JP7234665B2 - 塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂 - Google Patents

塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂 Download PDF

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Description

本発明は、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体及びその組成物に関するものであり、さらに詳細には、可塑剤等に分散させて調製したペースト加工用組成物(以下、ペースト塩ビゾルと略記する場合もある。)の粘度の経時変化が少なく、低温加工した際の成形品の破断伸びに優れることから、コート剤、特に自動車アンダーボディコート用、自動車シーラント用として有用な塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体及びその組成物に関するものである。
ペースト加工用塩化ビニル系樹脂(以下、ペースト塩ビと略記する場合もある。)は、一般に可塑剤、充填剤、安定剤又はその他の配合剤などと共に混練することにより、ペースト塩ビゾルを調製し、該ペースト塩ビゾルを使用し種々の成形加工法により壁紙、タイルカーペット、手袋などの様々な成形加工品に用いられている。また、加工温度の低い用途用として、比較的低温でも機械的強度が得られるゲル化溶融性に優れた特性を持つペースト塩ビとして、塩化ビニルに酢酸ビニルを共重合させた塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂が知られており、さらに、ペースト塩ビゾル調製後から加工までの長期の保存安定性に対する対策として、ゾル粘度の経時変化が少ないペースト塩ビが求められている。
ゾル粘度の経時変化の少ないペースト塩ビを製造する方法として、特定の界面活性剤を使用したシードミクロ懸濁重合によるペースト加工用塩化ビニル系樹脂の製造方法が提案されている(例えば特許文献1参照。)。
その他に、ポリ塩化ビニル系樹脂に特定の化合物を配合するポリ塩化ビニル系樹脂組成物が提案されている(例えば特許文献2参照。)。
特開平06-056915号公報 特開2010-241977号公報
しかし、特許文献1に提案の方法によって得られるペースト塩ビは、ゾル粘度の経時変化に対する厳しい安定性を要求される用途、例えば自動車用アンダーボディコート、自動車用シーラント等の用途に用いる場合には、市場要求を満足できるものではなかった。
一方、特許文献2に提案の方法においては、一応、粘度の経時変化が比較的少ないポリ塩化ビニル系樹脂組成物を提供することが可能なものではあるが、ペースト加工用塩化ビニル系樹脂の提供を目的としたものではなく、また長期の粘度安定性については検討されていないものであった。
そこで、本発明は、ペースト塩ビゾルとした際のゾル粘度の経時変化が極めて少なく、低温加工による成形体であっても、破断伸びに優れ、コート剤、特に自動車アンダーボディコート用、自動車用シーラント用として優れた特性を有する塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体及びその組成物を提供することにある。
本発明者は、上記の課題について鋭意検討を重ねた結果、低分子量成分における低酢酸ビニル含有成分と高酢酸ビニル含有成分の割合が特定の範囲内にある平均酢酸ビニル残基含量5~15重量%の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体が、破断伸びに優れ、ゾル粘度の経時変化が極めて少ないペースト塩ビゾルを提供することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、平均酢酸ビニル残基含量が5~15重量%の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体であって、重量平均分子量100000以下の低分子量成分と重量平均分子量100000を越える高分子量成分とに分別した際に該低分子量成分が酢酸ビニル残基含量10重量%未満の低酢酸ビニル含有成分;酢酸ビニル残基含有量10重量%以上の高酢酸ビニル含有成分=1:0.5~1:1.5(重量比)の範囲の構成成分であることを特徴とする塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体及びそれを含んでなる塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体組成物に関するものである。
以下、本発明に関し詳細に説明する。
本発明の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体は、平均酢酸ビニル残基含量が5~15重量%(すなわち、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体100重量部に対して酢酸ビニル残基単位を5~15重量部相当。)のものであり、特に破断伸びとゾル粘度の経時変化が優れたものとなることから7~12%の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体であることが好ましい。ここで、平均酢酸ビニル残基単位含有量が5重量%未満の場合、強度、破断伸びに劣るものとなる。一方、15重量%を超える場合、ゾル粘度の経時変化が大きくなり安定性に劣るものとなる。なお、平均酢酸ビニル残基含量は、例えば赤外分光光度計により測定することができる。
そして、本発明の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体は、重量平均分子量100000以下の低分子量成分と重量平均分子量100000を越える高分子量成分とに分別した際に該低分子量成分が酢酸ビニル残基含量10重量%未満の低酢酸ビニル含有成分;酢酸ビニル残基含有量10重量%以上の高酢酸ビニル含有成分=1:0.5~1:1.5(重量比)のものであり、特に破断伸びとゾル粘度の経時変化に優れるものとなることから、1:0.6~1:1.3の範囲を構成成分であることが好ましい。ここで、高酢酸ビニル含有成分比率が0.5未満である場合、強度、破断伸びに劣るものとなる。一方高酢酸ビニル含有成分率が1.5を越える場合、ゾル粘度の経時変化に劣るものとなる。なお、重量平均分子量100000以下の低分子量成分と重合平均分子量100000以上の高分子量成分とに分別する際には、例えばゲル・パーエーション・クロマトグラフィを用いることができる。また、酢酸ビニル残基単位は、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、グラジエント溶出法により測定を行うことができる。
そして、本発明の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体は、ペースト塩ビゾルとした際の粘度の経時変化が極めて優れたものとなり、特に破断伸び特性に優れたペースト加工用塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体となり、可塑剤等を配合したペースト塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体組成物とした際には、増粘率が90%以下となるものが好ましく、さらに自動車アンダーボディコート剤、自動車用シーラント用として優れたものとなることから、増粘率が50%未満となるものが好ましい。その際の増粘率の測定方法については後述する。
また、本発明の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体は、特に低温加工での破断伸びとペースト塩ビゾルとした際に経時変化に優れる成形体となり、特に自動車アンダーボディコート剤、自動車用シーラント用として優れたものとなることから、強度3.5MPa以上、破断伸び200%以上を示すものであることが好ましい。その際の破断伸びの測定方法としては、例えば、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体100重量部に対し、フタル酸ジイソノニル100重量部、炭酸カルシウム70重量部、ナフテン系炭化水素溶剤15重量部を配合し、ペースト塩ビゾルを調製し、2mm厚に塗布したシートから、JIS3号ダンベル試験片を用い、測定方法は、試験片の中央に20mm間隔の標線を入れ、引張り試験装置に取り付け、50mm/分の速度で引張り、破断時の荷重及び標線間の伸びを測定し、破断伸び及び引張強度を求めることができる。
本発明の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体は、該塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体の製造時に用いられる乳化剤を含むものであってもよく、該乳化剤としては、例えばアルキル硫酸エステル塩を挙げることができ、その添加時期としては、例えば塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体の製造の際に、該乳化剤を併用する方法、製造後の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体に該乳化剤を添加する方法等を挙げることができる。
また、本発明の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を製造する際には、重合開始剤、連鎖移動剤、架橋剤、緩衝剤、水溶性開始剤、還元剤、高級アルコール等を適宜用いることができる。当該添加剤については、本発明の目的を奏する限りにおいて、本発明の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体に含まれていてもよい。また、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体の製造方法としては、例えば、塩化ビニルモノマーと酢酸ビニルモノマーの混合液を、重合開始剤の存在下において水性媒体中で重合する製造方法を挙げることができる。
本発明の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体の製造方法としては、平均酢酸ビニル残基単位含有量5~15重量%の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を製造することが可能であれば如何なる方法であってもよく、中でも効率的に製造することが可能となることから、塩化ビニルモノマー/酢酸ビニルモノマー=85/15~50/50(重量/重量)よりなる混合単量体を用いてなることが好ましく、特に低温加工での破断伸び、ペースト塩ビゾルとした際の粘度の経時変化が共に極めて優れたものとなり、特に自動車アンダーボディコート剤、自動車用シーラント用として優れるものを効率的に製造することが可能となることから、塩化ビニルモノマー/酢酸ビニルモノマー=83/17~60/40(重量/重量)よりなる混合単量体を用いることが好ましい。
重合開始剤としては、重合開始剤の範疇に属するものであれば如何なるものであってもよく、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性重合開始剤;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物,ラウロイルパーオキサイド、t-ブチルペルオキシピバレート、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート等の過酸化物,等の油溶性重合開始剤等を挙げることができる。また、シードミクロ懸濁重合法の際には、油溶性開始剤を含む種粒子(シード)であってもよい。
そして、本発明の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体が、乳化剤等を含む樹脂である場合、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体へ含有させる方法については、特に限定するものではなく、重合反応が完了した後に添加・混練する方法、重合反応開始前又は重合反応中に添加する方法等が挙げられる。添加方法としては、破断伸び、ペースト塩ビゾルとした際の粘度の経時変化の小さい塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を効率よく製造することが可能となることから、重合開始前又は重合開始後の重合反応中に連続又は一括で仕込むことが好ましく、特に低温加工での破断伸び、ペースト塩ビゾルとした際の粘度の経時変化が共に極めて優れたものとなり、特に自動車アンダーボディコート剤、自動車用シーラント用として優れるものを効率的に製造することが可能となることから、重合開始後から重合転化率が85%に達するまでに連続又は一括で仕込むことが好ましい。
そして、本発明の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体の製造方法における重合法としては、例えば塩化ビニルモノマー、酢酸ビニルモノマー、界面活性剤、油溶性重合開始剤、必要に応じて脂肪族高級アルコール等の乳化補助剤を脱イオン水に添加しホモジナイザー等で混合分散した後、緩やかな攪拌下で重合を行うミクロ懸濁重合法;ミクロ懸濁重合法で得られた油溶性重合開始剤を含む種粒子(シード)を用いて行うシードミクロ懸濁重合法;塩化ビニル系モノマーを脱イオン水、界面活性剤、水溶性重合開始剤とともに緩やかな攪拌下で重合を行う乳化重合法で得られた粒子をシードとして用いて乳化重合を行うシード乳化重合法等があげられ、その際に、例えば、重合温度は30~80℃とし、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体ラテックスとして得ることができる。これらの重合により製造された塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体ラテックスを噴霧乾燥し、必要に応じて粉砕することにより、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体の一次粒子が凝集した本発明の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を得ることができる。
塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体とする際に用いる乾燥機は一般的に使用されているものでよく、例えば、噴霧乾燥機等が挙げられる(具体例としては、「SPRAY DRYING HANDBOOK」(K.Masters著、3版、1979年、GeorgegodwinLimitedより出版)の121頁第4.10図に記載されている各種の噴霧乾燥機)。乾燥用空気入口温度、乾燥用空気出口温度に特に制限はなく、乾燥用空気入口温度は80~200℃、乾燥用空気出口温度は45~75℃が一般的に用いられる。乾燥用空気入口温度は100~170℃、乾燥用空気出口温度は50~70℃が更に好ましい。乾燥後に得られる塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体は、ラテックスを構成する一次粒子の集合体であり、通常10~100μmの顆粒状である。乾燥出口温度が55℃を超える場合には、得られた顆粒状塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を粉砕した方が可塑剤への分散の点から好ましく、乾燥出口温度が55℃以下の場合には、顆粒状のままでも粉砕して使用してもどちらでも良い。
本発明の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体は、ペースト加工用の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体として適したものであり、例えば該塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体100重量部に対し、可塑剤50重量部~150重量部、更には炭酸カルシウム50重量部~300重量部、希釈剤5重量部~40重量部等を含んでなる、経時変化が少なく保存安定性、低温加工時の機械的強度、破断伸び等に優れる、ペースト塩ビとしてコート剤、シーラント剤、壁紙、タイルカーペット等の各種用途に適用することができる。その際の可塑剤としては例えばフタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジエチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジブチル等を挙げることができる。また、炭酸カルシウムとしては例えば脂肪酸ナトリウム塩又は脂肪酸カリウム塩を含む表面処理剤等で表面処理した炭酸カルシウムを挙げることができ、市販品としては、例えば(商品名)Viscolite-OS(白石カルシウム株式会社製)を挙げることができる。さらに、希釈剤としては、例えばノルマルパラフィン系炭化水素系溶剤、イソパラフィン系炭化水素溶剤、ナフテン系炭化水素溶剤、芳香族系炭化水素溶剤等を挙げることができ、市販品としては、例えば(商品名)Exxsol D40(東燃ゼネラル石油株式会社製)を挙げることができる。
本発明の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体は、可塑剤に分散させて調製したペースト塩ビゾルの粘度の経時変化が少なく、低温加工時の機械的強度、破断伸びに優れ、コート剤、特に自動車アンダーボディコート剤、自動車用シーラント用として優れた特性を有するものである。
以下に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下に実施例より得られた塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体の評価方法を示す。
<増粘率の測定方法>
塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体100重量部、フタル酸ジイソノニル100重量部(株式会社ジェイプラス製)、脂肪酸塩表面処理炭酸カルシウム((商品名)Viscolite-OS 白石工業株式会社製)70重量部、及びナフテン系炭化水素溶剤((商品名)Exxsol D40 東燃ゼネラル石油株式会社製)15重量部を混練し、ペースト塩ビゾルを得た。得られたペースト塩ビゾルを23℃にて24時間保管した後、B8H型回転粘度計で23℃、20rpm条件にて測定した粘度を粘度Aとし、該ゾルを、更に23℃にて7日間保管した後、B8H型回転粘度計で23℃、20rpm条件にて測定した粘度を粘度Bとした。粘度A及び粘度Bを下記式にて、得られたペースト塩ビゾルの増粘率を求めた。
増粘率(%)=100×(B-A)/A
<引張強度の測定方法>
塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体粒子100重量部、フタル酸ジイソノニル100重量部(株式会社ジェイプラス製)、脂肪酸塩表面処理炭酸カルシウム((商品名)Viscolite-OS 白石工業株式会社製)70重量部、及びナフテン系炭化水素溶剤((商品名)Exxsol D40 東燃ゼネラル石油株式会社製)15重量部を混練してペースト塩ビゾルを製造した。脱泡処理した前記ペースト塩ビゾルを離型紙で2mm厚に塗布し、140℃×30min分間加熱してペースト塩ビシートを作成した。得られたペースト塩ビシートからJIS3号ダンベルを用いて試験片を作成し、23℃で50mm/minの条件で試験片の引張強度を測定した。
<破断伸びの測定方法>
塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体100重量部、フタル酸ジイソノニル100重量部(株式会社ジェイプラス製)、脂肪酸塩表面処理炭酸カルシウム((商品名)Viscolite-OS 白石工業株式会社製)70重量部、及びナフテン系炭化水素溶剤((商品名)Exxsol D40 東燃ゼネラル石油株式会社製)15重量部を混練してペースト塩ビゾルを製造した。脱泡処理した前記ペースト塩ビゾルを離型紙で2mm厚に塗布し、140℃×30min分間加熱してペースト塩ビシートを作成した。得られたペースト塩ビシートからJIS3号ダンベルを用いて試験片を作成し、試験片の中央に20mm間隔の標線を入れ、引張り試験装置に取り付け、23℃で50mm/分の速度で引張り、破断時の荷重及び標線間の伸びを測定し、破断伸び及び引張強度を求めた。
<平均酢酸ビニル残基単位含有量の測定方法>
塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体中に含有する平均酢酸ビニル残基単位含有量(重量%)(VAc含量と記す場合もある。)は、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体100mgと臭化カリウム10mgを混合し、すりつぶして成形した測定サンプルと、赤外分光光度計(島津社製、(商品名)FTIR-8100A)を用いて、下記式より算出した。
VAc含量=(3.73×B/A+0.024)×1.04
A:1430cm-1付近のC-H面内変角による吸収ピークトップのAbs.値。
B:1740cm-1付近のC=O伸縮による吸収ピークトップのAbs.値。
<重量平均分子量による分別>
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により保持時間を32.7min~36.4minの間で分別することにより、重量平均分子量100000以下の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体の低分子量成分と重量平均分子量100000を越える高分子量成分との分別を行った。
装置:(商品名)LaboACE LC-7080(日本分析工業製)。
検出器:示差屈折率計(RI検出器)。
カラム:(商品名)TSKgel GMHHR-H(東ソー製)×2本。
カラム温度:23℃。
溶離液:THF(富士フイルム和光純薬製 特級;安定剤不含)
流速:4.0ml/min。
濃度:5mg/ml。
注入量:1.5ml。
<重量平均分子量の測定>
塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体及びその低分子量成分(重量平均分子量100000以下成分)の重量平均分子量をGPCにて測定した。
装置:(商品名)HLC-8120GPC(東ソー製)。
検出器:示差屈折率計(RI検出器)。
カラム:(商品名)TSKgel GMHHR-H(東ソー製)×2本。
カラム温度:40℃。
溶離液:THF(キシダ化学製 1級)
流速:1.0ml/min。
濃度:1.0mg/ml。
注入量:100μl。
<低分子量成分における低酢酸ビニル含有成分及び高酢酸ビニル含有成分の測定>
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、グラジエント溶出法により、低分子量成分中の酢酸ビニル残基が10%以上の成分(高酢酸ビニル含有成分)と酢酸ビニル残基が10%以上の成分(高酢酸ビニル含有成分)の比率測定を面積比算出により行った。
装置:(商品名)HPLC8020シリーズ(東ソー製)。
検出器:蒸発型光散乱検出器(ELSD);(商品名)Varian380-LC(Varian製)。
カラム:(商品名)TSKgel ODS-100V(東ソー製)。
カラム温度:40℃。
移動相:A液:水/アセトニトリル=5/5
B液:テトラヒドロフラン
流速:1.0ml/min。
濃度:1mg/ml。
注入量:20μm。
合成例1(開始剤等含有シードの製造例)
1mオートクレーブ中に脱イオン水360kg、塩化ビニルモノマー300kg、過酸化ラウロイル6kg及び15重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液30kgを仕込み、該重合液をホモジナイザーを用いて2時間循環し、均質化処理後、温度を45℃に上げて、重合を進めた。45℃における塩化ビニルモノマーの飽和蒸気圧より0.2MPa圧力が低下した後、未反応の塩化ビニルモノマーを回収した。得られた開始剤等含有シードラテックス(以下、シード1と略記する。)の平均粒子径は0.60μm、固形分濃度は32%であった。
実施例1
2.5リットルオートクレーブ中に脱イオン水500g、1段目仕込み単量体として塩化ビニルモノマーを493g(混合単量体の全仕込み量に対して62重量%)と酢酸ビニルモノマーを96g(混合単量体の全仕込み量に対して12重量%)、5%水溶液ラウリル硫酸ナトリウムを9g、シード1を85g、0.1%水溶液硫酸銅を4g仕込み、その後、この反応混合物の温度を35℃に上げて1段目重合を開始するとともに、0.05重量%アスコルビン酸水溶液を全重合時間を通じて、重合温度を維持するように連続的に添加した。重合転化率が60%となったところで、2段目仕込み単量体として、塩化ビニルモノマー141g(混合単量体の全仕込み量に対して17重量%)を2.5リットルオートクレーブに仕込み、重合温度35℃にて2段目重合を継続した。更に、1段目仕込み単量体と2段目仕込み単量体の合計に対して重合転化率が80%となったところで、3段目仕込み単量体として、塩化ビニルモノマー70g(混合単量体の全仕込み量に対して9重量%)を2.5リットルオートクレーブに仕込み、重合温度35℃にて3段目重合を継続し、混合単量体の合計に対して重合転化率が89%となったところで重合を終了した。
なお、重合開始してから重合終了までの間、5%水溶液ラウリル硫酸ナトリウム100gを連続的に添加した。
そして、未反応モノマーを回収してラテックスとし、スプレードライヤーにて、熱風入口温度160℃、出口温度55℃で噴霧乾燥を行って、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を得た。得られた塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体の平均酢酸ビニル含有量は10.6重量%であった。また、重量平均分子量100000以下の低分子量成分における低酢酸ビニル含有成分;高酢酸ビニル含有成分=1:1.02であった。
また、得られた塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を用いてペースト塩ビゾルを作製し、物性を評価した。その結果を表1に示す。
実施例2
1mオートクレーブ中に脱イオン水350kg、1段目仕込み単量体として塩化ビニルモノマーを219kg(混合単量体の全仕込み量に対して55重量%)と酢酸ビニルモノマーを34kg(混合単量体の全仕込み量に対して9重量%)、25%水溶液ラウリル硫酸ナトリウムを0.9kg、シード1を42kg、10%水溶液硫酸銅を20g仕込み、その後、この反応混合物の温度を40℃に上げて1段目重合を開始するとともに、0.2重量%アスコルビン酸水溶液を全重合時間を通じて、重合温度を維持するように連続的に添加した。重合転化率が80%となったところで、2段目仕込み単量体として、塩化ビニルモノマー146kg(混合単量体の全仕込み量に対して37重量%)を1mオートクレーブに仕込み、重合温度35℃にて2段目重合を継続した。更に、1段目仕込み単量体と2段目仕込み単量体の合計に対して重合転化率が89%となったところで重合を終了した。
なお、重合開始してから重合終了までの間、25%水溶液ラウリル硫酸ナトリウム10kgと15%ノニルプロペニルフェノールエチレンオキシド10モル付加体硫酸エステルアンモニウム塩水溶液(第一工業製薬製、(商品名)アクアロンHS-10)2kgを連続的に添加した。
そして、未反応モノマーを回収してラテックスとし、重合度600、ケン化度93モル%のポリビニルアルコール(日本合成株式会社製、(商品名)ゴーセノールAL-06R)を塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体に対する含有量が4000ppmとなるように添加した。
プレードライヤーにて、熱風入口温度160℃、出口温度55℃で噴霧乾燥を行って、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を得た。得られた塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体の平均酢酸ビニル含有量は5.9重量%であった。また、重量平均分子量100000以下の低分子量成分における低酢酸ビニル含有成分;高酢酸ビニル含有成分=1:1.17であった。
また、得られた塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を用いてペースト塩ビゾルを作製し、物性を評価した。その結果を表1に示す。
Figure 0007234665000001
比較例1
2.5リットルオートクレーブ中に脱イオン水500g、仕込み単量体として塩化ビニルモノマーを688gと酢酸ビニルモノマーを112g(混合単量体の全仕込み量に対して14重量%)、5%水溶液ラウリル硫酸ナトリウムを9g、シード1を85g、0.1%水溶液硫酸銅を4g仕込み、その後、この反応混合物の温度を35℃に上げて重合を開始するとともに、0.05重量%アスコルビン酸水溶液を全重合時間を通じて、重合温度を維持するように連続的に添加した。混合単量体の合計に対して重合転化率が89%となったところで重合を終了した。
なお、重合開始してから重合終了までの間、5%水溶液ラウリル硫酸ナトリウム120gを連続的に添加した。
そして、未反応モノマーを回収してラテックスとし、スプレードライヤーにて、熱風入口温度160℃、出口温度55℃で噴霧乾燥を行って、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を得た。得られた塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体の平均酢酸ビニル含有量は9.6重量%であった。また、重量平均分子量100000以下の低分子量成分における低酢酸ビニル含有成分;高酢酸ビニル含有成分=1:1.65であった。
また、得られた塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を用いてペースト塩ビゾルを作製し、物性を評価した。その結果を表2に示す。
Figure 0007234665000002
本発明の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体は、可塑剤に分散させて調製したペースト塩ビゾルの粘度の経時変化が少なく、低温加工した際の成形品の破断伸びに優れ、コート剤、特に自動車アンダーボディコート剤、自動車用シーラント用として優れた特性を有するものであり、その産業上の利用価値は高いものである。

Claims (4)

  1. 平均酢酸ビニル残基含量が5~15重量%の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体であって、重量平均分子量100000以下の低分子量成分と重量平均分子量100000を越える高分子量成分とに分別した際に該低分子量成分が酢酸ビニル残基含量10重量%未満の低酢酸ビニル含有成分酢酸ビニル残基含有量10重量%以上の高酢酸ビニル含有成分=1:0.6~1:1.3(重量比)の範囲の構成成分であることを特徴とする高伸張性塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体。
  2. ペースト加工用塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の高伸張性塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体。
  3. 請求項1又は2に記載の高伸張性塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体100重量部に対し、可塑剤30重量部~150重量部、炭酸カルシウム50重量部~300重量部、希釈剤5重量部~40重量部を含んでなることを特徴とするペースト加工用塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体組成物。
  4. コート剤用組成物又はシーラント剤用組成物であることを特徴とする請求項3に記載のペースト加工用塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体組成物。
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