JP5048020B2 - 導電性ポリアセタール樹脂組成物 - Google Patents

導電性ポリアセタール樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP5048020B2
JP5048020B2 JP2009140379A JP2009140379A JP5048020B2 JP 5048020 B2 JP5048020 B2 JP 5048020B2 JP 2009140379 A JP2009140379 A JP 2009140379A JP 2009140379 A JP2009140379 A JP 2009140379A JP 5048020 B2 JP5048020 B2 JP 5048020B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
polyacetal resin
resin composition
mass
polyacetal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009140379A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010285539A (ja
Inventor
希 稲垣
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Chemicals Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Chemicals Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Chemicals Corp filed Critical Asahi Kasei Chemicals Corp
Priority to JP2009140379A priority Critical patent/JP5048020B2/ja
Publication of JP2010285539A publication Critical patent/JP2010285539A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5048020B2 publication Critical patent/JP5048020B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明は、ポリアセタール樹脂組成物に関する。
ポリアセタール樹脂は、機械的性質のバランスに優れたエンジニアリング樹脂であり、特に摺動性に優れていることから、歯車をはじめとする各種の精密機構部品やOA機器などに広く使用されている。しかしながら、ポリアセタール樹脂は他の樹脂と同様に電気絶縁体であるため、摺動の際に発生する静電気の除去性能、すなわち帯電防止性能や導電性に劣るという問題を抱えている。そのため、帯電防止性能や導電性が要求される場合には、一般的にはカーボンブラックのような導電性フィラーを添加することが行われている。
導電性を付与したポリアセタール樹脂の用途の代表的なものに、自動車用燃料タンク周りの部品が挙げられる。ポリアセタール樹脂を使用することで金属と比較して部品の軽量化が可能となる他、部品の形状を複雑な形状にすることが可能となる。具体的な用途としてはフューエルポンプ、プレッシャーレギュレーター、センターゲージ、これらを一体化させたフューエルポンプモジュールなどが挙げられる。これらの部品は、ガソリン、軽油、バイオディーゼルなどの自動車燃料に直接接触して使用されるために、樹脂には耐燃料性も必要とされる。
このような要求に応えるため、ポリアセタール樹脂に酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、ハイドロタルサイトを組み合わせて耐バイオディーゼル性を付与させる方法(特許文献1)が検討されている。また、長期にわたって燃料がタンク内にある場合には、燃料が劣化して酸化することがあるため、燃料周りの樹脂部品には耐燃料性に加え、酸に対する耐性も必要とされる。このような要求に対しては、ポリアセタール樹脂にカルボン酸亜鉛を組み合わせて、耐バイオディーゼル性と硫黄酸化物に対する耐性を付与させる方法(特許文献2)や、ポリアセタール樹脂に導電性カーボンブラックと置換尿素、ヒンダードアミン系光安定剤を組み合わせて、帯電防止能と耐燃料性を同時に付与させる方法(特許文献3)が検討されている。
特開2004−59720号公報 特表2004−530770号公報 国際公開第2008/066663号パンフレット
しかしながら、いずれの技術においても耐燃料性、耐酸性および導電性全てを満足するポリアセタール樹脂組成物が得られていないのが現状である。
そこで本発明は、酸化劣化した自動車燃料に長時間さらされた後も、引張特性等の物性や導電性を高いレベルで保持できるポリアセタール樹脂組成物を提供する事を目的とする。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して、特定のフタル酸ジブチル吸油量をもつ導電性カーボンブラック(B)1〜10質量部、特定の構造をもつヒンダードアミン系光安定剤(C)0.1〜3質量部、エポキシ化合物(D)を含有してなり、エポキシ化合物(D)とヒンダードアミン系光安定剤(C)が特定の比率であるポリアセタール樹脂組成物が上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は下記の通りである。
〈1〉ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して、フタル酸ジブチル吸油量が200mL/100g以上の導電性カーボンブラック(B)3〜10質量部、下記一般式(1)で表されるヒンダードアミン系光安定剤(C)0.1〜3質量部、エポキシ化合物(D)を含有するポリアセタール樹脂組成物であって、エポキシ化合物(D)とヒンダードアミン系光安定剤(C)の質量比(D)/(C)が60/40〜85/15であることを特徴とするポリアセタール樹脂組成物。
Figure 0005048020
(Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素数1〜20個で窒素原子で中断されていてもよい1〜4価の炭化水素基、nは1〜4の整数を表す。)
〈2〉ヒンダードアミン系光安定剤(C)を表す一般式(1)中において、Rが水素原子であることを特徴とする前記〈1〉に記載のポリアセタール樹脂組成物。
〈3〉ポリアセタール樹脂(A)が、融点164℃以上、173℃以下のポリアセタールコポリマーであることを特徴とする前記〈1〉または〈2〉に記載のポリアセタール樹脂組成物。
〈4〉前記〈1〉〜〈3〉いずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物からなる自動車の燃料周り部品。
本発明の組成物は、酸化劣化した自動車燃料に長時間さらされた後も、引張特性等の物性や導電性を高いレベルで保持できる。
実施例で用いた2軸押出機の構造を示す模式図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で用いるポリアセタール樹脂(A)としては、ホルムアルデヒド単量体又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーを単独重合して得られる実質上オキシメチレン単位のみから成るポリアセタールホモポリマーや、ホルムアルデヒド単量体又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーとエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロルヒドリン、1,3−ジオキソランや1,4−ブタンジオールホルマールなどのグリコールやジグリコールの環状ホルマール等の環状エーテル、環状ホルマールとを共重合させて得られたポリアセタールコポリマーを代表例としてあげることができる。また、単官能グリシジルエーテルを共重合させて得られる分岐を有するポリアセタールコポリマーや、多官能グリシジルエーテルを共重合させて得られる架橋構造を有するポリアセタールコポリマーも用いることができる。
さらに、両末端または片末端に水酸基などの官能基を有する化合物、例えばポリアルキレングリコールの存在下、ホルムアルデヒド単量体又はホルムアルデヒドの環状オリゴマーを重合して得られるブロック成分を有するポリアセタールホモポリマーや、同じく両末端または片末端に水酸基などの官能基を有する化合物、例えば水素添加ポリブタジエングリコールの存在下、ホルムアルデヒド単量体又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーと環状エーテルや環状ホルマールとを共重合させて得られるブロック成分を有するポリアセタールコポリマーも用いることができる。以上のように、本発明においては、ポリアセタールホモポリマー、コポリマーいずれも用いることが可能であるが、好ましくはポリアセタールコポリマーである。
1,3−ジオキソラン等のコモノマーは、一般的にはトリオキサン1molに対して0.1〜60mol%であり、好ましくは0.1〜20mol%、更に好ましくは0.13〜10mol%用いられる。また、本発明において好適なポリアセタールコポリマーの融点は164℃〜173℃であり、より好ましくは164℃〜171℃である。
ポリアセタールコポリマーの重合における重合触媒としては、ルイス酸、プロトン酸及びそのエステル又は無水物等のカチオン活性触媒が好ましい。ルイス酸としては、例えば、ホウ酸、スズ、チタン、リン、ヒ素及びアンチモンのハロゲン化物が挙げられ、具体的には三フッ化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、五フッ化リン、五塩化リン、五フッ化アンチモン及びその錯化合物又は塩が挙げられる。また、プロトン酸、そのエステルまたは無水物の具体例としては、パークロル酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パークロル酸−3級ブチルエステル、アセチルパークロラート、トリメチルオキソニウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。中でも、三フッ化ホウ素;三フッ化ホウ素水和物;及び酸素原子又は硫黄原子を含む有機化合物と三フッ化ホウ素との配位錯化合物が好ましく、具体的には、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル、三フッ化ホウ素ジ−n−ブチルエーテルを好適例として挙げることができる。
ポリアセタールコポリマーの重合方法としては、従来公知の方法、例えばUS−A−3027352、US−A−3803094、DE−C−1161421、DE−C−1495228、DE−C−1720358、DE−C−3018898及び特開昭58−98322号、特開平7−70267号に記載の方法によって重合することができる。
上記の重合で得られたポリアセタールコポリマーには、熱的に不安定な末端部〔−(OCH−OH基〕が存在するため、そのままでは実用に供することはできない。そこで、不安定な末端部の分解除去処理を実施することが必要であり、次に示す特定の不安定末端部の分解除去処理を行なうことが好適である。
特定の不安定末端部の分解除去処理とは、下記一般式(2)で表わされる少なくとも1種の第4級アンモニウム化合物の存在下に、ポリアセタールコポリマーの融点以上260℃以下の温度で、ポリアセタールコポリマーを溶融させた状態で熱処理するものである。
[S−n 式(2)
(式中、S、S、S、Sは、各々独立して、炭素数1〜30の非置換アルキル基または置換アルキル基;炭素数6〜20のアリール基;炭素数1〜30の非置換アルキル基または置換アルキル基が少なくとも1個の炭素数6〜20のアリール基で置換されたアラルキル基;又は炭素数6〜20のアリール基が少なくとも1個の炭素数1〜30の非置換アルキル基または置換アルキル基で置換されたアルキルアリール基を表わし、非置換アルキル基または置換アルキル基は直鎖状、分岐状、または環状である。上記置換アルキル基の置換基はハロゲン、水酸基、アルデヒド基、カルボキシル基、アミノ基、又はアミド基である。また、上記非置換アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基は水素原子がハロゲンで置換されていてもよい。nは1〜3の整数を表わす。Xは水酸基、又は炭素数1〜20のカルボン酸、ハロゲン化水素以外の水素酸、オキソ酸、無機チオ酸もしくは炭素数1〜20の有機チオ酸の酸残基を表わす。)
第4級アンモニウム化合物は、上記一般式(2)で表わされるものであれば特に制限はないが、一般式(2)におけるS、S、S、及びSが、各々独立して、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であることが好ましく、この内更に、S、S、S、及びSの少なくとも1つが、ヒドロキシエチル基であるものが特に好ましい。具体的には、テトラメチルアンモニウム、テトエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラ−n−ブチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウム、テトラデシルトリメチルアンモニウム、1,6−ヘキサメチレンビス(トリメチルアンモニウム)、デカメチレン−ビス−(トリメチルアンモニウム)、トリメチル−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、トリエチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、トリプロピル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、トリ−n−ブチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム、トリエチルベンジルアンモニウム、トリプロピルベンジルアンモニウム、トリ−n−ブチルベンジルアンモニウム、トリメチルフェニルアンモニウム、トリエチルフェニルアンモニウム、トリメチル−2−オキシエチルアンモニウム、モノメチルトリヒドロキシエチルアンモニウム、モノエチルトリヒドロキシエチルアンモニウム、オクダデシルトリ(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、テトラキス(ヒドロキシエチル)アンモニウム等の水酸化物;塩酸、臭酸、フッ酸などの水素酸塩;硫酸、硝酸、燐酸、炭酸、ホウ酸、塩素酸、よう素酸、珪酸、過塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、クロロ硫酸、アミド硫酸、二硫酸、トリポリ燐酸等のオキソ酸塩;チオ硫酸などのチオ酸塩;蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、イソ酪酸、ペンタン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、安息香酸、シュウ酸などのカルボン酸塩等が挙げられる。
中でも、水酸化物(OH)、硫酸(HSO 、SO 2−)、炭酸(HCO 、CO 2−)、ホウ酸(B(OH) )、カルボン酸の塩が好ましい。カルボン酸の内、蟻酸、酢酸、プロピオン酸が特に好ましい。これら第4級アンモニウム化合物は、単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記第4級アンモニウム化合物に加えて、公知の不安定末端部の分解促進剤であるアンモニアやトリエチルアミン等のアミン類等を併用しても何ら差し支えない。
第4級アンモニウム化合物の量は、 ポリアセタールコポリマーと第4級アンモニウム化合物の合計質量に対する下記式(3)で表わされる第4級アンモニウム化合物由来の窒素の量に換算して0.05〜50質量ppmであり、好ましくは1〜30質量ppmである。
P×14/Q 式(3)
(式中、Pは第4級アンモニウム化合物のポリアセタールコポリマーに対する濃度(質量ppm)を表わし、14は窒素の原子量であり、Qは第4級アンモニウム化合物の分子量を表わす。)
第4級アンモニウム化合物の添加量が0.05質量ppm未満であると不安定末端部の分解除去速度が低下し、50質量ppmを超えると不安定末端部分解除去後のポリアセタールコポリマーの色調が悪化する。
本発明に用いるポリアセタール樹脂(A)の不安定末端部の分解除去処理は、融点以上260℃以下の温度でポリアセタールコポリマーを溶融させた状態で熱処理することにより達成される。用いる装置には特に制限はないが、押出機、ニーダー等を用いて熱処理することが好適である。また、分解で発生したホルムアルデヒドは減圧下で除去される。第4級アンモニウム化合物の添加方法には特に制約はなく、重合触媒を失活する工程にて水溶液として加える方法、重合で生成したポリアセタールコポリマーパウダーに吹きかける方法などがある。いずれの添加方法を用いても、ポリアセタールコポリマーを熱処理する工程で添加されて居れば良く、押出機の中に注入したり、押出機等を用いてフィラーやピグメントの配合を行なう品種であれば,樹脂ペレットに該化合物を添着し、その後の配合工程で不安定末端除去操作を実施してもよい。
不安定末端除去操作は、重合で得られたポリアセタールコポリマー中の重合触媒の失活させた後に行なうことも可能であるし、また重合触媒を失活させずに行なうことも可能である。重合触媒の失活操作としては、アミン類等の塩基性の水溶液中で重合触媒を中和失活する方法を代表例として挙げることができる。また、重合触媒の失活を行なわずに、融点以下の温度で不活性ガス雰囲気下にて加熱し、重合触媒を揮発低減した後、不安定末端除去操作を行なうことも有効な方法である。
以上の特定の不安定末端部分解除去処理により、不安定末端部が殆ど存在しない非常に熱安定性に優れたポリアセタールコポリマーを得ることができる。
また、本発明で用いるポリアセタール樹脂(A)のメルトフローレート(MFR,JIS−K7210の条件で測定)は、0.5〜100g/10minが好ましく、より好ましくは1.0〜80g/10minである。
本発明の(B)成分に用いられるカーボンブラックは導電性カーボンブラックであり、粒子径が小さいかまたは表面積が大きく鎖状構造の発達したものである。好ましくは、粒子径が0.05μm以下のものがよい。また、フタル酸ジブチル吸油量(ASTM D2415−65T 以下、DBP吸油量とする。)は200ml/100g以上であることが必要であり、300ml/100g以上、500ml/100g以下のものが好ましい。DBP吸油量が200ml/100g以上であることにより、少ない添加量で、良好な導電性を得ることができ、500ml/100g以下であることにより、良好な機械物性を得ることができる。具体的な導電性カーボンブラックとしては、例えば、ケッチェンブラックEC〔DBP吸油量:350ml/100g、ライオン(株)製〕、EC−300J[DBP吸油量:360ml/100g、ライオン(株)製]、プリンテックスXE2〔DBP吸油量:420ml/100g〕(エボニック デグサ ジャパン(株)製)などがある。また、2種以上の導電性カーボンブラックを併用して用いても良い。
導電性カーボンブラック(B)の含有量は、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して3〜10質量部であり、好ましくは5〜9質量部である。3〜10質量部の範囲であることにより、導電性、機械物性ともに優れた組成物を得ることが可能となる。
本発明で用いるヒンダードアミン系光安定剤(C)とは、下記一般式(1)で表されるものである。
Figure 0005048020
(Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素数1〜20個で窒素原子で中断されていてもよい1〜4価の炭化水素基、nは1〜4の整数を表す。)
具体的には、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレ−ト、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルアクリレ−ト、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−マロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−アジペート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−テレフタレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−マロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−テレフタレート、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−エタン、α,α’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−p−キシレン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)トリレン−2,4−ジカルバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメートが挙げられる。
好ましくはRが水素原子であるものであり、具体的には、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−マロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−テレフタレート、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−エタン、α,α’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−p−キシレン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)トリレン−2,4−ジカルバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメートであり、最も好ましくはビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケートである。ヒンダードアミン系光安定剤(C)の含有量は、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し、0.1〜3質量部であり、好ましくは0.5〜2質量部である。0.1〜3質量部の範囲であることにより良好な耐劣化燃料性を付与させることが可能となる。
本発明で用いるエポキシ化合物(D)は、具体的にはモノまたは多官能グリシジル誘導体、或いは不飽和結合をもつ化合物を酸化してエポキシ基を生じさせた化合物である。また、エポキシ化合物の他にエポキシ樹脂硬化性添加剤を添加することができる。エポキシ硬化性添加剤としては、塩基性窒素化合物及び塩基性リン化合物が通常用いられるが、その他のエポキシ硬化作用(硬化促進作用を含む)を持つ化合物もすべて使用できる。本発明においては、エポキシ硬化性添加剤もエポキシ化合物に含まれるものとする。その含有量はエポキシ化合物100質量部に対して1〜100質量部の範囲である。
エポキシ化合物(D)としては、例えば、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、2−メチルオクチルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、ベヘニルグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(エチレンオキシドのユニット;2〜30)、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、(プロピレンオキシドのユニット;2〜30)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ソルビタンモノエステルジグリシジルエーテル、ソルビタンモノエステルトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ジグリセリントリグリシジルエーテル、ジグリセリンテトラグリシジルエーテル、クレゾールノボラックとエピクロルヒドリンとの縮合物(エポキシ当量;100〜400、軟化点;20〜150℃)、グリシジルメタクリレート、ヤシ脂肪酸グリシジルエステル、大豆脂肪酸グリシジルエステルなどが挙げられるがこれらに限定されることはない。これらの中でクレゾールノボラックとエピクロルヒドリンとの縮合物が組成物の熱安定性を向上させるという観点から好ましく用いられる。
エポキシ樹脂硬化性添加剤の具体的な化合物としては、イミダゾール及び1−ヒドロキシエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ヘプタデシルイミダゾール、1−ビニル−2−フェニルイミダゾールなどの置換イミダゾール、及びオクチルメチルアミン、ラウリルメチルアミンなどの脂肪族2級アミン、及びジフェニルアミン、ジトリルアミンなどの芳香族2級アミン、及びトリラウリルアミン、ジメチルオクチルアミン、ジメチルステアリルアミン、トリステアリルアミンなどの脂肪族3級アミン、及びトリトリルアミン、トリフェニルアミンなどの芳香族3級アミン、及びセチルモルホリン、オクチルモルホリン、P−メチルベンジルモルホリンなどのモルホリン化合物、及びジシアンジアミド、メラミン、尿素などへのアルキレンオキシド付加物(付加モル数1〜20モル)、トリフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリトリルホスフィンなどのリン化合物などがあるがこれだけに限定されない。これらの中でジシアンジアミド、トリフェニルホスフィンが組成物の熱安定性を向上させるという観点から好ましく用いられる。これらのエポキシ化合物、エポキシ樹脂硬化性添加剤はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、エポキシ化合物(D)とヒンダードアミン系光安定剤(C)の質量比(D)/(C)は引張特性等の機械物性、耐劣化燃料性のバランスの取れた組成物を得るといった観点から、60/40〜85/15であることが必要であり、好ましくは65/35〜80/20である。
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、更にポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し、(E)酸化防止剤、ホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体又は化合物、ギ酸捕捉剤、離型剤、潤滑剤の少なくとも1種を各々0.01〜3質量部含有することができる。
酸化防止剤としてはヒンダートフェノール系酸化防止剤が好ましい。具体的には、例えばn−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、1,4−ブタンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等が挙げられる。好ましくは、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]及びペンタエリスリトールテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンである。これらの酸化防止剤は1種類で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
ホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体又は化合物としては、ナイロン4−6、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン6−12、ナイロン12等のポリアミド樹脂、及びこれらの重合体、例えば、ナイロン6/6−6/6−10、ナイロン6/6−12等を挙げることができる。また他に、アクリルアミド及びその誘導体、アクリルアミド及びその誘導体と他のビニルモノマーとの共重合体が挙げられ、例えばアクリルアミド及びその誘導体と他のビニルモノマーとを金属アルコラートの存在下で重合して得られたポリ−β−アラニン共重合体を挙げることができる。その他にアミド化合物、アミノ置換トリアジン化合物、アミノ置換トリアジン化合物とホルムアルデヒドの付加物、アミノ置換トリアジン化合物とホルムアルデヒドの縮合物、尿素、尿素誘導体、ヒドラジン誘導体、イミダゾール化合物、イミド化合物を挙げることができる。
アミド化合物としては、イソフタル酸ジアミドなどの多価カルボン酸アミド、アントラニルアミドが挙げられる。アミノ置換トリアジン化合物の具体例としては、2,4−ジアミノ−sym−トリアジン、2,4,6−トリアミノ−sym−トリアジン、N−ブチルメラミン、N−フェニルメラミン、N,N−ジフェニルメラミン、N,N−ジアリルメラミン、ベンゾグアナミン(2,4−ジアミノ−6−フェニル−sym−トリアジン)、アセトグアナミン(2,4−ジアミノ−6−メチル−sym−トリアジン)、2,4−ジアミノ−6−ブチル−sym−トリアジン等である。アミノ置換トリアジン類化合物とホルムアルデヒドとの付加物の具体例としては、N−メチロールメラミン、N,N’−ジメチロールメラミン、N,N’,N”−トリメチロールメラミンを挙げることができる。アミノ置換トリアジン類化合物とホルムアルデヒドとの縮合物の具体例としては、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物を挙げることができる。
尿素誘導体としては、N−置換尿素、尿素縮合体、エチレン尿素、ヒダントイン化合物、ウレイド化合物を挙げることができる。N−置換尿素の具体例としては、アルキル基等の置換基が置換したメチル尿素、アルキレンビス尿素、アーリル置換尿素を挙げることができる。尿素縮合体の具体例としては、尿素とホルムアルデヒドの縮合体等が挙げられる。ヒダントイン化合物の具体例としては、ヒダントイン、5,5−ジメチルヒダントイン、5,5−ジフェニルヒダントイン等が挙げられる。
ウレイド化合物としては、アラントイン等が挙げられる。ヒドラジン誘導体としてはヒドラジド化合物を挙げることができる。ヒドラジド化合物の具体例としては、ジカルボン酸ジヒドラジドを挙げることができ、更に具体的には、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スペリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフタレンジカルボジヒドラジド等が挙げることができる。イミド化合物の具体例としてはスクシンイミド、グルタルイミド、フタルイミドを挙げることができる。
これらのホルムアルデヒド反応性窒素原子を含む重合体又化合物は、1種類で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
ギ酸捕捉剤としては、上記のアミノ置換トリアジン化合物やアミノ置換トリアジン類化合物とホルムアルデヒドとの縮合物、例えばメラミン・ホルムアルデヒド縮合物等を挙げることができる。他のギ酸捕捉剤としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、カルボン酸塩又はアルコキシドが挙げられる。例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムもしくはバリウムなどの水酸化物、上記金属の炭酸塩、リン酸塩、珪酸塩、ホウ酸塩、カルボン酸塩を挙げることができる。
上記カルボン酸塩のカルボン酸としては、10〜36個の炭素原子を有する飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸が好ましく、これらのカルボン酸は水酸基で置換されていてもよい。飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸塩の具体的な例としては、ジミリスチン酸カルシウム、ジパルミチン酸カルシウム、ジステアリン酸カルシウム、(ミリスチン酸−パルミチン酸)カルシウム、(ミリスチン酸−ステアリン酸)カルシウム、(パルミチン酸−ステアリン酸)カルシウムが挙げられ、中でも好ましくは、ジパルミチン酸カルシウム、ジステアリン酸カルシウムである。これらのギ酸捕捉剤は、1種類で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
離型剤、潤滑剤としては、アルコール、脂肪酸及びそれらの脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリコール、平均重合度が10〜500であるオレフィン化合物、シリコーンが好ましく使用される。
更に本発明のポリアセタール樹脂組成物は、目的に応じて本発明の目的を損なわない範囲で、従来ポリアセタール樹脂で用いられる各種の添加剤、無機充填材、結晶核剤、導電材、熱可塑性樹脂、および熱可塑性エラストマーを配合することができる。
無機充填剤としては、繊維状、粉粒子状、板状及び中空状の充填剤が用いられる。繊維状充填剤としては、ガラス繊維、炭素繊維、シリコーン繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維、硼素繊維、チタン酸カリウム繊維、さらにステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属繊維等の無機質繊維があげられる。また、繊維長の短いチタン酸カリウムウイスカー、酸化亜鉛ウイスカー等のウイスカー類も含まれる。なお、芳香族ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂等の高融点有機繊維状物質も使用することができる。
粉粒子状充填剤としては、カーボンブラック、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、カオリン、クレー、珪藻土、ウォラストナイトのような珪酸塩、酸化鉄、酸化チタン、アルミナのような金属酸化物、硫酸カルシウム、硫酸バリウムのような金属硫酸塩、炭酸マグネシウム、ドロマイト等の炭酸塩、その他炭化珪素、窒化硅素、窒化硼素、各種金属粉末等があげられる。
板状充填剤としては、マイカ、ガラスフレーク、各種金属箔があげられる。中空状充填剤としては、ガラスバルーン、シリカバルーン、シラスバルーン、金属バルーン等があげられる。これらの充填剤は1種又は2種以上を併用して使用することが可能である。これらの充填剤は表面処理されたもの、未表面処理のもの、何れも使用可能であるが、成形表面の平滑性、機械的特性の面から表面処理の施されたものの使用のほうが好ましい場合がある。表面処理剤としては従来公知のものが使用可能である。例えば、シラン系、チタネート系、アルミニウム系、ジルコニウム系等の各種カップリング処理剤が使用できる。具体的にはN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリスステアロイルチタネート、ジイソプロポキシアンモニウムエチルアセテート、n−ブチルジルコネート等が挙げられる。
導電剤としては、金属粉末又は繊維が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーネート樹脂が挙げられる。また、これらの変性物も含まれる。
熱可塑性エラストマーとしては、 ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマーが挙げられる。
顔料としては、無機系顔料及び有機系顔料、メタリック系顔料、蛍光顔料等が挙げられる。無機系顔料とは樹脂の着色用として一般的に使用されているものを言い、例えば、硫化亜鉛、酸化チタン、硫酸バリウム、チタンイエロー、コバルトブルー、燃成顔料、炭酸塩、りん酸塩、酢酸塩やカーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等を言う。有機系顔料とは縮合ウゾ系、イノン系、フロタシアニン系、モノアゾ系、ジアゾ系、ポリアゾ系、アンスラキノン系、複素環系、ペンノン系、キナクリドン系、チオインジコ系、ベリレン系、ジオキサジン系、フタロシアニン系等の顔料である等の顔料である。顔料の添加割合は色調により大幅に変わるため明確にすることは難しいが一般的には、ポリアセタール樹脂と100質量部に対して、0.05〜5質量部の範囲で用いられる。
本発明のポリアセタール樹脂組成物を溶融混練する装置としては、一般に実用されている混練機が適用できる。例えば、一軸又は多軸混練押出機、ロール、バンバリーミキサー等を用いればよい。中でも、減圧装置、及びサイドフィーダー設備を装備した2軸押出機が最も好ましい。
溶融混練の方法は、全成分を同時に溶融混練する方法、あらかじめ予備混合したブレンド物を用いて溶融混練する方法、更に押出機の途中から逐次、サイドフィーダーを使用することによって各成分を供給し、溶融混練する方法などをあげることができる。
具体的には、ポリアセタール樹脂(A)、導電性カーボンブラック(B)、ヒンダードアミン系光安定剤(C)、およびエポキシ化合物(D)の全てを予め混合し、押出機トップから供給し溶融混練する方法、予め導電性カーボンブラック(B)、ヒンダードアミン系光安定剤(C)、およびエポキシ化合物(D)を混合したものをポリアセタール樹脂(A)と溶融混練する方法、または上記成分の一部を予め混合または溶融混練した後、全ての成分を溶融混練する方法などが挙げられる。
本発明の目的の性能を発揮するという観点から好ましい製造方法としては、導電性カーボンブラック(B)以外の成分を、タンブラーミキサー、ドラムミキサー、ヘンシェルミキサーなどのブレンダーによって混合した後、その混合物を押出機トップより押出機のバレル内に連続的に供給することによって溶融混練させた後、溶融混練された溶融状態の前記組成物に導電性カーボンブラック(B)を押出機サイドより連続的に供給してさらに混練させ、押出機のダイより連続的に押出す形態が挙げられる。
また、溶融混練時には押出機ベント口から減圧装置によって減圧することが好ましい。
減圧度に関しては、0.07MPa以下が好ましい。また、溶融混練温度は、用いるポリアセタール樹脂のJIS K7121に準じた示差走査熱量(DSC)測定で求まる融点より1〜100℃高い温度が好ましい。より具体的には160℃から240℃ある。押出機での剪断速度は100rpm以上であることが好ましい。
本発明のポリアセタール樹脂組成物を成形する方法については特に制限するものではなく、公知の成形方法、例えば、押出成形、射出成形、真空成形、ブロー成形、射出圧縮成形、加飾成形、他材質成形、ガスアシスト射出成形、発砲射出成形、低圧成形、超薄肉射出成形(超高速射出成形)、金型内複合成形(インサート成形、アウトサート成形)等の成形方法のいずれかによって成形することができる。
本発明のポリアセタール樹脂組成物の具体的な用途としては、フューエルポンプ、プレッシャーレギュレーター、センターゲージ、これらを一体化させたフューエルポンプモジュールなどの自動車燃料周りの部品等、耐燃料性に加え、耐酸性、導電性が必要とされる用途に好適に使用される。
以下、実施例及び比較例よって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。はじめに、実施例および比較例で使用する成分の内容と評価方法を以下に示す。
[使用成分の内容]
(A)ポリアセタール樹脂
熱媒を通すことができるジャッケット付きの2軸セルフクリーニングタイプの重合機(L/D=8)を80℃に調整し、トリオキサンを4kg/hr、コモノマーとして1,3−ジオキソランを128.3g/h(トリオキサン1molに対して、3.9mol%)、連鎖移動剤としてメチラールを、得られるポリアセタール樹脂のメルトフローレートが10g/10minとなるように調整して連続的に添加した。さらに重合触媒として三フッ化硼素ジ−n−ブチルエーテラートをトリオキサン1molに対して1.5×10−5molで連続的に添加し重合を行なった。重合機より排出されたポリアセタールコポリマーをトリエチルアミン0.1%水溶液中に投入し重合触媒の失活を行なった。失活されたポリアセタールコポリマーを遠心分離機でろ過した後、ポリアセタールコポリマー100質量部に対して、第4級アンモニウム化合物として水酸化コリン蟻酸塩(トリエチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムフォルメート)を含有した水溶液1質量部を添加して、均一に混合した後120℃で乾燥した。水酸化コリン蟻酸塩の添加量は、添加する水酸化コリン蟻酸塩を含有した水溶液中の水酸化コリン蟻酸塩の濃度を調整することにより行い、窒素量に換算して20質量ppmとした。
乾燥後のポリアセタールコポリマーをベント付き2軸スクリュー式押出機に供給し、押出機中の溶融しているポリアセタールコポリマー100質量部に対して水を0.5質量部添加し、押出機設定温度200℃、押出機における滞留時間7分で不安定末端部分の分解除去を行なった。不安定末端部分の分解されたポリアセタールコポリマーは、ベント真空度20Torrの条件下に脱揮され、押出機ダイス部よりストランドとして押出され、ペレタイズされた。このようにして得られたポリアセタール樹脂100質量部に対し、(E)酸化防止剤としてトリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]0.3質量部を添加し、ベント付2軸押出機で溶融混練することによりポリアセタール樹脂ペレットを製造した。このようにして得られたポリアセタール樹脂(A)の融点は164.5℃、JIS−K7210に基づく190℃でのMFRは30g/10minであった。
(B)導電性カーボンブラック
ケッチェンブラックEC300J〔DBP吸油量:360ml/100g〕(ライオン(株)製)
(C)ヒンダードアミン系光安定剤
(c−1)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート(三共ライフテック(株)製、商品名:サノールLS770)
(c−2)ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−セバケート(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製、商品名:チヌビン770)
(c−3)ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}](チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製、商品名:キマソーブ119)
(c−4)ポリ[(6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]−ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]](サイテックテクノロジー(株)製、商品名:シアソーブ UV−3346)
(D)エポキシ化合物、エポキシ硬化促進剤
クレゾールノボラックとエピクロロヒドリンとの縮合物(エポキシ当量=350、軟化点=80℃)、エポキシ硬化性添加剤としてはトリフェニルホスフィンを用いた。
[引張特性の評価方法]
東芝機械(株)製IS−100GN成形機を用いて、シリンダー温度205℃、金型温度90℃に設定し、射出圧力113MPa、射出時間35秒、冷却時間15秒の射出条件でISOダンベルを得た。このダンベルを用いISO 527に準じて引張特性を測定した。
[体積抵抗率の評価方法]
引張特性測定用のISOダンベルから30×20×4mmの平板を切り出し、四探針ASPプローブ(ピン間5mm、ピン先0.37mmR×4、バネ圧210g/本、JIS K7194対応)をこの平板に押し当て、三菱化学製ロレスタ−GPにより測定電圧90Vで体積抵抗率を測定した。
[耐燃料性試験]
JIS2号ディーゼル燃料に、菜種メチルエステル10vol%、ギ酸320ppm、酢酸250ppm、水100ppmを添加して混合燃料とした。この混合燃料に、引張特性測定に用いたISOダンベルを浸漬し、80℃に加熱、1000時間放置した。1000時間経過後にISOダンベルを取り出し、上述の方法により引張特性、体積抵抗率の評価を行った。
[原料の押出機へのフィード方法]
図1において、導電性カーボンブラック(B)以外の成分をブレンダーで混合した後、この混合物は定量フィーダー15(クボタ(株)製 CE−W−1)を用いてトップから供給し、導電性カーボンブラック(B)は定量フィーター16(クボタ(株)製、CE−W−0)を用いてサイドより供給した。
以下実施例により本発明を更に具体的に説明する。
[実施例1〜14]
シリンダー温度が200℃に設定された図1に示す構造を有するTEM−26SS2軸押出機を用い、上述のフィード方法によって表1に記載の割合で押出機に原料を供給して、17の脱気ベントより真空ポンプで脱気し、バレルゾーン5はガス抜きとして大気中に開放してスクリュー回転数150rpm、押出量10kg/hrで溶融混練を行った。尚、組成物には(E)離型剤としてベヘニルアルコール2.5質量部を成分(A)、(C)および(D)成分と混合することにより押出機トップより添加した。押出された樹脂はストランドカッターでペレットとした。このペレットを用いて上述の方法により燃料浸漬試験前後の引張特性、体積抵抗率の評価を行った。
[比較例1〜12]
各成分を表2に記載の割合で配合し、その他は実施例と同様にしてポリアセタール樹脂組成物ペレットを製造した。得られたペレットは実施例と同様の方法により燃料浸漬試験前後の引張特性、体積抵抗率の評価を行った。
Figure 0005048020
Figure 0005048020
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、酸化劣化した自動車燃料に長時間さらされた後も引張特性等の物性や導電性を高いレベルで保持できるため、自動車用のフューエルポンプ、プレッシャーレギュレーター、センターゲージ、これらを一体化させたフューエルポンプモジュールなど自動車燃料に直接接触して使用される用途に好適に適応できる。
1〜12:押出機のバレルゾーン(個々に独立)
13:ダイヘッド
14:押出機モーター
15:定量フィーダー(トップ)
16:定量フィーダー(サイド)
17:脱気ベント

Claims (4)

  1. ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して、フタル酸ジブチル吸油量が200mL/100g以上の導電性カーボンブラック(B)3〜10質量部、下記一般式(1)で表されるヒンダードアミン系光安定剤(C)0.1〜3質量部、エポキシ化合物(D)を含有してなるポリアセタール樹脂組成物であって、エポキシ化合物(D)とヒンダードアミン系光安定剤(C)の質量比(D)/(C)が60/40〜85/15であることを特徴とするポリアセタール樹脂組成物。
    Figure 0005048020
    (Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素数1〜20個で窒素原子で中断されていてもよい1〜4価の炭化水素基、nは1〜4の整数を表す。)
  2. ヒンダードアミン系光安定剤(C)を表す一般式(1)中において、Rが水素原子であることを特徴とする請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  3. ポリアセタール樹脂(A)が、融点164℃以上、173℃以下のポリアセタールコポリマーであることを特徴とする請求項1または2に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3いずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物からなる自動車の燃料周り部品。
JP2009140379A 2009-06-11 2009-06-11 導電性ポリアセタール樹脂組成物 Active JP5048020B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009140379A JP5048020B2 (ja) 2009-06-11 2009-06-11 導電性ポリアセタール樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009140379A JP5048020B2 (ja) 2009-06-11 2009-06-11 導電性ポリアセタール樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010285539A JP2010285539A (ja) 2010-12-24
JP5048020B2 true JP5048020B2 (ja) 2012-10-17

Family

ID=43541493

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009140379A Active JP5048020B2 (ja) 2009-06-11 2009-06-11 導電性ポリアセタール樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5048020B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6054811B2 (ja) * 2013-06-03 2016-12-27 旭化成株式会社 導電性ポリアセタール樹脂組成物及びその成形体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010285539A (ja) 2010-12-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5062843B2 (ja) 導電性ポリアセタール樹脂組成物、および成形体
JP5890848B2 (ja) 導電性ポリアセタール樹脂組成物及び成形体
JP6054988B2 (ja) ポリアセタール樹脂組成物及びその成形体
JP5116022B2 (ja) 導電性ポリアセタール樹脂組成物、その製造方法および成形体
EP2036949A1 (en) Polyacetal resin composition
JP2013253696A (ja) はすばギア
WO2005040275A1 (ja) ポリアセタール樹脂組成物及びその成形品
JP6267478B2 (ja) 自動車内装部品
JP2008156628A (ja) ポリアセタール樹脂組成物
JP2008260923A (ja) ポリアセタール樹脂組成物
JP5234752B2 (ja) ポリアセタール樹脂組成物
JP5048020B2 (ja) 導電性ポリアセタール樹脂組成物
JP2012236905A (ja) 導電性ポリアセタール樹脂組成物の製造方法
JP5234602B2 (ja) ポリアセタール樹脂組成物
JP4990324B2 (ja) ポリアセタール樹脂組成物及びその製造方法
JP6215017B2 (ja) ポリアセタール樹脂用マスターバッチ、及びこれを含むポリアセタール樹脂組成物
JP5774382B2 (ja) 樹脂組成物及び成形体
JP2015101647A (ja) ポリアセタール樹脂組成物
JP5143163B2 (ja) ポリアセタール樹脂組成物及びその製造方法
JP6484434B2 (ja) ポリアセタール樹脂組成物及びその成形体
JP5841914B2 (ja) ポリアセタール樹脂組成物及びその成形体
JP4903748B2 (ja) ハードディスクのランプ成形体
JP6965102B2 (ja) ポリアセタール樹脂組成物
JP2011017398A (ja) はすばギア
JP6095970B2 (ja) オキシメチレン樹脂製機構部品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110607

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120608

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120619

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120718

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150727

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5048020

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350