JP2012083370A - 着色ラテックス粒子を用いるメンブレンアッセイ法およびキット - Google Patents

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剛彦 齊藤
Takanori Hirose
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Abstract

【課題】着色ラテックス粒子を標識試薬として用いたメンブレンアッセイ法により複数の被検出物を簡易検査する方法において、陽性と偽陽性の識別を可能にする方法を提供する。
【解決手段】各被検出物に特異的に結合する第1捕捉物質をメンブレン上の異なる位置にそれぞれ固相化し、第2捕捉物質に被検出物毎に異なる色調の着色ラテックス粒子を結合して2種類以上の標識試薬を作製し、検体液と標識試薬の混合液をメンブレン上に供給して展開し、各判定部において以下のように判定する:各判定部に対応する標識試薬の色が検出された場合には、その被検出物は「陽性」であると判断し、各判定部に対応する標識試薬の色が検出されない場合には、その被検出物は「陰性」であると判断し、さらに判定部のいずれか1つにおいて標識試薬の混合物の色調(中間色)が検出された場合には「無効」であると判定する。
【選択図】なし

Description

本発明は着色されたラテックス粒子を標識試薬として用いるメンブレンアッセイ法及びこの方法に使用されるキットに関する。
最近、抗原抗体反応や酵素反応等を利用した、ウイルスや細菌等の病原体への感染、妊娠の有無、血糖値など様々な測定項目を数分から数十分の短時間で検出あるいは定量する簡易検査試薬またはキットが研究・開発されている。細菌やウイルスといった病原体の構成蛋白質、ヒト繊毛性ゴナドトロピン(hCG)、癌マーカーおよび血糖等が検出あるいは定量の対象である。簡易検査試薬の多くは、特別な設備を必要とせず操作も簡単で安価であるという特徴を有しており、例えば、妊娠診断のための簡易検査試薬はOTCとして一般薬局で販売されている。また病原体への感染を測定する簡易検査試薬の一部は、他の検査試薬と異なり、大病院や医療検査センター以外にも一般の病院や診療所で広く使用されている。これらの施設は患者が最初に訪れる医療機関である場合が多く、患者から採取した検体についてその場で感染の有無が判明すれば、症状が早期のうちに治療措置を施すことができるため、簡易検査試薬の医療における重要性は益々高まってきている。
現在、簡易検査方法として、免疫測定法、すなわち免疫凝集法やイムノメンブレンアッセイ法、特にニトロセルロース等の膜やフィルター等のメンブレンを用いたアッセイ方法が一般に知られており、フロースルー式とラテラルフロー式メンブレンアッセイ法に大別される。前者は被検出物を含む溶液を被検出物に対する検出用物質が塗布された膜を垂直方向に通過させるものであり、後者は水平方向に展開させるものである。いずれの場合も被検出物に特異的に結合する膜固相物質、被検出物、被検出物に特異的に結合する標識物質の複合体を膜上に形成させて、標識を検出あるいは定量することで被検出物の検出あるいは定量を行うという点で共通しているが、最近ではより簡便で、より短時間での検出が可能であることから、ラテラルフロー式メンブレンアッセイ法(イムノクロマト法ともいう)が主流になっている。
標識試薬としてはアルカリフォスファターゼや西洋ワサビペルオキシダーゼのような酵素、金コロイドのような金属コロイド及び着色ラテックス粒子を被検出物に特異的に結合する物質と化学的または物理的に結合させた物質が用いられることが多い。金属コロイド粒子や着色ラテックス粒子を用いる場合には、これらの標識試薬が凝集することによって着色が生じるので、この着色を測定する。酵素を用いる場合には、測定ステップの中に基質を添加する操作及び酵素と基質の反応を停止させる操作が必要なのに対して、金属コロイド粒子や着色ラテックス粒子を用いる場合にはそのような操作を必要としない。近年、インフルエンザなど流行期に大量の検査数が発生する項目では臨床現場での迅速測定が行われている。この目的に使用される簡易検査試薬は現場の医師、看護婦、臨床検査技師等によって扱われるケースが多いため、測定ステップを一層簡略化することが求められているので、操作の簡便な金属コロイド粒子や着色ラテックス粒子を用いることが多い。この着色ラテックス粒子としてはポリスチレン粒子等を用いたものがよく用いられる。特に着色ラテックス粒子の場合、色や粒子径が異なる様々な種類のものが製造可能であり、実際、多くの種類が市販されており、各々の目的によって好適なものを選択することができるので、最近使用されるケースが増えている。また複数の色調のラテックス粒子を用いて、複数の被検出物を検出する方法も提案されている(特許文献1、2、3及び4参照)
しかし、これらの簡易検査方法では、患者から実際に採取された検体の分析において、被検出物が検体中に存在しないにも係わらず陽性と判定してしまう、いわゆる偽陽性が生じることがある。偽陽性の原因は十分に解明されていないが、検体中に存在する患者の組織由来成分等の影響による非特異反応が考えられている。従って、咽頭あるいは鼻腔拭い液、鼻腔吸引液、鼻腔洗浄液及び便懸濁液を検体としたアッセイ、特に前記のうち便懸濁液を除いた検体としたアッセイにおいて偽陽性が発生し易いのは、これらの検体に特に生体由来の粘性の高い成分が多量に含まれるためと考えられる。
また、上記の現象に加えて、検体中の複数の検査項目を検査する場合であって、特に互いに構造が似た複数の被検出物を検出する場合には、検体中に実際には1種類の被検出物しか存在しないにもかかわらず他の種類の被検出物についても陽性と判断されてしまう偽陽性が生じることがあるが、これも非特異反応が発生する確率が増えたためと考えられる。病原体の感染を測定する際に偽陽性反応が発生すると、疾患に関して誤った情報を与えるため、原因特定を遅らせるばかりでなく、不適切な措置を講じることになり病状がより重篤になる等の重大な結果をもたらすこともあり得る。従って、偽陽性を抑えることは簡易検査方法の主要な使用目的から見て、極めて重要な課題である。
従来、この問題を解決するため、メンブレンに前処理を施したり、検体を浮遊あるいは希釈させる緩衝液として界面活性剤を含有する緩衝液を用いたり(例えば特許文献5参照)、検体をろ過する(例えば特許文献6参照)などの工夫がなされてその発生割合を相当程度減少させることはできたが、完全に偽陽性を除去するには至っていない。従って、偽陽性が発生したときに、それが偽陽性によるものであって特異反応によるものでないということを明確に示すことができれば誤判定が避けられ再検査等の処置を取ることが可能なため、そのような識別が可能な検査方法が強く求められていた。
特許第3304214号 特開平8−5635号 特開2002−303629号 特開2004−132892号 特開2006−84351号 特開2004−28875号
本発明の目的は、着色ラテックス粒子を標識試薬として用いるメンブレンアッセイ法により検体中の複数の被検出物を簡易に検査する方法において、陽性と偽陽性の識別を可能にする方法及びそのような方法において使用されるキットを提供することである。
即ち本発明は、検体液中に存在する2種類以上の被検出物を検出するメンブレンアッセイ法であって、下記工程を含む方法である。
(1)各被検出物に特異的に結合する第1捕捉物質をメンブレン上の異なる位置にそれぞれ固相化して、2箇所以上の判定部を作製する工程、
(2)各被検出物に特異的に結合する第2捕捉物質に、被検出物毎に異なる色調の着色ラテックス粒子を結合して、2種類以上の標識試薬を作製する工程、
(3)工程(2)で作製した2種類以上の標識試薬を一定比率で混合し、各標識試薬の色調と判別可能な中間色を示す混合物を作製する工程、
(4)検体液あるいは検体液希釈液と、工程(2)で作製した2種類以上の標識試薬とを混合する工程、
(5)工程(4)で作製した混合液を工程(1)で作製したメンブレンに供給し展開する工程、および
(6)工程(1)で作製した各判定部において、各判定部に対応する標識試薬の色が検出された場合には、その被検出物は「陽性」であると判断し、各判定部に対応する標識試薬の色が検出されない場合には、その被検出物は「陰性」であると判断し、さらに判定部のいずれか1つにおいて工程(3)で作製した中間色が検出された場合には、検出方法は「無効」であると判定する工程。
また本発明の他の実施態様は、検体液中に存在する2種類以上の被検出物を検出するメンブレンアッセイ法であって、下記工程を含む方法である。
(1)各被検出物に特異的に結合する第1捕捉物質をメンブレン上の異なる位置にそれぞれ固相化して、2箇所以上の判定部を作製する工程、
(2)各被検出物に特異的に結合する第2捕捉物質に、被検出物毎に異なる色調の着色ラテックス粒子を結合して、2種類以上の標識試薬を作製する工程、
(3)工程(2)で作製した2種類以上の標識試薬を一定比率で混合し、各標識試薬の色調と判別可能な中間色を示す混合物を作製する工程、
(4’)工程(2)で作製した2種類以上の標識試薬を混合し、(1)のメンブレンあるいは(1)のメンブレンに接触して配置されているパッドに供給して乾燥し、標識試薬部を作製する工程、
(5’)検体液または検体液希釈液を、工程(4’)で作製した標識試薬部に供給し展開する工程、および
(6)工程(1)で作製した各判定部において、各判定部に対応する標識試薬の色が検出された場合には、その被検出物は「陽性」であると判断し、各判定部に対応する標識試薬の色が検出されない場合には、その被検出物は「陰性」であると判断し、さらに判定部のいずれか1つにおいて工程(3)で作製した中間色が検出された場合には、検出方法は「無効」であると判定する工程。
なお、上記工程において各工程の順序は適宜入れ替えることができる。例えば、工程(3)は工程(4)あるいは(4’)または工程(5)あるいは(5’)の後に行ってもよい。
本発明により、着色ラテックス粒子を標識試薬として用いたメンブレンアッセイ法により検体中の複数の被検出物を簡易に検査する方法において、陽性と偽陽性の識別を明確に示すことができるようになった。すなわち、本発明の方法により、偽陽性の場合には「無効」と判定されることになるため、誤判定を防止することができ、医療現場において信頼性の高い情報を提供することができる。
本発明の一実施態様であるラテラルフロー式メンブレンアッセイ装置の平面図である。 図1のI−I’切断端面図である。 本発明の一実施態様である試料ろ過フィルターの構造である。 本発明の一実施態様である検体チューブの構造図である。
以下に本発明の方法について詳しく説明する。
<メンブレンアッセイ法測定原理>
本発明の測定原理について簡単に述べる。本発明において“メンブレンアッセイ法”とは、被検出物に特異的に結合する第1捕捉物質が固相化されたメンブレンを用いて検体試料中に含まれる被検出物の存在の有無を短時間に検査する方法である。より詳細には、検体中の被検出物に特異的に結合する第1捕捉物質を固相化した判定部を設けたメンブレンと、被検出物に特異的に結合する第2捕捉物質に着色ラテックスを結合した標識試薬を用いて、メンブレン上の判定部に、捕捉物質/被検出物/標識試薬からなる複合体を形成させて、標識試薬に結合する着色ラテックスの着色により検体中の被検出物を検出する、いわゆるサンドイッチアッセイ法である。
被検出物と前記捕捉物質及び標識試薬との反応としては、抗原抗体反応、その他の受容体とレセプターの反応、ビオチンとアビジンの特異的結合反応、相補的配列を持つDNA同士の反応等が挙げられるが抗原抗体反応であることが好ましい。
前記のメンブレンアッセイ法は、2種類のメンブレンイムノクロマト法、すなわちフロースルー式メンブレンアッセイ法またはラテラルフロー式メンブレンアッセイ法を利用するものであることが、簡便かつ迅速であるため好ましい。
フロースルー式メンブレンアッセイ法は被検出物を含む溶液を、被検出物と特異的に結合する捕捉試薬や検出用物質が塗布されたメンブレンに対して垂直方向に通過させるものであり、被検出物に特異的に結合する第1捕捉物質、被検出物、被検出物に特異的に結合する第2捕捉物質に着色ラテックス粒子が結合した標識試薬の複合体を膜上に形成させて、標識を検出あるいは定量することで、被検出物の検出あるいは定量を行う。
ラテラルフロー式メンブレンアッセイ法は、同様なメンブレンを用いてメンブレンに対して被検出物を含む溶液を水平方向に展開させる点でフロースルー式メンブレンアッセイ法と異なるが、被検出物の検出原理は同様である。2種類の方法のうち、簡便さと測定時間の短さの面からラテラルフロー式メンブレンアッセイ法が好ましい。
<被検出物に特異的に結合する第1捕捉物質>
被検出物を捕捉するための第1捕捉物質は、被検出物と、抗原抗体反応のような特異的反応により結合して、複合体を形成する物質である。従って、被検出物により使用する捕捉物質が異なることは当然であるが、一般には被検出物が細菌、ウイルス、ホルモン、その他臨床マーカー等の場合には、これらに対し特異的に反応して結合するポリクローナル抗体、モノクローナル抗体等が挙げられる。そのほか、被検出物質が抗体の場合には、これらに対して特異的に反応して結合するウイルス抗原、ウイルス中空粒子、遺伝子組換え大腸菌発現タンパク質、遺伝子組換え酵母発現タンパク質等が挙げられる。
このような捕捉物質を上述したメンブレン表面に結合させる方法としては、物理的吸着であってもよく、または化学的な結合によるものであってもよい。捕捉物質が結合したメンブレンの調製は、例えば、捕捉物質を緩衝液等に希釈した溶液をメンブレンに吸着してその後乾燥することにより行われる。
本発明において、複数種類の被検出物を検出又は定量するために、メンブレン上には各々の被検出物に対する捕捉物質を固相化する必要があるが、それぞれメンブレン上の異なる位置に固相化されることが必要である。
<メンブレン>
本発明において用いることのできるメンブレンは、各被検出物に特異的に結合する第1捕捉物質を固相化あるいは固定化できる材質のものであればよい。メンブレンの例としては、紙やニトロセルロースなどの多孔質物質、または繊維状マトリクス、薄層クロマトグラフに用いられるシリカ、微細顆粒セルロース、ナイロン6,6などの担体を挙げることができる。感度・特異性が高いラテラルフロー式メンブレンアッセイを行うために好ましい多孔質物質としては、微多孔質セルロースエステル、たとえばアルカンカルボン酸などの脂肪族カルボン酸とのセルロースエステルが挙げられ、特に好ましくはニトロセルロースから作られた微多孔質物質が挙げられる。また、前記セルロースエステルとニトロセルロースの混合物も好適に用いることができる。上記メンブレンの平均孔径は0.3〜15μmが用いられることが多い。
<標識試薬>
本発明において標識試薬とは、被検出物に特異的に結合する第2捕捉物質、すなわち被検出物と特異的に反応により結合して複合体を形成する物質、を着色ラテックス粒子で標識した物質を意味する。第2捕捉物質の例としては、第1捕捉物質で挙げられたものと同じ種類の物質が挙げられる。ただし、第1捕捉物質と同じ物質を用いてもよいし、異なる物質を用いてもよい。例えば、被検出物がウイルス等の抗原物質である場合には、被検出物に特異的に結合する第2捕捉物質はそのウイルスに対する抗体であってもよい。また、被検出物がウイルス等の抗原物質に対する抗体の場合には、抗体に対する抗原が挙げられる。
着色ラテックス粒子に使用される素材としてポリスチレン、ポリメチレンメタアクリレート(PMMA)、ポリビニルトルエン、及びシリカ等を用いたものが市販されており、いずれも用いることもできる。特に、ポリスチレンは診断用ラテックス粒子の素材として最も一般的に用いられており、様々な粒径のものや着色を施されたものが市販されているため、特に好ましい。粒子を製造する際にポリスチレン等の素材と官能基を有する物質を混合することによって、粒子の分散性を増したり、化学結合による感作に用いるためにラテックス粒子の表面にカルボキシル基、スルホン基やアミノ基等の官能基が導入されているものも市販されており、これらを用いることもできる。表面の官能基が導入されていない着色ラテックス粒子を用いてもよい。
本発明においては2種類以上の被検出物に対してそれぞれに対応した異なる色調を有する着色ラテックス粒子を用いる。
被検出物に特異的に結合する第2捕捉物質と、着色ラテックス粒子の結合様式は物理吸着あるいは化学結合のいずれも用いることができる。物理吸着による方法は、主に疎水結合により結合させる方法であり、化学結合による方法は、EDAC(N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩)やグルタルアルデヒドなどのリンカーを介して、共有結合させる方法である。TechNote 205, Rev.003, Active: 30/Mar/02 “Covalent Coupling”, Bangs Laboratories Inc.参照。
2種類以上の標識試薬は一定の比率で混合し、それぞれの標識試薬の色調と判別可能な中間色を示す混合物を作製する。その比率は各々の標識試薬の色調に依存するが、1種類の標識試薬の比率が高すぎると混合物の色調との判別が不可能になる恐れがある。標識試薬のうち最も混合比率が高いものと最も低いものの差が最も小さいものを基準にして3倍以内とするのが好ましく、2倍以内とするのがさらに好ましい。
また、標識試薬の色調としては、例えば2種類の場合は、中間色の判別が比較的容易な色調の組合せとして、赤色および青色、緑色および赤色、青色およびピンク色、黄色および赤色が挙げられる。そして3種類の場合には、例えば赤色、青色及び緑色の組み合わせが挙げられる。
アッセイにおいて偽陽性の原因となる検体由来の物質(偽陽性原因物質)は、標識試薬に非特異的に物理結合することが多い。したがって、各々の標識試薬表面の物理的性状は互いになるべく等しいことが好ましい。例えば、着色ラテックス粒子の粒径の差が小さい方が好ましい。具体的には、最小値と最大値の差が最小値を基準にして10%以内であることが好ましい。また、標識試薬を構成する着色ラテックス粒子の素材は互いに等しいことが好ましい。また、着色ラテックス粒子の表面官能基の種類は互いに同一であることが好ましい。また着色ラテックス粒子の表面の電荷密度は最も小さなものと大きなものの差が最も小さなものを基準にして10%以内であることが好ましい。
また、被検出物に特異的に結合する捕捉物質が抗体の場合には、各抗体の抗体クラスが同一であることが好ましい。特に抗体クラスはIgGであることが好ましい。
着色ラテックス粒子の平均粒径は0.05〜5μm程度であることが好ましい。粒径がこの範囲より小さいと感度が著しく低くなり、この範囲より大きいと粒子の分散性が悪くなり、アッセイに用いるのが困難になる。尚、ここでいう平均粒径とは、電子顕微鏡写真による一般的な方法で求めることができるものである。被検出物に特異的に結合する第2捕捉物質と、着色ラテックス粒子の結合様式は物理吸着あるいは化学結合のいずれも用いることができる。
また着色によりラテックス粒子の表面状態が大きく変わってしまうことを避けるために、界面活性剤等の存在下で水系溶媒中に油溶性染料のエマルジョンを調製し、ラテックス粒子のエマルジョンと混合して着色する方法で調製された着色ラテックス粒子や有機溶媒中で油溶性染料とラテックス粒子を混合して着色する方法で調製された着色ラテックス粒子を用いるのが好ましい。
<被検出物>
本発明でいう被検出物にはインフルエンザウイルス抗原等の病原微生物や病原微生物に対する抗体、ペプチドホルモン、ステロイド、生理活性アミン類、ビタミン類、プロスタングランジン類、テトラサイクリン等の抗生物質、細菌等が産生する毒素、各種腫瘍マーカー、農薬、及び病原微生物に由来する核酸成分に相補的なヌクレオチド等を挙げることができる。特にインフルエンザウイルスやRS(Respiratory Syncytial)ウイルス等の様に、大流行し、ごく短時間に特定する必要がある病原体の診断に、極めて有用である。
また、本発明のアッセイ法は、偽陽性を生じやすい被検出物において特に有効である。
2種類以上の被検出物が、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルスおよびRSウイルスから選ばれる2種類以上である場合に特に有効に偽陽性を防ぐことができる。
本発明のアッセイ法により分析するための検体は、咽頭あるいは鼻腔拭い液、鼻腔吸引液、便懸濁液、血漿、血清、尿、唾液、羊水、髄液、膿、臓器抽出液、各種組織抽出液等の生体試料、食品抽出液、培養上清、上水、下水、湖水、河川水、海水、土壌抽出液、汚泥抽出液を用いることができるがこれらに限定されない。特に咽頭あるいは鼻腔拭い液、鼻腔吸引液、鼻腔洗浄液及び便懸濁液には、前記のように高粘度の生体由来の成分が多く含まれ、偽陽性が生じ易いので、本発明のアッセイ法はこれらの検体の評価において有効である。更に前記の検体のうち、咽頭あるいは鼻腔拭い液、鼻腔吸引液、または鼻腔洗浄液のアッセイにおいてより有効である。
<検体採取について>
本発明において、ヒトあるいは動物等の鼻腔や咽頭より、あるいはその他の汚染物質から、綿棒等の採取器具を用いて目的の被検出物を採取する。本発明のアッセイ法によりアッセイする検体は、例えば咽頭拭い液、鼻腔拭い液、鼻腔吸引液または鼻腔洗浄液である。
患者や環境等から採取した被検出物を含む可能性がある検体は、通常、検体浮遊液に浮遊または懸濁する。検体を浮遊または懸濁した浮遊液はメンブレンあるいはこれを含むアッセイ装置に滴下されて、アッセイに供される。
採取検体には被検出物以外にも様々な物質が含まれている。例えば、病原体感染測定のため、人から検体を採取する際には鼻腔や咽頭より綿棒等で採取することが多いが、この検体中には患者由来の組織片や分泌物の他、被検出物である病原体の組織が含まれている場合がある。これらの一部は検体浮遊液中に凝集物として存在し、一部は検体浮遊液中に溶解した状態で存在する。これらを含んだ状態で検体浮遊液をアッセイ装置に滴下すると、非特異反応により偽陽性が発生する場合がある。凝集物は除去するためにはアッセイ装置に滴下する前に濾過用のメンブレン(濾過フィルター)を通過させて濾過する方法が有効だが、溶解物の場合、濾過により除去することはできないので、検体浮遊液の組成を工夫する必要がある。
<検体浮遊液>
検体浮遊液には、通常、塩及びpHを一定に維持するための緩衝剤が含まれる。さらに検体浮遊液には特異的な凝集反応を阻害しない範囲で非特異反応を減じる目的で界面活性剤を含有させることが可能である。
検体浮遊液の例として、生理食塩水、リン酸緩衝性生理食塩水(PBS)、ゼラチン添加PBS、ウシ血清アルブミン(BSA)添加PBS、グッドの緩衝液、子牛インフュージョンブロス(VIB)、ハートインフュージョンブロス、イーグルの最小必須培地(EMEM)、BSA添加EMEMなどが挙げられるがこの限りではない。また、上記バッファー類は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。ウシ血清アルブミン、イムノグロブリン、カゼイン等のタンパク質、ウサギやマウス等の血清等を含有させることにより非特異反応を減じることができ好ましい。
また、さらに上記組成に加えて、塩基性アミノ酸、無機塩類および/または界面活性剤を添加することもできる。塩基性アミノ酸、無機塩類および界面活性剤の少なくとも二種類を含む検体浮遊液を使用することにより、検体中に含まれる被測定物以外の成分の、メンブレン自体への結合やメンブレン上の捕捉物質への非特異的な結合を軽減させることができ好ましい。
また、例えば、被検出物が細菌の様に細胞壁を有し、かつ標識試薬や捕捉物質の被検出物への結合部位が細菌の内部にある場合には、検体浮遊液中に検体を浮遊させただけでは結合部位が容易に外部に露出せず、検出・定量ができないことがある。その際にはアルカリ等の添加及び中和、または熱処理等の前処理が必要な場合もある。
上記の様な工夫により偽陽性の発生を減じることができるが、完全に防ぐことはできない。
<メンブレンアッセイキット>
本発明を適用可能なメンブレンアッセイキットは、上述した本発明のメンブレンアッセイ法に用いるキットである。本発明のメンブレンアッセイキットは少なくとも下記を含む。
(a)各被検出物に特異的に結合する第1捕捉物質が異なる位置にそれぞれ固相化されて作製された、2箇所以上の判定部を有するメンブレン、
(b)各被検出物に特異的に結合する第2捕捉物質に、被検出物毎に異なる色調の着色ラテックス粒子が結合された、2種類以上の標識試薬、及び
(c)(b)の2種類以上の標識試薬が一定比率で混合された、各標識試薬の色調と判別可能な中間色を示す混合物。
また、本発明のメンブレンアッセイキットは、さらに(d)〜(i)の少なくとも1つを含んでいてもよい。
(d)検体浮遊液、
(e)濾過フィルター、
(f)洗浄液組成物、
(g)陰性コントロール
(h)陽性コントロール、
(i)検体採取器具。
(e)濾過フィルターは、例えば、採取した検体そのものを濾過、あるいは検体を検体浮遊液に浮遊した後、不溶物を濾過するために用いられる。
(f)洗浄液組成物とは、メンブレン上に非特異的に付着した標識試薬やその他の物質を洗い流すために用いられ、例えば各種緩衝液あるいは緩衝液に塩、塩基性アミノ酸、界面活性剤、ウシ血清アルブミン、イムノグロブリン、カゼイン等のタンパク質あるいはウサギやマウス等の血清等を添加した組成物を使用することができる。
(g)陰性コントロールとは、キットや手法の正確性や特異性の確認に用いられるものであり、例えば各種緩衝液あるいは緩衝液に被検出物との交差反応性がない抗原を添加した組成物を使用することができる。
(h)陽性コントロールとは、キットや手法の正確性や陽性像の確認に用いられるものであり、例えば緩衝液に被検出物または被検出物と交差反応性を有する抗原を添加した組成物を使用することができる。
(i)検体採取器具は、検体の性質に応じて適宜選択することができるが、例えば滅菌綿棒等が挙げられる。
以下に、本発明の方法についてラテルフロー式メンブレンアッセイを例に挙げ、より具体的な手順を示し、本発明を説明するが、本発明の適用可能範囲はこの限りではない。
ラテラルフロー式メンブレンアッセイ法を利用する本発明のアッセイ方法は、例えば図1及び2に示されるような装置(以下、メンブレンアッセイ装置とも呼ぶ)を用いて行うことができる。
図1はメンブレンアッセイ装置の平面図であり、図2は、図1のI−I’切断端面である。図1及び2において、aは調製した検体試料を滴下するために設置されたサンプル滴下パッドである。このパッド中に標識試薬を乾燥化して保持していてもよい。bは滴下された溶液を吸収するためのサンプル吸収パッドである。cは被検出物に特異的に結合する第1捕捉物質が結合したメンブレンであり、d、e及びfは3種類の被検出物にそれぞれ特異的に結合する3種類の第1捕捉物質がc上でライン状に結合している位置(判定部)を示す。gは部材を固定し、強度を増すためのプラスチック製バッキングシートである。
hはサンプル滴下パッドの一部、サンプル吸収パッド及びメンブレンを被覆する透明のプラスチックラミネートである。
具体的な手順を以下に例示する。
(1)ウイルスや細菌等に感染した患者の咽頭あるいは鼻腔等から検体試料を採取する。
拭い液を採取する場合には滅菌綿棒等を用いると便利である。また、鼻腔吸引液等は吸引カテーテルを用いることが多い。
(2)採取した検体試料を検体浮遊液に浮遊あるいは希釈する。検体浮遊液はポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のフレキシブルな材質からなる滴下用チューブに入れると便利である。また、必要に応じてアッセイ装置に滴下する前にアルカリ処理・中和や加熱といった前処理を行っても良い。
(3)前記浮遊液を、被検出物に特異的に結合する標識試薬と混合し、捕捉試薬/被検出物の複合体を形成させる。次に前記複合体を含む浮遊液を、被検出物に特異的に結合して被検出物を捕捉する捕捉試薬がライン状に結合したメンブレンを備えたアッセイ装置中のサンプル滴下パッドaに滴下する。
あるいは標識試薬はメンブレン上の標識試薬部あるいはメンブレンに接触して配置されるサンプル滴下パッドa中に乾燥状態で保持させておいても良く、その場合には浮遊液をサンプル滴下パッドaに滴下すると標識試薬が浮遊液中に溶解し、被検出物/標識試薬の複合体を形成する。
いずれの場合も被検出物/標識試薬の複合体を含む浮遊液はメンブレン上を水平方向に展開してゆき、判定部(第1捕捉試薬の結合ライン)(c,d,e)に達するとそのライン上に、第1捕捉試薬/被検出物/標識試薬の複合体が形成される。
なお、検体液中に含まれる凝集物等を除去するため、滴下用チューブの先端等に濾過フィルターを装着してメンブレンに滴下前に濾過してもよい。その場合には標識試薬を乾燥状態で保持させたパッドを濾過フィルターの位置に装着すると、標識試薬を浮遊液中に溶解させながら滴下することができる。
(4)前記複合体中の標識試薬による着色により、メンブレン上の判定部における複合体の存在を検出することで、検体液中の被検出物の有無を測定する。
<判定法>
メンブレン上の第1捕捉物質が結合した判定部(c,d,e)に該当する前記標識試薬の色調が認められたときに、それに該当する被測定物について「陽性」と判定し、メンブレンの色調と同じであった場合に「陰性」と判定する。
さらに、各判定部のいずれか一箇所に、該当する標識試薬の色調とは判別可能な中間色を示した場合には、非特異反応による“偽陽性”と見なし、「無効」と判定する。なお、中間色は、各標識試薬を一定比率で混合して混合物を作製し、これにより確認することができる。また、各標識試薬の示す色を混合して作製した色見本により確認することもできる。「無効」と判定された場合には、再度検体を採取して再検査を行ったり、他の方法により検査する等の措置を取ることができるので、誤判定を避けることができる。
[実施例1、比較例1]
ラテラルフロー式イムノクロマトアッセイによるインフルエンザウイルスの検出
[実施例1]
1.モノクローナル抗体の作製
(1)抗A型インフルエンザウイルスNP(Nucleoprotein;核蛋白)モノクローナル抗体(マウス)の作製
精製A型インフルエンザウイルス抗原を免疫し、一定期間維持したBALB/cマウスから脾臓を摘出し、ケラーらの方法(Kohler et al., Nature, vol, 256, p495-497(1975))によりマウスミエローマ細胞(P3×63)と融合した。
得られた融合細胞(ハイブリドーマ)を、37℃インキュベーター中で維持し、A型インフルエンザウイルスNP抗原固相プレートを用いたELISAにより上清の抗体活性を確認しながら細胞の純化(単クローン化)を行った。
取得した該細胞2株をそれぞれプリスタン処理したBALB/cマウスに腹腔投与し、約2週間後、抗体含有腹水を採取した。得られた腹水をそれぞれProteinAカラムクロマトグラフィー(アマシャム社製)を用いたアフィニティ精製によってIgGを精製し、2種類の精製抗A型インフルエンザウイルスNPモノクローナル抗体を得た。
(2)抗B型インフルエンザウイルスNPモノクローナル抗体(マウス)
精製B型インフルエンザウイルス抗原を免疫し、一定期間維持したBALB/cマウスから脾臓を摘出し、ケラーらの方法(Kohler et al., Nature, vol.256, p495-497(1975))によりマウスミエローマ細胞(P3×63)と融合した。得られた融合細胞(ハイブリドーマ)は、37℃下にてインキュベーター中で維持し、B型インフルエンザウイルスNP抗原固相プレートを用いたELISAにより上清の抗体活性を確認しながら細胞の純化(単クローン化)を行った。取得した該細胞2株をそれぞれプリスタン処理したBALB/cマウスに腹腔投与し、約2週間後、抗体含有腹水を採取した。得られた腹水からProteinAカラムクロマトグラフィー(アマシャム社製)によってIgGを精製し、2種類の精製抗B型インフルエンザウイルスNPモノクローナル抗体を得た。
2.標識抗インフルエンザウイルス抗体(標識試薬)の作製
(下記標識抗体は、TechNote 205, Rev.003, Active: 30/Mar/02 “Covalent Coupling”, Bangs Laboratories Inc.を参照して作製した。)
(1)ラテックス粒子標識抗A型インフルエンザウイルス抗体の調製
抗A型インフルエンザウイルスNPモノクローナル抗体のうち1種類を50mM MES(2-Morpholinoethanesulfonic acid,monohydrate;同仁化学社)緩衝液(pH6.0)溶液で透析後、赤色ポリスチレンラテックス粒子(粒径0.45μm,表面官能基はカルボキシル基,官能基密度65Å2/COOH基;Magsphere社)と混合し、反応させた。次に、EDAC(N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド塩酸塩;Sigma社)を最終濃度0.1%になるように添加した後、2時間反応させた。洗浄後、最終浮遊液(5mMTris, 0.04(W/V)% BSA(ウシ血清アルブミン))中に浮遊し、超音波分散装置(オリンパス社)にかけ、ラテックス粒子を分散させた。
(2)ラテックス粒子標識抗B型インフルエンザウイルス抗体の調製
抗B型インフルエンザウイルスNPモノクローナル抗体のうち1種類を50mM MES緩衝液(pH6.0)溶液で透析後、青色ポリスチレンラテックス粒子(粒径0.45μm,表面官能基はカルボキシル基,官能基密度65Å2/COOH基;Magsphere社)と混合し、反応させた。次に、EDACを最終濃度0.1%になるように添加した後、2時間反応させた。洗浄後、最終浮遊液(5mMTris, 0.04(W/V)% BSA(ウシ血清アルブミン))中に浮遊し、超音波分散装置(オリンパス社)にかけ、ラテックス粒子を分散させた。
3.ラテックス粒子標識抗体の乾燥化
(1)ラテックス粒子標識抗体の混合
2.(1)、(2)で作製したラテックス粒子標識抗A型インフルエンザウイルス抗体とラテックス粒子標識抗B型インフルエンザウイルス抗体を2.(1)記載の最終浮遊液で希釈後、室温下にて150rpmで5分間撹拌して等量混合した。
(2)ラテックス粒子標識抗体パッドの作製
3.(1)で作製したラテックス粒子標識抗体を陽圧噴霧装置(BioJet;BioDot社)を用いてリール状に巻いた幅15mmのセルロース不織布全面に噴霧した。噴霧後、50℃の温風を1分間吹きつけて乾燥させ、ラテックス粒子標識抗体パッドを作製した。
4.メンブレン固相用抗体の調製
(1)固相用抗A型インフルエンザウイルス抗体の調製
1.(1)で作製した精製抗A型インフルエンザウイルスNPモノクローナル抗体のうち標識に用いなかった方を、固相液(10mM Tris-HCl(pH7.5))に透析し、透析後に0.22μmろ過を行い、固相液で希釈して固相用抗A型インフルエンザウイルス抗体を調製した。
(2)固相用抗B型インフルエンザウイルス抗体の調製
1.(2)で作製した精製抗B型インフルエンザウイルスNPモノクローナル抗体のうち標識に用いなかった方を、固相液(10mM Tris-HCl(pH7.5))に透析し、透析後に0.22μmろ過を行い、固相液で希釈して固相用抗B型インフルエンザウイルス抗体を調製した。
5.インフルエンザウイルス検出用ラテラルフロー式メンブレンアッセイ装置の作製
インフルエンザウイルス検出用ラテラルフロー式メンブレンアッセイ装置は、図1及び図2に示すものと同様の構成のものを用いた。
メンブレンは、幅3cm x 長さ10cmのニトロセルロースメンブレン(ミリポア社製)シート(白色)を用いた。その長軸側の一端(この端を上流端、反対側を下流端とする)から8mm離れたdの位置に固相用抗A型インフルエンザウイルス抗体を陽圧噴霧装置(BioJet;BioDot社)を用いて線状に塗布し、12mm離れたeの位置に固相用抗B型インフルエンザウイルス抗体を陽圧噴霧装置(BioJet;BioDot社)を用いて線状に塗布した。塗布後、45℃の温風を10分間吹き付けて乾燥した。fの位置には何も塗布しなかった。
次に、部材を固定し、かつ強度を増すため、メンブレンの抗体塗布面(この面を上面とする)の反対側(この面を下面とする)にプラスチック製バッキングシート(BioDot社製)を接着した。
次に、3.(2)で作製したラテックス粒子標識抗体パッドを幅15mm x 長さ10cmに切断し、メンブレンの上面に、メンブレンの上流端が2mm重なる様に配置して貼り付け、サンプル滴下パッドとした。
次に、幅30mm x 長さ10cmのセルロースろ紙(ワットマン社)をメンブレンの上面に、メンブレンの下流端と5mm重なる様に配置して貼り付け、サンプル吸収パッドとした。
次にサンプル滴下パッドの上流端の幅7mmを除いて、上面全面を透明なプラスチックラミネート(Adhesive Research社)で被覆した。
最後に長軸方向に沿って、5mmずつ切断し、図1及び図2に示すメンブレンアッセイ装置を作製した。
6.試料ろ過フィルターの作製
図3に示した様なろ過用ノズルを用意し、ろ過用ガラスろ紙(アドバンテック東洋社)を円形(直径0.7cm)に打ち抜いてノズルの底面に装填し、試料ろ過フィルターを作製した。
7.インフルエンザウイルスの検出
(1)メンブレンアッセイ法による検出
臨床的にインフルエンザウイルス感染が疑われる患者244人から鼻腔吸引液を採取し、一人の患者から採取した鼻腔吸引液より滅菌綿棒を用いて3本の検体を採取し、うち1本を図4に示した様なチューブ内に分注した検体浮遊液(20mM MES緩衝液(pH6.0)、1(W/V)% TritonX−100、2(W/V)% アルギニン塩酸塩、1.0(W/V)%ウシ血清アルブミン)0.4mL中に浮遊し、試験用試料を作製した。チューブの先端に6.で作製した試料ろ過フィルターを装着した。
試験用試料全量をろ過用ノズルに通過させてろ過したろ過液をチューブに集めた後、5.で作製したインフルエンザウイルス検出用ラテラルフロー式メンブレンアッセイ装置のサンプル滴下パッド側を液に浸した。10分後、アッセイ装置を観察し、図1あるいは2のdの位置に標識に用いた着色ラテックス粒子の色調の発色(この場合、赤色)が認められた場合にはA型インフルエンザウイルス陽性(「A型陽性」)、eの位置に着色ラテックス粒子の色調の発色(この場合、青色)が認められた場合にはB型インフルエンザウイルス陽性(「B型陽性」)、dの位置に着色ラテックス粒子の色調の発色(この場合、赤色)が認められ、eの位置に着色ラテックス粒子の色調の発色(この場合、青色)が認められた場合はA型、B型インフルエンザウイルス陽性(「A型B型陽性」)、両方の位置に発色が認められない場合は「陰性」と判定した。また、d及び/またはeの位置に両方の着色ラテックス粒子を3.(1)に従って混合した場合の色調の発色(この場合、紫色)が認められた場合は「無効」と判定した。
(2)RT−PCR法による検出
臨床的にインフルエンザウイルス感染が疑われる患者244人の鼻腔吸引液より7.(1)で採取した検体のうち1本を、2mLのウイルス分離用培地に浮遊し、この浮遊液を用いてRT−PCR法により検体中にインフルエンザウイルス遺伝子が存在するかを確認した。RT−PCR法は、清水の方法(感染症学雑誌、第71巻、第6号、p522−526)で実施した。
[比較例1]
1.モノクローナル抗体の作製
実施例1で作製したものを使用した。
2.標識抗インフルエンザウイルス抗体(標識試薬)の作製
(1)ラテックス粒子標識抗A型インフルエンザウイルス抗体の調製
実施例1で作製したものを使用した。
(2)ラテックス粒子標識抗B型インフルエンザウイルス抗体の調製
実施例1のラテックス粒子標識抗B型インフルエンザウイルス抗体の調製に用いた抗体を50mM MES緩衝液(pH6.0)溶液で透析後、(1)で用いたものと同じ赤色ラテックス粒子(粒径0.45μm、表面官能基はカルボキシル基,官能基密度65Å2/COOH基;Magsphere社)と混合し、反応させた。次に、EDACを最終濃度0.1%になるように添加した後、反応させた。洗浄後、最終浮遊液(5mMTris, 0.04(W/V)% BSA(ウシ血清アルブミン))中に浮遊し、超音波分散装置(オリンパス社)にかけ、ラテックス粒子を分散させた。
3.ラテックス粒子標識抗体の乾燥化
(1)ラテックス粒子標識抗体の混合
2.(1)、(2)で作製したラテックス粒子標識抗A型インフルエンザウイルス抗体とラテックス粒子標識抗B型インフルエンザウイルス抗体を実施例1と同様にして混合した。
(2)ラテックス粒子標識抗体パッドの作製
3.(1)で作製したラテックス粒子標識抗体を用いて実施例1と同様の方法で作製した。
4.メンブレン固相用抗体の調製
実施例1と同じものを用いた。
5.インフルエンザウイルス検出用ラテラルフロー式メンブレンアッセイ装置の作製
インフルエンザウイルス検出用ラテラルフロー式メンブレンアッセイ装置は、図1及び図2に示すものと同様の構成のものを用い、3.(2)で作製したラテックス粒子標識バッドを使用した以外は、実施例1と同様の方法で作製した。
6.試料ろ過フィルターの作製
実施例1で作製したものと同じものを用いた。
7.インフルエンザウイルスの検出
(1)メンブレンアッセイ法による検出
実施例1で滅菌綿棒を用いて採取した検体のうち残りの1本を図4に示した様なチューブ内に分注した検体浮遊液(20mM MES緩衝液(pH6.0)、1(W/V)% TritonX−100、2(W/V)% アルギニン塩酸塩、1.0(W/V)%ウシ血清アルブミン)0.4mL中に浮遊し、試験用試料を作製した。チューブの先端に6.で作製した試料ろ過フィルターを装着した。
試験用試料全量をろ過用ノズルに通過させてろ過したろ過液をチューブに集めた後、5.で作製したインフルエンザウイルス検出用ラテラルフロー式メンブレンアッセイ装置のサンプル滴下パッド側を液に浸した。10分後、アッセイ装置を観察し、図1あるいは2のdの位置に赤色の発色が認められた場合にはA型インフルエンザウイルス陽性(「A型陽性」)、eの位置に赤色の発色が認められた場合にはB型インフルエンザウイルス陽性(「B型陽性」)、両方の位置に赤色の発色が認められた場合にはA型、B型インフルエンザウイルス陽性(「A型B型陽性」)、両方の位置に発色が認められない場合は「陰性」と判定した。
(2)RT−PCR法による検出
実施例1の結果を用いた。
実施例1と比較例1のメンブレンアッセイ法による結果と、RT-PCR法による結果の比較を表1及び表2にそれぞれ示す。また、実施例1と比較例1の結果の比較を表3に示す。
Figure 2012083370
Figure 2012083370
Figure 2012083370
結果
実施例1で「無効」と判定された11検体のうち9検体はRT−PCR法で「陰性」と判定された(表1)。これらの検体は比較例1では4検体が「A型陽性」、5検体が「A型B型陽性」と判定された(表3)。
実施例1で「無効」と判定された11検体のうち2検体はRT−PCR法では1検体が「A型陽性」、もう1検体は「B型陽性」と判定された(表1)。これらの検体は比較例1ではいずれも「A型B型陽性」と判定された(表3)。
実施例1と比較例1で共に「A型陽性」と判定された80検体、実施例1と比較例1で共に「B型陽性」と判定された41検体、実施例1と比較例1で共に「A型B型陽性」と判定された1検体は、いずれもRT−PCR法の判定結果と一致した(表1及び2)。
実施例1と比較例1で共に「陰性」と判定された111検体のうち、5検体はRT−PCRで「A型陽性」、3検体はRT−PCR法で「B型陽性」と判定された(表1及び表2)。このような判定結果の差異は、メンブレンアッセイ法と遺伝子増幅法であるRT−PCR法の感度差に由来するものと思われる。それ以外の103検体はRT−PCR法でも「陰性」と判定された。
以上のように、実施例1の方法により、偽陽性を真性の陽性と識別(すなわち「無効」と判定)することができた。なお、実施例1の方法ではRT−PCR法でで「A型陽性」、「B型陽性」と判定された各1検体を「無効」と判定したが、これらの検体を希釈し、再検査したところ、それぞれ「A型陽性」、「B型陽性」と判定された。
[実施例2]
1.モノクローナル抗体の作製
実施例1と同じものを用いた。
2.標識抗インフルエンザウイルス抗体(標識試薬)の作製
(1)標識用着色ラテックス粒子の組み合わせ
標識用として表4に示す着色ラテックス粒子を表5に示す組み合わせで用いた。各組み合わせのラテックス粒子混合時の色調も表5に示した。
Figure 2012083370
Figure 2012083370
(2)標識抗インフルエンザウイルス抗体(標識試薬)の調製
(i)表面官能基としてカルボキシル基を導入した着色ラテックス粒子への抗インフルエンザウイルス抗体の化学結合による感作方法
実施例1と同様に行った。
(ii)表面官能基としてアミノ基を導入した着色ラテックス粒子への抗インフルエンザウイルス抗体の化学結合による感作方法
抗A型あるいは抗B型インフルエンザウイルスNPモノクローナル抗体を50mM リン酸緩衝液(pH7.5)で透析後、着色ポリスチレンラテックス粒子と混合し、反応させた。次に、EDACを最終濃度0.1%になるように添加した後、2時間反応させた。洗浄後、最終浮遊液(5mMTris, 0.04(W/V)% BSA(ウシ血清アルブミン))中に浮遊し、超音波分散装置(オリンパス社)にかけ、ラテックス粒子を分散させた。
(iii)表面官能基を導入していない着色ラテックス粒子への抗インフルエンザウイルス抗体の物理吸着による感作方法
抗A型あるいは抗B型インフルエンザウイルスNPモノクローナル抗体を50mM リン酸緩衝液(pH7.5)で透析後、着色ポリスチレンラテックス粒子と混合し、2時間反応させた。洗浄後、最終浮遊液(5mMTris, 0.04(W/V)% BSA(ウシ血清アルブミン))中に浮遊し、超音波分散装置(オリンパス社)にかけ、ラテックス粒子を分散させた。
3.ラテックス粒子標識抗体の乾燥化
2.で作製した標識抗インフルエンザウイルス抗体を用いて、実施例1と同様に行った。
4.メンブレン固相用抗体の調製
実施例1と同じものを用いた。
5.インフルエンザウイルス検出用ラテラルフロー式メンブレンアッセイ装置の作製
実施例1と同じものを用いた。
6.試料ろ過フィルターの作製
実施例1と同じものを用いた。
7.インフルエンザウイルスの検出
(1)メンブレンアッセイ法による検出
実施例1のメンブレンアッセイ法で「無効」と判定され、RT−PCR法で「陰性」と判定された9人、実施例1のメンブレンアッセイ法とRT−PCR法で「A型陽性」と判定された5人、実施例1のメンブレンアッセイ法とRT−PCR法で「B型陽性」と判定された5人、および実施例1のメンブレンアッセイ法とRT−PCR法で「陰性」と判定された5人の鼻腔吸引液から滅菌綿棒で検体を採取し、実施例1と同じ方法でアッセイし、判定した。ただし、図1あるいは2のdおよびeの位置の発色の色調は、標識に用いたラテックスの色調により異なる。
各標識試薬の組み合わせ((A)〜(E))と実施例1のメンブレンアッセイとの判定結果の比較を表6に示す。表6における各数値は、実施例2の各標識試薬の組み合わせによるメンブレンアッセイ法と実施例1のメンブレンアッセイ法の判定結果が一致した検体数を意味する。例えば、組み合わせ(A)による判定では、実施例1において「無効」と判定された9検体のうち、8検体が「無効」と判定され、「A型陽性」、「B型陽性」及び「陰性」判定はいずれも実施例1のメンブレンアッセイ法による判定と一致した。
Figure 2012083370
表4に示した着色ラテックス粒子の組み合わせ(A)〜(E)を用いた場合でも、実施例1と同様に非特異による偽陽性を識別する効果があることが示された。
[実施例3]
1.モノクローナル抗体の作製
(1)抗A型インフルエンザウイルスNPモノクローナル抗体(マウス)の作製
実施例1と同じものを用いた。
(2)抗B型インフルエンザウイルスNPモノクローナル抗体(マウス)の作製
実施例1と同じものを用いた。
(3)RSウイルスFPモノクローナル抗体(マウス)
ヒトRSウイルスのFP(Fusion Protein)のアミノ酸配列の一部を合成したポリペプチドを免役し、一定期間維持したBALB/cマウスから脾臓を摘出し、ケラーらの方法(Kohler et al., Nature, vol, 256, p495-497(1975))によりマウスミエローマ細胞(P3×63)と融合した。
得られた融合細胞(ハイブリドーマ)を、37℃インキュベーター中で維持し、A型インフルエンザウイルスNP抗原固相プレートを用いたELISAにより上清の抗体活性を確認しながら細胞の純化(単クローン化)を行った。
取得した該細胞2株をそれぞれプリスタン処理したBALB/cマウスに腹腔投与し、約2週間後、抗体含有腹水を採取した。得られた腹水をそれぞれProteinAカラムクロマトグラフィー(アマシャム社製)を用いたアフィニティ精製によってIgGを精製し、2種類の精製抗RSウイルスFPモノクローナル抗体を得た。
2.標識抗インフルエンザウイルス抗体(標識試薬)の作製
(1)ラテックス粒子標識抗A型インフルエンザウイルス抗体の調製
実施例1と同じものを用いた。
(2)ラテックス粒子標識抗B型インフルエンザウイルス抗体の調製
実施例1と同じものを用いた
(3)ラテックス粒子標識抗RSウイルス抗体の調製
抗RSウイルスFPモノクローナル抗体のうち1種類を50mM MES緩衝液(pH6.0)溶液で透析後、緑色ポリスチレンラテックス粒子(粒径0.49μm,表面官能基はカルボキシル基,官能基密度69Å2/COOH基;メルク社)と混合し、反応させた。次に、EDACを最終濃度0.1%になるように添加した後、2時間反応させた。洗浄後、最終浮遊液(5mMTris, 0.04(W/V)% BSA(ウシ血清アルブミン))中に浮遊し、超音波分散装置(オリンパス社)にかけ、ラテックス粒子を分散させた。
3.ラテックス粒子標識抗体の乾燥化
(1)ラテックス粒子標識抗体の混合
2.(1)、(2)、(3)で作製したラテックス粒子標識抗A型インフルエンザウイルス抗体、ラテックス粒子標識抗B型インフルエンザウイルス抗体及びラテックス粒子標識抗RSウイルス抗体を、2.(1)記載の最終浮遊液で希釈後、室温下にて150rpmで5分間撹拌して等量混合した。
(2)ラテックス粒子標識抗体パッドの作製
3.(1)で作製したラテックス粒子標識抗体を陽圧噴霧装置(BioJet;BioDot社)を用いてリール状に巻いた幅15mmのセルロース不織布全面に噴霧した。噴霧後、50℃の温風を1分間吹きつけて乾燥させ、ラテックス粒子標識抗体パッドを作製した。
4.メンブレン固相用抗体の調製
(1)固相用抗A型インフルエンザウイルス抗体の調製
実施例1と同じものを用いた。
(2)固相用抗B型インフルエンザウイルス抗体の調製
実施例1と同じものを用いた。
(3)固相用抗RSウイルス抗体の調製
1.(3)で作製した精製抗RSウイルスFPモノクローナル抗体のうち標識に用いなかった方を、固相液(10mM Tris-HCl(pH7.5))に透析し、透析後に0.22μmろ過を行い、固相液で希釈して固相用抗RSウイルス抗体を調製した。
5.インフルエンザ及びRSウイルス検出用ラテラルフロー式メンブレンアッセイ装置の作製
インフルエンザ及びRSウイルス検出用ラテラルフロー式メンブレンアッセイ装置は、図1及び図2に示すものと同様の構成のものを用いた。
メンブレンは、幅3cm x 長さ10cmのニトロセルロースメンブレン(ミリポア社製)シート(白色)を用いた。その長軸側の一端(この端を上流端、反対側を下流端とする)から8mm離れたdの位置に固相用抗A型インフルエンザウイルス抗体を陽圧噴霧装置(BioJet;BioDot社)を用いて線状に塗布し、12mm離れたeの位置に固相用抗B型インフルエンザウイルス抗体を陽圧噴霧装置(BioJet;BioDot社)を用いて線状に塗布し、16mm離れたfの位置に固相用抗RSウイルス抗体を陽圧噴霧装置(BioJet;BioDot社)を用いて線状に塗布した。塗布後、45℃の温風を10分間吹き付けて乾燥した。
次に、部材を固定し、かつ強度を増すため、メンブレンの抗体塗布面(この面を上面とする)の反対側(この面を下面とする)にプラスチック製バッキングシート(BioDot社製)を接着した。
次に、3.(2)で作製したラテックス粒子標識抗体パッドを幅15mm x 長さ10cmに切断し、メンブレンの上面に、メンブレンの上流端が2mm重なる様に配置して貼り付け、サンプル滴下パッドとした。
次に、幅30mm x 長さ10cmのセルロースろ紙(ワットマン社)をメンブレンの上面に、メンブレンの下流端と5mm重なる様に配置して貼り付け、サンプル吸収パッドとした。
次にサンプル滴下パッドの上流端の幅7mmを除いて、上面全面を透明なプラスチックラミネート(Adhesive Research社)で被覆した。
最後に長軸方向に沿って、5mmずつ切断し、図1及び図2に示すメンブレンアッセイ装置を作製した。
6.試料ろ過フィルターの作製
実施例1と同じものを用いた。
7.インフルエンザウイルス及びRSウイルスの検出
(1)メンブレンアッセイ法による検出
臨床的にインフルエンザウイルスあるいはRSウイルス感染が疑われる患者74人から鼻腔吸引液を採取し、一人の患者から採取した鼻腔吸引液より滅菌綿棒を用いて2本の検体を採取し、うち1本を図4に示した様なチューブ内に分注した検体浮遊液(20mM MES緩衝液(pH6.0)、1(W/V)% TritonX−100、2(W/V)% アルギニン塩酸塩、1.0(W/V)%ウシ血清アルブミン)0.4mL中に浮遊し、試験用試料を作製した。チューブの先端に6.で作製した試料ろ過フィルターを装着した。
試験用試料全量をろ過用ノズルに通過させてろ過したろ過液をチューブに集めた後、5.で作製したインフルエンザ及びRSウイルス検出用ラテラルフロー式メンブレンアッセイ装置のサンプル滴下パッド側を液に浸した。10分後、アッセイ装置を観察し、図1あるいは2のdの位置に標識に用いた着色ラテックスの色調の発色(この場合、赤色)が認められた場合には「A型陽性」、eの位置に着色ラテックスの色調の発色(この場合、青色)が認められた場合には「B型陽性」、fの位置に着色ラテックスの色調の発色(この場合、緑色)が認められた場合はRSウイルス陽性(「RS陽性」)、いずれの位置にも発色が認められない場合は「陰性」と判定した。また、d、e及びfの少なくとも1カ所の位置に3種類の着色ラテックスを3.(1)に従って混合した場合の色調の発色(この場合、グレー)が認められた場合は「無効」と判定した。
(2)RT−PCR法による検出
臨床的にインフルエンザウイルス感染が疑われる患者74人の鼻腔吸引液より7.(1)で採取した検体のうち1本を、2mLのウイルス分離用培地に浮遊し、この浮遊液を用いてRT−PCR法により検体中にインフルエンザウイルス遺伝子が存在するかを確認した。インフルエンザウイルス遺伝子検出のためのRT−PCR法は、清水の方法(感染症学雑誌、第71巻、第6号、p522−526)で実施した。またRSウイルス遺伝子検出のためのRT−PCR方はStockton等の方法(Journal of Clinical Microbiology 、第36巻、p2990−2995、1998年)で実施した。
メンブレンアッセイ法とRT−PCR法の結果の比較を表7に示す。表内の数値は該当する検体数を示す。
Figure 2012083370
メンブレンアッセイ法により「無効」と判定された2検体はRT−PCR法によりいずれも「陰性」であることが確認された。実施例3の構成でも非特異反応に起因する偽陽性を識別する効果が確認された。
a:サンプル滴下パッド
b:サンプル吸収パッド
c:メンブレン
d:判定部
e:判定部
f:判定部
g:バッキングシート
h:ラミネート
i:ろ過用ノズル
j:ろ過用ガラスろ紙
k:検体浮遊液チューブ

Claims (7)

  1. 検体液中に存在する2種類以上の被検出物を検出するメンブレンアッセイ法であって、下記工程を含む方法:
    (1)各被検出物に特異的に結合する第1捕捉物質をメンブレン上の異なる位置にそれぞれ固相化して、2箇所以上の判定部を作製する工程、
    (2)各被検出物に特異的に結合する第2捕捉物質に、被検出物毎に異なる色調の着色ラテックス粒子を結合して、2種類以上の標識試薬を作製する工程、
    (3)工程(2)で作製した2種類以上の標識試薬を一定比率で混合し、各標識試薬の色調と判別可能な中間色を示す混合物を作製する工程、
    (4)検体液と、工程(2)で作製した2種類以上の標識試薬とを混合する工程、
    (5)工程(4)で作製した混合液を工程(1)で作製したメンブレンに供給し展開する工程、および
    (6)工程(1)で作製した各判定部において、各判定部に対応する標識試薬の色が検出された場合には、その被検出物は「陽性」であると判断し、各判定部に対応する標識試薬の色が検出されない場合には、その被検出物は「陰性」であると判断し、さらに判定部のいずれか1つにおいて工程(3)で作製した中間色が検出された場合には、検出方法は「無効」であると判定する工程。
  2. 検体液中に存在する2種類以上の被検出物を検出するメンブレンアッセイ法であって、下記工程を含む方法:
    (1)各被検出物に特異的に結合する第1捕捉物質をメンブレン上の異なる位置にそれぞれ固相化して、2箇所以上の判定部を作製する工程、
    (2)各被検出物に特異的に結合する第2捕捉物質に、被検出物毎に異なる色調の着色ラテックス粒子を結合して、2種類以上の標識試薬を作製する工程、
    (3)工程(2)で作製した2種類以上の標識試薬を一定比率で混合し、各標識試薬の色調と判別可能な中間色を示す混合物を作製する工程、
    (4’)工程(2)で作製した2種類以上の標識試薬を混合し、(1)のメンブレンあるいは(1)のメンブレンに接触して配置されているパッドに供給して乾燥し、標識試薬部を作製する工程、
    (5’)検体液を、工程(4’)で作製した標識試薬部に供給し展開する工程、および
    (6)工程(1)で作製した各判定部において、各判定部に対応する標識試薬の色が検出された場合には、その被検出物は「陽性」であると判断し、各判定部に対応する標識試薬の色が検出されない場合には、その被検出物は「陰性」であると判断し、さらに判定部のいずれか1つにおいて工程(3)で作製した中間色が検出された場合には、検出方法は「無効」であると判定する工程。
  3. 被検出物が抗原であり、第1捕捉物質および第2捕捉物質が抗体である、請求項1または2に記載のメンブレンアッセイ法。
  4. 2種類以上の被検出物が、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルスおよびRSウイルスから選ばれる2種類以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のメンブレンアッセイ法。
  5. フロースルー式またはラテラルフロー式である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のメンブレンアッセイ法。
  6. 下記を含む、検体液中に存在する2種類以上の被検出物を検出するためのメンブレンアッセイキット:
    (a)各被検出物に特異的に結合する第1捕捉物質が異なる位置にそれぞれ固相化されて作製された、2箇所以上の判定部を有するメンブレン、
    (b)各被検出物に特異的に結合する第2捕捉物質に、被検出物毎に異なる色調の着色ラテックス粒子が結合された、2種類以上の標識試薬、及び
    (c)(b)の2種類以上の標識試薬の色が混合された、各標識試薬の色調と判別可能な中間色を示す色見本。
  7. さらに(d)〜(i)の少なくとも1つを含む、請求項6記載のキット:
    (d)検体浮遊液、
    (e)濾過フィルター、
    (f)洗浄液組成物、
    (g)陰性コントロール
    (h)陽性コントロール、
    (i)検体採取器具。
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