JP7207056B2 - 圧延h形鋼及び合成梁 - Google Patents

圧延h形鋼及び合成梁 Download PDF

Info

Publication number
JP7207056B2
JP7207056B2 JP2019051750A JP2019051750A JP7207056B2 JP 7207056 B2 JP7207056 B2 JP 7207056B2 JP 2019051750 A JP2019051750 A JP 2019051750A JP 2019051750 A JP2019051750 A JP 2019051750A JP 7207056 B2 JP7207056 B2 JP 7207056B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rolled
section steel
section
jis
steel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019051750A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020153128A (ja
Inventor
涼平 桑田
聡 北岡
慧 木村
康生 一戸
太沖 寺沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2019051750A priority Critical patent/JP7207056B2/ja
Publication of JP2020153128A publication Critical patent/JP2020153128A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7207056B2 publication Critical patent/JP7207056B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Rod-Shaped Construction Members (AREA)

Description

本発明は、圧延H形鋼及び合成梁に関する。
上フランジ、下フランジ、及び、ウェブを有する二軸対称断面の圧延H形鋼としては、例えば、特許文献1、2の圧延H形鋼がある。
すなわち、特許文献1の圧延H形鋼は、圧延H形鋼の外法高さをH、上フランジ及び下フランジの幅をB、ウェブの厚さをt1、上フランジ及び下フランジの厚さをt2、圧延H形鋼の内法高さをd(=H-2×t2)、鋼材の設計基準強度をF(N/mm2)とした場合に、以下の1)~3)に示す断面形状寸法及び強度を満たし、かつ引張強さが400~670N/mm2であることを特徴とする。
1) 6.0≦B/(2×t2)≦11.1
2) 75.2≦d/t1≦1.35×1100/F1/2
3) 235≦F≦385
また、特許文献2の圧延H形鋼は、圧延H形鋼の外法高さをH、上フランジ及び下フランジの幅をB、ウェブの厚さをt1、上フランジ及び下フランジの厚さをt2、圧延H形鋼の内法高さをd(=H-2×t2)、鋼材の設計基準強度をF(N/mm2)とした場合に、以下の1)~4)に示す断面形状寸法及び強度を満たし、かつ引張強さが400~740N/mm2であることを特徴とする。
1) 11.2≦B/(2×t2)≦240/F1/2
2) 1100/F1/2<d/t1≦1.4×1100/F1/2
3) 235≦F≦440
4) B/H<0.76
特許第6003526号公報 特許第6003527号公報
一般に、構造物の小梁又は孫梁に使用される圧延H形鋼は、シアコネクタ等の接続部材によりコンクリートスラブ又はデッキ合成スラブである床スラブと一体化される。この床スラブと一体化された圧延H形鋼は、上フランジの水平移動が拘束された状態にある。
上述の特許文献1、2に記載の圧延H形鋼は、小梁等の梁に適用されるものであるとされているが、上フランジの水平移動が拘束されたことによる合成梁としての性能向上効果が十分に考慮されておらず、過剰な性能により重量の増加に繋がっている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、一例として、曲げ剛性や曲げ耐力といった性能を確保しつつ、重量を低減できる圧延H形鋼及び合成梁、又は、従来と同等以下の断面積で曲げ剛性や曲げ耐力といった性能を向上させることができる圧延H形鋼及び合成梁を提供することを課題とする。
本発明の第一態様に係る圧延H形鋼は、上フランジ、下フランジ、及び、ウェブを有する二軸対称断面の圧延H形鋼であって、前記圧延H形鋼の外法高さをH、前記上フランジ及び前記下フランジの幅をB、前記ウェブの厚さをt1、前記上フランジ及び前記下フランジの厚さをt2、前記圧延H形鋼の内法高さをd(=H-2×t2)、鋼材の設計基準強度をF(N/mm2)、鋼材のヤング係数をE(N/mm2)とした場合に、以下の1)~3)に示す断面形状寸法及び強度を満たし、かつ引張強さが400~670N/mm2であることを特徴とする。
1) 1.4×1100/F 1/2 <d/t1≦4.1×(E/F)1/2
2) 240/F1/2 B/(2×t2)≦(2B/d)×(E/F)1/2
3) 235≦F≦440
本発明の第二態様に係る合成梁は、材長方向の端部が支持された小梁又は孫梁である本発明の第一態様に係る圧延H形鋼と、前記上フランジに設置された接続部材を介して前記圧延H形鋼と一体化されたコンクリートスラブ又はデッキ合成スラブである床スラブと、を備え、前記上フランジは、全長に亘って前記床スラブと一体化されることにより、水平移動が拘束されていることを特徴とする。
本発明によれば、一例として、曲げ剛性や曲げ耐力といった性能を確保しつつ、重量を低減できる圧延H形鋼及び合成梁、又は、従来と同等以下の断面積で曲げ剛性や曲げ耐力といった性能を向上させることができる圧延H形鋼及び合成梁を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る合成梁が適用された床構造の斜視図である。 本発明の一実施形態に係る合成梁の縦断面図である。 図2の圧延H形鋼の縦断面図である。 本発明の圧延H形鋼と特許文献1、2の圧延H形鋼とについて、ウェブの幅厚比d/t1、及び、上フランジ及び下フランジの幅厚比B/(2×t2)を比較する図である。 小梁のFEM解析モデルの一例を示す斜視図である。 図5のFEM解析モデルを用いたFEM解析結果を示すグラフである。 図6のグラフにおける横軸の部材角φを説明する図である。
(床構造の構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る合成梁が適用された床構造40の斜視図である。
図1に示されるように、床構造40は、大梁41と、小梁42と、床スラブ30とを備える。大梁41及び小梁42は、水平方向の互いに直交する方向に延びている。小梁42は、シアプレート43を介して大梁41に接合されている。床スラブ30は、水平方向に延在しており、大梁41及び小梁42によって下側から支持されている。小梁42には、図示しない孫梁が接合される場合がある。
(合成梁の構成)
図2は、本発明の一実施形態に係る合成梁1の縦断面図である。
図2に示されるように、合成梁1は、材長方向の端部が支持された圧延H形鋼10と、この圧延H形鋼10の上フランジ12に設置されたシアコネクタ等の接続部材20を介して圧延H形鋼10と一体化されたコンクリートスラブ又はデッキ合成スラブである床スラブ30とを備える。圧延H形鋼10は、例えば、図1の小梁42又は孫梁に相当する。上フランジ12は、全長(略全長)に亘って床スラブ30と一体化されることにより、水平移動が拘束されている。また、圧延H形鋼10は、床スラブ30の荷重を受けることにより、おおよそ全断面(略全断面)が引張となる。
(圧延H形鋼の構成)
図3は、図2の圧延H形鋼10の縦断面図である。
圧延H形鋼10は、厚さが異なる上フランジ12及び下フランジ14と、ウェブ16とを有している。この圧延H形鋼10は、鉛直方向軸線及び水平方向軸線に対してそれぞれ線対称な断面である二軸対称断面を有する。図3において、Hは圧延H形鋼10の外法高さ、Bは上フランジ12及び下フランジ14の幅、t1はウェブ16の厚さ、t2は上フランジ12及び下フランジ14の厚さ、dは圧延H形鋼10の内法高さ(=H-2×t2)、rは上フランジ12及び下フランジ14とウェブ16との接続部に形成されたフィレット18の半径をそれぞれ示している。
発明者らは、従来の圧延H形鋼である特許文献1、2の圧延H形鋼が過剰な性能となっている点に着目し、鋭意検討を行った。そして、床スラブによって上フランジの水平移動が拘束されている点や、床スラブの荷重を受けることにより、圧延H形鋼のおおよそ全断面(略全断面)が引張となる点を考慮し、従来の圧延H形鋼に対して、曲げ剛性や曲げ耐力といった性能を確保しつつ、重量を低減できる圧延H形鋼、又は、従来と同等以下の断面積で曲げ剛性や曲げ耐力といった性能を向上させることができる圧延H形鋼を得るに至った。以下、本発明の圧延H形鋼を具体的に説明する。
本発明の圧延H形鋼は、圧延H形鋼の外法高さをH、上フランジ及び下フランジの幅をB、ウェブの厚さをt1、上フランジ及び下フランジの厚さをt2、圧延H形鋼の内法高さをd(=H-2×t2)、鋼材の設計基準強度をF(N/mm2)、鋼材のヤング係数をE(N/mm2)とした場合に、以下の1)~3)に示す断面形状寸法及び強度を満たし、かつ引張強さが400~670N/mm2であることを特徴とする。
1) 2.4×(E/F)1/2<d/t1≦4.1×(E/F)1/2
2) 240/F1/2≦B/(2×t2)≦(2B/d)×(E/F)1/2
3) 235≦F≦440
(圧延H形鋼の断面形状寸法及び強度の範囲を規定した理由)
ここで、1)~3)に示す断面形状寸法及び強度の範囲を規定した理由について説明する。
まず、「1) 2.4×(E/F)1/2<d/t1≦4.1×(E/F)1/2」について説明する。
図4は、本発明の圧延H形鋼と特許文献1、2の圧延H形鋼とについて、ウェブの幅厚比d/t1、及び、上フランジ及び下フランジの幅厚比B/(2×t2)を比較する図である。
下限値については、日本建築学会「鋼構造設計規準-許容応力度設計法-」に規定されているウェブ幅厚比d/t1の上限値が2.4×(E/F)1/2であるため、その範囲を含まないようにした。
上限値については、本発明の圧延H形鋼を小梁又は孫梁として使用した際に、性能上問題とならない範囲を解析的に検討し設定した。
具体的には、図5に示すようなヤング係数205000N/mm2、鋼材強度295N/mm2、引張強さ400N/mm2、材長を一般的な7200mmとした小梁の梁端境界条件を模擬するために、この小梁の梁端部に単純支持相当のボルト接合部を設けたものをFEM解析モデルとし、この解析モデルに対して、漸増の等分布荷重を与える弾塑性解析を実施した。
なお、前記解析モデルについては、対称性を考慮して梁中央から梁端までの2分の1モデルとし、梁中央断面には対称条件を与えた。また、床スラブによる拘束を模擬するために、上フランジ中心線は横移動を生じさせないよう拘束した。
この解析結果を図6に示す。図6のグラフにおいて、縦軸はモデルの梁中央の曲げモーメント、横軸は図7に示す部材角φである。また、図6中には、あわせて設計上の弾性剛性計算値および長期許容モーメントを示す。
前記解析モデルは、本発明のウェブ幅厚比d/t1の上限値よりも大きな領域に位置するが、設計値を超える範囲まで安定して耐力上昇していることから、小梁の構造性能上問題ないと考えられる。解析的にはさらにウェブの厚さt1を薄くすることも考えられるが、製造面を踏まえると、より幅厚比の大きな範囲では製造が難しくなるため、本発明においては、ウェブ幅厚比d/t1の上限値を、前記解析モデルの幅厚比よりも小さな値となる4.1×(E/F)1/2とした。
次に、「2) 240/F1/2≦B/(2×t2)≦(2B/d)×(E/F)1/2」について説明する。
下限値については、日本建築学会「鋼構造設計規準-許容応力度設計法-」に規定されている上フランジ及び下フランジの幅厚比B/(2×t2)の上限値がヤング係数を205000N/mm2とすると約239.968/F1/2であるため、その範囲を含まないようにした。
上限値については、製造面を考慮すると、一般に上フランジ及び下フランジの厚さはウェブの厚さ以上であること、及び、2)d/t1≦4.1×(E/F)1/2の範囲規定により設定した。
ウェブの幅厚比d/t1を2)の範囲とした場合に、上フランジ及び下フランジの幅厚比B/(2×t2)を1)にすることで、特許文献1、2を含む従来の圧延H形鋼よりも圧延H形鋼の断面積ひいては重量を低減することができる。また、ウェブの幅厚比d/t1を1)により、また、上フランジ及び下フランジの幅厚比B/(2×t2)を2)によりそれぞれ規定することにより、合成梁とした場合には、従来よりも圧延H形鋼の断面積を低減して断面二次モーメント及び断面係数を有利にできる。
次に、「3) 235≦F≦440」について説明する。
上限値については、440N/mm2より大きな高強度材を用いた場合、耐力の向上は見込めるが、剛性の向上にはつながらないため、たわみ制限による制約が支配的となり、これ以上の高強度材を用いたとしても、メリットが得られにくい。よって実用上は440N/mm2程度に抑えておく方がよい
下限値については、少なくとも特許文献1、2の圧延H形鋼を含む従来の圧延H形鋼に対して同等以上の曲げ耐力を確保するため、特許文献1、2と同じ値に設定した。
本発明の圧延H形鋼によれば、従来の圧延H形鋼に対して、曲げ剛性や曲げ耐力といった性能を確保しつつ、重量を低減できる。また、換言すれば、従来の圧延H形鋼に対して、同等以下の断面積で曲げ剛性や曲げ耐力といった性能を向上させることができる。
(実施例)
表1は、JIS例1~8について、圧延H形鋼の断面形状寸法、断面積、及び、強度を示す表である。JIS例1~8は、JIS規格の圧延H形鋼に係る実施例である。
Figure 0007207056000001
表2は、JIS例1~8について、強軸断面二次モーメント、強軸有効断面二次モーメント、及び、断面係数を示す表である。
なお、有効断面とは、「日本建築学会 鋼構造設計規準 -許容応力度設計法-」において規定されている断面であり、H形鋼フランジ及びウェブの幅厚比を超える部分の断面を無効断面とみなして算定したものである。強軸有効断面二次モーメントは、ウェブおよびフランジの無効断面を考慮した場合の強軸断面二次モーメントである。断面係数Zxcとは、上フランジ側の断面係数であり、断面係数Zxtとは、下フランジ側の断面係数である。また、断面係数Zxceとは、ウェブおよびフランジの無効断面を考慮した上フランジ側の断面係数(有効断面係数)であり、断面係数Zxteとは、ウェブおよびフランジの無効断面を考慮した下フランジ側の断面係数(有効断面係数)である。表2の値は、指数表示を含んでおり、「E+05」は「×10」、「E+06」は「×10」、「E+07」は「×10」、「E+08」は「×10」をそれぞれ示している。
Figure 0007207056000002
表3は、発明例1~60について、圧延H形鋼の断面形状寸法、断面積、及び、強度を示す表である。発明例1~60は、本発明の圧延H形鋼に係る実施例である。
Figure 0007207056000003
表4は、発明例1~60について、強軸断面二次モーメント、強軸有効断面二次モーメント、断面係数、対JIS重量比、及び、対JIS断面係数比を示す表である。
JIS例の圧延H形鋼の重量に対する発明例の圧延H形鋼の重量の比率を表す対JIS例重量比は、下記4)で求められ、1未満であると重量的にはJIS例より軽くなる。
一方、JIS例の圧延H形鋼の強軸有効断面二次モーメントに対する発明例の圧延H形鋼の強軸有効断面二次モーメントの比率を表す対従来例強軸有効断面二次モーメント比は、下記5)で求められ、1超となると曲げ剛性の性能が従来例より優れていることを示している。また、JIS例の圧延H形鋼の有効断面係数に対する発明例の圧延H形鋼の有効断面係数の比率を表す対JIS例有効断面係数比は、下記6)で求められ、1超となると曲げ耐力の性能がJIS例より優れていることを示している。
対JIS例有効断面係数比は、JIS例と発明例との各断面係数Zxce(ウェブおよびフランジの無効断面を考慮した上フランジ側の断面係数(有効断面係数))を比較している。
4) 対JIS例重量比=(発明例の圧延H形鋼の重量)/(JIS例の圧延H形鋼の重量)
5) 対JIS例強軸有効断面二次モーメント比=(発明例の圧延H形鋼の強軸有効断面二次モーメント)/(JIS例の圧延H形鋼の強軸有効断面二次モーメント)
6) 対JIS例有効断面係数比=(発明例の圧延H形鋼の有効断面係数)/(JIS例の圧延H形鋼の有効断面係数)
なお、表4中の「対JIS例重量比」及び「対JIS例断面係数比」は、発明例1~16についてはJIS例1~3のいずれかと比較した結果、発明例17~60についてはJIS例4~8のいずれかと比較した結果をそれぞれ示している。具体的に、発明例1~4はJIS例1と、発明例5~8はJIS例2と、発明例9~16はJIS例3とそれぞれ比較している。また、発明例17~20はJIS例4と、発明例21~24はJIS例5と、発明例25~32はJIS例6と、発明例33~56はJIS例7と、発明例57~60はJIS例8とそれぞれ比較している。表4の値は、指数表示を含んでおり、「E+05」は「×10」、「E+06」は「×10」、「E+07」は「×10」、「E+08」は「×10」をそれぞれ示している。
Figure 0007207056000004
表4に示されるように、発明例1~16によれば、いずれも対JIS例重量比が1未満であり、対JIS例強軸有効断面二次モーメント比および対JIS例有効断面係数比が1を超えているので、JIS例1~3に対して、重量を低減しつつ、曲げ剛性や曲げ耐力といった性能を向上させることができる。
また、発明例17~60によれば、後述する設計条件を満足しながら、JIS規格の圧延H形鋼に係るJIS例4~8に対して、対JIS例重量比を大幅に低減、すなわち、重量を大幅に低減することができる。
発明例17~60について、具体的に説明する。
表5-1、表5-2は、発明例17~60、JIS例4~8について、たわみ比(施工時)、たわみ比(常用時)、曲げ応力比(施工時)、曲げ応力比(常用時)、せん断応力比(施工時)、及び、せん断応力比(常用時)を比較する表である。なお、表中のδmaxは、後述する設計条件に対して生じる施工時および常用時の梁の材長方向中央のたわみ量であり、δaは後述する設計条件から算出される許容たわみ量である。また表中のσおよびτは、後述する設計条件に対して生じる施工時および常用時の曲げ応力およびせん断応力であり、fbおよびfsは長期許容曲げ応力度および長期許容せん断応力度である。
施工時では、床コンクリートが硬化していないため、鉄骨単体の性能が要求される。常用時は、施工完了後、指定の用途として建物が使用されている段階であり、このときには床コンクリートが硬化後であるため、合成梁としての性能が要求される。
Figure 0007207056000005

Figure 0007207056000006
表5-1、表5-2に示されるように、圧延H形鋼を小梁として用いるに際して、発明例17~60は、JIS例4~8のようにたわみ比(施工時・常用時)、曲げ応力比(施工時・常用時)、せん断応力比(施工時・常用時)といった条件を満足しながらも(それぞれの比の値が1.00以下)、重量については、比較の対象となっているJIS例4~8に比べて大幅に低減されていることが分かる(対JIS例重量比が1.00未満)。
したがって、本発明例の圧延H形鋼は、設計上要求されている性能を確保しながらも、従来の圧延H形鋼に比べて重量を低減することができる。
なお、前述の設計条件は、圧延H形鋼を小梁として用いる場合についての検討を行う上でのものであって、前提条件として、材長7.2m、ピッチ3.0m、コンクリートスラブ150mm厚(コンクリート強度21N/mm2)とし、また荷重条件として、小梁および床の自重、施工時荷重4.5kN/m、仕上げ・設備荷重2.4kN/m、積載荷重15kN/m、許容たわみ量として施工時L/300、常用時L/500(ここで、Lは材長)とした場合の一例である。設計方法は各種合成構造設計指針・同解説(日本建築学会)に準拠して実施した。
表6は、JIS例1~8の圧延H形鋼に床スラブを取り付けて合成梁とした場合について、有効等価断面二次モーメント及び有効等価断面係数を示す表である。有効等価断面二次モーメントeIとは、床スラブを考慮した合成梁の断面二次モーメントである。有効等価断面係数eZtとは、床スラブを考慮した合成梁の断面係数である。なお、考慮した床スラブは一般的なコンクリートスラブ(スラブ厚150mm、強度21N/mm2)である。
Figure 0007207056000007
表7は、表3~表5-2で示した発明例1~60の圧延H形鋼に床スラブを取り付けて合成梁とした場合について、有効等価断面二次モーメント、有効等価断面係数、対JIS例有効等価断面二次モーメント比、及び、対JIS例有効等価断面係数比を示す表である。
JIS例の圧延H形鋼を用いた合成梁の有効等価断面二次モーメントに対する発明例の圧延H形鋼を用いた合成梁の有効等価断面二次モーメントの比率を表す対JIS例有効等価断面二次モーメント比は、下記6)で求められ、1を超えると曲げ剛性や曲げ耐力等の性能がJIS例の圧延H形鋼を用いた場合よりも優れていることを示している。
また、JIS例の圧延H形鋼を用いた合成梁の有効等価断面二次モーメントに対する発明例の圧延H形鋼を用いた合成梁の有効等価断面係数の比率を表す対JIS例有効等価断面係数比は、下記7)で求められ、1を超えると曲げ剛性や曲げ耐力等の性能がJIS例の圧延H形鋼を用いた場合よりも優れていることを示している。
6) 対JIS例有効等価断面二次モーメント比=(発明例の圧延H形鋼を用いた場合の有効等価断面二次モーメント)/(JIS例の圧延H形鋼を用いた場合の有効等価断面二次モーメント)
7) 対JIS例有効等価断面係数比=(発明例の圧延H形鋼を用いた場合の有効等価断面係数)/(JIS例の圧延H形鋼を用いた場合の有効等価断面係数)
なお、表7中の「対JIS例有効等価断面二次モーメント比」及び「対JIS例有効等価断面係数比」は、発明例1~16についてはJIS例1~3のいずれかと比較した結果を、発明例17~60についてはJIS例4~8のいずれかと比較した結果をそれぞれ示している。具体的に、発明例1~4はJIS例1と、発明例5~8はJIS例2と、発明例9~16はJIS例3とそれぞれ比較している。また、発明例17~20はJIS例4と、発明例21~24はJIS例5と、発明例25~32はJIS例6と、発明例33~56はJIS例7と、発明例57~60はJIS例8とそれぞれ比較している。また、本発明例の圧延H形鋼に取り付けた合成梁において、考慮した床スラブは従来例の場合と同様、一般的なコンクリートスラブ(スラブ厚150mm、強度21N/mm2)である。

Figure 0007207056000008
表7に示されるように、発明例1~16の圧延H形鋼を用いた合成梁によれば、JIS規格の圧延H形鋼に係るJIS例1~3の圧延H形鋼を用いた合成梁に対して、重量を同等以下にしながら、曲げ剛性や曲げ耐力を向上させることができる。
また、発明例17~60の圧延H形鋼を用いた合成梁によれば、JIS規格の圧延H形鋼に係るJIS例4~8の圧延H形鋼を用いた合成梁に対して、設計の余裕度を削減することで、設計上要求されている性能を満足させながら重量を大幅に低減することができる。
1 合成梁
10 圧延H形鋼
12 上フランジ
14 下フランジ
16 ウェブ
18 フィレット
20 接続部材
30 床スラブ

Claims (2)

  1. 上フランジ、下フランジ、及び、ウェブを有する二軸対称断面の圧延H形鋼であって、
    前記圧延H形鋼の外法高さをH、前記上フランジ及び前記下フランジの幅をB、前記ウェブの厚さをt1、前記上フランジ及び前記下フランジの厚さをt2、前記圧延H形鋼の内法高さをd(=H-2×t2)、鋼材の設計基準強度をF(N/mm2)、鋼材のヤング係数をE(N/mm2)とした場合に、以下の1)~3)に示す断面形状寸法及び強度を満たし、かつ引張強さが400~670N/mm2であることを特徴とする圧延H形鋼。
    1) 1.4×1100/F 1/2 <d/t1≦4.1×(E/F)1/2
    2) 240/F1/2 B/(2×t2)≦(2B/d)×(E/F)1/2
    3) 235≦F≦440
  2. 材長方向の端部が支持された小梁又は孫梁である請求項1に記載の圧延H形鋼と、
    前記上フランジに設置された接続部材を介して前記圧延H形鋼と一体化されたコンクリートスラブ又はデッキ合成スラブである床スラブと、
    を備え、
    前記上フランジは、全長に亘って前記床スラブと一体化されることにより、水平移動が拘束されていることを特徴とする合成梁。
JP2019051750A 2019-03-19 2019-03-19 圧延h形鋼及び合成梁 Active JP7207056B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019051750A JP7207056B2 (ja) 2019-03-19 2019-03-19 圧延h形鋼及び合成梁

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019051750A JP7207056B2 (ja) 2019-03-19 2019-03-19 圧延h形鋼及び合成梁

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020153128A JP2020153128A (ja) 2020-09-24
JP7207056B2 true JP7207056B2 (ja) 2023-01-18

Family

ID=72558166

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019051750A Active JP7207056B2 (ja) 2019-03-19 2019-03-19 圧延h形鋼及び合成梁

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7207056B2 (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008280687A (ja) 2007-05-08 2008-11-20 Sumitomo Metal Ind Ltd 合成梁
JP6003527B2 (ja) 2012-10-23 2016-10-05 Jfeスチール株式会社 圧延h形鋼

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008280687A (ja) 2007-05-08 2008-11-20 Sumitomo Metal Ind Ltd 合成梁
JP6003527B2 (ja) 2012-10-23 2016-10-05 Jfeスチール株式会社 圧延h形鋼

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020153128A (ja) 2020-09-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7196886B2 (ja) 床スラブ付鉄骨梁
JP2018131882A (ja) 基礎構造
JP3451328B2 (ja) エネルギ吸収機構を備えた柱梁接合部
JP7207054B2 (ja) 圧延h形鋼及び合成梁
JP2020200759A5 (ja)
JP6681277B2 (ja) 柱梁接合構造の接合部耐力評価方法、柱梁接合構造の設計方法、及び柱梁接合構造
JP4819605B2 (ja) 端部と中央部とで強度の異なる緊張材を用いたプレキャストプレストレストコンクリート梁
JP2020076226A (ja) 形鋼、床構造及び床構造の施工方法
JP7207056B2 (ja) 圧延h形鋼及び合成梁
JP7335540B1 (ja) 接合構造
JP7207055B2 (ja) 圧延h形鋼及び合成梁
JP7172779B2 (ja) 圧延h形鋼及び合成梁
JP4696843B2 (ja) 合成梁構造
JP6128058B2 (ja) 梁端部の接合構造
JP7234084B2 (ja) 床スラブ付き鉄骨梁およびその補強方法
JP2010216115A (ja) 鉄骨構造物
JP2009191487A (ja) H形鋼
JP6996544B2 (ja) 既存構造物の耐震改修方法
JP2022182765A (ja) 合成部材およびその製造方法
JP3938718B2 (ja) 鉄筋コンクリート梁の構造
JP4137037B2 (ja) 鉄筋コンクリート梁のせん断強度評価方法および鉄筋コンクリート梁構造
JP7314030B2 (ja) 開口を有する床スラブ付き鉄骨梁およびその補強方法
WO2023163213A1 (ja) 接合構造
JP6838539B2 (ja) 鋼桁橋
JP6892010B1 (ja) 合成梁

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211104

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220930

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221004

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221117

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20221206

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20221219

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7207056

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151