頻度で使用される少なくとも1つのコドンで置き換えることによって適合される。
核酸分子またはポリヌクレオチドに言及する場合はまた、本明細書で論じられた具体的なポリヌクレオチドのバリアントまたは誘導体、例えばポリヌクレオチド、またはそれらのバリアントもしくは誘導体のオーソログ、パラログまたは他の相同体なども包含する。核酸のバリアントまたは誘導体は、少なくとも1つのヌクレオチド置換、付加、または欠失により所与の参照ポリヌクレオチドとは相違している。このようなバリアントは、例えば混成オリゴヌクレオチドプライマーベースDNA増幅などのPCRベースの技術によって、すなわち、aHDタンパク質またはPRDポリペプチドの保存されたドメインに対するディジェネレートプライマーを使用して入手できる。参照ポリヌクレオチドが、抗原性または免疫原性タンパク質、特にキメラaHD-PDRコンストラクトまたはその部分をコードする場合、バリアント核酸が、本明細書で論じられるような抗原性または免疫原性の特徴を有するポリペプチドをコードするように、コードされたポリペプチドの抗原性の性質は、ポリヌクレオチドのバリアントまたは誘導体中で保存されると予想される。本発明の実施形態のポリペプチドの保存されたドメインは、本明細書において詳細に論じられ、特に交差反応性の免疫原性ドメインの選択のための参照として図2および図3を使用して、それらの核酸またはアミノ酸配列の配列比較により同定することができる。
バリアントまたは誘導体はまた、典型的にはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で本明細書に記載される具体的な核酸分子をハイブリダイズすることが可能な核酸分子を包含する相補物および他のポリヌクレオチドも包含する。ストリンジェントな条件は周知であり、熟練者は、上記で参照したものなどの標準的な教本を参照することによってハイブリダイゼーション条件をどのように決定するかを知っている。
さらに、バリアントは、配列表に示される核酸と、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、またはそれらの間のあらゆる%で同一な配列を含むポリヌクレオチドを包含し、または配列表に提供されるアミノ酸配列から入手可能であり、許容できる抗原性または免疫原性が保持される。同様に、本明細書に記載されるポリペプチドまたはタンパク質の機能的な相同体は、本明細書に記載されるペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質と、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、またはそれらの間のあらゆる%で同一であってもよい。これらの同一性値のパーセントは、典型的には、タンパク質または核酸分子全体にわたり計算される。多くのコンピュータープログラムは、様々なアルゴリズムを採用しており、異なる核酸またはポリペプチドの配列を比較するために当業者に利用可能である。
加えて、タンパク質のアミノ酸、例えば、配列番号1~配列番号4から選択されるアミノ酸の置換は、他のポリペプチドの配列中のアミノ酸の出現に関係なく以下が適用され、それにおいて文字は、それらの共通の略語を使用したL-アミノ酸を示す(置き換えの列挙は、一般的に好ましい順である):Aは、Sで、またはC、G、T、もしくはVで置き換えられてもよく;Cは、Aで置き換えられてもよく;Dは、E、またはN、Q、もしくはSで置き換えられてもよく;Eは、DまたはQで、またはK、H、N、R、もしくはSで置き換えられてもよく;Fは、Yで、またはW、I、L、もしくはMで置き換えられてもよく;Gは、A、N、またはSで置き換えられてもよく;Hは、Yで、またはN、E、Q、もしくはRで置き換えられてもよく;Iは、VもしくはLで、またはMもしくはFで置き換えられてもよく;Kは、Rで、またはE、Q、N、もしくはSで置き換えられてもよく;Lは、IもしくはMで、またはVもしくはFで置き換えられてもよく;Mは、Lで、またはI、V、F、もしくはQで置き換えられてもよく;Nは、D、H、S、E、G、K、Q、R、またはTで置き換えられてもよく;Qは、Eで、またはK、R、D、H、M、N、もしくはSで置き換えられてもよく;Rは、Kで、またはQ、E、H、もしくはNで置き換えられてもよく;Sは、A、N、T、D、E、G、K、またはQで置き換えられてもよく;Tは、S、A、N、またはVで置き換えられてもよく;Vは、Iで、またはL、M、A、もしくはTで置き換えられてもよく;Wは、YまたはFで置き換えられてもよく;Yは、F、H、またはWで置き換えられてもよい。しかしながら、本明細書に記載されるタンパク質コンストラクトの抗原性または免疫原性の特徴は、このような置換が導入されるあらゆるポリペプチドまたはタンパク質においても維持されていると解されなければならない。実際に、このような置換戦略は、本明細書で示された、例えば図2A~図3Dで示されるような共通のモチーフまたはパターンを参照すれば、有益である可能性が高いと考えられる。したがって、本発明の実施形態のタンパク質は、免疫原性を強化するアミノ酸の置換、欠失または付加を包含していてもよい。
組換え宿主での発現のために、特定の目的のタンパク質、例えばaHD-PDRコンストラクト、をコードする核酸分子および適切な調節制御領域(例えば、プロモーター、ターミネーター)を含む発現カセットがベクター中に包含され、該ベクターは、ファージ、プラスミド、もしくはウイルスベクターであってもよいし、または人工染色体、例えば細菌もしくは酵母人工染色体であってもよい。言い換えれば、本発明の実施形態のベクターは、宿主細胞またはその単離された画分中での発現を可能にする発現制御配列(発現カセット)に作動可能に連結した目的のポリヌクレオチドを含む発現ベクターであってもよい。またベクターは、典型的には、クローニングベクターとして好適でもあり、すなわち、微生物系で複製可能であり、クローニングベクターが1種の宿主での複製のためにデザインされたとしても、発現カセットは異なる宿主での発現のためにもデザインされる。本発明の実施形態のポリペプチドおよびタンパク質を含むベクターは、宿主細胞中での伝播または選択のための選択可能マーカーをさらに含んでいてもよい。ベクターは、従来の形質転換またはトランスフェクション技術を介して原核または真核細胞に導入することができる。
aHD-PDRコンストラクトの数々の実施形態が動物で試験されており(図6~図10)、これらはヒトワクチン中に含めるための免疫原性候補である。以下の具体的なコンストラクトの議論において、それらの指名者、aHDクレードおよびPRDグループの起源、およびアミノ酸配列は、以下の通りである(PRDグループは太字である。各コンストラクトにつき、aHD配列は、PRDが始まるところで終結する)。
PspA01.1(クレード2[ファミリー1]由来のaHD、グループ2由来のPRD)、長さ:384アミノ酸、重量:41kDa:
Figure 0007246644000001
PspA01.2(クレード2(ファミリー1)由来のaHD、グループ2由来のPRD)、長さ:356aa、重量:39kDa:
Figure 0007246644000002
PspA01.3(クレード2(ファミリー1)由来のaHD、グループ3由来(部分的)のPRD)、長さ:302aa、重量:33kDa:
Figure 0007246644000003
PspA02(クレード3(ファミリー2)由来のaHD、グループ1由来のPRD)長さ:495aa、重量:55kDa:
Figure 0007246644000004
PspA03(クレード4(ファミリー2)由来のaHD、グループ3由来のPRD)長さ:430aa、重量:48kDa:
Figure 0007246644000005
発現手順および抗原収量に関する詳細は、実施例3で論じられる。他のaHD(クレード1(ファミリー1)およびクレード5(ファミリー2)由来のaHDを包含する)および他のPRDを含む追加のaHD-PRDコンストラクトは、aHD-PDRコンストラクト中に包含する上で好適である。
aHD-PRDコンストラクトの3つの個々の実施形態でウサギを免疫したところ、抗原特異的な血清IgG応答によって示された通り、強い免疫原性を誘導した。加えて、ファミリー2のaHDを含む2つのコンストラクトは、コンストラクトが異なるaHDクレード由来であったとしても互いに十分交差反応する抗体を惹起した(図5)。
当業者公知の手順を使用して、本発明者らは、アジュバントとしてアルミニウム化合物を使用してIM投与のための製剤を調製した。より具体的には、このような調製は、典型的には、水酸化アルミニウム(Al(OH))またはリン酸アルミニウム(AlPO)などのアルミニウムゲル上にaHD-PRDコンストラクトを吸収させること、または硫酸アルミニウムカリウム(AlK(SO)上にaHD-PRDコンストラクトを沈殿させることを含む。例えば、Lindblad、2004を参照されたい。本明細書に記載されAlK(SOまたはAl(OH)を用いて製剤化された個々のaHD-PRDコンストラクトは、マウスにおいて、ブースター用量投与後、持続的な強い記憶応答を含む強い抗原特異的な血清IgG応答を惹起した(図6;実施例4;実施例6)。
例示として本明細書に記載されるaHD-PRDコンストラクトをさらに、他所で記載され(Nochiら、2010;Kongら、2013;Fukuyamaら、2015)、実施例5で概説した手順を使用して鼻腔内送達のために製剤化した。各製剤は、カチオン性コレステリル基を有するプルラン(cCHPまたはナノゲル)分子の架橋された構造中に封入されたaHD-PRDコンストラクトの実施形態を含む。この製剤は、マウスまたは他の実験動物の鼻に該製剤を滴下することによって投与されるワクチンとして使用した。このIN送達製剤は、マウスにおいて、ブースター用量を用いたワクチン接種後、持続的な記憶応答を含む強い抗原特異的な血清IgG応答を惹起した(図7;実施例5および6)。
これまで、実験動物を用いた研究で、cCHPナノゲル製剤への顕著な有害反応を示したものはなかった。特に、非ヒト霊長類にIN投与した放射標識cCHP-aHDのPET研究から、嗅球または他のCNS構造への取込みはなかったことが示された。Fukuyamaら、2015。これは、熱不安定性のエンテロトキシンのようなアジュバントを含有するワクチンをヒトにIN投与した場合(Mutschら、350 N.Engl.J.Med.896(2004))や抗原をコレラ毒素アジュバントと共にマウスにIN投与した場合(van Ginkelら、165 J.Immunol.4778(2000))といった、過去に記録される類型のCNS炎症のリスクは、IN投与では生じないことを保証している。
本明細書に記載されるaHD-PRDコンストラクトにより誘導された免疫応答は、IMおよびIN製剤の両方において、免疫化aHD-PRDコンストラクトのものと同一なaHDまたはPRDを有するS.pneumoniae株だけでなく、異なるaHDまたはPRDを有する攻撃株からも防御する。言い換えれば、本発明者らは、aHD-PRDコンストラクトは、交差反応性を有する防御免疫を生じることを示した(実施例6)。さらにこの免疫性は、既存のワクチンのカバー範囲外の肺炎球菌株にも及ぶ。
以下に記載される本明細書で開示された方法を実施するための成分、配合、プロセスおよび手順は、上述したものに対応する。他の実施形態および使用は、本発明の開示の観点から当業者には明らかであると予想される。以下の実施例は、単に様々な実施形態の例示として提供され、本発明の限定として決して解釈されないものとする。
3つのPRDグループの特徴付け、およびPRD抗原の選択
PRDは、通常60から100アミノ酸の間の長さの比較的短いポリペプチドである。PRDは、aHDの末端、つまり、PRD内およびPRD間で反復する数々のモチーフを形成する他のアミノ酸が散在した、一連のプロリンの第1のプロリンで始まる。PRDは、典型的には(ただし限定されないが)、アミノ酸残基PKTで終わるとみなされる。図1を参照されたい。本発明者らは、米国立医学図書館によりオンラインで提供されたBLASTサーバーに投稿された208種の完全PspA配列のうち124種の固有なPspA配列を同定し分析した。これらのPspA配列は、公開データベースで入手可能なほとんどの固有なPspAゲノム配列を占める。これらの124種のポリペプチド配列に、本発明者らは、これまでに分析されたが(Hollingsheadら、2000)、国立医学図書館オンラインBLASTサーバーから得られたものに包含されていない12種のPspAポリペプチド配列を追加した。本発明者らは、これらの136種の全PspAアミノ酸配列からPRD配列を抽出し、Geneious v7.1.7でBlosum30アミノ酸マトリックスを使用してそれらを並べた。その後、本発明者らは、近隣結合(NJ)方法を使用して系統樹を構築した。
予想外なことに、この方法は、図3A~図3Dおよび表1~表3で示されるように3つの別個のPRD「グループ」を同定した。本発明者らはまた、22アミノ酸の非プロリンブロック(NPB)と共に各PRDポリペプチドのほとんどを特徴付けるそれぞれ約6~8アミノ酸長の短い反復モチーフも同定した。5つの短い反復モチーフは、PKPEQP(配列番号5)、QPAPAP(配列番号6)、PKPAPA(配列番号7)、EKPAPAP(配列番号8)、およびPEKPAE(配列番号9)であり、これらのモチーフは表1~表4に示される。NPBは通常、QQAEEDYARRSEEEYNRLPQQQ(配列番号10)またはQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQ(配列番号11)である。またNPBは、通常PRD内の両側に4つのアミノ酸からなる高度に保存されたフランキング領域も有する。
3つのPRDグループのそれぞれは、これらのモチーフについて別個のパターンを有する。これは、それぞれグループ1、グループ2、およびグループ3のPRDに関するアミノ酸配列およびモチーフを提供する表1、表2、および表3から見ることができる。これらの配列の大部分はこれまでに同定されておらず、公知のアミノ酸配列は、それらが新規の組換えaHD-PRDコンストラクト中に包含されるか、または新規の免疫原性ペプチドを提示する程度にしか、本明細書に記載の実施形態には含まれていない。表1は、多くのグループ1のPRDポリペプチドのアミノ酸配列を提示し、ここで異なる繰り返しのモチーフは異なる書体(typeface)として示される:
Figure 0007246644000006
Figure 0007246644000007
Figure 0007246644000008
表1からわかるように、グループ1中の50種の配列のそれぞれは、2つのモチーフ:PKPEQP(配列番号5)およびQPAPAP(配列番号6)の特徴的な反復を示し、これらは互いに隣接し、通常オーバーラップする。表4も参照されたい。
PRDグループ2のポリペプチド中の21種のアミノ酸配列(表2)は、PKPAPA(配列番号7)の特徴的な複数の反復を示すが、例外として、2つの配列は、その代わりにEKPAPAP(配列番号8)の複数の反復によって特徴付けられる。他の19種のグループ2のポリペプチドのアミノ酸配列において、PKPAPA(配列番号7)が全体的に直線状のタンデム反復として発現されていたが、それによって、他のグループ2の配列に特徴的なタンデム反復であるモチーフKPAPAP(配列番号8の残基2~7)も繰り返される。これは、如何にEKPAPAP(配列番号8)またはPKPAPA(配列番号7)反復のいずれかによって特徴付けられた配列が単一のグループに属すると容易に判断できるかを示している。表4も参照されたい。表2に、PRDグループ2のポリペプチドおよび示されたモチーフを示す。
Figure 0007246644000009
PRDのグループ3における65種の配列(表3)は、モチーフの最大の多様性を有し、それらはいずれもタンデム中で繰り返されない。加えて、グループ3配列のそれぞれは単一のNPBを含有し、NPBはグループ3のポリペプチドでのみ見出される。
Figure 0007246644000010
Figure 0007246644000011
Figure 0007246644000012
表4は、3つのPRDグループのそれぞれにおける各PRD中の共通のモチーフおよびそれらの存在頻度(少なくとも1回)を要約している;つまり表4の表は、各PRDグループ中の各ポリペプチドにおいて、少なくとも1回出現する各モチーフの尤度を示している。
Figure 0007246644000013
これまでにNPBポリペプチドは高度な免疫原性を有する傾向があることが報告されている。米国特許第8,808,704号を参照されたい。またグループ1のPRDで頻繁に見出されるPKPEQP(配列番号5)モチーフに対するモノクローナル抗体は、肺炎球菌の攻撃からマウスを防御したことも報告されている。Danielsら、2010。本明細書で示された情報、特に実施例4~6は、部分的および完全PRDポリペプチドの他の部分の免疫原性の証拠を提供する。本発明の実施形態は、様々なモチーフ、モチーフの組合せ、および完全ポリペプチドの免疫原性を特徴付けるための追加の、および現在進行中の研究を裏付ける。
PRD(群)が3つのグループへ明確に分離されること、および各グループ中で共通のモチーフが高頻度で存在することから、各グループ由来のPRDを1つずつ取り込むワクチンが、ほとんどの肺炎球菌株に対する交差防御免疫を生じさせることが可能であろうことが示唆される。これは、ある特定のグループ由来のPRDは、同じグループ由来の他のPRD、言い換えれば、ワクチン中のPRDと多くの同じモチーフを共有するPRD、を有する肺炎球菌に対する交差防御免疫を生じさせることが可能であろうためである。本明細書で定義された各グループ由来のPRDを含むワクチンは、それゆえに、ほぼ全てのPRDに対する交差反応性の免疫性を生じると予想される。これは、PRDグループのそれぞれに由来する少なくとも1つのPRD抗原を組み合わせたワクチンを作り出す本発明の戦略、具体的には、各PRDグループから選択される1種のPRDを包含する3つのaHD-PRDコンストラクトを含むワクチンを開発する戦略の基礎となる。
PRD抗原のための別の選択戦略は、表1~3で示され、図3においていくつかの株をつなぐ水平方向の線によって示されるように、PRDの一部の完全な、またはほぼ同一な相同性によって示唆される。それゆえに、ワクチン抗原として数種の臨床的に関連する株間で共通のPRDを選ぶことにより、これらの株の全てに対する防御免疫応答の尤度が増加する。例えば、DBL1は、グループ3のPRD抗原(PspA03に含まれる)の実施形態の代表例である。このPRDは、6つの他の分析した株のPRDと同一である。
例えば、aHD-PRDコンストラクトの実施形態である、株GA47439由来のグループ2のPRDを包含するPspA01.1(配列番号1を参照)は、動物モデルにおける防御的な免疫原性応答を刺激し、PRDは、この応答の交差反応性を広げた(実施例4~6)。このPRDのアミノ酸配列は以下の通りである:
PETPAPAPAPAPAPAPAPAPKPAPAPKPAPAPKPAPAPKPAPAPKPAPAPAPAPAPKPAPAPKPAPAPAPAPAPAPKPEKPAEKPAPAPKPETPKT(配列番号12)。
aHD-PRDコンストラクトの別の実施形態である、株ND6012由来のグループ2のPRDを包含するPspA01.2(配列番号2を参照)は、防御的な免疫原性応答を刺激し、このPRDは、その応答を広げた。このPRDのアミノ酸配列は以下の通りである:
PETPAPAPAPAPAPAPAPAPAPAPKPAPAPKPAPAPKPAPAPAPAPAPKPEKPAEKPAPAPKPETPKT(配列番号13)。
同様に、aHD-PRDコンストラクトの別の実施形態である、以下のグループ3のPRD株:GA47597、SPN072838、GA19101、70585、R6、RX1/D39、GA16242、GA17545、NP112、GA13856、2071247、GA17971、SP18-BS74、GA13224およびGA60132に共通のPRDフラグメントを包含するPspA01.3(配列番号158を参照)は、防御的な免疫原性応答を刺激した。このPRDのアミノ酸配列は以下の通りである:
PEKPAPAPETPAPE(配列番号157)。
aHD-PRDコンストラクトの別の実施形態である、グループ1の株EF3296由来のPRDを包含するPspA02(配列番号3を参照)は、動物モデルにおける防御的な免疫原性応答を刺激した(実施例4~6)。PRDは、この応答の交差反応性を広げた。このPDRのアミノ酸配列は以下の通りである:
PDGDEEETPAPAPQPEQPAPAPKPEQPAPAPKPEQPAPAPKPEQPAPAPKPEQPAPAPKPEQPAKPEKPAEEPTQPEKPATPKT(配列番号14)。
6つの他の株、GA19923、SPN034183、GA47628、GA18523、GA16833、およびGA18068のPRDは、互いに同一であり、EF3296のPRD(APAPKPEQのみが欠失)(例えば、配列番号14の残基19~26)と高い相同性を有する。したがって、これらのグループ1の7つの株全てに由来するPRD(群)は、抗原性が高く、PspAベースの肺炎球菌ワクチン中へ包含する上で有力な候補となりうる。これらの6つの株のPRDのアミノ酸配列は以下の通りである:
PDGDEEETPAPAPQPEQPAPAPKPEQPAPAPKPEQPAPAPKPEQPAPAPKPEQPAKPEKPAEEPTQPEKPATPKT(配列番号15)。
aHD-PRDコンストラクトの別の実施形態である、株DBL1由来のグループ3のPRDを含むPspA03(配列番号4を参照)は、動物モデルにおける防御的な免疫原性応答を刺激した。このPRDも、PspA03への免疫応答の交差反応性を広げた。6つの肺炎球菌株:EU-NP04、gamPNI0373、P1031、PNI0153、GA11304およびPCS70012は、DBL1と正確に同じPRDを有する(表3も参照)。このPRDのアミノ酸配列は以下の通りである:
PEKPAEETPAPAPKPEQPAEQPKPAPAPQPAPAPKPEKTDDQQAEEDYARRSEEEYNRLPQQQPPKAEKPAPAPKPEQPVPAPKT(配列番号16)。
本明細書で提示されるデータから、この配列の免疫原性は、この配列中の非プロリンブロック(NPB)に一部起因する可能性があることが示唆される:
QQAEEDYARRSEEEYNRLPQQQ(配列番号10)。
分析したPspAを有する14種の他の肺炎球菌株も、表3で示されるように、このNPB(配列番号10)を含有する。これらの株は、670-6B、GA47373、Hungary19A-6、GA47210、GA05245、GA41301、SPAR95、GA49138、ATCC6303、SP14-BS69、G54、GA17484、CCRI_1974、およびGA41538である。これらの株のPRDは、少なくとも1つのaHD-PDRコンストラクトを含むPspAベースのワクチン中に含まれる有力な候補である。これらの14種の株のそれぞれのPRDアミノ酸配列は、配列番号17から配列番号24に示される。
aHD-PRDコンストラクトの別の実施形態である、15種のグループ3のPRDに共通のフラグメントを含むPspA01.3(配列番号158を参照)も、動物モデルにおける防御的な免疫原性応答を刺激した。Fukuyamaら、2015。このPRDのアミノ酸配列フラグメントは、PEKPAPAPETPAPE(配列番号157)である。このPRDフラグメントを含有する、分析したPspAを有する15種の肺炎球菌株は、表3で示されるように、GA47597、SPN072838、GA19101、70585、R6、RX1/D39、GA16242、GA17545、NP112、GA13856、2071247、GA17971、SP18-BS74、GA13224およびGA60132である。したがって、このフラグメントを含むことでも、それらのPRD中にこれと同一な、または類似するアミノ酸配列を有する株に対する交差反応性を強化することができる。
特定のPRDグループと特定のPspAのaHDクレードとの間に明確な関連はないにもかかわらず、両者の関連性(図2)、すなわち連関するポイントにおいて高度な非ランダム性が存在していた(実施例2を参照)。
aHDクレード定義領域の5つの主要なグループおよびaHD抗原の選択
クレード定義領域(CDR)は、通常aHD中で最終的におよそ100アミノ酸からなり、これは、aHD内の最も高い抗原性を有するドメインであると考えられた。McDanielら、17 Microb.Pathog.323(1994);Rocheら、2003;Vadesilhoら、21 Clin.Vaccine Immunol.940(2014)。実施例1に記載の通りに同定された124種の固有なPspAゲノム配列を使用して、本発明者らは各配列由来のaHDを抽出した。この情報に、本発明者らは、これまでに分析した12種のaHD配列の情報を追加した(Hollingsheadら、2000を参照)。本発明者らは、Geneiousアライメント(Blosum62マトリックスを用いたグローバルアライメント)を一部使用したGeneiousソフトウェアプラットフォーム(v7.1.7、Biomatters Ltd.、ニュージーランド)で合計136種の固有なaHDのCDRを並べ、次いで本発明者らは、Geneiousツリービルダープラグインを使用して系統樹を作り出した(ツリー構造、図2に記載の通り)。近隣結合(NJ)方法をJukes Cantor遺伝子距離モデルと共に使用して系統樹を作製した。
これは、自動的に結果が導き出されるような、または容易なプロセスではなかった。特徴的なアミノ酸配列はCDRの始めにあることが多いが(例えば、クレード1およびクレード2のCDRの約70パーセントは、LKEID(例えば、配列番号25の残基1~5)およびLKEIG(配列番号86)のいずれかから始まり、クレード3のCDRのほとんどは、LAKKQ(例えば、配列番号32の残基1~5)から始まり、クレード4のCDRのほとんどは、LEKから始まる)、多くのCDRは特徴的な配列から始まっていない。その代わりに、CDRの開始位置は、各クレードにとって特徴的なアミノ酸相同性を有するパターンの開始部位にマークされる。相同性はしばしば、同じクレードの株間で、CDRの前の部位にて出現する。しかしながら、このようなケースにおいて、株間の相同性のパターンは通常、CDRの開始部位で切り替わる。したがって、aHDのCDR前の領域からCDR後の領域への移行はしばしば、相同性パターン中での移行によってマークされる。各CDRの開始部位を決定するには、卓越した技能と判断が必要であった。主な基準は、他の株でも同様に配置された領域と高い相同性を示している領域の開始部位を選択することと、PspAの最も大きいパーセンテージを占めるものに対して、最も恣意的ではないと考えられる方法によって、それを行うことであった。
得られた新規のツリー図(図2)は、個々の肺炎球菌株、クレードおよびファミリー間の相対的なCDR配列の相同性の推測を可能にする。いずれか2つの株をつなぐ垂直方向の線の長さの合計(またはいずれか2つのクレードの平均)が、CDR配列に沿ったいずれかの位置におけるアミノ酸置換の尤度と比例する、すなわちCDR相同性の相違の程度と比例するように、図を構築した。さらに、この尤度は、この長さを、図2に示される垂直方向の基準バー長と比較することによって概算することができ、該基準バーの長さは、この垂直方向の分離の長さに対して、場所当たり平均0.2個の単一対のアミノ酸置換に相当する。
したがって、例えば、この基準バーの長さを、平均的なクレード4株および平均的なクレード5株をつなぐ垂直方向の線の合計長と比較することにより、クレード4株のCDR中のあらゆるアミノ酸が、クレード5の株中の、それと類似して配置しているアミノ酸で1つの特定のアミノ酸の置換によって相違している尤度が、約0.35であることが示唆される。ここでの確率は、単一対の置換に対する確率であるため、1.0を超える値が許容されるのである。例えば、同じCDR位置において、同じクレード中の一部の株はロイシン(L)を有し、一部の株はグリシン(G)を有するが、さらにその他の株ではチロシン(Y)を有する場合、該部位は、同じクレード中の平均的な株間で比較した場合、2つの単一対の置換を有するとみなされる。異なるクレード中の株間で比較する場合、部位当たりの複数の単一対の置換の尤度は増加し、ましてや異なるファミリー中の株間で比較する場合はなおさらである。
図2Aは、3つのファミリーへCDR(群)が明確に分離されることを示す(結果としてaHD全般での抗原としての類似性)。2つの主要なファミリー1および2は、それぞれ2つおよび3つのクレードからなる。ファミリー1において、クレード1および2は、ファミリー2におけるクレード3、4、および5よりわずかに大きい相同性を有する。ファミリー3は、唯一のクレードであるクレード6を含有し、これは、配列の分析された136種の株のうち3種のみを含む。これまで、調査によって、ファミリー3のPspAを有する肺炎球菌によって引き起こされた疾患はまれであることが世界的に示されている。Hollingsheadら、2000;Vela Coralら、2001;Hotomiら、2013。この分析の予想外の結果は、各クレードに割り振られた株の多くの間に高度なCDR相同性が存在する点である。図2Aにおいて、個々の株をつなぐ直線が水平であることは、それらのCDR間の完全な相同性を意味する。
したがって、図2A~図2DのCDRツリー図は、aHD-PRDワクチン抗原コンストラクト中に含める上でaHDを選択するための戦略を示唆する。例えば、ツリー図は、クレード1または2のいずれかからaHDを選択することで、ほとんどのファミリー1の肺炎球菌のPspAサブタイプに対する交差反応性を惹起する可能性があることを示唆する。さらに、それよりいくらか大きいファミリー2では、その多様性から、少なくとも2つのaHD抗原を、ファミリー2の異なるクレードから選択してもよいことを示唆しており、例えば1つは大きいクレード3から、1つはクレード4または5から選択してもよい。これらの戦略を、本発明者らは、PRDと組換えにより合体させるaHDを選択する上での指針とし、aHD-PRD免疫原性コンストラクト:クレード2、3および4のそれぞれに由来するaHDの3つの実施例の実施形態を提供する(実施例3を参照)。
動物のデータから、PspA01.1、PspA01.2、PspA02、およびPspA03のaHDは、免疫原性を有することが示された(実施例4~6を参照)。一部のaHD抗原の交差反応性が高いという追加の証拠がある。Naborsら、2000;Darrieuxら、2007および2008;Morenoら、2010、Fukuyamaら、2015。
PspA01.1(配列番号1)、PspA01.2(配列番号2)、およびPspA01.3(配列番号158)のケースにおいて、これは、株D39由来のクレード2のCDR配列が免疫原性を有することを意味する。この株のバリアントであるRx1は多糖類莢膜がないが、同じPspAを有する。このCDRのアミノ酸配列は以下の通りである:
LKEIDESESEDYAKEGFRAPLQSKLDARKAKLSKLEELSDKIDELDAEIAKLEDQLKAAEENNNVEDYFKEGLEKTIAAKKAELEKTEADLKKAVNE(配列番号25)。
D39/Rx1のaHDの完全アミノ酸配列は、配列番号159で提供される。
しかしながら、代替のクレード2の抗原として、以下のCDR配列:
LKDINESDSEDYVKEGLRAPLQSELDTKKAKLLKLEELSGKIEELDAEIAELEVQLKDAEGNNNVEAYFKEGLEKTTAEKKAELEKAEADLKKAVDE(配列番号26)
を有する株:DBL5、CGSP14、GA47439のうちの1つに由来するaHDを選択してもよいし、または以下のほぼ相同なCDR配列:
LKEIDESDSEDYIKEGFRAPLQSELDTKKAKLLKLEELSGKIEELDAEIAELEVQLKDAEGNNNVEAYFKEGLEKTTAEKKAELEKAEADLKKAVDE(配列番号27)
を有する株ND6012からのaHDを選択してもよい。
これらの4つの株のCDRは、他の分析されたクレード2のCDR配列と近い相同性を有する(図2を参照)。さらにそれら全ては、グループ2のPRDを有する。このCDRに対する免疫性を惹起することは、PRDグループ2の抗原による免疫で十分にカバーされていない可能性がある株に対する追加のカバー範囲を提供する。DBL5、CGSP14、GA47439およびND6012の完全なaHDのアミノ酸配列は配列番号28~配列番号31に提供される。
本発明者らの動物のデータは、クレード3の株であるEF3296由来のPspA02中のaHDのCDR(配列番号3を参照)も免疫原性を有することを示す。このCDRのアミノ酸配列は以下の通りである:
LAKKQTELEKLLDSLDPEGKTQDELDKEAEEAELDKKADELQNKVADLEKEISNLEILLGGADSEDDTAALQNKLATKKAELEKTQKELDAALNELG(配列番号32)。
26種のクレード3の肺炎球菌株、GA47628、GA17301、GA54644、2070531、CDC1873-00、GA02270、GA02714、2070109、GA47283、EF3296、GA18068、GA19923、3063-00、7533-05、GA16833、SP9-BS68、GA08780、GA17570、SPAR55、GA47751、CDC1087-00、NP141、GA16531、GA13637、GA49447、およびGA40028(本明細書で分析された46種のクレード3の株の過半数)は、このCDRと実質的な同一性を有する。したがって、このCDRを含むaHDは、多くの肺炎球菌株に対する直接的な免疫性を提供すると予想される。これらの26種の株の完全なaHDのアミノ酸配列は配列番号33~配列番号58に提供される。
また動物モデルのデータも、クレード4の株であるEF5668由来のコンストラクトPspA03中のaHDのCDR(配列番号4を参照)の免疫原性を示す。このCDRのアミノ酸配列は以下の通り:
LEKVLATLDPEGKTQDELDKEAAEAELNEKVEALQNQVAELEEELSKLEDNLKDAETNNVEDYIKEGLEEAIATKKAELEKTQKELDAALNELG(配列番号59)
であり;
その完全なEF5668のaHDのアミノ酸配列は配列番号60として示される。
代替となるクレード4のaHD抗原として、可能な限り多くの臨床的に重要な株との強い交差反応性の可能性を高めるために、互いにより一層高い相同性を有するCDRを有するaHDを選択してもよい。3つの例は、株CDC0288-04、Netherlands15B-37、およびGA47522であり、これらは全て、以下のアミノ酸配列を有するCDRを有する:
LEKAEAELENLLSTLDPEGKTQDELDKEAAEAELNKKVEALQNQVAELEEELSKLEDNLKDAETNNVEDYIKEGLEEAIATKQAELEKTQKELDAALNELG(配列番号61)。
したがって、aHDタンパク質における代替株は、配列番号62に示される完全なaHDアミノ酸配列を有するCDC0288-04であってもよい。
クレード4の株G54、GA17484、CCRI_1974、SP14-BS69、SP19-BS75、およびGA41538も、同じアミノ酸配列を有するCDRを有する:
LEKAEAELENLLSTLDPEGKTQDELDKEAAEAELNKKVEALQNQVAELEEELSKLEDNLKDAETNNVEDYIKEGLEEAIATKKAELEKTQKELDAALNELG(配列番号63)。
それゆえに、配列番号64に示される完全なアミノ酸配列を有するG54のaHDは、クレード4のaHD抗原のための別の代替となる源を提供する。
図2は、PRDにコンジュゲートしない可能性がある、さらなるaHD抗原を選択するための別の指針を提供する。例えば、少なくとも1つの実施形態において、ワクチン組成物は、3つのaHD-PRDコンストラクトに加えて、少なくとも1つの、例えば1または2つの非コンジュゲートaHDを含む。図2に示される相同性に差のあるaHD、特に、aHD-PRDコンストラクトを鑑み、さらに特定の臨床的重要性も考慮して、非コンジュゲートaHDは、クレード1およびクレード5から選択してもよく、例えば、1つはクレード1由来の非コンジュゲートaHDであり、1つはクレード5由来の非コンジュゲートaHDであってもよい。
クレード1の株については、別の実施形態では、以下の肺炎球菌株:BG8743、NP070、2061376、SP23-BS72、2080913、GA58981、GA56348、GA14688、GA44128、または2071004から選択される少なくとも1つの非コンジュゲートクレード1のaHDを含む免疫原性組成物を提供する。これらの株は全て、同じCDR配列を有する:
LKEIDESDSEDYIKEGLRAPLQSKLDAKKAKLSKLEELSDKIDELDAEIAKLEKDVEDFKNSDGEQAEQYLVAAKKDLDAKKAELENTEADLKKAVDE(配列番号65)。
この領域(配列番号65)は、他の分析されたクレード1の領域のCDRと近い相同性を有することから、他のクレード1のPspAに対する強い交差反応性を惹起する可能性がある。
加えて、前述したクレード1の株は全て、グループ2のPRDを有する。まとめると、それらは、全てのクレードにわたり分布するグループ2のPRDを有する、分析された全ての株のほぼ半分を構成する。PspA01.1およびPspA01.2におけるグループ2のPRD抗原が、グループ2のPRDを有する肺炎球菌株に対して不十分な交差反応性を提供する事象に対して、上記のCDR(配列番号65)を有する追加のaHDは、このような株に対する防御を提供することができる。株BG8743、NP070、2061376、SP23-BS72、2080913、GA58981、GA56348、GA14688、GA44128、および2071004の完全なaHDアミノ酸配列は、それぞれ配列番号66~配列番号75に示される。
他のクレード1のCDRと近い相同性を有するCDRを有する代替のクレード1のaHD抗原としては、株SP18-BS74、GA47597、SPN072838、GA19101、GA13224、GA16242、GA17545、NP112、GA13856、GA17971、または2071247由来のものが挙げられ、これらは、以下のアミノ酸配列:
LKEIDESDSEDYVKEGLRAPLQSELDAKQAKLSKLEELSDKIDELDAEIAKLEKNVEDFKNSNGEQAEQYRAAAEEDLAAKQAELEKTEADLKKAVNE(配列番号76)
を有するCDRにおいて実質的な同一性を有する。
他の代替のクレード1のaHD抗原としては、株670-6B、EU-NP04、gamPNI0373、P1031、PNI0153、GA11304、またはPCS70012由来のものが挙げられ、これらもまた、アミノ酸配列:
LKGIDESDSEDYVKEGLRAPLQSELDAKRTKLSTLEELSDKIDELDAEIAKLEKNVEYFKKTDAEQTEQYLAAAEKDLADKKAELEKTEADLKKAVNE(配列番号77)
を有する共通のCDRを有する。
したがって、株NP112および670-6BのaHDは、上記のCDRグループそれぞれに由来するクレード1のaHD抗原の2つの具体的な代替の実施形態を提供する。それらの完全なアミノ酸配列は、それぞれ配列番号78および配列番号79として示される。
少なくとも1つの実施形態において、少なくとも1つのaHD-PRDコンストラクトを含む組成物中に包含され得る可能性のあるクレード5の非コンジュゲート(連結されていない)aHDに関して、これは、肺炎球菌株GA47373、GA05245、GA41301、GA47210、またはHungary19A-6から選択することができる。これらの株は、分析されたクレード5の株のほとんどを構成し、それらのCDRは、ほぼ完全に相同である。例えば、以下は、GA47373のCDRである(GA47373の完全なaHDのアミノ酸配列は、配列番号81に示される):
LEDAELELEKVLATLDPEGKTQDELDKEAAEDANIEALQNKVADLENKVAELDKEVTRLQSDLKDAEENNVEDYVKEGLDKALTDKKVELNNTQKALDTAQKALDTALNELG(配列番号80)。
E.coli発現系を使用した純粋で安定なaHD-PRDコンストラクトの産生
組換えaHD-PRDコンストラクトのアミノ酸配列を、実施例1および2に記載の実施形態に従って設計した。発現のために、3つの特定のaHD-PRDコンストラクトを選択した。ここで1つのコンストラクトは、クレード1または2のいずれか由来のファミリー1のaHDを含み、2つのコンストラクトは、ファミリー2由来のaHDを含み、そのうち一方はクレード3由来であってもよく、残りのaHDは、クレード4または5のいずれか由来であってもよい。
一つの実施形態では、高度に免疫原性を有することが報告されたクレード2のaHD(株D39由来)を包含していた。Fukuyamaら、2015。別の実施形態では、PspAに対するヒト抗体との反応性を有することが報告されたクレード3のaHD(株EF3296由来)を包含していた。Naborsら、2000;Rocheら、2003。さらなる実施形態では、以前の調査によりマウスにおいて高度な免疫原性を有することが示された株EF5668由来のクレード4のaHDを包含していた。
aHD-PRDコンストラクトを完成させるために、3つの異なる完全なPRD、またはそれらのフラグメントの配列を、当初選択した3つのaHDのC末端のそれぞれに1つずつ付加した。付加されたPRD(またはそれらのフラグメント)は、aHDの供給元となった天然に存在する肺炎球菌株に見出されるものと同じであってもよいし、または異なる肺炎球菌株由来であってもよく、その場合、aHD-PRDコンストラクトは、人工融合タンパク質であると予想される。一つの実施形態においては、PRD(またはそれらのフラグメント)のそれぞれは、異なるPRDグループ由来であった(それぞれが、3つのPRDグループのそれぞれに由来する)。別の実施形態においては、2つまたは3つものPRD(またはそれらのフラグメント)が、同じPRDグループ由来であった(実施例7を参照)。
さらなるaHD-PRDワクチン抗原コンストラクトは、高い免疫原性および交差反応性を示す群、または高い免疫原性および交差反応性を示す特定のモチーフ(またはそれらの組合せ)を含む群、から選択されるPRDを包含していてもよい。
実施例2で示された通り、ワクチンの実施形態は、aHD-PRDコンストラクト3つのみを包含していてもよく、さらに、ずれのPRDにも連結されていない少なくとも1つのaHDを包含していてもよい。これらのaHDは、3つの主要なaHD-PRDコンストラクトに提示されないクレードから選択することができる。さらに、ワクチンの別の実施形態では、2つのみのaHD-PRDコンストラクトおよびいずれのPRDにも連結されていない少なくとも1つのaHDを含んでいてもよく、これはなぜなら、これらは単独で、病原性を有するほとんどの肺炎球菌株から防御するのに十分な交差反応性を提供することができるためである(実施例7を参照)。実際に、ワクチンの別の実施形態は、1つのみのaHD-PRDコンストラクトおよびいずれのPRDにも連結されていない2またはそれより多くのaHDを含んでいてもよい。
当初のaHD-PRDコンストラクトのアミノ酸配列は、本明細書に示されている。これらは、当業者公知の標準的な遺伝子工学技術を使用して細菌発現系で発現させることができる。一例として、PspA01.1、PspA01.2、PspA01.3、PspA02、およびPspA03をコードするDNA分子は、E.coli発現系に最適化された翻訳コドンを使用して、ウイルスプラスミドDNA分子としてそれぞれ別々に合成することができる。
PspA01.1(配列番号1)をコードすることが可能な核酸分子(具体的にはDNA)の例は、配列番号82に示される。PspA01.2(配列番号2)をコードするDNA分子の実施例は、配列番号83に示される。PspA01.03(配列番号158)をコードするDNA分子の実施例は、配列番号160に示される。PspA02(配列番号3)をコードするDNA分子の実施例は、配列番号84に示される。最後に、PspA03(配列番号4)をコードするDNA分子の実施例は、配列番号85に示される。
これらのプラスミドDNAを別々に、pET17bのHindIII部位とEcoRI部位との間にクローニングした。次いでプラスミドを別々に、E.coli BL21(DE3)細胞にトランスフェクトした。トランスフェクトされたE.coliを培養した後、超音波破砕した細胞の上清を、DEAE-およびSP-セファロースイオン交換クロマトグラフィーカラムの両方にローディングした。続いてこれをセファクリルS-200カラムでゲルろ過し、最終的に発現されたそれぞれのタンパク質につき、活性画分を別々にプールした。図5は、ドデシル硫酸リチウムポリアクリルアミドゲル電気泳動を使用した発現産物の純度を示す。個々のaHD-PRDコンストラクトに対するポリクローナル抗体を使用したウェスタンブロット分析によって、それらの同一性が確認され、同様にそれぞれのコンストラクトに固有なエピトープに結合したモノクローナル抗体でも確認された。
IM製剤の形態の単一のコンストラクトを用いた免疫原性研究
個々のaHD-PRDコンストラクトを含む筋肉内(IM)投与のための製剤をアラムアジュバントを用いて調製した。このアラム製剤は、実施例3に記載される個々のaHD-PRDコンストラクトを水酸化アルミニウム(Al(OH))ゲルに記載された通りに吸収させることによって作製した。Lindblad、82 Immuno.Cell Biol.497(2004)。
3つのaHD-PRDコンストラクトのそれぞれ(PspA01.1、PspA02、およびPPspA03)を、各コンストラクトにつき2匹のウサギで個々に試験して、直接および交差反応性の免疫性を評価した。各ウサギは、それが投与された抗原に従ってPspA_R1またはPspA_R2と名付けられる。例えば、PspA01.1_R1およびPspA01.1_R2は、PspA01.1で免疫した2匹のウサギであった(図5)。0日目に、各ウサギを、指示された抗原100μgで完全フロイントアジュバントと共にIMにより免疫した。2週間後、各ウサギを、指示された抗原100μgにより不完全フロイントアジュバントと共にIMでブーストした。さらに2週間後、個々のウサギからの血清を、個々のaHD-PRDコンストラクトをプレーティングしたウェル中での間接ELISA(各コンストラクトにつき別々のウェル)を使用して試験した。図5は、3つの抗原コンストラクトのそれぞれに特異的に結合する血清IgG(逆数のlogのELISAタイター)のタイターを示す。エンドポイントのタイターは、陰性対照より大きい0.1のOD450をもたらした最後の希釈率の逆数のlogとして表した。各ウサギににおいて、免疫化コンストラクトに対してもたらされた高い抗体価が期待された。しかしながら、特筆すべきことに、ウサギによって2つの非免疫化コンストラクトのそれぞれに対してもたらされたタイターは、非類似の抗原に対する交差反応性の程度のタイターを示した。これまで述べたように、PspA01.1は、ファミリー1、クレード2のaHDを包含するが、PspA02およびPspA03は、それぞれファミリー2、クレード3および4のaHDを包含する。したがって、ファミリー内の、ただしクレード間の交差反応性がファミリー間の交差反応性より高いことは驚くことではない。
以下のより多くのマウスを用いた研究は、免疫原性を確認し、攻撃(抗原投与)研究を裏付けた。
以下の手順を使用して、本発明者らは、IM製剤は、単回の初回IM免疫および単回の7.5週目のブースター注射後のマウスにおいて、強いPspA特異的な血清IgG応答を惹起することを示した。37週齢のdBALB/c雌マウスを10匹ずつの3つのグループに分割し、アジュバントとしてアラムを用いて製剤化された単一のaHD-PRDコンストラクトで、すなわちマウスの3グループそれぞれに対して、以下の3つのコンストラクト、PspA01.1、PspA02またはPspA03それぞれのうち1つで各グループを免疫した。各グループ中の5匹のマウスに3μgの用量を投与し、5匹は10μgの用量を投与した。両方のグループのマウスの後脚上部の筋肉に注射体積0.02mLを投与した。7.5週目に、全てのマウスの同じ筋肉に、同じ抗原の同じ用量および体積の1回のブースト注射を投与したが、このブースター用量はアラムまたは他のいずれのアジュバントを用いて製剤化されたものではなかった。
ELISAアッセイを使用して、各マウスを免疫した特定のコンストラクトに結合する、個々のIgG抗体の血清タイターを測定した。プレート(96ウェル)を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の1μg/mlのコンストラクトで4℃で一晩コーティングした。PBS-Tween中の1%BSAでブロッキングした後、サンプルの2倍連続希釈液を添加し、室温(RT)で2時間インキュベートした。サンプルを洗浄した後、本発明者らは、1:1000希釈したホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲートヤギ抗マウスIgGを添加し、サンプルを室温で2時間インキュベートした。インキュベーション後、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)マイクロウェルペルオキシダーゼ基質システム(XPL)を使用して発色させた。エンドポイントのタイターは、陰性対照より大きい少なくとも0.1のOD450をもたらした最後の希釈率のタイターの逆数のlog2として表した。上昇した血清IgGレベルは、ブースター注射から8週間より長く持続したことから、長期の記憶応答であることが示された(図6)。
IN製剤の形態の単一のコンストラクトを用いた免疫原性研究
IN製剤のための送達担体は、カチオン性コレステリル基を有するプルラン(cCHPまたはナノゲル)を含有していた。プルランは、マルトトリオースのポリマーである。cCHPの産生は公知であり、他所より提供されている。例えば、Ayameら、19 Bioconj.Chem.882(2008);Nochiら、2010を参照されたい。工程は、酵母発現系を使用してプルランを製造すること、未加工の分子を50kDから100kDの質量に短くすること、コレステリル基(100グルコース単位当たり約1.1~1.6個)を共有結合させること、およびカチオン性アミノ基(100グルコース単位当たり約20個)を共有結合で付加すること、を含んでいる。
1つの製造方法を以下の通り概説する:ヒドロキシル基を含有する炭化水素または12~50個の炭素原子を有するステロールをまず、OCN-R1NCOで表されるジイソシアネート化合物(式中R1は、1~50個の炭素原子を有する炭化水素基を表す)と反応させ、ヒドロキシル基を含有する炭化水素(またはステロール)の1分子を含有するイソシアネート基を含有する疎水性化合物を生産した。得られたイソシアネート基を含有する疎水性化合物を多糖類と反応させ、12~50個の炭素原子を有する炭化水素またはステリル基を含有する疎水性基を含有する多糖類を生産した。次に生成物をケトンベースの溶媒で精製して、高純度の疎水性基を含有する多糖類を生産した。
好適な多糖類は、例えば、プルラン、アミロペクチン、アミロース、デキストラン、ヒドロキシエチルデキストラン、マンナン、レバン、イヌリン、キチン、キトサン、キシログルカン、または水溶性セルロースであってもよい。少なくとも1つの実施形態において、多糖類は、プルランである。
INワクチンに好適なナノゲルの例としては、コレステロール疎水性基を含有する多糖類(CHP)およびカチオン性CHP誘導体(cCHP)が挙げられる。CHPは、1~10、例えば1~2個のコレステロール分子が、プルランの100グルコース単位当たり1回の置換により付加された、分子量30,000~200,000kDの構造を有する。プルラン分子量の範囲の例は、70,000kD~100,000kDである。
100グルコース単位当たりのコレステロール置換の程度は、抗原のサイズおよび疎水性の程度に基づいて選ぶことができる。CHPの疎水性の程度をさらに変更するために、それぞれ10~30個(例えば、約12~20個)の炭素原子を有する1つまたは複数のアルキル基を付加してもよい。少なくとも1つの実施形態は、10~40nm、例えば20~30nmの粒度を有するナノゲルを提供する。このようなCHPナノゲルは、がんワクチンのヒト臨床試験で使用されており、その場合、CHPナノゲルは、がん抗原の送達担体として役立つ。
別の実施形態においては、正電荷を有する官能基、例えばカチオン性アミノ基を取り込んだcCHPナノゲルを提供する。これは、ナノゲル-抗原複合体を、負電荷を有する鼻粘膜表面上により長く保持することを可能にする。カチオン性アミノ基の最適な包含比率は、抗原によって決定される。PspAを含むほとんどの抗原にとって最適な範囲は、cCHPの100グルコース単位当たり18~22個(例えば20個)である。
以下に、アミノ基をCHPナノゲルと組み合わせるための方法の例を記載する:凍結乾燥したCHP(およそ0.15g)を15mLのジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解させ、そこに窒素流下で1-1’-カルボニルジイミダゾール(およそ75mg)を添加した。室温で数時間(例えば約1時間)反応を進行させた。反応溶液に、カチオン性アミン、例えばエチレンジアミン(例えば約300mg)を徐々に添加し、混合物を数時間から1日中(例えば、約24時間)撹拌した。得られた反応溶液を蒸留水に対して数日間透析した。透析後、反応溶液を凍結乾燥して、乳白色の固体を得た。エチレンジアミン置換の程度は、例えばH-NMRを使用した元素分析によって評価することができる。
ナノゲルを作製した後、3つのaHD-PRDコンストラクトのそれぞれに当たる、PspA01.1、PspA02、およびPspA03のナノゲル製剤を、報告された手順を使用して作製した。米国特許第8,961,983号;Nochiら、2010;Kongら、2013;Fukuyamaら、2015を参照されたい。これらの手順は、2%cCHP溶液とaHD-PRDコンストラクトを含有する溶液とを、およそ1:1の分子比率で、40℃または50℃のいずれかで1時間混合すること、次いでリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液と混合すること、次いで0.22μmの膜フィルターを通過させることを含んでいた。
cCHPは、PBSよりも容易に尿素に溶解され、さらに(PBS中での溶解とは異なり)超音波装置を必要としないため、より大きいスケールでの製剤により適した代替の手順も採用された。これは、6M尿素溶液と(PBSとではなく)、およそ4℃~8℃で混合すること、続いてPBSに対して透析すること、次いで0.22μmの膜フィルターを通過させることを含んでいた。得られた製剤は、cCHP(ナノゲル)分子の架橋された構造中に閉じ込められた単一のaHD-PRDコンストラクトで構成されていた。これは、FITCコンジュゲートaHD-PRDおよびTRITCコンジュゲートcCHPナノゲルを使用した蛍光応答エネルギー移動(fluorescence response energy transfer:FRET)によって確認された。さらに、動的光散乱法(DLS)から、直径約40nmの均質な粒度であることが確認された。
37週齢のBALB/c雌マウスを10匹ずつの3つのグループに分割し、10μgのcCHP-aHD-PRD複合体で、マウスの3グループのそれぞれに対して、3つの複合体、すなわちcCHP-PspA01.1、cCHP-PspA02、またはcCHP-PspA03それぞれの1つで各グループを免疫した。各グループ中の5匹のマウスに、40℃でPBSを用いて製剤化した複合体を与え、一方で各グループ中の5匹のマウスに、50℃でPBSを用いて製剤化した複合体を与えた。それぞれのケースにおいて、0.006mL(6μL)の溶液中に抗原複合体を含有させ、これを一つの鼻孔に滴下した。
ウサギまたはイヌなどのより大きい動物でも、同様な滴下投与方法を使用することができる。ヒトのケースにおいて、適切な量のcCHP-aHD-PRD複合体(または複合体の混合物)を含有する溶液は、あらゆる好適な方法によって送達することができ、例えばBecton DickinsonのAccuSpray(登録商標)などのシリンジスプレーデバイスを使用して、数回に分けた用量で各鼻孔に滴下または噴霧される。このデバイスは、FluMist(登録商標)インフルエンザワクチンを霊長類の鼻道に効果的に送達するのに使用されている。
一連の最初の(プライミング)免疫は3つの用量からなっており、それぞれ1週間の間隔をあけた。それに続く実験から、1週間あけて投与された2つの用量では、または単回用量でさえも、強い抗原特異的なIgG応答を生じたことが示された。7.5週目に、全てのマウスを単一の鼻用量(同じ抗原複合体、用量、体積、および製剤温度)でブーストした。
実施例4に記載の同じELISAアッセイを使用して、個々のマウスの血清中の免疫化抗原特異的なIgG抗体のタイターを測定した。これらのELISAアッセイもまた、ブースター投与後8週間より長く持続する長期の強い記憶応答であることを示した(図7)。
複数のコンストラクトを用いた免疫原性および攻撃研究
3つのaHD-PRDコンストラクトでのマウスの免疫は、個々の成分であるコンストラクトそれぞれに対して強い血清IgG応答を惹起し、免疫化コンストラクトのものと異なるaHDを有するS.pneumoniae株に対しても防御的な交差反応性免疫性を惹起した。これは、IMおよびIN(ナノゲル)の両方での投与後に達成された。
IMによる免疫手順は以下の通りであった:10μgの3つのaHD-PRDコンストラクトのそれぞれ(PspA01.1、PspA02、およびPspA03)を含む混合物をアラム、Al(OH)を用いて製剤化した。0日目に、この製剤を、もう一方の後脚上部の筋肉に連続注射することによって67週齢の雌BALB/cマウスを免疫した。7週目に、マウスのもう一方の後脚上部の筋肉に、同じ混合物(すなわち、3つのaHD-PRDコンストラクトそれぞれの10μg)で、ただしアラムを用いずに、連続注射によってブーストを与えた。
INによる免疫手順は以下の通りであった:個々のcCHP-aHD-PRD複合体を、aHD-PRDコンストラクトの3つの実施例、PspA01.1、PspA02、およびPspA03のそれぞれにつき作製した。個々の複合体を製剤化するための方法は、実施例5の始めに記載されている。全ての複合体を40℃で製剤化した。0日目に、67週齢の雌BALB/cマウスを10μgのcCHP-PspA01.1複合体で免疫化した。これは、0.006mL(6μL)のcCHP-PspA01.1複合体を含有する溶液(10μgのPspA01.1を含む)を各マウスの片方の鼻孔に滴下することによって達成された。1日目に、同一手技を6μLのcCHP-PspA02複合体を含有する溶液(10μgのPspA02を含む)で実行した。2日目に、同一手技をcCHP-PspA03複合体(10μgのPspA03を含む)で実行した。このプロセスを5日後に(0日目から1週目)繰り返し、再度0日目から2週目に繰り返した。したがって、16日目までに、全60匹のマウスを、10μgのaHD-PRDコンストラクトの3つの実施例、PspA01.1、PspA02、およびPspA03のそれぞれで3回経鼻的に免疫した。7週目に、各マウスの片方の鼻孔に6μLのcCHP-PspA01.1(10μgのそれぞれのaHD-PRDコンストラクト)を含有する溶液を滴下することによって、マウスを10μgのaHD-PRDコンストラクトそれぞれでブーストした。翌日、このプロセスをcCHP-PspA02で繰り返し、さらにその翌日、cCHP-PspA03で繰り返した。言い換えれば、各マウスの鼻に、3つのナノゲルに製剤化された抗原それぞれのブースター用量を3日の期間にわたり投与した。
それに続く実験から、2回の経鼻投与、またはわずか1回の経鼻投与でも、プライムミングの用量として十分であることが示された。さらに、異なる抗原で連続した日にマウスを免疫するのではなく、3つ全てのcCHP-aHD-PRDコンストラクトの混合物を製剤化することができる。数日にわたる複数回投与が必要な場合、3つ全ての抗原複合体の混合物が投与される。ワクチンがヒトに投与される場合、該ワクチンは、cCHPと複合体化した個々の抗原の混合物として投与することもできるが、液体の滴下ではなくスプレーによって投与してもよい。図8の簡単な説明に記載の手順は、このcCHP-PspA複合体の混合物を投与する方法を概説する。
ブースター投与から2週間後、3つの抗原それぞれに対する血清IgGのタイターを、ELISAによって決定した。IMおよびIN免疫化マウスの血清抗原特異的なIgGタイターは類似していた。図6および図7を比較されたい。また図8も参照されたい。また、マウスがその抗原のみ(図6および図7(ブースター投与))で、または3つの抗原で同時に(図8)免疫したかどうかにかかわらず、それぞれ個々の抗原に対するタイターも類似していた。結果から、(a)各抗原に対する免疫応答を減らす抗原の競合がほとんどなかったこと、または(b)たとえ抗原の競合が起こったとしても、交差反応性によって平衡化され、例えば、1つのaHD-PRDコンストラクトに対して生じた抗体は他のコンストラクトにも結合したことが示唆された。
攻撃株としてS.pneumoniaeの5つの株、すなわち様々なaHDクレード1~5それぞれを代表するBG8838、A66.1、BG12730、3JYP2670、およびATCC6303;加えてPPSV23およびPCV13によって十分カバーされた、およびそれらによって十分カバーされていない多糖類莢膜血清型を選択した。例えば、A66.1、3JYP2670、およびATCC6303は、多糖類莢膜抗原3を提示するが、これは、PPSV23およびPCV13に包含されているにもかかわらずどちらのワクチンにも十分カバーされていない。Andrewsら、2014。BG12730は、莢膜血清型6Aを提示し、これは、PPCV23によりカバーされていない。したがって、これらの株によって、今日の公衆衛生に関連する肺炎球菌株に対する、3つの実施形態であるaHD-PRDワクチンコンストラクトの防御能力を評価することが出来る。
これらの株それぞれの適切な攻撃用量を決定するべく、5日以内に80%の死亡率に至ることが予想されるコロニー形成単位(CFU、すなわち生存可能なS.pneumoniae細菌の数)の数値を同定するために、用量漸増試験において、免疫されていないマウスを攻撃した。これは、各マウスの片方の鼻孔に0.05mLの10、10、10または10CFUを含有する溶液を滴下することによって行った。各株および各CFUレベルにつき、5匹のマウスの鼻腔内に投与した。この研究に基づき、最初に以下の5つの攻撃株に関して、以下の80%致死量を決定した:BG8838:1×10CFU;A66.1:1×10CFU;BG12730:1×10;3JYP2670:1×10;およびATCC6303:1×10CFU。
攻撃研究は以下の通りに進められた:最初のブースト投与から5週間後および最初の免疫から12週間後、50匹のIM免疫化マウス、50匹のIN免疫化マウス、および50匹のナイーブ(未免疫)対照の鼻腔内に上記で示されたCFU強度の5つの株で攻撃した。各株のケースにおいて、0.05mLの適切なCFU数を含有する溶液を、10匹のIM免疫化マウス、10匹のIN免疫化マウス、および10匹の免疫されていない対照マウスの一つの鼻孔に滴下した。元のプロトコールはマウスを7日間追跡調査することを要するものであったが、これは、A66.1および3JYP2670で攻撃したマウスを追跡調査する手順であった。全てのグループについて最初の生存率が極めて高いかまたは極めて低いかのいずれかであったため、適切な攻撃用量を決定するための研究(用量範囲研究)を他の3つの株に対して再度行った。新しい用量範囲研究の後、マウスを10日間追跡調査するようにプロトコールを変更した。したがって、BG8838、BG12730およびATCC6303に関する生存データは、攻撃後の10日間にわたりマウスを追跡調査するものである。
図9の生存データは、IMおよびナノゲルIN製剤の両方が、防御されなければ致死の攻撃からマウスを防御したことを示す。株A66.1、3JYP2670、およびATCC6303は、PPSV23およびPCV13ワクチンでのカバーが不十分な莢膜多糖血清型3を有する。A66.1、3JYP2670、およびATCC6303での攻撃に対する生存曲線によると、実施例のワクチン組成物は、それがなければPPSV23およびPCV13ワクチンでのカバーが不十分な株に対する防御をもたらすのに有利であることを示している。攻撃株BG8838(クレード1のPspAを有する)およびATCC6303(クレード5のPspAを有する)の結果は、ワクチン組成物が、両方のクレードに対する交差反応性を惹起したことを示す。これらの株の両方はグループ3のPRDを有するため、交差防御は、PspA03コンストラクトに包含されるPRDグループ3に対して生じた免疫性によって提供されたものである可能性がある。肺炎球菌株BG12730は、莢膜多糖血清型6Aを有し、これは、PCV13ワクチンでカバーされているが、PPSV23ワクチンによってカバーされていない。株BG12730での攻撃に対する生存曲線は、aHD-PDRコンストラクトが、PPSV23によりカバーされなかった株に対する防御をもたらしたことを示す(図9を参照)。
短いPRDを有するaHD-PRDコンストラクトの免疫原性。
さらなる実験から、グループ2のPRD配列をPRDグループ1または3からの短いPRD配列で置換すること、またはPRD配列を全く含まないことも、より一層優れた免疫応答をもたらす可能性があることが示唆された。グループ3の15種のPRDの最初の14個のアミノ酸残基であるPEKPAPAPETPAPE(配列番号157)間の相同性を考慮して(実施例1および表3での考察を参照)、肺炎球菌株D39のaHDからなるaHD-PRDコンストラクトを、該PRDフラグメントを用いて構築した。このコンストラクトをPspA01.3(配列番号158を参照)と指定した。このコンストラクトは、肺炎球菌の天然に存在するD39株のPspAタンパク質のフラグメントを包含し、これは、動物モデルで防御免疫を誘導する可能性がある。Fukuyamaら、2015を参照されたい。
PspA01.1、PspA01.2、およびPspA01.3によって生成した抗原特異的な血清IgGを比較する交差反応性分析から、PspA01.3は、他の2つの抗原のいずれよりも高い抗原性を有する可能性があることが示された。15匹のマウスを免疫し、このうち、5匹はPspA01.1、5匹はPspA01.2、5匹はPspA01.3で免疫を行い、それらの抗原特異的な血清IgG抗体のタイター分析したところ、各グループともPspA01.3に最もよく反応し、PspA01.1およびPspA01.2で免疫されたマウスであっても同様であった。例えば、PspA01.1で免疫化されたマウスの血清のなかでも、PspA01.3に対する平均の逆数のlog2タイターは15.6であったが、PspA01.1およびPspA01.2に対してはわずか15.0であった。PspA01.2で免疫化されたマウスの血清のなかでも、PspA01.3に対する平均の逆数のlog2タイターは15.8であったが、PspA01.1およびPspA01.2それぞれに対してはわずか14.4および14.8であった。
加えて、PspA01.3で免疫されたマウスの血清は、他の2種の抗原に対して特異的に免疫されたマウスの血清より、PspA01.1およびPspA01.2に対してよりよく反応した。例えば、PspA01.1に対する平均の逆数のlog2のIgGタイターは、PspA01.3で免疫されたマウスの血清において16.6であったが、PspA01.1およびPspA01.2それぞれで免疫されたマウスの血清では、わずか15.0および14.4であった。PspA01.2に対する平均の逆数のlog2タイターは、PspA01.3で免疫されたマウスの血清において17.4であったが、PspA01.1およびPspA01.2それぞれで免疫されたマウスの血清ではわずか15.0および14.8であった。

Claims (18)

  1. Streptococcus pneumoniaeの肺炎球菌表面プロテインA(PspA)タンパク質のアルファヘリカルドメイン(aHD)およびプロリンリッチドメイン(PRD)からなる、少なくとも2つの組換えaHD-PRDタンパク質コンストラクトを含む組成物であって、
    前記2つの組換えaHD-PRDコンストラクトのaHDおよびPRDが、各々、下記の工程(a)および(b)で選択され、
    (a)第1のaHD-PRDコンストラクトについてPspAの第1のファミリー内の第1のクレードから第1のaHDを選択し、第1のPRDグループから第1のPRDを選択する工程、
    (b)第2のaHD-PRDコンストラクトについてPspAの第1または第2のファミリー内の第2のクレードから第2のaHDを選択し、第2のPRDグループから第2のPRDを選択する工程、
    前記第1および第2のPRDグループは、各々、
    配列番号14、配列番号15、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号115、配列番号116、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号126、配列番号127および配列番号128で表されるアミノ酸配列からなるPRDグループ1、
    配列番号12、配列番号13、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103 および 配列番号104で表されるアミノ酸配列からなるPRDグループ2、または、
    配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号95、配列番号114、配列番号125、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139、配列番号140、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号149、配列番号150、配列番号151、配列番号152、配列番号153、配列番号154、配列番号155、配列番号156および配列番号157で表されるアミノ酸配列からなるPRDグループ3、から選択され、
    前記少なくとも2つの組換えaHD-PRDコンストラクトの第1のaHDが、PspAファミリー1のクレード1から選択され、前記少なくとも2つの組換えaHD-PRDコンストラクトの第2のaHDが、PspAファミリー2のクレード3、4または5から選択され、
    前記組成物は抗原性または免疫原性を有し、および、前記組成物は天然に存在しない、前記組成物。
  2. 前記少なくとも2つの組換えaHD-PRDコンストラクトの各々が、そのC末端でPRDに連結されている1つのaHD、またはそのN末端でPRDに連結されている1つのaHDを含む、請求項1記載の組成物。
  3. 第3のaHD-PRDコンストラクトをさらに含む組成物であって、該第3のaHD-PRDコンストラクトの第3のaHDが、前記(a)または(b)の工程で選択されたクレードまたはファミリーと異なるクレードまたはファミリーから選択され、第3のPRDが第3のPRDグループから選択される、請求項1または2のいずれかに記載の組成物。
  4. 第1の組換えaHD-PRDタンパク質コンストラクトの第1のaHDが、PspAファミリー1のクレード1から選択され、第2の組換え免疫原性aHD-PRDタンパク質コンストラクトの第2のaHDがPspAファミリー2のクレード3、4または5から選択され、第3の組換えaHD-PRDタンパク質コンストラクトの第3のaHDがPspAファミリー2の1つのクレードであって第2の組換え免疫原性aHD-PRDタンパク質コンストラクトで選択されたクレードと異なるクレードから選択される、請求項3記載に記載の組成物。
  5. 前記aHD、前記PRD、またはその両方が、天然に存在するいずれのaHDタンパク質またはPRDタンパク質またはポリペプチドとも同一ではないが、免疫原性を強化するアミノ酸の置換、欠失、または付加を包含する、請求項1から4のいずれかに記載の組成物。
  6. 前記少なくとも2つの組換えaHD-PRDコンストラクトのaHDが、配列番号33~配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66~配列番号75、配列番号78、配列番号79または配列番号81から選択されるアミノ配列からなる、請求項1から5のいずれかに記載の組成物。
  7. 前記少なくとも1つの組換えaHD-PRDコンストラクトのアミノ配列が、配列番号3または配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるか、または配列番号3または配列番号4に示される配列に少なくとも90%同一なアミノ酸配列からなる、請求項1から6のいずれかに記載の組成物。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の組成物を含むワクチン。
  9. アジュバントをさらに含む、請求項8に記載のワクチン。
  10. 筋肉内投与のために製剤化された、請求項8または9に記載のワクチン。
  11. 粘膜投与のために製剤化されており、該粘膜投与は、鼻腔内、経口または気管支投与である、請求項8または9に記載のワクチン。
  12. 粘膜投与のための親水性多糖類中に封入された、少なくとも1つのaHD-PRDコンストラクトを含み、該親水性多糖類は、カチオン性コレステリル基を有するプルラン(cCHP)を含むナノゲルである、請求項11に記載のワクチン。
  13. 請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物に含まれる組換えaHD-PRDコンストラクトの1つをコードする組換え核酸分子。
  14. 請求項13に記載の核酸分子を含むベクター。
  15. 請求項14に記載のベクターを含む宿主細胞。
  16. 組換え免疫原性aHD-PRDタンパク質コンストラクト中への組み入れのために、肺炎球菌表面プロテインA(PspA)のアルファヘリカルドメイン(aHD)およびPspAのプロリンリッチドメイン(PRD)を選択するためのプロセスであって、
    (a)PspAの第1のファミリー内の第1のクレードから第1のaHDを選択し、第1のPRDグループから第1のPRDを選択する工程;および
    (b)PspAの第1または第2のファミリー内の第2のクレードから第2のaHDを選択し、第2のPRDグループから第2のPRDを選択する工程;および任意選択で、
    (c)工程(a)または(b)で選択されたクレードまたはファミリーと異なるクレードまたはファミリーから第3のaHDを選択し、第3のPRDグループから第3のPRDを選択する工程であり、
    前記の第1から第3のPRDグループは、各々、
    配列番号14、配列番号15、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号115、配列番号116、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号126、配列番号127および配列番号128で表されるアミノ酸配列からなるPRDグループ1、
    配列番号12、配列番号13、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103 および 配列番号104で表されるアミノ酸配列からなるPRDグループ2、または、
    配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号95、配列番号114、配列番号125、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139、配列番号140、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号149、配列番号150、配列番号151、配列番号152、配列番号153、配列番号154、配列番号155、配列番号156および配列番号157で表されるアミノ酸配列からなるPRDグループ3、からそれぞれ選択される、
    を含む、プロセス。
  17. 少なくとも1つのaHDが、PspAファミリー1のクレード1または2から選択され、任意選択で、少なくとも1つのaHDが、PspAファミリー2のクレード3、4または5から選択される、請求項16に記載のプロセス。
  18. 少なくとも1つのaHDが、PspAファミリー1のクレード1または2から選択され、少なくとも1つのaHDが、PspAファミリー2の第1のクレードから選択され、少なくとも1つのaHDが、PspAファミリー2の第2のクレードから選択される、請求項16に記載のプロセス。
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