JP3451328B2 - エネルギ吸収機構を備えた柱梁接合部 - Google Patents

エネルギ吸収機構を備えた柱梁接合部

Info

Publication number
JP3451328B2
JP3451328B2 JP29765894A JP29765894A JP3451328B2 JP 3451328 B2 JP3451328 B2 JP 3451328B2 JP 29765894 A JP29765894 A JP 29765894A JP 29765894 A JP29765894 A JP 29765894A JP 3451328 B2 JP3451328 B2 JP 3451328B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
column
energy absorbing
joint
flange
absorbing portion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP29765894A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08151686A (ja
Inventor
重雄 嶺脇
相沢  覚
洋文 金子
元 谷口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takenaka Corp
Original Assignee
Takenaka Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Takenaka Corp filed Critical Takenaka Corp
Priority to JP29765894A priority Critical patent/JP3451328B2/ja
Publication of JPH08151686A publication Critical patent/JPH08151686A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3451328B2 publication Critical patent/JP3451328B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Building Environments (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、柱と梁を接合してラ
ーメンを形成する建築構造体の柱梁接合部に実施され
る、振動エネルギを塑性エネルギとして吸収し建物の振
動を抑制するエネルギ吸収機構を備えた柱梁接合部に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、柱と梁を接合してラーメンを形成
する建築構造体の柱梁接合部に実施される、振動エネル
ギを塑性エネルギとして吸収し建物の振動を抑制する、
耐震性の柱梁接合部に関しては、およそ下記のものが知
られ実施されている。 柱と梁を接合した柱梁接合部の柱及び梁の端部に、
母材より遙に降伏点の低い極軟鋼材を積層し、地震時に
前記極軟鋼材を塑性化させ減衰の大きい復元力特性を得
る機構(特開平4−1373号、特開平4−29767
4号、特開平5−156839号公報の発明参照)。 柱と梁を接合した柱梁接合部の梁端に、梁材が局部
座屈する前に塑性変形する端板を介在させて接合し、骨
組の靱性を高めた機構(特公昭63−53340号、実
公平1−13682号公報の発明参照)。 通常の構造設計において、図19のように、梁の端
部近傍をハンチ形状とすることは慣例的に行われてい
る。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】上記の機構によれ
ば、振動エネルギを塑性エネルギとして吸収し建物の振
動を抑制することは可能であろう。しかし、この機構だ
と中立軸から極軟鋼材までの成を十分に確保できないの
で、極軟鋼材に大きな塑性率を与えることが出来ず、制
振効果が小さい。例えば図20A,Bのように梁の上フ
ランジが床スラブと合成梁を形成し、下フランジにのみ
極軟鋼材を積層した場合を考えると、この例の歪み分布
形は図21のようになる。即ち、この耐震性能は、図1
2において成Xa が0に近い条件として考えられ、断面
A位置での曲げモーメント(母材の弾性限度内における
曲げモーメント)My が小さく、所要大きさの曲げモー
メントに対して母材を弾性限度内に留めようとすると、
梁母材の断面を大きくしなければならない。また、塑性
率は2.5程度以下であり、大きなエネルギ吸収能力を
期待できない。
【0004】次に、上記の機構は、軽微な建築架構を
対象としたものであり、本発明が対象とする大規模な建
築架構には適用し難い。また、一旦端板が塑性変形を起
こした後は繰り返し変位による振動エネルギを吸収する
ことは期待できない。上記の設計方式は、エネルギ吸
収による振動低減を意図したものではない。一次設計レ
ベル外力に対する設計では、母材部分がほぼ弾性である
ことが求められるので、例えば図19に示した構成の柱
梁接合部ではエネルギ吸収を期待できない。即ち、梁端
部での曲げモーメントと回転変形の関係を模式的に示す
と、図22のように直線的になり、エネルギ吸収量に相
当する面積が発生しない。
【0005】従って、本発明の目的は、母材部分が弾性
限度内で断面全体が負担可能な応力を高めることが出
来、同時にエネルギ吸収部の塑性率(歪み量の降伏歪み
量に対する比率)を大きくしてエネルギ吸収能力を高め
ることが出来、母材部分が弾性状態であるにもかかわら
ず十分大きなエネルギ吸収が行われ、一次設計レベル外
力に対する応答の低減効果を期待でき、母材の弾性限度
能力を調整できて構造設計上有効なエネルギ吸収機構を
備えた柱梁接合部を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの手段として、請求項1記載の発明に係るエネルギ吸
収機構を備えた柱梁接合部は、柱と梁を剛接合してラー
メンを形成する建築構造体の柱梁接合部において、柱梁
接合部の柱又は梁のフランジ交差部から材軸方向に、柱
材又は梁材よりも降伏点が低い金属材料からなるT形断
面形状のエネルギ吸収部が、そのウエブ部を柱又は梁の
ウエブと平行な配置でフランジ外面へ直角三角形状の
ンチ形状に一体的に接合されていることを特徴とする。
【0007】請求項2記載の発明に係るエネルギ吸収機
構を備えた柱梁接合部は、柱と梁を剛接合してラーメン
を形成する建築構造体の柱梁接合部において、柱梁接合
部の柱又は梁のフランジ交差部から材軸方向にエネルギ
吸収部が接合される部分のフランジが切除され、そのウ
エブへ直接、柱材又は梁材よりも降伏点が低い金属材料
からなるT形断面形状のエネルギ吸収部のウエブ部が柱
又は梁のウエブと平行配置で直角三角形状のハンチ形
状に一体的に接合されていることを特徴とする。請求項
3に記載した発明は、請求項1又は2に記載したエネル
ギ吸収機構を備えた柱梁接合部において、柱は鉄筋コン
クリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造で、梁は鉄骨造
であり、T形断面形状のエネルギ吸収部は梁へ一体的に
接合されていることを特徴とする(図4参照)。請求項
4に記載した発明は、請求項1又は2に記載したエネル
ギ吸収機構を備えた柱梁接合部において、T形断面形状
のエネルギ吸収部は、柱の両側又は梁の両側に対称的な
配置のハンチ形状に接合されていることを特徴とする
(図2又は図3参照)。
【0008】請求項5に記載した発明は、請求項1又は
2に記載したエネルギ吸収機構を備えた柱梁接合部にお
いて、T形断面形状のエネルギ吸収部は、そのフランジ
部の幅寸及びウエブ部の高さが、柱又は梁のフランジ交
差部が最大で材軸方向に漸減する断面変化形状に形成さ
れていることを特徴とする(図7A〜C参照)。請求項
6に記載した発明は、請求項1に記載したエネルギ吸収
機構を備えた柱梁接合部において、柱梁接合部の柱又は
梁におけるエネルギ吸収部が接合され部分のフランジ
の幅寸は、T形断面形状のエネルギ吸収部のフランジ部
の幅寸よりも小さく形成されていることを特徴とする。
【0009】請求項7に記載した発明は、請求項1又は
2に記載したエネルギ吸収機構を備えた柱梁接合部にお
いて、柱梁接合部におけるエネルギ吸収部は,極低降伏
点鋼又は低降伏点鋼又はステンレス鋼で形成されている
ことを特徴とする。
【0010】なお、本発明において云う柱とは通常のラ
ーメンを構成する柱のほか耐震間柱である場合を含む。
【0011】
【作用】本発明の一般的な構成例として、図11Aのよ
うに梁母材2の上フランジが床スラブ4と合成梁を形成
している場合を考える。横断面に生ずるひずみ分布は図
11Bのようになり、エネルギ吸収部に塑性ひずみEが
発生する。エネルギ吸収部の成を記号Xで表すと、断面
全体が負担できる曲げモーメントMは、梁母材が弾性限
度内の場合は図11Bのひずみ分布形を参考にして、概
算的に下記の〔数1〕で表すことができる。
【0012】
【数1】
【0013】式中の記号Ar は合成梁を形成する床スラ
ブ部分4の引張鉄筋5の断面積、Afは梁母材(H型断
面梁)のフランジ1枚当たりの断面積(上下同断面)、
w は梁母材(H型断面梁)のウエブ断面積、Aa はエ
ネルギ吸収部のフランジ部分の断面積、tw はエネルギ
吸収部のウエブ部分の板厚、σy ’はエネルギ吸収部を
構成する材料の降伏応力度で、μ1 はエネルギ吸収部の
フランジ部分の塑性率、μ2 はエネルギ吸収部のウエブ
部分の塑性率の平均的な値である。また、X1 はエネル
ギ吸収部(極低降伏点鋼)の断面中心から中立軸までの
距離であり、下記〔数2〕で表される。
【0014】
【数2】
【0015】その他の記号は図11A,B中に示す通り
である。上記の〔数1〕はエネルギ吸収部が圧縮側とな
る場合を示しており、梁母材の弾性限度の下限値は一般
に〔数1〕においてμ1 が次の〔数3〕になる場合で表
される。
【0016】
【数3】
【0017】前記[数3]中の記号σは梁母材の降伏
応力度である。今、一例として、A=21.6cm
=75.0cm、A=51.75cm、A=7
5.0cm、d=12.5cm、h=57.5cm、σ
3.3t/cm、σ’=1.0t/cmとして、前述
の[数1]、[数2]を、μをパラメータとして、M
について解いた結果を図12中に細い実線で示し、[数
3]の条件を考慮して梁母材の弾性限度における曲げモ
ーメントMを太い実線で示した。ここでは簡単の為μ
とμの関係は下記[数4]で表現するものとした。
【0018】
【数4】
【0019】図12の縦軸は断面全体が負担する曲げモ
ーメントM、横軸はエネルギ吸収部の成Xである。こ
の成Xが大きいほどMは大きくなる。また、同じ大
きさの曲げモーメントMが断面に生じた時、Xを大き
くしてもμはそれ程変動しない特徴が見られる。図1
2中の●印は図13のように成が一定勾配で変化するエ
ネルギ吸収部を組み込んだ例、○印は図14のように成
が一様なエネルギ吸収部を組み込んだ例の各A〜E断面
位置における曲げモーメントの大きさと、エネルギ吸収
部の成との関係を示している。図13、図14の例の曲
げモーメントは、16m×8mスパン、20階建程度の
鉄骨建物がベースシア0.25程度(1次設計レベル外
力に相当)の地震力を受けた際の10階付近の長手梁
(16m)に生ずると考えられる値である。●印と○印
を比較すると、エネルギ吸収部の塑性率は各断面の位置
でそれぞれ殆ど同じ値となり結局、図13と図14のエ
ネルギ吸収能力は同等と言える。従って、ハンチ形状と
した図13の例の方が、使用する材料量も少なく、断面
E位置付近での力の伝達もスムーズなので、優れた形状
であると言える。図12からはまた、断面A位置での塑
性率は4.5以上となり、大きなエネルギ吸収能力を期
待できることが明らかである。因みに、一次設計レベル
の曲げモーメントと回転変形の関係を模式図で示すと図
11Cのようになる。
【0020】次に、本発明の異なる構成の一般例とし
て、図15Aのようにエネルギ吸収部が接合される梁母
材2のフランジ2aの幅寸がエネルギ吸収部3のフラン
ジ部3aの幅寸よりも小さく、同梁母材2の上フランジ
が床スラブ4と合成梁を形成している場合を考える。横
断面に生ずるひずみ分布は図15Bのようになり、エネ
ルギ吸収部3に大きな塑性ひずみEが生ずる。エネルギ
吸収部3の成を記号Xaで表すと、断面全体が負担でき
る曲げモーメントMは、梁母材が弾性限度内の場合、図
15Bのひずみ分布形を参考にして、略算的に下記の
〔数5〕で表すことができる。
【0021】
【数5】
【0022】式中の記号Ar は合成梁を形成する床スラ
ブ部分4の引張鉄筋5の断面積、Afuは梁母材2(H型
断面梁)の上フランジの断面積、Afbは梁母材(H型断
面梁)の下フランジ2a′の断面積、Aw は梁母材(H
型断面梁)のウエブ断面積で、Aa はエネルギ吸収部3
のフランジ部分の断面積、tw はエネルギ吸収部3のウ
エブ部分の板厚、σy ’はエネルギ吸収部3を構成する
材料の降伏応力度、μ1はエネルギ吸収部3のフランジ
部分の塑性率、μ2 はエネルギ吸収部3のウエブ部分の
塑性率の平均的な値である。また、X1 は極低降伏点鋼
の断面中心から中立軸までの距離で下記の〔数6〕で表
される。
【0023】
【数6】
【0024】その他の記号は図15A,B中に示す通り
である。〔数5〕はエネルギ吸収部3が圧縮力側となる
場合を表しており、梁母材2の弾性限度の下限値は、一
般に上記の〔数5〕においてμ1 が下記〔数7〕となる
場合で表される。
【0025】
【数7】
【0026】〔数7〕中の記号σy は梁母材の降伏応力
度である。本発明の極端な事例として、図10A,Bの
ように梁母材の下フランジが無い場合(Afb=0) を考え
る。各部分の寸法を、Ar =21.6cm2, Afu =75.0cm2,A
w =51.75cm2,Aa =75.0cm2, d=12.5cm , h=57.5cm ,
σy =3.3t/cm2 y ’=1.0t/cm2 として、上記の〔数
5〕〔数6〕を、μ1 をパラメータとして、曲げモーメ
ントMについて解いた結果を図16中に細い実線で示
し、〔数7〕の条件を考慮して梁母材2の弾性限度にお
ける曲げモーメントMy を太い実線で示した。ここでは
簡単の為、μ1 とμ2 の関係は下記の〔数8〕で表現で
きるものとした。
【0027】
【数8】
【0028】図16の縦軸は断面全体が負担する曲げモ
ーメントM、横軸はエネルギ吸収部3の成Xa である。
この成Xa が大きいほどMy は大きくなり、同じμ1
負担できるMも大きくなる。図16中の●印は図10A
のA〜E断面の位置における曲げモーメントの大きさと
エネルギ吸収部3の成との関係を示したものである。図
10A,Bの例の曲げモーメントは、16m×5mスパ
ン、20階建程度の鉄骨建物がベースシア0.25程度(1
次設計レベル外力に相当)の地震力を受けた際の10階
付近の長手梁(16m)に生ずると考えられる値である。
各断面位置でのエネルギ吸収部の塑性率はいずれも3〜
4となり、エネルギ吸収部全体に亙って比較的均等で大
きな塑性変形が生じるので、大きなエネルギ吸収能力を
期待できることが明らかである。
【0029】次に、図18A,Bのように梁母材2の下
フランジが通例の大きさである梁2の性能曲線を図17
に示した。図17によれば、エネルギ吸収部3の成Xa
が大きくなっても、同じμ1 で負担できる曲げモーメン
トMは大きくならないので、応力が大きい断面A位置の
塑性率に比べ、図18A中の断面D〜Eのような応力が
小さい位置での塑性率は小さくなり、エネルギ吸収部の
全体にわたって大きな塑性変形を生じさせるのは難し
い。この点で、図10Aの梁は、図18A,Bの梁より
も優れていると云える。
【0030】但し、図16及び図17を参照すると、図
10A,Bの梁は図18の梁に比べてMY の値が小さ
い。また、図16および図17中には、下記の〔数9〕
で表される、梁母材の断面全部が降伏状態となった全塑
性モーメントMp を太い破線で示したが、図16では図
17に比べてMY からMp までの差が小さい。これは梁
母材が降伏し始めてから終局状態に至るまでの余裕が小
さいことを示しており、望ましいことではない。
【0031】
【数9】
【0032】上記の問題点は、図8A,B又は図15
A,Bのように断面が小さい下フランジ2aを配置する
ことで調整でき、図16と図17の中間的な性能を持つ
梁端部を設計できる。すなわち、適切なMy 及びMP
値を持ち、かつ、エネルギ吸収部全体に亙って比較的均
等で大きな塑性変形が生じ大きなエネルギ吸収能力を発
揮する梁端部とすることができる。
【0033】
【実施例】次に、図示した本発明の実施例を説明する。
図1A、Bは、H形断面の鉄骨柱1と、同じくH形断面
の鉄骨梁2とを剛接合してラーメンを形成する建築構造
体の柱梁接合部における梁2の下側のフランジ2aの外
面(下面)から下向きに、且つ鉄骨柱1のフランジ1a
との交差部から材軸方向に、前記の柱母材及び梁母材
(構造用鋼=普通鋼)よりも降伏点が低い極低降伏点鋼
又は低降伏点鋼又はステンレス鋼などで製作したT形断
面形状のエネルギ吸収部3が、そのウエブ部3aを前記
梁2のウエブと平行な配置で、梁端から材軸方向に地震
や風荷重により発生する応力勾配に応じた傾斜角度で変
化する直角三角形状のハンチ形状に一体的に接合された
構成を示している。図中の符号4は床スラブ、6は補強
用のスチフナーである。エネルギ吸収部3の接合手段に
は応力が十分伝達されるように溶接が採用される。エネ
ルギ吸収部3の材質は、梁母材2が普通鋼(構造用鋼)
の場合には所謂純鉄の如き極低降伏点鋼、又は低炭素鋼
(軟鋼)の如き低降伏点鋼、ステンレス鋼などが適し、
梁母材2が高張力鋼の場合には普通鋼を採用することも
できる。こうした材質条件は、以下に説明する各実施例
に共通する事項である。
【0034】この柱梁接合部によれば、地震や風荷重等
の水平外力を受けた際に、比較的大きな応力が発生する
梁端部において、梁母材2を弾性限度内に留めたまま、
エネルギ吸収部3がそのほぼ全長に亙って塑性化し、振
動エネルギを塑性エネルギとして効率良く吸収し耐震
(制振)効果を発揮する。換言すれば、一次設計レベル
外力(使用限界状態を想定した外力)に対する応答の低
減効果を期待できるのである。
【0035】次に、図2に示した実施例は、柱梁接合部
を構成する梁2の上下のフランジ端部に、T形断面形状
のエネルギ吸収部3,3を上下に対称的なハンチ形状に
接合した構成である。吹き抜け部分や外周架構の柱梁接
合部に適用可能である。図3に示した実施例は、柱梁接
合部を構成する柱1の左右のフランジ1a,1aにおけ
る梁2の下フランジ2aとの交差部から材軸方向下向き
に、梁の下フランジとの交差部が最大で下方へ一定勾配
で漸滅する直角三角形状のエネルギ吸収部3が、左右に
対称的なハンチ形状に接合された構成である。
【0036】図4の実施例は、柱1が鉄筋コンクリート
造又は鉄骨鉄筋コンクリート造で、その補強鉄骨7と接
合して架設された鉄骨梁2の下フランジ2aのフランジ
端部から材軸方向に、直角三角形状のエネルギ吸収部3
がハンチ形状に一体的に接合された構成である。次に、
図5はエネルギ吸収部3のハンチ形状が非直線的に形成
された実施例を示している。また、図6はエネルギ吸収
部3のハンチ形状が、直線的な変化形状でありながら、
右端を切除された台形状とされた実施例を示している。
【0037】次に、図7A〜Cに示した実施例は、直角
三角形状のハンチを形成するエネルギ吸収部3のフラン
ジ部3bの幅寸及びウエブ部3aの高さ寸法が、梁のフ
ランジ端部(柱1のフランジ1aとの交差部)が最大で
(図7B参照)、材軸方向に漸滅して右端が最小となる
(図7Cを図7Bと比較して参照)断面変化形状に構成
したことを特徴とする。梁母材2を弾性限度に留めたま
まで、エネルギ吸収部3に大きな塑性ひずみ量(塑性エ
ネルギ)を生じさせる断面設計の有効的な手法を示した
ものであり、少量の鉄鋼材料で大きなエネルギ吸収能力
を発揮する経済設計の一実施例である。
【0038】次に、図8A,Bに示した実施例は、梁2
のフランジ端部から材軸方向にハンチを形成するように
エネルギ吸収部3を接合するべき梁部材2の下フランジ
2aの幅寸が、同エネルギ吸収部3のフランジ部3bの
幅寸よりも格別小さく形成された構成である。やはり、
梁母材2を弾性限度内に留めたまま、エネルギ吸収部3
の全長に亙って塑性率を大きく、かつ比較的均等にして
エネルギ吸収能力を高めるのに有効的な設計手法の一例
である。図9A,Bは、図8A,Bと同様な技術的思想
の下に、エネルギ吸収部3を梁端の上下のフランジに上
下対称的なハンチ形状に一体化接合した構成の実施例を
示している。
【0039】更に、図10A,Bは一層極端な実施例と
して、梁母材2の端部のエネルギ吸収部3が接合される
部分の下フランジを完全に切除して、そのウエブに直接
T形断面形状をなすエネルギ吸収部のウエブ部3aを溶
接で接合した構成を示している。かくすることにより梁
端の各断面位置におけるエネルギ吸収部の塑性率は3〜
4と大きくなり、エネルギ吸収部3の全長に亙って比較
的均等で大きな塑性変形が生じて大きなエネルギ吸収能
力を発揮する。
【0040】以上の各実施例は最良の代表的な構成の例
を示したにすぎない。その他いちいち図示して説明する
ことは省略したが、本発明の技術的思想を基に当業者に
自明な、又は設計変更程度に行われる種々な応用、利用
の実施例を本発明が広く包含していることは云うまでも
ない。
【0041】
【本発明が奏する効果】本発明は、柱梁接合部の梁又は
柱にエネルギ吸収部をハンチ形状に取付ける構成である
から、エネルギ吸収部を取付けるための壁やブレース、
間柱などを必要とせず、建築計画上の制約を受けないた
め、建築構造物の架構中に数多く、バランス良く配置し
て実施することが可能であり、実用度が高い。
【0042】本発明の柱梁接合部は、構造計画上、地震
や風荷重等の水平外力を受けた際に通例の部材であれば
降伏を想定するほど大きな応力が発生する梁端部又は柱
部に実施されるので、適切な断面設計、材質設計を行な
うことで、エネルギ吸収部に大きな塑性ひずみ量を生じ
させることが可能であり、地震、風荷重等により建物に
入力される振動エネルギを効果的に吸収し、建物の振動
を抑制する経済的な断面設計を可能とする。また、耐震
(又は制振)効果の定量的な把握、安全性に関する検討
等も、通常の構造設計で行われる部材の断面設計に関す
る検討手法により可能である。
【0043】本発明によれば、エネルギ吸収部は、母材
部分を弾性限度に留めたまま、エネルギ吸収部の長さ全
体に亙って大きな塑性変形を生じ、塑性率を大きくして
多くの振動エネルギを塑性エネルギとして効果的に吸収
することができ、少量の鋼材料で大きな耐震能力を発揮
するので、経済的設計が可能となる。その結果、一次設
計レベル外力に対しても応答の低減効果を充分に期待で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Aは本発明の第1実施例の柱梁接合部を示した
正面図、BはB−B線矢視の断面図である。
【図2】本発明の第2実施例の柱梁接合部を示した正面
図である。
【図3】本発明の第3実施例の柱梁接合部を示した正面
図である。
【図4】本発明の第4実施例の柱梁接合部を示した正面
図である。
【図5】本発明の第5実施例の柱梁接合部を示した正面
図である。
【図6】本発明の第6実施例の柱梁接合部を示した正面
図である。
【図7】Aは本発明の第7実施例の柱梁接合部を示した
正面図、BはB−B線矢視の断面図、CはC−C線矢視
の断面図である。
【図8】Aは本発明の第8実施例の柱梁接合部を示した
正面図、BはB−B線矢視の断面図である。
【図9】Aは本発明の第9実施例の柱梁接合部を示した
正面図、BはB−B線矢視の断面図である。
【図10】Aは本発明の第10実施例の柱梁接合部を示
した正面図、BはB−B線矢視の断面図である。
【図11】Aは合成梁による柱梁接合部モデルの断面
図、Bは同前のひずみ分布図、Cは一次設計レベル外力
の曲げモーメントと回転変形の関係を示す模式図であ
る。
【図12】梁の曲げモーメントの大きさと成の関係を示
すグラフである。
【図13】図12のグラフ中の●印の柱梁接合部モデル
図である。
【図14】図12のグラフ中の○印の柱梁接合部モデル
図である。
【図15】Aは合成梁による柱梁接合部モデルの断面図
であり、Bは同前のひずみ分布図である。
【図16】梁の曲げモーメントの大きさと成の関係を示
すグラフである。
【図17】図18に示す梁の性能曲線図である。
【図18】Aは梁の下フランジの幅寸が大きい柱梁接合
部モデルの断面図であり、BはA位置の断面図である。
【図19】従来のハンチ形状梁の柱梁接合部を示した正
面図である。
【図20】Aは従来の梁の下フランジに極軟鋼材を積層
した柱梁接合部の正面図、BはB−B線矢視の断面図で
ある。
【図21】図21A,Bに示した柱梁接合部のひずみ分
布図である。
【図22】図19の柱梁接合部の曲げモーメントと回転
変形の関係を示す模式図である。
【符号の説明】
1 柱 1a 柱のフランジ 2 梁 2a 梁のフランジ 3 エネルギ吸収部 3a ウエブ部 3b フランジ部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷口 元 千葉県印旛郡印西町大塚一丁目5番 株 式会社竹中工務店技術研究所内 (56)参考文献 特開 平4−1373(JP,A) 特開 平5−156839(JP,A) 実開 平5−73170(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04B 1/16,1/24,1/30

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】柱と梁を剛接合してラーメンを形成する建
    築構造体の柱梁接合部において、 柱梁接合部の柱又は梁のフランジ交差部から材軸方向
    に、柱材又は梁材よりも降伏点が低い金属材料からなる
    T形断面形状のエネルギ吸収部が、そのウエブ部を柱又
    は梁のウエブと平行な配置でフランジ外面へ直角三角形
    状のハンチ形状に一体的に接合されていることを特徴と
    する、エネルギ吸収機構を備えた柱梁接合部。
  2. 【請求項2】柱と梁を剛接合してラーメンを形成する建
    築構造体の柱梁接合部において、 柱梁接合部の柱又は梁のフランジ交差部から材軸方向に
    エネルギ吸収部が接合される部分のフランジが切除さ
    れ、そのウエブへ直接、柱材又は梁材よりも降伏点が低
    い金属材料からなるT形断面形状のエネルギ吸収部のウ
    エブ部が柱又は梁のウエブと平行配置で直角三角形状
    ハンチ形状に一体的に接合されていることを特徴とす
    る、エネルギ吸収機構を備えた柱梁接合部。
  3. 【請求項3】柱は鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コン
    クリート造で、梁は鉄骨造であり、T形断面形状のエネ
    ルギ吸収部は梁へ一体的に接合されていることを特徴と
    する、請求項1又は2に記載したエネルギ吸収機構を備
    えた柱梁接合部。
  4. 【請求項4】T形断面形状のエネルギ吸収部は、柱の
    又は梁の両側に対称的な配置のハンチ形状に接合され
    ていることを特徴とする、請求項1又は2に記載した
    ネルギ吸収機構を備えた柱梁接合部。
  5. 【請求項5】T形断面形状のエネルギ吸収部は、そのフ
    ランジ部の幅寸及びウエブ部の高さが、柱又は梁のフラ
    ンジ交差部が最大で材軸方向に漸減する断面変化形状
    形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記
    載したエネルギ吸収機構を備えた柱梁接合部。
  6. 【請求項6】柱梁接合部の柱又は梁において、エネルギ
    吸収部が接合され部分のフランジの幅寸は、T形断面
    形状のエネルギ吸収部のフランジ部の幅寸よりも小さく
    形成されていることを特徴とする、請求項1に記載した
    エネルギ吸収機構を備えた柱梁接合部。
  7. 【請求項7】エネルギ吸収部は,極低降伏点鋼又は低降
    伏点鋼又はステンレス鋼で形成されていることを特徴と
    する、請求項1又は2に記載したエネルギ吸収機構を備
    えた柱梁接合部。
JP29765894A 1994-11-30 1994-11-30 エネルギ吸収機構を備えた柱梁接合部 Expired - Fee Related JP3451328B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29765894A JP3451328B2 (ja) 1994-11-30 1994-11-30 エネルギ吸収機構を備えた柱梁接合部

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29765894A JP3451328B2 (ja) 1994-11-30 1994-11-30 エネルギ吸収機構を備えた柱梁接合部

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08151686A JPH08151686A (ja) 1996-06-11
JP3451328B2 true JP3451328B2 (ja) 2003-09-29

Family

ID=17849453

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29765894A Expired - Fee Related JP3451328B2 (ja) 1994-11-30 1994-11-30 エネルギ吸収機構を備えた柱梁接合部

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3451328B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103711221A (zh) * 2013-12-30 2014-04-09 北京工业大学 一种槽钢开槽式工字形变截面钢芯防屈曲限位耗能支撑构件

Families Citing this family (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100360377B1 (ko) * 1998-12-17 2002-12-18 재단법인 포항산업과학연구원 댐퍼 접합부를 구비한 철골구조
JP4664484B2 (ja) * 2000-12-08 2011-04-06 株式会社竹中工務店 制震機構を備えた鉄骨造柱梁接合部
US6739099B2 (en) 2001-06-06 2004-05-25 Nippon Steel Corporation Column-and-beam join structure
US7497054B2 (en) 2001-06-06 2009-03-03 Nippon Steel Corporation Column-and-beam join structure
JP4683940B2 (ja) * 2005-01-28 2011-05-18 株式会社竹中工務店 柱梁接合構造
KR100888231B1 (ko) * 2007-10-11 2009-03-11 이상섭 빔 제조방법 및 무주 구조물 제조방법
KR101149034B1 (ko) * 2011-12-06 2012-05-25 채일수 보의 휨응력을 향상시킨 조립식 건축물의 연결부재
KR101518446B1 (ko) * 2013-12-02 2015-05-15 컨베스트 주식회사 모멘트 발생크기를 고려한 특수구조보강재를 부착한 보와 기둥의 제작방법 및 이를 구비한 철골구조물의 시공방법과 철골구조물
CN104018496B (zh) * 2014-05-13 2017-01-04 中冶集团武汉勘察研究院有限公司 一种桩身设置水平加腋梁的圆形截面抗滑桩及其施工方法
JP6971026B2 (ja) * 2016-12-27 2021-11-24 株式会社竹中工務店 既存の柱梁架構の補強方法
KR102077751B1 (ko) * 2019-06-14 2020-02-14 (주)삼우종합건축사사무소 철골 조립기둥과 장스팬 철골 거더의 접합구조
CN111288845A (zh) * 2020-02-24 2020-06-16 北京中科宇航技术有限公司 一种转运起竖架
CN113153073B (zh) * 2021-04-19 2022-12-06 福建厚德节能科技发展有限公司 蒸压加气混凝土防水窗台

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH041373A (ja) * 1990-04-19 1992-01-06 Taisei Corp 鉄骨構造物
JP2669740B2 (ja) * 1991-12-04 1997-10-29 株式会社フジタ 制振骨組構造
JPH0573170U (ja) * 1992-03-05 1993-10-05 新日本製鐵株式会社 鉄骨構造物用振動抑制梁

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103711221A (zh) * 2013-12-30 2014-04-09 北京工业大学 一种槽钢开槽式工字形变截面钢芯防屈曲限位耗能支撑构件
CN103711221B (zh) * 2013-12-30 2016-01-13 北京工业大学 一种槽钢开槽式工字形变截面钢芯防屈曲限位耗能支撑构件

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08151686A (ja) 1996-06-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3451328B2 (ja) エネルギ吸収機構を備えた柱梁接合部
KR101263078B1 (ko) 접합 철물 및 이것을 구비한 건축물
JP6786224B2 (ja) 減振構造を有する柱梁構造
JP2006226054A (ja) 鉄筋コンクリート造ラーメン構造の既存建物の耐震補強工法
JP3016634B2 (ja) 制振構造体
JPH11140978A (ja) 柱梁接合部用鋼製h型断面ブラケット
JP2000045560A (ja) 制震装置及び八角形状パネル型ダンパー
CN110331799A (zh) 低屈服点钢梯形波纹板剪力墙
JPH11350778A (ja) 制震ダンパーおよび制震構造
JP3493495B2 (ja) エネルギ吸収機構を備えた柱梁接合部
JPH11152929A (ja) 鉄骨造の建物に対する耐震補強方法
JPH10280725A (ja) 制振躯体構造
JP4923641B2 (ja) 耐震性能に優れる柱梁接合部と鉄骨骨組、鉄骨構造物
JP2021055464A (ja) 床スラブ付き鉄骨梁およびその補強方法
JP5292881B2 (ja) 制振パネル
JPH0733685B2 (ja) 地震エネルギ−吸収機能を備えたブレ−ス・タイプの柔剛混合構造
JP2961220B2 (ja) 既存構造物に対する増築構法
JP2662617B2 (ja) 耐震建築構造物の構造用部材
JP3638142B2 (ja) 柱と梁の接合装置
JP2964328B2 (ja) 耐震補強構造
CN218581007U (zh) 连梁结构
JP7262518B2 (ja) 間柱型鋼材ダンパー
JP2766954B2 (ja) 建築構造物の設計方法
JP3215633U (ja) ブレース取付構造
JP2005282229A (ja) 建物の制震構造

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080718

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080718

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090718

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090718

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100718

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110718

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110718

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120718

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120718

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130718

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees