JP7226878B1 - 検査方法、イムノクロマトグラフィーテストストリップ、及びイムノクロマトグラフィーキット - Google Patents

検査方法、イムノクロマトグラフィーテストストリップ、及びイムノクロマトグラフィーキット Download PDF

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Abstract

【課題】測定感度低下を抑制しつつ、等電点が10.0以上の物質を含む2以上の被検出物質を同一検体を用いて高感度に検出できる検査方法の提供。【解決手段】検体に含まれる被検出物質の定性的又は定量的な検査方法であって、前記検体から検査試料を調製する調製工程と、前記検査試料の少なくとも一部を、第1の被検出物質及び第2の被検出物質のそれぞれを検出するためのイムノクロマトグラフィーテストストリップで検査する検査工程と、を含み、前記第1の被検出物質は等電点が10.0以上の物質であり、前記調製工程及び前記検査工程のいずれか一方又は両方において、カチオン性物質の存在下で、前記第1の被検出物質をガラス製部材及びニトロセルロース製部材のいずれか一方又は両方に接触させる、検査方法。【選択図】なし

Description

本発明は、検査方法、イムノクロマトグラフィーテストストリップ、及びイムノクロマトグラフィーキットに関する。
SARS-CoV-2は、coronavirus disease 2019(COVID-19)を引き起こすウイルスである。現在、COVID-19が世界中で流行し、多くの感染者が発生している。COVID-19の症状は、インフルエンザ、アデノウイルス、RSウイルス等を原因とする呼吸器感染症の症状と似通っているために、症状から感染症の原因ウイルスを判別することは困難である。
呼吸器感染症の診断には、イムノクロマトグラフィーを原理とする迅速診断試薬が広く用いられている。診断薬を使用する上で、患者の鼻咽頭等から綿棒で検体を採取する必要がある。感染症が流行している状況下において、感染症の原因ウイルスの特定のために、検査対象の病原体毎に、鼻腔や咽頭から検体を採取することは、医療者が患者の咳やくしゃみで飛沫曝露するリスクを高める。
特許文献1には、鼻腔吸引液、鼻腔拭い液および咽頭ぬぐい液から選択される検体を、検体処理液で処理することにより複数の呼吸器感染症検査に適した検査試料を調製し、この検査試料の一部を、第1呼吸器感染症検査用のイムノクロマトグラフィー法による第1試験具を用いて検査し、前記検査試料の一部を、第1呼吸器感染症とは異なる第2呼吸器感染症検査用のイムノクロマトグラフィー法による第2試験具を用いて検査する呼吸器感染症の検査方法、複数の呼吸器感染症検査に適した検査試料を調製し、複数種類のウイルスの検査を行う方法が記載されている。
特開2008-164403号公報
特許文献1に記載された検査方法が、SARS-CoV-2のような新規のウイルス検査に適用できるかについては明らかではなかった。
本発明者らは、SARS-CoV-2の免疫測定において検出対象となるヌクレオカプシドタンパク質の等電点が10以上であること、等電点が10.0以上の物質と、検体濾過用のフィルター又はイムノクロマトグラフィーテストストリップ中のガラス製部材とを接触させると、等電点が10.0以上の物質がガラス製部材に吸着し、測定感度が低下することを発見した(分析例1~3)。これまで、そのような測定感度低下を抑制しつつ、等電点が10.0以上の物質を含む2以上の被検出物質を同一検体を用いて高感度に検出する方法については議論されてこなかった。
本発明は、測定感度低下を抑制しつつ、等電点が10.0以上の物質を含む2以上の被検出物質を同一検体を用いて高感度に検出できる検査方法を提供することを目的の一つとする。
本発明は以下の態様を含む。
[1] 検体に含まれる被検出物質の定性的又は定量的な検査方法であって、
前記検体から検査試料を調製する調製工程と、
前記検査試料の少なくとも一部を、第1の被検出物質及び第2の被検出物質のそれぞれを検出するためのイムノクロマトグラフィーテストストリップで検査する検査工程と、
を含み、
前記第1の被検出物質は等電点が10.0以上の物質であり、
前記調製工程及び前記検査工程のいずれか一方又は両方において、カチオン性物質の存在下で、前記第1の被検出物質をガラス製部材及びニトロセルロース製部材のいずれか一方又は両方に接触させる、検査方法。
[2] 前記イムノクロマトグラフィーテストストリップが試料供給部及び標識試薬保持部を有し、前記試料供給部及び前記標識試薬保持部のいずれか一方又は両方が前記ガラス製部材を含む、[1]に記載の検査方法。
[3] 検体に含まれる被検出物質の定性的又は定量的な検査方法であって、
前記検体から検査試料を調製する調製工程と、
前記検査試料の少なくとも一部を、第1の被検出物質及び第2の検出物質のそれぞれを検出するための第1のイムノクロマトグラフィーテストストリップで検査する第1の検査工程と、
前記検査試料の一部を、第2の被検出物質を検出するための第2のイムノクロマトグラフィーテストストリップで検査する第2の検査工程と、
を含み、
前記第1の被検出物質は等電点が10.0以上の物質であり、
前記調製工程及び前記第1の検査工程のいずれか一方又は両方において、カチオン性物質の存在下で、前記第1の被検出物質をガラス製部材及びニトロセルロース製部材のいずれか一方又は両方に接触させる、検査方法。
[4] 前記第1のイムノクロマトグラフィーテストストリップが試料供給部及び標識試薬保持部を有し、前記試料供給部及び前記標識試薬保持部のいずれか一方又は両方が前記ガラス製部材を含む、[3]に記載の検査方法。
[5] 前記調製工程が前記検体を検体希釈液に懸濁する工程を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の検査方法。
[6] 前記カチオン性物質が前記検体希釈液に含まれる、[5]に記載の検査方法。
[7] 前記調製工程が前記検査試料をフィルターで濾過する工程を含む、[1]~[6]のいずれかに記載の検査方法。
[8] 前記ガラス製部材がガラス繊維を含む検体濾過用のフィルターである、[1]~[7]のいずれかに記載の検査方法。
[9] 前記カチオン性物質が金属塩、カチオン性ポリマー及びカチオン性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種である、[1]~[8]のいずれかに記載の検査方法。
[10] 前記等電点が10.0以上の物質が呼吸器感染症ウイルスに由来する、[1]~[9]のいずれかに記載の検査方法。
[11] 前記呼吸器感染症ウイルスがコロナウイルスである、[10]に記載の検査方法。
[12] 前記コロナウイルスがSARS-CoV-2である、[11]に記載の検査方法。
[13] 第1の被検出物質に結合可能な第1の結合物質を標識物質で標識した第1の標識試薬と、
第2の被検出物質に結合可能な第2の結合物質を標識物質で標識した第2の標識試薬と、
第1の被検出物質に結合可能な第1の固相試薬を固定化した第1の検出部、及び、第2の被検出物質に結合可能な第2の固相試薬を固定化した第2の検出部を配置したメンブレンと、
検体を含む展開液の展開方向において、前記第1の検出部よりも上流に配置されるガラス製部材及びニトロセルロース製部材のいずれか一方又は両方と
を含むイムノクロマトグラフィーテストストリップであって、
前記第1の被検出物質は等電点が10.0以上の物質であり、
前記ガラス製部材及び前記ニトロセルロース製部材のいずれか一方又は両方に接触する展開液がカチオン性物質を含む、イムノクロマトグラフィーテストストリップ。
[14] 前記イムノクロマトグラフィーテストストリップが、試料供給部及び標識試薬保持部を含み、前記試料供給部及び前記標識試薬保持部のいずれか一方又は両方が前記ガラス製部材を含む、[13]に記載のイムノクロマトグラフィーテストストリップ。
[15] 前記ガラス製部材がガラス繊維を含む検体濾過用のフィルターである、[13]又は[14]に記載のイムノクロマトグラフィーテストストリップ。
[16] 前記等電点が10.0以上の物質が呼吸器感染症ウイルスに由来する、[13]~[15]のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィーテストストリップ。
[17] 前記呼吸器感染症ウイルスがコロナウイルスである、[16]に記載のイムノクロマトグラフィーテストストリップ。
[18] 前記コロナウイルスがSARS-CoV-2である、[17]に記載のイムノクロマトグラフィーテストストリップ。
[19] 前記カチオン性物質が金属塩、カチオン性ポリマー及びカチオン性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種である、[13]~[18]のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィーテストストリップ。
[20] [13]~[19]のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィーテストストリップを用いる、検体に含まれる被検出物質の定性的又は定量的な検査方法。
[21] イムノクロマトグラフィーテストストリップを含むイムノクロマトグラフィーキットであって、
前記イムノクロマトグラフィーテストストリップは、
第1の被検出物質に結合可能な第1の結合物質を標識物質で標識した第1の標識試薬と、
第2の被検出物質に結合可能な第2の結合物質を標識物質で標識した第2の標識試薬と、
第1の被検出物質に結合可能な第1の固相試薬を固定化した第1の検出部、及び、第2の被検出物質に結合可能な第2の固相試薬を固定化した第2の検出部を配置したメンブレンと
を含み、
検体を含む展開液の展開方向において、前記第1の検出部よりも上流に配置されるガラス製部材及びニトロセルロース製部材のいずれか一方又は両方を有し、
前記第1の被検出物質は等電点が10.0以上の物質であり、
前記ガラス製部材及び前記ニトロセルロース製部材のいずれか一方又は両方に接触する展開液がカチオン性物質を含む、イムノクロマトグラフィーキット。
[22] 検体濾過フィルターとイムノクロマトグラフィーテストストリップとを含むイムノクロマトグラフィーキットであって、
前記イムノクロマトグラフィーテストストリップは、
第1の被検出物質に結合可能な第1の結合物質を標識物質で標識した第1の標識試薬と、
第2の被検出物質に結合可能な第2の結合物質を標識物質で標識した第2の標識試薬と、
第1の被検出物質に結合可能な第1の固相試薬を固定化した第1の検出部、及び、第2の被検出物質に結合可能な第2の固相試薬を固定化した第2の検出部を配置したメンブレンと
を含み、
前記検体濾過フィルターの検体及び前記イムノクロマトグラフィーテストストリップの検体のいずれか一方又は両方を含む展開液の展開方向において、前記第1の検出部よりも上流に配置されるガラス製部材及びニトロセルロース製部材のいずれか一方又は両方を有し、
前記第1の被検出物質は等電点が10.0以上の物質であり、
前記ガラス製部材及び前記ニトロセルロース製部材のいずれか一方又は両方に接触する展開液がカチオン性物質を含む、イムノクロマトグラフィーキット。
[23] 前記イムノクロマトグラフィーテストストリップが、試料供給部及び標識試薬保持部を含み、前記試料供給部及び前記標識試薬保持部のいずれか一方又は両方が前記ガラス製部材を含む、[21]又は[22]に記載のイムノクロマトグラフィーキット。
[24] 前記ガラス製部材がガラス繊維を含む検体濾過用のフィルターである、[21]~[23]のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィーキット。
[25] 前記等電点が10.0以上の物質が呼吸器感染症ウイルスに由来する、[21]~[24]のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィーキット。
[26] 前記呼吸器感染症ウイルスがコロナウイルスである、[25]に記載のイムノクロマトグラフィーキット。
[27] 前記コロナウイルスがSARS-CoV-2である、[26]に記載のイムノクロマトグラフィーキット。
[28] 検体希釈液をさらに含む、[21]~[27]のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィーキット。
[29] 前記カチオン性物質が前記検体希釈液に含まれる、[28]に記載のイムノクロマトグラフィーキット。
[30] 前記カチオン性物質が金属塩、カチオン性ポリマー及びカチオン性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種である、[21]~[29]のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィーキット。
[31] [21]~[30]のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィーキットを用いる、検体に含まれる被検出物質の定性的又は定量的な検査方法。
本発明によれば、測定感度低下を抑制しつつ、等電点が10.0以上の物質を含む2以上の被検出物質を同一検体を用いて高感度に検出できる検査方法が提供される。
イムノクロマトグラフィーテストストリップの実施形態の一例の模式図である。 実施例で用いたイムノクロマトグラフィーテストストリップの構成の模式図である。
本発明者らは上述した目的を達成すべく検討を重ね、カチオン性物質の存在下で、等電点が10.0以上の物質をガラス製部材及びニトロセルロース製部材のいずれか一方又は両方に接触させることで、等電点が10.0以上の物質を含む2以上の被検出物質をいずれも高感度で検査できることを見出した。
[被検出物質]
本発明における被検出物質としては、ウイルスなどの病原体、タンパク質などの生理活性物質が挙げられる。本発明における被検出物質は、例えば各種疾患に関連するマーカーが挙げられ、呼吸器感染症ウイルス、ノロウイルス、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)、HBV(B型肝炎ウイルス)、HCV(C型肝炎ウイルス)、マイコプラズマ、トキソプラズマ、クラミジア、梅毒、黄色ブドウ球菌、大腸菌などの感染症関連マーカー;CK-MB、H-FABP、トロポニン、ミオグロビン等の心筋マーカー;フィブリン分解産物(例えばDダイマー)、可溶性フィブリン、TAT(トロンビン-アンチトロンビン複合体)、PIC(プラスミン-プラスミンインヒビター複合体)などの凝固・線溶マーカー;酸化LDL、BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)などの循環関連マーカー;アディポネクチンなどの代謝関連マーカー;CEA(癌胎児性抗原)、AFP(α-フェトプロテイン)、CA19-9、CA125、PSA(前立腺特異抗原)などの腫瘍マーカー;CRP(C反応性蛋白)、IgA、IgG、IgMなどの炎症関係マーカーである。
本発明における被検出物質としては呼吸器感染症ウイルスが好ましい。本明細書において呼吸器感染症ウイルスとは、呼吸器系疾患の原因となるウイルスである。本発明における呼吸器感染症ウイルスとしては、抗原抗体反応を利用して検出され得るウイルスであれば特に限定されることはなく、SARS-CoV、MERS-CoV、SARS-CoV-2、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、及びHCoV-HKU1等のコロナウイルス;A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、C型インフルエンザウイルス等のインフルエンザウイルス;、パラインフルエンザウイルス1パラインフルエンザウイルス2、及びパラインフルエンザウイルス3等のパラインフルエンザウイルス;RSウイルスA型及びRSウイルスB型等のRSウイルス;アデノウイルス;ライノウイルス;メタニューモウイルス;サイトメガロウイルス;並びにボカウイルス等を挙げることができる。中でも、SARS-CoV-2、インフルエンザA型ウイルス及びインフルエンザB型ウイルスなどのインフルエンザウイルス、RSウイルスA型及びRSウイルスB型等のRSウイルス、及び/又はアデノウイルスを被検出物質とするのが好ましい。なお、本明細書において「呼吸器」とは、呼吸に関係する器官の総称であり、鼻前庭から、鼻腔、咽頭、喉頭、気管、気管支、細気管支を経た肺胞(肺)までの器官をいう。
本発明の検査方法においては、少なくとも第1の被検出物質と第2の被検出物質とを定性的又は定量的に検査する。
前記第1の被検出物質は、等電点が10.0以上の物質である。
前記等電点が10.0以上の物質としては、抗原抗体反応を用いて検出できるものであれは特に限定されず、外因性物質(ウイルス、細菌、投与された薬剤など)、前記外因性物質に起因するタンパク質(外因性物質の代謝物、細菌による分泌物など)、及び内因性物質(体内で生産される抗体、ホルモンなど)が挙げられる。等電点が10.0以上の物質には、タンパク質、ペプチド、又は核酸が含まれるが、等電点が10.0以上のタンパク質が好ましい。
前記第1の被検出物質は、等電点が10.0以上、10.1以上、10.2以上、10.3以上、10.4以上、又は10.5以上のタンパク質であることができる。
なお、等電点は、アニオンになる官能基とカチオンになる官能基の両方を持つ化合物において、電離後の化合物全体の電荷平均が0となるpHである。
本発明の検査方法における等電点が10.0以上の物質は、好ましくはウイルス由来のタンパク質であり、より好ましくは呼吸器感染症ウイルス由来のタンパク質であり、さらに好ましくはコロナウイルス由来のタンパク質であり、最も好ましくはSARS-CoV-2由来のタンパク質である。等電点が10.0以上の物質は、複数のタンパク質で構成されるウイルスそのものであってもよいし、ウイルスを構成するタンパク質の一部及びその断片であってもよい。等電点が10.0以上の物質は、コロナウイルスのヌクレオカプシドタンパク質であることが好ましく、SARS-CoV-2のヌクレオカプシドタンパク質であることがより好ましい。
[検査方法]
<第1の実施形態>
本発明の検査方法の第1の実施形態は、検体から検査試料を調製する調製工程と、前記検査試料の少なくとも一部を、第1の被検出物質及び第2の被検出物質のそれぞれを検出するためのイムノクロマトグラフィーテストストリップで検査する検査工程と、を含む。
前記第1の被検出物質は、上述したとおり、等電点が10.0以上の物質である。
第1の実施形態に係る検査方法では、前記調製工程及び前記検査工程のいずれか一方又は両方において、カチオン性物質の存在下で、前記第1の被検出物質をガラス製部材及びニトロセルロース製部材のいずれか一方又は両方に接触させる。
前記調製工程は、例えば、検体を分取する工程、検体を検体希釈液に懸濁する工程、検体を検体希釈液で希釈する工程、及び検査試料をフィルターで濾過する工程等が含まれてもよい。なお、前記検体希釈液には、カチオン性物質が含まれることが好ましい。前記カチオン性物質については後述する。
第1の実施形態に係る検出方法では、1回の検査で複数種類の被検出物質を検査できるように、単一のイムノクロマトグラフィーテストストリップで2以上の被検出物質を検査できるように構成されたイムノクロマトグラフィーテストストリップを用いる。
第1の実施形態に係る検査方法において、被検出物質を含有する可能性のある検体としては、主に生物由来の生体試料、又は生体試料から被検出物質を抽出した抽出液等が挙げられる。液体飲料、半固形食品、及び固形食品等に代表される食品検体、土壌、河川、及び海水等の自然界からのサンプリング検体、並びに工場内の生産ライン又はクリーンルームのふき取り検体も、被検出物質を含有する可能性のある試料として使用することが可能である。
前記被検出物質を含有する可能性のある検体としては、生体試料が好ましい。
前記生体試料としては、例えば、血液、血清、血漿、尿、涙液、耳漏、前立腺液、及び呼吸器分泌液が挙げられるが、これらに限定されない。前記生体試料としては、血液、血清、血漿、尿、涙液、耳漏、前立腺液、及び呼吸器分泌液からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、呼吸器分泌液がより好ましい。前記呼吸器分泌液とは、呼吸器の組織内又は表面において分泌される体液を意味する。前記呼吸器分泌液としては、例えば、鼻孔、鼻腔、咽頭、鼻咽頭、又は口腔などにおいて分泌される体液が挙げられるが、これらに限定されない。前記呼吸器分泌液としては、鼻咽頭ぬぐい液、鼻腔ぬぐい液、唾液、又は喀痰が好ましい。
前記生体試料を採取する対象は、ヒト又は哺乳動物(例えば、サル、イヌ、又はネコ)を含むが、これらに限定されない。前記対象としては、ヒトが好ましい。なお、前記生体試料の採取又は調製を行う者は、第1の実施形態に係る検査方法を行う者と同一人物でもよく、別人物であってもよい。また、第1の実施形態に係る検査方法に用いられる生体試料は、本発明の検査方法の実施時に採取又は調製されたものでもよく、予め採取又は調製され保存されたものであってもよい。
検体希釈液は、前記生体試料を懸濁又は希釈するための溶液である。前記検体希釈液は、後述するカチオン性物質を含むことが好ましい。前記検体希釈液がカチオン性物質を含む場合、販売時に検体希釈液がカチオン性物質を含んでいることが好ましいが、イムノクロマトグラフィーキットが検体希釈液を含む場合、前記検体希釈液とは別にカチオン性物質を含んでいてもよい。この場合、調製工程を行う者が、カチオン性物質と検体希釈液とを混合することが好ましい。
前記検体希釈液は、緩衝液を含むことが好ましい。「緩衝液」は、pHの緩衝作用を有する溶液を意味する。第1の実施形態に係る検査方法において用いられる緩衝液としては、例えば、PBS(phosphate buffered saline)、MES(2-(N-morpholino)ethanesulfonic acid)、PIPES(piperazine-N,N’-bis(2-ethanesulfonic acid)、ACES(N-(2-Acetamido)-2-aminoethanesulfonic acid)、ADA(N-(2-Acetamido)iminodiacetic acid)、Bis-Tris(2,2-Bis(hydroxyethyl)-(iminotris)-(hydroxymethyl)-methane)、Tris(tris(hydroxymethyl)aminomethane)、MOPS(3-Morpholinopropanesulfonic acid)、HEPES(4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic acid)、クエン酸緩衝液、グリシン緩衝液、ホウ酸緩衝液、及びリン酸緩衝液などの従来公知の緩衝液が挙げられるが、これらに限定されない。第1の実施形態に係る検査方法において用いる緩衝液としては、PBS、MES、PIPES、ACES、ADA、Bis-Tris(2,2-Bis(hydroxyethyl)-(iminotris)-(hydroxymethyl)-methane)、qTris(tris(hydroxymethyl)aminomethane)、MOPS、HEPES、クエン酸緩衝液、グリシン緩衝液、ホウ酸緩衝液及びリン酸緩衝液からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、リン酸緩衝液がより好ましい。
検体を分取する工程とは、採取した検体から、検査に供する一部を分け取る工程である。
前記検体希釈液に前記検体を懸濁する工程について以下の通り例示する。
前記検体が鼻咽頭又は鼻腔等から綿棒で採取した拭い液である場合は、前記検体希釈液に綿棒を挿入し、回転させることにより前記検体を前記検体希釈液に懸濁できる。前記検体希釈液を保持する容器が可塑性の素材で形成されている場合には、前記検体を採取した綿棒を前記容器と共に押しつぶすことによっても前記検体を前記検体希釈液に懸濁することができる。前記検体が鼻腔吸引液、唾液又は血液等の液体である場合には、前記検体をピペット等を用いて必要量を採取し、前記検体希釈液に懸濁することもできるし、拭い液の場合と同様に前記検体に浸漬した綿棒を前記検体希釈液に挿入することによっても前記検体を前記検体希釈液に懸濁できる。
検体希釈液で検体を希釈する工程とは、検体中に検査試薬の測定上限を上回る被検出物質が含まれること等が想定される場合に、予め検体希釈液で検体を希釈する工程である。
フィルターで濾過する工程とは、フィルターを用いて前記検体又は検査試料に含まれる可能性のある固形物を除去する工程である。例えば、フィルターで濾過する工程は次のように実施できる。
フィルターと、前記フィルターを保持するための支持体とからなる検体濾過フィルターを、前記検体、又は前記検体を含む検体希釈液を保持する容器に挿入する。このとき、検体濾過フィルターの検体流入側と、容器の開口側は一方が他方に密着して嵌め込まれるように形成される。前記検体濾過フィルターが下方に位置するように前記検体濾過フィルターを挿入した容器を持ち替え、容器を押しつぶすことにより、前記検体濾過フィルターの検体流入側とは反対側に位置する先端側から濾過された検体又は検体を含む検体希釈液を得る。この時、得られた濾液を直接イムノクロマトグラフィーテストストリップに滴下することもできるし、別の容器に濾液を保持させることもできる。
第1の実施形態に係る検査方法における検査工程には、イムノクロマトグラフィーテストストリップと検査試料とを接触させる工程、所定時間経過後にイムノクロマトグラフィーテストストリップから検査結果を読み取る工程が含まれる。
第1の実施形態に係る検査方法における調製工程及び検査工程のいずれか一方又は両方には、カチオン性物質の存在下で、等電点が10.0以上の物質である第1の被検出物質をガラス製部材及びニトロセルロース製部材のいずれか一方又は両方に接触させる工程が含まれる。検査試料中で正に帯電している等電点10.0以上の物質を、負に帯電しているガラス製部材又はニトロセルロース製部材に接触させる際に、カチオン性物質を共存させることで、等電点10.0以上の物質がガラス製部材又はニトロセルロース製部材に吸着することを抑制できると考えられる。なお、上記メカニズムは、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
カチオン性物質と被検出物質を含む検体とをガラス製部材及びニトロセルロース製部材のいずれか一方又は両方に接触させる順序は、被検出物質を含む試料とガラス製部材又はニトロセルロース製部材とが接触する際にカチオン性物質が共存していれば特に限定されない。すなわち、カチオン性物質を被検出物質を含む検体より先にガラス製部材及びニトロセルロース製部材のいずれか一方又は両方に接触させることもできるし、カチオン性物質を被検出物質を含む検体と同時にガラス製部材及びニトロセルロース製部材のいずれか一方又は両方に接触させることもできる。被検出物質を含む検体とカチオン性物質とを混合した後で、又は混合するのと同時に、被検出物質を含む検体をガラス製部材及びニトロセルロース製部材のいずれか一方又は両方に接触させることが好ましく、被検出物質を含む試料とカチオン性物質とを混合した後で、被検出物質を含む試料をガラス製部材及び/又はニトロセルロース製部材に接触させることがより好ましい。
カチオン性物質は検体希釈液中に含まれていてもよいし、イムノクロマトグラフィーキットの構成材料中、すなわち、検体濾過フィルター、サンプルパッド、コンジュゲートパッド、抗体固相化メンブレン、又はサンプル供給部とメンブレン担体の間に位置しサンプルパッド及びコンジュゲートパッドとは異なる任意のパッド中に乾燥保持されていてもよい。カチオン性物質がイムノクロマトグラフィーキットの構成材料中に乾燥保持される場合は、検体又は検査試料が構成材料と接触した際に検体又は検査試料中にカチオン性物質が溶出し、カチオン性物質を含む展開液となる。
カチオン性物質とは、カチオン性の官能基を有することにより、水と接触したときに正電荷を帯びる物質をいう。カチオン性物質が、カチオン性の官能基とアニオン性の官能基の両方を有する場合には、分子全体で正電荷を帯びていればよい。
カチオン性の官能基としては、例えば、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基等のアミノ基;4級アンモニウム基、ホスホニウム基等のオニウム塩基;アルギニル基、リシル基、ヒスチジル基、グアニジル基等のアミノ酸残基;イミダゾール基等の複素環基等を挙げることができる。カチオン性物質としては、金属塩、カチオン性ポリマー、カチオン性界面活性剤、及びカチオン性ペプチドから成る群から選択される少なくとも一つを上げることができる。カチオン性物質としては、金属塩、カチオン性ポリマー、又はカチオン性界面活性剤が好ましく、カチオン性ポリマーがより好ましく、カチオン性ポリマー及び金属塩の両方を含むことがさらに好ましく、カチオン性ポリマー及び塩化ナトリウムの両方を含むことがいっそう好ましい。
金属塩としては、水溶液内で電離して金属イオンを生じるものを、制限なく使用することができる。上記のようなカチオン性の官能基を有しなくとも、水と接触したときに電離する金属塩は、金属イオンがカチオン性となる。金属イオンとしては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、その他の金属イオンが挙げられ、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンが好ましい。アルカリ金属イオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどを挙げることができ、アルカリ土類金属イオンとしてはマグネシウムイオン又はカルシウムイオンなどを挙げることができ、その他の金属イオンとしては銅イオンなどを挙げることができる。アルカリ金属イオンとしてはナトリウムイオンが好ましく、アルカリ土類金属イオンとしてはマグネシウムイオンが好ましい。アルカリ金属塩としては、塩化ナトリウム又はクエン酸ナトリウムが好ましく、アルカリ土類金属塩としては硫酸マグネシウムが好ましい。
本発明において、「カチオン性ポリマー」とは、側鎖にカチオン性の官能基を側鎖として有するポリマーを意味する。側鎖となるカチオン性の官能基は、第四級アンモニウム基であることが好ましい。カチオン性ポリマーとしては、臭化ヘキサジメトリン(CAS RN28728-55-4)、又は、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位として有するカチオン性ポリマーで水に0.5質量%濃度で溶解した水溶液が、25℃において20~60m/sの動粘度を呈し、かつ、水に0.1質量%濃度で溶解した水溶液が、25℃において70×10-3~80×10-3N/mの表面張力を呈し、質量平均分子量(Mw)が50~600kDaであるカチオン性ポリマーが好ましい。なお、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位として有するカチオン性ポリマーは、Lipidure(登録商標)-BL502として市販されている。
前記カチオン性ポリマーの水溶液の0.5質量%濃度水溶液の25℃における動粘度η[m/s]は、前記カチオン性ポリマーを水に0.5質量%濃度で溶解した水溶液を25℃においてウベローデ粘度計で測定して得られる粘度μ[Pa・s]を前記水溶液の25℃における密度ρ[kg/m]で除して得ることができる。
前記カチオン性ポリマーの0.1質量%濃度水溶液の25℃における表面張力γ[mN/m]は、前記カチオン性ポリマーを水に0.1質量%濃度で溶解した水溶液を25℃においてデュ・ニュイリング法、ウィルヘルミープレート法、又は滴重法で測定して得ることができる。
前記カチオン性ポリマーの質量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC:Gel Permeation Chromatography)法によって求めることができる。標準物質としてポリエチレングリコールを用いる。
本発明において、「カチオン性界面活性剤」とは、水溶液に溶解したときに、界面活性剤において疎水基が結合している部分が、正に帯電している界面活性剤を意味する。カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩型界面活性剤又は第四級アンモニウム塩型界面活性剤が挙げられる。
アルキルアミン塩型界面活性剤としては、例えばモノドデシルアミン、モノオクタデシルアミン、ジオクタデシルアミン、トリオクタデシルアミン等の炭素数8~22のアルキル基を1~3つ含むアミンと、塩酸、硫酸等の無機酸あるいは酢酸、乳酸、クエン酸等の低級カルボン酸等との塩等が挙げられる。具体的には例えば、ステアリルアミンアセテート[CAS番号:2190-04-7、製品名:アセタミン86、花王株式会社製]などが挙げられる。
第四級アンモニウム塩型界面活性剤としては、ドデシルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ジデシルジメチルアンモニウム、ベンジルメチルテトラデシルアンモニウム等の炭素数8~22のアルキル基を1~3つ含むアンモニウムと塩素、臭素等との塩等が挙げられる。具体的には例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド[CAS番号:112-00-5、製品名:コータミン(登録商標)24P、花王株式会社製]、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド[CAS番号:1119-94-4、東京化成工業株式会社製]が挙げられる。
カチオン性ペプチドは、水に溶解又は分散させた時にカチオン性を示すペプチドを意味する。カチオン性ペプチドは、ペプチドを構成するアミノ酸残基に塩基性アミノ酸残基(アルギニン(Arg)、リシン(Lys)、又はヒスチジン(His))を多く含むものであることができる。カチオン性ペプチドは、水に溶解又は分散させた時にカチオン性を示す限り特に限定されることはなく、例えば、前記塩基性アミノ酸残基のポリマーであるポリアルギニン、ポリリシン、又はポリヒスチジン等を使用することができる。カチオン性ペプチドとしては、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ケラチン(CAS RN68915-25-3)を使用することが好ましい。ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ケラチンは、商品名Promois(登録商標)WK-HCAQとして成和化成株式会社から市販されている。
カチオン性物質の濃度は、被検出物質の種類、試料の種類、及び免疫測定方法の種類に応じて、適宜修正することができる。なお、カチオン性物質の濃度とは、カチオン性物質が検体希釈液に含まれる際の濃度、又はカチオン性物質が展開液に含まれる際の濃度を示す。例えば、カチオン性物質が金属塩の場合、カチオン性物質の濃度は0.1~1,000mM、1~750mM、又は2~750mMである。カチオン性物質がアルカリ金属塩の場合、カチオン性物質の濃度は0.1~1,000mM、1~750mM、2~750mM、50~750mM、又は200~750mMである。カチオン性物質がアルカリ土類金属塩の場合、カチオン性物質の濃度は0.1~1,000mM、1~500mM、1~250mM、又は1~100mMである。また、カチオン性物質がカチオン性ポリマー、カチオン性界面活性剤、又はカチオン性ペプチドの場合、カチオン性物質の濃度は0.0001~20質量%、0.0005~10質量%、0.001~5質量%、0.01~1質量%、又は0.01~0.5質量%である。検体希釈液又は展開液が、複数種類のカチオン性物質を含む場合も、それぞれの成分の濃度は上記の範囲を採用できる。
ガラス製部材とは、ガラスを含む部材のことであり、ガラスと他の素材との複合部材もガラス製部材に含まれる。「ガラス」とは、二酸化ケイ素(SiO)を構成成分として用いているガラスを意味する。二酸化ケイ素(SiO)を構成成分として用いているガラスは、ガラス転移点よりも低温側では、SiOの四面体を基本としたネットワーク構造を持っている。このネットワーク構造において、ケイ素原子に結合している酸素原子は、負に帯電している。
ガラス製部材としては、例えば、イムノクロマトグラフィーのサンプルパッド、コンジュゲートパッド、又はサンプル供給部とメンブレンの間に位置し、サンプルパッド及びコンジュゲートパッドとは異なる任意のパッド(サードパッド)、検体濾過フィルターが挙げられる。
ニトロセルロース製部材とは、ニトロセルロースを含む部材のことであり、ニトロセルロースと他の素材との複合材料もニトロセルロース製部材に含まれる。ニトロセルロースもガラス繊維と同様に負に帯電している。ニトロセルロース材料としては、ニトロセルロースメンブレン、検体濾過フィルターが挙げられる。
第1の実施形態に係る検査方法で使用するイムノクロマトグラフィーテストストリップの一例としては、検査試料の流れ方向の上流より下流に向かって、コンジュゲートパッド、メンブレン、吸収パッドが順に配置されているものが挙げられる。それぞれの部材は、上流、下流のパッドと少なくとも一部が重なるように配置される。コンジュゲートパッド上には、試料供給部と標識試薬保持部を形成することができる。メンブレン上には検出部が配置される。
第1の実施形態に係る検査方法で使用するイムノクロマトグラフィーテストストリップは、試料供給部及び標識試薬保持部のうち少なくとも1つがガラス製部材を含むことが好ましい。ただし、試料供給部に試料を供給する前に、ガラス製部材を含む検体濾過フィルターで試料の濾過をする場合においては、試料供給部、標識試薬保持部のいずれもがガラス製部材を含まなくともよい。
試料供給部とは、イムノクロマトグラフィーテストストリップに検査試料を供給する部分である。試料供給部は、サンプルパッドの一部に形成することができる。サンプルパッドを構成する材料としては、紙、セルロース混合物、ニトロセルロース、ポリエステル、アクリロニトリルコポリマー、ガラス繊維、レーヨン等の材料からなるパッドが挙げられる。サンプルパッドは、ガラス繊維又はポリエステルからなるパッドが好ましく、ガラス繊維からなるパッドがより好ましい。
標識試薬保持部とは、後述する標識試薬を保持する部分である。標識試薬保持部は、サンプルパッド上の一部に配置することもできるし、サンプルパッドとは別体のコンジュゲートパッドとして形成することもできる。標識試薬保持部をコンジュゲートパッドとして形成する場合は、標識試薬はコンジュゲートパッドの全体に配置されていてもよく、コンジュゲートパッドの一部に配置されていてもよい。コンジュゲートパッドを配置せずに、後述するメンブレン上に標識試薬保持部を形成することもできる。標識試薬保持部は、サンプルパッド又はコンジュゲートパッドの一部にライン状に配置されることが好ましい。
標識試薬とは、被検出物質に結合可能な結合物質を標識物質で標識したものである。被検出物質に結合可能な結合物質を標識物質で標識する方法としては、物理吸着、化学結合等が挙げられる。
標識物質としては、例えば、金属錯体、酵素、不溶性粒子、蛍光物質、化学発光物質、ビオチン、アビジン、放射性同位体、金コロイド粒子、又は着色ラテックスが挙げられる。金コロイド粒子を標識物質として用いるのが好ましい。
被検出物質に結合可能な結合物質とは、抗原抗体反応等により、被検出物質に結合する物質を意味する。被検出物質がタンパク質である場合、結合物質は抗体又は抗体の断片であることが好ましい。抗体はモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体のいずれでもよく、いずれも公知の方法に従って作製することができる。本発明の被検出物質に結合可能な結合物質はモノクローナル抗体であることが好ましい。
メンブレンとは、被検出物質に結合可能な結合物質が固定化された検出部を含む部材である。メンブレンには、被検出物質の数に応じた数の検出部を配置する。被検出物質が2種類の場合は、第1の検出部と第2の検出部が配置され、この第1の検出部と第2の検出部はどちらが上流であってもよい。例えば、第1の被検出物質と第2の被検出物質を検査する場合には、第1の被検出物質に結合可能な第1の固相試薬を固定化した第1の検出部、及び、第2の被検出物質に結合可能な第2の固相試薬を固定化した第2の検出部をメンブレン上に配置する。この時、第1の検出部と第2の検出部のいずれを検査試料展開方向における上流側に配置してもよい。メンブレンには、検査の適切な進行を確認するための対照部を配置してもよい。メンブレンはニトロセルロース製部材からなるものが好ましい。
吸収パッドとは、メンブレンを移動・通過した検査試料を吸収する部材である。吸収パッドとしては、セルロース製材料等を用いることができる。
<第2の実施形態>
本発明の検査方法の第2の実施形態は、検体から検査試料を調製する調製工程と、前記検査試料の少なくとも一部を、第1の被検出物質を検出するための第1のイムノクロマトグラフィーテストストリップで検査する第1の検査工程と、前記検査試料の一部を、第2の被検出物質を検出するための第2のイムノクロマトグラフィーテストストリップで検査する第2の検査工程と、を含む。
前記第1の被検出物質は、上述したとおり、等電点が10.0以上の物質である。
第2の実施形態に係る検査方法では、前記調製工程及び前記第1の検査工程のいずれか一方又は両方において、カチオン性物質の存在下で、前記第1の被検出物質をガラス製部材及びニトロセルロース製部材のいずれか一方又は両方に接触させる。
第2の実施形態に係る検出方法における第1の検査工程及び第2の検査工程のイムノクロマトグラフィーテストストリップで検査する工程には、イムノクロマトグラフィーテストストリップと検査試料とを接触させる工程、所定時間経過後にイムノクロマトグラフィーテストストリップから検査結果を読み取る工程が含まれる。
第2の実施形態に係る検出方法における調製工程及び第1の検査工程のいずれか一方又は両方には、カチオン性物質の存在下で、等電点が10.0以上の物質である第1の被検出物質をガラス製部材及びニトロセルロース製部材のいずれか一方又は両方に接触させる工程が含まれる。検査試料中で正に帯電している等電点10.0以上の物質を、負に帯電しているガラス製部材やニトロセルロース製部材に接触させる際に、カチオン性物質を共存させることで、等電点10.0以上の物質がガラス製部材やニトロセルロース製部材に吸着することを抑制できると考えられる。なお、上記メカニズムは、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
第2の実施形態に係る検出方法では、被検出物質のそれぞれを個別のイムノクロマトグラフィーテストストリップを用いて検査する点が異なる他は、第1の実施形態に係る検出方法と同様であるので説明を省略する。
[イムノクロマトグラフィーキット及びイムノクロマトグラフィーテストストリップ]
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態に係る検査方法を実施するためのイムノクロマトグラフィーキット及びイムノクロマトグラフィーテストストリップについて、説明する。
(イムノクロマトグラフィーテストストリップ)
第1の実施形態に係るイムノクロマトグラフィーテストストリップについて説明する。以下、イムノクロマトグラフィーテストストリップを単にテストストリップと呼ぶことがある。
第1の実施形態に係るテストストリップは、等電点10.0以上のタンパク質を含む検査試料と接触するガラス製部材を含む。前記ガラス製部材は、検体濾過用のフィルター、サンプルパッド、コンジュゲートパッド、及びサードパッドからなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。
第1の実施形態に係るテストストリップは、等電点10.0以上のタンパク質を含む検査試料と接触するカチオン性物質を含む。前記カチオン性物質は、検体希釈液、検体濾過用のフィルター、及びテストストリップからなる群から選択される少なくとも一つに含まれており、検体希釈液、検体濾過用のフィルター、サンプルパッド、コンジュゲートパッド、及びサードパッドからなる群から選択される少なくとも一つに含まれていることが好ましく、検体希釈液に含まれていることがより好ましい。ただし、前記カチオン性物質は、ガラス製材料と試料が接触する箇所又はそれよりも上流に含まれる。
第1の実施形態に係るテストストリップの一実施形態の構成を図1に示す。図1に示されるテストストリップでは、検査試料の流れ方向の上流より下流に向かって、サンプルパッド8、サードパッド9、コンジュゲートパッド2、不溶性メンブレン担体4、吸収パッド3の順で配置されている。それぞれのパッドが、上下のパッドと少なくとも一部が重複するように配置される。不溶性メンブレン担体4上には、テストライン(検出部)6とコントロールライン7とが配置されている。テストライン(検出部)6は、第1の被検出物質を検出するための第1のテストライン(第1の検出部)6a及び第2の被検出物質を検出するための第2のテストライン(第2の検出部)6bを含む。被検出物質の数に応じて、テストラインを増加することができる。サンプルパッド8、サードパッド9、及びコンジュゲートパッド2の少なくとも1つに、カチオン性物質が添加されていることが好ましい。
第1の実施形態に係るテストストリップの変形例の構成を図2に示す。図2に示されるテストストリップは、図1に示す第1の実施形態の基本形のテストストリップから、コンジュゲートパッド2及びサードパッド9を省略し、サンプルパッド8上に標識試薬保持部5を配置したものである。
検査試料、検体希釈液、カチオン性物質は、上述した検査方法と同様である。
第1の実施形態に係るテストストリップは、1回の検査で複数種類の被検出物質を検査できるように、単一のイムノクロマトグラフィーテストストリップで2以上の被検出物質を検査できるように構成されている。具体的には、コンジュゲートパッドには、複数の被検出物質のそれぞれに対応する抗体が含まれ、テストライン(検出部)は、複数の被検出物質のそれぞれに対応する抗体が配置されている。
(テストストリップ)
テストストリップは、プラスチック製粘着シートのような固相支持体(バッキングシート1)上に配置させることが好ましい。前記固相支持体は、サンプル及びコンジュゲートの毛管流を妨げない物質で構成する。また、テストストリップを固相支持体上に接着剤等で固定化してもよい。
テストストリップは、サンプルパッドと不溶性メンブレン担体とを含み、測定条件及びサンプルに応じて他の構成をさらに含んでもよい。他の構成とは、例えば、コンジュゲートパッド、サードパッド、又は吸収パッドなどである。テストストリップのサンプルパッド、コンジュゲートパッド、及びサードパッドのうち少なくとも1つがガラス繊維を含むことが好ましい。しかしながら、サンプルパッドに検査試料を接触させる前に、カチオン性物質の存在下でガラス繊維を含む検体濾過用のフィルターで検査試料の濾過をしている場合は、テストストリップのサンプルパッド、コンジュゲートパッド、及びサードパッドのいずれもガラス繊維を含まなくともよい。
詳細には、上述した第1の実施形態に係る検査方法で使用するイムノクロマトグラフィーテストストリップと同様である。
(イムノクロマトグラフィーキット)
第1の実施形態の検査方法を実施するためのイムノクロマトグラフィーキットは、上述したイムノクロマトグラフィーテストストリップを含む。
第1の実施形態の検査方法を実施するためのイムノクロマトグラフィーキットは、上述したイムノクロマトグラフィーテストストリップの他に、ガラス繊維を含む検体濾過フィルター、検体採取用の綿棒、標準抗原物質、精度管理用抗原試料といった、他の検査試薬又は使用説明書などを含むこともできる。本発明のキットは、ガラス繊維を含む検体濾過フィルターを含むことが好ましい。前記検体濾過フィルターは本発明の検査方法において説明したとおりである。
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態に係る検査方法を実施するためのイムノクロマトグラフィーテストストリップは、1つのイムノクロマトグラフィーテストストリップで1つの被検出物質を検査できるように構成されている。具体的には、コンジュゲートパッドには、1つの被検出物質に対応する抗体が含まれ、テストライン(検出部)は、1つの被検出物質に対応するものが配置されている。
本発明の第2の実施形態に係る検査方法を実施するためのイムノクロマトグラフィーキットは、第1の実施形態に係る検査方法を実施するためのイムノクロマトグラフィーテストストリップに代えて、上述した1つのイムノクロマトグラフィーテストストリップで1つの被検出物質を検査できるように構成されたイムノクロマトグラフィーテストストリップを用いる点が相違するが、その点を除けば同様である。
以下では実施例によって本発明をより具体的に説明するが、後述する実施例は本発明を何ら限定するものではない。なお、特に説明のない限り、%は質量%を意味する。
[作製例1]SARS-CoV-2測定用イムノクロマトグラフィーテストストリップの作製
(1)抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体の調製
以下の試験に用いる抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体は、抗原としてリコンビナントSARS-CoV-2核タンパク質を用い、マウスに免疫し、当業者がモノクローナル抗体を製造するために通常行う方法を用いて得られた。
(2)金コロイド粒子標識抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体液の作製
1OD/mLの金コロイド溶液20mLに、25μg/mLの抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体を含むリン酸バッファー1mLを添加し、室温で10分間攪拌した。続いて金コロイド溶液に10%BSA(ウシ血清アルブミン)溶液2mLを添加し、室温で5分間攪拌した。得られた溶液を、10℃、10,000rpmで45分間遠心し上清を除去した。残渣を、Conjugate Dilution Buffer(Scripps社)で懸濁し、金コロイド標識抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体液を得た。
(3)コンジュゲートパッドの作製
上記(2)で調製した金コロイド標識抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体液を、1.33%カゼイン、4%スクロース溶液(pH7.5)で4OD/mLに希釈し標識試薬液を調製した。標識試薬液をガラス繊維パッドにライン状に塗布し、標識試薬液を乾燥させてコンジュゲートパッドを得た。
(4)抗体固相化メンブレンの作製
0.75mg/mLの抗SARS-CoV-2抗体及び2.5%スクロースを含むPBS(リン酸緩衝生理食塩水)を調製し、検出部塗布液を得た。1.0mg/mLヤギ抗マウスIgGモノクローナル抗体及び2.5%スクロースを含むPBSを調製し、対照部塗布液を得た。イムノクロマト法用ディスペンサー(分注プラットホームXYZ3050、BIO DOT社)を用い、ニトロセルロースメンブレン上に、検出部塗布液及び対照部塗布液をそれぞれ1.0μL/cmで塗布し、乾燥させることで、抗体固相化メンブレンを得た。
(5)テストストリップの作製
プラスチック製粘着シートに抗体固相化メンブレン、コンジュゲートパッド、吸収パッドを貼付し、5mm幅に裁断することで、SARS-CoV-2測定用イムノクロマトグラフィーテストストリップを得た。
[分析例1]抗原液のフィルター濾過による感度への影響評価
以下の抗原を、インフルエンザウイルスキット(ラピッドテスタ(登録商標)FLU・NEXT、積水メディカル社)に付属の検体希釈液にそれぞれ添加し、試料を調製した。
・A型インフルエンザウイルス(FLU A)抗原:Kitakyusyu 159/93株由来
・B型インフルエンザウイルス(FLU B)抗原:Lee 40株由来
・RSウイルス抗原:RSV Antigen, Long strain inactivated antigen (Meridian社)
・アデノウイルス抗原:Adenovirus Antigen(Fitzgerald社)
・SARS-CoV-2抗原:SARS-CoV-2 Nucleocapsid Recombinant Protein(Icosagen社)
試料の一部を、ラピッドテスタFLU・NEXTに付属の検体濾過用のフィルターで濾過し、濾過済み試料を得た。試料及び濾過済み試料を、表1に示す条件で測定し、デンシトメトリー分析装置(ラピッドテスタ(登録商標)リーダー、積水メディカル社)でテストラインの吸光度を測定した。
Figure 0007226878000001
検体濾過用のフィルターにより試料を濾過した際の濾過回収率を、下記式により算出した。
回収率(%)=濾過済み試料測定時吸光度/試料測定時(濾過なし)吸光度×100
各抗原の濾過回収率を表2に示す。
Figure 0007226878000002
FLU A抗原、FLU B抗原、RSウイルス抗原、アデノウイルス抗原は、いずれも濾過回収率が100±15%以内と、試料を検体濾過用のフィルターで濾過した際の測定値への影響を認めなかった。一方、SARS-CoV-2抗原では濾過回収率が47%と、他の抗原と比較して顕著に低くなり、試料を検体濾過用のフィルターを用いて濾過した際に測定値が低下した。一般的にインフルエンザウイルス測定試薬用の検体希釈液及び検体濾過用のフィルターは、同シリーズのRSウイルスおよびアデノウイルス測定試薬においても使用可能となっていることが多い。しかし、それらの検体希釈液及び検体濾過用のフィルターをSARS-CoV-2測定に適用した場合には、測定試薬の最高感度が得られない可能性が示唆された。
[分析例2]フィルター部材への抗原吸着評価
SARS-CoV-2抗原を、ラピッドテスタFLU・NEXTに付属の検体希釈液に添加し、試料を調製した。ラピッドテスタFLU・NEXTに付属の検体濾過用のフィルターから、開口側フィルター保持材(ポリビニルアルコール(PVA)製)、フィルター部材(ガラス繊維製)、先端側フィルター保持材(PVA製)を取り出し、それぞれを500μLの試料に10分間浸漬し、フィルター部材浸漬試料を得た。試料及びフィルター部材浸漬試料120μLをそれぞれSARS-CoV-2測定用イムノクロマトグラフィーテストストリップに滴下した。抗原液滴下から15分後、ラピッドテスタリーダー(積水メディカル社)でテストラインの吸光度を測定した。
検体濾過用のフィルター部材を試料に浸漬した際の抗原の回収率を、下記式により算出した。
回収率(%)=フィルター部材浸漬試料測定時吸光度/試料測定時吸光度(フィルター部材の浸漬なし)×100
各部材を試料に浸漬した際の抗原の回収率を表3に示す。
Figure 0007226878000003
PVA製のフィルター保持材を試料に浸漬した場合の抗原回収率が70%程度であったのに対し、ガラス繊維製のフィルター部材を試料に浸漬した場合の回収率は10%程度であった。したがって、SARS-CoV-2測定において、インフルエンザウイルス測定試薬用の希釈液とガラス繊維製のフィルターを用いると、測定試薬の最高感度が得られない可能性が示唆された。また、分析例1においてSARS-CoV-2抗原の濾過回収率が顕著に低かった原因は、SARS-CoV-2抗原がガラス繊維に吸着したためであると考えられた。
[分析例3]サンプルパッド用部材によるウイルス抗原測定感度への影響評価
分析例1と同様に試料を調製した。試料120μL当たり140mmのサンプルパッド用部材を10分間浸漬し、パッド部材浸漬試料を得た。試料及びパッド部材浸漬試料を表1の条件で測定し、ラピッドテスタリーダー(積水メディカル社)でテストラインの吸光度を測定した。パッド部材を試料に浸漬した際の抗原の回収率を、下記式により算出した。
回収率(%)=パッド部材浸漬試料測定時吸光度/試料測定時吸光度×100
各部材を試料に浸漬した際の抗原の回収率を表4に示す。
Figure 0007226878000004
FLU A、FLU B、RSウイルス、及び、アデノウイルス抗原は、試料にいずれのパッド部材を浸漬した場合にも、抗原回収率が100%±15%以内と良好であった。一方SARS-CoV-2抗原では、試料にガラス繊維パッドを浸漬した場合に抗原回収率が大きく低下した。
分析例2及び分析例3の結果から、SARS-CoV-2では抗原とガラス製部材とが接触することにより、その後のイムノクロマトグラフィーに供される抗原量が減少し、回収率が低下すると考えられた。
ここで、分析例3に用いた各抗原及びそれに類似する抗原に含まれ、各測定試薬が検出するタンパク質の等電点を表5に示す。各タンパク質の等電点は、UniProtKBをExpaxy Compute pI/Mw(https://www.expasy.org/resources/compute-pi-mw)に入力することにより算出した。
Figure 0007226878000005
表5よりSARS-CoV-2のNucleocapsid proteinの等電点のみが10.0以上と高いことが分かる。ガラス繊維は中性の検体希釈液と接触すると負の電荷をもつのに対し、等電点が10.07のSARS-CoV-2のNucleocapsid proteinは正の電荷をもつ。よって、SARS-CoV-2のNucleocapsid proteinは等電点が10未満の他の抗原タンパク質と比較してガラス繊維に吸着し易いと考えられる。一方、PVAやポリエステルは中性の検体希釈液と接触した際に電荷をもたないため、抗原タンパク質の等電点によらず、抗原タンパク質のパッドへの吸着を認めなかったと考えられる。
[実施例1]
・カチオン性物質によるSARS-CoV-2抗原測定感度への影響
ラピッドテスタFLU・NEXTに付属の検体希釈液に、表6に記載の各カチオン性物質及びSARS-CoV-2 Nucleocapsid Recombinant Protein(Icosagen社)を450 TCID50/mL相当の濃度で添加したものを試料とした。試料120μLをそれぞれ作製例1に記載の方法で作製したSARS-CoV-2測定用イムノクロマトグラフィーテストストリップに滴下した。抗原液添加から10分後、ラピッドテスタリーダー(積水メディカル社)でテストラインの吸光度を測定した。使用したイムノクロマトグラフィーテストストリップの構成は、図2と同じである。
結果を表6に示す。
Figure 0007226878000006
カチオン性物質を添加したすべての条件で、添加剤を添加しなかった条件と比較して、SARS-CoV-2抗原測定時の吸光度が上昇した。SARS-CoV-2測定用イムノクロマトグラフィーテストストリップは、ガラス繊維パッドを含むため、カチオン性物質によって、SARS-CoV-2抗原のガラス繊維への吸着が抑制されたと考えられる。
・カチオン性物質によるSARS-CoV-2抗原回収率への影響
ラピッドテスタFLU・NEXTに付属の検体希釈液に、表7に記載の各カチオン性物質及びSARS-CoV-2 Nucleocapsid Recombinant Protein(Icosagen社)を450 TCID50/mL相当の濃度で添加したものを試料とした。
試料を、ラピッドテスタ FLU・NEXTに付属の検体濾過用のフィルターで濾過し、濾過済み試料を得た。
試料及び濾過済み試料120μLをそれぞれ作製例1に記載の方法で作製したSARS-CoV-2測定用イムノクロマトグラフィーテストストリップに滴下した。抗原液添加から10分後、ラピッドテスタリーダー(積水メディカル社)でテストラインの吸光度を算出した。各試料をそれぞれ3回測定した。使用したイムノクロマトグラフィーテストストリップの構成は、図2と同じである。
検体濾過用のフィルターにより試料を濾過した際の濾過回収率を、下記式により算出した。
回収率(%)=濾過済み試料測定時吸光度/試料測定時(濾過なし)吸光度×100
Figure 0007226878000007
カチオン性物質共存下でガラス繊維フィルターによる濾過を実施することで抗原の回収率が向上した。
[作製例2]SARS-CoV-2・FLU測定用イムノクロマトグラフィーテストストリップの作製
(1)抗FLUモノクローナル抗体の調製
以下の試験に用いた抗FLU Aモノクローナル抗体及び抗FLU Bモノクローナル抗体は、FLU A又はFLU B抗原でマウスを免疫し、当業者がモノクローナル抗体を製造するために通常行う方法により得た。
(2)金コロイド標識抗FLU抗体液の作製
上記作製例1と同様の操作で、金コロイド標識抗FLU A抗体液、及び、金コロイド標識抗FLU B抗体液を得た。
(3)コンジュゲートパッドの作製
上記作製例1の通り調整した金コロイド標識抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体液、2)で調製した金コロイド標識抗FLU A抗体液、及び、金コロイド標識抗FLU B抗体液を、それぞれ4OD/mLの濃度で添加した、1.33%カゼイン、4%スクロース溶液(pH7.5)を調製し標識試薬液とした。標識試薬液をガラス繊維パッドにライン状に塗布し、標識試薬液を乾燥させてコンジュゲートパッドを得た。
(4)抗体固相化メンブレンの作製
0.75mg/mLの抗SARS-CoV-2抗体及び2.5%スクロースを含むPBSを調製し、SARS-CoV-2テストライン塗布液とした。同様に、FLU A検出部塗布液及びFLU B検出部塗布液をそれぞれ調製した。1.0mg/mLヤギ抗マウスIgGモノクローナル抗体及び2.5%スクロースを含むPBSを調製し、対照部塗布液とした。イムノクロマト法用ディスペンサー「XYZ3050」(BIO DOT社)を用い、ニトロセルロースメンブレン上に、検出部塗布液及び対照部塗布液をそれぞれ1.0μL/cmで塗布し、メンブレンを乾燥させることで、抗体固相化メンブレンを得た。各ラインは、検体展開方向の上流から、FLU A検出部、FLU B検出部、SARS-CoV-2検出部、対照部の順に配置した。
(5)テストストリップの作製
プラスチック製粘着シートに抗体固相化メンブレン、コンジュゲートパッド、吸収パッドを貼付し、5mm幅に裁断することで、SARS-CoV-2・FLU測定用イムノクロマトグラフィーテストストリップを得た。
[実施例2]
・カチオン性物質による各抗原測定感度への影響<1>
ラピッドテスタ FLU・NEXTに付属の検体希釈液、及び、ラピッドテスタ FLU・NEXTに付属の検体希釈液に表7~9に記載のカチオン性物質を添加した溶液に、SARS-CoV-2陽性検体、FLU A陽性検体、FLU B陽性検体をそれぞれ懸濁し試料とした。SARS-CoV-2・FLU測定用イムノクロマトグラフィーテストストリップのコンジュゲートパッド側の先端を試料に浸漬し、10分後にラピッドテスタリーダー(積水メディカル社)を用いてテストラインの吸光度を測定した。
結果を表8、表9、及び表10に示す。
Figure 0007226878000008
テストラインの吸光度に応じて以下の通り判定した。
-:5mAbs未満(陰性)
+:20mAbs未満(陽性)
2+:20mAbs以上100mAbs未満(陽性)
3+:100mAbs以上200mAbs未満(陽性)
4+:200mAbs以上400mAbs未満(陽性)
5+:400mAbs以上(陽性)
Figure 0007226878000009
テストラインの吸光度に応じて以下の通り判定した。
-:5mAbs未満(陰性)
+:20mAbs未満(陽性)
2+:20mAbs以上100mAbs未満(陽性)
3+:100mAbs以上200mAbs未満(陽性)
4+:200mAbs以上400mAbs未満(陽性)
5+:400mAbs以上(陽性)
Figure 0007226878000010
テストラインの吸光度に応じて以下の通り判定した。
-:5mAbs未満(陰性)
+:20mAbs未満(陽性)
2+:20mAbs以上100mAbs未満(陽性)
3+:100mAbs以上200mAbs未満(陽性)
4+:200mAbs以上400mAbs未満(陽性)
5+:400mAbs以上(陽性)
SARS-CoV-2陽性検体の測定において、カチオン性物質によってすべての検体の測定値が上昇した。同じ判定の場合においても、全ての検体においてカチオン性物質を添加した条件の方が非添加の条件よりも吸光度が高かった。FLU A陽性検体の測定においては、カチオン性物質の添加による測定値が上昇傾向を認めなかった。FLU B陽性検体では検体によってカチオン添加剤による測定値変動傾向が異なったが、すべての条件・検体で陽性判定となり、カチオン性物質による測定精度への悪影響は認めなかった。分析例3で示した通り、SARS-CoV-2抗原とFLU抗原とでガラス繊維への抗原吸着性が異なるため、カチオン性物質による効果に差が生じたと考えられる。複数のテストラインが陽性となる検体は認めなかった。
[実施例3]
・カチオン性物質による各抗原測定感度への影響<2>
ラピッドテスタFLU・NEXTに付属の検体希釈液、及び、ラピッドテスタFLU・NEXTに付属の検体希釈液に表11~12に記載のカチオン性物質を添加した溶液に、分析例1に記載のRSウイルス抗原、アデノウイルス抗原、SARS-CoV-2抗原をそれぞれ添加し試料とした。調製した試料を作製例1の通り作製したSARS-CoV-2測定用イムノクロマトグラフィーテストストリップ及びラピッドテスタRSV-アデノ・NEXT(積水メディカル社)で測定した。ラピッドテスタリーダー(積水メディカル社)を用いて各試薬のテストラインの吸光度を測定した。試験は各抗原毎に3回実施し、測定結果は吸光度(単位:mAbs)で示した。なお、ラピッドテスタリーダーの測定下限である5.0mAbs以下の吸光度を示した場合を陰性と判定し、表中に「<5.0」と表記した。
結果を表11及び表12に示す。
Figure 0007226878000011
Figure 0007226878000012
SARS-CoV-2抗原の測定ではカチオン添加剤によって吸光度が上昇した。一方、RSウイルス及びアデノウイルスでは同様の吸光度変動を認めなかった。いずれの抗原についても、カチオン添加剤の追加によらず陰性試料、陽性試料を正しく判定しており、等電点が10.0以上の抗原の測定感度を上昇させるカチオン添加剤は、等電点が10未満の抗原の測定に共存させた場合に、測定結果に悪影響を及ぼさなかった。
本発明の検査方法及びイムノクロマトグラフィーキットは、検査対象の病原体毎に、鼻腔や咽頭から検体を採取する必要が無いので、医療者が患者の咳やくしゃみで飛沫曝露するリスクを低減することができる。そのため、より安全に感染症の原因ウイルスの特定のための検査を行うことができる。
1…バッキングシート
2…コンジュゲートパッド
3…吸収パッド
4…不溶性メンブレン担体
5…標識試薬保持部
6…テストライン(検出部)
7…コントロールライン
8…サンプルパッド
9…サードパッド

Claims (20)

  1. 検体に含まれる被検出物質の定性的又は定量的な検査方法であって、
    前記検体から検査試料を調製する調製工程と、
    前記検査試料の少なくとも一部を、第1の被検出物質及び第2の被検出物質のそれぞれを検出するためのイムノクロマトグラフィーテストストリップで検査する検査工程と、を含み、
    前記第1の被検出物質は等電点が10.0以上の物質であり、前記等電点が10.0以上の物質は呼吸器感染症ウイルスに由来し、かつ前記呼吸器感染症ウイルスがコロナウイルスであり、
    前記調製工程及び前記検査工程のいずれか一方又は両方において、クエン酸ナトリウム又は硫酸マグネシウムである金属塩、臭化ヘキサジメトリン又は2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位として有するカチオン性ポリマーであるカチオン性ポリマー及びアルキルアミン塩型界面活性剤又は第四級アンモニウム塩型界面活性剤であるカチオン性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種であるカチオン性物質の存在下で、前記第1の被検出物質をガラス製部材及びニトロセルロース製部材のいずれか一方又は両方に接触させる、検査方法。
  2. 前記イムノクロマトグラフィーテストストリップが試料供給部及び標識試薬保持部を有し、前記試料供給部及び前記標識試薬保持部のいずれか一方又は両方が前記ガラス製部材を含む、請求項1に記載の検査方法。
  3. 検体に含まれる被検出物質の定性的又は定量的な検査方法であって、
    前記検体から検査試料を調製する調製工程と、
    前記検査試料の少なくとも一部を、第1の被検出物質及び第2の検出物質のそれぞれを検出するための第1のイムノクロマトグラフィーテストストリップで検査する第1の検査工程と、
    前記検査試料の一部を、第2の被検出物質を検出するための第2のイムノクロマトグラフィーテストストリップで検査する第2の検査工程と、
    を含み、
    前記第1の被検出物質は等電点が10.0以上の物質であり、前記等電点が10.0以上の物質は呼吸器感染症ウイルスに由来し、かつ前記呼吸器感染症ウイルスがコロナウイルスであり、
    前記調製工程及び前記第1の検査工程のいずれか一方又は両方において、クエン酸ナトリウム又は硫酸マグネシウムである金属塩、臭化ヘキサジメトリン又は2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位として有するカチオン性ポリマーであるカチオン性ポリマー及びアルキルアミン塩型界面活性剤又は第四級アンモニウム塩型界面活性剤であるカチオン性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種であるカチオン性物質の存在下で、前記第1の被検出物質をガラス製部材及びニトロセルロース製部材のいずれか一方又は両方に接触させる、検査方法。
  4. 前記第1のイムノクロマトグラフィーテストストリップが試料供給部及び標識試薬保持部を含み、前記試料供給部及び前記標識試薬保持部のいずれか一方又は両方が前記ガラス製部材を含む、請求項3に記載の検査方法。
  5. 前記調製工程が前記検体を検体希釈液に懸濁する工程を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の検査方法。
  6. 前記カチオン性物質が前記検体希釈液に含まれる、請求項5に記載の検査方法。
  7. 前記調製工程が前記検査試料をフィルターで濾過する工程を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の検査方法。
  8. 前記ガラス製部材がガラス繊維を含む検体濾過用のフィルターである、請求項1~4のいずれか1項に記載の検査方法。
  9. 前記コロナウイルスがSARS-CoV-2である、請求項1~4のいずれか1項に記載の検査方法。
  10. 第1の被検出物質に結合可能な第1の結合物質を標識物質で標識した第1の標識試薬と、
    第2の被検出物質に結合可能な第2の結合物質を標識物質で標識した第2の標識試薬と、
    第1の被検出物質に結合可能な第1の固相試薬を固定化した第1の検出部、及び、第2の被検出物質に結合可能な第2の固相試薬を固定化した第2の検出部を配置したメンブレンと、
    検体を含む展開液の展開方向において、前記第1の検出部よりも上流に配置されるガラス製部材及びニトロセルロース製部材のいずれか一方又は両方と
    を含むイムノクロマトグラフィーテストストリップであって、
    前記第1の被検出物質は等電点が10.0以上かつ呼吸器感染症ウイルスであるコロナウイルスに由来する物質であり、
    前記ガラス製部材及び前記ニトロセルロース製部材のいずれか一方又は両方に接触する展開液がクエン酸ナトリウム又は硫酸マグネシウムである金属塩、臭化ヘキサジメトリン又は2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位として有するカチオン性ポリマーであるカチオン性ポリマー及びアルキルアミン塩型界面活性剤又は第四級アンモニウム塩型界面活性剤であるカチオン性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種であるカチオン性物質を含前記カチオン性物質がイムノクロマトグラフィーテストストリップの構成材料中に保持されている、イムノクロマトグラフィーテストストリップ。
  11. 前記イムノクロマトグラフィーテストストリップが、試料供給部及び標識試薬保持部を含み、試料供給部及び前記標識試薬保持部のいずれか一方又は両方が前記ガラス製部材を含む、請求項10に記載のイムノクロマトグラフィーテストストリップ。
  12. 前記ガラス製部材がガラス繊維を含む検体濾過用のフィルターである、請求項10又は11に記載のイムノクロマトグラフィーテストストリップ。
  13. 前記コロナウイルスがSARS-CoV-2である、請求項10又は11に記載のイムノクロマトグラフィーテストストリップ。
  14. 請求項10又は11に記載のイムノクロマトグラフィーテストストリップを用いる、検体に含まれる被検出物質の定性的又は定量的な検査方法。
  15. イムノクロマトグラフィーテストストリップと、カチオン性物質を含む検体希釈液と、を含むイムノクロマトグラフィーキットであって、
    前記イムノクロマトグラフィーテストストリップは、
    第1の被検出物質に結合可能な第1の結合物質を標識物質で標識した第1の標識試薬と、
    第2の被検出物質に結合可能な第2の結合物質を標識物質で標識した第2の標識試薬と、
    第1の被検出物質に結合可能な第1の固相試薬を固定化した第1の検出部、及び、第2の被検出物質に結合可能な第2の固相試薬を固定化した第2の検出部を配置したメンブレンと
    を含み、
    検体を含む展開液の展開方向において、第1の検出部よりも上流に配置されるガラス製部材及びニトロセルロース製部材のいずれか一方又は両方を有し、
    前記第1の被検出物質は等電点が10.0以上かつ呼吸器感染症ウイルスであるコロナウイルスに由来する物質であり、
    前記ガラス製部材及び前記ニトロセルロース製部材のいずれか一方又は両方に接触する展開液がカチオン性物質を含み、
    前記カチオン性物質がクエン酸ナトリウム又は硫酸マグネシウムである金属塩、臭化ヘキサジメトリン又は2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位として有するカチオン性ポリマーであるカチオン性ポリマー及びアルキルアミン塩型界面活性剤又は第四級アンモニウム塩型界面活性剤であるカチオン性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種である、
    イムノクロマトグラフィーキット。
  16. 検体濾過フィルター、カチオン性物質を含む検体希釈液、及びイムノクロマトグラフィーテストストリップを含むイムノクロマトグラフィーキットであって、
    前記イムノクロマトグラフィーテストストリップは、
    第1の被検出物質に結合可能な第1の結合物質を標識物質で標識した第1の標識試薬と、
    第2の被検出物質に結合可能な第2の結合物質を標識物質で標識した第2の標識試薬と、
    第1の被検出物質に結合可能な第1の固相試薬を固定化した第1の検出部、及び、第2の被検出物質に結合可能な第2の固相試薬を固定化した第2の検出部を配置したメンブレンと
    を含み、
    前記検体濾過フィルターの検体及び前記イムノクロマトグラフィーテストストリップの検体のいずれか一方又は両方を含む展開液の展開方向において、第1の検出部よりも上流に配置されるガラス製部材及びニトロセルロース製部材のいずれか一方又は両方を有し、 前記第1の被検出物質は等電点が10.0以上かつ呼吸器感染症ウイルスであるコロナウイルスに由来する物質であり、
    前記ガラス製部材及び前記ニトロセルロース製部材のいずれか一方又は両方に接触する展開液がカチオン性物質を含み、
    前記カチオン性物質がクエン酸ナトリウム又は硫酸マグネシウムである金属塩、臭化ヘキサジメトリン又は2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位として有するカチオン性ポリマーであるカチオン性ポリマー及びアルキルアミン塩型界面活性剤又は第四級アンモニウム塩型界面活性剤であるカチオン性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種である、イムノクロマトグラフィーキット。
  17. 前記イムノクロマトグラフィーテストストリップが、試料供給部及び標識試薬保持部を含み、前記試料供給部及び前記標識試薬保持部のいずれか一方又は両方が前記ガラス製部材を含む、請求項15又は16に記載のイムノクロマトグラフィーキット。
  18. 前記ガラス製部材がガラス繊維を含む検体濾過用のフィルターである、請求項15又は16に記載のイムノクロマトグラフィーキット。
  19. 前記コロナウイルスがSARS-CoV-2である、請求項15又は16に記載のイムノクロマトグラフィーキット。
  20. 請求項15又は16に記載のイムノクロマトグラフィーキットを用いる、検体に含まれる被検出物質の定性的又は定量的な検査方法。
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