JP6844104B2 - 煮物の煮汁の懸濁防止方法及び懸濁防止剤 - Google Patents

煮物の煮汁の懸濁防止方法及び懸濁防止剤 Download PDF

Info

Publication number
JP6844104B2
JP6844104B2 JP2015169253A JP2015169253A JP6844104B2 JP 6844104 B2 JP6844104 B2 JP 6844104B2 JP 2015169253 A JP2015169253 A JP 2015169253A JP 2015169253 A JP2015169253 A JP 2015169253A JP 6844104 B2 JP6844104 B2 JP 6844104B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
organic acid
dispersion
acid monoglyceride
simmered
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015169253A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017042128A (ja
Inventor
晃弘 小川
晃弘 小川
亮太 片平
亮太 片平
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Foods Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Foods Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Foods Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Foods Corp
Priority to JP2015169253A priority Critical patent/JP6844104B2/ja
Publication of JP2017042128A publication Critical patent/JP2017042128A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6844104B2 publication Critical patent/JP6844104B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Preparation Of Fruits And Vegetables (AREA)
  • General Preparation And Processing Of Foods (AREA)
  • Meat, Egg Or Seafood Products (AREA)

Description

本発明は煮物の製造方法に関し、詳しくは、保存後も、味や食感が良好であり、かつ煮汁の濁りなどが防止された外観も良好な煮物の製造方法に関する。本発明はまた、煮物の煮汁の懸濁防止方法及び煮物の煮汁の懸濁防止剤に関する。
予め調理された惣菜を手軽に自宅で利用できるものとして、野菜や肉などの具材を煮て製造された煮物惣菜が販売されている。このような惣菜は調理された後に、長期保存に適した状態に包装・殺菌されて提供される。これらの惣菜には、冷蔵、冷暗所又は常温で長期保存が可能という便利さに加え、保存後の味や触感などの品質自体の向上が求められている。
特許文献1には、野菜を煮て煮物を製造する際に、煮汁にアスコルビン酸ナトリウムと塩化カルシウムを添加することによって、長期保存後の色調変化や食感軟化等の品質劣化を防止した惣菜の製造法が開示されている。しかし、この方法では、一応の品質劣化防止効果は得られるが、更なる食感の改良が求められている。
また、昨今では、味だけではなく、保存後における煮汁の透明感など、食欲をそそるような外観の良好さも求められているが、特許文献1の方法では、煮汁の濁り防止については検討されていない。
特開平8−308523号公報
本発明は、保存後も、味や食感が良好であり、かつ煮汁の濁りなどが防止された外観も良好な煮物を提供することを課題とする。
本発明者が検討したところ、有機酸モノグリセリドを含有する分散液中で具材を煮ることにより、保存後も味や食感が良好でありながら、煮汁の透明感などの外観の良好さも得られることがわかり本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下を要旨とするものである。
[1] 具材を煮て煮物を製造する方法であって、該具材を有機酸モノグリセリドを含有する分散液中で煮ることを特徴とする、煮物の製造方法。
[2] 具材が、野菜、肉、及び魚介類から選ばれる少なくとも1つである、[1]に記載の煮物の製造方法。
[3] 前記分散液がさらにショ糖脂肪酸エステルまたはポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する、[1]または[2]に記載の煮物の製造方法。
[4] 前記分散液がさらに糖類を含有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の煮物の製造方法
[5] 具材を有機酸モノグリセリドを含有する分散液中で煮ることを特徴とする、煮物の煮汁の懸濁防止方法。
[6] 有機酸モノグリセリドを含有することを特徴とする、煮物の煮汁の懸濁防止剤。
本発明によれば、保存後も、味や食感が良好であり、かつ煮汁の濁りなどが防止された外観も良好な煮物を提供することができる。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定はされない。
本発明の煮物の製造方法は、具材を煮て煮物を製造する方法であって、該具材を有機酸モノグリセリドを含有する分散液中で煮ることを特徴とする。
本発明の煮物の煮汁の懸濁防止方法は、具材を有機酸モノグリセリドを含有する分散液中で煮ることを特徴とする。
本発明の煮物の煮汁の懸濁防止剤は、有機酸モノグリセリドを含有することを特徴とする。
1.具材
本発明により製造する煮物の具材としては、代表的には野菜、肉、魚介類が挙げられる。本発明では、具材として野菜、肉、及び魚介類から選ばれる少なくとも1つを使用することが好ましい。
<野菜>
野菜としては、特に制限はなく、以下のようなものが挙げられる。
果菜類:ナス、トマト、ピーマン、シシトウ、カボチャ、エンドウ、インゲン、ソラマメ、トウモロコシ、オクラ、キュウリ、ズッキーニなど
根菜類:ジャガイモ、ダイコン、カブ、ニンジン、サツマイモ、サトイモ、ゴボウ、ハスなど
葉菜類:キャベツ、ハクサイ、レタス、シュンギク、ホウレンソウ、コマツナ、チンゲンサイ、ミズナ、ニラなど
茎菜類:アスパラガス、タマネギ、ネギ、ニンニク、ショウガ、ウド、タケノコなど
花菜類:ブロッコリー、カリフラワー、ミョウガ、フキノトウなど
<肉>
肉としては、特に制限はなく、以下のようなものが挙げられる。
畜肉類:牛肉、豚肉、馬肉、羊肉など
鳥肉類:ニワトリ、アヒル、七面鳥、ホロホロ鳥、ウズラ、キジなどの肉
その他:鯨肉など
<魚介類>
魚類:アジ、イワシ、サンマ、サケ、マス、ブリ、タイ、カレイ、タラ、マグロなど
貝類:アサリ、ハマグリ、ホタテ、カキなど
その他:イカ、タコ、エビ、カニなど
本発明で用いる具材は、上記の野菜、肉、魚介類に限定されず、その他に、大豆、小豆等の豆類、シイタケ、シメジ等のきのこ類、鶏卵等の卵、海藻類、更には、豆腐、こんにゃく、油揚等の加工品や殻類及びその加工品などが含まれていてもよい。
これらの具材は、1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。通常、煮物は、上記の具材の2種以上を組み合わせて製造される場合が多い。
具材は必要に応じて、各々前処理が施される。
例えば、野菜は、必要に応じて、洗浄、皮剥き、面取り、その他不要部分の除去といった前処理が施される。
肉類は、必要に応じて、骨の除去、皮剥ぎ、下味付けといった前処理が施される。
魚介類は、必要に応じて、骨、エラの除去、皮剥ぎ、下味付けといった前処理が施される。
また、具材は、適用する煮物や具材の形に合わせて適当な大きさにカットする。この際、煮込み時に熱を均一に通すために大きさや切り方を揃えるようにする。
2.有機酸モノグリセリドを含有する分散液
本発明で使用する有機酸モノグリセリドを含有する分散液(以下、有機酸モノグリセリド含有分散液という場合がある)について説明する。
本発明に係る有機酸モノグリセリドは、グリセリン1分子に脂肪酸1分子と有機酸1分子が結合した構造を有し、一般的には、有機酸の酸無水物と脂肪酸モノグリセリドを反応させることにより得られる。反応は、通常、無溶媒条件下で行われ、例えば無水コハク酸と炭素数18のモノグリセリドの反応では、温度120℃前後において90分程度で反応が完了する。かくして得られた有機酸モノグリセリドは、通常、有機酸、未反応モノグリセリド、ジグリセリド、その他オリゴマーを含む混合物となっている。本発明においては、このような混合物をそのまま使用してもよく、有機酸モノグリセリドの純度を高めたい場合は、蒸留モノグリセリドとして市販されているものを使用してもよい。また、有機酸部分が一部中和されたものを使用してもよい。
有機酸モノグリセリドを構成する有機酸としては、例えば、コハク酸、クエン酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸、リンゴ酸、アジピン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、酢酸、乳酸などが挙げられる。これらの中では、食品用途に使用されるコハク酸、クエン酸、ジアセチル酒石酸が好ましく、特に風味の点からコハク酸が好ましい。
上記脂肪酸モノグリセリド由来の、有機酸モノグリセリドを構成する脂肪酸としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸などの炭素数8〜22の飽和または不飽和の脂肪酸が挙げられる。これらの中では風味の観点からステアリン酸を主成分とする脂肪酸が好ましく、特に構成脂肪酸の70重量%以上がステアリン酸であるものが好ましい。
有機酸モノグリセリドとしては1種のみを用いてもよく、これを構成する有機酸や脂肪酸が異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
上記の有機酸モノグリセリドと水との混合物は、これらの量比、温度変化により様々な相状態をとることが可能である。これらの相状態のうち、本発明ではラメラ構造体(ラメラ液晶構造体)を利用することが好ましい。
ラメラ構造体とは、有機酸モノグリセリドを水に分散させた際に有機酸モノグリセリド2分子が親水基部分を水側に向け、疎水基部分(脂肪酸)が互いに向き合い、これが2次元的に広がった構造のことである。
有機酸モノグリセリドは低濃度から高濃度領域の広い範囲でラメラ構造を形成し易いことが知られている。例えば、コハク酸ステアリン酸モノグリセリドは、ナトリウム塩の状態において、濃度が約35〜85重量%のような高濃度領域で且つ温度が50℃以上の条件でラメラ構造体を形成する。この場合、ラメラ構造体が何層にも重なった状態が認められ、水溶液の粘度も高くなる。濃度が85重量%よりも高い場合は固体状態となり、濃度が35重量%よりも低い場合は水溶液にラメラ構造体が分散して粘性が比較的小さい状態となる。作業性などを考慮すると、低濃度かつ高温領域でラメラ構造体を形成させることが好ましい。
ラメラ構造体は、有機酸モノグリセリドを水などの分散媒中に分散させ、物理的に撹拌し加熱することにより、分散液として調製することができる。この際の加熱温度は、分散液の温度で、通常45℃以上、好ましくは50℃以上、通常100℃以下、好ましくは80℃以下、更に好ましくは70℃以下である。上記の物理的分散には、例えば、気泡の混入を避けるため、アンカーミキサー等を使用してゆっくりと撹拌することが好ましい。
このようにして得られるラメラ構造体を製造するための分散液(以下、ラメラ構造体分散液という場合がある)中の有機酸モノグリセリドの含有量は、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、通常99.9重量%以下、好ましくは60重量%以下、より好ましくは30重量%以下、特に好ましくは10重量%以下である。
さらに、ラメラ構造体の安定性を高めるために、又は水中での分散性を向上させるために、ショ糖脂肪酸エステルやポリグリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤の1種又は2種以上を用いることができる。安定化されたラメラ構造体は、親水基部分の強い水和力により層間に多量の水を保持する。
乳化剤を用いる場合、具体的には、該乳化剤をエタノール、水、糖類の水溶液などの分散媒に分散させた分散液と、上記ラメラ構造体水分散液とを混合させてもよいし、直接、ラメラ構造体水分散液に該乳化剤を添加してもよい。
有機酸モノグリセリド含有分散液中の有機酸モノグリセリドの含有量は、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下である。有機酸モノグリセリドの含有量が過度に少ない場合は、本発明による煮汁の懸濁防止効果、味及び食感の改善効果が不十分となり、過度に多い場合は、有機酸モノグリセリドが水(分散媒)中に均一に分散しなくなる場合がある。
有機酸モノグリセリド含有分散液には、ショ糖脂肪酸エステルやポリグリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤の1種又は2種以上が含まれていてもよい。特に、有機酸モノグリセリドをラメラ構造体として使用する場合は、乳化剤を使用することで上記のとおりラメラ構造体の安定性を高めることができる。
有機酸モノグリセリド含有分散液に用いるショ糖脂肪酸エステルとしては、親水性が高く、水分散性に優れ、高温で高粘性の水分散液の状態となるものが好ましい。このようなショ糖脂肪酸エステルとして具体的には、構成脂肪酸として、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸などの炭素数14〜22の飽和または不飽和の脂肪酸を有するショ糖脂肪酸エステルが挙げられる。これらの中では、炭素数14〜18の飽和脂肪酸を有するものが、風味や酸化安定性の観点から好ましい。また、構成脂肪酸の70重量%以上がステアリン酸である脂肪酸を有するものが、風味の点から更に好ましい。また、親水性の点では、HLB値が通常5以上、好ましくは8以上、通常18以下、好ましくは15以下のショ糖脂肪酸エステルが好ましい。
有機酸モノグリセリド含有分散液に用いるポリグリセリン脂肪酸エステルも、ショ糖脂肪酸エステルと同様に、親水性が高く、水分散性に優れ、高温で高粘性の水分散液の状態となるものが好ましい。斯かるポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ポリグリセリンの平均重合度が通常2〜20、特に3〜10のものが好ましい。また、ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸が前記ショ糖脂肪酸エステルと同様に炭素数14〜22の飽和または不飽和の脂肪酸を有するポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。また、構成脂肪酸の70重量%以上がステアリン酸であるポリグリセリン脂肪酸エステルが風味の点から更に好ましい。また、親水性の点では、HLB値が通常5以上、好ましくは9以上、通常18以下、好ましくは16以下のポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。
ショ糖脂肪酸エステルやポリグリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤を用いる場合、有機酸モノグリセリド含有分散液中の乳化剤の含有量は、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上、更に好ましくは3重量%以上、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。乳化剤の含有量がこの範囲にあることにより、有機酸モノグリセリドのラメラ構造体の水分散性がより向上する。
また、有機酸モノグリセリド含有分散液中において、有機酸モノグリセリドに対する乳化剤の含有量(重量比)は、通常500:1〜1:500、好ましくは100:1〜1:100、さらに好ましくは3:1〜1:3の範囲である。有機酸モノグリセリドに対する乳化剤の含有量(重量比)は、1:1であることがより好ましいが、さらには乳化剤よりも有機酸モノグリセリドが多い方が好ましく、乳化剤に対して有機酸モノグリセリドを1.5倍以上含有することが好ましく、2倍以上含有することがより好ましい。
本発明で用いる有機酸モノグリセリド含有分散液は、糖類の1種又は2種以上を含んでいてもよく、糖類を含むことにより、ラメラ構造体の分散安定性が良好となる。
糖類としては、特に制限されず、砂糖、ブドウ糖、異性化糖、マルトース、トレハロース、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、エリスリトール等の糖および糖アルコール;各種オリゴ糖;それらの混合物を使用することができる。これらの中ではオリゴ糖が好ましい。
上記のオリゴ糖としては、マルトオリゴ糖(好ましくは重合度3〜7)、ニゲロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、パノースオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、乳果オリゴ糖、それらのシラップ等が挙げられる。上記の糖類は、目的に応じ、適宜選択して使用され、冷凍耐性を向上させる場合にはオリゴ糖や糖アルコールが好ましく、該オリゴ糖の中ではマルトオリゴ糖が好ましい。
糖類は、糖類の水溶液として使用することが好ましく、例えばシラップの場合はそのまま使用することもできる。
また、上記乳化剤と糖類を用いる場合は、前述の乳化剤の分散液と糖類の水溶液を混合した後、ラメラ構造体水分散液などの有機酸モノグリセリドが分散した水分散液と混合してもよいし、乳化剤の分散液に糖類を添加または糖類の水溶液に乳化剤を添加した後に、これらの分散液または水溶液とラメラ構造体水分散液などの有機酸モノグリセリドが分散した水分散液とを混合してもよい。
ラメラ構造体水分散液などの有機酸モノグリセリドが分散した水分散液と、乳化剤の分散液、糖類の水溶液またはこれらの混合物とを混合する場合は、乳化剤の分散液、糖類の水溶液またはこれらの混合物を通常45℃以上、好ましくは50℃以上、通常100℃以下、好ましくは80℃以下、更に好ましくは70℃以下に加熱して用いてもよい。
糖類を用いる場合、有機酸モノグリセリド含有分散液中の糖類の含有量は、通常35重量%以上、好ましくは40重量%以上、通常85重量%以下、好ましくは60重量%以下である。糖類の含有量が上記下限以上であることにより、よりラメラ構造体の分散安定性が向上し、上記上限以下であることにより、糖の種類によって結晶が析出したり、粘度が高くなるなどの問題点が生じ難くなる。
また、有機酸モノグリセリド含有分散液中において、有機酸モノグリセリドに対する糖類の含有量は、有機酸モノグリセリド:糖類(重量比)=10:7〜1:850の範囲であることが好ましく、より好ましくは1:4〜1:20の範囲である。
本発明の効果を損なわない範囲において、有機酸モノグリセリド含有分散液には、前記以外の他の乳化剤、甘味料、香料、ビタミン、抗酸化剤、アルコールなどの公知の配合剤の1種又は2種以上が含まれていてもよい。その他の乳化剤としては、レシチン、リゾレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
有機酸モノグリセリド含有分散液中の水(分散媒)の含有量は、通常30重量%以上、好ましくは35重量%以上、より好ましくは40重量%以上、通常80重量%以下、好ましくは60重量%以下である。水の含有量が少な過ぎると、水分散液の粘度増大により作業性が悪くなり、多過ぎると、相対的にラメラ構造体の量が少なくなるため、本発明による煮汁の懸濁防止効果、味及び食感の改善効果が不十分となる場合がある。
ラメラ構造体が形成されているか否かの確認は例えば偏光顕微鏡による観察によって容易に行うことができる。ラメラ構造体が存在する場合は偏光十字が見られる。更に、ラメラ構造体の微細構造は、電子顕微鏡観察により観察することができる。例えば試料を液体窒素で凍結させ、高真空条件下で割断し、割断表面に金属を蒸着させることにより試料のレプリカを作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)により観察する。これにより層状のラメラ構造体を観察することができる。
下記詳述するとおり、本発明では、有機酸モノグリセリド含有分散液中で具材を煮ることにより、保存後の味や食感が良好であるだけでなく、煮物の煮汁の濁りを防止して透明感などの外観に優れた煮物が得られる。そのため、有機酸モノグリセリド含有分散液は、煮物の煮汁の懸濁防止剤として使用することができる。
3.具材への適用
本発明では、有機酸モノグリセリド含有分散液中で、具材を煮る。
具材を煮るための煮汁には、通常、水と有機酸モノグリセリド含有分散液の他、醤油、砂糖、出汁、みりん、酒等、煮物に必要な調味料が含まれる。
煮汁中の有機酸モノグリセリド含有分散液の含有量は、通常0.001重量%以上、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、通常5重量%以下、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。この範囲であることにより、保存用惣菜として、良好な煮汁の懸濁防止効果と、良好な食感及び風味を得ることができる。
また、煮汁中の有機酸モノグリセリド自体の含有量は、通常0.00001重量%以上、好ましくは0.0001重量%以上、より好ましくは0.002重量%以上、通常1重量%以下、好ましくは0.2重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下である。この範囲であることにより、保存用惣菜として、良好な煮汁の懸濁防止効果、良好な食感及び風味を得ることができる。
煮汁の温度は通常70℃以上煮汁の沸騰温度以下であり、沸騰温度に近い温度の方が好ましい。
煮沸時間は、具材及び煮物の種類や用途によって適宜調整される。また、圧力鍋等を用いて加圧下に加熱することで煮沸時間を短縮することもできる。
4.煮物の包装
具材を、有機酸モノグリセリド含有分散液を含む煮汁で煮ることにより得られた煮物は、常法に従って、包装される。その際、必要に応じて殺菌処理が施される。
例えば、煮物は、粗熱をとった後、レトルト袋に入れて密封し、105〜115℃で10〜30分程度セミレトルト殺菌される。
このようにして包装、殺菌された煮物は、冷蔵保存、冷暗所保存、或いは常温保存用の惣菜として提供される。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において「%」及び「部」は何れも重量基準を意味する。
(実施例1)
HLB11のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ社製「リョートー(登録商標)シュガーエステルS−1170」)3.5部を室温で、糖類の水溶液としてマルトオリゴ糖水溶液(三和澱粉工業社製「オリゴトース」、マルトオリゴ糖固形分72重量%)60部と水8部の混合液68部に分散し、撹拌しながら加温して75℃まで昇温した(以下「オリゴ糖液」と呼ぶ)。
一方、コハク酸モノグリセリド(理研ビタミン社製「ポエムB−30」、脂肪酸としてステアリン酸を用いたもの)3.5部を脱塩水25部に分散し、60℃まで昇温しながら撹拌し、ラメラ構造体の水分散液を得た。
前記のオリゴ糖液を55℃まで冷却し、上記のコハク酸モノグリセリドのラメラ構造体の水分散液を加えて20分間撹拌した。次いで、45℃まで冷却することにより、ラメラ構造体の水分散液を調製した(以下「組成物A」と呼ぶ)。なお、組成物Aのコハク酸モノグリセリドのラメラ構造体の確認は偏光顕微鏡による観察によって行った。偏光顕微鏡の写真中に偏光十字が観察され、組成物Aがラメラ構造体を有していることがわかった。
この組成物Aは、ショ糖ステアリン酸エステルを3.5重量%、マルトオリゴ糖を43重量%、コハク酸モノグリセリドのラメラ構造体を3.5重量%含むものである。
表1の配合で、以下の方法により筑前煮を製造した。
具材をサラダ油で1分間炒めた後に組成物Aと調味料をすべて入れ、弱火で10分間煮た。得られた筑前煮の粗熱をとりレトルト袋に入れ密封して110〜115℃で15分間レトルト殺菌を実施した。放冷後、冷蔵庫で保存し、冷蔵前と冷蔵庫で2日間冷蔵保存した筑前煮について、食感および風味等の評価を実施した。評価結果を表2に示す。
Figure 0006844104
(比較例1)
組成物Aを用いない以外は、実施例1と同様な方法で筑前煮を製造し、食感および風味等の評価を実施した。評価結果を表2に示す。
Figure 0006844104
表2から明らかなように、組成物Aを用いて製造された筑前煮は、保存後も懸濁による褐変が抑制され、液に透明感があり、食感がソフトになり、素材の風味が出て美味しいことが認められた。

Claims (2)

  1. 具材を有機酸モノグリセリド及びショ糖脂肪酸エステルを含有する分散液(ただしニゲロオリゴ糖を含有するものを除く)中で煮ることを特徴とする、煮物の煮汁の懸濁防止方法。
  2. 有機酸モノグリセリド及びショ糖脂肪酸エステルを含有する(ただしニゲロオリゴ糖を含有するものを除く)ことを特徴とする、煮物の煮汁の懸濁防止剤。
JP2015169253A 2015-08-28 2015-08-28 煮物の煮汁の懸濁防止方法及び懸濁防止剤 Active JP6844104B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015169253A JP6844104B2 (ja) 2015-08-28 2015-08-28 煮物の煮汁の懸濁防止方法及び懸濁防止剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015169253A JP6844104B2 (ja) 2015-08-28 2015-08-28 煮物の煮汁の懸濁防止方法及び懸濁防止剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017042128A JP2017042128A (ja) 2017-03-02
JP6844104B2 true JP6844104B2 (ja) 2021-03-17

Family

ID=58208971

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015169253A Active JP6844104B2 (ja) 2015-08-28 2015-08-28 煮物の煮汁の懸濁防止方法及び懸濁防止剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6844104B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020058317A (ja) * 2018-10-12 2020-04-16 三菱ケミカルフーズ株式会社 冷凍おでんおよびその製造方法
JP7388012B2 (ja) * 2019-06-26 2023-11-29 三菱ケミカル株式会社 魚介類加工品の製造方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4027481B2 (ja) * 1997-12-24 2007-12-26 キリンホールディングス株式会社 食品の煮崩れ防止剤並びにその用途
JPH11164669A (ja) * 1997-12-04 1999-06-22 Kao Corp 魚介類用の改質剤
JP3506063B2 (ja) * 1999-09-09 2004-03-15 不二製油株式会社 煮物用油脂組成物
JP2004097181A (ja) * 2002-09-09 2004-04-02 Kirene:Kk 煮崩れの少ない小麦粉加工品
WO2009139423A1 (ja) * 2008-05-16 2009-11-19 三菱化学株式会社 食品用品質改良剤および食品
JP5528779B2 (ja) * 2009-11-20 2014-06-25 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 消泡剤

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017042128A (ja) 2017-03-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6392189B2 (ja) 粉末状フィチン酸組成物の製造法
JP7228728B1 (ja) 酸性水中油型乳化食品、容器詰め食品およびその製造方法
JP4680212B2 (ja) 卵黄含有食品用原料及びその製造方法
JP6844104B2 (ja) 煮物の煮汁の懸濁防止方法及び懸濁防止剤
JP6672642B2 (ja) 冷凍フリッターの製造方法
JP4141354B2 (ja) 液状の食品保存剤
JP2010220608A (ja) 風味を向上させた食肉及び食肉風味向上剤
JP7388012B2 (ja) 魚介類加工品の製造方法
JP2002000222A (ja) 油性ハーブペースト及びその製造方法
JP2017042129A (ja) 冷凍卵焼きの製造方法及び卵焼きの冷凍保存方法
JP5948887B2 (ja) 冷凍小籠包の製造方法および小籠包の冷凍保存方法
JP2020141622A (ja) 肉類用下味冷凍ソース及び下味冷凍食品
JP2004065186A (ja) 粉末状乳化剤組成物及びこれを含有する食品用日持ち向上剤並びに食品
JP2021003046A (ja) 酸性水中油型乳化食品及び惣菜
JP2017042160A (ja) 冷凍野菜の製造方法
JPH0223855A (ja) 食品の保存法
JP2020058317A (ja) 冷凍おでんおよびその製造方法
JPH11164675A (ja) 食品用保存剤および食品の保存方法
JP2021003044A (ja) 冷凍豚肉食品の製造方法
JP2017195846A (ja) 冷凍豆腐の製造方法
JP7225575B2 (ja) 食肉加工品における油脂の凝固の抑制方法、油脂の凝固の抑制された食肉加工品の製造方法、および食肉加工品の油脂の凝固抑制剤
JP7375251B1 (ja) W1/o/w2型乳化調味料
JP2008154551A (ja) パスタソース
JP2023083444A (ja) 冷凍鶏唐揚げの製造方法
JP2021003047A (ja) ソーセージ及び冷凍ソーセージ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180727

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190423

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190426

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20190619

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190628

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191119

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20200120

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200630

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200826

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210126

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210208

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6844104

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250