JP5062843B2 - 導電性ポリアセタール樹脂組成物、および成形体 - Google Patents
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Description
すなわち本発明は以下のとおりである。
(1)ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して、フタル酸ジブチル吸油量が350ml/100g以上の導電性カーボンブラック(B)5〜15質量部、黒鉛(C)0.1〜10質量部、重量平均分子量で10,000〜300,000の低密度ポリエチレン樹脂(D)1〜20重量部、炭素数12〜30の1価脂肪酸と炭素数10〜30の1価脂肪族アルコールからなるエステル(E)0.1〜10重量部、及びエポキシ化合物(F)0.05〜10質量部を配合してなることを特徴とするポリアセタール樹脂組成物。
(2)導電性カーボンブラック(B)のフタル酸ジブチル吸油量が400ml/100g以上であることを特徴とする前記(1)に記載のポリアセタール樹脂組成物。
(3)黒鉛(C)の平均粒径が0.5〜100μmであることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のポリアセタール樹脂組成物。
(5)黒鉛(C)が天然黒鉛であることを特徴とする前記(1)〜(4)にいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
(6)酸化防止剤、ホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体または化合物、ギ酸捕捉剤、耐候(光)安定剤の少なくとも1種(G)を0.01〜10質量部含有してなることを特徴とする前記(1)〜(5)いずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
(7)前記(1)〜(6)いずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物からなる射出成形体。
(9)前記(1)〜(6)いずれか一項に記載のポリアセタール脂組成物成形体からなる画像形成装置内の感光体ドラムフランジ軸受け部材。
(10)前記(1)〜(6)いずれか一項に記載のポリアセタール脂組成物成形体からなる画像形成装置内のプロセスカートリッジ部品。
(11)前記(1)〜(6)いずれか一項に記載のポリアセタール脂組成物成形体からなる画像形成装置内の軸受け部材。
本発明で用いるポリアセタール樹脂(A)としては、ホルムアルデヒド単量体又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーを単独重合して得られる実質上オキシメチレン単位のみから成るポリアセタールホモポリマーや、ホルムアルデヒド単量体又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーとエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロルヒドリン、1,3−ジオキソランや1,4−ブタンジオールホルマールなどのグリコールやジグリコールの環状ホルマール等の環状エーテル、環状ホルマールとを共重合させて得られたポリアセタールコポリマーを代表例としてあげることができる。
ポリアセタールコポリマーの重合における重合触媒としては、ルイス酸、プロトン酸及びそのエステル又は無水物等のカチオン活性触媒が好ましい。ルイス酸としては、例えば、ホウ酸、スズ、チタン、リン、ヒ素及びアンチモンのハロゲン化物が挙げられ、具体的には三フッ化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、五フッ化リン、五塩化リン、五フッ化アンチモン及びその錯化合物又は塩が挙げられる。
第4級アンモニウム化合物の量は、 ポリアセタールコポリマーと第4級アンモニウム化合物の合計質量に対する下記式(2)で表わされる第4級アンモニウム化合物由来の窒素の量に換算して0.05〜50質量ppm、好ましくは1〜30質量ppmである。
本発明に用いるポリアセタール樹脂の不安定末端部の分解除去処理は, 融点以上260℃以下の温度でポリアセタールコポリマーを溶融させた状態で熱処理することにより達成される。用いる装置には特に制限はないが、押出機、ニーダー等を用いて熱処理することが好適である。また、分解で発生したホルムアルデヒドは減圧下で除去される。第4級アンモニウム化合物の添加方法には特に制約はなく、重合触媒を失活する工程にて水溶液として加える方法、重合で生成したポリアセタールコポリマーパウダーに吹きかける方法などがある。いずれの添加方法を用いても、ポリアセタールコポリマーを熱処理する工程で添加されていれば良く、押出機の中に注入したり、押出機等を用いてフィラーやピグメントの配合を行なう品種であれば,樹脂ペレットに該化合物を添着し、その後の配合工程で不安定末端除去操作を実施してもよい。
以上の特定の不安定末端部分解除去処理により、不安定末端部が殆ど存在しない非常に熱安定性に優れたポリアセタールコポリマーを得ることができる。
また、本発明で用いるポリアセタール樹脂のメルトフローレート(MFR,JIS−K7210の条件で測定)は、0.5g/minから100g/min、好ましくは1.0g/minから80g/minである。MFRを0.5g/minから100g/minとすることにより、成型加工性と耐久性をともに満足するポリアセタール樹脂組成物を得ることができる。
カーボンブラック(B)の添加量は、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して5〜15質量部であり、好ましくは6〜12質量部である。5質量部以上であることにより十分な導電性を得ることが可能となり、15質量部以下であると、熱安定性、耐衝撃性のバランスの取れたポリアセタール樹脂組成物を得ることが可能となる。
本発明で使用される黒鉛粉末の平均粒子径は、0.5〜100μmの範囲が好ましく、より好ましくは1〜80μmである。十分な導電性発現の観点から1μm以上が好ましく、取り扱い性と成形品表面外観保持の観点から100μm以下が好ましい。また黒鉛(C)の添加量は、ポリアセタール樹脂(A)に対して0.1〜10質量部であり、好ましくは1〜5質量部である。黒鉛の添加量が0.1質量部以上であることによって導電性を安定化させることができ、10質量部以下であることによって組成物の熱安定性を保持させることができる。
黒鉛(C)と導電性カーボンブラック(B)の質量比(C)/(B)は1/99〜50/50の範囲であることが好ましく、より好ましくは5/95〜40/60である。質量比が1/99以上であることによって組成物成形片の軸受け摺動時に安定した導電性が得られるようになり、50/50以下であることによって大量の導電性フィラーを配合しなくても組成物成形片に高導電性を与えることができる。
オレフィン系樹脂(D)の添加量はポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して1〜20質量部であり、好ましくは3〜15質量部である。添加量が1質量部以上であることにより、組成物の耐衝撃性を保持することが可能となり、20質量部以下であることにより、成形品よりオレフィン系樹脂成分が剥離するのを防止することができる。
具体的なエステルとしては、下記に示す1価脂肪酸と1価脂肪族アルコールのエステルである。1価脂肪酸としては、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ナノデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ステアロール酸が挙げられる。1価脂肪族アルコールの例としては、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、ベヘニルアルコール、メリシルアルコール、ヘキシルデシルアルコール、オクチルドデシルアルコール、デシルミリスチルアルコール、デシルステアリルアルコール、ユニリンアルコール等の飽和・不飽和アルコールが挙げられる。 また、かかる成分を含有してなる天然に存在する脂肪酸またはこれらの混合物等でもよい。これらの脂肪酸はヒドロキシ基で置換されていてもよい。また、合成脂肪族アルコールであるユニリンアルコールの末端をカルボキシル変性した合成脂肪酸でもよい。上述の1価脂肪酸、1価脂肪族アルコールの中でもミリスチン酸とセチルアルコールのエステルであるミリスチン酸セチルが特に好ましい。
ウレイド化合物の具体例としては、アラントイン等が挙げられる。ヒドラジン誘導体としてはヒドラジド化合物を挙げることができる。ヒドラジド化合物の具体例としては、ジカルボン酸ジヒドラジドを挙げることができ、更に具体的には、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スペリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフタレンジカルボジヒドラジド等が挙げることができる。イミド化合物の具体例としてはスクシンイミド、グルタルイミド、フタルイミドを挙げることができる。これらのホルムアルデヒド反応性窒素原子を含む重合体又化合物は、1種類で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良く、配合量はポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して0.01〜8質量部が好ましい。
上記カルボン酸塩のカルボン酸としては、10〜36個の炭素原子を有する飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸が好ましく、これらのカルボン酸は水酸基で置換されていてもよい。飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸塩の具体的な例としては、ジミリスチン酸カルシウム、ジパルミチン酸カルシウム、ジステアリン酸カルシウム、(ミリスチン酸−パルミチン酸)カルシウム、(ミリスチン酸−ステアリン酸)カルシウム、(パルミチン酸−ステアリン酸)カルシウムが挙げられ、中でも好ましくは、ジパルミチン酸カルシウム、ジステアリン酸カルシウムである。
これらのギ酸捕捉剤は、1種類で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良く、配合量はポリアセタール樹脂100質量部に対して0.01〜8質量部が好ましい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の例としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス (α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。蓚酸アリニド系紫外線吸収剤の例としては、2−エトキシ−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−3’−ドデシルオキザリックアシッドビスアニリド等が挙げられる。好ましくは2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾールである。これらのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤はそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
板状充填剤としてはマイカ、ガラスフレーク、各種金属箔があげられる。中空状充填剤としては、ガラスバルーン、シリカバルーン、シラスバルーン、金属バルーン等があげられる。これらの充填剤は1種又は2種以上を併用して使用することが可能である。これらの充填剤は表面処理されたもの、未表面処理のもの、何れも使用可能であるが、成形表面の平滑性、機械的特性の面から表面処理の施されたものの使用のほうが好ましい場合がある。表面処理剤としては従来公知のものが使用可能である。例えば、シラン系、チタネート系、アルミニウム系、ジルコニウム系等の各種カップリング処理剤が使用できる。具体的にはN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリスステアロイルチタネート、ジイソプロポキシアンモニウムエチルアセテート、n−ブチルジルコネート等が挙げられる。
導電剤としては、金属粉末又は繊維が挙げられる。
本発明におけるポリアセタール樹脂組成物を得る方法は、全ての成分を予めブレンドし、押出機で溶融混練することもできるし、その一部、例えば導電性カーボンブラック(B)以外の成分を最初に溶融混練し、サイドから導電性カーボンブラック(B)をフィードすることもできる。ポリアセタール樹脂(A)および導電性カーボンブラック(B)以外の成分を、タンブラーミキサー、ドラムミキサー、ヘンシェルミキサーなどのブレンダーによって均一に混合した後、ポリアセタール樹脂(A)を押出機トップより、これとは別のフィーダーで前記均一混合物を同じく押出機トップよりフィードし、押出機のバレル内に連続的に供給することによって溶融混練させた後、溶融混練された溶融状態の前記組成物に導電性カーボンブラック(B)を押出機サイドより連続的に導入してさらに混練させ、押出機のダイより連続的に押出す形態が最も好ましい。さらにより好ましくは、添加剤の分散をより高めるため、ポリアセタール樹脂(A)を押出機トップとサイドより分割してフィードすることもできる。
本発明の成形体の具体的な用途としては、メンブレンスイッチ、キースイッチ、複写機ドラムフランジ、複写機ドラムギア、複写機チャージャー、電子ライター着火部材等、摺動時に安定した低い接触電気抵抗の要求される電気接点部材、特に優れた導電性・摺動性が要求される画像形成装置内の感光体ドラムフランジやプロセスカートリッジ部品、軸受け部材等である。
使用成分の内容
(A)ポリアセタール樹脂
(ポリアセタール樹脂の製造方法)
熱媒を通すことができるジャッケット付きの2軸セルフクリーニングタイプの重合機(L/D=8)を80℃に調整し、トリオキサンを4kg/hr、コモノマーとして1,3−ジオキソランを128.3g/h(トリオキサン1molに対して、3.9mol%)、連鎖移動剤としてメチラールをトリオキサン1molに対して0.25×10−3molを連続的に添加した。さらに重合触媒として三フッ化硼素ジ−n−ブチルエーテラートをトリオキサン1molに対して1.5×10−5molで連続的に添加し重合を行なった。重合機より排出されたポリアセタールコポリマーをトリエチルアミン0.1%水溶液中に投入し重合触媒の失活を行なった。失活されたポリアセタールコポリマーを遠心分離機でろ過した後、ポリアセタールコポリマー100質量部に対して、第4級アンモニウム化合物として水酸化コリン蟻酸塩(トリエチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムフォルメート)を含有した水溶液1質量部を添加して、均一に混合した後120℃で乾燥した。水酸化コリン蟻酸塩の添加量は、添加する水酸化コリン蟻酸塩を含有した水溶液中の水酸化コリン蟻酸塩の濃度を調整することにより行い、窒素量に換算して20質量ppmとした。乾燥後のポリアセタールコポリマーをベント付き2軸スクリュー式押出機に供給し、押出機中の溶融しているポリアセタールコポリマー100質量部に対して水を0.5質量部添加し、押出機設定温度200℃、押出機における滞留時間7分で不安定末端部分の分解除去を行なった。不安定末端部分の分解されたポリアセタールコポリマーは、ベント真空度20Torrの条件下に脱揮され、押出機ダイス部よりストランドとして押出され、ペレタイズされた。
(b−1)プリンテックスXE2−B〔DBP:420ml/100g〕(エボニック デグサ ジャパン (株)製)
(b−2)プリンテックスXE2〔DBP:370ml/100g〕(エボニック デグサ ジャパン (株)製)
(b−3)エンサコ350G〔DBP:320ml/100g〕(ティミカル製)
(C)黒鉛
(c−1)CPB〔鱗片状天然黒鉛、平均粒径19μm〕(日本黒鉛(株)製)
(c−2)F#3〔鱗片状天然黒鉛、平均粒径60μm〕(日本黒鉛(株)製)
(c−3)F#2〔鱗片状天然黒鉛、平均粒径130μm〕(日本黒鉛(株)製)
(d−1)サンテックLD L−1850A[ビカット軟化点87℃、MFR6.7g/10min、密度0.92g/cm3](旭化成ケミカルズ(株)製)
(d−2)ペトロセン249[ビカット軟化点78℃、MFR70g/10min、密度0.92g/cm3](東ソー(株)製)
(d−3)タフマーA4085[MFR3.7g/min](三井化学(株)製)
(d−4)ポリブチレンDP8510[MFR45g/min](サンアロマー(株)製)
(E)エステル
ミリスチン酸セチル(北広ケミカル(株)製)
(F)エポキシ化合物、エポキシ樹脂硬化性添加剤
エポキシ化合物としては、クレゾールノボラックとエピクロロヒドリンとの縮合物(エポキシ当量=350、軟化点=80℃)を、エポキシ樹脂硬化性添加剤としては、トリフェニルホスフィン(北興化学工業製)とジシアンジアミド(日本カーバイト工業製)を用いた。
東芝機械(株)製IS−100GN成形機を用いて、シリンダー温度205℃、金型温度90℃に設定し、射出圧力113MPa、射出時間秒、冷却時間秒の射出条件でISOダンベルを得た。このダンベルを用いISO 527に準じて引張弾性率を測定した。
メルトフローレート(安田精機(株)製)によって、荷重を10kgに設定し、その他の条件はJIS K 7210に準じて、MFR値を測定した。
シリンダー温度230℃に設定したウエスターン・トレーディング(株)製Arburg Allrounder 100に樹脂組成物を滞留させて12×3×120mmの成形片を成形した際に、成形片の表面の2/3にシルバーストリークが発生する限界滞留時間(分)を測定した。
ファナック(株)製α―50iA射出成形機を用いて、シリンダー温度190℃、金型温度80℃に設定し、射出圧力88MPa、射出時間10秒、冷却時間15秒の射出条件で、図1に示すようなサイズのU字型樹脂製軸受けを作成した。この部材をφ=8mmのカニゼンメッキされた金属製シャフトの軸受けとし、ヤマテコーポレーション製の軸受け導電性測定機にセットして軸受け下面より1000gの荷重をかけた。この状態でモーターにより金属シャフトを239rpm(周速度0.1m/s)の速度で回転させ、120分間連続稼動させた。この間、シャフトと軸受け部材を含む部分の抵抗値をテスター(日置電機製DMM3238)で直流6Vの電圧をかけて測定した。なお、測定端子部以外の電線等は漏電しないようにベークライトで被覆した。この連続電気抵抗測定において、測定開始直後、30分後、60分後、120分後の電気抵抗値を読み取った。電気抵抗値が小さいほど、導電性に優れることを示す。
上記軸受け磨耗導電性の測定を120分間行った後、樹脂製軸受けと金属シャフトを目視で観察し、以下のような判定を行った。
判定1:目視では磨耗粉が認められず、軸受け摺動面を指でなぞっても磨耗粉が指につかない。
判定2:目視では磨耗粉が認められないが、軸受け摺動面を指でなぞると磨耗粉が指につく。
判定3:目視で磨耗粉が認められ、金属シャフトに薄く摺動痕がついている。
以下実施例により本発明を更に具体的に説明する。
本実施例では、2軸押出機(東芝機械(株)製TEM−26SS押出機(L/D=48、ベント付き)を用いて樹脂組成物を製造した。本押出機の概略図を図2に示す。1〜12:押出機のバレルゾーン(個々に独立している)、13:ダイヘッド、14:押出機モーター、15:定量フィーダー(トップ大)(クボタ(株)製 CE−W−1)、16:定量フィーター(トップ小)(クボタ(株)製、CE−W−0)、17:定量フィーダー(サイド)(クボタ(株)製、CE−W−0)、18:脱気ベント
ポリアセタール樹脂(A)および導電性カーボンブラック(B)以外の成分をブレンダーで均一に混合した後、ポリアセタール樹脂(A)は定量フィーダー15より、前記均一混合物は定量フィーダー16よりトップフィードし、導電性カーボンブラック(B)は定量フィーター17よりサイドフィードした。
以下実施例により本発明を更に具体的に説明する。
シリンダー温度が200℃に設定された東芝機械(株)製TEM−26SS2軸押出機を用い、上述のフィード方法によって表1に記載の割合で押出機に原料をフィードして、18の脱気ベントより真空ポンプで脱気し、バレルゾーン5はガス抜きとして大気中に開放してスクリュー回転数150rpm、押出量10kg/hrで溶融混練を行った。なお、ポリアセタール樹脂(A)には(G)酸化防止剤として、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]0.3質量部、(G)熱安定剤としてナイロン6−6 0.05質量部およびメラミン0.1質量部を含むものを用いた。押出された樹脂はストランドカッターでペレットとした。このペレットを用いて上述の方法により引張弾性率、流動性、体積抵抗値、軸受け磨耗導電性測定を行い、結果を表1、表2に示した。なお、配合部数は質量部である。
導電性カーボンブラック(B)の種類を(b−3)として、その他は実施例7〜12と同様にして溶融混練を行って同様の測定を行い、結果を表3に示した。
導電性カーボンブラック(B)の添加量を3.5質量部として、その他は実施例10〜12と同様にして溶融混練を行って同様の測定を行い、結果を表3に示した。
エポキシ化合物(F)、エポキシ樹脂硬化性添加剤を添加しない条件で、その他は実施例10〜12と同様にして溶融混練を行って同様の測定を行い、結果を表3に示した。
黒鉛(C)を添加しない条件で、表3に示す配合にした他は実施例7〜9と同様にして溶融混錬を行って同様の測定を行い、結果を表3に示した。
13:ダイヘッド
14:押出機モーター
15〜17:定量フィーダー
18:脱気ベント
Claims (11)
- ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して、フタル酸ジブチル吸油量350ml/100g以上の導電性カーボンブラック(B)5〜15質量部、黒鉛(C)0.1〜10質量部、重量平均分子量で10,000〜300,000の低密度ポリエチレン樹脂(D)1〜20質量部、炭素数12〜30の1価脂肪酸と炭素数10〜30の1価脂肪族アルコールからなるエステル(E)0.1〜10質量部、及びエポキシ化合物(F)0.05〜10質量部を配合してなることを特徴とするポリアセタール樹脂組成物。
- 導電性カーボンブラック(B)のフタル酸ジブチル吸油量が400ml/100g以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 黒鉛(C)の平均粒径が0.5〜100μmであることを特徴とする請求項1または2に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 黒鉛(C)と導電性カーボンブラック(B)の質量比(C)/(B)が1/99〜50/50であることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 黒鉛(C)が天然黒鉛であることを特徴とする請求項1〜4いずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 酸化防止剤、ホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体または化合物、ギ酸捕捉剤、耐候(光)安定剤の少なくとも1種(G)を0.01〜10質量部含有してなることを特徴とする請求項1〜5いずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 請求項1〜6いずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物からなる射出成形体。
- 請求項1〜6いずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物からなる電気・電子機器内における電気接点部材。
- 請求項1〜6いずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物からなる画像形成装置内の感光体ドラムフランジ。
- 請求項1〜6いずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物からなる画像形成装置内のプロセスカートリッジ部品。
- 請求項1〜6いずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物からなる画像形成装置内の軸受け部材。
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