JP7388012B2 - 魚介類加工品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、魚介類加工品の製造方法に係り、詳しくは、魚介類を調味組成物に漬け込み、加熱処理した魚介類加工品における風味と食感、食味を向上させる魚介類加工品の製造方法に関する。
予め味付けされた魚介類を手軽に自宅で調理できるものとして、冷蔵または冷凍された西京漬けの魚の切り身や煮魚が販売されている。このような魚介類加工品は、魚介類を調味液や調味ペーストに漬けた状態で、長期保存できるように包装・殺菌されて提供される。これらの魚介類加工品には、冷蔵、冷暗所又は常温で長期保存が可能という便利さに加え、保存後の味や食感などの品質自体の向上が求められている。
特許文献1には、煮物を製造する際に、有機酸モノグリセリドを含有する分散液中で煮ることによって、保存後も味や食感が良好でありながら、煮汁の透明感などの外観の良好さも得られる煮物の製造法が開示されている。しかし、特許文献1では、魚介類を調味組成物に漬け込み、加熱処理した魚介類加工品の風味や食感、更にはこのような魚介類加工品を冷凍した後、解凍した場合の風味や食感、食味については検討されていない。
特開2017-42128号公報
本発明は、魚介類を調味組成物に漬け込み、加熱処理した魚介類加工品における風味と食感、食味を向上させる魚介類加工品の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、有機酸モノグリセリドと有機酸モノグリセリドとは異なる乳化剤とを含む調味組成物を用いることで、魚介類を調味組成物に漬け込み、加熱処理した魚介類加工品における風味と食感、食味を向上させることができることを見出した。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
[1] 魚介類を、有機酸モノグリセリド及び有機酸モノグリセリドとは異なる乳化剤を含有する調味組成物に漬け込む工程と、漬け込み処理した魚介類を加熱する工程とを含む、魚介類加工品の製造方法。
[2] 前記調味組成物が有機酸モノグリセリドを0.0001~5重量%含有する、[1]に記載の魚介類加工品の製造方法。
[3] 前記調味組成物が有機酸モノグリセリドとは異なる乳化剤を0.0001~5重量%含有する、[1]または[2]に記載の魚介類加工品の製造方法。
[4] 前記調味組成物が、オリゴ糖を含有する、[1]ないし[3]のいずれかに記載の魚介類加工品の製造方法。
[5] 前記有機酸モノグリセリドとは異なる乳化剤が、ショ糖脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1つである、[1]ないし[4]のいずれかに記載の魚介類加工品の製造方法。
[6] 前記魚介類加工品が、味噌漬け、みりん漬け、醤油漬け、塩麹漬け、粕漬け、梅煮、生姜煮、照り煮、みぞれ煮、醤油煮、又は味噌煮である、[1]ないし[5]のいずれかに記載の魚介類加工品の製造方法。
[7] 前記魚介類を、有機酸モノグリセリド及び有機酸モノグリセリドとは異なる乳化剤を含有する調味組成物に漬け込む工程と漬け込み処理した魚介類を加熱する工程との間、或いは漬け込み処理した魚介類を加熱する工程の後に、該工程を経た魚介類を冷凍することで冷凍魚介類加工品とする工程を含む、[1]ないし[6]のいずれかに記載の魚介類加工品の製造方法。
本発明によれば、魚介類を調味組成物に漬け込み、加熱処理した魚介類加工品における風味と食感を向上させて、食味、食感に優れた魚介類加工品を提供することができる。
また、本発明によれば、このような魚介類加工品を冷凍保存後に解凍して食に供する場合においても、食味、食感に優れたものとすることができる。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定はされない。
[メカニズム]
本発明によれば、有機酸モノグリセリドと有機酸モノグリセリドとは異なる乳化剤とを併用することで、魚介類加工品、更には冷凍魚介類加工品の解凍後の、食感や味を向上させることができる。
このような効果が奏されるメカニズムの詳細は明らかではないが、有機酸モノグリセリド及び有機酸モノグリセリドとは異なる乳化剤が水中で形成するラメラ構造体が、調味組成物を魚介類に染み込ませる際に、魚介類に均一に浸透し、強い保水作用で魚介類中の水分を保持し、冷凍時には氷結晶を小さくすることができることによるものと推定される。
[魚介類加工品]
本発明に係る魚介類加工品の魚介類の種類としては、特に限定されないが、鮭、鱈、鮪、鱒、ムツ、鯛、鰆、鰤、鰈、鰹、鯵、鰯、秋刀魚等の魚肉、ハマグリ、ホタテ等の貝類、イカ、タコ、エビ等、海や川、湖に生息する生物などが挙げられる。
なお、本発明において、魚介類とは、魚卵や内臓、ヒレ等、魚介類の可食部すべてを含むものである。
このような魚介類を用いて本発明により製造される魚介類加工品の種類には特に制限はなく、例えば、味噌漬け、みりん漬け、醤油漬け、塩麹漬け、粕漬け、梅煮、生姜煮、照り煮、みぞれ煮、醤油煮、味噌煮などが挙げられる。
[調味組成物]
本発明において、魚介類を加熱処理する前段階で漬け込む調味組成物(以下、「本発明の調味組成物」と称す場合がある。)は、有機酸モノグリセリドと、有機酸モノグリセリドとは異なる乳化剤とを含有し、好ましくは更に糖類を含有すること以外は、当該魚介類加工品の種類に応じて、従来の一般的に用いられている調味組成物と同様の配合成分を用いて調製することができる。
<有機酸モノグリセリド>
有機酸モノグリセリドは、グリセリン1分子に脂肪酸1分子と有機酸1分子が結合した構造を有し、一般的には、有機酸の酸無水物と脂肪酸モノグリセリドを反応させることにより得られる。反応は、通常、無溶媒条件下で行われ、例えば無水コハク酸と炭素数18のモノグリセリドの反応では、温度120℃前後において90分程度で反応が完了する。かくして得られた有機酸モノグリセリドは、通常、有機酸、未反応モノグリセリド、ジグリセリド、その他オリゴマーを含む混合物となっている。本発明においては、このような混合物をそのまま使用してもよく、有機酸モノグリセリドの純度を高めたい場合は、蒸留モノグリセリドとして市販されているものを使用してもよい。また、有機酸部分が一部中和されたものを使用してもよい。
有機酸モノグリセリドを構成する有機酸としては、例えば、コハク酸、クエン酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸、リンゴ酸、アジピン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、酢酸、乳酸などが挙げられる。これらの中では、食品用途に使用されるコハク酸、クエン酸、ジアセチル酒石酸が好ましく、特に風味の点からコハク酸が好ましい。
上記脂肪酸モノグリセリド由来の、有機酸モノグリセリドを構成する脂肪酸としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸などの炭素数8~22の飽和または不飽和の脂肪酸が挙げられる。これらの中では風味の観点からステアリン酸を主成分とする脂肪酸が好ましく、特に構成脂肪酸の70重量%以上がステアリン酸であるものが好ましい。
有機酸モノグリセリドとしては1種のみを用いてもよく、これを構成する有機酸や脂肪酸が異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
本発明の調味組成物は、有機酸モノグリセリドを0.0001~5重量%の割合で含有することが好ましい。有機酸モノグリセリドの含有量が上記下限以上であると、有機酸モノグリセリドを含むことによる本発明の効果を有効に得ることができる。有機酸モノグリセリドの含有量が上記上限以下であれば、風味に大きな影響を与えず、有機酸モノグリセリドを含むことによる本発明の効果を得ることができる。本発明の調味組成物中の有機酸モノグリセリドの含有量は0.001~3重量%であることがより好ましく、0.01~1重量%であることが更に好ましい。
なお、有機酸モノグリセリドは、後述の通り、水分散液として用いることで、有機酸モノグリセリドのラメラ構造体として魚介類加工品に含有される。
<有機酸モノグリセリドとは異なる乳化剤>
有機酸モノグリセリドとは異なる乳化剤(以下、「その他の乳化剤」と称す場合がある。)としては特に制限されないが、ショ糖脂肪酸エステルやポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。
ショ糖脂肪酸エステルとしては、親水性が高く(HLB値が通常5~18、好ましくは8~15である。)、水分散性に優れ、高温で高粘性の水分散液の状態となるものが好ましい。構成脂肪酸として、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸などの炭素数14~22の飽和または不飽和の脂肪酸が挙げられる。これらの中では、炭素数14~18の飽和脂肪酸が好ましい。また、構成脂肪酸の70重量%以上がステアリン酸である脂肪酸が更に好ましい。
ショ糖脂肪酸エステルは、それ自体既知の食品用乳化剤であり、市販されているものを使用できる。ショ糖脂肪酸エステルの市販品としては、例えば、「リョートーシュガーエステルS-1670」、「リョートーシュガーエステルP-1670」、「リョートーシュガーエステルM-1695」、「リョートーシュガーエステルO-1570」、「リョートーシュガーエステルS-1170」、「リョートーシュガーエステルS-570」、「リョートーシュガーエステルS-370」、「リョートーシュガーエステルB-370」、「リョートーシュガーエステルS-170」、「リョートーシュガーエステルER-190」、「リョートーシュガーエステルPOS-135」(以上、三菱ケミカルフーズ社製、商品名);「DKエステルF-160」、「DKエステルF-140」、「DKエステルF-110」、「DKエステルF-70」、「DKエステルF-50」(以上、第一工業製薬社製、商品名)等が挙げられる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルも、ショ糖脂肪酸エステルと同様に、親水性が高く(HLB値が通常5~18、好ましくは9~16である。)、水分散性に優れ、高温で高粘性の水分散液の状態となるものが好ましい。斯かるポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、特に限定されないが、ポリグリセリンの平均重合度は通常2~20、好ましくは3~10であるものが挙げられる。また、構成脂肪酸は、通常、炭素数14~22の飽和または不飽和の脂肪酸であり、構成脂肪酸の70重量%以上がステアリン酸であるポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。なお、ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、グリセリンの重合度の揃ったものを用いることも出来、重合度が2のものはジグリセリン脂肪酸エステル、重合度が3のものはトリグリセリン脂肪酸エステルと呼ばれ、これらも本発明におけるポリグリセリン脂肪酸エステルに包含される。
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、それ自体既知の食品用乳化剤であり、市販されているものを使用できる。ポリグリセリン脂肪酸エステルの市販品としては、例えば、「リョートーポリグリエステルS-10D」、「リョートーポリグリエステルM-10D」、「リョートーポリグリエステルS-24D」、「リョートーポリグリエステルS-28D」、「リョートーポリグリエステルO-50D」、「リョートーポリグリエステルB-100D」(以上、三菱ケミカルフーズ社製、商品名);「SYグリスターMSW-7S」、「SYグリスターMS-5S」、「SYグリスターMS-3S」、「SYグリスターTS-3S」、「SYグリスターMO-5S」、「SYグリスタML-750」、「SYグリスターHB-750」、「SYグリスターCR-500」(以上、阪本薬品工業社製、商品名);「サンソフトQ-18S」、「サンソフトQ-14S」、「サンソフトQ-12S」、「サンソフトA-141E」、「サンソフトA-17E」(以上、太陽化学社製、商品名)、「ポエムDP-95RF」、「ポエムTRP-97RF」(以上、理研ビタミン社製、商品名)等が挙げられる。
上記のショ糖脂肪酸エステルおよびポリグリセリン脂肪酸エステルは1種を単独で用いてもよく、ショ糖脂肪酸エステルの1種または2種以上と、ポリグリセリン脂肪酸エステルの1種または2種以上を併用してもよい。
なお、その他の乳化剤としては、上記のショ糖脂肪酸エステルおよびポリグリセリン脂肪酸エステルのほか、例えば、レシチン、リゾレシチン、モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等を用いることもできるが、ショ糖脂肪酸エステルおよび/又はポリグリセリン脂肪酸エステルを用いることが好ましく、その他の乳化剤のうちの少なくとも30重量%以上は、ショ糖脂肪酸エステルおよび/又はポリグリセリン脂肪酸エステルであることが好ましい。
本発明の調味組成物中のショ糖脂肪酸エステルやポリグリセリン脂肪酸エステル等のその他の乳化剤の含有量は、0.0001~5重量%であることが好ましい。その他の乳化剤の含有量が上記範囲内であると、本発明の製造に用いられる後述の分散液における有機酸モノグリセリドのラメラ構造体の水分散性、安定性を高め、本発明による効果を有効に発揮させることができる。
本発明の調味組成物中のその他の乳化剤の含有量は0.001~3重量%であることがより好ましく、0.01~1重量%であることが更に好ましい。
また、有機酸モノグリセリドとその他の乳化剤とを併用することによる本発明の効果をより一層有効に得る上で、本発明の調味組成物中の有機酸モノグリセリドとその他の乳化剤との含有量比は、有機酸モノグリセリド:その他の乳化剤(重量比)=500:1~1:500、特に100:1~1:100、とりわけ3:1~1:3の範囲であることが好ましい。有機酸モノグリセリドとその他の乳化剤の含有量(重量比)は、1:1であることがより好ましい。
また、本発明の調味組成物中の有機酸モノグリセリドとその他の乳化剤の合計の含有量は0.0002~10重量%であることが好ましく、0.002~5重量%であることがより好ましく、0.01~1重量%であることがさらに好ましい。
<糖類>
本発明の調味組成物は、糖類の1種又は2種以上を含んでいてもよく、糖類を含むことにより、後述の分散液における有機酸モノグリセリドのラメラ構造体の分散安定性が良好となる。
糖類としては、例えば上白糖、粉糖、液糖、砂糖、麦芽糖、乳糖、転化糖、異性化糖、ブドウ糖、果糖、水飴、トレハロース、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、エリスリトール、マンニトール、はちみつ等の糖および糖アルコール、各種オリゴ糖、それらの混合物を使用することができる。
これらの中ではオリゴ糖が好ましい。
オリゴ糖としては、マルトオリゴ糖(好ましくは重合度3~7)、ニゲロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、パノースオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、乳果オリゴ糖、それらのシラップ等が挙げられる。
本発明の調味組成物が糖類、特にオリゴ糖を含む場合、調味組成物中の糖類の含有量は、0.01~30重量%、特に0.05~20重量%、とりわけ0.1~10重量%で、有機酸モノグリセリドに対する糖類の含有量は、有機酸モノグリセリド:糖類(重量比)=10:7~1:850の範囲であることが好ましく、1:4~1:20の範囲であることが好ましい。糖類の含有量が上記下限以上であることにより、後述の分散液における有機酸モノグリセリドのラメラ構造体の分散安定性が向上し、上記上限以下であることにより、糖の種類によって結晶が析出し、粘度が高くなるなどの問題点が生じ難くなる。
なお、糖類は、後述の有機酸モノグリセリド含有水分散液に含有させることで魚介類加工品に含有させる他、この有機酸モノグリセリド含有水分散液中の糖類とは別に、調味組成物調製時に更に添加混合することができる。有機酸モノグリセリド含有水分散液中の糖類とは別に調味組成物に添加混合する糖類の添加量は、当該魚介類加工品の種類に応じて適宜決定される。
<その他の成分>
本発明の調味組成物は、有機酸モノグリセリド、その他の乳化剤および必要に応じて配合される糖類の他、通常、魚介類加工品の種類に応じて、調味のための各種の成分を含有する。
その他の成分については特に制限はなく、魚介類加工品の種類に応じて適宜配合される。
その他の成分としては、調味料、塩類などを含有することが好ましい。本発明の調味組成物は、以下のような成分を含有するペースト状のものであってもよく、液状のものであってもよい。液状の調味組成物は更に水を含むものであってもよい。
調味料としては、食塩(塩類を兼ねる。)、砂糖(糖類を兼ねる。)、コショウ、味噌(白味噌、赤味噌、西京味噌等)、醤油、みりん、酒、粕、麹、だし(かつおだし、昆布だし)、化学調味料などが挙げられる。また、魚介類加工品の種類に応じて、梅肉や、おろし生姜、大根おろしなどが用いられる。
塩類としては、食塩、重曹、重炭酸アンモニウムなどの1種または2種以上が挙げられる。
また、pH調整剤を用いる場合もあり、pH調整剤とは、食品に利用可能なpH調整剤であればよく、適宜選択することができるが、水溶解性や味などの観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩;リン酸水素2ナトリウム、リン酸2水素ナトリウム等のリン酸塩類;クエン酸3ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、コハク酸2ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、フマル酸1ナトリウム等の上記以外の有機酸塩等が好ましいものとして挙げられる。
これらのうち、より好ましくは、リン酸塩類、有機酸塩であり、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、クエン酸3ナトリウム、コハク酸ナトリウム、乳酸ナトリウムなどが挙げられる。
調味組成物に卵を用いる場合、卵は、特に限定はしないが、全卵、生卵黄、生卵白、凍結卵黄、凍結卵白等が挙げられる。
油脂類を配合する場合、用いる油脂類としては、特に限定されないが、例えば、ナタネ油、ナタネ硬化油、コメ油、大豆油、コーン油、サフラワー油、ヒマワリ油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、ヤシ硬化油等の植物油;バターオイル、牛脂、豚脂、鶏脂、魚油等の動物油;それらの水素添加油、それらの1種以上の混合物によるエステル交換油;これら油脂類を用いて製造されるマーガリンやショートニング等が挙げられる。
調味組成物には必要に応じて、さらに全脂粉乳、脱脂粉乳などの乳製品や甘味料、香料、ビタミン、抗酸化剤、着色剤、食品繊維、増粘剤、膨張剤などの公知の配合剤を加えてもよい。
任意の配合成分としては、例えば、ゲル形成物質(例えば、グルコマンナン、ガラクトマンナン、寒天、ゼラチン、ペクチン、カラギーナン、カードラン、キサンタンガム、ジェランガム、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸類、ポリグルタミン酸類等)、澱粉(例えば、コーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉、ハイアミロースコーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、さご澱粉、馬鈴薯澱粉、葛澱粉、甘藷澱粉等の天然澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、架橋澱粉、過ヨウ素酸酸化澱粉、ヒドロキシプロピル化澱粉等の化工澱粉、粒状化澱粉、アルファ化澱粉、湿熱処理澱粉などの加工澱粉等)、有機酸(例えば、フマル酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸、リンゴ酸、アジピン酸、グルタル酸、マレイン酸、グルコン酸等)、リポ蛋白(例えば、乳性蛋白とレシチンと水の混合物、卵黄蛋白とレシチンと水の混合物、大豆蛋白とレシチンと水の混合物、トウモロコシ蛋白とリン脂質と水の混合物等)、甘味料、香料(例えば、オレンジフラワーウオーター、バターフレーバー、ミルクフレーバー、バニラフレーバー等)、ビタミン、抗酸化剤などが挙げられる。
調味組成物にはまた、魚介類加工品の種類に応じて、きざみ生姜や、きざみ葱、昆布などが添加される。
[魚介類加工品の製造方法]
本発明の魚介類加工品の製造方法は、魚介類を、有機酸モノグリセリド及びその他の乳化剤を含有する本発明の調味組成物に漬け込む工程と、漬け込み処理した魚介類を加熱する工程とを含む。ここで、魚介類を本発明の調味組成物に漬け込む工程の前に、45~100℃で水に有機酸モノグリセリドおよびその他の乳化剤を分散させる分散液の調製工程を含むことが好ましい。
有機酸モノグリセリドとその他の乳化剤を45~100℃で水に分散させると、水分散液中に有機酸モノグリセリドのラメラ構造体(ラメラ液晶構造体)が形成される。
ラメラ構造体とは、有機酸モノグリセリドを水に分散させた際に有機酸モノグリセリド2分子が親水基部分を水側に向け、疎水基部分(脂肪酸)が互いに向き合い、これが2次元的に広がった構造のことである。
有機酸モノグリセリドは低濃度から高濃度領域の広い範囲でラメラ構造を形成し易いことが知られている。例えば、コハク酸ステアリン酸モノグリセリドは、ナトリウム塩の状態において、濃度が約35~85重量%のような高濃度領域で且つ温度が50℃以上の条件でラメラ構造体を形成する。この場合、ラメラ構造体が何層にも重なった状態が認められ、水溶液の粘度も高くなる。濃度が85重量%よりも高い場合は固体状態となり、濃度が35重量%よりも低い場合は水溶液にラメラ構造体が分散して粘性が比較的小さい状態となる。作業性などを考慮すると、低濃度かつ高温領域でラメラ構造体を形成させることが好ましい。
ラメラ構造体は、有機酸モノグリセリドを水などの分散媒中に分散させ、物理的に撹拌し加熱することにより、分散液として調製することができる。この際の加熱温度は、分散液の温度で、通常45℃以上、好ましくは50℃以上、通常100℃以下、好ましくは80℃以下、更に好ましくは70℃以下である。上記の物理的分散には、例えば、気泡の混入を避けるため、アンカーミキサー等を使用してゆっくりと撹拌することが好ましい。
このようにして得られるラメラ構造体を製造するための分散液(以下、ラメラ構造体分散液という場合がある)中の有機酸モノグリセリドの含有量は、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、通常99.9重量%以下、好ましくは60重量%以下、より好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下、特に好ましくは20重量%以下である。
上記の通り、有機酸モノグリセリドを水に分散させる際に、ショ糖脂肪酸エステルやポリグリセリン脂肪酸エステル等その他の乳化剤の1種又は2種以上を用いることで、有機酸モノグリセリドのラメラ構造体の安定性が高められ、また、水中での分散性が向上する。安定化されたラメラ構造体は、親水基部分の強い水和力により層間に多量の水を保持する。
その他の乳化剤は、エタノール、水、糖類の水溶液などの分散媒に分散させた分散液として、上記ラメラ構造体水分散液とを混合させてもよいし、直接、ラメラ構造体水分散液にその他の乳化剤を添加してもよい。
有機酸モノグリセリドとその他の乳化剤の水分散液である有機酸モノグリセリド含有水分散液中の有機酸モノグリセリドの含有量は、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下である。有機酸モノグリセリドの含有量が過度に少ない場合は、本発明による効果が不十分となり、過度に多い場合は、有機酸モノグリセリドが水(分散媒)中に均一に分散しなくなる場合がある。
また、有機酸モノグリセリド含有水分散液中のショ糖脂肪酸エステルやポリグリセリン脂肪酸エステル等のその他の乳化剤の含有量は、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上、更に好ましくは3重量%以上、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。その他の乳化剤の含有量がこの範囲にあることにより、有機酸モノグリセリドのラメラ構造体の水分散性がより向上する。
この有機酸モノグリセリド含有水分散液には糖類、特にオリゴ糖を含むことがラメラ構造体の分散安定性の向上の観点から好ましい。
糖類を用いる場合、その他の乳化剤の乳化剤の分散液と糖類の水溶液を混合した後、ラメラ構造体水分散液などの有機酸モノグリセリドが分散した水分散液と混合してもよいし、その他の乳化剤の分散液に糖類を添加または糖類の水溶液にその他の乳化剤を添加した後に、これらの分散液または水溶液とラメラ構造体水分散液などの有機酸モノグリセリドが分散した水分散液とを混合してもよい。
ラメラ構造体水分散液などの有機酸モノグリセリドが分散した水分散液と、その他の乳化剤の分散液、糖類の水溶液またはこれらの混合物とを混合する場合は、その他の乳化剤の分散液、糖類の水溶液またはこれらの混合物を通常45℃以上、好ましくは50℃以上、通常100℃以下、好ましくは80℃以下、更に好ましくは70℃以下に加熱して用いてもよい。
糖類を用いる場合、有機酸モノグリセリド含有水分散液中の糖類の含有量は、通常35重量%以上、好ましくは40重量%以上、通常85重量%以下、好ましくは60重量%以下である。糖類の含有量が上記下限以上であることにより、よりラメラ構造体の分散安定性が向上し、上記上限以下であることにより、糖の種類によって結晶が析出したり、粘度が高くなるなどの問題点が生じ難くなる。
有機酸モノグリセリド含有水分散液中の有機酸モノグリセリドに対するその他の乳化剤、糖類の含有割合は、前述の本発明の調味組成物中の有機酸モノグリセリドに対するその他の乳化剤、糖類の含有割合と同様である。
このようにして調製した有機酸モノグリセリド含有水分散液を本発明の調味組成物として用いても良いし、有機モノグリセリド含有水分散液と前述の本発明の調味組成物の原料成分とを混合して、本発明の調味組成物としても良い。
魚介類を本発明の調味組成物に漬け込む工程は、魚介類を調味組成物に漬け込んで、調味組成物を十分に魚介類に付着、浸透させることができる方法であればよく、特に制限はない。一般的には、魚介類を調味組成物に漬け込んで、所定時間放置する方法が採用される。
漬け込み処理した魚介類を加熱する工程は、魚介類加工品の種類に応じて、適宜選択することができる。
例えば、味噌漬け、みりん漬け、醤油漬け、塩麹漬け、粕漬け等の漬け魚であれば、調味組成物から取り出した魚介類を魚焼き器やフライパンで焼いて調理する。また、梅煮、生姜煮、照り煮、みぞれ煮、醤油煮、味噌煮等であれば、そのまま、或いは更に水を加えて加熱して調理する。
加熱により製造された魚介類加工品は、常法に従って-15℃~-30℃に冷却して冷凍し、冷凍魚介類加工品とすることもできる。また、調味組成物に漬け込んだ後、加熱前に冷凍して冷凍魚介類加工品とすることもできる。この際、緩慢冷凍、急速冷凍のいずれをも採用することができるが、急速冷凍の方が氷晶の粗大化を抑制できることから好ましい。
冷凍された魚介類加工品の解凍方法としては、室温での放置による自然解凍、冷蔵庫の中で一晩から一昼夜置く庫内解凍する方法、電子レンジで解凍する方法などを採用することができる。また、予め解凍を行うことなく、直接電子レンジや湯煎で加熱して解凍と共に加熱を行うこともできるし、解凍後に魚焼き器やフライパンで焼いて調理することもできる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において「%」および「部」は何れも重量基準を意味する。
[製造例1:有機酸モノグリセリド含有水分散液の製造]
HLB11のショ糖ステアリン酸エステル(三菱ケミカルフーズ社製「リョートー(登録商標)シュガーエステルS-1170」)3.5部を室温で糖類の水溶液としてマルトオリゴ糖水溶液(三和澱粉工業社製「オリゴトース」、マルトオリゴ糖固形分72重量%)60部と水8部の混合液68部に分散し、撹拌しながら加温して75℃まで昇温した(以下「オリゴ糖液」と呼ぶ)。
一方、コハク酸モノグリセリド(理研ビタミン社製「ポエムB-30」、脂肪酸としてステアリン酸を用いたもの)3.5部を脱塩水25部に分散し、60℃まで昇温しながら撹拌し、ラメラ構造体の水分散液を得た。
前記のオリゴ糖液を55℃まで冷却し、上記のコハク酸モノグリセリドのラメラ構造体の水分散液を加えて20分間撹拌した。次いで、45℃まで冷却することにより、ラメラ構造体の水分散液を調製した(以下「組成物A」と呼ぶ)。なお、組成物Aのコハク酸モノグリセリドのラメラ構造体の確認は偏光顕微鏡による観察によって行った。偏光顕微鏡の写真中に偏光十字が観察され、組成物Aがラメラ構造体を有していることがわかった。
この組成物Aは、ショ糖ステアリン酸エステルを3.5重量%、マルトオリゴ糖を43重量%、コハク酸モノグリセリドのラメラ構造体を3.5重量%含むものである。
[使用した味噌の詳細]
以下の実施例及び比較例で用いた味噌の詳細は下記表1に示す通りである。
Figure 0007388012000001
実施例及び比較例において、「白味噌」としては、西京味噌と石野の白味噌とますやみその白味噌を10:10:1の重量比で混合して用いた。
[魚介類加工品の製造と評価]
<実施例I-1~3、比較例I-1,2>
以下の手順で味噌漬けを製造し、その評価を行った。
1.下記表2に示す配合で調味ペーストa~cを調製した。糖類としては、三和澱粉工業社製「オリゴトース」(マルトオルゴ糖固形分72重量%)を用いた。
Figure 0007388012000002
2.下記表3に示す割合で、鮭の切り身又は鰆の切り身を調味ペーストa~cに漬け込んだ。
Figure 0007388012000003
具体的な漬け込み方法は以下の通りである。
・ラップの上に調味ペーストの約半分を平らに延ばす。
・ラップ上の調味ペーストの上に魚の切り身を置いてその上に残り半分の調味ペーストを均一に延ばす。
・ラップで全体を包んだものをビニール袋に入れる。
・冷蔵庫で2日間漬け込む。
3.調味ペーストを魚から綺麗に拭き取り、魚焼き器で焼いた。焼き時間及び手順は、表4分、裏返して4分、再度表3分とした。
4.焼き上った魚を食し、その食味、食感を評価した。
評価結果は以下の通りであった。
比較例I-1:味は普通。もう少し甘くてもよい感じであった。少しパサつき感があった。
実施例I-1:パサつき感はなく、しっとり感があり塩味が少し足りなかった。
比較例I-2:少しパサつくが多少しっとりして美味しい。
実施例I-2:パサつきもなく、ふんわりして魚の味もよく美味しい。
実施例I-3:しっとりしてジューシー感があり美味しかった。
<実施例II-1~4、比較例II-1,2>
以下の手順で味噌漬けを製造し、その評価を行った。
1.下記表4の配合で調味ペーストd~iを調製した。
Figure 0007388012000004
2.下記表5に示す割合で鮭の切り身を調味ペーストd~iに漬け込んだ。
Figure 0007388012000005
具体的な漬け込み方法は以下の通りである。
・ラップの上に調味ペーストの約半分を平らに延ばす。
・ラップ上の調味ペーストの上に魚の切り身を置いてその上に残り半分の調味ペーストを均一に延ばす。
・ラップで全体を包んだものをビニール袋に入れる。
・冷蔵庫で約4日間漬け込む。
3.調味ペーストを魚から綺麗に拭き取り、-18℃で冷凍した。
4.冷凍品を冷蔵庫で解凍した後、魚焼き器で焼いた。焼き時間及び手順は、表4分、裏返して4分とした。
5.焼き上った魚を、焼いた直後と、焼いてから1時間後にそれぞれ食し、その食味、食感を評価した。
評価結果は以下の通りであった。
<焼いた直後>
(西京漬け)
比較例II-1:魚の風味は少ないが比較的美味しい西京漬けであった。
実施例II-1:魚の風味が出てきて美味しい西京漬けであるが実施例II-2より劣る。
実施例II-2:実施例II-1~3及び比較例II-1の中では一番美味しい西京漬けであった。
実施例II-3:実施例II-1と実施例II-2の中間的な西京漬けであった。
(味噌漬け)
比較例II-2:塩味強く、甘味弱く、粕漬け風であった。
実施例II-4:塩味は多少強いが、甘く西京漬け風になる。
以上より、実施例II-1~3及び比較例II-1の西京漬けの中では、実施例II-2>実施例II-3>実施例II-1>比較例II-1の順でよく、実施例II-4と比較例II-2の味噌漬けでは、実施例II-4>比較例II-2であった。
<焼いて1時間後>
(西京漬け)
比較例II-1:少し硬くしっとり感はないがパサつき感もない。
実施例II-1:比較例II-1より硬くなるがパサつき感は殆どない。
実施例II-2:比較例II-1より多少硬いがしっとり感がある。
実施例II-3:実施例II-2より硬く、しっとり感も弱く比較例II-1に近い。
(味噌漬け)
比較例II-2:硬く、パサつき、しっとり感はない。
実施例II-4:硬さは比較例II-2と同程度だがしっとり感がある。
以上より、実施例II-1~3及び比較例II-1の西京漬けの中では、実施例II-2>実施例II-1>実施例II-3≒比較例II-1の順でよく、実施例II-4と比較例II-2の味噌漬けでは、実施例II-4>比較例II-2であった。
<評価結果まとめ>
組成物Aの添加により、塩角を取ったり美味しさを引き出したりする効果が認められるが、同時に調味ペーストなど塩分の高い調味組成物に入れると塩分の少ないものの水分を引き出す傾向が認められた。
<実施例III-1~3、比較例III-1>
以下の手順で醤油煮を製造し、その評価を行った。
1.下記表6に示す配合でそれぞれ調味液を調製した。
Figure 0007388012000006
2.前処理(冷凍鰯を流水で解凍した後、頭・しっぽ・内臓取り除く)をした鰯に片栗粉をつけてフライパンで4分間焼いた。
3.焼いた鰯1尾(約50g)をレトルト用袋に入れ、調味液24.5~25gと千切り生姜2gを入れた。
4.3.を110~115℃で60分間加熱した。
5.4.を冷却後、冷蔵庫で20日間保存した後取り出し、保存品を湯煎で4分間加熱したものを食して、食味、風味を評価した(20日間冷蔵品)。
6.比較例III-1と実施例III-2,III-3では、別に、4.の加熱後、冷却して-18℃で16日間冷凍保存し、冷凍品を冷蔵庫で一晩解凍し、解凍後湯煎で4分間加熱したものについて、同様に評価を行った(16日間冷凍品)。
評価結果は以下の通りであった。
<20日間冷蔵品>
比較例III-1:生臭さはあるが、まあまあの味で後口に酸化臭と苦みが残る。
実施例III-1:魚の味が薄くなっているが、酸化臭も低減している。美味しさにはやや欠ける。
実施例III-2:酸化臭もなく、魚の味もよく出てこの中では一番美味しい。
実施例III-3:酸化臭はないが魚の味は実施例III-2より劣り、たれの味に負ける。
<16日間冷凍品>
比較例III-1:生臭さがあるが鰯の味は出ている。
実施例III-2:生臭さはなくなり、鰯の旨味が出て、少し身がしまる。
実施例III-3:生臭さはわずかにあるが、鰯の味は実施例III-2より良い。身の締りは実施例III-2より弱い。
なお、冷凍による目立った崩れは見られなかったが、組成物Aを添加した実施例III-2,III-3は少し締まった感じがあった。
<評価結果まとめ>
以上より、実施例III-1~3及び比較例III-1の20日間冷蔵品の中では、実施例III-2>実施例III-3>実施例III-1>比較例III-1の順でよく、実施例III-2,III-3と比較例III-1の16日間冷凍品では、実施例III-2>III-3>比較例III-1の順でよかった。
これらの結果から以下のことが分かる。
組成物Aは鰯の生臭さをマスキングしている。冷凍魚介類加工品に対して0.3重量%でも効果があり、かすかな生臭さがあるが、魚嗜好者には0.3重量%添加でもまったく問題がないと思われる。また、組成物Aは冷凍における身の崩れも抑制している。
<実施例IV-1~3、比較例IV-1>
以下の手順で味噌煮を製造し、その評価を行った。
1.下記表7に示す配合でそれぞれ調味液を調製した。なお、組成物Aは水で希釈して組成物Aの10重量%水溶液として用いた。
Figure 0007388012000007
2.レトルト用袋に鯖を一切れ(約30g)を入れ、調味液22.5gと千切り生姜2gを入れた。鯖は前日から冷蔵庫で解凍したものを約30gの切り身にして用いた。
3.2.を110~115℃で60分間加熱した。
4.3.を冷却後、冷蔵庫で16日間保存した後取り出し、湯煎で4分間加熱したものを食して、食味、風味を評価した。
評価結果は以下の通りであった。
比較例IV-1:鯖の味と調味料の味は良くなったが、酸化臭・味ともにあり美味しくない。
実施例IV-1:酸化臭・生臭さともなくなり、鯖の味も出て美味しい。
実施例IV-2:実施例IV-1より少し劣る。
実施例IV-3:実施例IV-2より劣るが、比較例IV-1より良い。
以上より、実施例IV-1>実施例IV-2>実施例IV-3>比較例IV-1の順で美味しかった。

Claims (6)

  1. 魚介類を、有機酸モノグリセリド及び有機酸モノグリセリドとは異なる乳化剤と糖類とを含有する調味組成物に漬け込む工程と、漬け込み処理した魚介類を加熱する工程とを含む魚介類加工品の製造方法であって、
    魚介類を前記調味組成物に漬け込む工程の前に、45~100℃で水に前記有機酸モノグリセリドおよび前記有機酸モノグリセリドとは異なる乳化剤を分散させる分散液の調製工程を含み、該有機酸モノグリセリドとは異なる乳化剤が、HLB値が8~15のショ糖脂肪酸エステルまたはHLB値が9~16のポリグリセリン脂肪酸エステルであり、該分散液を前記調味組成物に用いる魚介類加工品の製造方法。
  2. 前記調味組成物が有機酸モノグリセリドを0.0001~5重量%含有する、請求項1に記載の魚介類加工品の製造方法。
  3. 前記調味組成物が有機酸モノグリセリドとは異なる乳化剤を0.0001~5重量%含有する、請求項1または2に記載の魚介類加工品の製造方法。
  4. 前記調味組成物がオリゴ糖を含有する、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の魚介類加工品の製造方法。
  5. 前記魚介類加工品が、味噌漬け、みりん漬け、醤油漬け、塩麹漬け、粕漬け、梅煮、生姜煮、照り煮、みぞれ煮、醤油煮、又は味噌煮である、請求項1ないしのいずれか一項に記載の魚介類加工品の製造方法。
  6. 前記魚介類を、有機酸モノグリセリド及び有機酸モノグリセリドとは異なる乳化剤を含有する調味組成物に漬け込む工程と漬け込み処理した魚介類を加熱する工程との間、或いは漬け込み処理した魚介類を加熱する工程の後に、該工程を経た魚介類を冷凍することで冷凍魚介類加工品とする工程を含む、請求項1ないしのいずれか1項に記載の魚介類加工品の製造方法。
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