JP7212534B2 - 樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents
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Description
即ち、本実施形態は以下の通りである。
[1]
(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、(B)カーボンブラック5~30質量部、(C)オレフィン樹脂6~9質量部、及び(D)エステル化合物0.05~5質量部を少なくとも含み、前記(A)ポリアセタール樹脂を含むマトリックス中に、前記(C)オレフィン樹脂を含む分散粒子が分散している樹脂組成物であり、前記樹脂組成物を含む成形体の表面から深さ30μmに存在する前記分散粒子の平均長径が2μm以下であることを特徴とする、樹脂組成物。
[2]
前記分散粒子の平均長径が1.5μm以下である、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]
前記(B)カーボンブラックのフタル酸ジブチル吸油量が、100~300mL/100gである、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]
前記(B)カーボンブラックのよう素吸着法によるBET比表面積が、20~100mg/gである、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5]
前記(D)エステル化合物が、脂肪族ジエステル及び/又は脂肪族トリエステルである、[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6]
前記(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、(E)エポキシ化合物0.1~6質量部をさらに含む、[1]~[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7]
[1]~[6]のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物を含むことを特徴とする、成形体。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ともいう。)は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、(B)カーボンブラック5~30質量部、(C)オレフィン樹脂6~10質量部、(D)エステル化合物0.05~5質量部を少なくとも含み、(A)ポリアセタール樹脂を含むマトリックス中に、(C)オレフィン樹脂を含む分散粒子が分散しており、当該樹脂組成物を含む成形体の表面から深さ30μmに存在する該分散粒子の平均長径が2μm以下である。
本実施形態に係る(A)ポリアセタール樹脂(以下、単に「(A)成分」と称する場合がある。)としては、ポリアセタールホモポリマー及びポリアセタールコポリマーが挙げられ、公知のものを用いてもよい。
ポリアセタールコポリマーの重合に用いられる重合触媒としては、ルイス酸、プロトン酸及びそのエステル又は無水物等のカチオン活性触媒が好ましい。ルイス酸としては、例えば、ホウ酸、スズ、チタン、リン、ヒ素及びアンチモンのハロゲン化物が挙げられ、より具体的には、三フッ化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、五フッ化リン、五塩化リン、五フッ化アンチモン及びその錯化合物又は塩が挙げられる。また、プロトン酸、そのエステル又は無水物の具体例としては、パークロル酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パークロル酸-3級ブチルエステル、アセチルパークロラート及びトリメチルオキソニウムヘキサフルオロホスフェートが挙げられる。これらの中でも、三フッ化ホウ素;三フッ化ホウ素水和物;及び、酸素原子又は硫黄原子を含む有機化合物と三フッ化ホウ素との配位錯化合物が好ましく、具体的には、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル及び三フッ化ホウ素ジ-n-ブチルエーテルが好適な例として挙げられる。
[R1R2R3R4N+]nXn- (1)
ここで、式(1)中、R1、R2、R3及びR4は、各々独立して、炭素数1~30の置換又は非置換のアルキル基;炭素数6~20のアリール基;炭素数1~30の置換又は非置換のアルキル基における少なくとも1個の水素原子が炭素数6~20のアリール基で置換されたアラルキル基;又は、炭素数6~20のアリール基における少なくとも1個の水素原子が炭素数1~30の置換又は非置換のアルキル基で置換されたアルキルアリール基を示し、置換又は非置換のアルキル基は直鎖状、分岐状、若しくは環状である。上記置換アルキル基における置換基は、ハロゲン原子、水酸基、アルデヒド基、カルボキシル基、アミノ基、又はアミド基であると好ましい。また、上記非置換のアルキル基、アリール基、アラルキル基及びアルキルアリール基において、水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。nは1~3の整数を示す。Xは水酸基、又は、炭素数1~20のカルボン酸、ハロゲン化水素以外の水素酸、オキソ酸、無機チオ酸若しくは炭素数1~20の有機チオ酸の酸残基を示す。
P×14/Q (2)
ここで、式(2)中、Pは第4級アンモニウム化合物のポリアセタールコポリマーに対する濃度(質量ppm)を示し、14は窒素の原子量であり、Qは第4級アンモニウム化合物の分子量を示す。
第4級アンモニウム化合物の使用量が0.05質量ppm以上であると不安定末端部の分解除去速度の低下を抑制しやすくなり、50質量ppm以下であると不安定末端部の分解除去後のポリアセタールコポリマーの色調の悪化を抑制しやすくなる。
MFRが上記範囲内となる(A)ポリアセタール樹脂を得る方法として、具体的には、ポリアセタール樹脂の製造において、メチラール等に代表されるような連鎖移動剤の添加量を調節すること等が挙げられる。
60質量%以上としてよく、好ましくは65質量%以上であり、より好ましくは68質量%以上である。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、(B)カーボンブラック(以下、単に「(B)成分」と称する場合がある。)を含む。
本実施形態の樹脂組成物における(B)カーボンブラックの含有量は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対し、5~30質量部であり、好ましくは8~30質量部であり、より好ましくは10~25質量部である。5質量部以上であれば高い導電性が得られ、30質量部以下であれば成形体の割れを抑えられる。
(B)カーボンブラックのDBP吸油量は、より好ましくは120~250mL/100gであり、さらに好ましくは150~200mL/100gである。
(B)カーボンブラックのよう素吸着法によるBET比表面積は、より好ましくは30~90mg/gであり、さらに好ましくは40~80mg/gである。
なお、よう素吸着法によるBET比表面積はISO1304に基づいて測定される値であり、フタル酸ジブチル吸油量はISO4656に基づいて測定される値である。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、(C)オレフィン樹脂(以下、単に「(C)成分」と称する場合がある。)を含む。
本実施形態における(C)オレフィン樹脂は、下記一般式(3)により表されるオレフィン化合物のホモ重合体、下記一般式(3)で表されるオレフィン化合物を全体のモノマー単位に対して60mol%以上の範囲で含む共重合体、及びそれらの変性体からなる群より選ばれる1種以上のオレフィン樹脂である。
上記式(3)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は水素原子、炭素数1~10のアルキル基、カルボキシル基、2~5個の炭素原子を含むアルキル化カルボキシ基、2~5個の炭素原子を有するアシルオキシ基、又はビニル基を表す。
本実施形態におけるポリアセタール樹脂組成物は、(D)エステル化合物(以下、単に「(D)成分」と称する場合がある。)を含む。(D)エステル化合物を含むことにより、押出加工時において(A)ポリアセタール樹脂中への(B)カーボンブラックの分散性が向上し、押出機からストランドが押し出される際に発生する異物(目ヤニ)の量を少量に抑えることができる。これにより、目ヤニの混入による導電性の低下を抑えることができる。これに加え、ポリアセタール樹脂組成物の成形時においても、金型と金型汚染の原因となる物質の間に(D)エステル化合物が介在するようになり、連続成形時の金型汚染を低いレベルに抑えることができ、汚染されても汚染物を容易に除去することができる。また、ポリアセタール樹脂組成物に(D)エステル化合物を含むことで、長期間の靱性保持性能も得ることができる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、(E)エポキシ化合物(以下、単に「(E)成分」と称する場合がある。)をさらに含むことが好ましい。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物における(E)エポキシ化合物の含有量は、長期連続成形時の金型汚染が少ないポリアセタール樹脂組成物を得るといった観点と、高い靱性及び長期間の靱性保持の観点とから、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対し、0.1~10質量部であることが好ましく、0.1~6質量部であることがより好ましく、0.5~5質量部であることがより好ましい。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物におけるエポキシ化合物硬化性添加剤は、長期連続成形時の金型汚染が少ないポリアセタール樹脂組成物を得るといった観点と、高い靱性及び長期間の靱性保持の観点とから、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対し、0.1質量部以上10質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上5質量部以下であることがさらに好ましい。
エポキシ化合物硬化性添加剤として、具体的には、イミダゾール;1-ヒドロキシエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ヘプタデシルイミダゾール、1-ビニル-2-フェニルイミダゾール等の置換イミダゾール;オクチルメチルアミン、ラウリルメチルアミン等の脂肪族2級アミン;ジフェニルアミン、ジトリルアミン等の芳香族2級アミン;トリラウリルアミン、ジメチルオクチルアミン、ジメチルステアリルアミン、トリステアリルアミン等の脂肪族3級アミン;トリトリルアミン、トリフェニルアミン等の芳香族3級アミン;セチルモルホリン、オクチルモルホリン、P-メチルベンジルモルホリン等のモルホリン化合物;ジシアンジアミド、メラミン、尿素等へのアルキレンオキシド付加物(付加モル数1モル以上20モル以下)、トリフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン等のリン化合物等が挙げられる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、従来ポリアセタール樹脂組成物に使用されている各種安定剤を含むことができる。安定剤として、具体的には、下記の酸化防止剤、ホルムアルデヒド又はギ酸の捕捉剤等が挙げられる。これらは1種のみを単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤として、具体的には、n-オクタデシル-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート、n-オクタデシル-3-(3’-メチル-5’-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート、n-テトラデシル-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート、1,6-ヘキサンジオール-ビス-(3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート)、1,4-ブタンジオール-ビス-(3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート)、トリエチレングリコール-ビス-(3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート)等が挙げられる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、かつ所望の特性に応じて、従来ポリアセタール樹脂組成物に使用されている各種添加剤を含むことができる。添加剤として、具体的には、下記の無機充填剤、結晶核剤、導電剤、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、顔料等が挙げられる。これらは1種のみを単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて使用してもよい。
カップリング処理剤として、具体的には、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリスステアロイルチタネート、ジイソプロポキシアンモニウムエチルアセテート、n-ブチルジルコネート等が挙げられる。
導電剤は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対し、0.1質量部以上100質量部以下であることが好ましく、0.3質量部以上70質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上50質量部以下であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂は、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し、0.1質量部以上200質量部以下であることが好ましく、0.3質量部以上150質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上100質量部以下であることがさらに好ましい。
熱可塑性エラストマーは、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し、0.1質量部以上200質量部以下であることが好ましく、0.3質量部以上150質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上100質量部以下であることがさらに好ましい。
顔料は、所望の色調に応じてその量を選択できるが、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対し、0.05質量部以上5質量部以下の範囲であることが好ましい。
分散粒子の上記平均長径は、好ましくは1.7μm以下、より好ましくは1.5μm以下、最も好ましくは1.4μm以下である。また、下限値は特に限定されないが、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは0.7μm以上である。
かかる分散相としての(C)オレフィン樹脂を含む分散粒子のモルフォロジーとして、分散粒子の平均長径を2μm以下とすることで、滞留後の導電安定性や屈曲特性が向上する。これは、(C)オレフィン樹脂が適度に分散することで、(B)カーボンブラックの導通回路を阻害せず、導電が安定化するものと推測される(ただし、分散粒子の平均長径が2μm以下であることによる効果はこれに限らない)。
樹脂組成物中における(C)オレフィン樹脂の平均長径を2μm以下に制御する方法は、特に限定されないが、(C)オレフィン樹脂の含有量を調整する方法、溶融混練時のスクリュー回転速度を調整する方法等が挙げられ、(A)~(D)成分をすべて含むブレンド物を溶融混練して機械的にせん断する方法が、経済的観点より好ましい。
まず、本実施形態の樹脂組成物を含む成形体から試験片を切り出し、イオンスパッタによる表面の白金コーティングを行った後、試験片をエポキシ樹脂に包埋固定する。次に、観察面の切削断面を作製後、四酸化ルテニウムで染色し、走査型電子顕微鏡(SEM)で成形体の樹脂流動方向に対して垂直な面の観察を行う。なお、四酸化ルテニウム染色により、(C)オレフィン樹脂を含む分散粒子は黒色に観察され、(A)ポリアセタール樹脂を含むマトリックスは白色に観察される。
続いて、樹脂成形体の表面から深さ30μmに存在する分散粒子のうち、無作為に選んだ100個以上の粒子について長径を測定し、平均することにより求めることができる。具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態の樹脂組成物は、体積固有抵抗率が、100~102Ωcmであることが好ましく、100~5×101Ωcmであることがより好ましい。
また、本実施形態の樹脂組成物は、30分間滞留後の体積固有抵抗率が、100~102Ωcmであることが好ましく、100~7×101Ωcmであることがより好ましい。
なお本開示で、体積固有抵抗率は、ISO294-1に準拠して成形された多目的試験片を用いて、JIS K7194に準拠して測定される値であり、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態の樹脂組成物は、屈曲特性(破断又は剥離するまでの折り曲げサイクル数)が、6サイクル以上であることが好ましく、15サイクル以上であることがより好ましい。
なお本開示で、屈曲特性(破断又は剥離するまでの折り曲げサイクル数)は、図1に示す試験片(2mm厚み)の両端を持ち、手前側と反対側にほぼ180°まで各1回ずつ折り曲げて元に戻す動作を1サイクルとして測定した、破断又は剥離するまでのサイクル数であり、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
図1は、上記試験片の概略正面図であり、幅L1は75mm、幅L2は25mm、幅L3は15mm、高さHは20mm、厚みは2mmである。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、上述した(A)ポリアセタール樹脂、(B)カーボンブラック、(C)オレフィン樹脂、及び(D)エステル化合物と、必要に応じてその他の成分とを、溶融混練することにより製造できる。
本実施形態の成形体は、上述のポリアセタール樹脂組成物を含む。そのためには、上述のポリアセタール樹脂組成物を成形することにより、本実施形態の成形体を得ることができる。
ポリアセタール樹脂組成物を成形する方法については特に制限されるものではなく、公知の成形方法を適用できる。具体的には、押出成形、射出成形、真空成形、ブロー成形、射出圧縮成形、加飾成形、他材質成形、ガスアシスト射出成形、発泡射出成形、低圧成形、超薄肉射出成形(超高速射出成形)、金型内複合成形(インサート成形、アウトサート成形)等の成形方法が挙げられる。
本実施形態の成形体の用途としては、靭性と高い導電性とが要求される用途が好適である。具体的には、本実施形態の成形体は、導電性歯車、導電性フランジ、導電性ドラムギア、導電性軸受用途等により好適に用いられる。
以下、実施例、参考例及び比較例により本実施形態を具体的に説明するが、本実施形態はその要旨を超えない限り、後述する実施例、参考例及び比較例に限定されるものではない。実施例、参考例及び比較例のポリアセタール樹脂組成物及び成形体に対する各種測定方法と、実施例、参考例及び比較例に用いたポリアセタール樹脂組成物及び成形体の原料成分とを以下に示す。
(1)体積固有抵抗率
東芝機械(株)製EC-75NII成形機を用いて、シリンダー温度を205℃、金型温度90℃に設定し、射出時間35秒、冷却時間15秒の射出条件で、実施例、参考例及び比較例で得られたポリアセタール樹脂組成物を成形することにより、ISOダンベル(ISO294-1に準拠して成形された多目的試験片)を得た。このISOダンベルの反ゲート側から30mm×20mm×4mmの平板を切り出し、この平板を体積固有抵抗率測定用のサンプルとした。
測定は、四探針ASPプローブ(ピン間5mm、ピン先0.37mmR×4、バネ圧210g/本、JIS K7194準拠)を、上記作製したサンプル(平板)に押し当て、三菱化学(株)製ロレスタ(登録商標)-GPにより測定電圧90Vで、上記サンプルの体積固有抵抗率(Ωcm)を測定した。
(2)滞留後の導電性(体積固有抵抗率)
東芝機械(株)製EC-75NII成形機を用いて、シリンダー温度を205℃、金型温度90℃に設定し、30分間滞留させた後、射出時間35秒、冷却時間15秒の射出条件で、実施例、参考例及び比較例で得られたポリアセタール樹脂組成物を成形することにより、ISOダンベル(ISO294-1に準拠して成形された多目的試験片)を得た。このISOダンベルの反ゲート側から30mm×20mm×4mmの平板を切り出し、この平板を体積固有抵抗率測定用のサンプルとして、上記(1)と同様に体積固有抵抗率(Ωcm)を測定した。
(3)屈曲特性
東芝機械(株)製EC-75NII成形機を用いて、シリンダー温度を205℃、金型温度90℃に設定し、実施例、参考例及び比較例で得られたポリアセタール樹脂組成物を成形することにより、図1に示す試験片(2mm厚み)を得た。図1は該試験片の概略正面図を示す。該試験片の幅L1は75mm、幅L2は25mm、幅L3は15mm、高さHは20mmとした。
このダンベル片の両端を持ち、両端が合わさるようにほぼ180°まで手前側と反対側に各1回ずつ折り曲げて元に戻す動作を1サイクルとし、破断又は剥離するまでのサイクル数を測定した。
上記(1)で得られたISOダンベル片の中央部から試験片を切り出し、イオンスパッタによる表面の白金コーティングを行った後、エポキシ樹脂に包埋固定した。次に、観察面の切削断面を作製後、四酸化ルテニウムで染色し、走査型電子顕微鏡(SEM)(SU8220、HITACHI社製)でISOダンベル片の樹脂流動方向に対して垂直な面の観察を行った。なお、四酸化ルテニウム染色により、(C)オレフィン樹脂を含む分散粒子は黒色に観察され、(A)ポリアセタール樹脂を含むマトリックスは白色に観察された。
(C)オレフィン樹脂を含む分散粒子の平均長径(μm)は、ISOダンベル型試験片の表面から深さ30μmに存在する分散粒子のうち、無作為に選んだ100個以上の粒子について長径を測定し、平均して求めた。
(A-1)ポリアセタール樹脂
トリオキサン100mol%に対して、1,3-ジオキソラン1.5mol%を共重合成分として含む、MFR(条件: ISO1133準拠 190℃、2.16kg荷重)が30g/10分のポリアセタールコポリマー
(A-2)ポリアセタール樹脂
トリオキサン100mol%に対して、1,3-ジオキソラン1.5mol%を共重合成分として含む、MFR(条件: ISO1133準拠 190℃、2.16kg荷重)が10g/10分のポリアセタールコポリマー
(A-3)ポリアセタール樹脂
トリオキサン100mol%に対して、1,3-ジオキソラン1.5mol%を共重合成分として含む、MFR(条件: ISO1133準拠 190℃、2.16kg荷重)が3g/10分のポリアセタールコポリマー
(B-1)DBP吸油量190mL/100g、よう素吸着法によるBET比表面積65mg/gのカーボンブラック
(B-2)DBP吸油量180mL/100g、よう素吸着法によるBET比表面積51mg/gのカーボンブラック
なお、上記のDBP吸油量及びよう素吸着法によるBET比表面積は、それぞれ、ISO4656及びISO1304に基づいて測定した。
(C-1)1-ブテン含有率90質量%、エチレン含有率10質量%のオレフィン共重合体、JIS K7210(190℃、2.16kg荷重条件)に基づくMFRは40g/10分
(D-1)DIDA(大八化学工業(株)製、アジピン酸ジイソデシル)
(E-1)クレゾールノボラックとエピクロロヒドリンとの縮合物(軟化点=80℃)
(A-2)ポリアセタール樹脂90質量部に、(D-1)エステル化合物10質量部を二軸混練機で混練し、(F-1)マスターバッチを得た。
(A-2)ポリアセタール樹脂50質量部に、(C-1)オレフィン樹脂30質量部、(D-1)エステル化合物20質量部を二軸混練機で混練し、(F-2)マスターバッチを得た。
〔ポリアセタール樹脂組成物の製造〕
本実施例、参考例及び比較例では、二軸押出機(東芝機械(株)製TEM-48SS押出機(L/D=58、ベント付き)を用いて、ポリアセタール樹脂組成物を製造した。図2に二軸押出機の概略構成図を示す。
図2の二軸押出機は、個々に独立している押出機のバレルゾーン1~14を具備し、当該バレルゾーンの終端部をダイヘッド15に連結した。バレルゾーンの始端部は押出機モーター16に連結され、モーターの駆動により原料がバレルゾーン1~14を移動するように設定した。バレルゾーン1にはトップ部の定量フィーダー17、バレルゾーン8にはサイド部の定量フィーダー18を設けた。バレルゾーン13には脱気ベント19を設けた。全てのバレルゾーンの温度を200℃に設定し、(B)成分以外の成分のブレンド物を定量フィーダー17より、(B)成分を定量フィーダー18よりそれぞれ供給して押出を行い、ポリアセタール樹脂組成物を得た。
各成分を表1に示す割合で配合し、上述の製造方法により溶融混練を行った。吐出量200kg/時間、スクリュー回転数240rpmに設定した。
なお、実施例9及び10ではマスターバッチ(F-1)又は(F-2)を配合したが、最終的なの配合量の比較がしやすいように、表中では(A)~(E)成分の最終的な割合も示した。
押出されたポリアセタール樹脂組成物は、ストランドカッターでペレットとした。得られたペレットを用いて、上述の方法により評価を行った。
測定及び評価結果を表1に示す。なお、いずれの実施例及び比較例においても(A)ポリアセタール樹脂を含むマトリックス、(C)オレフィン樹脂を含む分散粒子が観察された。
〔参考例5、実施例11〕
吐出量200kg/時間、スクリュー回転数280rpmに設定した以外は、実施例1と同様に行った。 測定及び評価結果を表1に示す。なお、いずれの実施例においても(A)ポリアセタール樹脂を含むマトリックス、(C)オレフィン樹脂を含む分散粒子が観察された。
Claims (7)
-
(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、(B)カーボンブラック5~30質量部、(C)オレフィン樹脂6~9質量部、及び(D)エステル化合物0.05~5質量部を少なくとも含み、前記(A)ポリアセタール樹脂を含むマトリックス中に、前記(C)オレフィン樹脂を含む分散粒子が分散している樹脂組成物であり、前記樹脂組成物を含む成形体の表面から深さ30μmに存在する前記分散粒子の平均長径が2μm以下であることを特徴とする、樹脂組成物。 - 前記分散粒子の平均長径が1.5μm以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記(B)カーボンブラックのフタル酸ジブチル吸油量が、100~300mL/100gである、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 前記(B)カーボンブラックのよう素吸着法によるBET比表面積が、20~100mg/gである、請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 前記(D)エステル化合物が、脂肪族ジエステル及び/又は脂肪族トリエステルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 前記(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、(E)エポキシ化合物0.1~6質量部をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1~6のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物を含むことを特徴とする、成形体。
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JP2019016241A JP7212534B2 (ja) | 2019-01-31 | 2019-01-31 | 樹脂組成物及びその成形体 |
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