JP7225575B2 - 食肉加工品における油脂の凝固の抑制方法、油脂の凝固の抑制された食肉加工品の製造方法、および食肉加工品の油脂の凝固抑制剤 - Google Patents
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たとえば、カルシウム塩と米澱粉を含有し、食肉の肉質や食感等を改善し、ジューシーな食感を付与し得る食肉改質剤(特許文献1)、乳酸カルシウム、有機酸、アミノ酸および糖質を含有する肉軟化改質剤(特許文献2)、馬鈴薯澱粉とハイアミロース澱粉あるいはアミロース含量の高い澱粉質を乳化剤とともにα化処理して得られ、保水性および保油性を併せ持ち、100℃以下で加熱して弾力のあるゲルを形成する食品用素材(特許文献3)が提案されている。
しかし、上記した特許文献1に記載された技術は、食肉の肉質や食感等を改善し、ジューシーな食感を付与することを目的とするものであり、また、特許文献2に記載された技術は、筋肉繊維感を保持した状態で筋肉組織の過剰分解もなく、結合組織を軟化し得る食肉改質剤を提供するものであって、いずれも食肉加工品における油脂の凝固の問題を解決するものではない。
また、特許文献3に記載された技術は、保油性を有するゲルを形成し得る食品素材を用いることにより、油脂を含み熱処理される食品における油脂の分離を防止することを開示するが、食肉加工品が特に低温で保存されることにより生じる油脂の凝固の抑制に関して、何ら教示するものではない。
[1]平均粒子径が20μm以下である澱粉を含有する組成物により食肉を処理することを含む、食肉加工品の油脂の凝固の抑制方法。
[2]平均粒子径が20μm以下である澱粉が、平均粒子径が20μm以下である酢酸加工米澱粉である、[1]に記載の抑制方法。
[3]組成物のpHが7以上である、[1]または[2]に記載の抑制方法。
[4]組成物がさらに炭酸ナトリウムまたは乳酸カルシウム、あるいは炭酸ナトリウムおよび乳酸カルシウムを含有する、[1]~[3]のいずれかに記載の抑制方法。
[5]食肉加工品がレトルトパウチ食品である、[1]~[4]のいずれかに記載の抑制方法。
[6]平均粒子径が20μm以下である澱粉を含有する組成物により食肉を処理する工程を含む、油脂の凝固の抑制された食肉加工品の製造方法。
[7]平均粒子径が20μm以下である澱粉が、平均粒子径が20μm以下である酢酸加工米澱粉である、[6]に記載の製造方法。
[8]組成物のpHが7以上である、[6]または[7]に記載の製造方法。
[9]組成物がさらに炭酸ナトリウムまたは乳酸カルシウム、あるいは炭酸ナトリウムおよび乳酸カルシウムを含有する、[6]~[8]のいずれかに記載の製造方法。
[10]食肉をレトルトパウチに充填して密封する工程をさらに含む、[6]~[9]のいずれかに記載の製造方法。
[11]平均粒子径が20μm以下である澱粉を含有する、食肉加工品の油脂の凝固抑制剤。
[12]平均粒子径が20μm以下である澱粉が、平均粒子径が20μm以下である酢酸加工米澱粉である、[11]に記載の凝固抑制剤。
[13]さらにpH調整剤を1種以上含有する、[11]または[12]に記載の凝固抑制剤。
[14]さらに炭酸ナトリウムまたは乳酸カルシウム、あるいは炭酸ナトリウムおよび乳酸カルシウムを含有する、[11]~[13]のいずれかに記載の凝固抑制剤。
[15]食肉加工品がレトルトパウチ食品である、[11]~[14]のいずれかに記載の凝固抑制剤。
従って、本発明により、低温で保存された際にも、油脂の凝固が良好に抑制された食肉加工品を提供することができる。
また、本発明により、食肉加工品の保存時における油脂の凝固を良好に抑制し得る、油脂の凝固抑制剤を提供することができる。
本発明の抑制方法は、平均粒子径が20μm以下である澱粉を含有する組成物により、食肉を処理することを含む。
本発明の抑制方法が好適に用いられる食肉加工品としては、肉の角煮、ポトフ、シチュー、カレー等のレトルトパウチ食品;ハンバーグ、シュウマイ等の挽き肉加工品;サバの水煮等の魚肉缶詰等が例示される。
物理的な処理または酵素的な処理を施した澱粉とは、澱粉の物理的性質を変化させた澱粉または酵素反応により物性を変化させた澱粉であり、澱粉に水を加えて加熱糊化し、その状態で乾燥したα化澱粉、漂白処理澱粉、α-アミラーゼ処理澱粉等が挙げられる。
化学的な修飾を施した澱粉とは、主として澱粉の水酸基に各種化学物質による修飾を施した澱粉であり、酸処理澱粉、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、酢酸澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉、ヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉、リン酸化澱粉、リン酸架橋澱粉、澱粉グリコール酸ナトリウム等が挙げられる。
上記澱粉としては、食品用として市販されている製品を利用することができる。
本発明において、澱粉は、平均粒子径が20μm以下である澱粉から、1種または2種以上を選択して用いることができる。
本発明の目的には、澱粉の平均粒子径は1μm~20μmであることが好ましく、5μm~15μmであることがより好ましい。
また、本発明の目的には、平均粒子径が20μm以下である澱粉として、平均粒子径が20μm以下の米澱粉が好ましく用いられ、なかでも酢酸加工された米澱粉がより好ましく用いられる。
一方、食肉を処理するための組成物中の澱粉の含有量が多くなると、液状の組成物では濁りが発生することがあるため、上記澱粉は、食肉100gあたりの添加量が、総量で5g以下となるように含有されることが好ましく、総量で2.3g以下となるように含有されることがより好ましく、1.7g以下となるように含有されることがさらに好ましい。
なお、「組成物のpH」とは、組成物が液状である場合は、当該組成物について電極法により25℃にて測定されるpHをいい、組成物が粉状、顆粒状等の固形状である場合は、該組成物を5重量%となるように水に溶解して、電極法により25℃にて測定されるpHをいう。
pH調整剤としては、食肉の処理に用いる組成物のpHを7以上に調整できるものであり、可食性で、本発明の特徴を損なうことのないものであれば、特に限定されることなく用いることができるが、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸二水素ナトリウム、コハク酸、酢酸、酒石酸、酒石酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、乳酸、乳酸カルシウム、乳酸ナトリウム、リンゴ酸等の有機酸およびその塩;リン酸、リン酸三ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム等の無機酸およびその塩等を例示することができる。
なお、pH調整作用のみでなく、油脂の凝固抑制効果に寄与し得ることから、pH調整剤として、炭酸塩および乳酸塩がより好ましく用いられ、炭酸ナトリウムおよび乳酸カルシウムがさらに好ましく用いられる。
本発明において、上記pH調整剤は1種を単独で、または2種以上を併用することができる。
本発明の抑制方法において、上記した組成物による処理は、加工前の生の食肉に対して行ってもよく、カット、スライス、細断、下茹で等の下処理を行った食肉に対して行ってもよい。また、上記した組成物を食肉に添加、混合し、または上記した組成物に食肉を浸漬した状態で、加熱調理等の加工処理を行ってもよい。
なお、加熱調理等の加工処理には、他の食品材料や調味料等を添加して混合、成形する処理、煮る、焼く、揚げる、蒸す、燻す等の加熱処理等が含まれる。
また、上記した組成物を食肉に添加、混合し、または上記した組成物に食肉を浸漬した状態で、加熱調理等の加工処理を行う場合には、レトルトパウチ、プラスチック容器、缶等に充填、包装した状態で行うこともできる。
本発明の製造方法は、平均粒子径が20μm以下である澱粉を含有する組成物により、食肉を処理する工程を含む。
平均粒子径が20μm以下である澱粉を含有する組成物のpHは7以上であることが好ましく、7~9であることがより好ましく、7.5~8.5であることがさらに好ましい。
また、平均粒子径が20μm以下である澱粉を含有する組成物は、さらに炭酸ナトリウムまたは乳酸カルシウムを含有することが好ましく、炭酸ナトリウムおよび乳酸カルシウムを含有することがより好ましい。
調味料としては、本発明の抑制方法において上述した調味料、だし類、エキス類、甘味料、酸味料、香料等が挙げられ、食肉加工品の種類に応じて、適宜用いることができる。
なお、本発明の製造方法においては、上記調味料は、食肉の処理に用いる組成物に添加することもできる。
かかる加熱調理する工程は、食肉加工品の種類、調理手段、使用する調理機器等に応じて適宜行うことができ、通常70℃~300℃、好ましくは70℃~130℃にて、通常1分間~120分間、好ましくは5分間~60分間行うことができる。
本発明の製造方法においては、レトルトパウチに充填して密封し、加圧加熱殺菌したレトルトパウチ食品とすることが好ましい。
食肉加工品がレトルトパウチ食品として製造される場合には、加圧加熱殺菌が好ましく採用される。
本発明の凝固抑制剤は、平均粒子径が20μm以下である澱粉を含有する。
本発明の凝固抑制剤には、平均粒子径が20μm以下である澱粉は、食肉の処理に際し、食肉100gあたりの添加量が、総量で0.5g以上となるように含有されることが好ましく、1g以上となるように含有されることがより好ましい。
一方、食肉を処理する際の上記澱粉の使用量が多くなると、食肉加工品に液状物が含まれる場合に濁りが発生することがあるため、上記澱粉は、食肉100gあたりの添加量が、総量で5g以下となるように含有されることが好ましく、2.3g以下となるように含有されることがより好ましく、1.7g以下となるように含有されることがさらに好ましい。
本発明の凝固抑制剤に含有されるpH調整剤については、本発明の抑制方法において上記した通りである。
食肉加工品の油脂の凝固抑制効果の観点からは、本発明の凝固抑制剤には、平均粒子径が20μm以下である澱粉に加えて、炭酸ナトリウムまたは乳酸カルシウムが含有されることが好ましく、炭酸ナトリウムおよび乳酸カルシウムが含有されることがより好ましい。
また、調味料を含有する調味液に溶解し、もしくは前記調味液により希釈して、用いることもできる。調味液に含有され得る調味料については、本発明の抑制方法において上記した通りである。
本発明の凝固抑制剤は、食肉の処理に際し、平均粒子径が20μm以下である澱粉の添加量が食肉100gあたり、上記した添加量となるように用いられる。
本発明の凝固抑制剤を用いた食肉の処理については、本発明の抑制方法等において上記した通りである。
表1に示す成分を混合して均一とし、食肉加工品の凝固抑制剤を調製した。
なお、各成分としては、各社より食品用として市販されている製品を用いた。なお、酢酸加工米澱粉の平均粒子径は、上記したように、動的光散乱測定装置「ゼータサイザーナノZS」(マルバーン(Malvern)社)を使用して測定された。
国産豚バラ肉1000gを厚さ2cmにカットおよび成形し、95℃の湯で1時間煮た後、前記豚バラ肉100gあたり、表2に示す組成の調味料を40gと、実施例1の凝固抑制剤をそれぞれ2.0g、1.0g、3.0gおよび4.0g添加した調味液をそれぞれ加えてレトルトパウチに真空包装充填し、121℃で30分間加圧加熱滅菌を行って、豚の角煮を製造し、5℃で保存した(実施例2~5)。
また、比較のため、実施例1の凝固抑制剤を添加しない他は、上記各実施例と同様に豚の角煮を製造した(比較例1)。
5℃で保存した後の豚の角煮の外観を観察し、油脂の凝固の程度および調味液の濁りについて、4名の専門パネラーにより、下記の評価基準に従って評価した。
<油脂の凝固の程度>
凝固が認められない;6点
凝固がほとんど認められない;5点
やや凝固が認められる;4点
凝固が明確に認められる;3点
相当量の凝固が認められる;2点
顕著な凝固が認められる;1点
<調味液の濁り>
濁りが認められない;◎
濁りがほとんど認められない;○
やや濁りが認められる;△
濁りが明確に認められる;×
なお、上記各実施例2~5および比較例1の製造において用いた調味液のpHを、25℃にて電極法で測定した。
結果を図1に示した。
これに対し、実施例1の凝固抑制剤を食肉100gあたり2.0g、3.0gおよび4.0gそれぞれ添加した調味液に豚肉を浸漬して豚の角煮を製造した場合(実施例2、4、5)には、油脂の凝固はほとんど認められなかった(評価点=5点または6点)。
実施例1の凝固抑制剤の添加量を食肉100gあたり1.0gとした場合(実施例3)には、やや油脂の凝固が認められた(評価点=4点)が、比較例1にて製造された豚の角煮に比べて、油脂の凝固は明らかに抑制された。
なお、実施例1の凝固抑制剤の添加量を食肉100gあたり3.0gとした場合(実施例4)および4.0gとした場合(実施例5)には、調味液の濁りが認められた。
以上の結果から、本発明の実施例1の凝固抑制剤を添加した調味液に豚肉を浸漬処理することにより、豚の角煮を冷蔵保存した際の油脂の凝固が抑制されることが確認された。
表3に示す組成の各凝固抑制剤(実施例6~9、比較例2)をそれぞれ調製し、豚肉100gあたり、表2に示す調味料を40g含有する調味液200gに前記各凝固抑制剤をそれぞれ添加して、豚肉の処理用組成物を調製した。95℃の湯で1時間煮た豚肉100gを前記処理用組成物とともにレトルトパウチに真空包装充填した他は、上記実施例2~5および比較例1の場合と同様に豚肉の角煮を製造した。
5℃で保存した後の豚の角煮の外観を観察し、油脂の凝固の程度および調味液の濁りについて、上記実施例2~5および比較例1の場合と同様に評価した。また、各調味液のpHを25℃にて電極法で測定した。
結果を図2に示した。
これに対し、酢酸加工澱粉を含有する実施例6~9の凝固抑制剤をそれぞれ添加した調味液に豚肉を浸漬して製造した豚の角煮については、それぞれ油脂の凝固が抑制されることが認められた。
しかし、炭酸ナトリウムを含有しない実施例7の凝固抑制剤を添加した調味液(pH=5.05)に豚肉を浸漬して豚の角煮を製造した場合には、豚の角煮の表面にうっすらと油脂の凝固が認められた(評価点=4点)。また、乳酸カルシウムを含有しない実施例9の凝固抑制剤を添加した調味液(pH=7.98)に豚肉を浸漬して豚の角煮を製造した場合には、レトルトパウチ内に若干の油脂の凝固が認められた(評価点=4点)。
以上の結果から、酢酸加工米澱粉を含有しない凝固抑制剤を添加した調味液で食肉を処理しても、食肉加工品の油脂の凝固抑制効果が得られないこと、ならびに、酢酸加工米澱粉に加えて、炭酸ナトリウムおよび乳酸ナトリウムを含有する凝固抑制剤を添加した調味液で食肉を処理して製造された食肉加工品では、油脂の凝固が良好に抑制されることが確認された。
上記実施例6の油脂の凝固抑制剤において、酢酸加工米澱粉(平均粒子径=5μm)を、表4に示す澱粉に代えて、実施例10~14および比較例4の各凝固抑制剤とした。表4に示す各澱粉の平均粒子径は、上記した通り、動的光散乱測定装置「ゼータサイザーナノZS」(マルバーン(Malvern)社)を使用して測定された。
なお、酢酸加工米澱粉を添加せずに同様に調製したものを比較例3の凝固抑制剤とした。
豚肉100gあたり、表2に示す調味料を40g含有する調味液200gに、上記実施例6、10~14および比較例3、4の各凝固抑制剤をそれぞれ添加して豚肉の処理用組成物を調製し、95℃の湯で1時間煮た豚肉100gを前記処理用組成物とともにレトルトパウチに真空包装充填した他は、上記実施例2~5および比較例1の場合と同様に豚肉の角煮を製造した。
5℃で保存した後の豚の角煮の外観を観察し、油脂の凝固の程度および調味液の濁りについて、上記実施例2~5および比較例1の場合と同様に評価し、結果を表5に示した。
これに対し、平均粒子径が5μmである酢酸加工米澱粉を含有する実施例6の凝固抑制剤を添加した調味液に豚肉を浸漬して製造した豚の角煮については、油脂の凝固は良好に抑制された(評価点=6点)。平均粒子径が5μmである未加工米澱粉およびリン酸架橋米澱粉をそれぞれ含有する実施例10および11の各凝固抑制剤を添加した調味液に豚肉を浸漬して製造した豚の角煮についても、油脂の凝固はほとんど抑制された(評価点=それぞれ6点および5点)。平均粒子径が20μmであるアセチル酢酸加工タピオカ澱粉および平均粒子径が10μmであるα化コーン澱粉をそれぞれ含有する実施例12および13の各凝固抑制剤を添加した調味液に豚肉を浸漬して製造した豚の角煮については、若干油脂の凝固が散見されたものの、澱粉を含有しない比較例3の油脂の凝固抑制剤を添加した調味液を用いた場合に比べて、油脂の凝固はかなり抑制された(それぞれ評価点=4点)。また、平均粒子径が10μmであるヒドロキシプロピルリン酸架橋ワキシーコーン澱粉を含有する実施例14の凝固抑制剤を添加した調味液に豚肉を浸漬して製造した豚の角煮についても、油脂の凝固はほとんど抑制された(評価点=5点)。
しかし、平均粒子径が30μm以上であるヒドロキシプロピルリン酸架橋馬鈴薯澱粉を含有する比較例4の油脂の凝固抑制剤を添加した調味液に豚肉を浸漬して製造した豚の角煮については、相当量の油脂の凝固が認められた(評価点=2点)。
表6に示す原材料を用いて、下記の通りポトフを製造した(実施例15、16、比較例5、6)。
表6中の野菜類、調味料、上記表1に示す実施例1の凝固抑制剤および水をレトルトパウチに充填し、肉類を加えて真空包装し、121℃で30分間加圧加熱滅菌した。次いで冷却してポトフを製造し、5℃にて冷蔵保存した。
上記の各実施例および比較例で製造したポトフについて、5℃で保存した後の外観を観察し、油脂の凝固の程度および調味液の濁りについて、上記実施例2~5および比較例1の場合と同様に評価し、結果を図3に示した。
これに対し、実施例1の凝固抑制剤を調味液に添加して製造した場合(実施例15、16)には、5℃で保存した後の油脂の凝固は良好に抑制され、ベーコン含有量が40重量%と高含有量であっても、5℃で保存した際の油脂の凝固はほとんど抑制された(実施例16、評価点=5点)。
従って、本発明により、低温で保存された際にも、油脂の凝固が良好に抑制された食肉加工品を提供することができる。
また、本発明により、食肉加工品の保存時における油脂の凝固を良好に抑制し得る、油脂の凝固抑制剤を提供することができる。
Claims (15)
- 平均粒子径が20μm以下である澱粉(ただし、コーン澱粉および加工コーン澱粉を除く)を含有する組成物により食肉を処理することを含む、冷蔵ないし冷凍されまたは冷蔵ないし冷凍状態で流通される食肉加工品の油脂の凝固の抑制方法。
- 平均粒子径が20μm以下である澱粉(ただし、コーン澱粉および加工コーン澱粉を除く)が、平均粒子径が20μm以下である酢酸加工米澱粉である、請求項1に記載の抑制方法。
- 組成物のpHが7以上である、請求項1または2に記載の抑制方法。
- 組成物がさらに炭酸ナトリウムまたは乳酸カルシウム、あるいは炭酸ナトリウムおよび乳酸カルシウムを含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の抑制方法。
- 食肉加工品がレトルトパウチ食品である、請求項1~4のいずれか1項に記載の抑制方法。
- 平均粒子径が20μm以下である澱粉(ただし、コーン澱粉および加工コーン澱粉を除く)を含有する組成物により食肉を処理する工程を含む、冷蔵ないし冷凍されまたは冷蔵ないし冷凍状態で流通される食肉加工品であって、油脂の凝固の抑制された食肉加工品の製造方法。
- 平均粒子径が20μm以下である澱粉(ただし、コーン澱粉および加工コーン澱粉を除く)が、平均粒子径が20μm以下である酢酸加工米澱粉である、請求項6に記載の製造方法。
- 組成物のpHが7以上である、請求項6または7に記載の製造方法。
- 組成物がさらに炭酸ナトリウムまたは乳酸カルシウム、あるいは炭酸ナトリウムおよび乳酸カルシウムを含有する、請求項6~8のいずれか1項に記載の製造方法。
- 食肉をレトルトパウチに充填して密封する工程をさらに含む、請求項6~9のいずれか1項に記載の製造方法。
- 平均粒子径が20μm以下である澱粉(ただし、コーン澱粉および加工コーン澱粉を除く)を含有する、冷蔵ないし冷凍されまたは冷蔵ないし冷凍状態で流通される食肉加工品の油脂の凝固抑制剤。
- 平均粒子径が20μm以下である澱粉(ただし、コーン澱粉および加工コーン澱粉を除く)が、平均粒子径が20μm以下である酢酸加工米澱粉である、請求項11に記載の凝固抑制剤。
- さらにpH調整剤を1種以上含有する、請求項11または12に記載の凝固抑制剤。
- さらに炭酸ナトリウムまたは乳酸カルシウム、あるいは炭酸ナトリウムおよび乳酸カルシウムを含有する、請求項11~13のいずれか1項に記載の凝固抑制剤。
- 食肉加工品がレトルトパウチ食品である、請求項11~14のいずれか1項に記載の凝固抑制剤。
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生物工学会誌,2017年,95(4),pp.220-224 |
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