JP7235639B2 - 排水装置及び建具 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載の排水装置は、鉛直方向に沿って貫通した排水路を有する筒体と、排水路に設けられ、排水位置及び非排水位置にそれぞれ移動可能とする弁体とを備える。
ここで、弁体は、通常、自重によって排水位置に位置付けられる。当該排水位置では、筒体の内周面に設けられた通水口と弁体とには隙間が設けられる。これにより、排水路に浸入した水は、当該隙間を介して、排水される。
また、弁体は、排水装置外部から圧力が与えられることによって、上方に移動し、通水口を閉塞する。これにより、排水装置外部から当該排水装置を介して雨水や風等が逆流することを回避している。
図1は、本実施の形態に係る建具1の一部を示す縦断面図である。
なお、以下で記載する「見込み方向」は、建具1の奥行きに沿った方向(図1の矢印Arの方向)である。見込み方向に沿った平面については、見込み面と称し、見込み方向に直交する平面については、見付け面と称する場合がある。
本実施の形態1に係る建具1は、例えば、ビル等の外壁位置に設けられるカーテンウォールの一部を構成する嵌め殺し窓である。この建具1は、枠体2と、面材3とを備える。
底面部211は、見込み方向に略平行に延在する部分である。
屋外側見付け壁部212は、底面部211における屋外側の縁部から上方に向けて略直角に屈曲して延在した部分である。
立上片部213は、底面部211における屋内側の縁部から上方に向けて略直角に屈曲して延在した部分である。
見込み壁部214は、立上片部213の上端から屋内外に向けて見込み方向に沿ってそれぞれ延在した部分である。
屋内側見付け壁部215は、見込み壁部214における屋内側の縁部から下方に向けて略直角に屈曲して延在した部分である。
垂壁部216は、底面部211における下面から下方に向けて垂設された部分である。
水切り部217は、垂壁部216の下端から屋外側に向けて略直角に屈曲して延在した部分である。
そして、見込み壁部214には、鉛直方向に沿って貫通した貫通孔218が設けられている。また、当該貫通孔218には、枠体2や面材3の屋内側に臨む面に生じた結露によって当該見込み壁部214の上面に溜まった水を屋外に排水するための排水装置6が取り付けられている。
以下、排水装置6の詳細な構成について説明する。
図2及び図3は、排水装置6の外観を示す斜視図である。なお、図2及び図3に示した弁体8は、後述する通常位置に位置付けられている。
以下では、排水装置6の構成を説明するにあたって、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸を用いる。当該Z軸は、鉛直方向に平行な軸(+Z軸側が上側、-Z軸側が下側)である。また、排水装置6が図1に示す姿勢で見込み壁部214に取り付けられた状態では、当該X軸は、図1の紙面に直交する軸である。また、当該Y軸は、見込み方向に平行な軸(+Y軸側が屋内側、-Y軸が屋外側)である。
なお、排水装置6が見込み壁部214に取り付けられる姿勢は、図1の姿勢に限らない。例えば、Z軸に略平行となる排水装置6の中心軸Axを中心として当該排水装置6を図1の姿勢から所定の角度だけ回転させた姿勢としても構わない。
この排水装置6は、排水装置本体7と、弁体8とを備える。なお、本実施の形態では、当該排水装置6(排水装置本体7及び弁体8)は、親水性の高い樹脂材料によって構成された成形品である。
図4ないし図6は、排水装置本体7を示す断面図である。具体的に、図4は、中心軸Axを通るYZ平面にて排水装置本体7を切断した断面図である。図5は、中心軸Axを通るXZ平面にて排水装置本体7を切断した断面図である。図6は、第2の筒体12を通るXY平面にて排水装置本体7を切断した断面図である。なお、図6では、説明の便宜上、第1の傾斜面101を一点鎖線によって表現している。
排水装置本体7は、Z軸(中心軸Ax)に沿って貫通した排水路PAを有する筒体9と、筒体9における+Z軸側の端面に設けられ、排水路PAを覆う天面部10とを備える。
第1の筒体11は、Z軸(中心軸Ax)に沿って延在し、貫通孔218の内径寸法と略同一の外径寸法を有する略円筒形状を有し、当該貫通孔218に挿通される部分である。そして、第1の筒体11の内部は、排水路PAの一部を構成する。
この第1の筒体11の側壁部において、+Y軸側の部分には、-Z軸側の端面から+Z軸側に向けて切り欠かれた切欠部111が設けられている。
この第1の止水面112は、第1の上方止水面113と、第1の下方止水面114と、一対の第1の側方止水面115とを備える。
第1の上方止水面113は、第1の筒体11の+Z軸側に位置し、-Z軸側に臨む面である。
第1の下方止水面114は、第1の筒体11の-Z軸側に位置し、-Z軸側に臨む面である。
一対の第1の側方止水面115は、Z軸に沿ってそれぞれ延在し、+Y軸側に臨む面であり、第1の上方止水面113及び第1の下方止水面114をそれぞれ接続する。
すなわち、第1の止水面112は、第1の上方止水面113、第1の下方止水面114、及び一対の第1の側方止水面115が連続した面であり、中心軸Ax周りの全周に亘って環状に延在している。
一対の長穴116は、第1の上方止水面113よりも-Z軸側で、第1の下方止水面114よりも+Z軸側で、一対の第1の側方止水面115よりも+Y軸側において、第1の筒体11の側壁部をX軸に沿ってそれぞれ貫通する。また、一対の長穴116の長手方向は、Z軸に対して傾斜している。より具体的に、一対の長穴116の長手方向は、-Z軸側に向かうにしたがって、+Y軸側に向けて傾斜している。
ここで、第2の筒体12の外径寸法は、第1の筒体11の外径寸法よりも大きい。そして、排水装置6が貫通孔218に取り付けられた状態(第1の筒体11が貫通孔218に挿通された状態)では、第2の筒体12は、見込み壁部214の上面よりも+Z軸側の位置に位置付けられるとともに、+Z軸側から見た場合に、その外周面が貫通孔218の内周面よりも外側の位置に位置付けられる。
すなわち、排水装置6が貫通孔218に取り付けられた状態では、天面部10は、第2の筒体12と同様に、見込み壁部214の上面よりも+Z軸側の位置に位置付けられるとともに、+Z軸側から見た場合に、その外周面が貫通孔218の内周面よりも外側の位置に位置付けられる。
具体的に、受入口OPは、矩形状の開口である。そして、受入口OPの+Z軸側の縁部は、天面部10の下面100によって構成されている。また、受入口OPのY軸方向両側の縁部は、第2の筒体12によって構成されている。さらに、受入口OPの-Z軸側の縁部は、第1の筒体11によって構成されている。
2つの第1の傾斜面101は、2つの受入口OPの+Z軸側の縁部をそれぞれ構成し、下面100の外縁から当該下面100の中心(中心軸Ax)に向かうにしたがって-Z軸側にそれぞれ傾斜した平坦面である。
中央水平面102は、2つの第1の傾斜面101の間の中心軸Ax上に位置し、XY平面に平行となる平坦面である。
2つの第2の傾斜面121は、排水路PAから排水装置本体7外部に向かうにしたがって2つの受入口OPの開口面積をそれぞれ拡げるように傾斜した平坦面である。
なお、排水装置6が貫通孔218に取り付けられた状態では、2つの受入口OPの-Z軸側の縁部は、見込み壁部214の上面よりも-Z軸側の位置に位置付けられる(図5)。一方、第1,第2の傾斜面101,121は、見込み壁部214の上面よりも+Z軸側の位置に位置付けられる(図5)。
特に、第1,第2の傾斜面101,121が上述したように傾斜しているため、水WAが当該第1,第2の傾斜面101,121に接触し易い構造となっている。また、排水装置6が親水性の高い樹脂材料によって構成されているため、水WAが第1,第2の傾斜面101,121に接触した後、その表面張力によって当該水WAを中心軸Ax側に引き寄せ易い構造となっている。
図7は、弁体8を示す斜視図である。なお、図7に示した弁体8の姿勢は、当該弁体8が後述する通常位置または弁閉位置に位置付けられている際の姿勢である。
弁体8は、排水路PAに設けられ、通常位置、弁開位置、及び弁閉位置にそれぞれ移動可能とする。この弁体8は、背面壁部81と、一対の側壁部82と、一対の回転軸部83と、底壁部84とを備える。
一対の側壁部82は、背面壁部81におけるX軸方向両側の各縁部から-Y軸側に向けて略直角にそれぞれ屈曲して延在した板体である。すなわち、背面壁部81及び一対の側壁部82は、略U字形状を有するように一体形成されている。
一対の回転軸部83は、一対の側壁部82において、互いに離間する側の板面からX軸に沿ってそれぞれ突出した略円柱形状を有する。そして、一対の回転軸部83は、一対の長穴116にそれぞれ挿通される。これによって、弁体8は、排水路PA(第1の筒体11内)に配置される。
底壁部本体841は、背面壁部81及び一対の側壁部82における-Z軸側の端面に一体形成された部分である。
突出部842は、底壁部本体841における-Y軸側の縁部から-Y軸側に向けて突出した部分である。
以上説明した背面壁部81、一対の側壁部82、及び底壁部84によって、上方に向けて開口し、排水路PAを辿って落下してきた水WAを一時的に堰き止める堰止部80が設けられる。
この第2の止水面85は、第2の上方止水面851と、第2の下方止水面852と、一対の第2の側方止水面853とを備える。
第2の上方止水面851は、背面壁部81及び一対の側壁部82における+Z軸側の端面であり、第1の止水面112のうち第1の上方止水面113に当接する面である。
第2の下方止水面852は、突出部842における+Z軸側の面であり、第1の止水面112のうち第1の下方止水面114に当接する面である。
一対の第2の側方止水面853は、一対の側壁部82における-Y軸側の端面であり、第1の止水面112のうち一対の第1の側方止水面115にそれぞれ当接する面である。
次に、上述した弁体8の動作について図8を参照しつつ説明する。
図8は、図4に対応した断面図であって、弁体8の動作を説明する図である。具体的に、図8(a)は、弁体8が通常位置に位置付けられた状態を示す図である。図8(b)は、弁体8が弁開位置に位置付けられた状態を示す図である。図8(c)は、弁体8が弁閉位置に位置付けられた状態を示す図である。
弁体8は、通常、図8(a)に示した通常位置に位置付けられる。
当該通常位置は、弁体8の自重によってバランスが取れた状態である。当該通常位置では、一対の回転軸部83は、一対の長穴116内において、当該長穴116の長手方向の一端側(-Z軸側)に位置する。また、当該通常位置では、第1の止水面112と第2の止水面85との間には、隙間が設けられている。なお、以下では、当該隙間を第1の隙間と記載する。
当該弁開位置では、第1の止水面112と第2の止水面85との隙間は、第1の隙間よりも大きい第2の隙間となる。これにより、堰止部80に溜まった水WAは、当該第2の隙間を介して空間SPに排水される。
当該弁閉位置では、一対の回転軸部83は、一対の長穴116内において、当該長穴116の長手方向の他端側(+Z軸側)に位置する。また、当該弁閉位置では、第1の止水面112に対して第2の止水面85が当接する。すなわち、屋外空間から空間SPに入り込んだ雨水や風等は、排水装置6を介して、屋内空間に入り込むことがない。
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。
上述した実施の形態では、建具1としてカーテンウォールの一部を構成する嵌め殺し窓を例示したが、本発明の建具は、カーテンウォールに用いられるものに限らず、建物の外壁に設けられる各種の窓であってもよいし、屋内外の出入り口や浴室等の出入り口に用いられる出入口用建具であってもよい。また、上述した実施の形態では、建具1として面材3が固定された嵌め殺し窓を例示したが、窓としては、嵌め殺し窓に限らず、面材である障子が開閉可能に支持された引き違い窓、片引き窓、上げ下げ窓、開き窓等の各種開閉形式を有する窓であっても構わない。
上述した実施の形態では、第1の傾斜面101は、平坦面によって構成されていたが、これに限らず、下面100の外縁から当該下面100の中心に向かうにしたがって下方に傾斜していれば、曲面によって構成しても構わない。
ここで、通常位置では、止水面と弁体との隙間(第1の隙間)は、弁開位置での隙間(第2の隙間)よりも小さい隙間である。すなわち、通常の状態において、排水を行う必要がないため、止水面と弁体との隙間(第1の隙間)を比較的に小さくすることができる。このため、無風状態も含む日常的な風(例えば12m/s以下の風)が吹いているレベルの環境下において、屋外の風が排水装置(当該隙間)を介して屋内に流入することを抑制することができる。
本発明によれば、長穴の長手方向が鉛直方向に対して傾斜しているため、止水面から離間した位置において弁体を通常位置から弁開位置へと回動する構造を採用することができる。すなわち、弁体が回動した際に当該弁体と機械的に干渉しない位置に止水面を設けることができる。このため、弁体が弁閉位置に位置付けられた際に当該弁体と止水面との当接を確実に実施させ、当該弁閉位置での止水性能を向上させることができる。
本発明によれば、長穴が筒体に設けられ、回転軸部が弁体に設けられているため、例えば、長穴が弁体に設けられ、回転軸部が筒体に設けられている構成と比較して、排水装置の組立性を向上させることができる。
本発明によれば、弁体に上述した堰止部が設けられているため、排水路に浸入した水によって弁体を通常位置から弁開位置へと円滑に回動させることができる。
本発明によれば、上述した排水装置を上述した位置に取り付けることで、枠体や面材の屋内側に臨む面に生じた結露によって下枠に溜まった水を当該排水装置によって屋外側に排水することができ、屋内空間の快適性を確保することができる。
Claims (5)
- 枠材に溜まった水を排水する排水装置であって、
鉛直方向に沿って貫通した排水路を有する筒体と、
前記排水路に設けられ、通常位置、弁開位置、及び弁閉位置にそれぞれ移動可能とする弁体とを備え、
前記筒体の内周面には、
前記弁体が当接する止水面が設けられ、
前記筒体及び前記弁体の一方の部材には、
水平方向を除く方向を長手方向とする長穴が設けられ、
前記筒体及び前記弁体の他方の部材には、
前記長穴に挿通される回転軸部が設けられ、
前記通常位置は、
前記回転軸部が前記長穴の長手方向の一端側に位置し、前記止水面と前記弁体との隙間が第1の隙間となる位置であり、
前記弁開位置は、
前記通常位置に位置付けられた前記弁体が前記回転軸部を中心として回動し、前記止水面と前記弁体との隙間が前記第1の隙間よりも大きい第2の隙間となる位置であり、
前記弁閉位置は、
前記回転軸部が前記長穴の長手方向の他端側に位置し、前記止水面に前記弁体が当接する位置である
ことを特徴とする排水装置。 - 前記長穴の長手方向は、
鉛直方向に対して傾斜している
ことを特徴とする請求項1に記載の排水装置。 - 前記長穴は、
前記筒体に設けられ、
前記回転軸部は、
前記弁体に設けられている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の排水装置。 - 前記弁体には、
上方に向けて開口する堰止部が設けられている
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の排水装置。 - 四周枠組みされた枠体と、前記枠体に支持される面材とを備えた建具であって、
請求項1~4のいずれか一つに記載の排水装置を備え、
前記排水装置は、
前記枠体を構成する下枠の上面において、前記面材よりも屋内側に位置する部分に取り付けられている
ことを特徴とする建具。
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