JP5885911B2 - 鉄筋コンクリートスラブ付鉄骨梁の設計方法 - Google Patents

鉄筋コンクリートスラブ付鉄骨梁の設計方法 Download PDF

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Description

本発明は、鉄筋コンクリートスラブ付鉄骨梁の設計方法に関する。
構造物に用いられる鉄骨梁は、地震力を受けると横座屈と呼ばれる変形、即ち、梁の一部がウェブ面外方向へ横移動すると同時にねじれを生じる変形が発生する場合がある。このため、通常、横座屈を拘束する目的で鉄骨梁間に、鋼材製の横座屈補剛材が設けられている。この横座屈補剛材の施工には、手間と費用が必要となる。
そこで、横座屈補剛材を簡単な構成とし、施工を容易とした技術が提案されている(特許文献1)。
即ち、図11に示すように、特許文献1に記載の横座屈防止構造は、鉄骨梁20に床スラブ84が接合された構成において、所定間隔で、鉄骨梁20と床スラブ84を連結する横座屈防止プレート80を取り付け、この横座屈防止プレート80で鉄骨梁20の横座屈を防止する。
具体的には、横座屈防止プレート80は、一方の側面部が、鉄骨梁20のウェブ26の片方の壁面及び上下フランジ22、24間に一体的に取付けられ、上端部が、上フランジ24の幅より広く形成され、上フランジ24の上面よりも上方に突き出されて補強鉄筋定着部82とされている。この補強鉄筋定着部82には貫通孔90が設けられ、貫通孔90には床スラブ84の補強鉄筋86が挿入されている。補強鉄筋定着部82は、補強鉄筋86が定着された状態で床スラブ84内に埋設される。
さらに、鉄骨梁20のウェブ26の他方の壁面及び上下フランジ22、24間には、上下フランジ22、24から突出しない幅に形成された補強プレート88が一体的に取付けられている。また、鉄骨梁20の上フランジ24の上面には、所定間隔でスタッドボルト28が取付けられ鉄骨梁20と床スラブ84を接合している。
これにより、横座屈防止プレート80及び補強プレート88が、横座屈補剛材として作用するので、鉄骨梁20の横座屈が防止できる。
しかし、特許文献1の横座屈防止構造は、横座屈補剛材に換えて横座屈防止プレート80及び補強プレート88を鉄骨梁20に取り付ける必要があり、簡単な構成とはいえず、施工の手間も大きい。
特開2004−218321号公報
本発明は、上記事実に鑑み、鉄骨梁に横座屈補剛材を取付けなくても、鉄骨梁の横座屈を拘束できる鉄筋コンクリートスラブ付鉄骨梁を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明に係る鉄筋コンクリートスラブ付鉄骨梁の設計方法は、ウェブとフランジとで構成された鉄骨梁の両端部が柱に剛接合され、前記鉄骨梁に設けられた鉄筋コンクリートスラブが、前記鉄骨梁の横移動を拘束するのに必要とされるスタッド本数以上のスタッドで、前記フランジと接合される鉄筋コンクリートスラブ付鉄骨梁の設計方法において、
前記鉄骨梁の細長比が150〜250、前記鉄筋コンクリートスラブの板厚が140mm以上、又は前記鉄筋コンクリートスラブがデッキスラブの場合、デッキスラブの板厚が130mm以上、前記鉄筋コンクリートスラブの有効幅を柱幅、としたときの、下記(1)式で算出される前記鉄筋コンクリートスラブのねじり剛性を、下記(2)式で算出される前記鉄骨梁のねじり剛性の10倍以上とし、前記鉄骨梁には横座屈を防止する横座屈補剛材を取り付けないことを特徴としている。

鉄筋コンクリートスラブのねじり剛性 =cG×cJ …(1)
鉄骨梁のねじり剛性 =sG×sJ …(2)
ここに
cG:鉄筋コンクリートスラブのせん断弾性係数
cJ:鉄筋コンクリートスラブのサンブナンのねじり定数
Figure 0005885911

Be:鉄筋コンクリートスラブの有効幅(Be=柱幅)
tc:鉄筋コンクリートスラブ厚
(鉄筋コンクリートスラブではtc=140mm以上、
又はデッキスラブではtc=130mm以上)
sG:鉄骨梁のせん断弾性係数
sJ:鉄骨梁のサンブナンのねじり定数
Figure 0005885911

H:鉄骨梁の成
tf:フランジ厚
tw:ウェブ厚
B:鉄骨梁の幅
請求項1に記載の発明によれば、鉄骨梁の両端部が柱に剛接合され、鉄骨梁とスラブが鉄骨梁の横移動を拘束するのに必要とされるスタッド本数以上のスタッドで接合されている。
また、鉄骨梁の細長比が150〜250、鉄筋コンクリートスラブの板厚が140mm以上、又は鉄筋コンクリートスラブがデッキスラブの場合、デッキスラブの板厚が130mm以上、鉄筋コンクリートスラブの有効幅を柱幅、としたときの、鉄筋コンクリートスラブのねじり剛性が、鉄骨梁のねじり剛性の10倍以上とされている。
これにより、鉄筋コンクリートスラブで鉄骨梁の回転変形が拘束され、鉄骨梁に横座屈補剛材を取付けなくても、鉄筋コンクリートスラブ付鉄骨梁の横座屈を拘束することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の鉄筋コンクリートスラブ付鉄骨梁の設計方法において、前記鉄骨梁のフランジの横移動を拘束するのに必要とされるスタッド本数は、完全合成梁として必要とされるスタッド本数の1/2以上であることを特徴としている。
完全合成梁として必要とされるスタッド本数の1/2以上で鉄骨梁と鉄筋コンクリートスラブを接合すれば、鉄骨梁のフランジの横移動を鉄筋コンクリートスラブで拘束することができることは、実験で確かめられている。本条件が満たされれば、鉄骨梁のフランジの横移動を拘束することができる。
本発明は、上記構成としてあるので、鉄骨梁に横座屈補剛材を取付けなくても、鉄骨梁の横座屈を拘束できる鉄筋コンクリートスラブ付鉄骨梁を提供できる。
本発明の第1の実施の形態に係る鉄筋コンクリートスラブ付鉄骨梁の基本構成を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る鉄筋コンクリートスラブ付鉄骨梁の固有値解析のためのモデル化概要を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る鉄筋コンクリートスラブ付鉄骨梁の固有値解析の試験体と解析結果を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る鉄筋コンクリートスラブ付鉄骨梁の固有値解析の解析結果の一例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る鉄筋コンクリートスラブ付鉄骨梁の固有値解析の解析結果の一例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る鉄筋コンクリートスラブ付鉄骨梁の固有値解析の解析結果の一例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る鉄筋コンクリートスラブ付鉄骨梁の実証実験に用いた試験体の一例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る鉄筋コンクリートスラブ付鉄骨梁の実証実験の試験装置を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る鉄筋コンクリートスラブ付鉄骨梁のスラブの基本構成を示す図である。 本発明の第3の実施の形態に係る鉄筋コンクリートスラブ付鉄骨梁の鉄骨梁の基本構成を示す図である。 従来例の鉄筋コンクリートスラブ付鉄骨梁の基本構造を示す図である。
(第1の実施の形態)
図1に示すように、第1の実施の形態に係るスラブ付鉄骨梁10は、柱14の間に架け渡された鉄骨梁20を有し、鉄骨梁20の上フランジ24にはスラブ12が接合されている。
鉄骨梁20は、梁成Wが1200mm以下のH形鋼とされ、両端面が柱14の側壁に固定されている。スラブ12は、鉄筋コンクリート製の厚さTが140mm以上とされ、鉄骨梁20の上面に形成されている。なお、鉄筋の図示は省略している。
また、下記の式(1)、式(2)に示すように、スラブ12のねじり剛性が、鉄骨梁20のねじり剛性の10倍以上とされている。
Figure 0005885911
Figure 0005885911
ここに
Figure 0005885911
Figure 0005885911
Figure 0005885911
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Figure 0005885911
Figure 0005885911
Figure 0005885911
である。スラブの有効幅に関しては、合成梁としての算定(評価)時は、建築学会の指針に従った幅寸法で評価し、スラブのねじり剛性の評価に際しては、安全側に評価すべく、建築学会の指針で示された幅寸法より小さい柱幅寸法で評価した。
また、鉄骨梁20の上フランジ24とスラブ12はスタッド28で接合され、スタッド本数は、完全合成梁として必要とされるスタッド本数の1/2以上が使用されている。
なお、スタッド本数の表示手法として合成率を下記のごとく定義して使用した。即ち、合成率1.0を、日本建築学会で規定した全合成梁として必要とされるスタッド本数と同数のスタッド本数で接合されている場合とし、合成率0.5を、完全合成梁として必要とされるスタッド本数の1/2のスタッド本数で接合されている場合とした。
柱14の間には、鉄骨梁20と直交する方向に直交梁21が架けられ、架構を構成している。このとき、鉄骨梁20の間には、鉄骨梁20の横座屈を防止する横座屈補剛材は架けられていない。
次に、第1の実施の形態に係るスラブ付鉄骨梁が、横座屈補剛材を取付けなくても鉄骨梁の横座屈を抑制できる理由について説明する。
鉄骨梁20の横座屈を抑制するには、曲げモーメントを受けても鉄骨梁20にスウェイ(横移動)及びねじれを生じさせないことが必要となる。鉄骨梁20に接合されるスラブ12には、条件により大きさは異なるが、それらを拘束する効果がある。即ち、スラブ12により、鉄骨梁20のスウェイ及びねじれを適切に拘束すれば、横座屈を抑制できる。
横座屈を伴う鉄骨梁20は、一般にその塑性変形能力(塑性率)を無次元化した細長比λで評価される。しかし、これをスラブ付鉄骨梁10に適用するには、鉄骨梁20に接合されたスラブ12の座屈拘束を適切に評価した精度の高い座屈耐力式が求められている。
そこで、図2(A)に示すように、スラブ付鉄骨梁10をモデル化して、地震時において鉄骨梁20に逆対称モーメントMが作用した時の、横座屈に対するスラブ12の座屈拘束効果について、実証実験及び固有値解析を行い検証した。固有値解析の結果を先に説明する。
スラブ付鉄骨梁10の合成率を0.5以上とした。これは、他の実験等で合成率が0.5以上確保されれば、スラブ12が上フランジのスウェイを拘束することが確認されているためである。従って、スラブ12による拘束効果を有限のねじり剛性を有する回転バネ18として評価し、固有値解析に基づく弾性横座屈耐力Mcrを求めた。
鉄骨梁20の塑性率(塑性変形能力)は、下記(3)式で表され、塑性変形能力の範囲内であることが要求される。

Figure 0005885911
ここに
Figure 0005885911
Figure 0005885911
Figure 0005885911
Figure 0005885911
スラブ付鉄骨梁10については、図2(B)に示す解析モデルを用いて、FEM(有限要素法)による固有値解析を実施し、弾性横座屈耐力Mcrを算定した。
鉄骨梁20はシェル要素を用いてモデル化し、鉄骨梁20の上フランジ24のスウェイはスラブ12により完全に拘束されているものとした。また、鉄骨梁20の長さをLとし、スラブ12のねじり剛性として上フランジ24に回転バネ18を設けた。
対象とする鉄骨梁20は、図3に示す断面形状の異なる試験体A、B、C、Dの4種類とした。回転バネ18は、それぞれの試験体20のフランジ上面の軸方向に設けられたスタッド位置に設置した。水平バネ19は、スラブ12と鉄骨梁20が剛接合されているという条件で計算した。
両端が固定支持とされている鉄骨梁20の軸方向のねじり剛性sKθは、下式(4)(5)で算出される。

Figure 0005885911
Figure 0005885911
ここに、
Figure 0005885911
同様に、両端が固定支持とされており、一定幅を有するスラブ12の軸方向のねじり剛性cKθは、下式(6)(7)で算出される。ただし、スラブ12の有効幅は比較的小さく、幅方向断面は変形しないものとする。

Figure 0005885911
Figure 0005885911
ここに、
Figure 0005885911
なお、スラブ12は、本来幅方向に連続性があり、実際のねじり剛性はより高いと考えられる。しかし、スラブ12は曲げ、ひび割れ、スタッドの抜け出し、フランジの面外曲げ変形による剛性の低下も考えられるため、安全サイドに算出すべく、スラブ12の幅方向の連続性は考慮しないモデルとした。
図4にねじり剛性の算出結果の一例を示す。横軸は鉄骨梁20の長さLを1.0としたときの軸方向の距離の比であり、縦軸は、計算点のねじり剛性と、軸中央部(L/2)でのねじり剛性の比を示している。
実線72はスラブ12のねじり剛性特性である。軸中央部で最小となり、両端部で無限大となる非線形の分布となる。なお、鉄骨梁20のねじり剛性特性もほぼ同じ傾向を示すので図示は省略した。
破線74は回転バネ18のねじり剛性特性を示している。後述するように、鉄骨梁20の全長に渡り一定値の回転バネ18でねじり剛性を付与した。
回転バネ18のねじり剛性の値は、鉄骨梁20の中央部(L/2)のねじり剛性(2×G×J/L)の値に倍率を乗じて変化させ、それぞれの値について固有値解析を実施した。このとき、鉄骨梁20の両端は固定支持(弱軸回りの回転及びそりを拘束)とした。結果は、図3の弾性座屈耐力の欄に記載している。
また、梁端ピン支持についても固有値解析を実施した。ここに、梁端ピン支持とは、弱軸回りの回転及びそりが自由である支持をいう。
図5には、回転バネと梁のねじり剛性と、横座屈耐力の関係を示している。横軸は、回転バネの剛性を鉄骨梁20の中央部のねじり剛性で除した値であり、対数目盛で表示している。縦軸は、スラブ12と鉄骨梁20が固定された鉄骨梁と、固定されていない鉄骨梁の弾性横座屈耐力の比である。
結果から、試験体A、B、C、Dにより値は異なるが、横軸が10以上の範囲が鉄骨梁20のスウェイと回転の両方が完全に拘束された条件での横座屈耐力Mcr2であり、値は1.8〜3.0程度と一定した大きな値となっている。一方、横軸が0.1以下の範囲が鉄骨梁20のスウェイが固定され、回転が自由な条件での横座屈耐力Mcr1であり、値は1.5〜1.6程度と一定した小さな値となっている。また、横軸が0.1〜10の間で横座屈耐力は大きく変化している。
なお、図中のプロットは、スラブの有効幅を文献(日本建築学会:鋼構造限界状態設計指針、同解説、2009年)に基づき定め、上述した(4)式で求まる非線形のねじり剛性を回転バネとして設定した場合の解析結果である。
結果から、スラブ12のねじり剛性が梁のねじり剛性の10倍以上であれば、鉄骨梁20のスウェイと回転の両方が完全に拘束された状態と等しくなる。即ち、鉄骨梁20とスラブ12が高い剛性で接合されるため、鉄骨梁20の横座屈が抑制される。
なお、鉄骨梁20の端部では、柱の回転拘束や反り拘束の影響が大きくなるため、梁上フランジの回転バネの影響が小さくなり、座屈耐力に大差は見られない。
図6は、塑性率と無次元化細長比の関係を示しており、横軸は無次元化細長比を、縦軸は塑性率を示している。
特性76は、上述した(3)式で算出された塑性率であり、丸枠92、94、96で囲まれたプロットが、後述する実証実験で求められた塑性率の実測値である。実証実験における塑性率は、最大耐力の90%以下に耐力が低下しない繰返し振幅から求めた。
丸枠92で囲まれた範囲は、両端部がピン接合で鉄骨梁20とスラブ12が固定されていない場合の結果であり、無次元化細長比は1.0前後となった。これは、文献(日本建築学会:鋼構造限界状態設計指針、同解説、2009年)の塑性限界細長比0.9より大きく、変形能力が過小に評価されている。
丸枠94で囲まれた範囲は、両端部を固定し、鉄骨梁20とスラブ12が固定されていない場合であり、無次元化細長比は0.7前後となった。変形能力評価では、評価精度がやや改善されている。
丸枠96で囲まれた範囲は、両端部を固定しかつスラブでスェイと回転の両方共に固定された場合の無次元化細長比λである。無次元化細長比λは0.45前後、塑性率は3.4〜4.0の範囲となった。ピン接合の場合の無次元化細長比λに比べて大幅に小さくなり、十分な塑性変形能力の発揮が期待される領域にある。また、実験結果との対応も良いものとなっている。即ち、この条件であれば、横座屈は生じないといえる。
次に、実証実験について概要を説明する。
実証実験は1/4.1〜1/5の縮尺モデルで行い、実験用のスラブ付鉄骨梁(試験体)に地震時を想定した水平力を付加し、横座屈の発生の有無を確認した。試験体は、上述した断面形状の異なる4種類とした。鉄骨梁は高さを210〜270mm、幅を81〜85mm、板厚を3.2〜4.5mmとし、柱は一辺が175mmのボックス鋼管で、板厚を9mmとした。
図7に、縮尺モデルの一例であるスラブ付鉄骨梁30を示す。スラブ付鉄骨梁30は、柱38に架け渡された鉄骨梁32にスラブ34が接合されている。鉄骨梁32は、柱38間の1スパン分がモデル化され、柱38は、スラブを挟んで層の中間までがモデル化されている。また、柱38の上端部と下端部には、後述する加力装置39へ取付けるための貫通穴37が開けられている。
柱38には、梁32と直交する方向に直交梁36が設けられ、直交梁36は、直交方向の梁スパンの中央までの長さとされている。
鉄骨梁32には、スラブ34がスタッドボルト40で接合されている。スラブ34の内部には鉄筋33が背筋され、スラブ34の柱38側の両端は、梁36とスタッドボルト40で接合されている。
図8(A)に、スラブ付鉄骨梁30に水平方向の力を加える加力装置39を示す。
加力装置39が設けられた床56には、スラブ付鉄骨梁30の柱38と同じ間隔で、基礎58が立ち上げられている。基礎58の上部には、取付孔が設けられたピン接合部50が取付けられている。
また、上部の釣下用梁47から、加力梁46が吊りチェーン45で吊り下げられている。加力梁46は、剛性を高くされた梁で横方向に向けて配置されている。加力梁46の下面には、基礎58と対応する位置に、取付孔が設けられたピン接合部51が下方へ向けて取付けられている。
加力梁46の側面と対向する壁57には、水平力を発生させるジャッキ40の一端が取付けられ、加えられた力を計測するロードセル42を介して、ジャッキ40の他端が加力梁46の側面に接続されている。
基礎58と加力梁46の間にはスラブ付鉄骨梁30が配置され、スラブ付鉄骨梁30の柱38の上下端部に設けた貫通孔37と、ピン接合部50、51の取付孔を一致させ、ピン接合としている。
また、スラブ12に作用する長期荷重を想定して、試験体に加える曲げ応力度と長期荷重の作用下で加えられている曲げ応力度が一致するよう、柱38間の梁20の中心に集約させ、錘48が載せられている。
これにより、加力梁46にジャッキ40で、ロードセル42を介して水平力を加えることができる。このとき、ピン接合部50は基礎58で固定されたままで、ピン接合部51が水平方向に移動する。この結果、柱38が所定量だけ傾斜し、スラブ付鉄骨梁30に水平方向の変形を加えることができる。
図8(B)に示すように、スラブ付鉄骨梁30に加えた加力サイクルは、徐々に振幅を大きくするサイクルとした。即ち、この振幅は大きくなる方向に、部材角で0.5/100、1.0/100、1.5/100、2.0/100、3.0/100、4.0/100、5.0/100とし、それぞれ2回ずつ繰り返し載荷して、最後に1方向へ載荷した。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態のスラブ付鉄骨梁52は、第1の実施の形態におけるスラブ付鉄骨梁10のスラブをデッキスラブ16としている。
即ち、図9に示すように、スラブ付鉄骨梁52は、鉄骨梁20の上にデッキプレート54が敷設され、その上にコンクリート17が打設されている。このとき、コンクリートの厚さDは130mm以上とされている。
これにより、スラブ付鉄骨梁52が地震力を受けても、デッキプレート54で補剛されたデッキスラブ16が横座屈を拘束するため、横座屈補剛材を架け渡さなくてもスラブ付鉄骨梁52の横座屈が拘束される。
他の構成は、第1の実施の形態と同じであり、説明は省略する。
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態のスラブ付鉄骨梁60は、第1の実施の形態におけるスラブ付鉄骨梁10の鉄骨梁20をコンクリート64で補剛したものである。
即ち、図10に示すように、スラブ付鉄骨梁60の鉄骨梁20のウェブ66の両側に、スタッド70が取付けられ、ウェブ66の両側にコンクリート64がフランジ68の幅で充填されている。
これにより、コンクリート64で補剛された鉄骨梁20が、梁20に伝播される微振動を抑制する。
また、地震力を受けたときは、スラブ12(図示せず)が横座屈を拘束するため、横座屈補剛材を架け渡さなくてもスラブ付鉄骨梁60の横座屈が拘束される。
他の構成は、第2の実施の形態と同じであり、説明は省略する。
10 スラブ付鉄骨梁
12 スラブ
14 柱
20 鉄骨梁
22 下フランジ
24 上フランジ
28 スタッド

Claims (2)

  1. ウェブとフランジとで構成された鉄骨梁の両端部が柱に剛接合され、
    前記鉄骨梁に設けられた鉄筋コンクリートスラブが、前記鉄骨梁の横移動を拘束するのに必要とされるスタッド本数以上のスタッドで、前記フランジと接合される鉄筋コンクリートスラブ付鉄骨梁の設計方法において、
    前記鉄骨梁の細長比が150〜250、
    前記鉄筋コンクリートスラブの板厚が140mm以上、又は前記鉄筋コンクリートスラブがデッキスラブの場合、デッキスラブの板厚が130mm以上、
    前記鉄筋コンクリートスラブの有効幅を柱幅、としたときの、下記(1)式で算出される前記鉄筋コンクリートスラブのねじり剛性を、下記(2)式で算出される前記鉄骨梁のねじり剛性の10倍以上とし、前記鉄骨梁には横座屈を防止する横座屈補剛材を取り付けない、
    鉄筋コンクリートスラブ付鉄骨梁の設計方法。

    鉄筋コンクリートスラブのねじり剛性 =cG×cJ …(1)
    鉄骨梁のねじり剛性 =sG×sJ …(2)
    ここに
    cG:鉄筋コンクリートスラブのせん断弾性係数
    cJ:鉄筋コンクリートスラブのサンブナンのねじり定数
    Figure 0005885911

    Be:鉄筋コンクリートスラブの有効幅(Be=柱幅)
    tc:鉄筋コンクリートスラブ厚
    (鉄筋コンクリートスラブではtc=140mm以上、
    又はデッキスラブの場合にはtc=130mm以上)

    sG:鉄骨梁のせん断弾性係数
    sJ:鉄骨梁のサンブナンのねじり定数
    Figure 0005885911

    H:鉄骨梁の成
    tf:フランジ厚
    tw:ウェブ厚
    B:鉄骨梁の幅
  2. 前記鉄骨梁のフランジの横移動を拘束するのに必要とされるスタッド本数を、完全合成梁として必要とされるスタッド本数の1/2以上とした、
    請求項1に記載の鉄筋コンクリートスラブ付鉄骨梁の設計方法。
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