以下、図面を参照しながら、本実施の形態について説明する。なお説明の便宜のため、X方向、Y方向、Z方向が導入されている。
実施の形態1.
まずは図1を用いて、本実施の形態の第1例に係る放熱装置の構成上の大まかな特徴について説明する。図1は、実施の形態1の第1例に係る放熱装置の構成を示す概略断面図である。図1を参照して、本実施の形態の第1例の放熱装置101は、基板11と、実装部品21と、放熱部材31とを主に備えている。基板11は、一方の主表面である第1の主表面11aと、第1の主表面11aの反対側の他方の主表面である第2の主表面11bとを有している。図1においては第1の主表面11aは基板11のうち特に基板本体12のZ方向の最上部の表面である。図1においては第2の主表面11bは基板11のうち特に基板本体12のZ方向の最下部の表面である。実装部品21は、基板11の第1の主表面11a上に、高い熱伝導性を有する接合材料であるはんだボール32を介して載置されている。実装部品21は、駆動により熱を発する発熱部品22を含んでいる。すなわち基板11の第1の主表面11aの上方には、発熱部品22が配置されている。
基板11は、基板本体12を主体とし、たとえば矩形の平面形状を有する板材である。すなわち基板11の基板本体12は、XY平面に沿う方向において矩形状の第1の主表面11aおよび第2の主表面11bを有し、Z方向についてある厚みを有する板材である。基板11は、熱伝導部13と、内層配線14とを含んでいる。熱伝導部13は、発熱部品22の発する熱を、たとえば図のZ方向の上側から下側へ伝える機能を有している。このため熱伝導部13はZ方向に沿って延びている。内層配線14は、基板11内にて熱伝導部13と接続されるように形成されている。ここでは内層配線14は基板11内にて熱伝導部13と熱的および電気的に接続されるように形成されている。
熱伝導部13は、第1の熱伝導部13aと、第2の熱伝導部13bとを有している。第1の熱伝導部13aは、発熱部品22と平面視にて重なる領域を含んでいる。図1においては第1の熱伝導部13aは、その全体が発熱部品22と平面的に重なっている。第1の熱伝導部13aは、基板11の特に基板本体12を第1の主表面11aからその反対側の第2の主表面11bまでこれを貫通するように形成された孔部15の内部のほぼ全域を充填するように配置されている。すなわち第1の熱伝導部13aは、基板11の特に基板本体12を第1の主表面11aから第2の主表面11bまで貫通するように配置されている。第1の熱伝導部13aは、たとえば孔部15内に配置された、導電性材料からなるコアなどの構造体である。具体的には、第1の熱伝導部13aは、銅などの熱伝導率の高い材料の金属塊により形成されている。以下においてこのような金属塊をコア材と呼ぶこととする。
これに対し、第2の熱伝導部13bは、図のX方向またはY方向について、第1の熱伝導部13aと間隔をあけて第1の熱伝導部13aの周囲に配置されている。第2の熱伝導部13bも、基板11の特に基板本体12の内部に、たとえば図のZ方向に延びるように形成された孔部15の内部のほぼ全域を充填するように配置されている。ただし第2の熱伝導部13bは、第1の主表面11aおよび第2の主表面11bの少なくともいずれかと間隔をあけて配置されている。第2の熱伝導部13bは、たとえば孔部15内に配置された、導電性材料からなるコアなどの構造体である。具体的には、第2の熱伝導部13bは、銅などの熱伝導率の高い材料の金属塊すなわちコア材により形成されている。
言い換えれば、第2の熱伝導部13bをその内部に配置する孔部15は、第1の主表面11aおよび第2の主表面11bの少なくともいずれかには露出しないように、それよりも内側に形成されている。たとえば図1においては、第2の熱伝導部13bをその内部に配置する孔部15は、第1の主表面11aには露出せず第2の主表面11bのみに露出するよう、つまり第2の主表面11bのみに通じるよう、形成されている。その結果として、図1の第2の熱伝導部13bは、第2の主表面11bに露出し、第1の主表面11aには通じず第1の主表面11aとはZ方向について間隔をあけるように配置されている。以下、図1の放熱装置101についてより詳細に説明する。
<基板の構成>
基板11は、たとえばプリント配線基板である。基板11の基板本体12は、一般公知の樹脂材料により形成されている。後述するように基板本体12は、Z方向について図1の基板11よりも厚みが薄い板材が複数、Z方向に積層されそれらが一体となるように形成されている。この複数積層された薄い板材のそれぞれの一方または他方の主表面上には、内層配線14のパターンが形成される。内層配線14のパターンは、たとえば銅により形成された薄膜のパターンである。
孔部15は、基板11の第1の主表面11aから第2の主表面11bまで、基板本体12を貫通するものと、Z方向について基板本体12の一部のみを延び、第1の主表面11aまたは第2の主表面11bのいずれかのみに通じるものとを有する。このうち前者の第1の主表面11aから第2の主表面11bまで基板本体12を貫通する孔部15は、図1におけるX方向の中央部に形成されており、発熱部品22と平面視にて重なる領域を含むように形成されている。図1において、このような基板本体12を貫通する孔部15は、基板本体12の中央部に1つのみ形成されている。そしてこの孔部15の内部に、第1の熱伝導部13aが挿入されている。これに対し、後者の基板本体12の一部のみを延び貫通しない孔部15は、図1において第1の熱伝導部13aの挿入される孔部15の周囲に、これとX方向およびY方向について互いに間隔をあけて複数、形成されている。図1において、複数の貫通しない孔部15のうち一部の孔部15は第1の主表面11aからZ方向下側に延びている。これらの孔部15は図1におけるZ方向の上側に形成されるため、以降においてこれを上側の非貫通の孔部15と呼ぶ。図1において、複数の貫通しない孔部15のうち他の一部の孔部15は第2の主表面11bからZ方向上側に延びている。これらの孔部15は図1におけるZ方向の下側に形成されるため、以降においてこれを下側の非貫通の孔部15と呼ぶ。
図1では、上側の非貫通の孔部15と下側の非貫通の孔部15とが平面視にて互いに重なっている。これらの複数の非貫通の孔部15は、図1においては、中央の貫通する孔部15よりもX方向の幅が細くなっている。なお図示されないが、複数の非貫通の孔部15は、中央の貫通する孔部15よりもY方向の幅が細くなっていてもよい。図1では、中央の貫通する孔部15の左側および右側に2列ずつ、非貫通の孔部15が形成されているが、この列の数は任意である。
これらの複数の非貫通の孔部15のうち、下側の非貫通の孔部15の内部には、第2の熱伝導部13bが挿入されている。これにより、コア材としての第2の熱伝導部13bは、第2の主表面11bに通じるように配置されている。一方図1では、複数の貫通しない孔部15のうち、上側の非貫通の孔部15の内部にはコア材としての第2の熱伝導部13bが挿入されていない。
つまり図1では、熱伝導部13としての第1の熱伝導部13aおよび第2の熱伝導部13bはいずれも第2の主表面11bに通じている。一方、第1の熱伝導部13aは第1の主表面11aに通じるが、第2の熱伝導部13bは第1の主表面11aに通じていない。したがって図1では、熱伝導部13としての第1の熱伝導部13aおよび第2の熱伝導部13bが第2の主表面11bに通じる部分の面積の総和は、熱伝導部13としての第1の熱伝導部13aおよび第2の熱伝導部13bが第1の主表面11aに通じる部分の面積の総和よりも大きい。
これらの複数の貫通しない孔部15のうち、下側の非貫通の孔部15の内部に挿入され当該孔部15を充填する第2の熱伝導部13bは、銅などの導電性材料からなるコア材である。これに対し、上側の非貫通の孔部15の内部には、第2の熱伝導部として、コア材としての導電性材料の代わりに、孔部15の内壁を覆う銅などの導電性部材が形成されていてもよい。この導電性部材は内壁導電膜16である。なお内壁導電膜16は、コア材としての第2の熱伝導部13bが充填される、下側の非貫通の孔部15の内壁面にも形成されていてもよい。図1においては下側の非貫通の孔部15の内壁面にも内壁導電膜16が形成されている。
第2の熱伝導部13bは、第1の熱伝導部13aが挿入される孔部15よりもZ方向、X方向およびY方向の寸法が小さい非貫通の孔部15の内部に挿入される。このため図1では第2の熱伝導部13bは第1の熱伝導部13aよりも寸法が小さい。ただしこれに限らず、たとえば中央の貫通する孔部15の内部には、第2の熱伝導部13bとたとえば同程度に小さい第1の熱伝導部13aが複数挿入されてもよい。
図1においては、X方向に複数列並ぶ非貫通の孔部15のサイズは以下の特徴を有する。すなわち中央の貫通する孔部15に近づくにつれ、下側の非貫通の孔部15はZ方向に長く延び、上側の非貫通の孔部15はZ方向に短く延びている。このようにすれば、内層配線14の配置されるスペースをより多く確保できる。ただしこのような態様に限られない。内層配線14の配置スペースが確保できる限り、たとえば各列の非貫通の孔部15のうち、互いに平面視にて重なる上側の非貫通の孔部15と下側の非貫通の孔部15とがZ方向に延びる長さがほぼ等しくなっていてもよい。
また図1に示すように、第2の主表面11b側に通じる熱伝導部13のコア材の総数が、第1の主表面11a側に通じる熱伝導部13のコア材の総数よりも大きくてもよい。具体的には図1においては、第1の主表面11aに通じるコア材は1つの第1の熱伝導部13aのみである。これに対し図1においては、第2の主表面11bに通じるコア材は1つの第1の熱伝導部13aと4つの第2の熱伝導部13bとの合計5つである。
図1において、内層配線14は、第1の熱伝導部13aと第2の熱伝導部13bとを接続するように配置されている。ここでは内層配線14は、第1の熱伝導部13aと第2の熱伝導部13bとを熱的および電気的に接続することを意味している。
具体的には、たとえば基板11に形成された孔部15内に、コア材としての第1の熱伝導部13aと、コア材としての第2の熱伝導部13bとが、充填されている。これらの孔部15は後述するように、樹脂製の基板本体12とその上に形成された内層配線14となるべき銅などの薄膜パターンの部分にそれらが欠落した部分として形成されたものである。このため孔部15の内壁面の少なくとも一部には内層配線14が露出している。この孔部15内にコア材としての導体材料の熱伝導部13が挿入される。熱伝導部13の表面の少なくとも一部が、孔部15の内壁面を形成する内層配線14の露出部に接触する。これにより、孔部15内の熱伝導部13と、孔部15の内壁面に露出する内層配線14とが接触した部分にて、第1の熱伝導部13aと第2の熱伝導部13bとが、内層配線14と接続される。これらの接続は、熱的および電気的になされる。
ただし孔部15内の熱伝導部13と内層配線14とは、これらの間にたとえば内壁面のめっき膜としての内壁導電膜16などの他の導電性部材または薄い樹脂等を挟むように接続される場合もある。この場合においても、熱伝導部13と内層配線14とはこれらの間の内壁導電膜16および薄い樹脂などの部材を介して少なくとも熱的に接続される。つまり熱伝導部13と内層配線14との間の熱の伝導が可能である。そこで本実施の形態では、このような場合も含めて熱伝導部13すなわち第1の熱伝導部13aおよび第2の熱伝導部13bと内層配線14とが「接続されている」ものと定義する。また第1の熱伝導部13aが挿入される孔部15内の内壁導電膜16および第2の熱伝導部13bが挿入される孔部15内の内壁導電膜16を介して、第1の熱伝導部13aと第2の熱伝導部13bとが少なくとも熱的に接続される。このため内層配線14は、たとえば内壁導電膜16を介して、第1の熱伝導部13aと第2の熱伝導部13bとを接続するように、すなわち少なくとも熱的に接続するように、配置される。ただし熱伝導部13と内層配線14とはたとえば内壁導電膜16を介して電気的に接続されることがより好ましい。また内層配線14は第1の熱伝導部13aと第2の熱伝導部13bとを内壁導電膜16を介して電気的に接続されることがより好ましい。
なお基板11にはZ方向に互いに間隔をあけて複数層の内層配線14が形成されている。ただし基板11の第1の主表面11a上には、表層配線17が形成されている。この表層配線17のパターンは、内層配線14のパターンと同一の材質および厚みにより形成されている。すなわち表層配線17は、たとえば銅により形成された薄膜のパターンである。なお上側の非貫通の孔部15の直上には、表層配線17とたとえば同一の材質および厚みであるめっき膜17aが形成されている。めっき膜17aはたとえばめっきにより形成された銅の薄膜である。めっき膜17aは孔部15の形成により除去された内層配線14の部分を補うように形成される導電膜である。したがってめっき膜17aは、孔部15をZ方向の上側から塞ぐように形成されている。
<実装部品の構成>
実装部品21は、発熱部品22と、パッケージ23とを含んでいる。発熱部品22は、たとえばシリコン(Si)、ガリウム窒素またはガリウムヒ素の基板に形成された半導体トランジスタまたはダイオードを有する半導体素子である。発熱部品22は、上記半導体素子の駆動により発熱する。パッケージ23は、単層または多層の樹脂基板またはセラミック基板により形成されるケース状の部材である。ただしパッケージ23は金属製のケース状の部材であってもよい。パッケージ23は発熱部品22を内部に収納する。パッケージ23はたとえば、ガルウイングパッケージ、フラットリードパッケージ、QFN(Quad For Non-Lead)パッケージ、BGA(Ball Grid Array)パッケージからなる群から選択されるいずれかであることが好ましい。発熱部品22は、パッケージ23の内部のたとえば底面上に、はんだなどの接合層24により接合されている。
<その他の部材>
基板11の第2の主表面11b上の表層配線17に接するように、基板11には放熱部材31が接合されている。つまり基板11の、発熱部品22を含む実装部品21が実装される第1の主表面11a側と反対側である第2の主表面11b側には、放熱部材31が接合されている。放熱部材31は一般公知のたとえば銅製のヒートシンクなどである。ただしこれに限らず、放熱部材31として他の冷却器が用いられてもよい。
基板11の第1の主表面11a上の表層配線17およびめっき膜17aに接するように、はんだボール32が複数、互いに間隔をあけて配置されている。これらのはんだボール32は、パッケージ23の最下面に形成された導電膜のパターンに接するように配置されている。パッケージ23の当該導電膜のパターンは、発熱部品22に含まれる半導体素子と電気的に接続されていることが好ましい。これによりはんだボール32は、基板11と実装部品21とを電気的に接続している。
本実施の形態でのはんだボール32は、たとえば金属コアを含むはんだ材料、または銀ペーストのような、熱伝導性が高くリフロー可能な接合材料であることが好ましい。これによりはんだボール32は、基板11と実装部品21とを低熱抵抗で接続できる。
<放熱装置の動作>
以上の構成を有する放熱装置101は以下のように動作する。半導体素子の駆動により発熱部品22で発生した熱は、パッケージ23とはんだボール32とを介して、基板11の、発熱部品22と平面的に重なる第1の熱伝導部13aに伝熱される。第1の熱伝導部13aは、その真下の放熱部材31側へと放熱することができる。また第1の熱伝導部13aは、これが配置される孔部15の内壁面の内壁導電膜16を介して、あるいは直接、内層配線14に接続されている。また第2の熱伝導部13bも同様に、これが配置される孔部15の内壁面の内壁導電膜16を介して、あるいは直接、内層配線14に接続されている。つまり第1の熱伝導部13aは、内層配線14を介して、第2の熱伝導部13bに、少なくとも熱的に接続されている。このため第1の熱伝導部13aに伝わった熱は、内層配線14を介して第2の熱伝導部13bに伝わることができる。第2の熱伝導部13bは第1の熱伝導部13aと同様に、その真下の放熱部材31側へと放熱することができる。
図2は、実施の形態1の第2例に係る放熱装置の構成を示す概略断面図である。なお以降の各図において、図1と同一の構成要素には同一の符号を付し、図1と同様の構成および特徴についてはその説明を繰り返さない。すなわち以降の各例の説明においては、図1または既存の他例と異なる構成および特徴を中心に説明する。図2を参照して、本実施の形態の第2例の放熱装置102においては、基板本体12を貫通する孔部15は、基板本体12の中央部に、互いに間隔をあけて複数、形成されている。図2においては1例として3つの貫通する孔部15が示されるが、孔部15の数はこれに限られない。そしてこれらの孔部15の内部に、第1の熱伝導部13aが挿入されている。このため図2における個々の第1の熱伝導部13aは、図1における個々の第1の熱伝導部13aよりも、X方向およびY方向の寸法が小さい。
図3は、実施の形態1の第3例に係る放熱装置の構成を示す概略断面図である。図3を参照して、本実施の形態の第3例の放熱装置103においては、最も中央の貫通された孔部15に近い上側の非貫通の孔部15は、上記他例と同様、これと平面視にて重なるように、下側の非貫通の孔部15を有する。当該下側の非貫通の孔部15は第2の熱伝導部13bにより充填されている。ただしその外側の上側の非貫通の孔部15は、平面視にて下側の非貫通の孔部15と重なっていない。そして当該上側の非貫通の孔部15のさらに外側に、下側の非貫通の孔部15を有している。この下側の非貫通の孔部15の内部には第2の熱伝導部13bが充填されていない。当該外側の上側の非貫通の孔部15と、下側の非貫通の孔部15とは、内層配線14により繋がっている。
また放熱装置103においては、基板11と放熱部材31との間に、非導電放熱シート33が配置されている。非導電放熱シート33には、高い熱伝導性を持つ絶縁材料としてエポキシ樹脂などが用いられる。非導電放熱シート33は平板形状の部材である。これが基板11の第2の主表面11b側であり放熱部材31のZ方向上側に接合されている。
上側の非貫通の孔部15は、フレームグランドとしても機能する放熱部材31への接続を避けたい場合がある。しかしその目的のために孔部15を非貫通とすれば、その孔部15は第2の主表面11bに達しないため放熱性に劣る。そこで図3のように非導電放熱シート33が基板11と放熱部材31との間に配置される。これにより図3のように、上側の非貫通の孔部15と、下側の非貫通の孔部15とを内層配線14などにより電気的に接続し、これらが一体となったものが得られる。これらが一体となったものが、実装部品21から下方の放熱部材31側への放熱を可能とするため、放熱装置103全体の放熱機能が高められる。
次に、図4のフローチャートを用いて、図1または図2の放熱装置101,102,103を構成する、特に基板11の製造工程について説明する。なお放熱装置101~103の間では孔部15の位置等が異なるが、以下では全例に共通のプロセスについて説明する。図4は、実施の形態1の各例の放熱装置に含まれる基板の製造工程を示すフローチャートである。図4を参照して、まず準備工程(S10)がなされる。具体的には、樹脂製の薄い、基板本体12となるべき矩形状の板材が複数準備される。この複数の板材のそれぞれの一方または双方の主表面上に、たとえば銅の配線パターンが形成される。その後、当該複数の板材のそれぞれにこれを一方の主表面からその反対側の他方の主表面まで貫通するビアが形成される。このビアは、たとえば複数の板材のうち一の板材と他の板材とが重ね合わせられたときに、一の板材のビアと他の板材のビアとが同位置にて重なりあうように形成されることが好ましい。特に複数の板材が重ね合わせられたときに、上記ビア同士が重なり合うことにより、それらのビアが図1~図3のいずれかの基板11の非貫通の孔部15を形成する態様であることが好ましい。またビアの内壁面には、たとえばめっき工程により銅の薄膜が、内壁導電膜16となるべき膜として形成される。
次に積層工程(S20)がなされる。プリプレグと呼ばれるシートが、当該各板材の上に重ねられた状態で、当該各板材が重ね合わせられる。そして接着工程(S30)がなされる。重ね合わせられた複数の板材が、高温高圧下にさらされる。これにより、プリプレグが当該複数の板材同士を接着する。このとき、ビア同士の接続により非貫通の孔部15が形成される。以上の工程(S20)および(S30)が、必要な基板11のZ方向の厚みとなるまで複数回、繰り返されてもよい。
必要な厚みの基板11が形成されたところで、穴あけ加工工程(S40)として、基板本体12全体の第1の主表面11aから第2の主表面11bまでこれを貫通するように、基板11を貫通する孔部15が形成される。またこの孔部15の内壁面にも、たとえばめっき工程により銅の薄膜が、内壁導電膜16として形成されてもよい。
その後、基板11の全体を貫通する孔部15には第1の熱伝導部13aのコア材が、たとえば圧入工程により挿入される。コア材は孔部15のほぼ全体を充填する。コア材の少なくとも一部が、孔部15の内壁面として露出する内層配線14、またはその内壁面を覆う内壁導電膜16の部分に接触する。また同様に、基板11を貫通しない孔部15のうち、特に第2の主表面11bに通じるように形成された孔部15内には、第2の熱伝導部13bのコア材が、たとえば圧入工程により挿入される。第1の熱伝導部13aおよび第2の熱伝導部13bは、あらかじめ金属塊となるように整形されたコア材である。コア材が挿入された後、必要に応じて熱処理工程および化学工程がなされてもよい。
その後、必要に応じて、基板本体12の孔部15の内壁面と、その内部に充填された熱伝導部13のコア材との隙間に穴埋め樹脂が充填されてもよい。あるいは圧入工程により孔部15内に挿入された熱伝導部13が部分的にかしめられてもよい。そのようにすれば熱伝導部13は樹脂材料を介在することなく孔部15内に固定される。
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本開示に従った放熱装置は、基板11と、発熱部品22とを備える。発熱部品22は基板11の第1の主表面11aの上に配置されている。基板11は、熱伝導部13と、内層配線14とを含む。熱伝導部13は、発熱部品22の発する熱を伝える。内層配線14は、基板11内にて熱伝導部13と接続されるように形成されている。熱伝導部13は、第1の熱伝導部13aと、第2の熱伝導部13bとを有する。第1の熱伝導部13aは、発熱部品22と平面視にて重なる領域を含み、第1の主表面11aから第1の主表面11aと反対側の第2の主表面11bまで基板11を貫通する。第2の熱伝導部13bは、第1の熱伝導部13aと間隔をあけて第1の熱伝導部13aの周囲に配置され、第1の主表面11aおよび第2の主表面11bの少なくともいずれかと間隔をあけて配置される。
発熱部品22と平面視にて重なる領域を含む第1の熱伝導部13aには、発熱部品22の熱が直接伝わる。熱伝導部13と内層配線14とは接続、特に熱的に接続されるように配置されている。このため第1の熱伝導部13aに伝わった熱は、内層配線14に伝わり、そこから第2の熱伝導部13bに容易に伝えらえる。これにより、発熱部品22の熱を第1の熱伝導部13aのみならずその周囲の第2の熱伝導部13bにも分散することができる。このため第1の熱伝導部13aと第2の熱伝導部13bとから放熱装置101などの外部へ放熱することができる。すなわちたとえば第1の熱伝導部13aのみを有する場合に比べて放熱ルートの熱抵抗を低下させることができる。その結果、放熱装置101~103全体で高い放熱性能を実現できる。
発熱部品22の熱はその真下の第1の熱伝導部13aに高い放熱性で伝わる。しかし仮にそこから真下の放熱部材31に伝熱するルートのみが存在すれば、なお放熱機能が不十分となる可能性がある。そこで第1の熱伝導部13aと熱的に接続された内層配線14を介し、第1の熱伝導部13aから第2の熱伝導部13bに熱を伝えるルートを追加で配置している。このため放熱装置101~103においては発熱部品22から放熱部材31への放熱ルートが増加し、いっそう高い放熱性能が実現できる。
第2の熱伝導部13bは、たとえば第1の主表面11aと間隔をあけて配置される。逆に言えば第2の熱伝導部13bは、たとえば第2の主表面11b側に配置される。これにより、特に基板11のうち発熱部品22が配置される第1の主表面11a側と反対側の第2の主表面11b側にて、第2の熱伝導部13bによる放熱部材31側への放熱機能をより高めることができる。
また第2の熱伝導部13bは、たとえば第1の主表面11aと間隔をあけて配置される。このため基板11内の特に第1の主表面11aに近い領域には、実装部品21の電源および制御信号を引き回すためのスペースを増加できる。なお基板11内にて第1の熱伝導部13aの周囲に配置されるべき実装部品21の電源および制御信号の数量は、第1の熱伝導部13aの周囲に配置される実装部品21の電源および制御信号により制約される。基板11内の特に第1の主表面11aに近い領域を電源および制御信号の配置領域とする。これにより、基板11内の特に発熱部品22が配置される側と反対側である第2の主表面11bに近い領域を、第2の熱伝導部13bを配置し、発熱部品22の熱を第2の熱伝導部13bから放熱装置の外部へ放出する領域とできる。
以上の効果を奏する観点から、上記放熱装置において、第2の熱伝導部13bは、第2の主表面11bに通じるように配置されていることが好ましい。上記放熱装置において、熱伝導部13としての第1の熱伝導部13aおよび第2の熱伝導部13bが第2の主表面11bに通じる部分の面積の総和は、熱伝導部13としての第1の熱伝導部13aおよび第2の熱伝導部13bが第1の主表面11aに通じる部分の面積の総和より大きいことが好ましい。このようにすれば、熱伝導部13が基板11の第2の主表面11b上にて第1の主表面11a上よりも広い面積にて、あるいは多数、配置される。このため、第2の主表面11b側にてより効率的に、発熱部品22の熱を放熱部材31から基板11の外部に放熱できる。
上記放熱装置において、第2の熱伝導部13bは、基板11に形成された孔部15内に充填された導電性部材としてのコア材により形成されることが好ましい。このようにすれば、第2の熱伝導部13bによる放熱機能をいっそう高めることができる。
ただし上記放熱装置において、第2の熱伝導部は、基板11に形成された孔部15の内壁を覆う導電性部材としての内壁導電膜16により形成されてもよい。この場合、孔部15内の内壁導電膜16の内側にはコア材などが配置されず、空洞となっている。しかしこの場合においても、内壁導電膜16の熱伝導性により、第2の熱伝導部の最低限の熱伝導性を確保できる。コア材を設けないため、このような第2の熱伝導部は、材料費の削減により製造コストを削減できる。
上記放熱装置において、内層配線14は、第1の熱伝導部13aと第2の熱伝導部13bとを接続するように配置されることが好ましい。たとえば基板本体12を構成する樹脂材料は、発熱部品22からその真下の第1の熱伝導部13aに伝わった熱を第2の熱伝導部13bに十分に伝えることが困難である。そこで第1の熱伝導部13aと第2の熱伝導部13bとを内層配線14で接続する。これにより、第1の熱伝導部13aの熱を、内層配線14を介して、第2の熱伝導部13bに容易に伝えることができる。このようにすれば、発熱部品22の熱は、第1の熱伝導部13aのみならず、第2の熱伝導部13bからも、外部に放熱できる。
実施の形態2.
図5は、実施の形態2に係る放熱装置の構成を示す概略断面図である。図5を参照して、本実施の形態においては、第3の熱伝導部13cを有している。具体的には、図5の実施の形態2の放熱装置201においては、発熱部品22と第1の熱伝導部13aとの間に、熱伝導部13としての第3の熱伝導部13cが挟まれるように配置されている。第3の熱伝導部13cは発熱部品22と平面視にて重なる領域を含むように配置される。図5においては第1の熱伝導部13aは、その全体が発熱部品22と平面的に重なっている。
第3の熱伝導部13cは、たとえば矩形の平面形状を有する板材である。第3の熱伝導部13cは、銅などの熱伝導率の高い材料の金属塊により形成されている。
第3の熱伝導部13cは、Z方向についてはんだボール32とほぼ同じ位置に配置される。また第3の熱伝導部13cは、第1の熱伝導部13cが挿入された孔部15の上方を覆うめっき膜17aと、リフロー層34により接合されている。リフロー層34は、後述するリフロー工程により接合される層を意味する。また第3の熱伝導部13cは、パッケージ23の最下面と、接合層35により接合されている。この接合層35は、熱伝導率の高い材料、特にはんだボール32よりも導電性の高い材料により構成される。
次に、図6を用いて、図5の放熱装置201の、特に基板11と実装部品21との接合方法について説明する。図6は、図5の放熱装置の製造工程における、基板と実装部品との接合工程を示す概略断面図である。図6を参照して、基板11の第1の主表面11a上の表層配線17およびめっき膜17aの上には、リフローはんだ34aが塗布される。リフローはんだ34aは、後述するリフロー工程による接合に用いられるペースト状のはんだ材料である。ただしリフローはんだ34aとしてははんだ材料に限らず、リフロー工程により接合可能な他のペースト状の導電性材料が用いられてもよい。
図6に示すように、基板11と実装部品21との接合に先立ち、第3の熱伝導部13cが、実装部品21のたとえば発熱部品22と平面視にて重なる位置に、接合層35により接合される。第3の熱伝導部13cはパッケージ23の最下面に接合される。この接合に用いられる接合層35は、はんだボール32よりも導電性が高い材料が用いられる。
その後、図6に示すように、第3の熱伝導部13cおよびはんだボール32が接合された実装部品21が、リフローはんだ34aの塗布された基板11上に載置される。リフローはんだ34aは基板11の表層配線17およびめっき膜17aの上のうち、はんだボール32または第3の熱伝導部13cと平面視にて重なるべき領域上に塗布される。実装部品21が基板11上に載置された状態で、一般公知のリフロー工程がなされる。これによりリフローはんだ34aがリフロー層34となり、基板11と実装部品21とが接合される。
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。ここでは実施の形態2における、実施の形態1の効果に対し追加で得られる効果について説明する。このことは以降の各実施の形態の作用効果の説明においても同様である。
たとえばパッケージがBGAパッケージである場合、基板と実装部品とははんだボールで接続される。このため基板と実装部品との間の熱的に接続可能な領域の面積ははんだボールの量および表面積などにより制限される。このためはんだボールの量および表面積が不十分であれば、基板と実装部品との間の熱抵抗が大きくなる。そこで両者間の熱抵抗を極力小さくすることが望まれる。
熱抵抗を低減する観点から、はんだボールに、金属コアを含むはんだ材料、または銀ペーストなどの、熱伝導性が高い接合材料が用いられる場合がある。しかし熱伝導性の高い接合材料は高価である。このためはんだボールとして上記材料からなるものだけを放熱装置の全体に用いるとコストが高騰する。材料コストの削減の観点から、放熱装置のうち特に高い放熱性が要求される領域のはんだボールのみに上記材料が選択的に使用されることが好ましい。
そこで本実施の形態の開示に従った放熱装置は、発熱部品22と第1の熱伝導部13aとの間に、第3の熱伝導部13cが挟まれる。つまり、少なくとも発熱部品22の真下の、すなわち発熱部品22と平面視にて重なる放熱量の多い領域にて、高熱伝導率の第3の熱伝導部13cが配置される。このため第3の熱伝導部13cの配置領域以外の領域に配置されるはんだボール32は、実施の形態1で使用した材料よりも熱伝導率の低い安価なものを用いることができる。たとえこのようにしても、少なくとも第3の熱伝導部13cが配置されることにより、放熱装置201全体において高い放熱性能を確保できる。
また第3の熱伝導部13cが矩形の板形状であれば、これと第1の熱伝導部13aとの接合部は、はんだボール32のような球形状などである必要はない。つまり上記接合部の形状の自由度が上がる。このため当該接合部を熱抵抗の低い形状とすることにより、接合部の熱抵抗を低くできる。このため第3の熱伝導部13cにより、これと基板11側との接合部分の熱抵抗を低くできる。したがって、放熱装置201全体において高い放熱性能を確保できる。
実施の形態3.
図7は、実施の形態3の第1例に係る放熱装置の構成を示す概略断面図である。図7を参照して、本実施の形態の第1例の放熱装置301は放熱装置101とほぼ同一構成であるが、第1の熱伝導部13aの代わりに第1の熱伝導部13adが配置されている。コア材としての第1の熱伝導部13adは銅モリブデン(CuMo)を材料としている。このように本実施の形態での第1の熱伝導部13adは、銅モリブデンを含んでいる。
図8は、実施の形態3の第2例に係る放熱装置の構成を示す概略断面図である。図8を参照して、本実施の形態の第2例の放熱装置302は放熱装置102とほぼ同一構成であるが、第1の熱伝導部13aの代わりに、銅モリブデンを材料とする第1の熱伝導部13adが配置されている。図9は、実施の形態3の第3例に係る放熱装置の構成を示す概略断面図である。図9を参照して、本実施の形態の第3例の放熱装置303は放熱装置201とほぼ同一構成であるが、第1の熱伝導部13aの代わりに、銅モリブデンを材料とする第1の熱伝導部13adが配置されている。
次に、実施の形態3の作用効果について説明する。図7から図9のように銅モリブデンを含む第1の熱伝導部13adを用いることにより、銅からなる第1の熱伝導部13aよりもさらに放熱性を高めることができる。
なお図7~図9の放熱装置301~303において、第2の熱伝導部13bのコア材は実施の形態1,2と同様に銅からなるものであってもよい。しかし放熱装置301~303の第2の熱伝導部13bも、第1の熱伝導部13adと同様に銅モリブデンを含む、あるいは銅モリブデンを材料とするものであってもよい。図10は、実施の形態3の第4例に係る放熱装置の構成を示す概略断面図である。図10を参照して、本実施の形態の第4例の放熱装置304は放熱装置301とほぼ同一構成であるが、下側の非貫通の孔部15内に第2の熱伝導部13bのコア材が配置されていない。図11は、実施の形態3の第5例に係る放熱装置の構成を示す概略断面図である。図11を参照して、本実施の形態の第5例の放熱装置305は放熱装置302とほぼ同一構成であるが、下側の非貫通の孔部15内に第2の熱伝導部13bのコア材が配置されていない。第1の熱伝導部13adによる高い放熱性が確保されているため、その周囲の第2の熱伝導部は最低限の熱伝導性のみを有する内壁導電膜16のみである、図10,11のような構成であってもよい。コア材を設けないため、この下側の非貫通の孔部15における第2の熱伝導部である内壁導電膜16は、材料費の削減により製造コストを削減できる。また図10および図11において、第1の熱伝導部13adの代わりに、実施の形態1,2と同様の第1の熱伝導部13aが用いられてもよい。
実施の形態4.
図12は、実施の形態4の第1例に係る放熱装置の構成を示す概略断面図である。図12を参照して、本実施の形態の第1例の放熱装置401は、非貫通の孔部15を有さず、基板11を第1の主表面11aから第2の主表面11bまで貫通する孔部15のみが形成されている。この孔部15は、図12におけるX方向の中央部に形成されており、発熱部品22と平面視にて重なる領域を含むように形成されている。図1において、このような基板本体12を貫通する孔部15は、基板本体12の中央部に1つのみ形成されている。孔部15は、第1の主表面11aから第2の主表面11bに向けて、徐々にその主表面に沿う方向の幅、およびその延びるZ方向に交差するXY平面に沿う断面積が大きくなる。
つまり孔部15の第1の主表面11aから第2の主表面11bまで延びる内壁面は、Z方向に対して傾斜するように延びている。言い換えれば図12の断面図において、孔部15の内壁面はテーパ状に延びている。
孔部15の内部には、熱伝導部13としての第1の熱伝導部13eが充填されている。第1の熱伝導部13eは、実施の形態1などの第1の熱伝導部13aと同様に、孔部15の内部のほぼ全域を充填するように配置されている。すなわち第1の熱伝導部13eは、基板11の特に基板本体12を第1の主表面11aから第2の主表面11bまで貫通するように配置されている。第1の熱伝導部13eは、発熱部品22と平面視にて重なる領域を含んでいる。ただし第1の熱伝導部13eはZ方向の下方に向けて大きくなるため、特に第2の主表面11b側の領域においてはその外側が発熱部品22と平面的に重なっていない。第1の熱伝導部13eは孔部15と同様にテーパ状の断面形状を有する、銅などの熱伝導率の高い材料からなるコア材である。
内層配線14は、孔部15の形成時に部分的に欠落されるため、孔部15の内壁面の少なくとも一部に露出している。ただし当該内壁面上に内壁導電膜16が形成されてもよい。いずれにせよ第1の熱伝導部13eと内層配線14とは、少なくとも熱的に接続されている。なお第1の熱伝導部13eと内層配線14とは電気的に接続されていることがより好ましい。
放熱装置401では放熱装置201と同様に、発熱部品22と第1の熱伝導部13aとの間に、熱伝導部13としての第3の熱伝導部13cが挟まれるように配置されている。しかし放熱装置401では第3の熱伝導部13cを有さず、第3の熱伝導部13cが配置される領域においても基板11と実装部品21とがはんだボール32により接続されてもよい。
図13は、実施の形態4の第2例に係る放熱装置の構成を示す概略断面図である。図13を参照して、本実施の形態の第2例の放熱装置402は、放熱装置401と比較して以下の点が異なっている。放熱装置402の基板11は、上側の非貫通の孔部15が形成されている。また基板11を第1の主表面11aから第2の主表面11bまで貫通する孔部15は、第1の主表面11aから第2の主表面11bに向けて、段階的にその主表面に沿う方向の幅、およびその延びるZ方向に交差するXY平面に沿う断面積が大きくなる。
つまり孔部15の第1の主表面11aから第2の主表面11bまで延びる内壁面は、Z方向に延びる部分と、そこから屈曲してX方向およびY方向に沿って延びる部分とを周期的に有するように延びている。言い換えれば図13の断面図において、孔部15の内壁面は階段状に延びている。
孔部15の内部には、熱伝導部13としての第1の熱伝導部13fが充填されている。第1の熱伝導部13fは銅などのコア材である。第1の熱伝導部13fの孔部15に対する充填態様は、放熱装置402における第1の熱伝導部13eの孔部15に対する充填態様と同様である。そして第1の熱伝導部13fと内層配線14とは、少なくとも熱的に接続されている。
つまり第1の熱伝導部13fは階段状の断面形状を有している。第1の熱伝導部13fは、たとえばその真上に配置される上側の非貫通の孔部15とZ方向にて対向可能となる程度のX方向の幅を有している。複数の非貫通の孔部15のうち最も第1の熱伝導部13fに近い孔部15は、第1の主表面11aに通じる第1の熱伝導部13fの幅の狭い第1領域よりも1段階だけ幅が広くなった、第1の熱伝導部13fの第2領域とZ方向に対向する。複数の非貫通の孔部15のうち第1の熱伝導部13fから遠い孔部15は、第2領域よりも1段階だけ幅が広くなった、第1の熱伝導部13fの第3領域とZ方向に対向する。このように非貫通の孔部15のX方向の位置に応じて、それに対向するように、第1の熱伝導部13fのX方向の幅が段階的に広くなることが好ましい。
次に、図14および図15を用いて、図12の放熱装置401の、特に実装部品21と接合された基板11の孔部15への第1の熱伝導部13eの挿入工程および接合工程について説明する。図14は、図12の放熱装置の製造工程の第1工程としての、基板の孔部への熱伝導部の挿入工程を示す概略断面図である。図14を参照して、図6の工程と同様にリフロー工程により、基板11と実装部品21とがはんだボール32を介在して接合される。なおこの時点では基板11に形成された孔部15内は空洞となっている。その接合の後、最上面にたとえばペースト状の低温はんだ36aが塗布された第1の熱伝導部13eのコア材が、孔部15内に挿入される。
図15は、図12の放熱装置の製造工程の第2工程としての、熱伝導部の接合工程を示す概略断面図である。図15を参照して、低温はんだ36aを用いて再度たとえばリフロー工程がなされる。これにより低温はんだ36aが低温はんだ層36となり、第1の熱伝導部13eは第3の熱伝導部13cの下側の面上に接合される。これにより第1の熱伝導部13eが基板11の孔部15内に充填される。ここで低温はんだ36aが用いられたのは、再度のリフロー工程時に先のリフロー工程時の接合に用いられたリフローはんだ34a等が再度溶融するなどの不具合の発生を防止するためである。すなわち低温はんだ36aは、先のリフロー工程に用いられたリフローはんだ34aよりも融点が低いはんだ材料を意味する。しかし低温はんだ36aとしてははんだ材料に限らず、リフローはんだ34aよりも融点が低い限り任意の材料が適用可能である。
詳細説明を省略するが、図13の放熱装置402における第1の熱伝導部13fの挿入工程および接合工程も、図14および図15と基本的に同様の処理によりなされる。
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。本実施の形態の開示に従った放熱装置は、基板11と、発熱部品22とを備える。発熱部品22は基板11の第1の主表面11aの上に配置されている。基板11は、熱伝導部13と、内層配線14とを含む。熱伝導部13e,13fは、発熱部品22の発する熱を伝える。内層配線14は、基板11内にて熱伝導部13e,13fと接続されるように形成されている。熱伝導部13e,13fは、発熱部品22と平面視にて重なる領域を含み、第1の主表面11aから第1の主表面11aと反対側の第2の主表面11bまで基板11を貫通する。熱伝導部13e,13fは、第2の主表面11b側において第1の主表面11a側よりも、基板11の主表面に沿う方向の幅、および熱伝導部13e,13fの延びる方向に交差する方向に沿う平面の断面積が大きくなる。
これにより、実施の形態1などと同様に、熱伝導部13e,13fが第2の主表面11bに通じる部分の面積は、熱伝導部13e,13fが第1の主表面11aに通じる部分の面積よりも大きくなる。このため、実施の形態1などと同様に、第2の主表面11b側にてより効率的に、発熱部品22の熱を基板11の外部に放熱できる。
また放熱装置401,402の製造工程において、特に第3の熱伝導部13cが大きければ、これが基板11と実装部品21との間に収納できない場合がある。このような場合に、図14および図15の工程のように、基板11上に実装部品21が実装された後に、基板11を貫通する孔部15内に熱伝導部13e,13fが挿入され、低温はんだにより接合される。このようにすれば、図12および図13の態様を有する放熱装置401,402を高品質に提供できる。
実施の形態5.
図16は、実施の形態5の第1例に係る放熱装置の構成を示す概略断面図である。図16を参照して、本実施の形態の第1例の放熱装置501の放熱装置101との主な相違点は以下の通りである。
放熱装置501は非貫通の孔部15を有さず、基板11を第1の主表面11aから第2の主表面11bまで貫通する孔部15のみが形成されている。この孔部15は放熱装置101などの第1の熱伝導部13aが挿入された孔部15と同様に、発熱部品22と平面視にて重なる領域を含むように形成されている。図16ではこの孔部22内の全域が発熱部品22と平面視にて重なる領域内に配置される。この孔部15の内部のほぼ全域を充填するように、熱伝導部13としての第1の熱伝導部13adが配置されている。すなわち図16に示すような態様の基板11に形成された孔部15内に、銅モリブデンを含む、または銅モリブデンからなる、第1の熱伝導部13adのコア材が配置されている。第1の熱伝導部13adは、基板11の特に基板本体12を第1の主表面11aから第2の主表面11bまで貫通するように配置されている。第1の熱伝導部13eは、発熱部品22と平面視にて重なる領域を含んでいる。
基板11内において、第1の熱伝導部13adと内層配線14とは、少なくとも熱的に接続されている。なお第1の熱伝導部13adと内層配線14とは電気的に接続されていることがより好ましい。
図17は、実施の形態5の第2例に係る放熱装置の構成を示す概略断面図である。図17を参照して、本実施の形態の第2例の放熱装置502は、放熱装置501に対して、第1の熱伝導部13adの真上の、基板11と実装部品21との間の領域に、はんだボール32が配置されていない点において異なっている。
次に、放熱装置501,502の作用効果について説明する。これらの放熱装置は、基板11と、発熱部品22とを備える。発熱部品22は基板11の第1の主表面11aの上に配置されている。基板11は、熱伝導部13adと、内層配線14とを含む。熱伝導部13adは、発熱部品22の発する熱を伝える。内層配線14は、基板11内にて熱伝導部13adと接続されるように形成されている。熱伝導部13adは、発熱部品22と平面視にて重なる領域を含み、第1の主表面11aから第1の主表面11aと反対側の第2の主表面11bまで基板11を貫通する。第1の熱伝導部13adは、銅モリブデンを含んでいる。
このようにしても実施の形態3と同様に、銅モリブデンを含む第1の熱伝導部13adによる銅よりも高い放熱性が得られる。このため図17の放熱装置502のように発熱部品22の真下のはんだボール32が省かれても、発熱部品22からその真下の熱伝導部13adへの放熱性が確保できる。
図18は、実施の形態5の第3例に係る放熱装置の構成を示す概略断面図である。図18を参照して、本実施の形態の第3例の放熱装置503は、放熱装置501に対して、孔部15が基板11を貫通せず、第1の主表面11aのみに通じている点において異なっている。このため孔部15内に充填される第1の熱伝導部13gdも基板11を貫通せず、第1の主表面11aのみに通じている。なお第1の熱伝導部13gdは銅モリブデンを含む、または銅モリブデンからなる、コア材である。
たとえ図18のような構成とされても、銅モリブデンを含む第1の熱伝導部13gdの放熱性は非常に高い。このため発熱部品22から第1の熱伝導部13gd、およびその下側の放熱部材31側への放熱機能はある程度確保できる。第1の熱伝導部13gdの熱伝導性が高いためである。
図19は、実施の形態5の第4例に係る放熱装置の構成を示す概略断面図である。図19を参照して、本実施の形態の第4例の放熱装置504は、放熱装置501に対して、孔部15が放熱装置402のように階段状に形成されている。ただし放熱装置402に比べて孔部15の階段形状は簡素である。放熱装置402が3段階の階段形状であるのに対し、放熱装置504では2段階の階段形状を有している。孔部15内には他例と同様に、銅モリブデンを含む第1の熱伝導部13fdのコア材が配置されている。図19の構成によっても、第1の熱伝導部13fdの高い熱伝導性と、第2の主表面11b側にて第1の主表面11a側よりも面積が大きくされた形状とにより、他例と同様に、放熱部材31側への高い放熱性を確保できる。
図20は、実施の形態5の第5例に係る放熱装置の構成を示す概略断面図である。図20を参照して、本実施の形態の第5例の放熱装置505は、放熱装置401の第1の熱伝導部13eが、銅モリブデンを含む、または銅モリブデンからなる、第1の熱伝導部13edのコア材に置き換えられている。図21は、実施の形態5の第6例に係る放熱装置の構成を示す概略断面図である。図21を参照して、本実施の形態の第6例の放熱装置506は、放熱装置402の第1の熱伝導部13fが、銅モリブデンを含む、または銅モリブデンからなる、第1の熱伝導部13fdのコア材に置き換えられている。図20および図21のように銅モリブデンを含む熱伝導部13ed,13fdが用いられても、本実施の形態の他の各例と同様に高い放熱性を確保できる。
なお本実施の形態においても実施の形態3と同様に、非貫通の孔部15内にも銅モリブデンを含むまたは銅モリブデンからなる、熱伝導部13のコア材が挿入されてもよい。
以上に述べた各実施の形態(に含まれる各例)に記載した特徴を、技術的に矛盾のない範囲で適宜組み合わせるように適用してもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。