JP6572592B2 - ペースト加工用塩化ビニル系樹脂及びその製造法 - Google Patents
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Description
条件1;ペースト塩ビを水に超音波分散し、遠心分離器により2000rpm、30分の条件で遠心分離を行い、回収した上澄みを乾燥することにより、得られる微小粒子が2重量%以下。
条件2;条件1により得られる微小粒子の酢酸ビニル残基含量が、ペースト塩ビの酢酸ビニル残基含量より少ない。
ここで、R1は炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基又はアラルキル基を示し、R2は水素又は炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基若しくはアラルキル基を示し、R3は水素又はプロペニル基を示し、Aは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、nは1〜200の整数を示し、Mはアルカリ金属、アンモニウムイオン又はアルカノールアミン残基を示し、中でも、特に低温加工での機械的強度、ペースト塩ビゾルとした際の粘度の経時変化が共に極めて優れたものとなり、特に自動車アンダーボディコート剤、自動車用シーラント剤として優れたものとなることから、R1の炭素数は7〜11、R2及びR3は水素、Aは炭素数2〜3のアルキレン基、nは1〜40であることが好ましい。そして、該一般式(1)で示される化合物としては、例えばノニルプロペニルフェノールエチレンオキシド10モル付加体硫酸エステルアンモニウム塩、ノニルプロペニルフェノールエチレンオキシド20モル付加体硫酸エステルアンモニウム塩、オクチルジプロペニルフェノールエチレンオキシド10モル付加体硫酸エステルアンモニウム塩、オクチルジプロペニルフェノールエチレンオキシド100モル付加体硫酸エステルアンモニウム塩、ドデシルプロペニルフェノールエチレンオキシド20モルランダム付加体硫酸エステルナトリウム塩、ドデシルプロペニルフェノールプロピレンオキシド10モルランダム付加体硫酸エステルナトリウム塩、ドデシルプロペニルフェノールブチレンオキシド4モルブロック付加体硫酸エステルナトリウム塩、ドデシルプロペニルフェノールエチレンオキシド30モルブロック付加体硫酸エステルナトリウム塩等が挙げられ、特に自動車アンダーボディコート剤、自動車用シーラント剤として優れたものとなることから、ノニルプロペニルフェノールエチレンオキシド10モル付加体硫酸エステルアンモニウム塩、ノニルプロペニルフェノールエチレンオキシド20モル付加体硫酸エステルアンモニウム塩であることが好ましい。
増粘率(%)=100×(粘度(B)−粘度(A))/粘度(A)
なお、表面処理炭酸カルシウムとしては、例えば脂肪酸ナトリウム塩又は脂肪酸カリウム塩を含む表面処理剤等で表面処理した炭酸カルシウムを挙げることができ、市販品としては、例えば(商品名)Viscolite−OS(白石カルシウム株式会社製)を挙げることができる。また、希釈剤としては、例えばノルマルパラフィン系炭化水素系溶剤、イソパラフィン系炭化水素溶剤、ナフテン系炭化水素溶剤、芳香族系炭化水素溶剤等を挙げることができ、市販品としては、例えば(商品名)Exxsol D40(東燃ゼネラル石油株式会社製)を挙げることができる。
本発明のペースト塩ビは、遠心分離により回収した微小粒子の平均重合度を特に制限するものではなく、中でも、ペースト塩ビゾルとした際の粘度の経時変化が極めて優れたものとなり、特に自動車アンダーボディコート剤、自動車用シーラント剤として優れたものとなることから、遠心分離により回収した微小粒子の平均重合度は1300〜2500であることが好ましく、特に1300〜2000であることがさらに好ましい。
ペースト塩ビ100重量部、フタル酸ジイソノニル100重量部(株式会社ジェイプラス製)、脂肪酸塩表面処理炭酸カルシウム((商品名)Viscolite−OS 白石工業株式会社製)70重量部、ナフテン系炭化水素溶剤((商品名)ExxsolD40 東燃ゼネラ石油株式会社製)15重量部からなるペースト塩ビゾルの23℃にて保管した際の、混練2時間後のB8H型回転粘度計で20rpm条件にて測定した粘度をAとし、該ゾルを2時間後の測定後に40℃にて保管し混練から7日間経過後に40℃下にて上記方法にて測定した粘度をBとした。そして、下記式にて増粘率を求めた。
増粘率(%)=100×(B−A)/A
<引張強度の測定方法>
ペースト塩ビ100重量部、フタル酸ジイソノニル60重量部(株式会社ジェイプラス製)、Ca/Zn系安定剤2重量部((商品名)SC32 ADEKA社製)からなるペースト塩ビゾルを脱泡した後、0.5mm厚に塗布し、140℃×1分間加熱して得られたシートから、JIS3号ダンベル試験片を作製した。23℃、200mm/minの条件で該試験片により引張強度を測定した。
JIS−K6721に準拠し求めた。
ペースト塩ビ中に含有する酢酸ビニル残基含有量(VAc含量)(重量%)は、ペースト塩ビ100mgと臭化カリウム10mgを混合し、すりつぶして成形した測定サンプルを、赤外分光光度計(島津社製、(商品名)FTIR−8100A)を使用して、赤外吸収スペクトル測定し、下記式から算出した。
ペースト塩ビ中に含有する酢酸ビニル残基含有量(VAc含量)(重量%)
=(3.73×B/A+0.024)×1.04
A:1430cm−1付近のC−H面内変角による吸収ピークトップのAbs.値。
B:1740cm−1付近のC=O伸縮による吸収ピークトップのAbs.値。
ペースト塩ビを水に超音波分散し、遠心分離器(日立社製、(商品名)CENTRIFUGE05P−21)を用いて2000rpm30分の条件で遠心分離を行い、上澄みを回収した。回収した上澄みは60℃±2℃のオーブンで乾燥した後、30分デシケーターで冷却し、下記式により微小粒子量を算出した。
ペースト塩ビ中の微小粒子量(重量%)=(乾燥後の重量(g)/水に分散したペースト塩ビの重量(g))×100
合成例1(開始剤等含有シードの製造例)
1m3オートクレーブ中に脱イオン水360kg、塩化ビニル単量体300kg、過酸化ラウロイル6kg及び15重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液30kgを仕込み、該重合液をホモジナイザーを用いて2時間循環し、均質化処理後、温度を45℃に上げて、重合を進めた。45℃における塩化ビニルの飽和蒸気圧より0.2MPa圧力が低下した後、未反応の塩化ビニル単量体を回収した。得られた開始剤等含有シードラテックスの平均粒子径は0.60μm、固形分濃度は32%であった。
1m3オートクレーブ中に脱イオン水325kg、1段目仕込み単量体として塩化ビニル単量体を109kg(混合単量体の全仕込み量に対して27重量%)と酢酸ビニル単量体を36kg(混合単量体の全仕込み量に対して9重量%)、ラウリル硫酸ナトリウムを1000ppm(混合単量体100重量部に対して)、合成例1で得られた開始剤等含有シードラテックスを63kg、ジアリルフタレートを500ppm、硫酸銅を5ppm仕込み、この反応混合物の温度を60℃ に上げて1段目重合を開始した。重合転化率が85%となったところで、2段目仕込み単量体として、塩化ビニル単量体109kg(混合単量体の全仕込み量に対して27重量%)を15分間で1m3オートクレーブに仕込み、重合温度43℃にして2段目重合を継続するとともに、0.2重量%アスコルビン酸水溶液を、重合温度を維持するように連続的に添加した。更に、1段目仕込み単量体と2段目仕込み単量体の合計に対して重合転化率が88%となったところで、3段目仕込み単量体として、塩化ビニル単量体146kg(混合単量体の全仕込み量に対して37重量%)を15分間で1m3オートクレーブに仕込み、重合温度42℃にて3段目重合を継続し、混合単量体の合計に対して重合転化率が90%となったところで重合を終了した。重合開始してから重合終了までの間、ラウリル硫酸ナトリウム6000ppmとノニルプロペニルフェノールエチレンオキシド10モル付加体硫酸エステルアンモニウム塩水溶液(第一工業製薬製:(商品名)アクアロンHS−10)1000ppmを連続的に添加した。未反応単量体を回収して塩化ビニル系樹脂ラテックスとし、スプレードライヤーにて、熱風入口160℃、出口温度55℃で噴霧乾燥を行って、ペースト塩ビを得た。
1段目の重合温度を58℃、2段目の重合温度を41℃、3段目の重合温度を40℃としたこと以外は、実施例1と同様に行い、ペースト塩ビを得た。
1段目の重合温度を54℃、2段目の重合温度を39℃、3段目の重合温度を38℃とした以外は、実施例1と同様に行い、ペースト塩ビを得た。
1段目仕込みを塩化ビニル単量体26重量%と酢酸ビニル単量体12重量%、2段目仕込みを塩化ビニル単量体26重量%、3段目仕込を36重量%とした以外は、実施例1と同様に行い、ペースト塩ビを得た。
ジアリルフタレートを添加しなかったこと以外は、実施例3と同様に行い、ペースト塩ビを得た。
1段目の重合温度を64℃、2段目の重合温度を47℃、3段目の重合温度を46℃とした以外は、実施例1と同様に行い、塩化ビニル系樹脂を得た。
1段目仕込みを塩化ビニル単量体28重量%と酢酸ビニル単量体6重量%、2段目仕込みを塩化ビニル単量体28重量%、3段目仕込みを38重量%とした以外は、実施例2と同様に行い、塩化ビニル系樹脂を得た。
1段目仕込みを塩化ビニル単量体25重量%と酢酸ビニル単量体14重量%、2段目仕込みを塩化ビニル単量体25重量%、3段目仕込みを36重量%とした以外は、実施例2と同様に行い、塩化ビニル系樹脂を得た。
0.2重量%アスコルビン酸水溶液を、1段目重合開始後から、重合温度を維持するように連続的に添加したこと以外は、実施例2と同様に行い、塩化ビニル系樹脂を得た。
0.2重量%アスコルビン酸水溶液を、1段目重合開始後から、重合温度を維持するように連続的に添加したこと以外は、実施例4と同様に行い、塩化ビニル系樹脂を得た。
0.2重量%アスコルビン酸水溶液を、1段目重合開始後から、重合温度を維持するように連続的に添加し、ノニルプロペニルフェノールエチレンオキシド10モル付加体硫酸エステルアンモニウム塩の添加量を3000ppmとした以外は、実施例2と同様に行い、塩化ビニル系樹脂を得た。
ノニルプロペニルフェノールエチレンオキシド10モル付加体硫酸エステルアンモニウム塩を添加しなかったこと以外は、実施例2と同様に行い、塩化ビニル系樹脂を得た。
0.2重量%アスコルビン酸水溶液を、1段目重合開始後から、重合温度を維持するように連続的に添加し、ノニルプロペニルフェノールエチレンオキシド10モル付加体硫酸エステルアンモニウム塩を添加しなかった以外は、実施例2と同様に行い、塩化ビニル系樹脂を得た。
1段目仕込みの塩化ビニル単量体を混合単量体の全仕込み量に対して9重量%、2段目仕込みの塩化ビニル単量体を混合単量体の全仕込み量に対して45重量%としたこと以外は、実施例1と同様に行い、塩化ビニル系樹脂を得た。
Claims (7)
- 平均重合度が1300〜2500、酢酸ビニル残基含量が6〜10重量%の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を含んでなり、下記条件1及び2を満足することを特徴とするペースト加工用シードミクロ懸濁多段重合法塩化ビニル系樹脂。
条件1;ペースト加工用シードミクロ懸濁多段重合法塩化ビニル系樹脂を水に超音波分散し、遠心分離器により2000rpm、30分の条件で遠心分離を行い、回収した上澄みを乾燥することにより、得られる微小粒子が2重量%以下。
条件2;条件1により得られる微小粒子の酢酸ビニル残基含量が、ペースト加工用シードミクロ懸濁多段重合法塩化ビニル系樹脂の酢酸ビニル残基含量より少ない。 - 下記方法による増粘率が50%以下となるペースト加工用シードミクロ懸濁多段重合法塩化ビニル系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のペースト加工用シードミクロ懸濁多段重合法塩化ビニル系樹脂。
増粘率の測定方法;ペースト加工用シードミクロ懸濁多段重合法塩化ビニル系樹脂100重量部、フタル酸ジイソノニル100重量部、脂肪酸塩表面処理炭酸カルシウム70重量部、希釈剤15重量部を配合し、ペースト加工用シードミクロ懸濁多段重合法塩化ビニル系樹脂ゾルを調製し、23℃、2時間保管後の粘度(A)とその後、40℃、7日間保管後の40℃下での粘度(B)をB8H型回転粘度計を用い回転数20rpmの条件にて測定し、下記式により増粘率を求める。
増粘率(%)=100×(粘度(B)−粘度(A))/粘度(A) - 下記方法による引張強度が9.0MPa以上となるペースト加工用シードミクロ懸濁多段重合法塩化ビニル系樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載のペースト加工用シードミクロ懸濁多段重合法塩化ビニル系樹脂。
引張強度の測定方法;ペースト加工用シードミクロ懸濁多段重合法塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、フタル酸ジイソノニル60重量部、Ca/Zn系安定剤である塩化ビニル樹脂用安定剤2重量部を配合し、ペースト加工用シードミクロ懸濁多段重合法塩化ビニル系樹脂ゾルを調製し、0.5mm厚に塗布したシートから、JIS3号ダンベル試験片を作製し、23℃、200mm/minの条件で測定し、引張強度を求める。 - さらに、下記一般式(1)で示される化合物100〜3000ppmを含有するペースト加工用シードミクロ懸濁3段重合法塩化ビニル系樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のペースト加工用シードミクロ懸濁多段重合法塩化ビニル系樹脂。
(ここで、R1は炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基又はアラルキル基を示し、R2は水素又は炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基若しくはアラルキル基を示し、R3は水素又はプロペニル基を示し、Aは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、nは1〜200の整数を示し、Mはアルカリ金属、アンモニウムイオン又はアルカノールアミン残基を示す。) - 前記一般式(1)で示される化合物が、ノニルプロペニルフェノールエチレンオキシド10モル付加体硫酸エステルアンモニウム塩、ノニルプロペニルフェノールエチレンオキシド20モル付加体硫酸エステルアンモニウム塩、オクチルジプロペニルフェノールエチレンオキシド10モル付加体硫酸エステルアンモニウム塩、オクチルジプロペニルフェノールエチレンオキシド100モル付加体硫酸エステルアンモニウム塩及びドデシルプロペニルフェノールエチレンオキシド20モル付加体硫酸エステルナトリウム塩からなる群より選択される化合物であることを特徴とする請求項4に記載のペースト加工用シードミクロ懸濁多段重合法塩化ビニル系樹脂。
- 塩化ビニル単量体/酢酸ビニル単量体=92.5/7.5〜90/10(重量%)よりなる混合単量体を、重合開始剤含有シードの存在下において水性媒体中でシードミクロ懸濁重合を行い、ペースト加工用塩化ビニル系樹脂を製造するに際し、重合開始前に1段目仕込みとして、酢酸ビニル単量体全量と塩化ビニル単量体うちの15〜45(重量%)を仕込み、重合を開始後、残りの塩化ビニル単量体を2段階以上に分割して追加仕込みし、それぞれの追加仕込みは、それまでに仕込まれた単量体の重合転化率が80を超えて95重量%に達する前の期間に開始し、かつ重合に際して2段目以降に水溶性還元剤を添加する、さらに、2段目仕込みとして、塩化ビニル単量体のうちの15〜45(重量%)を仕込み、重合を継続し、残りの単量体を1段階以上に分割して追加仕込みすると共に、塩化ビニル単量体の2段階以上に分割追加仕込みに合わせて、段階的に重合温度の低下を行う、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のペースト加工用シードミクロ懸濁多段重合法塩化ビニル系樹脂の製造法。
- 塩化ビニル単量体を3段階で仕込むシードミクロ懸濁重合により、ペースト加工用シードミクロ懸濁3段重合法塩化ビニル系樹脂を製造することを特徴とする請求項6に記載のペースト加工用シードミクロ懸濁多段重合法塩化ビニル系樹脂の製造法。
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