ところで、排水栓装置によっては、伝達体において、被操作部の移動に伴い生じた軸方向に沿った運動を、前記軸方向と平行な直線を回動軸とする回動運動へと変換する運動方向変換部を設けることが必要な場合がある。このような運動方向変換部は、装置の安定的な動作や製造コストの増大抑制、装置の小型化などといった面から、より簡素な構造であることが望まれる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡素な構造により運動方向変換部を実現することができ、ひいては装置の安定的な動作や製造コストの増大抑制、装置の小型化を図ることができる排水栓装置を提供することにある。
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
手段1.所定の取付対象物に対し移動可能な状態で設けられた操作用の被操作部と、
上下動可能に構成され、自身の上下動に伴い槽体の排水口を開閉可能な栓蓋と、
前記被操作部及び前記栓蓋の間に設けられ、前記被操作部の変位を前記栓蓋側へと伝達する伝達体とを備えた排水栓装置であって、
前記伝達体は、
前記被操作部の移動に伴い、自身の軸方向に沿って移動可能な軸部と、
前記軸部の外周又は内周に配置されるとともに、前記軸部の周方向に沿って前記軸部に対し相対回動可能な回動部と、
前記軸部の運動を回動運動に変換し、前記回動部を回動させる運動方向変換部とを有し、
前記取付対象物及び前記槽体の少なくとも一方に対し前記軸部を相対回転不能に規制する回転規制部が設けられ、
前記運動方向変換部は、
前記軸部に設けられた軸側接触部と、
前記回動部に設けられ、前記軸側接触部に対し接触可能な回動側接触部とを具備するとともに、
前記軸側接触部のうち前記回動側接触部に接触する部位、及び、前記回動側接触部のうち前記軸側接触部に接触する部位の少なくとも一方は、前記軸部の移動方向に対し傾斜する傾斜面状をなし、
前記被操作部の移動に伴い、前記軸側接触部が前記回動側接触部を押圧することで、前記回動部が前記軸部に対し相対回動するように構成されていることを特徴とする排水栓装置。
上記手段1によれば、軸側接触部及び回動側接触部の接触部分における少なくとも一方が傾斜面状とされており、軸側接触部が回動側接触部を押圧することで、軸部の軸運動を回動部の回動運動へと変換することができる。従って、傾斜面を利用した非常に簡素な構造により、運動方向変換部を実現することができる。これにより、装置の安定的な動作を図ることができるとともに、製造コストの増大抑制、及び、装置の小型化を効果的に図ることができる。
また、回転規制部によって、取付対象物及び槽体の少なくとも一方に対し軸部を相対回転不能とすることができ、ひいては軸部を移動させたときに回動部をより確実に回動させることができる。これにより、上述の作用効果をより確実に発揮させることができる。
手段2.前記被操作部、前記軸部、前記回動部、及び、前記運動方向変換部を具備するとともに、前記取付対象物に形成された貫通孔に対し前記被操作部及び前記軸部の少なくとも一方が挿通されてなる操作装置を有し、
前記軸部は、前記被操作部の移動方向に沿って前記被操作部に対し直列的に固定されており、
前記伝達体は、往復移動可能な伝達部材を有し、
前記軸部に対して前記回動部が相対回動したときに、前記回動部から前記伝達部材の一端部へと動力が加わり、前記回動部の回動方向の接線方向に沿って前記伝達部材の一端部が移動するように構成されていることを特徴とする手段1に記載の排水栓装置。
尚、「軸部が被操作部に対し固定」とあるのは、両者が別体で形成された後、被操作部を軸部へと固定する場合のみならず、両者が一体で形成されている場合も含む。また、軸部は、被操作部に対して必ずしも直接固定されている必要はなく、被操作部に対し間接的に(被操作部との間に何らかの部材が介在した状態で)固定されていてもよい。さらに、軸部は、被操作部に対し完全に不動な状態である必要はない。例えば、両者の間に若干の隙間が形成されていたり、両者の間にバネ等の緩衝材を設けたりすることで、軸部が被操作部に対し若干相対移動可能であってもよい。
従来、栓蓋を遠隔操作するための操作装置は、被操作部及びこれと直列的に固定された軸部を有する操作部材と、被操作部の移動に伴い移動可能な伝達部材(例えば、ワイヤー等)とを備えている。また、操作装置としては、操作部材(被操作部及び軸部)の移動方向と、伝達部材のうち被操作部側に位置する端部の往復移動方向とが同一方向とされたものが知られている(例えば、特開2005−133331号等参照)。
しかしながら、このような操作装置においては、被操作部(軸部)の移動方向に沿った操作装置の長さが比較的大きなものとなってしまう。そのため、安全性や美感の面から、操作装置(例えば、被操作部)が取付対象物(例えば、浴槽等の槽体や槽体の周辺に設けられた構造物)の表面から突出しないように構成すれば、操作装置が取付対象物の背面から奥側に大きく突出することとなってしまう。従って、操作装置を配設可能な位置は、取付対象物のうち奥行(内部スペース)が十分に存在する位置に限られてしまう(すなわち、操作装置の取付自由度が低下してしまう)おそれがある。
一方で、操作装置が取付対象物の表面から突出するように構成すれば、取付対象物のうち奥行(内部スペース)の比較的小さな部位に対しても操作装置を取付けることができる。しかし、この場合には、安全性や美感の低下を招いてしまうおそれがある。つまり、従来の操作装置では、取付自由度と、安全性及び美感とは、いわばトレードオフの関係にあり、双方において良好な性能を得ることは困難である。
この点、上記手段2によれば、操作装置に対し運動方向変換部等が設けられており、被操作部を移動させて回動部を回動させたときに、回動部の回動方向の接線方向に沿って伝達部材の一端部が移動する。従って、伝達部材の一端部の移動方向を、軸部の往復移動方向と直交する方向(軸部の周方向)とすることができ、また、軸部と伝達部材の一端部とが直列的に並ばないようにすることができる。これにより、軸部の移動方向に沿った操作装置の長さを非常に小さなものとすることができる。その結果、良好な安全性や美感を確保しつつ、取付自由度を飛躍的に高めることができる。
さらに、伝達部材の往復移動方向を操作部材の往復移動方向と直交する方向(操作部材の中心軸の周方向)とするために、上記特開2005−133331号公報の図1等に示されるように、レリースワイヤを曲げる必要はない。従って、レリースワイヤの曲げに伴い、伝達部材及びチューブ部材間で生じる摩擦力が大きくなって操作性が低下してしまったり、伝達部材等に破損が生じてしまったりすることをより確実に防止できる。
手段3.前記取付対象物は、底面部と、当該底面部に立設された側壁部とを有する浴槽であり、
前記貫通孔は、前記側壁部に形成されていることを特徴とする手段2に記載の排水栓装置。
浴槽の側壁部は、通常、この裏側に位置する壁面やエプロンとの間隔が小さなものとなりやすい。従って、通常、側壁部に対し操作装置を取付けることは決して容易ではない。
この点、上記手段2によれば、被操作部の移動方向に沿った操作装置の長さを非常に小さなものとすることができる。従って、壁面等との間隔が小さい側壁部に対しても操作装置を取付けることがより容易に可能となる。換言すれば、上記手段2は、貫通孔が浴槽の側壁部に設けられている場合に、特に有効である。
手段4.前記取付対象物は、所定の壁面との間で隙間をあけて配置される板状のバックガードを備えてなる洗面化粧台であって、
前記貫通孔は、前記バックガードに形成されていることを特徴とする手段2に記載の排水栓装置。
洗面化粧台のバックガードは、通常、この裏側に位置する壁面との間隔が小さい。従って、バックガードに対し操作装置を取付けることは容易ではない。
この点、上記手段2によれば、被操作部の移動方向に沿った操作装置の長さを非常に小さなものとすることができる。従って、壁面等との間隔が小さいバックガードに対しても操作装置を取付けることがより容易に可能となる。換言すれば、上記手段2は、貫通孔が洗面化粧台のバックガードに設けられている場合に、特に有効である。
手段5.前記取付対象物は、底面部と、当該底面部に立設された側壁部と、当該側壁部との間で隙間をあけて配置される板状のエプロンとを備えてなる浴槽であり、
前記貫通孔は、前記エプロンに形成されていることを特徴とする手段2に記載の排水栓装置。
浴槽のエプロンは、通常、この裏側に位置する側壁部との間隔が小さいものとされる。従って、エプロンに対し、その板厚方向に貫通孔を形成した上で、当該貫通孔に対応して操作装置を取付けることは決して容易ではない。
この点、上記手段2によれば、被操作部の移動方向に沿った操作装置の長さを非常に小さなものとすることができる。従って、側壁部との間隔が小さいエプロンに対しても操作装置を取付けることがより容易に可能となる。換言すれば、上記手段2は、貫通孔が浴槽のエプロンに設けられている場合に、特に有効である。
手段6.前記取付対象物は、洗い場及び当該洗い場に隣接して設置される浴槽と、前記洗い場及び前記浴槽の周囲に設置される複数の板状の壁パネルとを備えてなる浴室ユニットであり、
前記貫通孔は、前記壁パネルに形成されていることを特徴とする手段2に記載の排水栓装置。
浴室ユニットの壁パネルは、通常、この裏側に位置する壁面との間隔が小さなものとなりやすい。従って、通常、壁パネルに対し操作装置を取付けることは容易ではない。
この点、上記手段2によれば、被操作部の移動方向に沿った操作装置の長さを非常に小さなものとすることができる。従って、壁面との間隔が小さい壁パネルに対しても操作装置を取付けることがより容易に可能となる。換言すれば、上記手段2は、貫通孔が浴室ユニットの壁パネルに設けられている場合に、特に有効である。
手段7.前記被操作部を移動させたときに、前記伝達部材の一端部の移動量が、前記被操作部の移動量よりも大きくなるように構成されていることを特徴とする手段2乃至6のいずれかに記載の排水栓装置。
上記手段7によれば、栓蓋のより確実な上下動を図りつつ、被操作部の往復移動量(ストローク量)をより小さなものとすることができる。従って、被操作部の移動方向に沿った操作装置の長さをより小さなものとすることができ、取付自由度を一層高めることができる。また、排水口を開閉するために必要な被操作部の往復移動量を小さくすることができ、操作性を向上させることができる。
さらに、被操作部の移動量を小さくできることにより、使用者が排水口を開閉しようとしたときに、被操作部の移動量が不十分となり、排水口の開閉に失敗してしまう(例えば、排水口を閉鎖したつもりが、実際には閉鎖されていない)といった事態をより確実に防止することができる。これにより、使用者にとっての使い勝手の向上を図ることができる。
尚、上記手段7は、例えば、回動部の回動軸から回動部のうち伝達部材の一端部に動力を加える部位までの距離(半径)を調節したり、軸側接触部及び回動側接触部の少なくとも一方に設けられた傾斜面状部分の、軸部の移動方向に対する傾斜角度を調節したり〔すなわち、軸部の単位移動量当たりにおける回動部の回動量(回転角度)を調節したり〕することで実現することができる。
手段8.前記取付対象物に対し直接又は間接的に取付けられ、前記回動部のその回動軸方向の端面が接触するとともに、前記回動部の回動時に前記端面が摺動する操作側回動支持部を備え、
前記軸部は、前記被操作部とは反対側に開口する穴部を具備する筒状をなし、
前記操作側回動支持部は、前記穴部に挿通される棒状部を備え、
前記穴部及び前記棒状部は、前記穴部に対し前記棒状部が挿通された状態において、前記棒状部に対し前記軸部が相対回転不能となるように構成されており、前記棒状部及び前記軸部のうち前記穴部を形成する部位によって前記回転規制部が構成されることを特徴とする手段2乃至7のいずれかに記載の排水栓装置。
上記手段8によれば、回動部は、その回動時に、操作側回動支持部を摺動する。従って、回動部をより安定的に回動させることができ、装置の動作安定性を一層高めることができる。
さらに、上記手段8によれば、操作側回動支持部は、回転規制部の一部(棒状部)を有するものとされる。そのため、装置の小型化を一層図ることができ、取付自由度の更なる向上や製造コストの低減を図ることができる。
尚、操作側回動支持部は、前記回動部の端面と接触する部位に、ボールベアリングやころ軸受等を備えていてもよい。この場合には、回動部をよりスムーズに回動させることができる。
手段9.内部空間が前記排水口を通る排水の流路を構成する筒状の排水管と、
前記栓蓋に対し直接又は間接的に取付けられるとともに、前記排水管内に配置された被支持部材と、
前記排水管に取付けられるとともに、前記軸部、前記回動部、及び、前記運動方向変換部を具備してなる栓蓋側機構部とを備え、
前記伝達体は、筒状のチューブ部材と、当該チューブ部材の内周において往復移動可能に構成された伝達部材とを有してなるレリースワイヤを備えており、前記被操作部を移動させることで前記伝達部材が往動するように構成され、
前記軸部は、前記伝達部材のうち前記被操作部とは反対側に位置する端部が接続されるとともに、前記伝達部材の往復移動時に前記伝達部材とともに移動し、
前記回動部には、前記排水管内へと突出するとともに、少なくとも前記排水口を開放した状態において前記被支持部材が載置されることで前記被支持部材を支持する支持部が設けられ、
前記支持部は、前記回動部の回動に伴い回動しつつ上下動可能であるとともに、前記軸部の移動に伴い前記回動部が回動したときに、上動又は下動するように構成されており、
前記支持部の上下動に伴い前記被支持部材及び前記栓蓋が上下動するように構成されていることを特徴とする手段1に記載の排水栓装置。
上記手段9の排水栓装置では、回動部の回動に伴い、支持部が回動しつつ上動することで、支持部によって被支持部材が持ち上げられる。その結果、栓蓋が上動し排水口が開放される。一方、回動部の回動に伴い、支持部が回動しつつ下動することで、被支持部材が下動する。その結果、栓蓋が下動し排水口が閉鎖される。
このような排水栓装置において、上記手段9によれば、比較的簡素な構成により、軸部の運動を回動部の回動運動へと変換し、ひいては支持部を上下動させることができる。従って、栓蓋側機構部の動作安定性を高めることができる。
また、上記手段9によれば、栓蓋側機構部の簡素化や小型化を図ることができる。そのため、排水管に対する栓蓋側機構部の取付自由度を高めることができる。
尚、支持部は、回動部の軸方向端面において回動軸と非同軸に設けられた突起であってもよいし、回動部の外周から外側に向けて突出する棒状部材であってもよい。
手段10.前記被操作部を移動させたときに、前記支持部の鉛直方向に沿った移動量が、前記軸部の移動量よりも大きくなるように構成されていることを特徴とする手段9に記載の排水栓装置。
尚、「支持部の鉛直方向に沿った移動量」とあるのは、栓蓋の上下方向に沿った移動量(リフト量)ということもできる。
上記手段10によれば、栓蓋のより確実な上下動を図りつつ、軸部の往復移動量(ストローク量)をより小さなものとすることができる。従って、軸部の往復移動方向に沿った栓蓋側機構部の長さをより小さなものとすることができる。これにより、排水管に対する栓蓋側機構部の取付自由度を高めることができる。また、排水口を開閉するために必要な被操作部の往復移動量を小さくすることができ、操作性を向上させることができる。
さらに、被操作部の往復移動量を小さくできることにより、使用者が排水口を開閉しようとしたときに、被操作部の移動量が不十分となり、排水口の開閉に失敗してしまうといった事態をより確実に防止できる。これにより、使用者にとっての使い勝手の向上を図ることができる。
尚、上記手段10は、例えば、回動部の回動軸から支持部(特に、被支持部材を支持する部位)までの距離(回動半径)を調節したり、軸側接触部及び回動側接触部の少なくとも一方に設けられた傾斜面状部分の、軸部の移動方向に対する傾斜角度を調節したり〔すなわち、軸部の単位移動量当たりにおける回動部の回動量(回転角度)を調節したり〕することで実現することができる。
手段11.前記排水管は、前記排水の流路を構成する筒状の主管と、当該主管の外周から突出し前記主管に連通された筒状の取付管とを備え、
前記取付管は、自身の内周に自身の軸方向に沿って延びる凹部を有し、
前記軸部は、前記凹部に配置される突部を備え、
前記回転規制部は、前記突部、及び、前記取付管のうち前記凹部を形成する部位によって構成されることを特徴とする手段9又は10に記載の排水栓装置。
上記手段11によれば、排水管(取付管)を利用することで回転規制部を実現することができる。従って、装置の小型化や簡素化を一層図ることができるとともに、製造コストをさらに抑制することができる。
手段12.前記排水管は、前記回動部のその回動軸方向の端面が接触するとともに、前記回動部の回動時に前記端面が摺動する排水管側回動支持部を備えることを特徴とする手段9乃至11のいずれかに記載の排水栓装置。
上記手段12によれば、回動部は、その回動時に、排水管側回動支持部を摺動する。従って、回動部をより安定的に回動させることができ、装置の動作安定性を一層高めることができる。
加えて、上記手段12によれば、排水管の一部によって排水管側回動支持部が構成されるため、装置の小型化や簡素化をより図ることができ、製造コストの抑制を一層図ることができる。
手段13.少なくとも前記回動側接触部のうち前記軸側接触部に接触する部位は、前記軸部の運動方向に対し傾斜する傾斜面状をなしており、
前記回動側接触部のうち前記軸側接触部に接触する部位は、その全域において、前記軸部の運動方向に対する傾斜が一定とされた螺旋状をなすことを特徴とする手段1乃至12のいずれかに記載の排水栓装置。
上記手段13によれば、軸部を移動させたときに、軸側接触部において、回動側接触部に接触する部分を常に同一部分とすることができる。従って、被操作部を移動させたときに、回動部を安定的に回動させることができ、動作安定性の向上を図ることができる。
また、上記手段13によれば、被操作部を移動させるときに、使用者は、被操作部に生じる負荷の変化(前記負荷は、例えば、伝達部材を復動させるための戻り力付与部等で生じる力の変化や、軸側接触部及び回動側接触部間で生じる摩擦力の変化、開栓の状態などにより変化する)等をより確実に知覚することができる。その結果、使用者は、排水口を開閉する際に、被操作部を介して栓蓋の状況などをより確実に把握することができ、ひいては操作ミスが生じてしまう等の事態をより確実に防止できる。
手段14.少なくとも前記回動側接触部のうち前記軸側接触部に接触する部位は、前記軸部の運動方向に対し傾斜する傾斜面状をなしており、
前記回動側接触部のうち前記軸側接触部に接触する部位は、前記軸部の運動方向に対する傾斜が一定ではない形状をなすことを特徴とする手段1乃至12のいずれかに記載の排水栓装置。
上記手段14によれば、被操作部を移動させる際に軸部等へと加わる力などを考慮し、回動側接触部の傾斜を調整することで、良好な操作性を得ることができる。
例えば、被操作部を移動させて回動部を回動させるときに、回動部が回動し開栓し始めるまでには、開栓した後よりも比較的大きな力を要する点を考慮して、回動側接触部のうち、被操作部を移動させて回動部を回動させるときに軸側接触部と最初に接触する部分の傾斜を、回動側接触部におけるその他の部分の傾斜よりも緩やかにしてもよい。この場合には、回動部を回動させて開栓し始めるときに必要となる被操作部への押圧力を比較的小さくすることができる。
また、例えば、伝達部材を復動させるための戻り力付与部(例えば、バネ部材)等が設けられ、被操作部を往動させるにつれて、前記バネ部材等から被操作部に対しその復動方向に加わる力が大きくなるように構成した場合には、回動側接触部のうち、前記戻り力付与部等から被操作部に対しその復動方向に加わる力が所定値よりも大きくなる段階で軸側接触部と接触する部分の傾斜を、回動側接触部におけるその他の部分の傾斜よりも緩やかにしてもよい。この場合には、例えば、被操作部を移動させるときの最後の段階(被操作部の押込みが完了する直前の段階)などにおいて、回動部を回動させるために被操作部へと加えることが必要な押圧力を比較的小さく抑えることができる。
さらに、例えば、回動側接触部のうち、回動部を回動させるために被操作部へと加えることが必要な押圧力が比較的小さくて済む段階(例えば、回動部の回動開始後、各部材間の遊びや隙間がなくなるまでの段階)で軸側接触部と接触する部分については、その傾斜を比較的急なものとしてもよい。この場合には、被操作部の移動量(操作量)が比較的小さくても、伝達部材や支持部を比較的大きく移動させることができる。
手段15.少なくとも前記軸側接触部のうち前記回動側接触部に接触する部位は、前記軸部の運動方向に対し傾斜する傾斜面状をなしており、
前記軸側接触部のうち前記回動側接触部に接触する部位は、その全域において、前記軸部の運動方向に対する傾斜が一定とされた螺旋状をなすことを特徴とする手段1乃至12のいずれかに記載の排水栓装置。
上記手段15によれば、基本的には上記手段13と同様の作用効果が奏されることとなる。
手段16.少なくとも前記軸側接触部のうち前記回動側接触部に接触する部位は、前記軸部の運動方向に対し傾斜する傾斜面状をなしており、
前記軸側接触部のうち前記回動側接触部に接触する部位は、前記軸部の往復移動方向に対する傾斜が一定ではない形状をなすことを特徴とする手段1乃至12のいずれかに記載の排水栓装置。
上記手段16によれば、基本的には上記手段14と同様の作用効果が奏されることとなる。すなわち、被操作部を移動させる際に軸部へと加わる力などを考慮し、軸側接触部の傾斜を調整することで、良好な操作性を得ることができる。
尚、上記手段16に係る排水栓装置としては、例えば、上記手段14において例示した回動側接触部の構成を、軸側接触部のうち回動側接触部に接触する部位へと適用したものなどを挙げることができる。
手段17.前記軸部は、自身の軸方向に沿って往復移動可能であり、
少なくとも前記回動側接触部は、前記軸部の運動方向に対し傾斜する傾斜面状をなしており、
前記回動部は、前記軸部の運動方向に沿って前記回動側接触部と対向し、前記回動側接触部と同じ向きに傾斜する傾斜面状の回動側対向部を備え、
前記軸部の往動に伴い、前記軸側接触部が前記回動側接触部及び前記回動側対向部の一方を押圧することで、前記回動部が前記軸部に対し一方側に相対回動するとともに、
前記軸部の復動に伴い、前記軸側接触部が前記回動側接触部及び前記回動側対向部の他方を押圧することで、前記回動部が前記軸部に対し他方側に相対回動するように構成されていることを特徴とする手段1乃至16のいずれかに記載の排水栓装置。
上記手段17によれば、軸部を押引き動作(往復)させることで、回動部を両方向に回動させることができる。従って、回動部を他方側に回動させるための部材(例えば、バネ部材からなる戻り力付与部等)を設ける必要がなくなり、製造コストの増大抑制や装置の簡素化(小型化)を一層図ることができる。
また、回動側対向部が存在することによって、軸部が意図せず移動してしまうことを防止できる。これにより、被操作部の意図しない移動をより確実に防止することができ、使用者にとっての使い勝手をより高めることができる。
手段18.前記軸部は、自身の軸方向に沿って往復移動可能であり、
少なくとも前記軸側接触部のうち前記回動側接触部と接触する部位は、前記軸部の運動方向に対し傾斜する傾斜面状をなしており、
前記軸部は、自身の運動方向に沿って前記軸側接触部の前記傾斜面状をなす部位の背後に位置し、前記軸側接触部のうち前記傾斜面状をなす部位と同じ向きに傾斜する傾斜面状の軸側背面傾斜部を備え、
前記回動部は、前記軸側背面傾斜部と接触可能な第二回動側接触部を備え、
前記軸部の往動に伴い、前記回動側接触部に対する前記軸側接触部の押圧、及び、前記第二回動側接触部に対する前記軸側背面傾斜部の押圧の一方が行われることで、前記回動部が前記軸部に対し一方側に相対回動するとともに、
前記軸部の復動に伴い、前記回動側接触部に対する前記軸側接触部の押圧、及び、前記第二回動側接触部に対する前記軸側背面傾斜部の押圧の他方が行われることで、前記回動部が前記軸部に対し他方側に相対回動するように構成されていることを特徴とする手段1乃至16のいずれかに記載の排水栓装置。
上記手段18によれば、上記手段17と同様の作用効果が奏されることとなる。すなわち、製造コストの増大や装置の簡素化(小型化)をより図ることができるとともに、使い勝手の一層の向上を図ることができる。
手段19.前記軸部の中心軸を回転軸として回転可能な状態で前記軸部に取付けられるとともに、前記軸部とともに移動可能であり、かつ、外側に突出形成された被係合部を有する回転リングと、
前記軸部のうち前記回転リングの取付けられた部位の外周に配置されるとともに、前記取付対象物及び前記槽体の少なくとも一方に対し相対移動不能とされた筒状のロック用筒部とを備えるとともに、
前記ロック用筒部は、その周方向に沿って複数設けられた、前記軸部の運動方向に沿って延びる筒側溝部を有し、かつ、
前記ロック用筒部に対し前記軸部をその軸方向に沿った所定位置以上まで移動させることで、前記ロック用筒部に設けられた係合歯に対し前記被係合部が係合されること、及び、前記係合歯に対する前記被係合部の係合が解除され、前記筒側溝部に前記被係合部が落ち込むとともに、前記軸部が所定の戻り位置まで戻ることが交互になされるように構成されたロック機構を具備し、
前記軸部は、外側に突出する突起部を備え、
前記突起部の少なくとも一部は、前記軸部が移動するときに、常に前記筒側溝部に配置され、
前記筒側溝部に前記突起部が配置されることで、前記回転規制部としての機能が発揮されるように構成されていることを特徴とする手段1乃至18のいずれかに記載の排水栓装置。
一般にロック機構(例えば、スラストロック機構)において、筒側溝部は、回転リング(被係合部)を相対回転不能な状態で移動させるために用いられるが、上記手段19によれば、筒側溝部は、軸部の相対回転を規制する回転規制部としての機能を実現するためにも用いられる。つまり、筒側溝部は、回転リングの相対回転を規制することと、軸部の相対回転を規制することとの双方において共通して用いられる。従って、ロック機構を設けながらも、装置が複雑化してしまうことをより確実に防止できる。その結果、装置の簡素化(小型化)や製造コストの増大抑制をより確実に図ることができる。
以下に、実施形態について図面を参照しつつ説明する。
〔第1実施形態〕
図1及び図2に示すように、排水栓装置1は、排水口装置2及び操作装置3を備えており、槽体及び取付対象物としての浴槽100に取付けられている。
尚、浴槽100は、底壁部101と当該底壁部101の外周に立設された側壁部102とを備えている。また、底壁部101には、排水用の排水口103が貫通形成されており、側壁部102の上部には、浴槽100からの水の溢れ出しを防止するための貫通孔としてのオーバーフロー口104が貫通形成されている。さらに、本実施形態では、側壁部102とその背面側に位置する壁やエプロン等の構造物STとの間が比較的狭いものとされている。すなわち、浴槽100のうち操作装置3が取付けられる部位の内部スペースは比較的小さなものとされている。
まず、排水口装置2の構成について説明する。排水口装置2は、図2に示すように、排水口103に設けられており、排水口部材21と、排水管22と、支持軸機構23と、栓蓋24とを備えている。
排水口部材21は、筒状をなし、排水口103に挿設されている。また、排水口部材21は、自身の内部において前記支持軸機構23を保持している。
排水管22は、主管22Aと、枝分かれ管22Bとを備えている。主管22Aは、鉛直方向に沿って延びる筒状をなし、排水口部材21の下方において排水口部材21と同軸に配置されている。浴槽100内の水は、排水口部材21の内部及び主管22Aの内部を通って排出されるようになっている。
枝分かれ管22Bは、主管22Aの外周から主管22Aの延びる方向と直交する方向に沿って延びている。さらに、枝分かれ管22Bは、その内部空間が主管22Aの内部空間に連通するとともに、操作装置3の後述する配管32に対し図示しない連結管を介して接続されている。
支持軸機構23は、後述する伝達部材33Aの他端部が接触可能であるとともに、上端部に栓蓋24の取付けられた棒状の支持軸23Aを有している。さらに、支持軸機構23には、図示しないロック機構(例えば、スラストロック機構)が設けられている。当該ロック機構は、前記伝達部材33Aが往動(操作装置3から排水口装置2側へと移動)する度に、支持軸23Aを所定の上方位置にてロックすることと、ロック解除に伴い支持軸23Aを前記上方位置よりも下方の位置に配置することとを交互に行うように構成されている。
また、支持軸機構23は、図示しない戻り力付与部(例えば、バネ部材など)を備えている。前記ロック機構によるロックが解除されている状態では、排水口103が閉鎖されている場合を除き、前記戻り力付与部によって前記伝達部材33Aに対し、復動方向の(排水口装置2から操作装置3側に向けた)付勢力が加えられている。
栓蓋24は、円板状の栓蓋本体24Aと、当該栓蓋本体24Aの背面に設けられた環状のパッキン部24Bとを備えている。支持軸23Aの下動に伴い栓蓋24が下動した際には、前記パッキン部24Bが排水口部材21の内周面に接触することで、排水口103が閉鎖される。一方で、支持軸23Aの上動に伴い栓蓋24が上動した際には、前記パッキン部24Bが排水口部材21の内周面から離間することで、排水口103が開放される。
次に、操作装置3の構成について説明する。操作装置3は、図1に示すように、取付部材31、配管32、レリースワイヤ33、及び、操作側機構部34を備えている。
取付部材31は、筒状をなし、オーバーフロー口104に挿通されている。また、取付部材31は、その一端部において径方向外側に突出形成された鍔部31Aと、鍔部31Aよりも他端側の外周面に形成された雄ねじ部31Bとを備えている。さらに、取付部材31は、その他端部内周に、その周方向に沿って等間隔に設けられた複数の取付用突部31C(図3参照)を備えている。
配管32は、略直角に屈曲する筒状をなし、その一端側(オーバーフロー口104側)内周に、前記雄ねじ部31Bを螺合可能な雌ねじ部32Aを備えている。本実施形態では、側壁部102の裏側において配管32をオーバーフロー口104と同軸に配置しつつ、オーバーフロー口104を通して取付部材31の雄ねじ部31Bを前記雌ねじ部32Aに対して螺合し、鍔部31A及び配管32の一端面により側壁部102を挟み込むことで、配管32が取付部材31に接続されるとともに、側壁部102に取付けられている。尚、本実施形態では、側壁部102の裏面と配管32の一端面との間に、弾性変形可能な材料により形成された環状のシール部材3Sが配置されており、当該シール部材3Sによって、取付部材31及び配管32と浴槽100との間からの漏水防止が図られている。
また、配管32のうち操作側機構部34の他端側上部に配置される部分には、後述する内側筒部341Bの軸方向と平行な方向に延びるスリット部32Bが形成されている。
加えて、配管32の他端部(下端部)には、前記排水管22に接続される連結管(図示せず)が接続されている。これにより、取付部材31の内部を通って配管32の内部へと流入した排水は、前記連結管を通り、排水管22へと流れ落ちるようになっている。
レリースワイヤ33は、支持軸機構23及び操作側機構部34間に設けられており、ワイヤー等からなる長尺状の伝達部材33Aと、樹脂等からなる長尺筒状のチューブ部材33Bとを備えている。伝達部材33Aは、チューブ部材33Bの内周に配置されており、チューブ部材33Bに対し往復移動可能とされている。
操作側機構部34は、保持部材341、回動部342、操作側回動支持部343、及び、操作部材344を備えている。
保持部材341は、樹脂により形成されており、回動部342や操作部材344等を配管32の内部において保持するための部材である。保持部材341は、図3〜5に示すように、外側環状部341A、内側筒部341B、及び、アーム部341Cを備えている。
外側環状部341Aは、その外径が前記取付部材31の内径と略同一とされた環状をなしている。また、外側環状部341Aは、その軸方向と平行な方向に、その他端面から突出する爪部341D(図4、5参照)を備えている。爪部341Dは、外側環状部341Aの周方向に沿って等間隔に複数(本実施形態では、3つ)設けられており、各爪部341Dの先端部には、外周側に突出する係合部341Eが形成されている。また、上述の通り、保持部材341は樹脂製であるため、爪部341Dの先端部は、外側環状部341Aの径方向に沿って弾性変形可能となっている。そして、本実施形態では、係合部341E及び外側環状部341Aの他端面により、前記取付部材31の取付用突部31Cを挟み込むことで、取付部材31に対し保持部材341が取付けられている。
内側筒部341Bは、外側環状部341Aの内側に位置しており、その一端部及び他端部の双方が開口する円筒状をなしている。また、内側筒部341Bの内周には、前記回動部342が相対回転可能に挿通されている。加えて、内側筒部341Bは、その一端側開口の内径がその他端側開口の内径よりも小さなものとされており、その結果、回動部342は、内側筒部341Bに対しその他端側開口から挿通可能である一方、内側筒部341Bの一端側開口から抜けてしまうことがないようになっている。また、内側筒部341Bの外周には、その径方向外側に突出する板状の回転防止用突部341Fが形成されており、当該回転防止用突部341Fは、配管32のスリット部32Bに配置されている。その結果、保持部材341がその周方向において適正な位置で配置されるとともに、保持部材341の回転防止が図られている。
アーム部341Cは、外側環状部341Aの内周面と内側筒部341Bの外周面とを連結し、外側環状部341Aの内側にて内側筒部341Bを保持するためのものである。アーム部341Cは、外側環状部341Aの周方向に沿って等間隔に複数(本実施形態では、3つ)設けられている。そして、隣接するアーム部341C間には隙間が形成されており、取付部材31の内部空間へと流入した水は、前記隙間を通って配管32へと流れ込むようになっている。
図1に戻り、回動部342は、円筒状をなしており、操作部材344の後述する軸部344Bの外周に配置されている(図1参照)。また、回動部342は、その周方向に沿って前記軸部344Bに対し相対回動可能となっている。さらに、回動部342の他端面の外周側には、湾曲窪み状の凹部342A(図5参照)が形成されており、当該凹部342Aに対し伝達部材33Aの一端部が嵌め込まれることで、回動部342の外周側に伝達部材33Aが固定されている。そして、回動部342が回動したときには、回動部342により、その回動方向に沿って伝達部材33Aの一端部が押圧され、その結果、回動部342の回動方向の接線方向に沿って伝達部材33Aの一端部が往動(操作装置3から排水口装置2側へと移動)するようになっている。尚、本実施形態では、軸部344B、回動部342、レリースワイヤ33、及び、支持軸23Aによって、被操作部344A及び栓蓋24間に設けられ、被操作部344Aの変位を栓蓋24側へと伝達する伝達体TM1が構成されている。
さらに、回動部342の内周には、回動部342の周方向に対し傾斜する傾斜面状をなす回動側接触部342B(図3等参照)が形成されている。回動側接触部342Bは、回動部342の回動軸方向に沿って、後述する軸部344Bの軸側接触部344Dと接触可能な部位である。また、回動側接触部342Bのうち軸側接触部344Dと接触する部位は、その全域において、前記回動軸方向に対する傾斜が一定とされた螺旋状をなすように構成されている。尚、本実施形態において、回動側接触部342Bは、回動部342の内周に2つ設けられている。
操作側回動支持部343は、内側筒部341Bの他端側開口及び凹部342Aの開口を塞ぐようにして、内側筒部341Bに対しねじ止め固定されている。すなわち、操作側回動支持部343は、保持部材341及び取付部材31を介して浴槽100に対し間接的に取付けられている。
また、操作側回動支持部343は、図3〜5に示すように、内側筒部341Bの他端側開口等を塞ぐ平板状の板状部343Aと、当該板状部343Aの中心から突出する棒状部343Bとを備えている。
板状部343Aは、少なくとも回動部342の他端面と対向する部位が滑らかな平滑状とされており、回動部342の回動時には、前記対向する部位に対し回動部342の他端面が接触しつつ摺動するようになっている。
棒状部343Bは、筒状をなし、その軸方向に沿って延びるリブ(突条)を外周面に複数(本実施形態では、4つ)備えた構成となっている。また、棒状部343Bの根元部分は円柱状をなしており、当該根元部分によって回動部342が支持されるようになっている。
操作部材344は、図1に示すように、オーバーフロー口104に挿通されており、オーバーフロー口104の延びる方向に沿って往復移動可能に設けられている。操作部材344は、浴槽100の貯水空間側から見て円形状をなす被操作部344Aと、当該被操作部344Aに対しこれと同軸な状態で、この移動方向に沿って直列的に固定された軸部344Bとを備えている。
被操作部344Aは、排水口103を開閉する際に、使用者が操作する部分であり、浴槽100(側壁部102)の表面側に表出している。また、本実施形態では、排水口103の閉鎖時に、被操作部344Aの表面が鍔部31Aの表面と面一となるように構成されており、被操作部344Aは、常に取付部材31の表面から突出しないものとされている。これにより、外観品質や安全性の向上が図られている。
軸部344Bは、操作部材344の往復移動方向に沿って延びるとともに、被操作部344Aとは反対側に開口する穴部344C(図5参照)を具備する棒状をなしている。穴部344Cには、前記棒状部343Bのリブに対応する形状をなす凹み部が複数形成されている。そして、棒状部343Bのリブが穴部344Cの凹み部に配置されるようにして、穴部344Cに対し棒状部343Bが挿通されている。これにより、軸部344Bは、棒状部343Bひいては浴槽100に対し相対回動不能となっている。つまり、本実施形態では、棒状部343B及び軸部344Bのうち穴部344Cを形成する部位によって、浴槽100に対する軸部344Bの相対回転を規制する回転規制部が構成されている。
さらに、図3〜5に示すように、軸部344Bの外周には、外側に突出する扇型状の軸側接触部344Dが2つ形成されている。各軸側接触部344Dは、内側筒部341Bの一端側開口を通過不能な大きさとされており、常に回動部342の内側に配置されている。また、操作部材344を往動させたときに、軸側接触部344Dのうち軸部344Bの往動方向前方側に位置する面が、回動側接触部342Bへと面接触可能となっている。本実施形態では、軸側接触部344Dと、回動側接触部342Bとによって、運動方向変換部が構成されている。
尚、本実施形態において、操作側機構部34は、浴槽100の表面側(貯水空間側)から、取付部材31に対し取付・取外自在に構成されている。取付部材31に対し操作側機構部34を取付ける際には、まず、レリースワイヤ33の接続された操作側機構部34を、所定の向きで浴槽100の表面側から取付部材31内に挿通する。そして、スリット部32Bに対し回転防止用突部341Fが挿入可能となるように保持部材341を位置合わせした上で、係合部341Eの先端部外周に形成されたテーパ状部分を取付用突部31Cに接触させつつ、操作側機構部34を取付部材31の奥側へと押し込むことで、爪部341Dを径方向内側に向けて徐々に弾性変形させる。そして、爪部341Dが所定量以上弾性変形すると、係合部341Eが取付用突部31Cを超えて取付部材31のより奥側へと移動するとともに、爪部341Dの弾性変形が解除される。その結果、外側環状部341Aの他端面と係合部341Eとによって取付用突部31Cを挟み込む形となり、操作側機構部34が取付部材31に取付けられることとなる。すなわち、本実施形態では、取付部材31に対し操作側機構部34をワンタッチで取付けることができるようになっている。
一方、取付部材31から操作側機構部34を取外すに際しては、操作側機構部34を取付時とは反対の方向へと引っ張れば、取付用突部31Cから係合部341Eが外れ、取付部材31から操作側機構部34を取外すことができる。このように取付部材31に対し操作側機構部34が取付・取外自在とされることで、取付部材31や配管32の内周面の清掃や、操作側機構部34の故障時における部品の交換作業などが容易となり、清掃性やメンテナンス性の向上が図られるようになっている。
次に、排水口103の開閉する際の各部の動作について説明する。まず、排水口103を閉状態から開状態とするときには、被操作部344Aを押圧し操作部材344を往動させることで、軸側接触部344Dが回動側接触部342Bを押圧し、ひいては回動部342が軸部344Bに対し相対回動する。その結果、回動部342によって伝達部材33Aの一端部が押圧され、回動部342の回動方向の接線方向に沿って伝達部材33Aの一端部が往動する。また、これにより、チューブ部材33Bの内部において伝達部材33Aが往動し、伝達部材33Aの他端部によって支持軸23Aが押し上げられる。そして、支持軸23Aが所定位置以上まで押し上げられると、前記ロック機構によって、栓蓋24が排水口部材21から離間した状態で支持軸23Aが所定の上方位置にてロックされ、排水口103が開放される。
一方、排水口103を開状態から閉状態とするときには、排水口103を開放するときと同様に、被操作部344Aを押圧し操作部材344を往動させることで、伝達部材33Aを往動させる。これにより、前記ロック機構による支持軸23Aのロックが解除され、重力や前記戻り力付与部の作用により、支持軸23A及び栓蓋24が下動する。その結果、排水口103が閉鎖される。また、戻り力付与部の作用により、チューブ部材33B内を伝達部材33Aが復動することとなり、伝達部材33Aの一端部に押圧されることで、回動部342が、排水口103を開放するときとは逆方向に回動する。これにより、回動側接触部342Bによって軸側接触部344Dが押圧され、軸部344B(操作部材344)が復動し、被操作部344Aは、その表面が鍔部31Aの表面と面一となる状態まで戻ることとなる。
尚、本実施形態では、回動部342の回動軸から回動部342のうち伝達部材33Aの一端部を押圧する部位までの距離(半径)を調節したり、操作部材344の往復移動方向に対する回動側接触部342Bの傾斜角度を調節したりすることで、被操作部344Aを押圧したときに、伝達部材33Aの一端部の移動量が、操作部材344の移動量よりも大きくなるように構成されている。
以上詳述したように、本実施形態によれば、傾斜面を利用した非常に簡素な構造により、軸部344Bの軸運動を回動部342の回動運動へと変換することができる。従って、排水栓装置1の安定的な動作を図ることができるとともに、製造コストの増大抑制、及び、排水栓装置1の小型化を効果的に図ることができる。
また、本実施形態では、伝達部材33Aの一端部の往復移動方向を、操作部材344の往復移動方向と直交する方向(操作部材344の周方向)とすることができ、また、操作部材344と伝達部材33Aの一端部とが直列的に並ばないようにすることができる。これにより、操作部材344の往復移動方向に沿った操作装置3の長さを非常に小さなものとすることができる。その結果、良好な安全性や美感を確保しつつ、取付自由度を飛躍的に高めることができる。
また、軸部344B及び棒状部343Bにより構成される回転規制部によって、浴槽100に対し軸部344Bを相対回転不能とすることができ、ひいては操作部材344を往動させたときに回動部342をより確実に回動させることができる。これにより、上述の作用効果をより確実に発揮させることができる。
さらに、伝達部材33Aの往復移動方向を操作部材344の往復移動方向と直交する方向(操作部材344の周方向)とするために、レリースワイヤ33を曲げる必要はない。従って、レリースワイヤ33の曲げに伴い、伝達部材33A及びチューブ部材33B間で生じる摩擦力が大きくなって操作性が低下してしまったり、伝達部材33A等に破損が生じてしまったりすることをより確実に防止できる。
また、本実施形態では、被操作部344Aの表面を押圧したときに、伝達部材33Aの一端部の移動量が、被操作部344Aの移動量よりも大きくなるように構成されている。従って、栓蓋24のより確実な上下動を図りつつ、操作部材344の往復移動量(ストローク量)をより小さなものとすることができる。その結果、操作部材344の往復移動方向に沿った操作装置3の長さをより小さなものとすることができ、取付自由度を一層高めることができる。
さらに、排水口103を開閉するために必要な被操作部344Aの移動量を小さくすることができるため、使用者が排水口103を開閉しようとしたときに、被操作部344Aの移動量が不十分となり、排水口103の開閉に失敗してしまうといった事態をより確実に防止できる。これにより、使用者にとっての使い勝手を向上させることができる。
さらに、回動側接触部342Bは一定傾斜の螺旋状であるため、操作部材344を往動させたときに、軸側接触部344Dにおいて、回動側接触部342Bに接触する部分を常に同一部分とすることができる。従って、被操作部344Aを移動させたときに、回動部342を安定的に回動させることができ、動作安定性の向上を図ることができる。
また、被操作部344Aを往動させるときに、使用者は、被操作部344Aに生じる負荷の変化(前記負荷は、例えば、前記戻り力付与部で生じる力の変化や、軸側接触部344D及び回動側接触部342B間で生じる摩擦力の変化、排水口103の開閉状態などにより変化する)等をより確実に知覚することができる。その結果、使用者は、排水口103を開閉する際に、被操作部344Aを介して操作部材344や栓蓋24の状況などをより確実に把握することができ、ひいては操作ミスが生じてしまう等の事態をより確実に防止できる。
加えて、回動部342は、その回動時に、操作側回動支持部343を摺動するため、回動部342をより安定的に回動させることができ、装置の動作安定性を一層高めることができる。
また、操作側回動支持部343は、回転規制部の一部(棒状部343B)を有するものとされる。そのため、装置の小型化を一層図ることができ、取付自由度の更なる向上や製造コストの低減を図ることができる。
〔第2実施形態〕
次いで、第2実施形態について説明する。上記第1実施形態では、操作装置3に対し軸部344B、回動部342、回転規制部、及び、運動方向変換部が設けられているが、本第2実施形態では、図6に示すように、排水口装置4の具備する栓蓋側機構部5に対し、回動部51、軸部52、回転規制部、及び、運動方向変換部が設けられている。
以下、排水口装置4の構成について説明する。排水口装置4は、排水管41、被支持部材としての通水部材42、支持軸43、ヘアキャッチャー44、栓蓋45、及び、栓蓋側機構部5を備えている。
排水管41は、底壁部101に貫通形成された排水口103と連通するようにして底壁部101の背面に取付けられている。より詳しくは、排水管41の上端部内周には雌ねじ部41Eが形成されており、排水管41の上端部を底壁部101の背面に配置した上で、前記雌ねじ部41Eに対し、排水口103を通して外周に雄ねじ部47Aを有する筒状の排水口部材47を螺合し、排水口部材47の上端部鍔状部分と排水管41の上端部との間で底壁部101を挟み込むことで、排水管41は底壁部101の背面に取付けられている。そして、排水口103を通った排水は、排水管41の内部へと流れ込み排出されるようになっている。
また、排水管41は、鉛直方向に沿って延びる筒状をなす排水用の主管41Aと、当該主管41Aの外周から水平方向に突出形成され、自身の内部空間が主管41Aの内部空間に連通する筒状の取付管41Bとを備えている。取付管41Bの内周には、その軸方向に沿って延びる凹部41Cが形成されている。当該凹部41Cは、取付管41Bの中心軸を挟むようにして2つ設けられている。
さらに、排水管41は、後述する支持突起51Bの移動領域を除き、前記取付管41Bの主管41A側の開口を塞ぐようにして板状の排水管側回動支持部41Dを備えている。
通水部材42は、支持軸43を介して栓蓋45に対し間接的に取付けられており、排水管41(主管41A)内において上下動可能に配置されている。通水部材42は、環状の外周壁部42Aと、当該外周壁部42Aの内周から内側に向けて延びる下部捕集部42Bとを備えている。
外周壁部42Aは、排水管41(主管41A)の内周面に沿うようにして排水管41(主管41A)内に配置されている。また、外周壁部42Aの下端面が後述する支持突起51Bに載置状態とされることで、通水部材42は、排水管41(主管41A)内で支持されるようになっている。
下部捕集部42Bは、その内周部分が支持軸43に固定されており、外周壁部42Aの径方向に沿って延びる複数のリブを有している。下部捕集部42Bにおいて、主管41Aを流れる排水は前記リブ間に形成された隙間を通って流れ落ち、その一方で、排水に含まれるゴミ等は捕集されることとなる。
支持軸43は、棒状をなし、その上端部が栓蓋45の背面中央部に取付けられるとともに、その下端側部分が通水部材42に固定されている。そのため、後述する支持突起51Bの上下動に伴い通水部材42が上下動した際には、通水部材42とともに支持軸43及び栓蓋45が上下動することとなる。
ヘアキャッチャー44は、支持軸43の外周から外周側に向けて広がっており、主管41Aを流れる排水に含まれるゴミ等を捕集する機能を備えている。
栓蓋45は、樹脂等からなる円板状の栓蓋本体45Aと、当該栓蓋本体45Aの背面外周側に取付けられた、弾性変形可能な材料(例えば、ゴムや樹脂等)からなる環状のパッキン部45Bとを備えている。本実施形態では、支持突起51Bが下動した際に、通水部材42及び支持軸43とともに栓蓋45が下動し、パッキン部45Bの外周部分全域が底壁部101に接触することで、排水口103が閉鎖されるようになっている。一方で、支持突起51Bが上動した際には、通水部材42及び支持軸43とともに栓蓋45が上動し、パッキン部45Bが底壁部101から離間することで、排水口103が開放されるようになっている。
尚、本実施形態では、排水口103の開放時において、外周壁部42Aの下端面は支持突起51Bに接触しているが、排水口103の閉鎖時において、外周壁部42Aの下端面は支持突起51Bから離間するようになっている。これにより、排水口103の閉鎖時において、栓蓋45(パッキン部45B)を確実に底壁部101へと接触させることができ、良好な水密性を得ることが可能となっている。
さらに、本実施形態においては、浴槽100の表側から栓蓋45や支持軸43を引き上げることで、通水部材42、支持軸43、ヘアキャッチャー44及び栓蓋45からなるユニット46を排水管41から一度に取外すことができるようになっている。そして、前記ユニット46を排水管41から取外した状態では、排水管41(主管41A)内は、支持突起51Bのみが僅かに突出した状態となる。そのため、メンテナンス性や清掃性の向上を図ることができる。
栓蓋側機構部5は、取付管41Bに取付けられており、図7に示すように、回動部51、軸部52、及び、開口蓋部53を備えている。
回動部51は、取付管41Bの内周に対し回動可能な状態で挿通されており、その回動軸方向の一端部が円板部51Aによって閉塞された円筒状をなしている。そして、円板部51Aのうち排水管41(主管41A)の内部空間側に位置する表面の外周側には、排水管41(主管41A)内に突出する支持部としての支持突起51Bが設けられている。
支持突起51Bは、水平方向に延びる棒状をなし、その先端が主管41Aの中心(主管41Aの中心軸)に到達しないように比較的短いものとされている。また、回動部51が回動することで、支持突起51Bは回動しつつ上下動し、上述の通り、支持突起51Bの上下動に伴い排水口103が開閉するようになっている。尚、回動部51の回動時には、円板部51Aの表面が排水管側回動支持部41Dに接触しつつ摺動する。
また、図8に示すように、回動部51の円筒状部分には、その軸方向に対して傾斜する傾斜溝部51Cが2つ貫通形成されている。そして、回動部51の傾斜溝部51Cを形成する部位のうち、主管41A側(軸部52の往動方向前方側)に位置する部位によって、回動側接触部51Dが形成されている。また、回動部51の傾斜溝部51Cを形成する部位のうち、主管41Aとは反対側(軸部52の復動方向前方側)に位置する部位によって、回動側対向部51Eが形成されている。
回動側対向部51Eは、回動側接触部51Dと同じ向きに傾斜しており、両者は、回動部51の軸方向に沿って対向した状態となっている。また、回動側接触部51D及び回動側対向部51E間には、軸部52の後述する軸側接触部52Aが配置されており、軸部52が往動したときには、軸側接触部52Aが回動側接触部51Dへと線接触し、軸部52が復動したときには、軸側接触部52Aが回動側対向部51Eへと線接触するようになっている。加えて、本実施形態では、回動側接触部51D及び回動側対向部51Eのうち、軸側接触部52Aと接触する部位は、その全域において、回動部51の回動軸方向(軸部52の運動方向)に対し一定の傾斜を有するものとされている。
軸部52は、回動部51の内周においてその軸方向に沿って往復移動可能に配置されている。また、軸部52には、伝達部材33Aの他端部(被操作部とは反対側に位置する端部)が接続されており、伝達部材33Aの往復移動に伴い軸部52が往復移動するように構成されている。尚、本第2実施形態において、被操作部は、上記第1実施形態のように、往復移動するものであってもよいし、上記第1実施形態とは異なり、回転(回動)するものでもあってもよい。但し、伝達部材33Aは、被操作部の移動に伴い往復移動するように構成されている。
また、軸部52は、その外周から外側に突出する円柱状の軸側接触部52Aを2つ備えている。軸側接触部52Aは、その基端側部分が、回動側接触部51D及び回動側対向部51E間に配置されるとともに、その先端側部分が、取付管41Bの凹部41Cへと配置されている。軸側接触部52Aの先端側部分が凹部41Cに配置されることで、取付管41Bひいては浴槽100に対する軸部52の相対回動が規制されている。すなわち、本実施形態では、軸側接触部52Aの先端側部分が、凹部41Cへと配置される突部に相当し、軸側接触部52Aの先端側部分と、取付管41Bのうち凹部41Cを形成する部位とによって回転規制部が構成されている。また、本実施形態では、軸側接触部52A、回動側接触部51D、及び、回動側対向部51Eによって、運動方向変換部が構成されており、レリースワイヤ33、軸部52、回動部51、通水部材42、及び、支持軸43によって、被操作部の変位を栓蓋45側へと伝達する伝達体TM2(図6参照)が構成されている。
開口蓋部53は、板状をなしており、取付管41Bにおける主管41Aとは反対側の開口を閉鎖することで、取付管41Bからの回動部51及び軸部52の抜け止めを行うものである。また、開口蓋部53の中心部分には、板厚方向に貫通する孔部が形成されており、当該孔部を通して伝達部材33Aの他端部が軸部52へと接続されている。加えて、開口蓋部53には、所定のナット部材54によってチューブ部材33Bの他端部が固定されている。
次に、排水口103の開閉する際の各部の動作について説明する。まず、排水口103を閉状態から開状態とするときには、被操作部の移動により軸部52を往動させることで、軸側接触部52Aが回動側接触部51Dを押圧し、ひいては回動部51が軸部52に対し相対回動する。その結果、支持突起51Bが回転しつつ上動し、支持突起51Bによって通水部材42が持ち上げられる。これにより、栓蓋45が底壁部101から離間した状態となり、排水口103が開放される。
一方、排水口103を開状態から閉状態とするときには、被操作部を移動させることで伝達部材33Aを復動させる。これにより、軸側接触部52Aが回動側対向部51Eを押圧し、ひいては回動部51が軸部52に対し開栓時とは反対側に相対回動する。その結果、支持突起51Bが回動しつつ下動し、重力によって通水部材42や栓蓋45が下動する。その結果、栓蓋45が底壁部101に接触した状態となり、排水口103が閉鎖される。
尚、本実施形態では、回動部51の径方向に沿った回動部51の回動軸から支持突起51Bまでの距離(回動半径)を調節したり、軸部52の往復移動方向に対する回動側接触部51Dの傾斜角度を調節したりすることで、被操作部を移動させたときに、支持突起51Bの鉛直方向に沿った移動量が、軸部52の移動量よりも大きくなるように構成されている。
以上、本第2実施形態によれば、比較的簡素な構成により、軸部52の運動を回動部51の回動運動へと変換し、ひいては支持突起51Bを回動させることができる。従って、栓蓋側機構部5の動作安定性を高めることができる。
また、被操作部を移動させたときに、支持突起51Bの鉛直方向に沿った移動量が、軸部52の移動量よりも大きくなるように構成されているため、栓蓋45のより確実な上下動を図りつつ、軸部52の往復移動量(ストローク量)をより小さなものとすることができる。従って、軸部52の往復移動方向に沿った栓蓋側機構部5の長さをより小さなものとすることができる。これにより、排水管41に対する栓蓋側機構部5の取付自由度を高めることができる。また、排水口103を開閉するために必要な被操作部の往復移動量を小さくできるため、操作性を向上させることができるとともに、使用者にとっての使い勝手の向上を図ることができる。
さらに、回動部51は、その回動時に、排水管側回動支持部41Dを摺動するため、回動部51をより安定的に回動させることができ、装置の動作安定性を一層高めることができる。また、排水管41の一部によって排水管側回動支持部41Dが構成されるため、装置の小型化や簡素化をより図ることができ、製造コストの抑制を一層図ることができる。
加えて、本第2実施形態によれば、軸部52を押引き動作(往復)させることで、回動部51を両方向に回動させることができる。従って、回動部51を他方側に回動させるための部材(例えば、バネ部材からなる戻り力付与部等)を設ける必要がなくなり、製造コストの増大抑制や装置の簡素化(小型化)を一層図ることができる。
また、回動側対向部51Eが存在することによって、軸部52が意図せず移動してしまうことを防止できる。これにより、被操作部の意図しない移動をより確実に防止することができ、使用者にとっての使い勝手をより高めることができる。
〔第3実施形態〕
次に、第3実施形態について、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
上記第1実施形態では、排水口装置2の支持軸機構23に対しロック機構が設けられているが、本第3実施形態では、図9に示すように、操作装置3の操作側機構部34に対しロック機構345が設けられている。
詳述すると、本第3実施形態において、軸部344Bは、図10に示すように、筒状の外側筒部344Eと、当該外側筒部344Eの内部においてこれと同軸に設けられた棒状の内側軸部344Fとを備えており、内側軸部344Fの外周に設けられた回転リング346によってロック機構345の一部が構成されている。また、操作側回動支持部383は、第一構成部383Cと、これに組付けられた第二構成部383Dとを備えており、両構成部383C,383Dの一部が組合わされることでロック機構345の一部を構成するロック用筒部383Eが構成されている。
外側筒部344Eは、その外周に前記軸側接触部344Dを備えた部位である。
内側軸部344Fは、自身の他端部外周にくびれ部分を備えており、当該くびれ部分の外周に対し環状の回転リング346が取付けられている。さらに、内側軸部344Fのうち、回転リング346の被取付部分よりも一端側には、軸部344Bの軸方向に沿って延びる突起部344Gが形成されている。突起部344Gは、内側軸部344Fの周方向に沿って等間隔に複数(本実施形態では、3つ)設けられている。
回転リング346は、軸部344Bの中心軸を回転軸として回転可能な状態で内側軸部344Fに取付けられており、軸部344Bの往復移動時に、軸部344Bとともに移動可能となっている。また、回転リング346の外周には、外側に突出形成された被係合部346Aが設けられている。被係合部346Aは、回転リング346の周方向に沿って等間隔に3つ設けられている。また、被係合部346Aは、回転リング346の径方向に沿ってその外周面を視認したとき、台形状をなすように構成されている。
第一構成部383Cは、他端部(被操作部344Aとは反対側の端部)が鍔状の円筒状をなしており、その一端側が外側筒部344Eと内側軸部344Fとの間に配置されている。また、第一構成部383Cは、前記内側筒部341Bの他端部にねじ止め固定されており、ひいては浴槽100に対し相対移動不能となっている。
さらに、第一構成部383Cの内周には、その周方向に沿って等間隔に複数(本実施形態では、6つ)の係合歯384が設けられている。各係合歯384は、第一構成部383Cの軸方向に沿って延びており、係合歯384の他端面(第一構成部383C側を向く面)には、図11に示すように、その周方向一端から他端に向けて第一斜面部384A、直交面部384B及び第二斜面部384Cがこの順序で設けられている。
第一斜面部384Aは、係合歯384の他端面の周方向一端から、直交面部384Bに向けて第一構成部383Cの一端側へと傾斜している。直交面部384Bは、両斜面部384A,384C間に設けられ、第一構成部383Cの軸方向と平行な方向に向けて延びている。第二斜面部384Cは、直交面部384Bの他端から係合歯384の他端面の周方向他端に向けて第一斜面部384Aと同じ傾斜方向で傾斜している。
さらに、各係合歯384間には、第一構成部383Cの軸方向(軸部344Bの運動方向)に延びる筒側溝部384Dが形成されている。筒側溝部384Dは、第一構成部383Cの周方向に沿って等間隔に複数(本実施形態では、6つ)設けられている。筒側溝部384Dには、前記被係合部346Aとともに、突起部344Gが配置されている。
第二構成部383Dは、第一構成部383Cの被操作部344Aとは反対側の端部開口を閉塞するようにして第一構成部383Cに取付けられている(図10参照)。また、第二構成部383Dのうち第一構成部383Cに挿通された部位の一端部には、案内歯385が設けられている。案内歯385は、周方向に沿って等間隔に複数(本実施形態では、6つ)設けられており、一端側に向けて突出する形状とされている。さらに、案内歯385の一端面(係合歯384側を向く面)には、その周方向一端から他端に向けて第一直交面部385A、第一傾斜部385B、第二直交面部385C及び第二傾斜部385Dがこの順序で設けられている。
第一直交面部385A及び第二直交面部385Cは、第一構成部383Cの軸方向と平行な方向に向けて延びており、第一直交面部385Aの一端から第一傾斜部385Bが延びている。第一傾斜部385B及び第二傾斜部385Dは、第二直交面部385Cを挟むように配置されており、前記斜面部384A,384Cの傾斜方向とは逆向きに傾斜している。
加えて、隣接する各案内歯385同士の間には、隙間部385Eが形成されている。
そして、第一構成部383C及び第二構成部383Dを組合わせた状態では、第一斜面部384Aが第一傾斜部385B及び第二傾斜部385Dと対向し、第二斜面部384Cが第二傾斜部385D及び隙間部385Eと対向するように係合歯384及び案内歯385の相対位置関係が設定されている。
尚、本実施形態では、第一構成部383Cのうち内周に係合歯384及び筒側溝部384Dを有する円筒状部分と、第二構成部383Dのうち第1構成部383Cへと挿通されるとともに、案内歯385を有する部分とによって、ロック用筒部383Eが構成されている。
次いで、被操作部344Aの押圧により軸部344Bを往動させたときにおける、被係合部346Aの動作や状態、及び、軸部344Bや伝達部材33Aの位置等について、図12(a)〜(d)を参照しつつ説明する。
まず、被係合部346Aが筒側溝部384Dに配置されている状態(図11参照)では、前記戻り力付与部からの付勢力により、軸部344B(軸側接触部344D)は回動部342(回動側接触部342B)で押圧され、軸部344Bは、比較的一端側にて保持されることとなる。そのため、伝達部材33Aは所定の第一位置にて保持されることとなり、排水口103は栓蓋24によって閉鎖された状態とされる。
この状態において、被操作部344Aを押圧することで、軸部344Bを往動させ、ロック用筒部383Eに対し軸部344Bをその軸方向に沿った所定位置以上まで移動させると、図12(a)に示すように、被係合部346Aにおける往動方向前方側の面が案内歯385の第一傾斜部385Bに接触しつつ当該第一傾斜部385Bを摺動し、最大で被係合部346Aが第二直交面部385Cに接触するまで回転リング346が回転する。
その後、被操作部344Aに対する押圧力(軸部344Bに加えられていた往動方向への力)が解除されると、前記戻り力付与部からの付勢力により、回動部342(回動側接触部342B)によって軸部344B(軸側接触部344D)が押圧されることで、軸部344B及び回転リング346が復動する。そして、図12(b)に示すように、被係合部346Aの復動方向前方側の面が係合歯384の第一斜面部384Aに接触しつつ第一斜面部384Aを摺動し、被係合部346Aが直交面部384Bと接触するまで、回転リング346が回転する。これにより、係合歯384に対し被係合部346Aが係合され、軸部344Bは比較的他端側にて保持される(図9参照)。また、伝達部材33Aは前記第一位置よりも排水口装置2側の第二位置にて保持される。その結果、栓蓋24が押し上げられた状態となり、ひいては排水口103が開状態で保持されることとなる。
この状態において、被操作部344Aを再度押圧し、軸部344Bに対しその往動方向へと力を加えると、図12(c)に示すように、被係合部346Aの往動方向前方側の面が案内歯385の第二傾斜部385Dに接触しつつ当該第二傾斜部385Dを摺動し、被係合部346Aが隙間部385Eに至るまで回転リング346が回転する。
その後、被操作部344Aに対する押圧力(軸部344Bに加えられていた往動方向への力)が解除されると、戻り力付与部からの付勢力により、軸部344B及び回転リング346が復動する。そして、図12(d)に示すように、被係合部346Aの復動方向前方側の面が係合歯384の第二斜面部384Cに接触しつつ当該第二斜面部384Cを摺動し、その結果、係合歯384に対する被係合部346Aの係合が解除されるとともに、被係合部346Aが筒側溝部384Dに落ち込み、軸部344Bが所定の戻り位置まで戻る。これにより、伝達部材33Aが前記第一位置にて保持されるとともに、栓蓋24によって排水口103が閉鎖されることとなる。
以降、被操作部344Aを押圧する度に、上述した、係合歯384に対する被係合部346Aの係合と、係合歯384に対する被係合部346Aの係合の解除とが交互に行われることとなる。つまり、被操作部344Aを押圧する度に、排水口103の開閉が交互に行われることとなる。
尚、本実施形態では、軸部344Bの移動時であっても停止時であっても、筒側溝部384Dに対し常に突起部344Gが配置されている。これにより、浴槽100に対し軸部344Bが相対回転不能となっている。つまり、本実施形態では、第一構成部383Cのうち筒側溝部384Dを形成する部位と突起部344Gとによって、回転規制部が構成されている。
以上、本第3実施形態によれば、基本的には上記第1実施形態と同様の作用効果が奏されることとなる。
また、本第3実施形態によれば、筒側溝部384Dは、回転リング346の相対回転を規制することと、軸部344Bの相対回転を規制することとの双方において共通して用いられる。従って、ロック機構345を設けながらも、装置が複雑化してしまうことをより確実に防止できる。その結果、装置の簡素化(小型化)や製造コストの増大抑制をより確実に図ることができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)軸側接触部344D,52Aに対し回転可能なローラ部を設け、被操作部の移動に伴い、前記ローラ部が回動側接触部342B,51Dを押圧しつつ回転するように構成してもよい。この場合には、回動部342,51の回動時に、軸側接触部344D,52A(ローラ部)に対し回動側接触部342B,51Dを非常にスムーズに移動させることができ、軸側接触部344D,52Aと回動側接触部342B,51Dとの間で生じる抵抗を効果的に小さくすることができる。従って、操作部材344の移動に要する力をより低減させることができ、一層良好な操作性を実現することができる。
(b)上記実施形態において、回動側接触部342B,51Dは、操作部材344の往復移動方向(回動部342の回動軸の延びる方向)に対する傾斜が一定とされた螺旋状をなすように構成されているが、必ずしも操作部材344の往復移動方向に対する回動側接触部の傾斜は一定でなくてもよい。従って、例えば、図13に示すように、回動部352の回動側接触部352Bが、排水口103を開放するために被操作部を移動させたときに、軸側接触部と最初に接触する部位である回動側接触始端部352Cと、排水口103を開放するために被操作部を移動させたときに、軸側接触部と最後に接触する部位である回動側接触終端部352Dと、回動側接触始端部352C及び回動側接触終端部352Dの間に位置する回動側接触中間部352Eとを有するものとし、回動側接触始端部352Cの傾斜が、回動側接触中間部352Eの傾斜よりも緩やかなものとなるように構成してもよい。
このように構成することで、通常、回動部352が回動し開栓し始めるまでには、開栓した後よりも比較的大きな力を要するところ、回動部352を回動させ開栓させ始めるときに被操作部344Aへの加えることが必要となる力を比較的小さくすることができる。その結果、良好な操作性を得ることができる。
尚、「回動側接触始端部352Cの傾斜が、回動側接触中間部352Eの傾斜よりも緩やかである」とは、回動側接触部352Bを平面上に展開したときに、回動部352の回動軸と回動側接触始端部352Cとのなす角のうち鋭角の角度が、前記回動軸と回動側接触中間部352Eとのなす角のうち鋭角の角度よりも小さいことをいう。また、回動側接触中間部352Eが湾曲形状であったり、複数の角度の異なる傾斜面を有する形状であったりする場合には、回動側接触中間部352Eを平面上に展開したときに、回動側接触中間部352Eの各部において、前記回動軸と回動側接触中間部352E(回動側接触中間部352Eが湾曲形状の場合は、回動側接触中間部352Eに接する接線)とのなす角のうち鋭角の角度が、回動軸と回動側接触始端部352Cとのなす角のうち鋭角の角度よりも大きなものとされる。
さらに、図14に示すように、回動部362の回動側接触部362Bのうち、前記戻り力付与部から伝達部材33Aを介して被操作部344Aに対しその復動方向に加わる力が所定値よりも大きくなる段階で軸側接触部344Dと接触する部分362Cの傾斜を、回動側接触部におけるその他の部分362Dの傾斜よりも緩やかにしてもよい。この場合には、例えば、被操作部344Aを往動させるときの最後の段階などにおいて、回動部362を回動させるために被操作部344Aへと加えることが必要な押圧力を比較的小さく抑えることができ、操作性をより高めることができる。
さらに、例えば、回動側接触部のうち、回動部342を回動させるために被操作部344Aへと加えることが必要な押圧力が比較的小さくて済む段階(例えば、回動部342の回動開始後、各部材間の遊びや隙間がなくなるまでの段階)で軸側接触部344Dと接触する部分については、その傾斜を比較的急なものとしてもよい。この場合には、被操作部344Aの押込量(操作量)が比較的小さくても、伝達部材33Aを比較的大きく移動させることができる。
(c)上記実施形態では、回動側接触部342B,51Dが傾斜面状をなすように構成されているが、図15に示すように、軸部374Bの軸側接触部374Dが傾斜面状をなすように構成し、回動部372の回動側接触部372Bが非傾斜面状(例えば、突起状)をなすように構成してもよい。また、回動側接触部及び軸側接触部の双方が傾斜面状をなすように構成してもよい。
加えて、軸側接触部が傾斜面状をなす場合、軸側接触部を、回動部372の回動軸の延びる方向(回動部372の周方向)に対する傾斜が一定とされた螺旋状としてもよい。この場合には、上記実施形態と同様に、動作安定性の向上や操作ミスの防止といった作用効果が奏されることとなる。
また、軸側接触部の傾斜を一定とせず、例えば、上記(b)において示した回動側接触部の構成を軸側接触部に対して適用してもよい。この場合には、上記(b)において記載した作用効果と同様の作用効果が奏されることとなる。
さらに、軸側接触部が傾斜状をなす場合には、回動側接触部に対し回転可能なローラ部を設け、軸部の移動に伴い、前記ローラ部が軸側接触部に押圧されつつ回転するように構成してもよい。この場合には、被操作部を移動させたときに、軸側接触部に対し回動側接触部(ローラ部)を非常にスムーズに移動させることができ、軸側接触部と回動側接触部との間で生じる抵抗を効果的に小さくすることができる。その結果、被操作部の移動に要する力をより低減させることができ、一層良好な操作性を実現することができる。
(d)図16に示すように、軸部374Bは、その運動方向に対し傾斜する軸側接触部374Dを有するとともに、その運動方向に沿って軸側接触部374Dの背後に位置し、軸側接触部374Dと同じ向きに傾斜する傾斜面状の軸側背面傾斜部374Eを有するものとしてもよい。また、回動部372は、軸側接触部374Dと接触可能な回動側接触部372Bとともに、軸側背面傾斜部374Eと接触可能な第二回動側接触部372Cを備えることとしてもよい。そして、軸部374Bの往動に伴い、軸側接触部374Dが回動側接触部372Bを押圧することで、回動部372が軸部374Bに対し一方側に相対回動し、軸部374Bの復動に伴い、軸側背面傾斜部374Eが第二回動側接触部372Cを押圧することで、回動部372が軸部374Bに対し他方側に相対回動することとしてもよい。この場合には、軸部374Bを押引き動作(往復)させることで、回動部372を両方向に回動させることができる。従って、回動部372を他方側に回動させるための部材(例えば、戻り力付与部)を設ける必要がなくなり、製造コストの増大抑制や装置の簡素化(小型化)を一層図ることができる。
また、軸側背面傾斜部374E及び第二回動側接触部372Cが存在することによって、軸部374Bが意図せず移動してしまうことを防止できる。これにより、被操作部の意図しない移動をより確実に防止することができ、使用者にとっての使い勝手をより高めることができる。
(e)上記実施形態において、軸側接触部344D,52A及び回動側接触部342B,51Dはそれぞれ2つ設けられているが、軸側接触部及び回動側接触部の数はこれに限定されるものではない。例えば、軸側接触部及び回動側接触部を1つずつ設けてもよいし、両者をそれぞれ3つ以上ずつ設けてもよい。
(f)上記第1実施形態において、軸側接触部344D及び回動側接触部342Bは面接触するように構成されているが、両者が線接触又は点接触するように構成してもよい。この場合には、軸側接触部と回動側接触部との接触抵抗をより小さなものとすることができる。従って、被操作部を移動させる際に要する力を一層低減させることができ、操作性を一層向上させることができる。
尚、軸側接触部と回動側接触部とを点接触とするには、例えば、回動側接触部及び軸側接触部のうちの一方を螺旋状とし、回動側接触部及び軸側接触部のうちの他方における前記一方に向く部分を前記一方側に凸の球面状としたり、前記一方側に突出する尖端状としたりすればよい。
(g)上記第1実施形態では、回動部342の内周に段差を設けることで傾斜面状の回動側接触部342Bが構成されているが、回動部342の内周に溝を設けることで回動側接触部を構成することとしてもよい。また、軸側接触部を傾斜面状とする場合にも同様である。
(h)上記実施形態では、軸部344Bの外周に回動部342が設けられる構成とされているが、軸部の内周に回動部を設ける構成としてもよい。そして、軸部の内周に設けられた軸側接触部、及び、回動部の外周に設けられた回動側接触部の少なくとも一方を傾斜面状とすることで、軸部の移動時に、軸部に対し回動部が回動するように構成してもよい。
(i)上記第1実施形態では、回動部342の回動時に、回動部342によって伝達部材33Aの一端部が押圧されることで、回動部342の回動方向の接線方向に沿って伝達部材33Aの一端部が往動するように構成されている。これに対し、回動部342の回動時に、回動部342によって伝達部材33Aの一端部が引かれることで、回動部342の回動方向の接線方向に沿って伝達部材33Aの一端部が復動するように構成してもよい。
また、上記実施形態において、伝達部材33Aは、チューブ部材33Bの内周を往復移動可能なワイヤー等により構成されているが、伝達部材の構成はこれに限定されるものではなく、例えば、伝達部材は、ワイヤー等と、当該ワイヤー等の一端部に直列的に接続されるとともに、側面部分に複数の歯が並んで設けられた棒状のラック部とを備えるものであってもよい。そして、回動部の外周に歯車を設けるとともに、前記ラック部の歯を回動部の前記歯車に噛合させることで、軸部に対して回動部が相対回動したときに、回動部の回動方向の接線方向に沿って前記ラック部が往動又は復動するように構成してもよい。
(j)上記実施形態では、回動部のうち軸側接触部の往動方向前方側に回動側接触部が設けられているが、回動部のうち軸側接触部の復動方向前方側に回動側接触部を設け、軸部の復動時に、軸側接触部が回動側接触部を押圧することで、回動部が回動するように構成してもよい。すなわち、上記第2実施形態における回動側対向部51Eを回動側接触部として捉えることとしてもよい。尚、この場合には、上記第2実施形態における回動側接触部51Dが回動側対向部として捉えられることとなり、軸部52の往動に伴い、軸側接触部が回動側対向部を押圧することで、回動部51が軸部52に対し一方側に相対回動し、軸部52の復動に伴い、軸側接触部が回動側接触部を押圧することで、回動部51が軸部52に対し他方側に回動することとなる。
また、例えば、上記(d)における第二回動側接触部372Cを回動側接触部として捉えることとしてもよい。尚、この場合には、回動側接触部372Bが第二回動側接触部として捉えられ、軸側接触部374Dが軸側背面傾斜部として捉えられ、軸側背面傾斜部374Eが軸側接触部として捉えられることとなる。そして、軸部374Bの往動に伴い、軸側背面傾斜部が第二回動側接触部を押圧することで、回動部372が軸部374Bに対し一方側に相対回動し、軸部374Bの復動に伴い、軸側接触部が回動側接触部を押圧することで、回動部372が軸部374Bに対し他方側に相対回動することとなる。
(k)上記実施形態において、被操作部344Aは取付部材31の表面から常に非突出となるように構成されているが、被操作部344Aが取付部材31の表面から突出するように構成してもよい。
(l)上記実施形態において、操作装置3は浴槽100(槽体)に取付けられているが、操作装置の取付対象は、これに限定されるものではなく、例えば、槽体の近傍に設けられた構造物であってもよい。
(m)上記第1、第3実施形態では、側壁部102に形成された、貫通孔としてのオーバーフロー口104に対応して操作装置3が設けられているが、浴槽100が、側壁部102の裏側において、これと隙間をあけて配置された板状のエプロンを備えることとし、当該エプロンに貫通形成された貫通孔に対応して操作装置を設けることとしてもよい。浴槽のエプロンは、通常、この裏側に位置する側壁部102との間隔が小さいものとされ、エプロンに対し操作装置を取付けることは決して容易ではないが、上記実施形態の操作装置3は、被操作部344Aの移動方向に沿った長さが非常に小さなものとなるため、エプロンに対してもより容易に取付けることができる。
また、浴槽100と、これに隣接して設置される洗い場と、浴槽100及び洗い場の周囲に設置される複数の板状の壁パネルとを備えてなる浴室ユニットにおいて、前記壁パネルに対し貫通孔を形成し、この貫通孔に対応して操作装置を設けることとしてもよい。通常、壁パネルとその裏側の壁面との隙間は小さくなりやすいため、壁パネルに対し操作装置を取付けることは容易ではないが、被操作部344Aの移動方向に沿った長さを小さくできる上記実施形態の操作装置3であれば、壁パネルに対しても容易に取付可能である。
(n)上記実施形態では、槽体として浴槽100を例示しているが、本発明の技術思想を適用可能な槽体は浴槽に限定されるものではない。従って、例えば、洗面化粧台や流し台などに対して、本発明の技術思想を適用することとしてもよく、これらに対し操作装置を取付けることとしてもよい。
尚、洗面化粧台は、鉛直方向に延びるとともに、所定の壁面との間で隙間をあけて配置される板状のバックガードを備えることとし、当該バックガードに形成された貫通孔に対応して操作装置を設けることとしてもよい。洗面化粧台のバックガードは、通常、この裏側に位置する壁面との間隔が小さいため、バックガードに対し操作装置を取付けることは容易ではない。しかしながら、上記実施形態の操作装置3は、被操作部344Aの移動方向に沿った長さが非常に小さなものとなるため、バックガードに対してもより容易に取付けることができる。
(o)上記第1、第3実施形態において、戻り力付与部は、支持軸機構23に設けられているが、戻り力付与部を操作側機構部34に設けることとしてもよい。また、ロック機構及び戻り力付与部の一方を支持軸機構23に設け、ロック機構及び戻り力付与部の他方を操作側機構部34に設けることとしてもよい。
(p)上記第2実施形態では、回動側接触部51D及び回動側対向部51Eが設けられているが、回動側接触部51Dのみを設けることとしてもよい。そして、伝達部材33Aの往動に伴い軸部52が往動したときに、軸側接触部が回動側接触部を押圧することで、回動部51が回動し、支持突起51Bが上動又は下動するように構成してもよい。
また、軸部52の復動方向前方側に回動側接触部のみを設け、伝達部材33Aの復動に伴い軸部52が復動したときに、軸側接触部が回動側接触部を押圧することで、回動部51が回動し、支持突起51Bが上動又は下動するように構成してもよい。
(q)上記実施形態において、伝達部材33Aは、チューブ部材33Bの内周を往復移動可能なワイヤー等によって構成されているが、伝達部材の構成はこれに限定されるものではなく、例えば、回転力を伝達可能なユニバーサルジョイントなどによって伝達部材を構成してもよい。この場合には、回動部342にユニバーサルジョイントの一端部を直列的に接続したり、回動部342がユニバーサルジョイントの一端部を形成したりするものとし、回動部342が回動したときに、その回動力がユニバーサルジョイントへと伝達されるように構成してもよい。
(r)上記第2実施形態では、支持部として、回動部51の端面外周側に設けられた支持突起51Bを挙げているが、支持部の構成はこれに限定されるものではない。例えば、支持部として、回動部の外周からその径方向外側に突出するとともに、その先端部によって被支持部材を支持する棒状部材を用いてもよい。この場合には、回動部の回動に伴い、棒状部材の先端部が上下動することで、被支持部材及びこれに支持された栓蓋を上下動させることができ、ひいては排水口103を開閉することができる。また、この場合には、被支持部材として、上端部が栓蓋の背面中央部に取付けられる支持軸を用いてもよい。