JP4800739B2 - アッセイ用媒体及びアッセイ方法 - Google Patents
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L(+)−アルギニン塩酸塩(和光純薬製)を0.1Mになるように精製水に溶解調製したものをA液とし、水酸化ナトリウム(和光純薬製)を0.1Mになるように精製水に溶解調製したものをB液とした。次に、A液50mLにB液を滴下して加えながらpH変化を測定(温度20℃)した。滴下した0.1M水酸化ナトリウム(0.1M NaOH)の量とpHの関係(滴定曲線)を図1に示す。
1.抗インフルエンザウイルスモノクローナル抗体の作製
(1)抗A型インフルエンザウイルスNP抗体
A型インフルエンザウイルス抗原をBALB/cマウスに免疫し、一定期間飼育したマウスから脾臓を摘出し、ケラーらの方法(Kohler et al., Nature, vol, 256, p495-497(1975))によりマウスミエローマ細胞(P3×63)と融合した。得られた融合細胞(ハイブリドーマ)を、37℃インキュベーター中で維持し、A型インフルエンザウイルスNP抗原を固相したプレートを用いたELISAにより上清の抗体活性を確認しながら細胞の純化(単クローン化)を行った。取得した該細胞2株をそれぞれプリスタン処理したBALB/cマウスに腹腔投与し、約2週間後、抗体含有腹水を採取した。得られた腹水からプロティンAカラムを用いたアフィニティークロマトグラフィー法により、それぞれIgGを精製し、2種類の精製抗A型インフルエンザウイルスNP抗体を得た。
B型インフルエンザウイルス抗原を用い、(1)と同様の方法で、2種類の精製抗B型インフルエンザウイルスNP抗体を得た。
(1)酵素標識抗A型インフルエンザウイルス抗体の作製
精製抗A型インフルエンザウイルスNP抗体のうち1種類について45mgをクエン酸緩衝液(0.1M,pH3.6)で透析後、ペプシン10mgを添加し、37℃で1時間、Fab’消化処理を行った。処理液をウルトロゲルAcA34カラム(Pall Corporation)で分画して抗A型インフルエンザウイルスNP抗体F(ab’)2精製画分を得た。前記画分を約10mg/mLまで濃縮後、0.1Mメルカプトエチルアミンと10:1の体積比で混合し、37℃で90分間還元処理を行った。処理液をウルトロゲルAcA34カラムで分画して抗A型インフルエンザウイルスNP抗体Fab’精製画分を得た後、約1mLにまで濃縮した。
精製抗B型インフルエンザウイルスNP抗体のうち1種類について、(1)と同様の方法で、酵素標識抗B型インフルエンザウイルス抗体を得た。酵素標識抗A型インフルエンザウイルス抗体と酵素標識抗B型インフルエンザウイルス抗体とを至適濃度になるように、塩化マグネシウム 1.5mM、塩化亜鉛 0.15mM、Triton X−100 1(w/v)%、ウシ血清アルブミン 3(w/v)%、アジ化ナトリウム 0.09%を含むアルギニン緩衝液(0.05M、pH8.0)中で混合し、酵素標識抗体液(抗A型+抗B型)を調製した。
インフルエンザウイルス検出用アッセイ装置は、図2及び図3に示すものと同様の構成のものを用いた。メンブランは、孔径3μmを有するニトロセルロースメンブラン(サイズ2×3cm、厚さ125μm)を用いた。メンブランへの捕捉抗体の固相化は、2種の抗体溶液をニトロセルロースメンブランへスポットして行った。装置のAホールには精製抗A型インフルエンザウイルスNP抗体のうち標識に用いなかったものを1mg/mLに含まれるように精製水を用いて希釈して0.22μm孔径の濾過フィルターで濾過したものを3μL、Bホールには精製抗B型インフルエンザウイルスNP抗体のうち標識に用いなかったものを1mg/mLに含まれるように精製水を用いて希釈して0.22μm孔径の濾過フィルターで濾過したものを3μL、それぞれスポットした。スポット後、45℃の乾燥庫で40分間乾燥を行い、インフルエンザウイルス検出用アッセイ装置を作製した。
患者から採取した検体を検体浮遊用緩衝液(アルギニン緩衝液 0.2M、pH8.0にTriton X−100 1(w/v)%、ウシ血清アルブミン 3(w/v)%、アジ化ナトリウム 0.09(w/v)%に加)を用いて検体試料用濾過チューブ内で浮遊し、検体試料とした。検体は、PCR法でA型インフルエンザウイルス陽性と判定された検体1〜5、B型インフルエンザウイルス陽性と判定された検体6〜10、並びにA型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス共に陰性と判定された検体11〜15を用いた。調製した検体試料が入った検体試料用濾過チューブ本体部に検体試料用濾過チューブ先端部を取り付け、濾過フィルターで濾過し、アッセイ装置のアダプター開口部に200μL滴下し、ニトロセルロースメンブランの下部に備えられた液体吸収部材に試料が完全に吸収されるまで静置した。
検体浮遊液としてリン酸緩衝液にアルギニン 0.25M、塩化ナトリウム 1.5M、ウシ血清アルブミン 0.5(w/v)%、Triton X−100 1(w/v)%、アジ化ナトリウム 0.09(w/v)%を含有させたもの、洗浄液としてリン酸緩衝液にアルギニン 0.25M、塩化ナトリウム 0.5M、Triton X−100 1(w/v)%、アジ化ナトリウム 0.09(w/v)%を含有させたもの、基質液として5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸 0.15mg/mL、ニトロテトラゾリウムブルー 0.3 mg/mL、塩化マグネシウム 5mM、Triton X−100 0.1(w/v)%、アジ化ナトリウム 0.09(w/v)%に含む0.1M トリス緩衝液、pH9.5を用いた以外は、実施例と同様の試験を行なった。
PCR法でA型インフルエンザウイルス陽性(+)と判定された検体の1〜5、B型インフルエンザウイルス陽性(+)と判定された検体6〜10、並びにA型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス共にPCR法で陰性(−)と判定された検体11〜15は全て実施例2の成績と一致した。しかしながら、比較例の成績は、PCR法でA型又はB型陽性の検体においてA型、B型共に発色が見られ、明らかに片方が偽陽性と認められるものが3検体、PCR法、実施例2共にB型陽性の検体において、比較例でB型陰性と判定されるものが1検体あった。これは、比較例の検出感度が本発明法より劣ることを示している。また、PCR法で陰性の検体において、比較例による成績がA型、B型共に発色が見られ、明らかに双方共に偽陽性と認められるものが1検体あった。これら得られた結果を表1に示す。
1.標識抗体パッドの作製
抗体は、実施例2で調製したものを使用した。粒径0.394μmの青色ラテックス粒子(CM/BL セラダイン製)に抗A型インフルエンザウイルス抗体を共有結合させ、ウシ血清アルブミン 0.05(w/v)%、サッカロース 10(w/v)%、Triton X−100 0.4(w/v)%、アジ化ナトリウム 0.05(w/v)%を含むグリシン緩衝液(25mM、pH9.0)にラテックス粒子の濃度が0.018(w/v)%になるように懸濁し、ソニケーションを行って充分に分散浮遊させた抗A型ラテックス浮遊液を調製した。また、同様に抗B型インフルエンザウイルス抗体を共有結合させた抗B型ラテックス浮遊液を調製した。抗A型ラテックス浮遊液と抗B型ラテックス浮遊液とを混合し、大きさが20cm×1cmのガラス繊維(33GLASS NO.10539766 Schleicher & Schuell製)に1平方センチメートル当たり50μLになる量を含侵させ、減圧下で良く乾燥させて標識抗体パッドを作製した。
インフルエンザウイルス検出用アッセイ装置は、図6に示すものと同様の構成のものを用いた。ニトロセルロースメンブラン(Hiflow Plus HF120 ミリポア製)を大きさが3cm×20cmに裁断し接着剤がついたプラスチック板でバッキングした、下端から1.0cmと1.5cmの位置に約1mm幅になる量の抗A型インフルエンザウイルス抗体(上記と別の抗体)液、並びに抗B型インフルエンザウイルス抗体(上記と別の抗体)液を各々20cm塗布し、減圧下で良く乾燥させて抗体を固相化した。次に、3cm×20cmの大きさの濾紙(WF1.5 ワットマン製)をニトロセルロースメンブランの上端に8mm重ねて吸収パッド部を設けた。更に、標識抗体パッドをニトロセルロースメンブランの下端に2mm重ねて標識体部を設け、更に、大きさが2.0cm×20cmのガラス繊維(F075−14 ワットマン製)を標識抗体パッドの上端から3mm離れた位置に合わせて重ね,検体試料滴下部を設けた。次いで、カッターで幅5mmの短冊に裁断して一体化されたアッセイ装置を作製した。
検体は、実施例2で用いたと同じものを使用した。すなわち、PCR法でA型インフルエンザウイルス陽性と判定された検体1〜5、B型インフルエンザウイルス陽性と判定された検体6〜10、並びにA型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス共に陰性と判定された検体11〜15を用いた。検体を検体浮遊用緩衝液(アルギニン緩衝液 0.25M、pH8.0にTriton X−100 1(w/v)%、ウシ血清アルブミン 0.05(w/v)%、ミルクカゼイン 0.05(w/v)%、アジ化ナトリウム 0.09(w/v)%に加)を用いて検体試料用濾過チューブ内で浮遊し、検体試料とした。次に、アッセイ装置を水平に置き、検体試料を検体試料滴下部に100μL滴下し、標識抗体を展開させた。判定は15分間後に下記の方法で行った。
判定は、抗A型インフルエンザウイルス抗体並びに抗B型インフルエンザウイルス抗体を固相化したそれぞれの検出部における青色ラインの有無を肉眼で観察して行った。その結果を表2に示す。実施例3の方法は、実施例2の比較例において偽陽性と判定された検体でも偽陽性が認められず、実施例3の方法で測定した全ての検体は、PCR法の成績と一致した。ラテラルフロー式メンブランアッセイにおいても本発明による方法は、偽陽性が認められず、インフルエンザウイルスを偽陽性がなく特異的に高感度で検出並びにA型、B型の鑑別が同時にできることがわかる。
B:Bホール
a:アダプター
b:メンブラン
c:液体吸収部材
d:濾過チューブ先端部
e:濾過チューブ本体部
f:濾過フィルター
イ:メンブラン
ロ:標識体部
ハ:検出部
ニ:検体試料滴下部
ホ:吸収パッド部
ヘ:プラスチック板
Claims (5)
- 固相に不動化され、検体中の測定すべき被検出物と特異的に反応する捕捉物質と、検体中の被検出物とを反応させ、必要に応じて洗浄した後、前記被検出物と特異的に反応する標識体を反応させ、必要に応じて洗浄した後、固相に捕捉された該標識体を測定することにより、固相に捕捉された前記被検出物を測定するイムノアッセイにおいて、前記捕捉物質と前記被検出物の反応の媒体、前記被検出物と前記標識体との反応の媒体、及び前記いずれかの洗浄に用いる洗浄液の少なくともいずれかとして、アルギニン濃度が0.02〜1.5Mであり、pHが7.0〜9.5であり、アルギニン以外に緩衝剤を含まないイムノアッセイ用媒体を用いる、イムノアッセイ方法。
- 検体中の測定すべき被検出物と、前記被検出物と特異的に反応する標識体を反応させた後、固相に不動化され、前記被検出物と特異的に反応する捕捉物質を反応させ、必要に応じて洗浄した後、固相に捕捉された前記標識体を測定することにより、固相に捕捉された前記被検出物を測定するイムノアッセイにおいて、前記捕捉物質と前記被検出物の反応の媒体、前記被検出物と前記標識体との反応の媒体、及び前記いずれかの洗浄に用いる洗浄液の少なくともいずれかとして、アルギニン濃度が0.02〜1.5Mであり、pHが7.0〜9.5であり、アルギニン以外に緩衝剤を含まないイムノアッセイ用媒体を用いる、イムノアッセイ方法。
- 前記捕捉物質と前記被検出物の反応の媒体、及び前記被検出物と前記標識体との反応の媒体の少なくともいずれかとして、アルギニン濃度が0.02〜1.5Mであり、pHが7.0〜9.5であり、アルギニン以外に緩衝剤を含まないイムノアッセイ用媒体を用いる、請求項1又は2記載の方法。
- 前記捕捉物質と前記被検出物の反応が抗原抗体反応であり、イムノクロマトグラフィー法により行なう請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
- 前記イムノアッセイの方式がフロースルー方式又はラテラルフロー方式である請求項4記載の方法。
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