JP4749641B2 - ワクチン用の肺炎球菌タンパク質の相同体および断片 - Google Patents

ワクチン用の肺炎球菌タンパク質の相同体および断片 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願は、1999年8月25日に合衆国に出願された暫定出願番号60/150,750号に基づいて優先権を主張するものである。
【0002】
この発明は、広く細菌性抗原の分野、および例えば免疫応答を刺激するためのヒトおよび動物での免疫薬剤としての用途に関する。さらに具体的には、これはグラム陽性菌から誘導され、肺炎連鎖球菌から得られた免疫原性ポリペプチドとの配列同一性を示す1種または2種以上のポリペプチドを哺乳類、特にヒトへワクチン投与することに関する。
【0003】
【従来の技術】
グラム陽性菌から誘導された種々のポリペプチドは、肺炎連鎖球菌等の病原性グラム陽性菌の広範囲な血清型によって、ワクチン受容体を感染に対して保護する働きをする抗体の生成を刺激するのに役立つ。さらに、この発明は、前記ポリペプチドに対する抗体、すなわち肺炎球菌感染の診断および治療に関連する診断および受動免疫療法において有用な抗体に関する。
【0004】
連鎖球菌属には、ヒト等の哺乳動物内の疾病の生起の原因となる多数の種が含まれ、他方、ヒトおよび他の哺乳動物内で正常な微生物叢を構成する種も含まれている。ヒトでの疾病の病因学において取り扱われる細菌種中には、化膿連鎖球菌(A型連鎖球菌の一部で、その頭文字をとって“GAS”と称する)、肺炎連鎖球菌および乳腺炎連鎖球菌(B型連鎖球菌または“GBS”と称する)が含まれている。A型連鎖球菌は、壊死性筋膜炎、猩紅熱、敗血症、等の重篤疾病、ならびに膿痂疹、咽頭炎等の毒性の少ない疾患の原因となる。肺炎連鎖球菌は、最も普通な地域獲得性肺炎の原因であり、また小児の中耳炎の過半数に対して主要な原因となっている。また肺炎連鎖球菌は同時に細菌性髄膜炎に関連する第2の最も普通の病原体である。B型連鎖球菌は、米国における新生児の疾患および死亡に関連する最も周知の病原体である。
【0005】
現在、前記A型およびB型連鎖球菌が原因となる疾患を予防するワクチンは得られていないし、現在入手可能な肺炎ワクチンは、現在のワクチンを構成する莢膜炭水化物の免疫原性が、2歳以下または年齢的に劣化したヒトには有効ではない。それゆえ特に前記年齢層に起こるところの、この種の病原体による感染を予防するワクチンを創製することはきわめて有益である。
【0006】
上記病原体以外に、ブドウ球菌属の幾つかの細菌も臨床的に重要である。事実、ブドウ球菌のうちの2種は院内感染(入院中に起こる感染)の主要な原因になっている。黄色ブドウ球菌および表皮ブドウ球菌は、健康個体の皮膚を素早くコロニー化し、免疫抑制または腫瘍疾患に続いて患者に急性疾患を生起させる可能性がある。これらの細菌種によって生起される感染は、菌血症、心内膜炎、骨髄炎および内装カテーテルに関連する感染等である。
【0007】
肺炎連鎖球菌は、前記敗血症、髄膜炎、中耳炎および大葉性肺炎等に関する侵入感染の主要な病原要素となるグラム陽性菌である(New England J.of Medicine 322号:1280−1284頁(1995年)のTuomanen,et al.の論説参照)。感染過程の一部として、肺炎連鎖球菌は、レクチン類似の形態で真核細胞の炭水化物と連結することにより、上部および下部の気道の炎症を受けていないヒト上皮細胞に素早く結合する(Cundell et al.,Micro.Path.17巻:361−374頁(1994年)参照)。結合された細菌に対する侵入肺炎連鎖球菌感染への変換が起こると、炎症因子の局所的発生を引き起こし、上皮細胞を刺激して表面にあるレセプター(受容体)の数および形を変化させてしまう可能性がある(Cundell et al.,Nature.377巻:435−438頁(1995年)参照)。明らかにそのような1個のレセプターにより、血小板活性化因子(PAF)が肺炎連鎖球菌の影響を受け、PAFの発生からきわめて短時間(数分間)の間に、強力な膠着および組織の損傷を引き起こす。若干の可溶性レセプター類似体が、肺炎連鎖球菌感染の進行を防止することが発表されている(Idanpaan−Heikkila et al.,J. Inf.Dis.,176巻:704−712頁(1997年)参照)。他の多くのタンパク質が、肺炎連鎖球菌の病原性に関連があるものとして示唆されている。
【0008】
肺炎連鎖球菌それ自体は、この明細書中でSp36として指名されたタンパク質をコード化する遺伝子を包含するものとして示されている。このタンパク質の予想分子量は91,538ダルトンであり、5個のヒスチジン三つ組モチーフを含む(金属結合に関連することが提案されている)。このタンパク質をコード化する遺伝子は、現在市販の肺炎連鎖球菌カプセルワクチンより成る23血清型で存在するものと見られる。このタンパク質によるマウスの免疫化は、フロイントアジュバントの存在において、通常ならマウスを死滅させるほどの毒性肺炎連鎖球菌の投与量の腹腔内攻撃に対して、前記マウスを保護する免疫応答を刺激する。
【0009】
前記各理由により、肺炎連鎖球菌の種々の菌株のみならず、グラム陽性菌の広範囲なスペクトラムによって、ポリペプチドをワクチンとして利用して、きわめて多数の感染性生体に対する保護を遂行するために、エピトープ(抗原決定基)を共通に有するポリペプチドを特定する必要がある。
【0010】
【発明の概要】
この発明は、肺炎連鎖球菌以外のグラム陽性菌から得られたポリペプチドを含有するワクチン、ならびに前記ポリペプチドの変異株および該ポリペプチドの活性断片を提供する。
【0011】
さらにこの発明は、肺炎連鎖球菌以外のグラム陽性菌から誘導され、前記Sp36遺伝子と配列相同性を有するところの、新規な遺伝子およびそれによってコード化されたポリペプチドに関する。これらのグラム陽性菌は、この明細書中に記載されたA型およびB型連鎖球菌、ならびに特に黄色ブドウ球菌等のブドウ球菌属の各々の種を含む。
【0012】
特殊な実施例においては、この発明は、A型およびB型の連鎖球菌から誘導された特定の遺伝子配列、およびそれによってコード化されたタンパク質に関するものであり、さらに医薬組成物にとってワクチンとして有用であることの基礎に立って、および治療および/または予防活動に伴う抗体の分離を可能ならしめる手段としての、発現されたポリペプチドおよびタンパク質の用途に関する(例えばCytoGam等の生成物を調製するのに有用である)。
【0013】
さらに他の実施例においては、この発明は、この明細書中に記載された新規なポリペプチドの断片の調製および用途に関し、これらの断片は、その性質において免疫原性であり、前記ポリペプチドおよびその断片が誘導される病原体によって生起される疾患に対するワクチンの調製において有用である。
【0014】
(図面の説明)
図1は、黄色ブドウ球菌、化膿連鎖球菌および肺炎連鎖球菌から得られたゲノムDNAのサザンブロット分析の結果を示す。DNAは制限ヌクレアーゼ(核酸分解酵素)BamHIまたはPvuIIによって消化され、電気泳動されてナイロン膜に転移されたのち、Sp36をコード化する肺炎連鎖球菌の遺伝子を包含する標識されたDNA断片によってプローブされた。ハイブリッド形成および洗浄は低い緊縮条件下で実施された。結果は、BamHIおよびPvuII の通路内の黄色ブドウ球菌断片に対して、および化膿連鎖球菌の2種の株菌のPvuII消化の2個の断片に対して標識プローブによりハイブリッド形成した結果を示す。
【0015】
図2は、肺炎連鎖球菌菌株N4からのp36アミノ酸配列と、化膿連鎖球菌および乳腺炎連鎖球菌からの相同体配列との間の整列を示す。肺炎連鎖球菌からのポリペプチドのアミノ酸と同一のアミノ酸は、ボックス表示してある。
【0016】
図3は、化膿連鎖球菌からの全長Sp36相同体をコード化するDNAでプローブされた化膿連鎖球菌、乳腺炎連鎖球菌および肺炎連鎖球菌からのゲノムDNAのサザンブロットの結果を示す。ハイブリッド形成は低い緊縮条件下で実施された。この結果から、化膿連鎖球菌のSp36相同体をプローブとして使用すると、乳腺炎連鎖球菌および肺炎連鎖球菌内の相同体遺伝子を検出できることが論証される。
【0017】
図4は、肺炎連鎖球菌菌株ノルウェー4型からクローンされた組み換えSp36タンパク質に対して発生されたラビットポリクローナル抗血清を使用したウェスタンブロット分析の結果を示す。この結果から、この抗血清は、発生された対象のタンパク質(この場合Sp36)とも、また肺炎連鎖球菌の血清型6B菌株の溶菌液内にある類似サイズのタンパク質とも反応するのみならず、B型連鎖球菌のSp36相同体遺伝子によってコード化された組み換えタンパク質とも反応することが論証される。
【0018】
図5は、ヒスチジン三つ組領域を有するGAS36相同体に対するアミノ酸配列下線表示(図5aと図5b)し、およびヒスチジン三つ組領域を有するGBS36相同体に対する配列を下線表示(図5c)して示す。
【0019】
【発明の開示】
この発明は、特にA型およびB型の連鎖球菌およびブドウ球菌属等のグラム陽性菌の種、さらに特定的には化膿連鎖球菌(GAS)、乳腺炎連鎖球菌(GBS)および黄色ブドウ球菌のそれぞれから誘導された新規なポリヌクレオチドおよびポリペプチドに関する。
【0020】
さらにこの発明は、グラム陽性菌から誘導され、かつ以前に開示された肺炎連鎖球菌のSp36遺伝子(合衆国出願連続番号60/113,048)に対してコード化する遺伝子を生成するポリヌクレオチドと少なくとも部分的に相同性のポリヌクレオチドに関する。
【0021】
またこの発明は、含まれるポリペプチドが、この明細書中に開示されたポリヌクレオチドによってコード化されたポリヌクレオチドに関し、さらにそれらの免疫学的に活性な断片、セグメント、または部分に関する。
【0022】
さらにこの発明は、濃縮され、好ましくは分離され、さらには精製された形態のポリヌクレオチドおよびポリペプチドに関する。
【0023】
この発明において「DNAセグメント」とは、分離された断片の形状、または大きなDNA構造の1成分として、少なくとも一旦はほぼ純粋な形態で分離されたDNAから誘導されたDNAポリマーのことを言うものであり、ここで純粋とは、内因的な汚染物質を含まないこと、すなわちそのDNAポリマーの量または濃度が、前記セグメント、およびその成分ヌクレオチド配列の同定、操作、および回収を、通常の生化学的方法、例えばクローン化ベクターを使用することによって実行可能である程度に純粋であることを言う。これらのセグメントは、オープンな読取りフレームの形、すなわち翻訳されない内部配列、または真核遺伝子中に普通に存在するイントロン(DNAの介在配列)によって遮断されないという状態で提供される。翻訳されないDNAの配列は、オープン読取り枠から下流、すなわちコーディング領域の操作あるいは発現によって干渉されない位置に存在する。
【0024】
この発明に関して開示された核酸およびポリペプチド発現産物、およびこれらの核酸およびポリペプチド発現産物を含有する発現ベクターは、「濃縮」という形で得られる。ここで言う「濃縮」とは、物質の濃度が、例えば自然濃度の少なくとも約2、5、10、100あるいは1000倍であることを意味し、有益には0.01重量%、好ましくは少なくとも約0.1重量%である。重量%で約0.5%、1%、5%、10%および20%も適用可能である。配列、構成体、ベクター、クローンおよびその他の物質も好ましくは濃縮または分離した形で得られる。
【0025】
この発明の、ポリペプチド(またはポリヌクレオチド)に関連する記述中においてポリペプチドが「分離される」とは、このような物質が初めの環境(例えば自然発生の場合ならは、自然の環境)から取り出されることをいう。例えば、生物体内にある自然生成のポリヌクレオチドまたはポリペプチドは分離されないが、同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドでも、それが自然系内の共存物質の一部または全部から取り出されたものは分離されるのである。そのようなポリヌクレオチドが、或る1つのベクターおよび/またはそれらのポリヌクレオチドの一部であり得るか、あるいはポリペプチドが或る1つの組成物の一部であり得るであろうということであり、それらは確かに分離されはするが、しかもそのようなベクターまたは組成物が、依然として自然環境の一部ではない、という事情は変わらない。この発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、好ましくは分離状態で提供され、さらに好適には均質な状態になるまで精製される。
【0026】
この発明によるポリヌクレオチド、および遺伝子組換えまたは免疫原性のポリペプチドもまた「精製」という状態が良好である。「精製」という表現は、必ずしも絶対的な純度を要求するものではなく、むしろ相対的な定義であって、関連技術において通暁した人々によって理解される用語として、きわめて高度に精製して調製されたものも、または部分的に精製されて調製されたものも包含されるものとする。例えばcDNAライブラリーから分離された個々のクローンは、電気泳動的な均質度まで精製される。原始物質の精製は、2または3倍の段階まで、好ましくは4または5倍の段階まで精製される。さらに、重量%で0.001%、あるいは少なくとも0.01%または0.1%の、およびさらに1%の要求されるポリペプチドも明らかに好適である。
【0027】
「コーディング領域」とは、自然的なゲノム環境において、遺伝子の発現産物に対して自然的にまたは通常的にコードするその遺伝子の部分であり、これは生体内で遺伝子の原始の発現産物に対してコードする領域である。このコーディング領域は、正常の、変異された、または改変された遺伝子から、さらにまたDNA配列または遺伝子から、DNA合成に通常の知識を有する者によって知悉された方法により、すべて研究室内で合成することができる。
【0028】
この発明における「ヌクレオチド配列」とは、デオキシリボヌクレオチドのヘテロポリマーである。一般にこの発明によるタンパク質をコード化するDNAセグメントは、cDNA断片と短いオリゴヌクレオチドリンカーとから、または一連のオリゴヌクレオチドから組立てられ、かくして微生物またはウイルスオペロンから誘導された調節要素より成る組換え転写単位内において発現されることが可能な1つの合成遺伝子が形成される。
【0029】
「発現産物」とは、遺伝コード縮重の結果生じた等量を解読し、かくして同じアミノ酸に対してコード化する遺伝子および何らかの核酸配列の自然的な翻訳生成物であるところのポリペプチドまたはタンパク質のことである。
【0030】
コーディング配列に関連した場合に、「断片」とは、発現産物が、完全なコーディング領域の発現産物としての同一の生物的機能または活性を保持するような、完全なコーディング領域以下より成るDNAの一部分のことである。
【0031】
「プライマー」とは、1個のDNA鎖と対になって、DNAポリメラーゼがデオキシリボヌクレオチド鎖の合成を開始する場所となる遊離の3′OH末端を与えるところの短い核酸配列のことである。
【0032】
「プロモーター」とは、RNAポリメラーゼ(重合酵素)を連結して転写を開始することに関与するDNAの一部分を言う。
【0033】
「オープン読み取り枠」(ORF)とは、終止コドンなしでコード化する一連のトリプレット(三塩基連鎖)であって、タンパク質へと(潜在的に)翻訳可能な1つの配列である。
【0034】
この発明において、1つのDNA配列は、一本鎖と二本鎖状DNAとを含む。かくして特に異なる指定のない限り、特定の配列には、特定配列の一本鎖DNAと、補体が付随した配列の二重らせんと、そのような配列の補体とがある。
【0035】
この発明において配列に関連した場合に「パーセント同一性」または「パーセント同一である」とは、或る配列が、記述または特許請求された配列(基準配列という)と比較できるように整列(比較配列という)されたあとで、前記配列が記述または特許請求された配列(前記基準配列)と比較されることを意味する。そこでパーセント同一性は次式のように定義される:
パーセント同一性= 100[1−(C/R)]
ここでCは、前記基準配列と比較配列との間の全長にわたって、これら基準配列と比較配列との間に存在する差の数であり、ここで、
(i)比較配列内の対応する塩基およびアミノ酸を持たない基準配列内にある塩基およびアミノ酸と、
(ii)基準配列内に存在する各間隙、および
(iii)基準配列内にあって、比較配列内にある整列された塩基およびアミノ酸とは異なるところの、整列された塩基およびアミノ酸、
とによって1つの差の値が構成される。
【0036】
Rは、整列と基準配列とを加えた全長にわたって基準配列内に存在する塩基およびアミノ酸の数であり、基準配列内に生成された何らかの間隙も塩基およびアミノ酸の数として計数されるのである。
【0037】
1つの整列が、比較配列と基準配列との間にあって、かつ、この基準配列に対しては、前記計算によるパーセント同一性が或る特定の最小のパーセント同一性にほぼ等しいか、またはそれよりも大である場合には、前記比較配列は、基準配列に対して前記特定の最小のパーセント同一性を持つことになる。これは、整列が、前記算定されたパーセント同一性が前記特定のパーセント同一性より少ないところに存在すると思われる場合であっても結果に変わりはない。
【0038】
この発明は、配列識別番号2、4および6の何れか1つの配列と少なくとも75%同一であるアミノ酸配列より成る分離された新規なポリペプチドに関し、好ましくは、このポリペプチドが、前記配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列より成り、さらに好ましくは、配列識別番号2または4の配列と95%同一であり、最も好ましくは、ポリペプチドが配列識別番号2または4の何れかの配列を有するものである。
【0039】
この発明による分離ポリペプチドは微生物内に広く存在するが、A型連鎖球菌と、B型連鎖球菌および黄色ブドウ球菌より成るグループより選択された1種の生体内に普通に存在し、A型の連鎖球菌は化膿連鎖球菌であり、B型連鎖球菌は乳腺炎連鎖球菌である。また、この発明によるポリペプチドは、特に限定はされないが、肺炎連鎖球菌のSp36タンパク質のアミノ酸配列と少なくとも25%同一の配列を有する分離ポリペプチドが含まれる。
【0040】
さらにこの発明は、明細書中に開示された分離されたポリペプチドの遺伝学的に活性な断片に関する。
【0041】
ポリペプチドに関して「断片」、「誘導体」および「類似体」と言う場合は、そのようなポリペプチドと本質的に同一の生物的機能または活性を保持するようなポリペプチドを意味する。かくして1つの類似体とは、プロタンパク質の切断により励起されて、活性な成熟したポリペプチドを生成するようなプロタンパク質またはプレタンパク質等である。これらの断片、誘導体および類似体は、配列識別番号2、4または6のポリペプチドとの十分な類似性を有することにより、天然ポリペプチドの免疫原性が保持されることが必要である。
【0042】
この発明のポリペプチドは、組み換えポリペプチド、天然ポリペプチドまたは合成、好ましくは組み換え合成ポリペプチドであってもよい。
【0043】
配列識別番号2、4または6のポリペプチドの断片、誘導体または類似体は、下記の各々があるが、
(i)1個または複数個のアミノ酸残基が、保存配列または非保存配列のアミノ酸残基(好ましくは保存配列のアミノ酸残基)で置換され、かく置換された残基が遺伝コードによってコード化されるか、またはされないようなもの、または、
(ii)1個または複数個のアミノ酸残基が、1個の置換基を含むもの、または、
(iii)成熟ポリペプチドが、も一つ他の化合物、例えばポリペプチドの半減期を増加させる化合物と融合されたもの(例えばポリエチレングリコール)、または、
(iv)付加されたアミノ酸が成熟ポリペプチドと融合され、例えばリーダー配列または分泌配列、または成熟ポリペプチドあるいはプロプロテイン配列の精製のために使用される配列である場合、
のいずれであってもよい。このような断片、誘導体または類似体は、この分野において通常の技術の範囲にあるものと見なされる。
【0044】
通常の技術で知られるように、2種のポリペプチド間の「類似性」は、アミノ酸配列と1つの保存アミノ酸置換体とを第2のポリペプチドの配列と比較することによって判定される。
【0045】
この発明のポリペプチドの断片または部分は、ペプチド合成によって対応する全長ポリペプチドを生成するために使用される。つまりこれらの断片は全長ポリペプチド生成用の中間生成物として使用することができる。ポリヌクレオチドの断片または部分は、全長ポリヌクレオチドの生成に使用される。
【0046】
ポリペプチドに関連して使用される場合の、「部分」、「セグメント」、「断片」は、アミノ酸残基等の残基の連続配列で、長尺の配列の部分集合を形成する配列である。ポリペプチドが、例えばトリプシン、キモトリプシン、パパイン等のエンドペプチダーゼ酵素で処理されると、処理の結果生成されたオリゴペプチドは、原始ポリペプチドの部分、セグメント、断片を表すものである。
【0047】
また、この発明は分離ポリヌクレオチドに関し、そのポリヌクレオチド配列が、この発明によるポリペプチドを、好ましくは配列識別番号2、4および6のポリペプチドをコード化するコーディング領域を含み、最も好ましくは、前記ポリヌクレオチドが、配列識別番号1、3および5の配列より成る分離ポリヌクレオチドである。
【0048】
さらにこの発明は、前記配列の断片または部分に関し、その断片または部分は、少なくとも15の塩基、好ましくは少なくとも30の塩基、さらに好ましくは少なくとも50の塩基、最も好ましくは少なくとも80の塩基より成るものであり、またこの発明は、基準配列と少なくとも60%同一、好ましくは少なくとも80%同一、さらに好ましくは少なくとも95%同一、特に98%同一な配列に関し、さらにこの発明は、配列識別番号2、4および6の配列およびその断片および部分と同じポリペプチドをコード化し、さらに天然源から誘導された場合はそれらの対立遺伝子をも含んでコード化するところのDNA(またはRNA)配列にも関する。
【0049】
この発明のさらに他の観点からは、この発明は、1つの細菌遺伝子、特に発現された細菌遺伝子の少なくともコーディング領域(あるいはそのコーディング領域と同じポリペプチドをコード化する1つのDNA配列)を含む分離DNA(またはRNA)配列または分子に関し、その細菌遺伝子は、1個のDNA配列を含み、そのDNA配列は、配列識別番号1、3および5に記載された配列に相同または貢献するものであり、あるいは少なくとも前記配列と60%同一、好ましくは少なくとも80%同一、さらに好ましくは少なくとも95%同一、特に98%同一で、さらには100%同一な1つの配列に相同または貢献するものである。さらにコーディング領域によってコード化されるポリペプチドと類似の機能を有するポリペプチドをコード化する前記コーディング領域の断片又は部分をも含む。かくして、分離DNA(またはRNA)配列は、発現遺伝子のコーディング領域のみを有するか、さもなくばさらに発現された細菌遺伝子のコーディングされないDNA(またはRNA)のすべてまたはその一部分を有することが可能となる。
【0050】
一般に、配列識別番号1、3および5の配列(またはその配列に少なくとも60%同一、好ましくは少なくとも80%同一、さらに好ましくは少なくとも95%同一あるいは相同の配列)に相同または貢献する配列は、1つの細菌遺伝子のコーディング領域から得られるのである。
【0051】
この発明のポリヌクレオチドは、配列識別番号1、3および5の配列と、さらにそのあらゆる断片を含んだ配列を内包する遺伝子配列と、ある程度までハイブリッド形成可能なポリヌクレオチドの混合物の形態で現れ、前記ポリヌクレオチド混合物は、かかるポリヌクレオチド、またはその断片で少なくとも10ないし30個の配列または断片の混合物を含むものから成るものが適切である。
【0052】
この発明のポリヌクレオチドの全長より成る断片は、ハイブリッド形成用プローブとして使用され、完全長のDNAを分離し、また遺伝子と高い配列類似性あるいは類似の生物学的活性を有する他のDNAを分離することができる。このタイプのプローブは、好ましくは少なくとも15塩基、少なくとも30塩基、さらには50塩基またはそれ以上の数の塩基から成る。このプローブは、完全長転写体に対応するDNAクローンを特定し、また調節およびプロモーター領域を有する完全な遺伝子を含む1個またはそれ以上のクローンを特定するためにも使用することができる。篩い分けの一例としては、既知のDNA配列を使用することにより遺伝子のコーディング領域を分離し、これによってオリゴヌクレオチドを合成する。標識付けされたオリゴヌクレオチドは、プローブが、ライブラリーのどの成員をハイブリッド形成するかを判定するために使用される。
【0053】
開示されたポリヌクレオチドより成るベクター、およびそれらのベクターおよび/またはポリヌクレオチドより成る遺伝子操作された細胞も、この発明に属するものである。かくして、この発明は、この発明のポリヌクレオチドより成るベクター、この発明のベクターで遺伝子操作された宿主細胞より成るベクター、およびこの発明のポリペプチドの遺伝子組み替えによる生成物より成るベクターにも関する。
【0054】
宿主細胞は、一般にこの発明によるクローニングベクター、発現ベクター等によって遺伝子操作される。ベクターは、例えばプラスミド、ウイルス粒子、ファージ等の形態のものである。操作される宿主細胞は、プロモーターを活性化し、形質転換細胞を選択し、あるいは発明による遺伝子を増幅するように適切に調製された従来の栄養培地内で培養されることが可能である。温度、pHその他の培養条件は、発現のために選択された宿主細胞に関して以前から使用されているものであり、この分野においては通常の技術である。
【0055】
この発明のポリヌクレオチドは、組み換え技術によってポリペプチドを生成するために使用することができる。かくして例えばポリヌクレオチドは、1つのポリペプチドを発現させるために種々の発現ベクター内に含ませることができる。これらのベクターの例は、染色体DNA、非染色体DNAおよび合成DNAの配列、例えばSV40の誘導体;細菌プラスミド;ファージDNA;バキュロウイルス;酵母菌プラスミド;プラスミドおよびファージDNAと、ワクシニア、アデノウイルス、家禽発疹ウイルス、狂犬病等のウイルスDNAとの組み合わせから誘導されたベクター等である。なお宿主内で複製可能で生存可能ならば何れのベクターも使用できる。
【0056】
適切なDNA配列は、種々の手法でベクター内に挿入される。一般にDNA配列は、公知の手法により適切なエンドヌクレアーゼ部位に挿入される。これらの手法その他は、当該技術分野における通常の技術と見なされる。
【0057】
発現ベクター内のDNA配列は、適切な発現制御配列(プロモーター)に連接されて作動し、mRNA合成を実行する。前記プロモーターの代表的な実例としては、原核細胞または真核細胞、あるいはそれらのウイルス内の遺伝子の発現を制御するものとして知られている、LTRまたはSV40プロモーター、大腸菌lac.又はtrp.、ファージラムダPLプロモータおよびその他のプロモーターがある。また発現ベクターには、翻訳開始のためのリボゾーム結合部位、および転写終結区が含まれる。さらに発現ベクターには、発現を増幅するための適切な幾つかの配列も含まれている。
【0058】
さらに発現ベクターには、好ましくは選択可能な1つまたは複数個の標識遺伝子が含まれ、これによって形質転換された宿主細胞の選択に対して必要な例えばジヒドロ葉酸レダクターゼ耐性等の表現型特質を提供するものであり、あるいは真核細胞培養のためのネオマイシン耐性、さらには大腸菌内におけるテトラサイクリン耐性またはアンピシリン耐性を提供するのである。
【0059】
前記の適切なDNA配列より成るベクター、ならびにプロモーターまたは制御配列は、適切な宿主細胞を形質転換するために使用され、その宿主が所定のタンパク質を発現できるようにする。
【0060】
前記適切な宿主細胞の代表的な実例としては、大腸菌、ストレプトミセス属、ネズミチフス菌等の細菌細胞;酵母菌等の菌類細胞;ショウジョウバエ S2およびSpodoptera Sf9等の昆虫細胞;CHO、COSまたはBowes黒色腫等の動物細胞;および植物細胞等である。適切な宿主の選択は、この明細書中の記載により当該技術分野における通常の技術と見なされる。
【0061】
さらに詳細には、この発明は前記広範囲に記載の1または2以上の配列より成る遺伝子組み換え構成体が包含される。この構成体は、前進または復帰方向に配向して、この発明の配列が挿入されたプラスミド、またはウイルスベクター等の1つのベクターを備える。好適な実施例においては、前記構成体は、さらに、例えば前記配列と動作的に連接されたプロモーターより成る調節配列を有する。きわめて多数の適切なベクターおよびプロモーターが知られ、商業的に入手可能である。下記各ベクターは、それらの実例であり、
細菌系では:pQE70,pQE60,pQE−9(以上製造者名Qiagen);pBS,pD10,ファージ転写体,phiX174,pBluescript SK,pBSKS,pNH8A,pNH16a,pNH18A,pNH46A(以上製造者名Stratagene);pTRC99A,pKK223−3,pKK233−3,pDR540,pRIT5(以上製造者名Pharmacia);真核細胞系では:pWLNEO,pSV2CAT,pOG44,pXT1,pSG(以上Stratagene);pSVK3,pBPV,pMSG pSVL(以上Pharmacia)等である。
【0062】
なお宿主細胞内で複製可能で生存可能ならば、何れのプラスミドあるいはベクターも使用できる。
【0063】
プロモーター領域は、CAT(クロラムフェニコール トランスフェラーゼ)ベクターまたは選択可能な遺伝標識を使用することによって任意の遺伝子から選択することができる。2個の適切なベクターは、pKK232−8およびpCM7である。特に列挙すべきプロモーターは、lacl,lacZ,T3,T7,gpt,ラムダPR,PL,およびtrpである。真核プロモーターはCMV即時初期、HSVチミジンキナーゼ初期および後期SV40、レトロウイルスからのLTRsおよびマウスメタロチオネイン−1である。適切なベクターおよびプロモーターの選択は、この技術分野の通常の技術に属する。
【0064】
さらに他の実施例では、前記構成体を含む宿主細胞に関連する。この宿主細胞は、哺乳動物細胞のような高度な真核細胞でも、酵母菌細胞のような低度の真核細胞でも、また細菌細胞のような原核細胞でもよい。前記構成体の宿主細胞への導入は、リン酸カルシウム形質移入、DEAEデキストラン仲介形質移入、エレクトロポレーション(電気穿孔法)によって実行可能である(Davis.L.,Dibner,M.,Battey,I.著Basic Method in Molecular Biolobyを参照)。
【0065】
宿主細胞内の構成体は、組み換え配列によってコード化された遺伝子産物を生成させるために使用される。或いはこの発明のポリペプチドは、在来のペプチド合成機により合成することができる。
【0066】
成熟タンパク質は、哺乳類の細胞、酵母菌、細菌または適切なプロモーターで制御された他の細胞内で発現させることができる。細胞のない翻訳組織も、発明のDNA構成体から誘導されたRNAを使用して前記成熟タンパク質を生成することができる。真核および原核細胞宿主と共に使用されるクローニングおよび発現ベクターは、Sambrook,et al.著、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor,N.Y.,(1989年)に記載されている。この文献の開示内容は、本願明細書の一部として参考にする。
【0067】
高級な真核細胞によってこの発明のポリペプチドをコード化するDNAの転写は、ベクター内にエンハンサー(増強構造)配列を挿入することによって促進される。エンハンサーはDNAのシス作用要素であって、通常10ないし300塩基対より成り、プロモーターに作用してその転写を促進させる。実例としては、塩基対の複製起点の100ないし270塩基対だけ後期側にあるSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、塩基対の複製起点の後期側にあるポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサー等である。
【0068】
一般に、組み換え発現ベクターは、複製起点、および宿主細胞の形質転換を可能にする選択可能な遺伝標識、すなわち、大腸菌のアンピシリン耐性遺伝子、ビール酵母菌Trp 1 遺伝子、下流構造遺伝子の転写を生起させる高度発現遺伝子から誘導されたプロモーター等である。これらのプロモーターは、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ、αファクター、酸性フォスファターゼ、熱ショックタンパク質、その他等の解糖酵素をコード化するオペロンから誘導することができる。異種構造配列は、翻訳開始および終結配列、好ましくはさらに、翻訳されたタンパク質を周辺細胞質空間または細胞外培地へ分泌させることが可能なリーダー配列より成る適切な段階を経て組み立てられる。必要に応じ、前記異種配列は、被発現組み換え生成物の安定または単純精製を可能ならしめるN末端特定ペプチドを含む融合タンパク質をコード化することができる。
【0069】
細菌用の有用な発現ベクターは、所要のタンパク質をコード化する構造DNA配列と、適切な翻訳開始および終結信号とを、機能プロモーターを有する読み取り相に挿入する。このベクターは、1つまたは2つ以上の表現型選択可能な遺伝標識と複製起点とを備え、必要に応じ、宿主内での増幅を可能にする。形質転換用の適切な真核宿主細胞は、大腸菌枯草菌ネズミチフス菌ならびにシュードモナス属、ストレプトミセス属およびブドウ球菌属の種々の種があるが、その他も必要に応じ選択できる。
【0070】
代表的ただし限定されない実例として、細菌用の有用な発現ベクターは、公知のクローニングベクターpBR322−3(ATCC 37017)の遺伝的要素より成る市販入手可能のプラスミドから誘導された選択可能な遺伝標識、および細菌複製起点である。このような市販のベクターは、例えばpKK223−3(製造者名Pharmacia Fine Chemicals,Uppsala,Sweden)およびGEM1(製造者名Promega Biotec,Madison,WI,USA)である。前記pBR322の「バックボーン」部分は、適切なプロモーターおよび発現されるべき構造配列に結合されている。
【0071】
適宜の宿主菌種の形質転換、およびその菌種の適切な細胞密度までの成長に引き続いて、選択されたプロモーターが、適宜の方法(例えば温度シフトまたは化学的な導入)によって導入され、細胞はさらに一定期間培養される。
【0072】
細胞は、遠心分離ののち、物理的または化学的方法で破砕されて通常通りに収集され、得られた粗抽出物は以後の精製を控えて保存される。
【0073】
タンパク質の発現に使用される微生物細胞は、凍結融解、循環、超音波処理、機械的破砕、または細胞溶菌薬剤の使用、等適宜の方法によって破砕されるが、これらはこの技術分野において周知の方法である。
【0074】
種々の哺乳類細胞培養機構が使用されて、組み換えタンパク質が発現される。哺乳類発現機構の実例は、文献Gluzman,Cell,23:175(1981)に記載されたサルの腎臓の繊維芽細胞のCOS−7系、または和合性ベクターを発現する種々の細胞系、例えばC127,3T3,CHO,HeLaおよびBLK細胞系である。哺乳類発現ベクターは、複製起点、適宜なプロモーターとエンハンサー、および必要なリボゾーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナーおよびアクセプター部位、転写終結配列、および5′フランキング非転写配列等を含む。SV40スプライスから誘導されたDNA配列、およびポリアデニル化部位も使用されて、必要な非転写遺伝要素が提供される。
【0075】
ポリペプチドは、組換え細胞培養体から、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、陽イオンまたは陰イオン交換クロマトグラフィ、燐酸セルロースクロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、アフィニティクロマトグラフィ、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィおよびレクチンクロマトグラフィ等の方法によって回収し、精製することができる。必要に応じ、成熟タンパク質の形状完成のためのタンパク質再折りたたみステップを適用することもできる。最終的に、高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)を最終精製ステップとして使用することができる。
【0076】
この発明のポリペプチドは、自然的に精製された生成物、化学的な合成手法の生成物、原核あるいは真核細胞の宿主(例えば細菌、酵母菌、高等植物、昆虫および哺乳類の培養細胞)からの遺伝子組み換え生成物、の何れであってもよい。遺伝子組み換え生成過程で使用された宿主に依存して、この発明のポリペプチドは、グリコシル化、あるいは非グリコシル化の何れかの処理をされる。この発明のポリペプチドは初期のメチオニンアミノ酸残基を含んでもよい。
【0077】
この発明のポリペプチドは、臨床的に使用される場合は、その使用を容易ならしめるために医薬学的に許容可能な希釈剤または賦形剤中に懸濁させることができ、前記使用は広く連鎖球菌およびブドウ球菌の感染を予防するためのワクチンとしての用途も含まれる。
【0078】
この発明の他の見地によれば、配列識別番号2、4および6より成る群より選択されたポリペプチド配列と少なくとも75%同一、好ましくは90%、さらに好ましくは95%同一な少なくとも1個のポリペプチドを包含するワクチンが提供される。推定的なワクチンに対する類似体における前記変形例は、この技術分野において公知である(例えば、感染および免疫、1998年5月号、p.2143−2153の、ハンセン他(Hansen et al.)による論説「Borrelia burgdorferi Decorin結合タンパク質A(DbpA)に対する能動的および受動的免疫」および感染および免疫、1998年11月号、p5275−5285の、ロバーツ他(Roberts et al.)による論説「Borrelia burgdorferi Decorin結合タンパク質AおよびBより成る遺伝子内における異質性」を参照)。このような観点は、この発明中に開示されたポリペプチドの部分、セグメントあるいは断片にも同様に適用可能である。
【0079】
前記セグメントは多岐な用途を有する。例えばこの発明のポリペプチドのセグメントは、より高い分子量の構成体の合成における中間生成物として、この発明の範囲内で使用される。
【0080】
「活性断片」とは、例えばラビット、マウス、さらにヒトをも含む哺乳類その他の動物に、単独、あるいは適切なアジュバントとともに投与された場合に、免疫応答(すなわち免疫原性活性を有すること)を発生する断片を意味する。
【0081】
この発明のさらに他の見地によれば、前記のタイプのワクチンは、連鎖球菌、ブドウ球菌その他多くの関連する生体による感染を予防または治療するために投与される。
【0082】
この発明によるワクチンは、前記詳説のポリペプチド、またはその活性断片を含むことができる。2種以上のポリペプチド、または活性断片が使用される場合は、例えば2または3種以上のポリペプチドおよび/または活性断片を、物理的な混合物または2または3種以上のポリペプチドまたは活性断片の融合体として使用することができる。融合体ポリペプチドまたは融合体断片は、例えば遺伝子組み換え方法、あるいは、前もって調製されたポリペプチドまたは活性断片を融合するための適切なリンカーを使用することによって生成することができる。
【0083】
多くの場合、ポリペプチドまたは活性断片内における変種生成は、通例的なアミノ酸置換体であるが、他の置換体は、この発明の範囲に属する。
【0084】
ポリペプチドの変異型は、その内部で1個または複数個のアミノ酸が置換および/または欠如および/または挿入された変異型の何れも可能であり、何れもこの発明に属する。
【0085】
この発明の他の見地によれば、この発明は、この発明のポリペプチドまたはポリペプチドの活性断片に対する抗体から形成された受動的免疫ワクチンに関する。この受動的免疫ワクチンは、患者体内での連鎖球菌およびブドウ球菌を予防し治療するために利用される。この発明のさらに他の見地によれば、ワクチンを、この発明の合成または組み換えのポリペプチドあるいはそれらのポリペプチドに対する抗体から生成することができる。
【0086】
さらに他の見地によれば、この発明は、この発明の前記各ポリペプチドに対する1または2以上の抗体(モノクローナル、ポリクローナル、または血清)を、連鎖球菌およびブドウ球菌によって生起される疾病の予防および/または治療のために使用する方法に関する。特にこの発明は、連鎖球菌およびブドウ球菌によって生起される感染性の疾病の予防および/または治療する方法に関する。さらに好適な見地によれば、この発明は、ヒトの壊死筋膜炎、猩紅熱、敗血症および新生児の諸疾患等の疾患を予防および/または治療するために、この発明のワクチンを利用する方法に関する。
【0087】
一般にワクチンは、溶液または懸濁液の形で注射用に調製される。油脂基材内のワクチンも例えば吸引用として周知である。固形で、使用前に溶解または懸濁させるものも調製される。薬学的な担体、希釈剤または賦形剤は、活性成分と和合し、薬学的用途に適するものが添加される。担体の実例としては、水、食塩水、デキストロース、グリセロール等がある。担体の組み合わせも使用できる。
【0088】
さらにワクチン組成物には、pHを安定させ、あるいはアジュバント、湿潤剤、乳化剤として機能させるための添加物を加えて、ワクチンの薬効を改善することができる。
【0089】
一般にはワクチンは非経口投与用に調製され、皮下あるいは筋肉内注射に使用される。またワクチンは公知の方法により、座薬または経口投与用として、あるいは鼻孔または気管経由用としても調製される。
【0090】
病原性細菌に対する免疫効果の十分なワクチン量は、この分野で周知の方法によって判定される。この量は、ワクチン賦形剤の特性および必要な免疫性の水準に基づいて判定される。通常、投与すべきワクチンの量は、通暁した医師の判断に基づいて決定されることが望ましい。ワクチンが皮下あるいは筋肉内注射で投与される場合には、0.5ないし500マイクログラムの精製タンパク質の量の範囲が使用されている。
【0091】
さらにこの発明は、この発明のポリペプチドまたはその活性断片が、そのポリペプチドまたはその活性断片をコード化するポリヌクレオチドの形で提供され投与されるワクチンにも関し、これにより、前記ポリペプチドまたはその活性断片が生体内で生成される。前記ポリヌクレオチドは、適当な発現ベクター内にあって、薬学的に許容可能な担体と結合されていてもよい。
【0092】
かくして、この発明は、開示されたポリペプチドの若干個を包含するワクチン組成物に関し、前記ポリペプチドは、免疫応答を生成するための有効量で存在し、また前記ポリペプチドが薬理学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤中に懸濁されたものである。
【0093】
前記ワクチン組成物は生体のワクチンより成る組成物で、Streptococcus gordoniae,腸チフス菌等の生体を含有し、その生体が、この発明に開示された組み換えポリペプチドを保有するものである。
【0094】
さらに、この発明によるポリペプチドは、抗体の生成を刺激する免疫原として使用することができ、前記抗体は、受動免疫療法で使用され、診断試薬として使用され、さらに、他の過程例えばアフィニティクロマトグラフィ等における試薬としても使用される。
【0095】
また、この発明は、連鎖球菌およびブドウ球菌に起因する種々の疾病の予防方法に関連し、その予防方法は、動物、特にヒトが前記疾病に罹患した場合にワクチンを投与する方法である。
【0096】
さらに、開示された発明は治療に関連し、この発明のポリペプチドが誘導される元の生体に起因する疾病に罹患した動物、特にヒトを治療するもので、その治療は、特に限定されないが、前記疾病に罹患した動物、特にヒトに対して薬学的に治療有効量の抗体を、あるいは開示のポリペプチドに対する抗体の混合物を投与することを包含するものである。
【0097】
この発明に開示のポリペプチドに対して特異的な抗体は、ポリクローナルあるいはモノクローナルのいずれであってもよく、さらに抗血清の形態であってもよい。抗体が事実上モノクローナルの場合は、モノクローナル抗体の従来の生成方法で、すなわち従来のハイブリドーマ細胞(融合雑種腫瘍細胞)から生成されればよく、または、この発明のポリペプチドに対して特異的に相補性の可変区域の配列を有する抗体分子の、異なる重鎖と軽鎖に対して、特異的にコード化する遺伝子を含むベクターによって形質転換された遺伝操作された細胞によって、前記抗体が生成されてもよい。かく組み換え生成された抗体は、使用された細胞発現機構の形態の如何により、2量体でも、または4量体の形態であってもよい。
【0098】
この発明を、以下の実施例に関連してさらに詳細に説明し、また発明のさらに他の実施例も当業者にとって類推できるはずであり、このような実施例も、この明細書中に開示されたものと見なされる。
【0099】
【発明の実施の形態】
実施例1
肺炎連鎖球菌のSp36遺伝子に特異的なプローブを使用した染色体DNAのサザンブロット分析
細菌を一晩成長させた後、ゲノムDNAを、黄色ブドウ球菌、化膿連鎖球菌(A型)および乳腺炎連鎖球菌(B型)から分離した。DNAを制限酵素(BamHIおよびPvuII)を使用して一晩保温したのち、DNA断片をアガロースゲル電気泳動させ、ナイロン膜に移動させた。膜を、エイマシャム・ファーマシア・バイオテク・インコーポレイテッド製のキットを使用したランダムプライマーでフルオレセイン標識された全Sp36オープン読み取り枠をコード化するDNAでプローブした。ハイブリッド形成と洗浄を低い緊縮条件下(45℃、5×SSC緩衝液でハイブリッド形成;45℃、1×SSCで1次洗浄、45℃、0.5×SSCで2次洗浄)で実行した。ここでSSCは、150mM NaCl,15nMクエン酸ナトリウム、pH7.0であり、全水分はそれぞれ50mLより成る。
【0100】
ハイブリッド形成と洗浄の完了後、対フルオレセイン抗体を使用してキットの製造者の指示に従ってプローブを検出した。肺炎連鎖球菌の菌株SJ2(血清型6B)からの消化されたDNAを正の調節として使用した。フルオレセイン標識されたバクテリオファージラムダDNAを制限ヌクレアーゼHindIIIで消化してサイズマーカーとして使用した。
【0101】
消化された黄色ブドウ球菌DNA(約4.5キロベース BamHI 断片、約5キロベース PvuII断片)内でSp36プローブを単一断片とハイブリッド形成させ、さらにA型連鎖球菌ゲノムDNA(約4.0キロベースおよび約4.2キロベース)の血清型M1のPvuII消化内で、2個の主要断片とハイブリッド形成させた。
【0102】
実施例2
Sp36予告アミノ酸配列を使用したブラスト分析
Sp36コード化タンパク質配列と、公式に入手したデータベース(未完成の微生物データベースが含まれる(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/unfinishedgenome.html))との比較により、2つのきわめて相同であるアミノ酸配列が判明した。その1つは、化膿連鎖球菌ゲノムから予告されたアミノ酸配列であった。予告されたこのポリペプチド含有の825アミノ酸残基(分子量92,616ダルトン)は、肺炎連鎖球菌4血清型からのSp36アミノ酸配列に対して25.1%同一であるが、5個のヒスチジン三つ組は維持されていた(図5(a)中に下線、配列識別番号2)。もう1つのポリペプチドは化膿連鎖球菌データベース中でコード化され、若干の過誤があったので、この領域のゲノムを我々が配列して訂正した。得られたDNA断片は、肺炎連鎖球菌の配列に12.6%同一で、第1の化膿連鎖球菌に12.5%同一である792個のアミノ酸(分子量87,457ダルトン)の内の1個をコード化した。予告されたこのアミノ酸配列は、4個のヒスチジン三つ組モティーフを含んでいた(図5(b)中に下線、配列識別番号4)。得られた第3のポリペプチド配列は、前記データベースにあったものの1つで(アクセッション番号AF62533)乳腺炎連鎖球菌内のlmbとして特定された遺伝子から下流にある1つの未知の遺伝子としてのみ特定された。この822アミノ酸タンパク質は予告分子量が92,353Da(ダルトン)で、5個のヒスチジン三つ組モティーフを保有する(図5中に下線、配列識別番号6)。この第2のポリペプチドは肺炎連鎖球菌4血清型のSp36と25.6%配列同一で、A型の2個の相同体の各々とは、それぞれ97.6%および11.6%配列同一を示す。
【0103】
実施例3
A型連鎖球菌Sp36相同体プローブを使用したサザンブロット分析
A型連鎖球菌ゲノムのM1血清型からクローンされたA型連鎖球菌Sp36相同体をコード化する、フルオレセイン標識されたDNA断片をプローブとして、サザンブロット分析を実行した。この断片を使用して、A型連鎖球菌ゲノムのM6血清型からの、および、B型連鎖球菌ゲノムの血清型1aおよび血清型3からの、さらに肺炎連鎖球菌の菌株SJ2(血清型6B)からの、各ゲノムDNAをプローブした。すべての場合において、ハイブリッド形成を低緊縮条件(前記参照)で実行した際に、BamHIで消化されたDNA内に単一のバンドが得られた。20kb(キロベース)の1個のバンドが、A型連鎖球菌DNA内に眼視され、約4.5kbがB型連鎖球菌のために得られ、さらに4kbのバンドが肺炎連鎖球菌のために見られた。
【0104】
実施例4
抗肺炎連鎖球菌Sp36血清型によるB型連鎖球菌相同体の反応性のウェスタンブロット分析
肺炎連鎖球菌からの組み換えSp36に対して採用された血清型が、B型肺炎連鎖球菌でコード化された組み換えSp36相同体を認識するか否かを判定するために、ウェスタンブロット分析を実行した。肺炎連鎖球菌の血清型4からクローンされた組み換えSp36ポリペプチドと、あるいは、B型連鎖球菌生体から、クローンされたSp36相同体のいずれか、または同様な過程で発現され精製された無関係な組み換えタンパク質対照、その各々の100ナノグラム(100ng)を、12%アクリルアミドを含有するSDS−PAGEの試験に供した。肺炎連鎖球菌の菌株SJ2の細胞溶菌液(血清型6B)もゲル上に含ませた。電気泳動ののち、分離されたタンパク質をニトロセルロース膜上に移動させ、組み換え肺炎連鎖球菌タンパク質に対して採用されたラビットポリクローナル抗血清によってプローブした。結合された抗体は、セイヨウワサビペルオキシダーゼに接合されたヤギ抗ラビットIgG抗体により、ECL基板(製造者名エイマシャム)を使用して、化学ルミネッセンス法で前記抗体を検出した。この結果によれば、肺炎連鎖球菌のSp36タンパク質に対して採用された抗血清は、B型肺炎連鎖球菌から特定された相同体と交差反応することが論証され、従ってタンパク質間にエピトープが保存されることが示される。B型連鎖球菌相同体も、肺炎連鎖球菌の溶菌液内で検出されたタンパク質とほぼ同一サイズである。A型およびB型相同体は高度に相同性なので、もし同一でない場合は、前記血清型は、A型連鎖球菌のタンパク質と交差反応するものと推測される。
【0105】
実施例5
A型およびB型連鎖球菌のSp36相同体と肺炎連鎖球菌Sp36の予告アミノ酸配列の整列
A型およびB型連鎖球菌からのSp36遺伝子から予告されるアミノ酸配列を、DNAStar Computer package(DNAStar, Inc.,Madison,WI、米国)内のクラスタルアルゴリズムを使用して整列した。肺炎連鎖球菌遺伝子によってコード化された配列に適合するアミノ酸を図2(整列の結果を示す)中にボックス表示した。整列によって配列内に導入された間隙を破線で示した。
【0106】
実施例6
Sp36相同体の間の配列パーセント同一性
肺炎連鎖球菌からのSp36アミノ酸配列は、B型連鎖球菌の相同体遺伝子の予告アミノ酸配列とは25.6%同一であり、また、A型連鎖球菌からの2つの遺伝子の推定された配列とは25.1%および12.6%同一である。さらにB型相同体は、A型連鎖球菌からの第1(GAS36)および第2(GAS36(2))の相同体と97.7%および11.6%それぞれ同一である。これらの実験によれば、肺炎連鎖球菌からのSp36と相同性の遺伝子は、A型およびB型連鎖球菌ならびに黄色ブドウ球菌内に存在することが判明する。すなわちこの遺伝子でコード化されたタンパク質は、異なる生体内で同一の機能を果たす。このことは、これらの1または2以上のタンパク質より成るワクチンが、前記各々の種に対して広範囲にわたり同一の予防性を示すことを示唆する。これらの結果を表1に要約し、この表1中において、肺炎連鎖球菌菌株ノルウェー4型からのSp36アミノ酸配列(血清型4)と、M1血清型からのA型連鎖球菌Sp36相同体と、菌株R268からのB型連鎖球菌Sp36との間のパーセント同一性示す。
【0107】
【表1】
Figure 0004749641
【0108】
表中の各遺伝子の配列識別番号は:GAS36=配列識別番号2、GAS36(2)=配列識別番号4、GBS36=配列識別番号6である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 黄色ブドウ球菌、化膿連鎖球菌および肺炎連鎖球菌から得られたゲノムDNAのサザンブロット分析の結果を示す特性図
【図2(a)】 肺炎連鎖球菌菌株N4からのp36アミノ酸配列と、化膿連鎖球菌および乳腺炎連鎖球菌からの相同体配列との間の整列を示す配列図
【図2(b)】 肺炎連鎖球菌菌株N4からのp36アミノ酸配列と、化膿連鎖球菌および乳腺炎連鎖球菌からの相同体配列との間の整列を示す配列図
【図2(c)】 肺炎連鎖球菌菌株N4からのp36アミノ酸配列と、化膿連鎖球菌および乳腺炎連鎖球菌からの相同体配列との間の整列を示す配列図
【図3】 化膿連鎖球菌からの全長Sp36相同体をコード化するDNAでプローブされた化膿連鎖球菌、乳腺炎連鎖球菌および肺炎連鎖球菌からのゲノムDNAのサザンブロット分析の結果を示す特性図
【図4】 肺炎連鎖球菌菌株ノルウェー4型からクローンされた組み換えSp36タンパク質に対して発生されたラビットポリクローナル抗血清を使用したウェスタンブロット分析の結果を示す特性図
【図5(a)】 ヒスチジン三つ組領域を有するGAS36相同体に対するアミノ酸配列を下線表示した配列図
【図5(b)】 ヒスチジン三つ組領域を有するGAS36相同体に対するアミノ酸配列を下線表示した配列図
【図5(c)】 ヒスチジン三つ組領域を有するGBS36相同体に対する配列を下線表示した配列図
【配列表】
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Claims (1)

  1. 配列識別番号4の配列と少なくとも75%同一であるアミノ酸配列より成る分離ポリペプチドであって、配列識別番号4のアミノ酸配列を有する分離ポリペプチド
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