JP5972112B2 - 搬送装置用摺動部材 - Google Patents
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Description
〔1〕
(A)ポリアセタール樹脂:100質量部、
(B)イソシアネート化合物とポリアルキレンオキサイドとの重合体:0.5〜10質量部、
(C)平均粒子径が5〜20μmの範囲であるタルク:0.005〜0.03質量部、及び
(D)潤滑剤:0〜10質量部を含むポリアセタール樹脂組成物を、押出成形及びアニーリング処理し、切削加工する、
結晶化度が70%以上である搬送装置用摺動部材の製造方法。
〔2〕
前記(D)潤滑剤が、アルコール、脂肪酸、アルコールと脂肪酸とのエステル、アルコールとジカルボン酸とのエステル、平均重合度が10〜500であるオレフィン化合物、及びシリコーン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種である、〔1〕に記載の搬送装置用摺動部材の製造方法。
〔3〕
前記(C)タルクの平均粒子径が、10〜20μmの範囲である、〔1〕又は〔2〕に記載の搬送装置用摺動部材の製造方法。
〔4〕
前記結晶化度が71%以上である、〔1〕〜〔3〕いずれか1項に記載の搬送装置用摺動部材の製造方法。
〔5〕
体積固有抵抗値が、1×10 9 〜1×10 13 Ω・cmである、〔1〕〜〔4〕いずれか1項に記載の搬送装置用摺動部材の製造方法。
〔6〕
前記搬送装置用摺動部材が半導体搬送装置用の摺動部材である、〔5〕に記載の搬送装置用摺動部材の製造方法。
本実施形態の搬送装置用摺動部材は、
(A)ポリアセタール樹脂:100質量部、
(B)イソシアネート化合物とポリアルキレンオキサイドとの重合体:0.5〜10質量部、
(C)平均粒子径が5〜20μmの範囲であるタルク:0.005〜0.01質量部、及び
(D)潤滑剤:0〜10質量部を含むポリアセタール樹脂組成物を、押出成形及びアニーリング処理し、切削加工してなり、
結晶化度が70%以上である。
本実施形態に係るポリアセタール樹脂組成物は、ポリアセタール樹脂(A)を含む。用いるポリアセタール樹脂(A)としては、特に限定されないが、具体的には、ホルムアルデヒド単量体、及び/又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーを単独重合して得られる実質上オキシメチレン単位のみから成るポリアセタールホモポリマー;ホルムアルデヒド単量体及び/又はホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロルヒドリン、1,3−ジオキソランや1,4−ブタンジオールホルマール等のグリコールやジグリコールの環状ホルマール等の環状エーテル、環状ホルマールと、を共重合させて得られたポリアセタールコポリマー;ホルムアルデヒド単量体及び/又はホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、単官能グリシジルエーテルとを共重合させて得られる、分岐を有するポリアセタールコポリマー;ホルムアルデヒド単量体及び/又はホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、多官能グリシジルエーテルとを共重合させて得られる、架橋構造を有するポリアセタールコポリマー;両末端または片末端に水酸基等の官能基を有する化合物、例えばポリアルキレングリコールの存在下、ホルムアルデヒド単量体及び/又はホルムアルデヒドの環状オリゴマーを重合して得られるブロック成分を有するポリアセタールホモポリマー;両末端又は片末端に水酸基等の官能基を有する化合物、例えば水素添加ポリブタジエングリコールの存在下、ホルムアルデヒド単量体又はホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、環状エーテルや環状ホルマールと、を共重合させて得られるブロック成分を有するポリアセタールコポリマーを用いることができる。以上のように、本実施形態においては、ポリアセタールホモポリマー、ポリアセタールコポリマーのいずれも用いることが可能である。好ましいのはポリアセタールコポリマーである。
ポリアセタール樹脂(A)の重合における重合触媒としては、特に限定されないが、具体的には、ルイス酸、プロトン酸、及びルイス酸又はプロトン酸の、エステル又は無水物等のカチオン活性触媒が好ましい。ルイス酸としては、特に限定されないが、具体的には、ホウ酸、スズ、チタン、リン、ヒ素、及びアンチモンの、ハロゲン化物が挙げられる。ルイス酸として、より具体的には三フッ化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、五フッ化リン、五塩化リン、五フッ化アンチモン、及びそれらの、錯化合物又は塩が挙げられる。また、プロトン酸、プロトン酸の、エステル又は無水物としては、特に限定されないが、具体的には、パークロル酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パークロル酸−3級ブチルエステル、アセチルパークロラート、トリメチルオキソニウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。この中でも、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素水和物、及び酸素原子又は硫黄原子を含む有機化合物と三フッ化ホウ素との配位錯化合物が好ましく、具体的には、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル、三フッ化ホウ素ジ−n−ブチルエーテルを好適例として挙げることができる。
ポリアセタール樹脂(A)の重合方法としては、特に限定されないが、一般には塊状重合で行うことができ、バッチ式、連続式いずれも可能である。用いられる重合装置としては、特に限定されないが、具体的には、コニーダー、2軸スクリュー式連続押出混錬機、2軸パドル型連続混合機等のセルフクリーニング型押出混錬機が使用される。これら重合装置を用いた場合には、溶融状態のモノマーが重合機に供給され、重合の進行とともに固体塊状のポリアセタール樹脂(A)が得られる。
以上の重合で得られたポリアセタール樹脂(A)には、熱的に不安定な末端部〔−(OCH2)n−OH基〕が存在するため、不安定な末端部の分解除去処理を実施することが好ましい。特定の不安定末端部の分解除去処理としては、特に限定されないが、具体的には、下記一般式(1)で表わされる少なくとも1種の第4級アンモニウム化合物の存在下に、ポリアセタール樹脂(A)の融点以上260℃以下の温度で、ポリアセタール樹脂(A)を溶融させた状態で熱処理する方法が挙げられる。
[R1R2R3R4N+]nX-n 式(1)
(式中、R1、R2、R3、及びR4は、各々独立して、炭素数1〜30の非置換アルキル基若しくは置換アルキル基;炭素数6〜20のアリール基;炭素数1〜30の非置換アルキル基若しくは置換アルキル基の水素原子が少なくとも1個の炭素数6〜20のアリール基で置換されたアラルキル基;又は炭素数6〜20のアリール基の水素原子が少なくとも1個の炭素数1〜30の非置換アルキル基若しくは置換アルキル基で置換されたアルキルアリール基を表わし、前記非置換アルキル基又は前記置換アルキル基は直鎖状、分岐状、又は環状である。上記置換アルキル基の置換基はハロゲン、水酸基、アルデヒド基、カルボキシル基、アミノ基、又はアミド基である。また、上記非置換アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基は水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。nは1〜3の整数を表わす。Xは水酸基、又は炭素数1〜20のカルボン酸、ハロゲン化水素以外の水素酸、オキソ酸、無機チオ酸若しくは炭素数1〜20の有機チオ酸の酸残基を表わす。)
〔第4級アンモニウム化合物の使用量〕=P×14/Q 式(2)
(式中、Pは第4級アンモニウム化合物のポリアセタール樹脂(A)に対する濃度(質量ppm)を表わし、14は窒素の原子量であり、Qは第4級アンモニウム化合物の分子量を表わす。)
本実施形態に係る(B)成分は、イソシアネート化合物とポリアルキレンオキサイドとの重合体である。(B)成分は、イソシアネート化合物とポリアルキレンオキサイドとの重合体であれば特に制限されず、必要に応じて低分子量ジオール化合物を共重合させた重合体であってもよい。このような重合体は、特開平6−144889号公報、特開平7−316421号公報、及び特開平8−92476号公報等に記載された方法で製造することができる。
このイソシアネート化合物とポリアルキレンオキサイドとの重合体(B)は、前記公報に記載された方法で製造することができる。具体的には、押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等を用いて、イソシアネート化合物とポリアルキレンオキサイド、及び必要に応じて低分子量ジオール化合物を反応させることにより得られる。反応温度は一般的には30〜230℃であり、好ましくは40〜200℃で、反応時間は一般的には1分〜30時間であり、好ましくは3分〜5時間である。この反応は溶剤等を用いてもよく、溶剤としては、特に限定されないが、具体的には、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイド、ジオキサン、メチルエチルケトン及びトルエン等の溶媒が挙げられる。また、触媒として、特に限定されないが、具体的には、ジブチル錫ラウレート、ジオクチル錫ラウレート等の有機金属化合物;トリエチルアミン、ジアザビシクロウンデセン等のアミン類等のウレタン化触媒を用いることも可能である。
次に本実施形態で用いる(C)成分のタルクについて説明する。タルクの化学名は含水珪酸マグネシウムであり、一般的にSiO2約60%、MgO約30%と結晶水4.8%が主成分である。真比重は一般的に2.7〜2.8であり、白色度はJIS K−8123に準じて測定した数値が93%以上であることが好ましく、pHはJIS K−5101に準じて測定した数値が9.0〜10の範囲であることが好ましい。また、45μm篩残分はJIS K−5101に準じて測定した数値が0.2%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましく、0.08%以下であるであることがさらに好ましい。45μm篩残分が上記好ましい範囲であることにより、耐衝撃性(繰返衝撃性)により優れる傾向にある。
本実施形態の(D)成分に用いられる潤滑剤は、特に限定されないが、具体的には、アルコール、脂肪酸、アルコールと脂肪酸とのエステル、アルコールとジカルボン酸とのエステル、ポリオキシアルキレングリコール、及び平均重合度が10〜500であるオレフィン化合物、及びシリコーン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。潤滑剤を配合する場合の配合量は、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して10質量部以下であることが好ましい。好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.01〜1質量部である。
〔(M2+)1-X(M3+)X(OH)2〕X +〔(An-)x/n・mH2O〕X - (4)
〔式中、M2+は2価金属、M3+は3価金属、An-はn価(nは1以上の整数)のアニオン表わし、Xは、0<X≦0.33の範囲にあり、mは正の数である。〕
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物の製造方法は一般的に使用されている溶融混練機を用いることができる。溶融混練機としてはニーダー、ロールミル、単軸押出機、二軸押出機、多軸押出機等上げることができる。このときの加工温度は180〜240℃であることが好ましく、品質や作業環境の保持のためには不活性ガスによる置換や一段及び多段ベントで脱気することが好ましい。
本実施形態の搬送装置用摺動部材は、ポリアセタール樹脂組成物を、押出成形及びアニーリング処理し、切削加工して得ることができる。
押出成形は、単軸押出機或いは二軸押出機に成形金型を接続させ、金型出口近傍に押出されてきた成形品を押さえるローラー等を組み合わせた装置を用いて、180〜220℃の温度条件で行なうことができる。
アニーリング処理は、ギヤオーブン等の加熱処理招致用いて、100〜150℃で数時間〜100時間という条件で行なうことができる。この際、加熱温度と処理時間で結晶化度を制御することができる。
切削加工においては、特に限定されないが、具体的には、押出成形で成形した直径数mm〜数10cmφの丸棒や数mm〜数10cmの厚板をアニール処理(通常は100〜150℃で数時間〜100時間の加熱処理)を行った後、フライス盤等の切削加工機械を用いて切削することで行うことができる。これにより成形品が用いられる。
本実施形態の搬送装置用摺動部材としては、特に限定されないが、例えば、回転軸受、コロ軸受、滑り軸受、搬送ローラー、プーリー、半導体搬送装置用の摺動部材等を挙げることができる。本実施形態の搬送装置用摺動部材は、帯電防止性、摩擦摩耗性能及び耐衝撃性に優れさらにポリアセタール樹脂の有する剛性、耐熱性、耐溶剤性、寸法安定性、耐クリープ特性等に優れており、導電性カーボンブラック、低分子の帯電防止剤を含有しないため、それらの成分のブリードや脱落による汚染を防止できる。そのため、特に、半導体搬送装置等の回転軸受け、搬送ローラー、プーリー等の半導体搬送装置用の摺動部材の用途に好適である。
(A)ポリアセタール樹脂
a−1:熱媒を通すことができるジャッケット付きの2軸セルフクリーニングタイプの重合機(L/D=8)を80℃に調整し、トリオキサンを4kg/hr、コモノマーとして1,3−ジオキソランを42.8g/h(トリオキサン1molに対して、1.3mol%)、連鎖移動剤としてメチラールをトリオキサン1molに対して0.18×10-3molを連続的に添加した。さらに重合触媒として三フッ化硼素ジ−n−ブチルエーテラートをトリオキサン1molに対して1.5×10-5molで連続的に添加し重合を行なった。重合機より排出されたポリアセタールコポリマーをトリエチルアミン0.1%水溶液中に投入し重合触媒の失活を行なった。失活されたポリアセタールコポリマーを遠心分離機でろ過した後、ポリアセタールコポリマー100質量部に対して、第4級アンモニウム化合物として水酸化コリン蟻酸塩(トリエチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムフォルメート)を含有した水溶液1質量部を添加して、均一に混合した後120℃で乾燥した。水酸化コリン蟻酸塩の添加量は、添加する水酸化コリン蟻酸塩を含有した水溶液中の水酸化コリン蟻酸塩の濃度を調整することにより行い、窒素量に換算して20質量ppmとした。乾燥後のポリアセタールコポリマーをベント付き2軸スクリュー式押出機に供給し、押出機中の溶融しているポリアセタールコポリマー100質量部に対して水を0.5質量部添加し、押出機設定温度200℃、押出機における滞留時間7分で不安定末端部分の分解除去を行なった。不安定末端部分の分解されたポリアセタールコポリマーは、ベント真空度20Torrの条件下に脱揮され、押出機ダイス部よりストランドとして押出され、ペレタイズされた。このようにして得られたポリアセタール樹脂(a−1)の融点は169.5℃であった。
b−1:重量平均分子量2000のポリエチレングリコール89.0質量部とジフェニルメタンジイソシアネート11.0質量部を池貝鉄工(株)製PCM−30二軸押出機(30mmφ、L/D=32)を用いて、シリンダー温度190℃で5分間溶融混練を行った。得られた樹脂をゲルパーメーションクロマトグラフ(クロロホルム溶媒)を用いて測定したポリスチレン換算重量平均分子量は200,000で、体積固有抵抗値は1×109Ω・cmであった。
b−4:日本ポリウレタン株式会社製、ミラクトランP22M(比較例)、体積固有抵抗値は1×1014Ω・cm。
b−5:三洋化成工業株式会社製、ペレスタットNC6321NC(比較例)、体積固有抵抗値は1×109Ω・cm。
c−1:日本タルク株式会社製MS(表面未処理) 平均粒子径 14.5μm
c−2:日本タルク株式会社製MS(表面未処理) 平均粒子径 18.8μm
c−3:日本タルク株式会社製MS(表面未処理) 平均粒子径 11.1μm
c−4:日本タルク株式会社製K−1(表面未処理) 平均粒子径 8.2μm
c−5:日本タルク株式会社製P−3(表面未処理) 平均粒子径 5.2μm
c−6:日本タルク株式会社製SG−95(表面未処理) 平均粒子径 2.4μm
c−7:日本タルク株式会社製MS−KY(表面未処理) 平均粒子径 24.5μm
c−8:電気化学工業社製デンカボロンナイトライド HGP(製品名)
平均粒子径 5.0μm
d−1:ミリスチン酸セチルエステル
d−2:エチレングリコールジステアレート
d−3:ポリエチレングリコールモノラウレート(エチレンオキサイド重合度20)
1.メルトフローレート:
実施例、比較例の組成物を、ISO 1133に基づいて測定した。
1)引張強度、引張弾性率:
ISOダンベル試験片を用い、ISO 527に基づき、引張強度、引張弾性率を測定した。
ISOダンベル試験片を用いISO 179に基づき、シャルピー衝撃強度を測定した。
ISOダンベル試験片を東洋精機(株)製繰り返し衝撃試験機 商品名「AT繰り返し衝撃試験機」で、荷重260g、落下高さ20mm、落下速度35回/分の条件で繰り返し衝撃試験を行い、破断するまでの回数を測定した。
ISOダンベル試験片を、往復動摩擦摩耗試験機(東洋精密(株)製AFT−15MS型)を用いて荷重4kg、線速度30mm/sec、往復距離20mm及び環境温度23℃の条件で30,000回往復し、摩擦係数と摩耗量の測定を行った。摩擦摩耗性能測定の相手材料としては、SUS304試験片(直径5mmの球)を用いた。
(B)成分の重合体で作製した試験片、及び実施例、比較例で作製した体積固有抵抗値測定用試験片(100×100×2mm)をそれぞれ用い、デジタル超抵抗計/微小電流計(アドバンテスト製、R8340/R12704(製品名))により、23℃、湿度50%RHの雰囲気下でASTM D257に準拠し測定を行った。
ISOダンベル試験片の中央部から、10mgの樹脂を削り出し、示唆熱量計(パーキンエルマー社製、DSC−80000)を用い、5℃/分の速度にて200℃まで昇温する過程で発生する発熱ピークから融解熱ΔH(J/g)を求め、これを文献(‘61Jounal of Research:Hoffman, Lauritzen)に記載された結晶化度100%の値(ΔHf=222J/g)から以下の式で計算して求めた。
結晶化度(%)=ΔH/ΔHf×100×組成物中のポリアセタールの重量比
a−1成分100質量部、b−1成分3質量部、c−1成分0.01質量部に、安定剤としてトリエチレングリコール−ビス−〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕0.3質量部、及びステアリン酸カルシウム0.05質量部をヘンシェルミキサーで均一にブレンドした後、200℃に設定されたL/D=30の二軸押出機を用い、ベント口より減圧脱気下で混練押出を行った。押出された樹脂はストランドカッターでペレットとした。このペレットを用いて、以下の条件で射出成形品、押出成形品を作製し、評価を行った。結果を表1に示した。
得られたペレットを80℃で3時間乾燥した後、シリンダー温度205℃に設定された5オンス成形機(東芝機械(株)製、商品名「IS−100GN」)を用いて、金型温度90℃、射出時間35秒、冷却時間15秒の条件で物性評価用ISOダンベル試験片と体積固有抵抗値測定用試験片を成形した。この試験片を用いて上記の試験を行った。
得られたペレットを80℃で3時間乾燥した後、シリンダー温度180℃に設定されたL/D=25の30mmφ単軸押出機を用いて、押出しを行い、押出し機の先端部に設置された、丸棒成形用金型(長さ0.5m、内径55mmφ、温度20℃)に流し込み、樹脂圧15kg/cm2の条件で丸棒状の成形品を得た。この55mmφの丸棒を140℃のギヤオーブンで24時間アニーリングを行った。このアニーリング後の丸棒をフライス盤で縦方向で切削加工して、ISOダンベル試験片と体積固有抵抗値測定用試験片を成形した。この試験片を用いて上記の試験を行った。
押出成形後のアニール温度と時間を100℃、5時間としたこと以外は、実施例1と同様の処理をして、比較例1のISOダンベル試験片と体積固有抵抗値測定用試験片成形アニール後切削試験片を作製した。これら試験片について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示した。
押出成形後のアニール温度と時間を120℃、5時間としたこと以外は、実施例1と同様の処理をして、比較例2のISOダンベル試験片と体積固有抵抗値測定用試験片を作製した。これら試験片について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示した。
c−1成分を、表1に示したc−2〜c−5成分に変更したこと以外は、実施例1と同様の処理をして、実施例2〜5の、ISOダンベル試験片と体積固有抵抗値測定用試験片を作製した。これら試験片について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示した。
c−1成分を、表1に示したc−6〜c−8成分と含有量に変更したこと以外は、実施例1と同様の処理をして、比較例3〜5の、ISOダンベル試験片と体積固有抵抗値測定用試験片を作製した。これら試験片について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示した。
c−1成分を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の処理をして、比較例6のISOダンベル試験片と体積固有抵抗値測定用試験片を作製した。これら試験片について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示した。
c−1成分を、表1に示した含有量に変更したこと以外は、実施例1と同様の処理をして、比較例7,8の、ISOダンベル試験片と体積固有抵抗値測定用試験片を作製した。これら試験片について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示した。
b−1成分を、表2に示した含有量に変更したこと以外は、実施例1と同様の処理をして、実施例6〜8、比較例9の、ISOダンベル試験片と体積固有抵抗値測定用試験片を作製した。これら試験片について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表2に示した。
b−1成分を、表2に示したb−2〜b−5成分に変更したこと以外は実施例1と同様の処理をして、実施例9,10、比較例10、11の、ISOダンベル試験片と体積固有抵抗値測定用試験片を作製した。これら試験片について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表2に示した。
a−1成分100質量部、b−1成分3質量部、c−1成分0.01質量部、d−1成分0.5質量部に、安定剤としてトリエチレングリコール−ビス−〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕0.3質量部、ステアリン酸カルシウム0.05質量部をヘンシェルミキサーで均一にブレンドした後、200℃に設定されたL/D=30の二軸押出機を用い、ベント口より減圧脱気下で混練押出を行った。押出された樹脂はストランドカッターでペレットとした。このペレットを用いて、射出成形品、押出成形品を実施例1に記載した方法で作製し、評価を行った。結果を表3に示した。
d−1成分を、表3に示したd−2〜3成分に変更したこと以外は、実施例11と同様の処理をして、実施例12〜13のISOダンベル試験片と体積固有抵抗値測定用試験片を作製した。これら試験片について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表3に示した。
a−1成分を、表3に示したa−2成分に変更したこと以外は、実施例1と同様の処理をして、実施例14のISOダンベル試験片と体積固有抵抗値測定用試験片を作製した。これら試験片について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表3に示した。
c−1成分を、表3に示したc−2〜c−5成分に変更したこと以外は、実施例14と同様の処理をして、実施例15〜18の、ISOダンベル試験片と体積固有抵抗値測定用試験片を作製した。これら試験片について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表3に示した。
c−1成分を、表3に示したc−6、c−7成分に変更したこと以外は、実施例14と同様の処理をして、比較例12,13の、ISOダンベル試験片と体積固有抵抗値測定用試験片を作製した。これら試験片について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表3に示した。
この高性能の範囲はタルク成分の特定の粒子径範囲と添加量範囲にあることを実施例1〜5、比較例1〜6で示した。また、イソシアネート化合物とポリアルキレンオキサイドとの重合体の添加量範囲、潤滑剤成分の添加による摩擦摩耗性の更なる改良効果及びポリアセタールのコモノマーの影響等について、実施例6〜18、比較例8〜11に示した。
Claims (6)
- (A)ポリアセタール樹脂:100質量部、
(B)イソシアネート化合物とポリアルキレンオキサイドとの重合体:0.5〜10質量部、
(C)平均粒子径が5〜20μmの範囲であるタルク:0.005〜0.03質量部、及び
(D)潤滑剤:0〜10質量部を含むポリアセタール樹脂組成物を、押出成形及びアニーリング処理し、切削加工する、
結晶化度が70%以上である搬送装置用摺動部材の製造方法。 - 前記(D)潤滑剤が、アルコール、脂肪酸、アルコールと脂肪酸とのエステル、アルコールとジカルボン酸とのエステル、平均重合度が10〜500であるオレフィン化合物、及びシリコーン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項1に記載の搬送装置用摺動部材の製造方法。
- 前記(C)タルクの平均粒子径が、10〜20μmの範囲である、請求項1又は2に記載の搬送装置用摺動部材の製造方法。
- 前記結晶化度が71%以上である、請求項1〜3いずれか1項に記載の搬送装置用摺動部材の製造方法。
- 体積固有抵抗値が、1×109〜1×1013Ω・cmである、請求項1〜4いずれか1項に記載の搬送装置用摺動部材の製造方法。
- 前記搬送装置用摺動部材が半導体搬送装置用の摺動部材である、請求項5に記載の搬送装置用摺動部材の製造方法。
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