JP2021055464A - 床スラブ付き鉄骨梁およびその補強方法 - Google Patents

床スラブ付き鉄骨梁およびその補強方法 Download PDF

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Abstract

【課題】鉄骨梁は長い場合であっても、横座屈による鉄骨梁の上フランジの構面外変形を拘束して十分な変形能力を確保できる床スラブ付き鉄骨梁およびその設計方法を提供する。【解決手段】本発明に係る床スラブ付き鉄骨梁1は、両端部が柱3に剛接合されたH形断面の鉄骨梁5と、頭付きスタッド11を介して接合されたコンクリート床スラブ13とを有し、鉄骨梁5は、15<λw≦30、A<λy(A:鉄骨梁5の全長にわたって均等間隔で横補剛を設ける場合において、横座屈補剛が不要である鉄骨梁5の弱軸に関する細長比の上限を定める係数)であり、頭付きスタッド11の本数が、逆対称曲げモーメント分布時に完全合成梁として必要とされる本数の2倍以上であり、鉄骨梁5に接合された縦スチフナ15が、鉄骨梁5の全長にわたって梁長さの0.2倍以下のピッチで、かつ柱3に最も近い縦スチフナ15と柱3との距離が梁長さの0.125倍以下となるように設けられている。【選択図】 図1

Description

本発明は、梁の上部にコンクリート床スラブが存在し、該コンクリート床スラブと梁が接合されている床スラブ付鉄骨梁およびその補強方法に関するものである。
鋼構造建物では地震時に横座屈と呼ばれる現象によって鉄骨梁が梁材軸直交方向に変形して、所定の耐力や変形能力を発揮しない恐れがあるため、通常、小梁又は孫梁を鉄骨梁間に配置して、鉄骨梁の材軸直交方向の移動を拘束することで横座屈を防止する。
その際、小梁又は孫梁に接合してあるアングル等の部材と鉄骨梁の下フランジとを接合することで、下フランジの構面外変形も拘束することが通例である。
鉄骨梁が頭付きスタッドを介してコンクリート床スラブと接合されている従来の形態を図9、図10に示す。
従来の床スラブ付き鉄骨梁41は、両端部が柱3に剛接合されたH形断面の鉄骨梁5と、鉄骨梁5の上部に頭付きスタッド11を介して接合されたコンクリート床スラブ13とを有するものであって、鉄骨梁5の側面にはガセットプレート43が設けられ、小梁45が鉄骨梁5の上部においてガセットプレート43とボルト接合され、アングル47が小梁45の下部に設けたガセットプレート49と鉄骨梁5の側面のガセットプレート43の下部とに跨るように接合されている。これによって鉄骨梁5の横座屈による構面外変形が拘束される。また、コンクリート床スラブ13にはコンクリート23の内部に鉄筋25が設けられている。
鉄骨梁5のウェブ19は柱3に溶接接合されるか、柱3に溶接接合されたシヤプレート51と高力ボルト接合される。
昨今、非特許文献1に示すように、鉄骨梁が頭付きスタッドを介してコンクリート床スラブと接合されている場合、上フランジの構面外変形が拘束され、横座屈防止用の小梁、孫梁、アングルを省略できるという考え方が広まっている。
このような考えの下、特許文献1では、鉄骨梁に接合されているコンクリート床スラブのねじれ剛性を鉄骨梁のねじれ剛性の10倍とすることで横座屈補剛材がなくても横座屈を防止できる設計法が提案されている。
また、特許文献2では、コンクリート床スラブと接合された鉄骨梁の設計法および床構造を提案しており、コンクリート床スラブと接合された鉄骨梁の弾性横座屈モーメントMeを用いて計算された横座屈細長比λbが0.5以下であれば、横座屈補剛部材がなくても十分な耐力が期待できることを示している。
特許第5885911号公報 特開2019-56220号公報
日本建築学会「各種合成構造設計指針・同解説,2010」
前述の通り、鉄骨梁5がコンクリート床スラブ13と頭付きスタッド11を介して接合されている場合、鉄骨梁5の上フランジ7の構面外変形が拘束されるため、横座屈防止用の小梁45、孫梁、アングル47を省略できる考え方が広まっている。
しかし、梁長さが長い場合は鉄骨梁5が頭付きスタッド11を介してコンクリート床スラブ13と接合されている場合でも、鉄骨梁5が横座屈によって十分な変形能力を発揮できない恐れがある。
そのため、特許文献1、2に開示された設計法では、鉄骨梁が長すぎる場合などは適用範囲外となるよう横座屈細長比λbもしくは細長比λyの上限が規定されている。
すなわち、長尺の鉄骨梁では、特許文献2に記載の通り、梁長さが長いほど鉄骨梁の耐力が低くなり、コンクリート床スラブと接合されていても十分な耐力を発揮できず、それに伴い変形能力も不十分となる恐れがあるため、横座屈補剛部材の省略が難しい。
一方で、昨今の建築物では梁長さが20mを越えるような場合もあり、梁長さが長いものほど、従来の設計方法では必要とされる横座屈補剛部材数が多いため、横座屈補剛部材の省略によるメリットが大きいが、従来法では対応できないという課題がある。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、鉄骨梁が長い場合であっても、横座屈防止用の小梁、孫梁等を設けることなく、横座屈による鉄骨梁の上フランジの構面外変形を拘束して十分な変形能力を確保できる床スラブ付き鉄骨梁およびその設計方法を提供することを目的としている。
(1)本発明に係る床スラブ付き鉄骨梁は、両端部が柱に剛接合されると共に横座屈補剛部材が設けられていないH形断面の鉄骨梁と、該鉄骨梁の上フランジの全長に亘って設けられた頭付きスタッドを介して接合されたコンクリート床スラブとを有するものであって、
前記鉄骨梁は、梁長さと上下フランジの板厚中心間距離の比であるλwが15<λw≦30で、前記鉄骨梁の弱軸に関する細長比λyがA<λyであり、
前記頭付きスタッドの本数が、逆対称曲げモーメント分布時に完全合成梁として必要とされる本数の2倍以上とし、
前記鉄骨梁の上下フランジを繋ぐように接合された縦スチフナが、前記鉄骨梁の全長にわたって梁長さの0.2倍以下のピッチで、かつ前記柱に最も近い前記縦スチフナと前記柱との距離が梁長さの0.125倍以下となるように設けられていることを特徴とするものである。
ただし、Aは、鉄骨梁全長にわたって均等間隔で横補剛を設ける場合において、横座屈補剛が不要である鉄骨梁の弱軸に関する細長比の上限を定める係数である。例えば、鉄骨梁5に用いられる鋼材が400N級鋼の場合は170、490N級鋼の場合は130、520N級鋼の場合は120、550N級鋼の場合は110である。
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記縦スチフナは、板厚が前記鉄骨梁のウェブ板厚の0.5倍以上であり、かつ用いられている鋼材の設計基準強度が前記鉄骨梁に用いられている鋼材の設計基準強度より低く設定され、
かつ、前記鉄骨梁は、全塑性モーメントMと下式によって与えられる弾性横座屈モーメントMの比の平方根√(M/M)で与えられる前記鉄骨梁の横座屈細長比λ=√(M/M)が、0.5<λb≦0.54を満足することを特徴とするものである。
Figure 2021055464
(3)本発明に係る床スラブ付き鉄骨梁の補強方法は、両端部が柱に剛接合されると共に横座屈補剛部材が設けられていないH形断面の鉄骨梁と、該鉄骨梁の上フランジの全長に亘って設けられた頭付きスタッドを介して接合されたコンクリート床スラブとを有する床スラブ付き鉄骨梁であって、
前記鉄骨梁は、梁長さと上下フランジの板厚中心間距離の比であるλwが15<λw≦30で、前記鉄骨梁の弱軸に関する細長比λyがA<λyであり、
前記頭付きスタッドの本数が、逆対称曲げモーメント分布時に完全合成梁として必要とされる本数の2倍以上である床スラブ付き鉄骨梁の補強方法であって、
前記鉄骨梁の上下フランジを繋ぐように縦スチフナを設け、かつ該縦スチフナを、前記鉄骨梁の全長にわたって梁長さの0.2倍以下のピッチで、かつ前記柱に最も近い前記縦スチフナと前記柱との距離が梁長さの0.125倍以下となるように設けることを特徴とするものである。
ただし、Aは鉄骨梁全長にわたって均等間隔で横補剛を設ける場合において、横座屈補剛が不要である鉄骨梁の弱軸に関する細長比の上限を定める係数である。例えば、鉄骨梁5に用いられる鋼材が400N級鋼の場合は170、490N級鋼の場合は130、520N級鋼の場合は120、550N級鋼の場合は110である。
本発明によれば、梁長さが長い鉄骨梁においても、頭付きスタッドを介してコンクリート床スラブと接合すると共に縦スチフナを設けることで、横座屈防止用の小梁、孫梁、アングルを省略しても、地震時に十分な変形能力を発揮することができる。
本発明の実施の形態に係る床スラブ付き鉄骨梁の説明図である。 図1の矢視A−A断面図である。 実施例1における解析モデルの説明図である。 実施例1の解析結果を示すグラフである(その1)。 実施例1の解析結果を示すグラフである(その2)。 実施例2における解析モデルの説明図である。 実施例2の解析結果を示すグラフである(その1)。 実施例2の解析結果を示すグラフである(その2)。 従来の床スラブ付き鉄骨梁の説明図である。 図9の矢視B−B断面図である。
本実施の形態に係る床スラブ付き鉄骨梁を図1、図2に基づいて説明する。なお、図1、図2において、従来例を示した図9、図10と同一部分には同一の符号を付してある。
本実施の形態に係る床スラブ付き鉄骨梁1は、両端部が柱3に剛接合されると共に横座屈補剛部材が設けられていないH形断面の鉄骨梁5と、鉄骨梁5の上フランジ7の全長に亘って設けられた頭付きスタッド11を介して接合されたコンクリート床スラブ13とを有する床スラブ付き鉄骨梁1であって、鉄骨梁5の上フランジ7および下フランジ9を繋ぐように縦スチフナ15が設けられている。
以下、各構成を詳細に説明する。
<柱>
柱3の種類は特に限定されないが、例えば溶接組立箱形断面柱、角形鋼管柱、H形断面柱、CFT柱、RC柱、SRC柱などが該当する。
柱3には、鉄骨梁5の上下フランジ7、9から伝達される力を柱3に伝達するためにダイアフラム17という鋼板が設けられる。ダイアフラム17には、柱3との接合形式によって、通しダイアフラム形式、内ダイアフラム形式、外ダイアフラム形式に分けられる。
<鉄骨梁>
鉄骨梁5は、H形断面を有し、設計基準強度で235N/mm2以上、440N/mm2以下の鋼材で構成されている。設計基準強度440N/mm2越えの鋼材については、高強度ゆえに伸びが小さく、地震時の変形能力に乏しくなるため、梁には不適である。鉄骨梁のサイズとしてはJIS G3192記載の小断面のH形鋼や最大梁せい1000mmの外法一定H形鋼、さらには溶接組立H形断面部材で梁せい1000mmを越えるような大断面のものが該当する。この中でも梁せいが1000mmを越えるような大断面部材や、設計基準強度355N/mm2以上の高強度鋼によるH形断面部材では、下フランジの構面外変形を抑えるためのアングル47等の補剛部材が必要となることが多い。
本実施の形態の鉄骨梁5は、図9、図10に示した従来例のように、構面外変形を拘束することを目的とした小梁45やアングル47は設けられていない。
鉄骨梁5は、梁長さと上下フランジ7、9の板厚中心間距離の比であるλwが15<λw≦30で、鉄骨梁5の弱軸に関する細長比λyがA<λyである。
ただし、Aは、鉄骨梁5全長にわたって均等間隔で横補剛を設ける場合において、横座屈補剛が不要である鉄骨梁5の弱軸に関する細長比の上限を定める係数である。例えば、鉄骨梁5に用いられる鋼材が400N級鋼の場合は170、490N級鋼の場合は130、520N級鋼の場合は120、550N級鋼の場合は110である。
λw及びλyを上記のように規定した理由は以下の通りである。
横座屈補剛が不要な鉄骨梁5や、梁長さがあまり長くなく、コンクリート床スラブ13によって上フランジ7の構面外変形が拘束されれば小梁45やアングル47を省略しても十分な変形能力が発揮される床スラブ付き鉄骨梁1を、本発明の対象から外すためである。
鉄骨梁5の両端部は柱3に剛接合されるが、この場合、鉄骨梁5の上下フランジ7、9は柱3もしくは柱3に設けられたダイアフラム17と溶接接合される。上下フランジ7、9がダイアフラム17と接合される場合、ダイアフラム17の形式によって、以下のような態様で接合される。
内ダイアフラム形式では柱3の内部にダイアフラム17が設けられるため、鉄骨梁5の上下フランジ7、9は柱3に接合される。通しダイアフラム形式と外ダイアフラム形式では、鉄骨梁5の上下フランジ7、9はダイアフラム17に溶接接合される。
鉄骨梁5のウェブ19は柱3に溶接接合されたシヤプレート51と高力ボルト接合されるか、あるいは柱3に溶接接合される。
鉄骨梁5の上フランジ7にはコンクリート打設用のデッキプレート21が溶接接合され、その上にコンクリート床スラブ13が設けられる。
デッキプレート21には捨て型枠用のフラットデッキ、コンクリートと一体となって挙動する波形の合成デッキ、鉄筋が溶接された鉄筋トラス付き捨て型枠デッキなどがある。
<コンクリート床スラブ>
コンクリート床スラブ13はコンクリート23の内部に鉄筋25が配設された鉄筋コンクリート構造である。コンクリート23には普通コンクリート、軽量コンクリートが用いられ、鉄筋25には異形鉄筋、丸鋼鉄筋、溶接金網が用いられる。また工場で製作したプレキャストコンクリート板を現場で兼用型枠として用いるハーフPCスラブや、中空部を含むボイドスラブも該当する。
<頭付きスタッド>
頭付きスタッド11は、鉄骨梁5の上フランジ7の全長に亘って溶接接合されており、その本数は、逆対称曲げモーメント分布時に完全合成梁として必要とされる本数の2倍以上の本数である。
頭付きスタッド11の本数をこのように設定することで、横座屈補剛部材がない場合でも鉄骨梁5の変形能力改善効果が期待できる。なお、この点は、後述の実施例2において実証している。
頭付きスタッド11は、十分な耐力が期待できる、軸部の直径が16mm以上で、高さが床スラブの厚さの0.5倍以上のものが望ましい。頭付きスタッド11の配置形状は1列配置、2列以上の複数列配置、千鳥配置などが挙げられる。
<縦スチフナ>
縦スチフナ15は、鉄骨梁5の上下フランジ7、9を繋ぐように鉄骨梁5に溶接接合されている。そして、縦スチフナ15は、鉄骨梁5の全長にわたって梁長さの0.2倍以下のピッチで、かつ柱3に最も近い縦スチフナ15と前記柱3との距離が梁長さの0.125倍以下となるように設けられている。
縦スチフナ15をこのように設けることで、横座屈補剛部材がない場合でも鉄骨梁5の変形能力改善効果が期待できる。なお、この点は、後述の実施例1において実証している。
縦スチフナ15の板厚は、鉄骨梁5のウェブ板厚の0.5倍以上にするのが望ましい。縦スチフナ15の板厚をこのようにすることで、鉄骨梁5の変形能力を確保することができる。
また、縦スチフナ15をコンクリート床スラブ13支持用の小梁と接合するためのガセットプレートと兼用することも可能である。コンクリート床スラブとの接合を考慮することで横座屈防止用の小梁、孫梁、アングルを省略できたとしても、床スラブのたわみの抑制のために、小梁が設けられる場合がある。このような小梁は、従来の横座屈防止用の小梁と異なり、大梁の下フランジの構面外変形を抑えるためのアングル等はなく、また鉛直荷重さえ支持できればよいので、断面が横座屈補剛用の小梁より小さかったり、接合部のボルト本数が少なくなったりすることがある。
上記のように構成された本実施の形態の床スラブ付き鉄骨梁1であれば、鉄骨梁5は長い場合で、小梁45やアングル47等の横座屈補剛部材がない場合であっても、横座屈による鉄骨梁5の上フランジ7の構面外変形を拘束して十分な変形能力を確保できる。
なお、特許文献2においては、鉄骨梁5が、全塑性モーメントMと下式によって与えられる弾性横座屈モーメントMの比の平方根√(M/M)で与えられる鉄骨梁5の横座屈細長比λ=√(M/M)が、λb≦0.5であれば、鉄骨梁5の耐力がMを十分上回ることが示されている。
Figure 2021055464
すなわち、横座屈細長比λ≦0.5であれば、地震力に対して横座屈補剛材を取り付けずに鉄骨梁5の横座屈を防止することができることが示されている。換言すれば、横座屈細長比λ≦0.5を満たす鉄骨梁5であれば、本願発明で規定した頭付きスタッド11の本数や縦スチフナ15の配置の要件を満たす必要がなく、本願発明を適用する有利性がないと言える。
この意味から、本願発明の有利性が得られる鉄骨梁5としては、横座屈細長比λが0.5を超えるものである。
したがって、横座屈細長比λが、0.5<λb≦0.54の鉄骨梁5であれば、本発明を適用することで、本発明の効果が十二分に期待できる。
なお、横座屈細長比λを0.54以下にした理由は以下の通りである。横座屈細長比λが0.54以を超えるような鉄骨梁には、梁長さが実構造では用いられないほど長い梁や、梁長さが長く、かつ梁ウェブの板厚も薄い梁が該当する。前者は記載の通り実構造では用いられない梁であり、後者は局部座屈等の横座屈以外の問題が生じる可能性が高い。上記の理由から横座屈細長比λの上限を0.54とした。
本発明における縦スチフナ15の効果を確認するために図3に示す解析モデル27を用いてFEM解析を実施したので、以下説明する。
図3の解析モデル27は床スラブによる上フランジ7の構面外変形拘束効果を、上フランジ7の境界条件として考慮した簡易モデルである。
解析ケースは、以下に示す4ケースであり、いずれも両端が柱3と剛接合されていることを想定して材端の梁断面を剛面とした。
・ケース1:基本ケースとして、縦スチフナ15無しのもの
・ケース2:梁端から0.125L(L:鉄骨梁5の長さ)の位置にのみ縦スチフナ15を設けたもの
・ケース3:梁端から0.125Lの位置と、0.15Lのピッチで梁全長にわたって縦スチフナ15を設けたもの
・ケース4:梁端から0.1Lの位置と、0.2Lのピッチで梁全長にわたって縦スチフナ15を設けたもの
梁の形状はいずれもH-350x125x6x12、λw=25.7、λy=310、λb=0.53で、材料特性は490N級鋼想定とした。縦スチフナ15は板厚6mmで、400N級鋼想定の材料特性とした。
梁、縦スチフナ15ともにシェル要素でモデル化した。解析では地震荷重時の逆対称曲げモーメント分布となるよう梁材端に曲げモーメントを与えた。
解析結果を図4、図5に示す。図4は負曲げ側の梁の最大耐力(Mmax)を全塑性モーメント(Mp)で基準化したもの、図5は負曲げ側の梁の最大耐力時の塑性変形倍率(Rmax)を示す。
図4に示すように、ケース2〜4は縦スチフナ15の効果によって縦スチフナ15を設けていないケース1より最大耐力が上昇している。
しかし、縦スチフナ15を端部にのみ配置したケース2の塑性変形倍率は、図5に示すように、ケース1と同程度であり、耐力は上昇したものの変形能力は向上していない。それに比べて、ケース3、4では耐力、変形能力ともにケース1よりも向上している。そして、梁端に最も近い縦スチフナ15の位置が、より梁端に近いケース4の方がケース3よりも耐力は大きくなった。
よって、梁全長にわたって縦スチフナ15で補強することで、床スラブ付き鉄骨梁1の耐力と変形能力を改善できることを確認した。
続いて本発明における頭付きスタッド11の本数の効果を確認するために、図6に示す解析モデル29を用いて合成率をパラメータとしたFEM解析を実施したので、以下説明する。
解析では柱3、ダイアフラム17、鉄骨梁5をシェルモデルで、コンクリート床スラブ13を梁要素で、頭付きスタッド11をバネ要素で詳細にモデル化した。
頭付きスタッド11接合部は、頭付きスタッド1本分の耐力と剛性を考慮したせん断バネ、回転バネでモデル化した。
鉄骨梁5はH-1000x350x19x36、λw=21.6、λy=268、λb=0.53で、材料特性は550N級鋼想定(YS=385N/mm2)とした。縦スチフナ15は一般的に用いられる400N級鋼想定(YS=235N/mm2)とした。
解析ケースは3ケースで、合成率は1.0、2.5、4.7とした。図7、図8に解析結果を示す。図7は負曲げ側の梁の最大耐力(Mmax)を全塑性モーメント(Mp)で基準化したもの、図8は負曲げ側の梁の最大耐力時の塑性変形倍率(Rmax)を示す。
合成率を上げることで耐力及び変形能力ともに上昇した。合成率2.5と4.7のケースの最大耐力の差よりも、合成率1.0と2.5のケースの最大耐力の差の方が大きく、合成率を大きくする効果は収束していく傾向がうかがえる。
本解析の結果、合成率2.0あれば十分な耐力、変形能力改善効果が得られると考えられる。この結果から、頭付きスタッド11の本数を、逆対称曲げモーメント分布時に完全合成梁として必要とされる本数の2倍以上にすることが有効であることが示された。
1 床スラブ付き鉄骨梁
3 柱
5 鉄骨梁
7 上フランジ
9 下フランジ
11 頭付きスタッド
13 コンクリート床スラブ
15 縦スチフナ
17 ダイアフラム
19 ウェブ
21 デッキプレート
23 コンクリート
25 鉄筋
<従来例>
41 床スラブ付き鉄骨梁
43 ガセットプレート
45 小梁
47 アングル
49 ガセットプレート
51 シヤプレート

Claims (3)

  1. 両端部が柱に剛接合されると共に横座屈補剛部材が設けられていないH形断面の鉄骨梁と、該鉄骨梁の上フランジの全長に亘って設けられた頭付きスタッドを介して接合されたコンクリート床スラブとを有する床スラブ付き鉄骨梁であって、
    前記鉄骨梁は、梁長さと上下フランジの板厚中心間距離の比であるλwが15<λw≦30で、前記鉄骨梁の弱軸に関する細長比λyがA<λyであり、
    前記頭付きスタッドの本数が、逆対称曲げモーメント分布時に完全合成梁として必要とされる本数の2倍以上とし、
    前記鉄骨梁の上下フランジを繋ぐように接合された縦スチフナが、前記鉄骨梁の全長にわたって梁長さの0.2倍以下のピッチで、かつ前記柱に最も近い前記縦スチフナと前記柱との距離が梁長さの0.125倍以下となるように設けられていることを特徴とする床スラブ付き鉄骨梁。
    ただし、Aは、鉄骨梁全長にわたって均等間隔で横補剛を設ける場合において、横座屈補剛が不要である鉄骨梁の弱軸に関する細長比の上限を定める係数である。
  2. 前記縦スチフナは、板厚が前記鉄骨梁のウェブ板厚の0.5倍以上であり、かつ用いられている鋼材の設計基準強度が前記鉄骨梁に用いられている鋼材の設計基準強度より低く設定され、
    かつ、前記鉄骨梁は、全塑性モーメントMと下式によって与えられる弾性横座屈モーメントMの比の平方根√(M/M)で与えられる前記鉄骨梁の横座屈細長比λ=√(M/M)が、0.5<λb≦0.54を満足することを特徴とする請求項1記載の床スラブ付き鉄骨梁。
    Figure 2021055464
  3. 両端部が柱に剛接合されると共に横座屈補剛部材が設けられていないH形断面の鉄骨梁と、該鉄骨梁の上フランジの全長に亘って設けられた頭付きスタッドを介して接合されたコンクリート床スラブとを有する床スラブ付き鉄骨梁であって、
    前記鉄骨梁は、梁長さと上下フランジの板厚中心間距離の比であるλwが15<λw≦30で、前記鉄骨梁の弱軸に関する細長比λyがA<λyであり、
    前記頭付きスタッドの本数が、逆対称曲げモーメント分布時に完全合成梁として必要とされる本数の2倍以上である床スラブ付き鉄骨梁の補強方法であって、
    前記鉄骨梁の上下フランジを繋ぐように縦スチフナを設け、かつ該縦スチフナを、前記鉄骨梁の全長にわたって梁長さの0.2倍以下のピッチで、かつ前記柱に最も近い前記縦スチフナと前記柱との距離が梁長さの0.125倍以下となるように設けることを特徴とする床スラブ付き鉄骨梁の補強方法。
    ただし、Aは鉄骨梁全長にわたって均等間隔で横補剛を設ける場合において、横座屈補剛が不要である鉄骨梁の弱軸に関する細長比の上限を定める係数である。
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