JP2017036917A - ヘリコバクター・ピロリの検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】検体として胃液を用いることで、非侵襲的にかつ迅速にヘリコバクター・ピロリの選択的な検出を可能とする検査方法を提供する。【解決手段】胃に感染しているヘリコバクター・ピロリを検出する方法であって、内視鏡実施の際に採取可能な胃液を検体として用い、かつ特異的抗体を用いたイムノアッセイにより、胃液由来の低pHの影響を受けることなく、十分な感度が得られる測定系を確立することで、胃液の臨床検体としての有用性を見出し、非侵襲的な検体採取によるヘリコバクター・ピロリの迅速検出が可能となる方法。【選択図】なし
Description
本発明は、医療分野に属し、検体試料中の被検出物を非侵襲的に検出するための検査方法を提供するものである。
ヘリコバクター・ピロリは、グラム陰性らせん状細菌であり、ウレアーゼにより胃酸を中和することでヒトの胃粘膜に持続感染し、胃粘膜の炎症を引き起こす細菌である。
ヘリコバクター・ピロリの感染は、そのほとんどが胃酸分泌や胃粘膜の免疫能が不十分な幼小児期に成立すると考えられており、成人の感染はそのほとんどが一過性感染で終わる可能性が高い。小児の感染時期の検討としては、ガンビアやドイツにおける研究報告より、生後12カ月までに70%が感染(ガンビア)、便中抗原陽性率が平均24.5カ月の小児で急速に上昇し、ほとんどの感染は2歳までに生じる(ドイツ)とされている(非特許文献1、非特許文献2)。また、ヘリコバクター・ピロリへの感染率は小児期の衛生環境が大きく影響しており、上下水道の整備などの社会基盤の整備がすすむにつれ感染率が低くなる傾向がみられる。発展途上国ほど感染率が高く、先進国ほど感染率が低くなる傾向がある。しかしながら、先進国のなかでも日本におけるヘリコバクター・ピロリの感染率は極めて高く、50歳以上の約80%が感染しているとも言われている。
近年、ヘリコバクター・ピロリの感染が、慢性胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・更には胃癌の原因となることが明らかにされてきており、ヘリコバクター・ピロリを除菌することでこれら関連疾患が改善・解消されることが報告されている。ヘリコバクター感染と各種疾病の関連性、診断方法と治療については、H. pylori感染の診断と治療のガイドライン2009 改訂版(非特許文献3、日本ヘリコバクター学会誌、10巻 Supplement)などに示されている。
ヘリコバクター・ピロリの感染診断には、侵襲的検査として迅速ウレアーゼ試験(RUT)、検鏡法、培養法の3種類があり、非侵襲的検査としては尿素呼気試験(UBT)、血清中抗体測定法、便中抗原測定法の3種類と、計6種類の検査方法がある。
また、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎の確定診断には、内視鏡診断の実施が必須であり、一般的に内視鏡診断実施後にヘリコバクター・ピロリ感染診断が実施される。これに伴い、内視鏡実施時に胃生検をおこない、侵襲的検査であるRUTや検鏡法、培養法を実施することが多いが、胃生検は、組織の採取時にヘリコバクター・ピロリが感染していない箇所を採取した場合に偽陰性となることや、アスピリンやワルファリンなどの抗血栓薬を服用している患者に対してはリスクを伴う(非特許文献4)ため、侵襲性が低く、精度が良くかつ迅速判定が可能なヘリコバクター・ピロリ検査法が求められていた。
侵襲性が低い検査方法である、尿素呼気試験(UBT)、血清中抗体測定法、便中抗原測定法以外の方法として、胃液からヘリコバクター・ピロリを直接検出することが挙げられる。内視鏡診断を実施する際に、胃液を採取することは比較的容易であり、かつ患者に対するリスクを伴わない、非侵襲的な検体採取方法である。しかしながら、採取した胃液中に存在するヘリコバクター・ピロリの菌量は多くなく、感度良く検出することは容易ではない(非特許文献5)。培養法での検出率は0-67%と高くなく、かつ検出に時間を要するという欠点がある。また、高感度な検出方法としてPCR法も試みられているが、判定結果が得られるまでに時間を要する点や、コンタミネーションに対するリスクコントロール、専用の機器を要する点、コスト面等から実際の医療現場にて使用することは容易ではない。
また、胃液について、その有用性を詳細に検討した例はなく、現時点においてイムノアッセイを用いて胃液中のヘリコバクター・ピロリを濃縮操作などを用いずに直接検出する方法についての報告はない。胃液中の、ヘリコバクター・ピロリの菌体量が少ないことや、胃液の低いpHがイムノアッセイには適さないこと等が理由であると推測される。また、胃液には胃粘液が含まれ、この点でもイムノアッセイに適さないと推測される。
Pediatric Research. 45巻:218-223、1999年
J. Pediatrics. 136巻: 744-748、2000年
H. pylori 感染の診断と治療のガイドライン2009 改訂版;日本ヘリコバクター学会誌(2009)
抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン; 日本消化器内視鏡学会雑誌(2012)
Med Microbiol. 49巻(4):343-7、2000年
本発明は、検体として胃液を用いることで、非侵襲的にかつ迅速にヘリコバクター・ピロリの選択的な検出を可能とする検査方法を提供するものである。
本願発明者らは、鋭意研究の結果、内視鏡実施の際に採取可能な胃液を検体として用い、かつ特異的抗体を用いたイムノアッセイにより、胃液由来の低pHの影響を受けることなく、十分な感度が得られる測定系を確立することで、胃液の臨床検体としての有用性を見出し、非侵襲的な検体採取によるヘリコバクター・ピロリの迅速検出が可能となる本発明を完成した。
すなわち、本発明は、ヘリコバクター・ピロリと特異的に反応するモノクローナル抗体および/またはポリクローナル抗体を使用したイムノアッセイにより、胃液を検体として測定することで、検体中から特異的にヘリコバクター・ピロリを検出し、患者がヘリコバクター・ピロリに感染しているか否かを判定することを特徴する。
本発明の態様は、以下のとおりである。
[1] 胃に感染しているヘリコバクター・ピロリを検出する方法であって、検体として胃内容物を採取し、培養操作なしに胃内容物中のヘリコバクター・ピロリを検出する方法。
[2] 検出にイムノアッセイを用いる、[1]の方法。
[3] イムノアッセイにヘリコバクター・ピロリ特異的抗体を用いる、[1]または[2]の方法。
[4] イムノアッセイがイムノクロマト法および/またはELISA法である、[1]から[3]のいずれかの方法。
[5] ヘリコバクター・ピロリ特異的抗体がヘリコバクター・ピロリの構造因子および/または病原因子を認識するポリクローナル抗体および/またはモノクローナル抗体である、[1]から[4]のいずれかの方法。
[6] 胃内容物が内視鏡検査実施の際に採取した胃吸引物である、[1]から[5]のいずれかの方法。
[7] 胃吸引物が胃液である、[6]の方法。
[8] 胃吸引物を濃縮および培養処理をせずに直接測定に供することを特徴とする、[1]から[6]のいずれかの方法。
[1] 胃に感染しているヘリコバクター・ピロリを検出する方法であって、検体として胃内容物を採取し、培養操作なしに胃内容物中のヘリコバクター・ピロリを検出する方法。
[2] 検出にイムノアッセイを用いる、[1]の方法。
[3] イムノアッセイにヘリコバクター・ピロリ特異的抗体を用いる、[1]または[2]の方法。
[4] イムノアッセイがイムノクロマト法および/またはELISA法である、[1]から[3]のいずれかの方法。
[5] ヘリコバクター・ピロリ特異的抗体がヘリコバクター・ピロリの構造因子および/または病原因子を認識するポリクローナル抗体および/またはモノクローナル抗体である、[1]から[4]のいずれかの方法。
[6] 胃内容物が内視鏡検査実施の際に採取した胃吸引物である、[1]から[5]のいずれかの方法。
[7] 胃吸引物が胃液である、[6]の方法。
[8] 胃吸引物を濃縮および培養処理をせずに直接測定に供することを特徴とする、[1]から[6]のいずれかの方法。
本発明の方法により、胃液からヘリコバクター・ピロリを検出し、感染診断をおこなう方法を確立することができた。
本発明のヘリコバクター・ピロリの測定方法は、抗ヘリコバクター・ピロリ特異的抗体またはその抗原結合性断片と検体中のヘリコバクター・ピロリとの抗原抗体反応を利用した免疫測定によりヘリコバクター・ピロリを測定する方法である。
抗ヘリコバクター・ピロリ抗体は、モノクローナル抗体もポリクローナル抗体も用いることができる。本発明の方法で用いる抗ヘリコバクター・ピロリ抗体は、ヘリコバクター・ピロリ菌体またはへリコバクター・ピロリ由来のタンパク質を免疫原として用いて公知の方法で作製することができる。本発明の方法で用いる抗ヘリコバクター・ピロリ抗体は、ヘリコバクター・ピロリの抗原に対する特異的抗体である。ヘリコバクター・ピロリの抗原として、例えば、鞭毛,LPSのような構造因子や、ウレアーゼ,アドヘジン,カタラーゼ,SOD, VacA,CagA,cagPAI遺伝子群にコードされている蛋白質,OipA,NapA,DupA, 熱ショック蛋白などの病原因子が挙げられる。ヘリコバクター・ピロリの抗原を検出することにより、ヘリコバクター・ピロリの存在を検出することができる。抗ヘリコバクター・ピロリ抗体の抗原結合性断片としては、ヘリコバクター・ピロリに反応するFabやF(ab’)2のような免疫グロブリン断片、あるいは、組換え体として発現されたscFv、dsFv、diabody、minibody等の組換え抗体が挙げられる。本発明において、「抗体」という語は、ヘリコバクター・ピロリに特異的なこれらの断片をも包含する。これらの断片の調製方法はこの分野において周知である。
免疫測定法としては、免疫染色法(蛍光抗体法、酵素抗体法、重金属標識抗体法、放射性同位元素標識抗体法を含む)、電気泳動法による分離と蛍光、酵素、放射性同位元素などによる検出方法とを組み合わせた方法(ウエスタンブロット法、蛍光二次元電気泳動法を含む)、酵素免疫測定吸着法(ELISA)、ドット・ブロッティング法、ラテックス凝集法(LA:Latex Agglutination-Turbidimetric Immunoassay)、イムノクロマト法など、当業者にとって周知のいずれの方法も用いることができる。なお、本発明において、「測定」には、定量、半定量、検出のいずれもが包含される。
上記の免疫測定法の中でも、サンドイッチ法が好ましい。サンドイッチ法自体は免疫測定の分野において周知であり、例えばラテラルフロー式に免疫測定を行うイムノクロマト法やELISA法により行うことができる。これらのサンドイッチ法自体はいずれも周知であり、本発明の方法は、上記した本発明のヘリコバクター・ピロリ特異的モノクローナル抗体および/またはポリクローナル抗体を用いること以外は、周知のサンドイッチ法により行うことができる。
サンドイッチ法を検出原理とする免疫測定において、抗体が固定化される固相としては、抗体を公知技術により固定可能なものは全て用いることができ、例えば、毛細管作用を有する多孔性薄膜(メンブレン)、粒子状物質、試験管、樹脂平板など公知のものを任意に選択できる。また、抗体を標識する物質としては、酵素、放射性同位体、蛍光物質、発光物質、有色粒子、コロイド粒子などを用いることができる。また、2種類以上の抗ヘリコバクター・ピロリ抗体を用いてもよい。2種類以上の抗ヘリコバクター・ピロリ抗体は、サンドイッチ法に用いられ、互いに異なるエピトープを認識する抗体であることが好ましい。
例えば、抗ヘリコバクター・ピロリ抗体を固相化したポリスチレン等でできたマイクロタイタープレートに胃液試料を添加し、抗原・抗体反応をさせ、さらに酵素標識した抗ヘリコバクター・ピロリ抗体を添加し、抗原・抗体反応をさせ、洗浄後、酵素基質と反応・発色させ、吸光度を測定して胃液中のヘリコバクター・ピロリの存在を検出すると共に、その測定値から胃液中のヘリコバクター・ピロリの数を算出することもできる。また、蛍光標識した抗ヘリコバクター・ピロリ抗体を用いて、抗原・抗体反応をさせた後に蛍光を測定してもよい。
前述の種々の材料による免疫測定法の中でも、特に臨床検査の簡便性と迅速性の観点から、メンブレンを用いたラテラルフロー式の免疫測定法であるイムノクロマト法が好ましい。
本発明の方法によるラテラルフロー式に免疫測定法は、測定対象物(抗原)を捕捉する抗体(抗体1)が固定化された検出領域を有する支持体、着色ポリスチレン粒子や金コロイド等の適当な標識物質で標識した移動可能な標識抗体(抗体2)を有する標識体領域、検体を滴加するサンプルパッド、展開された検体液を吸収する吸収帯、これら部材を1つに貼り合わせるためのバッキングシートから成り、抗体1および抗体2の少なくとも一方が本発明の抗ヘリコバクター・ピロリ抗体である免疫測定器具を用いて行うことができる。該方法においては、抗体1を固定化した固相支持体に毛管現象を利用して、着色ポリスチレン粒子や金コロイド等の適当な標識物質で標識した被検出物質(標識試薬)と結合し得る抗体2と被検出物質の複合体を展開移動させる。この結果、固定化した物質-被検出物質-標識試薬の複合体が固相支持体上に形成され、該複合体から発する標識試薬のシグナル(金コロイドの場合は、被検出物質と結合し得る物質を固定化した固相支持体部分が赤くなる)を検出することにより、被検出物質を検出することができる。該免疫測定方法は、5〜35℃、好ましくは室温で行うことができ、生体粘膜由来検体の検体処理液による処理もこの温度範囲内で行えばよい。
本発明は、胃内容物からヘリコバクター・ピロリを検出するための、上記の免疫測定器具も包含する。
なお、検出領域の数および標識体領域に含まれる標識抗体の種類は1に限られるものではなく、複数の測定対象物に対応する抗体を用いることで、2以上の抗原を同一の免疫測定器具にて検出することができる。
本発明においては、胃内容物中のヘリコバクター・ピロリを直接検出することにより、胃に感染しているヘリコバクター・ピロリを検出する。胃内容物としては、内視鏡検査の際に採取した胃吸引物が挙げられ、胃液が好ましい。本発明の抗ヘリコバクター・ピロリ抗体を用いた方法によれば、胃液を濃縮、培養操作等の処理をせずに直接試料として用いることができる。また、緩衝液と混合し試料としてもよい。緩衝液としては、例えばリン酸緩衝液を用いることができ、Tween20等の界面活性剤や血清アルブミンを含んでいてもよい。例えば、メンブレンを用いたラテラルフロー式の免疫測定法であるイムノクロマト法でアッセイを行う場合、胃液100μL〜1mLを検体試料として用いることができ、あるいは胃液を緩衝液と容積比1:1〜1:3で混合し、混合物を検体試料として用いることもできる。本発明において「胃液を直接試料として用いる」とは、胃液を濃縮、培養操作等の処理をせずに検体試料として用いることをいい、緩衝液と混合して検体試料として用いる場合も「胃液を直接試料として用いる」という。胃液には胃粘液が含まれており、イムノアッセイには適さないと考えられていたが、本発明の方法では胃液を検体試料としてイムノアッセイを行うことができる。また、胃内容物には胃の組織は含まれず、本発明の方法は、胃等の組織切片をHE(ヘマトキシリン-エオシン)染色やギムザ染色により染色し、ヘリコバクター・ピロリを検出する方法とは異なる。
本発明においては、ヒト、イヌ、ネコ等の動物の胃液を対象とする。
本発明の方法は、胃液等の胃内容物を検体として用いて、胃に感染しているヘリコバクター・ピロリを検出する方法であり、また、ヘリコバクター・ピロリの感染を検出する方法、あるいは、ヘリコバクター・ピロリの感染を検出するためのデータを採取する方法でもある。
本発明の方法により、胃中にヘリコバクター・ピロリが検出され、ヘリコバクター・ピロリへの感染が判明した場合、ヘリコバクター・ピロリを除菌することにより、ヘリコバクター・ピロリ感染症を治療することができる。ヘリコバクター・ピロリの除菌は抗生物質を用いて行うことができる。この際、好ましくは複数の抗生物質を組合せて用い、例えば、抗生物質2剤(アモキシリン(AMPC)およびクラリスロマイシン(CAM))と胃酸分泌を抑制するプロトンポンプ阻害剤(PPI)を組合せて投与すればよい。
以下、実施例を挙げて更に詳細に説明するが、本発明の本質は胃液からヘリコバクター・ピロリを検出する方法であり、本発明は以下の実施例だけに限定されるものではない。
1.抗ヘリコバクター・ピロリモノクローナル抗体の作製
ヘリコバクター・ピロリから抽出した抗原をBALB/cマウスに免疫し、一定期間飼育したマウスから脾臓を摘出し、ケラーらの方法(Kohler et al., Nature, vol, 256, p495-497(1975))によりマウスミエローマ細胞(P3×63)と融合した。得られた融合細胞(ハイブリドーマ)を、37℃インキュベーター中で維持し、ヘリコバクター・ピロリから抽出した抗原を固相したプレートを用いたELISAにより上清の抗体活性を確認しながら細胞の純化(単クローン化)を行った。取得した該細胞2株をそれぞれプリスタン処理したBALB/cマウスに腹腔投与し、約2週間後、抗体含有腹水を採取した。
ヘリコバクター・ピロリから抽出した抗原をBALB/cマウスに免疫し、一定期間飼育したマウスから脾臓を摘出し、ケラーらの方法(Kohler et al., Nature, vol, 256, p495-497(1975))によりマウスミエローマ細胞(P3×63)と融合した。得られた融合細胞(ハイブリドーマ)を、37℃インキュベーター中で維持し、ヘリコバクター・ピロリから抽出した抗原を固相したプレートを用いたELISAにより上清の抗体活性を確認しながら細胞の純化(単クローン化)を行った。取得した該細胞2株をそれぞれプリスタン処理したBALB/cマウスに腹腔投与し、約2週間後、抗体含有腹水を採取した。
得られた腹水からプロティンAカラムを用いたアフィニティークロマトグラフィー法により、それぞれIgGを精製し、2種類の精製抗ヘリコバクター・ピロリ抗体を得た。
2.標識抗ヘリコバクター・ピロリ抗体の作製
抗ヘリコバクター・ピロリ抗体のうち1種類を50mM MES(2-Morpholinoethanesulf
onic acid,monohydrate;同仁化学社)緩衝液(pH6.0)溶液で透析後、O.D.280nm=0.5になるように同じ緩衝液で希釈した溶液を10mL調製した。次に10(W/V)%青色ポリスチレンラテックス粒子(粒径0.45μm、表面官能基はカルボキシル基、官能基密度65Å2/COOH基;Magsphere社)と液量比40:1になるように混合し、反応させた。次に、1(W/V)%のEDAC(N-(3-Dimethlaminopropyl)-N'-ethylcarbodiimide hydrochloride;Sigma社)を最終濃度0.1%になるように添加した後、2時間反応させた。洗浄後、最終浮遊液(5mM Tris,0.04(W/V)% BSA(ウシ血清アルブミン), 0.4Mトレハロース,0.2(V/V)% TritonX-100)20mL中に浮遊し、超音波分散装置(オリンパス社)にかけ、ラテックス粒子を分散させた。次にラテックス粒子標識抗体を陽圧噴霧装置(BioJet;BioDot社)を用いて8μL/cmの塗布量でリール状に巻いた幅15mmのセルロース不織布全面に噴霧した。噴霧後、50℃の温風を1分間吹きつけて乾燥させ、ラテックス粒子標識抗体乾燥パッドを作製した。
抗ヘリコバクター・ピロリ抗体のうち1種類を50mM MES(2-Morpholinoethanesulf
onic acid,monohydrate;同仁化学社)緩衝液(pH6.0)溶液で透析後、O.D.280nm=0.5になるように同じ緩衝液で希釈した溶液を10mL調製した。次に10(W/V)%青色ポリスチレンラテックス粒子(粒径0.45μm、表面官能基はカルボキシル基、官能基密度65Å2/COOH基;Magsphere社)と液量比40:1になるように混合し、反応させた。次に、1(W/V)%のEDAC(N-(3-Dimethlaminopropyl)-N'-ethylcarbodiimide hydrochloride;Sigma社)を最終濃度0.1%になるように添加した後、2時間反応させた。洗浄後、最終浮遊液(5mM Tris,0.04(W/V)% BSA(ウシ血清アルブミン), 0.4Mトレハロース,0.2(V/V)% TritonX-100)20mL中に浮遊し、超音波分散装置(オリンパス社)にかけ、ラテックス粒子を分散させた。次にラテックス粒子標識抗体を陽圧噴霧装置(BioJet;BioDot社)を用いて8μL/cmの塗布量でリール状に巻いた幅15mmのセルロース不織布全面に噴霧した。噴霧後、50℃の温風を1分間吹きつけて乾燥させ、ラテックス粒子標識抗体乾燥パッドを作製した。
3.メンブレン固相用抗体の調製
上記1.で作製した精製抗ヘリコバクター・ピロリ抗体のうち標識に用いなかった方を、固相液(10mM Tris-HCl(pH8.0))に透析し、透析後に0.22μmろ過を行い、O.D.280nm=3.0になるように固相液で希釈して固相用抗ヘリコバクター・ピロリ抗体を調製した。
上記1.で作製した精製抗ヘリコバクター・ピロリ抗体のうち標識に用いなかった方を、固相液(10mM Tris-HCl(pH8.0))に透析し、透析後に0.22μmろ過を行い、O.D.280nm=3.0になるように固相液で希釈して固相用抗ヘリコバクター・ピロリ抗体を調製した。
4.ヘリコバクター・ピロリ検出用アッセイ装置の作製
メンブレンは、幅3cm×長さ10cmのニトロセルロースメンブレン(孔径12μm;ワットマン社製)シート(白色)を用いた。その長軸側の一端(この端を上流端、反対側を下流端とする)から6mm離れた位置に固相用抗ヘリコバクター・ピロリ抗体を1μL/cmの塗布量で陽圧噴霧装置(BioJet;BioDot社)を用いて線状に塗布し、22mm離れたhの位置に抗マウスIgG抗体をO.D.280nm=1.0に希釈し、1μL/cmの塗布量で陽圧噴霧装置(BioJet;BioDot社)を用いて線状に塗布した。塗布後、45℃の温風を10分間吹き付けて乾燥した。
メンブレンは、幅3cm×長さ10cmのニトロセルロースメンブレン(孔径12μm;ワットマン社製)シート(白色)を用いた。その長軸側の一端(この端を上流端、反対側を下流端とする)から6mm離れた位置に固相用抗ヘリコバクター・ピロリ抗体を1μL/cmの塗布量で陽圧噴霧装置(BioJet;BioDot社)を用いて線状に塗布し、22mm離れたhの位置に抗マウスIgG抗体をO.D.280nm=1.0に希釈し、1μL/cmの塗布量で陽圧噴霧装置(BioJet;BioDot社)を用いて線状に塗布した。塗布後、45℃の温風を10分間吹き付けて乾燥した。
次に、部材を固定し、かつ強度を増すため、メンブレンの抗体塗布面(この面を上面とする)の反対側(この面を下面とする)にプラスチック製バッキングシート(BioDot社製)を接着した。
次に、上記2で作製したラテックス粒子標識抗体乾燥パッドを幅15mm×長さ10cmに切断し、メンブレンの上面に、メンブレンの上流端が2mm重なる様に配置して貼り付け、さらに幅23mm×長さ10cmのセルロースろ紙(ワットマン社)をラテックス粒子標識抗体乾燥パッドの上面に13mm重なる様に配置して貼り付け、サンプル滴下パッドとした。
次に、幅30mm×長さ10cmのセルロースろ紙(ワットマン社)をメンブレンの上面に、メンブレンの下流端と5mm重なる様に配置して貼り付け、サンプル吸収パッドとした。
次にサンプル滴下パッドの上流端の幅5mmを除いて、上面全面を透明プラスチックラミネート(Adhesive Research社)で被覆した。
最後に長軸方向に沿って、5mmずつ切断し、メンブレンアッセイ装置を作製した。
次にサンプル滴下パッドの上流端の幅5mmを除いて、上面全面を透明プラスチックラミネート(Adhesive Research社)で被覆した。
最後に長軸方向に沿って、5mmずつ切断し、メンブレンアッセイ装置を作製した。
5.ヘリコバクター・ピロリの検出
検体として培養法、迅速ウレアーゼ法、内視鏡的画像診断、血清中抗体価測定、PCR法にてヘリコバクター・ピロリ感染診断を行い、総合所見にてヘリコバクター・ピロリ感染陽性と診断された患者(40名)およびヘリコバクター・ピロリ感染陰性と診断された患者(12名)から内視鏡検査の際に採取した胃液を用いた。
検体として培養法、迅速ウレアーゼ法、内視鏡的画像診断、血清中抗体価測定、PCR法にてヘリコバクター・ピロリ感染診断を行い、総合所見にてヘリコバクター・ピロリ感染陽性と診断された患者(40名)およびヘリコバクター・ピロリ感染陰性と診断された患者(12名)から内視鏡検査の際に採取した胃液を用いた。
胃液500μLを検体浮遊用緩衝液(Tween20 0.05(w/v)%ウシ血清アルブミン0.1(w/v)%を含むリン酸緩衝液(pH7.4))1mL中に直接添加し、撹拌したものを検体試料とした。
検体試料に4.で作製したヘリコバクター・ピロリ検出用ラテラルフロー式メンブレンアッセイ装置のサンプル滴下パッド側を液に浸した。10分後、アッセイ装置を観察し、抗マウスIgG抗体を塗布した位置(コントロールライン)に発色が認められた場合を有効とし、固相用抗ヘリコバクター・ピロリ抗体を塗布した位置に発色が認められた場合にはヘリコバクター・ピロリ陽性、発色が認められない場合は陰性と判定した。またコントロールラインの位置に発色が認められない場合を無効とした。
6.比較検討
比較対象として、患者への侵襲性の少ない血清中抗体測定法(Eプレート‘栄研’Hピロリ抗体II(栄研化学株式会社))および、迅速ウレアーゼ法(ヘリコチェック(大塚製薬株式会社))を従来法として用い、結果の比較を行った。
比較対象として、患者への侵襲性の少ない血清中抗体測定法(Eプレート‘栄研’Hピロリ抗体II(栄研化学株式会社))および、迅速ウレアーゼ法(ヘリコチェック(大塚製薬株式会社))を従来法として用い、結果の比較を行った。
表1の結果より、本発明の方法は従来法と比較して遜色ない結果となった。
この結果は、胃液を検体とし、抗ヘリコバクター・ピロリ抗体を用いた免疫測定法により、患者のヘリコバクター・ピロリ感染を検出することができることを示す。
この結果は、胃液を検体とし、抗ヘリコバクター・ピロリ抗体を用いた免疫測定法により、患者のヘリコバクター・ピロリ感染を検出することができることを示す。
Claims (8)
- 胃に感染しているヘリコバクター・ピロリを検出する方法であって、検体として胃内容物を採取し、培養操作なしに胃内容物中のヘリコバクター・ピロリを検出する方法。
- 検出にイムノアッセイを用いる、請求項1記載の方法。
- イムノアッセイにヘリコバクター・ピロリ特異的抗体を用いる、請求項1または2に記載の方法。
- イムノアッセイがイムノクロマト法および/またはELISA法である、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
- ヘリコバクター・ピロリ特異的抗体がヘリコバクター・ピロリの構造因子および/または病原因子を認識するポリクローナル抗体および/またはモノクローナル抗体である、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
- 胃内容物が内視鏡検査実施の際に採取した胃吸引物である、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
- 胃吸引物が胃液である、請求項6に記載の方法。
- 胃吸引物を濃縮および培養処理をせずに直接測定に供することを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
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