JP3215442B2 - 高剛性オキシメチレン重合体樹脂成形品 - Google Patents
高剛性オキシメチレン重合体樹脂成形品Info
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Description
関する。さらに詳しくは、本発明は、オキシメチレン単
独重合体樹脂、オキシメチレンモノマーとそれに共重合
可能なコモノマーとの共重合体であってコモノマーの量
が極めて限定されたオキシメチレン共重合体樹脂及びこ
れらの混合物からなる群から選ばれるオキシメチレン重
合体樹脂から成形され、結晶化度が72%以上で、かつ平
均結晶子径が150Å以上であり、しかも60μm以下の直
径を有する球晶が成形品の全体積の70%以上を占めると
いう改良された結晶構造を有し、さらに厚みが1mm以上
であって、機械的特性、特に高い剛性(曲げ弾性率)を
有するオキシメチレン重合体樹脂成形品に関する。
材や精密部材の素材として有利に用いられ、しかも高温
で高い剛性と熱伝導度とを有するので、電気、電子部品
の用途に有用である。
疲労性、自己潤滑性、耐熱性等に優れていることから、
各種工業用途、例えば自動車、電気製品、電子製品、OA
機器等の各種機械の部品等の分野において広範囲に使用
されている。
形品が本来有する上記の諸特性に加えてより高度な機械
的特性が要求される用途においては、オキシメチレン重
合体樹脂にガラス繊維、炭素繊維等の補強材料(充填
剤)を多量に配合して成形する複合化が行われている。
しかしながら、このような補強材料を多量に用いた成形
品の場合、比重の増大、摺動性の悪化、及び表面外観の
悪化等の問題があった。
オキシメチレン重合体樹脂成形品の特性を向上させるた
めに、オキシメチレン重合体樹脂の有する結晶構造を改
良しようとする試みがなされている。例えば、比較的高
温下で等温結晶化を行う方法、或いはアニール処理を行
う方法が知られている{J.of Appl.Polym.Sci vol.1,
p.169(1959),J.Macromol.Sci.Phys.B13(3)p.323
(1977),Polymer vol.19,p.1163(1978),J.of App
l.Polym.Sci vol.55,p.489(1995)等}。これらの方
法により得られるオキシメチレン重合体樹脂成形品は、
結晶化度は大幅に改良されるものの、剛性の改良の程度
が小さい上に伸度や靭性が低下するので、必ずしも十分
に満足すべきものではなかった。
させる他の方法として、結晶核剤を配合する方法や未溶
融核の核剤現象(融点をわずかに超えて加熱されたポリ
マーにおけるわずかな規則性又は特殊な構造に起因する
と考えられる結晶化を促進する現象)を利用する方法
{Polymer vol.20,p.1470(1979),Polymer Bul let
in 24,p.445(1990)等}が知られている。これらの方
法により得られるオキシメチレン重合体樹脂成形品は、
球晶径は微細化されるものの、剛性を大幅に改良する事
は困難であり、必ずしも十分に満足すべきものではなか
った。
融核の核剤現象による球晶径の微細化と結晶化度の改良
とが同時になされたオキシメチレン単独重合体樹脂成形
品が記載されている。しかし、この文献で報告されてい
る成形品の剛性は、3.54GPa程度であり、剛性の改良の
程度は必ずしも十分に満足すべきものではなかった。こ
のような剛性の改良が不十分となる理由は、この文献に
記載された成形条件から推測すると、結晶の発達、特に
平均結晶子径として評価される構造が不十分であり、十
分大きな平均結晶子径を得ることができなかったためと
考えられる。
材)を全く又は殆ど使用することなく、機械的特性を向
上させたオキシメチレン重合体樹脂成形品を開発すべく
鋭意検討した結果、高結晶化(72%以上の結晶化度、15
0Å以上の平均結晶子径)及び球晶の微細化(60μm以
下の直径を有する球晶が成形品の全体積の70%以上を占
める)を同時に満足し、さらに厚みが1mm以上であるオ
キシメチレン重合体樹脂成形品は、優れた機械的特性、
特に高い剛性(曲げ弾性率)を発現することを見出し、
本発明を完成させた。
を全く又は殆ど使用することなく、改善された機械的特
性、特に高い剛性(曲げ弾性率)を有するオキシメチレ
ン重合体樹脂成形品を提供することにある。
は、次の詳細な説明、請求の範囲及び添付の図面から明
らかになる。
シメチレン重合体樹脂の結晶構造の改良(球晶の微細化
及び高結晶化)のための手段を示すフローチャートであ
る。図1において、結晶核剤の添加及び可塑化条件の改
良の両方を行ってもよい。
キシメチレン共重合体樹脂及びこれらの混合物からなる
群から選ばれるオキシメチレン重合体樹脂を成形するこ
とによって製造されるオキシメチレン重合体樹脂成形品
であって、前記オキシメチレン共重合体樹脂が、オキシ
メチレンモノマー単位からなるポリマー鎖中にオキシメ
チレンモノマー単位100モル当たり0.01〜1.0モルのオキ
シアルキレンコモノマー単位がランダムに導入された構
造を有するオキシメチレン共重合体樹脂であるととも
に、成形品として下記特性(1)〜(4)を有すること
を特徴とする高剛性オキシメチレン重合体樹脂成形品が
提供される。
積の70%以上を占めていること、及び (4)厚みが1mm以上であること。
々の態様をいかに列挙する。
合体樹脂及びこれの混合物からなる群から選ばれるオキ
シメチレン重合体樹脂を成形することによって製造され
るオキシメチレン重合体樹脂成形品であって、前記オキ
シメチレン共重合体樹脂が、オキシメチレンモノマー単
位からなるポリマー鎖中にオキシメチレンモノマー単位
100モル当たり0.01〜1.0モルのオキシアルキレンコモノ
マー単位がランダムに導入された構造を有するオキシメ
チレン共重合体樹脂であるとともに、成形品として下記
特性(1)〜(4)を有することを特徴とする高剛性オ
キシメチレン重合体樹脂成形品。
積の70%以上を占めていること、及び (4) 厚みが1mm以上であること。
出成形であることを特徴とする前項1に記載の樹脂成形
品。
成形品の全体積の70%以上を占めていることである前項
1又は2に記載の樹脂成形品。
量%の結晶核剤を含有することを特徴とする前項1〜3
のいずれかに記載の樹脂成形品。
カ及びカーボンブラックからなる群から選ばれる少なく
とも一種であることを特徴とする前項4に記載の樹脂成
形品。
キシメチレン重合体樹脂の融点以上、融点よりも10℃高
い温度以下の温度で可塑化することを特徴とする前項1
〜5のいずれかに記載の樹脂成形品。
に、前記オキシメチレン重合体樹脂の融点よりも15℃高
い温度以上の熱履歴を経ていないことを特徴とする前項
1〜6のいずれかに記載の樹脂成形品。
た後に、前記オキシメチレン重合体樹脂の融点よりも30
℃低い温度以上、融点以下の温度で結晶化することを特
徴とする前項1〜7のいずれかに記載の樹脂成形品。
記オキシメチレン重合体樹脂の融点よりも10℃低い温度
以上、融点以下の温度でアニール処理することを特徴と
する前項1〜8のいずれかに記載の樹脂成形品。
単独重合樹脂であることを特徴とする前項1〜9のいず
れかに記載の樹脂成形品。
成形品。
子機器用、又は自動車用の部品である前項1〜11のいず
れかに記載の樹脂成形品。
メチレン重合体樹脂を射出又は押出成形することによっ
て製造されるオキシメチレン重合体樹脂成形品であっ
て、下記特性を有するものである。
積の70%以上を占めていること、及び (4) 厚みが1mm以上であること。
脂は、オキシメチレン単独重合体であってもよいし、オ
キシメチレン共重合体であってもよい。また、これらの
混合物であってもよい。このオキシメチレン重合体樹脂
の重合度については通常の成形に用いられるものであれ
ば特に制限はないが、例えば、メルトインデックス{Me
lt Index(MI)}が、1〜50g/10分のものを好適に用
いることができる。オキシメチレン単独重合体は、ホル
ムアルデヒド、又はその三量体(トリオキサン)や四量
体(テトラオキサン)などの環状オリゴマーを重合して
得られる実質上オキシメチレン単位−(−CH2O−)−か
ら成るものである。
位から成るポリマー鎖中にオキシアルキレン単位がラン
ダムに導入された構造を有する重合体であって、オキシ
メチレン共重合体中のオキシアルキレン単位の含有量
は、オキシメチレン単位100モル当たり、通常0.01〜1.0
モル、好ましくは0.01〜0.8モルの範囲で選ばれる。こ
のオキシアルキレン単位としては、例えばオキシエチレ
ン単位、直鎖又は分岐状のオキシプロピレン単位、直鎖
又は分岐状のオキシブチレン単位、オキシフェニルエチ
レン単位などが挙げられ、これらは1種導入されていて
もよいし、2種以上導入されていてもよい。これらのオ
キシアルキレン単位の中で、特にオキシエチレン単位及
び直鎖状オキシプロピレン単位及び、直鎖状オキシブチ
レン単位がオキシメチレン重合体樹脂の物性を向上させ
る点から好適である。前記オキシメチレン共重合体は、
ホルムアルデヒド又はトリオキサン、テトラオキサン等
のホルムアルデヒド環状オリゴマーと、エチレンオキシ
ド、プロピレンオキシド、エピクロルヒドリン、1,3−
ジオキソラン、グリコールのホルマール、ジグリコール
のホルマール等の環状エーテルとを共重合させることに
より得られる。本発明においては、前記オキシメチレン
重合体樹脂は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わ
せて用いてもよい。
れた結晶構造を有するもので、具体的には、高結晶化
(結晶化度及び平均結晶子径の改良)並びに球晶の微細
化の両者が達成されてなるものである。
品の比重、X線回折、赤外線(IR)スペクトル分析、示
差走査熱量分析等の解析手法によって評価できる。これ
らのうち簡便な方法として、X線回折によって結晶化度
が求められる。従来一般に製造されているオキシメチレ
ン重合体樹脂成形品の結晶化度が凡そ55〜70%程度であ
るのに対し、本発明の成形品は、結晶化度が72%以上で
あることが必要であり、好ましくは75%以上、さらに好
ましくは78%以上である。上限については特に制限はな
いが、例えば95%を挙げることができる。
れる微結晶によって構成されており、結晶子の大きさを
定量的に評価する方法としてX線回折によるSherrer法
が広く用いられている。本発明におけるオキシメチレン
重合体樹脂の結晶では、2θ=34.6゜付近に現れる(10
5)面のピークの半価幅を得、Sherrerの式から結晶子の
大きさを得る。従来一般に製造されているオキシメチレ
ン重合体樹脂成形品の平均結晶子径が凡そ80〜120Å程
度であるのに対し、本発明の成形品は、平均結晶径が15
0Å以上であることが必要であり、好ましくは160Å以
上、さらに好ましくは180Å以上である。上限について
は特に制限はないが、例えば300Åを挙げることができ
る。このような結晶化度及び平均結晶子径が改良された
成形品が、同時に球晶径が微細化された場合に、機械的
特性が大幅に改良される。
成形品の球晶の直径が凡そ100〜300μm程度であるのに
対し、本発明の成形品は、成形品の体積中の70%以上
を、その直径が60μm以下、好ましくは30μm以下、さ
らに好ましくは15μm以下である微細な球晶が占めてい
る。成形品の体積中の70%以上を占める球晶の直径の下
限としては特に制限はないが、例えば0.5〜1μmを挙
げることができる。
造する方法について説明する。
示す製造工程(重合体製造、前処理(造粒、添加剤の配
合等)、可塑化、成形、後処理)を経て製造される。
晶化(結晶化度及び平均結晶子径の改良)方法と、前記
球晶の大きさの改良(微細化)方法とを組み合わせて用
いる事によって製造することが出来る。
(結晶化度及び平均結晶子径の改良)方法について説明
し、次に球晶の大きさの改良(微細化)方法について説
明する。
化度及び平均結晶子径の改良)方法の好ましい例とし
て、2種類の方法、すなわち樹脂の結晶化条件を改良す
る方法、及び成形品にアニール処理を施す方法を挙げる
事ができる。この2種類の方法は、単独で用いてもよ
く、組み合わせて用いてもよい。
温度は、熱による悪影響を受けない、例えば熱分解をし
ない限度において高温である方が有利であるが、通常の
成形工程において結晶化を行う場合には、その結晶化温
度は樹脂の融点よりもはるかに低い温度となっている。
例えば、オキシメチレン単独重合体樹脂であるポリオキ
シメチレン樹脂の融点は176℃であるが、通常の射出成
形では、成形サイクル(時間)の短縮のため、100℃以
下に温度調節された金型を用いて成形する。しかし、こ
のような急冷の条件では樹脂の冷却速度が極めて速い為
に樹脂の過冷却度が大きく、145℃以下の温度で結晶化
し、前述の高結晶化を図る事はできない。この過冷却を
生ずる温度は、樹脂を結晶化させる時の冷却速度によっ
て変化する。すなわち、時間をかけて徐冷すればするほ
ど過冷却は小さくなり、より高い温度で結晶化させるこ
とができ、高結晶化を達成することが期待できる。しか
し、長時間高温下に曝すと樹脂が熱による悪影響を受け
る、例えば熱分解するという問題が発生する。本発明に
用いられる方法は、このような高結晶化に関する二律背
反の問題を,結晶化条件を改良することにより解決した
ものである。すなわち、本発明における樹脂の高結晶化
の方法は、可塑化した樹脂が結晶化する温度を、比較的
高温下、すなわち、オキシメチレン重合体樹脂の融点よ
りも30℃低い温度以上、オキシメチレン重合体樹脂の融
点以下、好ましくは、オキシメチレン重合体樹脂の融点
よりも27℃低い温度以上、オキシメチレン重合体樹脂の
融点以下、更に好ましくは、オキシメチレン重合体樹脂
の融点よりも25℃低い温度以上、オキシメチレン重合体
樹脂の融点以下に調節するものである。尚、ここで用い
るオキシメチレン重合体樹脂の融点の求め方については
後で説明する。
度調節の具体的な手段としては、例えば、成形金型の温
度を調節することにより樹脂の冷却速度を調節すること
又は可塑化された樹脂を等温結晶化させること等を挙げ
る事ができる。これらのことにより、樹脂の過冷却度を
小さく抑えて高結晶化を達成することができる。成形金
型の温度を調節することにより樹脂の冷却速度を調節す
る場合、冷却速度は通常50℃/分以下、好ましくは20℃
/分以下、さらに好ましくは10℃/分以下である。
樹脂を結晶化させるため、成形金型を型締めしたまま
で、通常30秒間以上、好ましくは60秒間以上、10時間以
下の保持時間で、また前記範囲内の保持温度で保持す
る。この時、樹脂が熱による悪影響を受けない、例えば
熱分解しない限度において、より高温下で、より長時間
かけて成形することが高結晶化の達成、延いては機械的
特性の改良のためには好ましい。この意味で、より好ま
しい結晶化温度の範囲はオキシメチレン重合体樹脂の融
点よりも27℃低い温度以上、オキシメチレン重合体樹脂
の融点よりも5℃低い温度以下である。
温度設定は、その融点よりも30℃低い温度以上、融点以
下の範囲内の温度であれば、その範囲から任意に選択す
る事ができる。また、成形工程において、オキシメチレ
ン重合体樹脂の温度を、所定時間保持してもその樹脂が
熱による悪影響を受けない、例えば熱分解しない限度の
温度となるまで先ず徐冷し、次いでその温度で所定時間
保持する様な多段階の成形方法が、高結晶化のために有
効である。また、徐冷後の温度で所定時間保持すること
は、結晶化後の後述のアニール処理の効果を同時に施す
ことができるため、一層、高結晶化のために有効であ
る。
度及び平均結晶子径の改良)方法を説明する。この方法
は通常の成形方法(前述の結晶化条件を改良することを
採用したものであってもよい)によって成形されたオキ
シメチレン重合体樹脂成形品を、オキシメチレン重合体
樹脂の融点よりも10℃低い温度以上、オキシメチレン重
合体樹脂の融点以下という極めて高温下でアニール処理
することで高結晶化を達成することができる。通常の成
形方法とは、射出成形、押出成形、プレス成形(圧縮成
形)、加熱加圧成形、スタンピング成形等、現在、熱可
塑性樹脂の成形に用いられる公知の方法で、一般的な成
形条件の下での成形方法である。中でも射出成形及び押
出成形が好ましい。アニール処理の条件は、樹脂が熱に
よる悪影響を受けない、例えば熱分解しない限度におい
て、より高温、より長時間である程有効であるため、好
ましいアニール処理の温度範囲はオキシメチレン重合体
樹脂の融点よりも8℃低い温度以上、オキシメチレン重
合体樹脂の融点以下であり、好ましいアニール処理の保
持時間の範囲は30秒以上、10時間以下である。
て説明する。
ましい例として、2種類の方法、すなわち結晶核剤を用
いる方法及びオキシメチレン重合体樹脂の可塑化条件を
改良して未溶融核による核剤効果を生起させる方法を挙
げる事ができる。この2種類の方法は、単独で用いても
よく、組み合わせて用いてもよい。
場合、好ましくは原料のオキシメチレン重合体に1重量
ppm〜5重量%、さらに好ましくは、5重量ppm〜3重量
%の範囲の核剤を添加することによって微細化すること
が出来る。結晶核剤としては、例えば窒化ホウ素、タル
ク、シリカ、マイカ、カーボンブラック等が好ましく用
いられる。また、例えば低重合度(例えば、メルトイン
デックスが50g/10分を越える)のオキシメチレン重合体
樹脂や、分岐構造や架橋構造を有するオキシメチレン重
合体樹脂を、メルトインデックスが1〜50g/10分の通常
のオキシメチレン重合体樹脂との合計量の0.1〜50重量
%使用する事によっても球晶の大きさを微細化すること
が出来る。
して未溶融核による核剤効果を生起させる方法として
は、原料のオキシメチレン重合体樹脂をその融点以上、
オキシメチレン重合体樹脂の融点よりも10℃高い温度以
下の温度範囲で可塑化することが好ましく、さらに好ま
しくはオキシメチレン重合体樹脂の融点以上、オキシメ
チレン重合体樹脂の融点よりも8℃高い温度以下の範囲
である。
メチレン樹脂の融点は176℃であるが、成形に際して通
常200〜220℃の温度で可塑化されている。本発明ではこ
れを186℃以下、好ましは184℃以下、176℃以上の温度
で可塑化して成形に用いる。
は、原料であるオキシメチレン重合体樹脂の調製方法に
よって更に大幅に改良される。特に重合されて以後、オ
キシメチレン重合体樹脂の融点よりも15℃高い温度以上
の熱履歴を経ることなく調製されたオキシメチレン重合
体樹脂を用いた場合、一層球晶が微細化されると共に良
好な機械的特性を示す。これは原料として高結晶化度
の、又は分子鎖の絡み合いの少ないオキシメチレン重合
体樹脂を使用することが、本発明の成形条件の下での結
晶化挙動に好ましい影響を与えるためと考えられる。
好ましくは、射出成形または押出成形によって製造され
るが、剛性を充分に発現させる為にはオキシメチレン重
合体樹脂が成形品の内部で一様に結晶化していることが
必要である。成形品の厚みが、1mm未満であると、一様
な結晶化を達成することが困難である。すなわち、成形
品は通常表裏2枚の分子配向したスキン層によって、結
晶化した樹脂を挟持した構造からなっているが、1mm未
満であると、この表裏2枚のスキン層の成形品全体に占
める割合が過大となって結晶化される樹脂部分は相対的
に薄くならざるを得ないためい、結晶化の過程で樹脂の
冷却速度を制御する事が困難となり、不均一な結晶化部
分を生じ易くなる。このため成形品の厚みは、最も薄い
部分であっても1mm以上であることが必要である。
体樹脂には、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応
じて他の高分子材料、多相インターポリマー(multipha
se interpolymer)、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸
収剤等の各種安定剤や染料、顔料、繊維状補強物、粒子
状補強材、可塑剤、難燃剤、離型剤等の成形性改良剤等
を配合し、成形時、及び成形時以前に混練することがで
きる。
れた結晶構造を有し、補強材料(充填材)を全く又は殆
ど使用することなく、機械的特性を著しく向上させた成
形品であり、オキシメチレン重合体樹脂成形品が通常使
用されている摺動部材や精密部材などの素材として好適
に用いることができる。このような摺動部材や精密部材
の具体例としては、ギヤ、軸受け、レバー、キーステ
ム、カム、ラチェット、ローラー、ネジ、玩具部品、パ
イプ、ファン、精密複合材料などを挙げる事ができる。
また、高温でも剛性が高いうえに、高結晶化度を有する
ため熱伝導性にも優れており、コネクタ、ソケット、ス
イッチ、ダイヤル、ピンなどの電気、電子部品の素材と
して特に好適に用いることができる。
説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものでは
ない。
DSC7形)を用いて測定した。測定条件はサンプルを200
℃に加熱したプレス機でフィルム状に成形したものから
5mg切り出して、30℃から200℃に320℃/分で昇温し、
2分間保持した後、130℃まで10℃/分で降温し更に130
℃から2.5℃/分で昇温した。最後に昇温する際に観測
される溶融に伴なう吸熱ピークのピークトップ温度を融
点とした。
とを10mm四方に切り出し、広角X線回折装置(日本国、
マックサイエンス社製)を用いて、線源Cu、管電圧40k
V、管電流180mAで、厚み方向に垂直な面を2θ/θで幅
方向に走査し、X線回折強度を測定した。結晶化度は、
同社のピーク分離法計算モジュールを使用した。結晶化
度(Xc)は、2θ=22.9゜付近に現れるオキシメチレン
重合体結晶の(100)面のピークと、2θ=34.6゜付近
に現れる、オキシメチレン重合体結晶の(105)面のピ
ークと、2θ=20.0゜付近に現れるハローとから、下記
(式1)によって求めた。
mm四方に切り出し、広角X線回折装置(日本国、マック
サイエンス社製)を用いて、線源Cu、管電圧40kV、管電
流180mAで、厚み方向に垂直な面を2θ/θで幅方向に
走査し、X線回折強度を測定した。結晶子サイズは、同
社のSherrer法計算モジュールを使用した。装置の補正
としてはシリコン粉末の回折データから作成した検量線
を使用した。2θ=34.6゜付近に現れる、オキシメチレ
ン重合体結晶の(105)面のピークの半価幅を求め、She
rrerの式より結晶子サイズを算出した。
垂直に切断した断面から、厚み約5μmの薄片を採取し
てプレパラートを作成し、これを偏光顕微鏡(日本国、
ニコン社製、Nikon−PFL)を用いて、400倍の倍率で観
察して、球晶の直径を評価した。特定の直径以上の球晶
が成形品中に占める体積分率は球晶の直径から計算で求
めた。一般に、成形体中の球晶の大きさは、成形体表面
からの距離に対応して同じ大きさで分布し、本発明にお
ける微細化の条件では、スキン層以外の部分の球晶の大
きさは表面からの距離に影響されることなく殆ど同じ大
きさとなる。従って、成形体の断面の球晶面積分率を測
定することによって、体積分率を求めることができる。
D790に準拠して試験環境温度23℃で評価した。なお、機
械的強度を示す特性の中で、曲げ弾性率を評価の指標と
したのは、本発明において問題とした成形品の剛性につ
いての優劣を顕著に示し、かつ実用上有用な特性である
からである。また、成形に用いる樹脂成分としては次に
示すものを用いた。なお、成形に用いる樹脂成分のメル
トインデックス(g/10分)の測定は、ASTM D−1238−
57T(E条件)に準拠した。
及びアセチル基で安定化したホルムアルデヒドの重合体
に、核剤として窒化ホウ素粉末(日本国、電気化学工業
株製 GP 平均粒径 3.5μm)5重量ppmをブレンドし
た後、200℃に設定した押出し機で混練りしてペレット
化したもの(融点=176℃)。
及びアセチル基で安定化したホルムアルデヒドの重合体
に、核剤として窒化ホウ素粉末(日本国、電気化学工業
株製 GP 平均粒径 3.5μm)10重量ppmをブレンドし
た後、200℃に設定した押出し機で混練りしてペレット
化したもの(融点=177℃)。
及びアセチル基で安定化したホルムアルデヒドの重合体
に、核剤として窒化ホウ素粉末(日本国、電気化学工業
株製 GP 平均粒径 3.5μm)20重量ppmをブレンドし
た後、200℃に設定した押出し機で混練りしてペレット
化したもの(融点=177℃)。
及びアセチル基で安定化したホルムアルデヒドの重合体
を200℃に設定した押出し機で混練りしてペレット化し
たもの(融点=176℃)。
及びアセチル基で安定化した、重合されて以降190℃以
上の熱履歴を経ていない、直径が数十μmのパウダー状
のホルムアルデヒドの重合体(融点=177℃)。
コモノマー成分であるエチレンオキシドが、オキシメチ
レン単位100モル当たり1.0モル導入されたメルトインデ
ックス9.0g/10分の、オキシメチレン共重合体に、核剤
として窒化ホウ素粉末(日本国、電気化学工業株製 GP
平均粒径 3.5μm)5重量ppmをブレンドした後、20
0℃に設定した押出し機で混練りしてペレット化したも
の(融点=166℃)。
コモノマー成分であるエチレンオキシドが、オキシメチ
レン単位100モル当たり1.0モル導入されたメルトインデ
ックス9.0g/10分の、オキシメチレン共重合体を200℃に
設定した押出し機で混練りしてペレット化したもの(融
点=166℃)。
コモノマー成分であるエチレンオキシドが、オキシメチ
レン単位100モル当たり1.6モル導入されたメルトインデ
ックス9.0g/10分の、オキシメチレン共重合体に、核剤
として窒化ホウ素粉末(日本国、電気化学工業株製 GP
平均粒径 3.5μm)5重量ppmをブレンドした後、20
0℃に設定した押出し機で混練りしてペレット化したも
の(融点=164℃)。
コモノマー成分であるエチレンオキシドが、オキシメチ
レン単位100モル当たり1.6モル導入されたメルトインデ
ックス9.0g/10分の、オキシメチレン共重合体を200℃に
設定した押出し機で混練りしてペレット化したもの(融
点=164℃)。
した成形機(射出又は押出)、特定の温度に加熱された
加熱プレス機を用いて可塑化した。
成形機にて、ASTM D−790の準拠して曲げ試験片を作
成した。
成形機にて、厚みが5mmの平板金型を使用して試験片を
作成した。
の温度に加熱された加熱プレス機で100kg/cm2の圧力で
賦形し、プレス機の温度制御によって特定の冷却速度で
冷却し成形した。成形の条件は、 プレス成形1:冷却速度50℃/分で70℃まで降温 プレス成形2:冷却速度5℃/分で70℃まで降温 プレス成形3:冷却速度2℃/分で150℃まで降温した
後、150℃で3時間保持 プレス成形4:冷却速度2℃/分で153℃まで降温した
後、153℃で3時間保持 (c)成形品のサンプル(試験片)形状:厚みを約3m
m、1mm又は0.5mmの3種類、幅を約13mm、長さを約130mm
とした。
に設定されたエアオーブン中で1時間処理した。
成形した試験片について、それぞれ偏光顕微鏡観察、結
晶化度、平均結晶子径の解析及び曲げ試験を行った。こ
れらの成形条件及び評価結果を表1に示す。
成形した試験片について、それぞれ偏光顕微鏡観察、結
晶化度、平均結晶子径の解析及び曲げ試験を行った。こ
れらの成形条件及び評価結果を表1に示す。
て成形した試験片について、それぞれ偏光顕微鏡観察、
結晶化度、平均結晶子径の解析及び曲げ試験を行った。
これらの成形条件及び評価結果を表1に示す。
成形した試験片をエアオーブンを用いてアニールした試
料について、それぞれ偏光顕微鏡観察、結晶化度、平均
結晶子径の解析及び曲げ試験を行った。これらの成形条
件及び評価結果を表1に示す。実施例26において得られ
た成形品の高温時の剛性を評価するため、試験片の荷重
撓み温度をASTM−D648(18.6kg/cm2荷重を加え、0.2mm
撓んだときの温度)に準拠して測定した。その結果は15
5℃であった。
成形した試験片について、それぞれ偏光顕微鏡観察、結
晶化度、平均結晶子径の解析及び曲げ試験を行った。こ
れらの成形条件及び評価結果を表1に示す。比較例1に
おいて得られた成形品の高温時の剛性を評価するため、
試験片の荷重撓み温度をASTM−D648(18.6kg/cm2荷重を
加え、0.2mm撓んだときの温度)に準拠して測定した。
その結果は136℃であった。
成形した試験片について、それぞれ偏光顕微鏡観察、結
晶化度、平均結晶子径の解析及び曲げ試験を行った。こ
れらの成形条件及び評価結果を表1に示す。
形した試験片について、それぞれ偏光顕微鏡観察、結晶
化度、平均結晶子径の解析及び曲げ試験を行った。これ
らの成形条件及び評価結果を表2に示す。
形した試験片について、それぞれ偏光顕微鏡観察、結晶
化度、平均結晶子径の解析及び曲げ試験を行った。これ
らの成形条件及び評価結果を表2に示す。
形した試験片をエアオーブンを用いてアニールした試料
について、それぞれ偏光顕微鏡観察、結晶化度、平均結
晶子径の解析及び曲げ試験を行った。これらの成形条件
及び評価結果を表2に示す。
れた結晶構造を有し、補強材料(充填材)を全く又は殆
ど使用することなく、機械的特性を著しく向上させた成
形品であり、オキシメチレン重合体樹脂成形品が通常使
用されている摺動部材や精密部材などの素材として好適
に用いることができる。このような摺動部材や精密部材
の具体例としては、ギア、軸受け、レバー、キーステ
ム、カム、ラチェット、ローラー、ネジ、玩具部品、パ
イプ、ファン、精密複合材料などを挙げる事ができる。
また、高温でも剛性が高いうえに、高結晶化度を有する
ため熱伝導性にも優れており、コネクタ、ソケット、ス
イッチ、ダイヤル、ピンなどの電気、電子部品の素材と
して特に好適に用いることができる。
Claims (12)
- 【請求項1】オキシメチレン単独重合体樹脂、オキシメ
チレン共重合体樹脂及びこれらの混合物からなる群から
撰ばれるオキシメチレン重合体樹脂を成形することによ
って製造されるオキシメチレン重合体樹脂成形品であっ
て、前記オキシメチレン共重合体樹脂が、オキシメチレ
ンモノマー単位からなるポリマー鎖中にオキシメチレン
モノマー単位100モル当たり0.01〜1.0モルのオキシアル
キレンコモノマー単位がランダムに導入された構造を有
するオキシメチレン共重合体樹脂であるとともに、成形
品として下記特性(1)〜(4)を有することを特徴と
する高剛性オキシメチレン重合体樹脂成形品。 (1)結晶化度が72%以上であること、 (2)平均結晶子径が150Å以上であること、 (3)60μm以下の直径を有する球晶が成形品の全体積
の70%以上を占めていること、及び (4)厚みが1mm以上であること - 【請求項2】前記オキシメチレン重合体樹脂の成形が、
射出又は押出成形であることを特徴とする請求項1に記
載の樹脂成形品。 - 【請求項3】前記特性(3)が、30μm以下の直径を有
する球晶が成形品の全体積の70%以上を占めていること
である請求項1又は2に記載の樹脂成形品。 - 【請求項4】前記オキシメチレン重合体樹脂が、1重量
ppm〜5重量%の結晶核剤を含有することを特徴とする
請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂成形品。 - 【請求項5】前記結晶核剤が、窒化ホウ素、タルク、シ
リカ、マイカ及びカーボンブラックからなる群から選ば
れる少なくとも一種であることを特徴とする請求項4に
記載の樹脂成形品。 - 【請求項6】前記オキシメチレン重合体樹脂を、成形す
る前に、オキシメチレン重合体樹脂の融点以上、融点よ
りも10℃高い温度以下の温度で可塑化することを特徴と
する請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂成形品。 - 【請求項7】前記オキシメチレン重合体樹脂が、成形さ
れるまでに、前記オキシメチレン重合体樹脂の融点より
も15℃高い温度以上の熱履歴を経ていないことを特徴と
する請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂成形品。 - 【請求項8】前記オキシメチレン重合体樹脂を、成形す
る間又はした後に、前記オキシメチレン重合体樹脂の融
点よりも30℃低い温度以上、融点以下の温度で結晶化す
ることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の樹
脂成形品。 - 【請求項9】前記オキシメチレン重合体樹脂を、成形し
た後に、前記オキシメチレン重合体樹脂の融点よりも10
℃低い温度以上、融点以下の温度でアニール処理するこ
とを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂成
形品。 - 【請求項10】前記オキシメチレン重合体樹脂が、オキ
シメチレン単独重合樹脂であることを特徴とする請求項
1〜9のいずれかに記載の樹脂成形品。 - 【請求項11】曲げ弾性率が、3.8GPa以上である請求項
10に記載の樹脂成形品。 - 【請求項12】オフィスオートメーション機器用、電気
機器用、電子機器用、又は自動車用の部品である請求項
1〜11のいずれかに記載の樹脂成形品。
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