JP2021055462A - 床スラブ付き鉄骨梁およびその設計方法 - Google Patents

床スラブ付き鉄骨梁およびその設計方法 Download PDF

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Abstract

【課題】床スラブが鉄骨梁に対して高い位置にある場所であっても、横座屈による鉄骨梁の上フランジの構面外変形を拘束して十分な変形能力を確保できる床スラブ付き鉄骨梁およびその設計方法を提供する。【解決手段】本発明に係る床スラブ付き鉄骨梁1は、H形断面の鉄骨梁9と、鉄骨梁9の上部に接合されたコンクリート床スラブ11とを有する床スラブ付き鉄骨梁1であって、フランジ部13を有し、フランジ部13が鉄骨梁9の上フランジ7の上方に配置されるように、鉄骨梁9の上フランジ7の全長に亘って接合されると共に下式(1)を満たす鋼部材17を有し、コンクリート床スラブ11が鋼部材17のフランジ部13に配設された頭付きスタッド19を介して接合されていることを特徴とするものである。TJ≧0.035×bJf・・・(1)ここで、TJ:鋼部材のねじり定数bJf:鉄骨梁の上フランジのねじり定数【選択図】 図1

Description

本発明は、梁の上部にコンクリート床スラブが存在し、該コンクリート床スラブと梁が接合されている床スラブ付鉄骨梁に関するものである。
鋼構造建物では地震時に横座屈と呼ばれる現象によって鉄骨梁が梁材軸直交方向に変形して、所定の耐力や変形能力を発揮しない恐れがあるため、通常、小梁又は孫梁を鉄骨梁間に配置して、鉄骨梁の材軸直交方向の移動を拘束することで横座屈を防止する。
その際、小梁又は孫梁に接合してあるアングル等の部材と鉄骨梁の下フランジとを接合することで、下フランジの構面外変形も拘束することが通例である。
鉄骨梁が頭付きスタッドを介してコンクリート床スラブと接合されている従来の形態を図17、図18に示す。
従来の床スラブ付き鉄骨梁41は、両端部が柱3に剛接合されたH形断面の鉄骨梁9と、鉄骨梁9の上部に頭付きスタッド19を介して接合されたコンクリート床スラブ11とを有するものであって、鉄骨梁9の側面にはガセットプレート43が設けられ、小梁45が鉄骨梁9の上部においてガセットプレート43とボルト接合され、アングル47が小梁45の下部に設けたガセットプレート49と鉄骨梁9の側面のガセットプレート43の下部とに跨るように接合されている。これによって鉄骨梁9の横座屈による構面外変形が拘束される。コンクリート床スラブ11には鉄筋27が設けられている。
鉄骨梁9のウェブ23は柱3に溶接接合されるか、柱3に溶接接合されたシヤプレート51と高力ボルト接合される。
昨今、非特許文献1に示すように、鉄骨梁が頭付きスタッドを介してコンクリート床スラブと接合されている場合、上フランジの構面外変形が拘束され、横座屈防止用の小梁、孫梁、アングルを省略できるという考え方が広まっている。
このような考えの下、特許文献1では、鉄骨梁に接合されているコンクリート床スラブのねじれ剛性を鉄骨梁のねじれ剛性の10倍とすることで横座屈補剛材がなくても横座屈を防止できる設計法が提案されている。
また、特許文献2では、鉄骨梁とコンクリート床スラブを接合するために鉄骨梁上面に配置された頭付きスタッドに沿って補強鉄筋を設けることで、頭付きスタッドの接合強度を増大させて必要な頭付きスタッド本数を減らした構造が提案されている。
特許第5885911号公報 特開2018-135668号公報
日本建築学会「各種合成構造設計指針・同解説,2010」
前述の通り、コンクリート床スラブによって鉄骨梁の構面外変形を拘束することで横座屈防止用の小梁、孫梁、アングルを省略できる考え方が広まっており、そのためには鉄骨梁の上フランジの構面外変形が十分拘束されていることが必須となる。
そして、従来例として示されたものは、コンクリート床スラブ11と鉄骨梁9の位置が近く、コンクリート床スラブ11の下面を鉄骨梁9の上フランジ7に直接載置できる場合であり、このような場合には、コンクリート床スラブ11によって鉄骨梁9の上フランジ7の構面外変形を十分拘束することが可能である。
しかし、実際の建築物ではコンクリート床スラブ11の高さが同一階でも異なる場合があり、その場合、コンクリート床スラブ11が鉄骨梁9に対して高い位置にある場所があり、この場所では、鉄骨梁9の上フランジ7側面に山形鋼や溝形鋼を設けて鉄骨梁9の両側面のコンクリート床スラブ11がかさ上げされた構造となることがある。
このような場合の従来構造を図19、図20に示す。この場合、頭付きスタッド19が設けられた鉄骨梁9の上フランジ7に、上方に延出するように山形鋼53(又は溝形鋼)が溶接接合され、山形鋼53の上面に床スラブが設置される。そして、山形鋼53で囲まれた頭付きスタッド19の付近にはコンクリート25が充填される。
図19、図20に示したような、鉄骨梁9の上フランジ7側面に山形鋼53や溝形鋼を設けて鉄骨梁9の両側面のコンクリート床スラブ11がかさ上げされた構造では、頭付きスタッド19がコンクリート25の縁と近いため、鉄骨梁9の横座屈による構面外変形を拘束するだけの十分な耐力がなく、鉄骨梁9の構面外変形が十分拘束されない恐れがある。この場合、横座屈防止用の小梁、孫梁、アングルを省略すると構造性能が不十分となる恐れがある。
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、コンクリート床スラブが鉄骨梁に対して高い位置にある場所であっても、横座屈による鉄骨梁の上フランジの構面外変形を拘束して十分な変形能力を確保できる床スラブ付き鉄骨梁およびその設計方法を提供することを目的としている。
(1)本発明に係る床スラブ付き鉄骨梁は、両端部が柱に剛接合されると共に下フランジの構面外変形が補剛されていないH形断面の鉄骨梁と、該鉄骨梁の上部に接合されたコンクリート床スラブとを有するものであって、
フランジ部を有し、該フランジ部が前記鉄骨梁の上フランジの上方に配置されるように、前記鉄骨梁の上フランジの全長に亘って接合されると共に下式(1)を満たす鋼部材を有し、前記コンクリート床スラブが前記鋼部材の前記フランジ部に配設された頭付きスタッドを介して接合されていることを特徴とするものである。
TJ≧0.035×bJf ・・・(1)
ここで、
TJ:鋼部材のねじり定数
bJf:鉄骨梁の上フランジのねじり定数
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記鋼部材がフランジ部とウェブ部とを有するT形断面部材からなり、該T形断面部材を補強する補強リブが設けられ、該補強リブは前記鉄骨梁の梁せいの2倍以下のピッチで該T形断面部材の全長に亘って設けられると共に、該補強リブは、前記ウェブ部を挟んで該ウェブ部の両面に配置され、かつ該ウェブ部と前記フランジ部及び前記鉄骨梁の上フランジに両面すみ肉溶接接合されていることを特徴とするものである。
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記鋼部材が前記鉄骨梁と断続すみ肉溶接で接合され、かつ前記柱と接合されていないことを特徴とするものである。
(4)また、上記(1)乃至(3)に記載のものにおいて、前記頭付きスタッドが、2列以上の複数列に配置され、かつ前記頭付きスタッドと前記鋼部材におけるフランジ部側面との距離が60mm以上であることを特徴とするものである。
(5)また、本発明に係る床スラブ付き鉄骨梁の設計方法は、両端部が柱に剛接合されると共に下フランジの構面外変形が補剛されていないH形断面の鉄骨梁と、該鉄骨梁の上部に接合されたコンクリート床スラブとを有するものを設計する方法であって、
フランジ部を有する鋼部材を、前記フランジ部が前記鉄骨梁の上フランジの上方に配置されるように、前記鉄骨梁の上フランジの全長に亘って接合し、かつ該鋼部材が下式(1)を満たすように設定することを特徴とするものである。
TJ≧0.035×bJf ・・・(1)
ここで、
TJ:鋼部材のねじり定数
bJf:鉄骨梁の上フランジのねじり定数
本発明においては、フランジ部を有し、該フランジ部が鉄骨梁の上フランジの上方に配置されるように、前記鉄骨梁の上フランジの全長に亘って接合されると共に所定の捻り定数を有する鋼部材を有し、コンクリート床スラブが前記鋼部材の前記フランジ部に配設された頭付きスタッドを介して接合されていることにより、コンクリート床スラブが鉄骨梁に対して高い位置にあるにもかかわらず、横座屈による鉄骨梁の上フランジの構面外変形を拘束して、横座屈防止用の小梁、孫梁、アングルを省略しても、地震時に十分な変形能力を発揮することができる。
本発明の実施の形態に係る床スラブ付き鉄骨梁の説明図である。 図1の矢視A−A断面図である。 本発明の実施の形態に係る鋼部材の他の態様の説明図である(その1)。 本発明の実施の形態に係る鋼部材の他の態様の説明図である(その2)。 図4の矢視B−B断面図である。 実施例1におけるケース1のモデルの説明図である(その1)。 実施例1におけるケース1のモデルの説明図である(その2)。 実施例1におけるケース2〜5のモデルの説明図である(その1)。 実施例1におけるケース2〜5のモデルの説明図である(その2)。 実施例1の解析結果を示すグラフである。 実施例2の実構造の説明図(正面図)である(その1)。 実施例2の実構造の説明図(側面図)である(その2)。 実施例2の実構造の説明図(平面図)である(その3)。 実施例2で用いた載荷装置の説明図(正面図)である(その1)。 実施例2で用いた載荷装置の説明図(側面図)である(その2)。 実施例2の実験結果を示すグラフである。 従来の床スラブ付き鉄骨梁の説明図である。 図17の矢視C−C断面図である。 鉄骨梁の嵩上げをした場合に想定される床スラブ付き鉄骨梁の説明図である。 図19の矢視D−D断面図である。
[実施の形態1]
本実施の形態に係る床スラブ付き鉄骨梁を図1、図2に基づいて説明する。なお、図1、図2において、従来例を示した図17、図18と同一部分には同一の符号を付してある。
本実施の形態に係る床スラブ付き鉄骨梁1は、両端部が柱3に剛接合されると共に下フランジ5の構面外変形が補剛されていないH形断面の鉄骨梁9と、鉄骨梁9の上部に接合されたコンクリート床スラブ11とを有している。
そして、フランジ部13とウェブ部15を有する鋼部材17が、フランジ部13が鉄骨梁9の上フランジ7の上方に配置されるように、鉄骨梁9の上フランジ7の全長に亘って接合されている。
また、鋼部材17のフランジ部13には頭付きスタッド19が設けられ、この頭付きスタッド19を介してコンクリート床スラブ11が鋼部材17に接合されている。
以下、各構成をより詳細に説明する。
<柱>
柱3の種類は特に限定されないが、例えば溶接組立箱形断面柱、角形鋼管柱、H形断面柱、CFT柱、RC柱、SRC柱などが該当する。
柱3には、鉄骨梁9のフランジから伝達される力を柱3に伝達するためにダイアフラム21という鋼板が設けられる。ダイアフラム21には、柱3との接合形式によって、通しダイアフラム形式、内ダイアフラム形式、外ダイアフラム形式に分けられる。
<鉄骨梁>
鉄骨梁9は、H形断面を有し、設計基準強度で235N/mm2以上、440N/mm2以下の鋼材で構成されている。設計基準強度440N/mm2越えの鋼材については、高強度ゆえに伸びが小さく、地震時の変形能力に乏しくなるため、梁には不適である。
鉄骨梁のサイズとしてはJIS G3192記載の小断面のH形鋼や最大梁せい1000mmの外法一定H形鋼、さらには溶接組立H形断面部材で梁せい1000mmを越えるような大断面のものが該当する。この中でも梁せいが1000mmを越えるような大断面部材や、設計基準強度355N/mm2以上の高強度鋼によるH形断面部材では、下フランジの構面外変形を抑えるためのアングル47等の補剛部材が必要となることが多い。
鉄骨梁9の両端部は柱3に剛接合されるが、この場合、鉄骨梁9のフランジ5、7は柱3もしくは柱3に設けられたダイアフラム21と溶接接合される。フランジ5、7がダイアフラム21と接合される場合、ダイアフラム21の形式によって、以下のように接合される。
内ダイアフラム形式では柱3の内部にダイアフラム21が設けられるため、鉄骨梁9のフランジ5、7は柱3に接合される。通しダイアフラム形式と外ダイアフラム形式では、鉄骨梁9のフランジ5、7はダイアフラム21に溶接接合される。
鉄骨梁9のウェブ23は柱3に溶接接合されている。なお、ウェブ23は柱3に溶接接合されたシヤプレート51(図17参照)と高力ボルト接合される場合もある。
<コンクリート床スラブ>
コンクリート床スラブ11はコンクリート25の内部に鉄筋27が配設された鉄筋コンクリート構造である。コンクリート25には普通コンクリート、軽量コンクリートが用いられ、鉄筋27には異形鉄筋、丸鋼鉄筋、溶接金網が用いられる。また工場で製作したプレキャストコンクリート板を現場で兼用型枠として用いるハーフPCスラブや、中空部を含むボイドスラブも該当する。
<鋼部材>
鋼部材17は、断面コ字状の溝形鋼であり、底面であるフランジ部13が上になるように天地逆さにして、側壁であるウェブ部15の下端を鉄骨梁9の上フランジ7にその全長に亘って溶接接合されている。
鋼部材17のフランジ部13上面には、頭付きスタッド19が全長にわたって溶接接合されている。
鋼部材17と鉄骨梁9の上フランジ7の接合方法は、断続すみ肉溶接とするのが望ましい。これは、仮に鋼部材17を鉄骨梁9の上フランジ7としっかり接合(連続溶接)してしまった場合、鉄骨梁9の剛性が大きく上昇するため、構造設計時に鋼部材17も考慮する必要があり、構造設計の手間が増えてしまう。また、鋼部材17を柱3と接合した場合も同様に、梁の曲げ耐力が上昇してしまうため構造設計時に鋼部材17も考慮しなくてはならなくなる。
しかし、鋼部材17と鉄骨梁9の上フランジ7の接合方法を断続すみ肉溶接とし、かつ鋼部材17を柱3と接合しないことで、鋼部材17が鉄骨梁9の剛性や耐力に及ぼす影響が小さくなり、構造設計時に鋼部材17を無視することができ手間が省ける。ただし、断続すみ肉溶接が破断することのないよう、少なくとも地震時に頭付きスタッド19に作用する鉄骨梁9の材軸方向力以上の耐力を断続すみ肉溶接部が有していることが望ましい。
また、本発明では、鋼部材17が鉄骨梁9の上フランジ7のねじれ変形を十分拘束できるよう、鋼部材17に必要なねじり定数を規定している。すなわち、鋼部材17のねじり定数が鉄骨梁9の上フランジ7のねじり定数の3.5%以上であれば、地震時に鉄骨梁9に十分な変形能力が期待できる。具体的には、鋼部材17のねじり定数をTJ、鉄骨梁9の上フランジ7のねじり定数をbJfとしたときに、下記の式(1)を満たす。
TJ≧0.035×bJf ・・・(1)
ここで、鉄骨梁9の上フランジ7のねじり定数bJfは、鉄骨梁9の上フランジ7幅をB、鉄骨梁9の上フランジ7板厚をtfから下記の式(2)で求められる。
bJf=B×tf 3/3 ・・・(2)
鋼部材17は、図1、2に示した溝形断面部材に限らず、図3に示す箱形断面部材や、図4、図5に示すT形断面部材でもよい。鋼部材17のせいをTH、鋼部材17の幅をTB、鋼部材17のウェブ板厚をTtw、鋼部材17のフランジ板厚をTtfとしたときに、溝形断面部材、T形断面部材、箱形断面部材のねじり定数TJは下記の式(3)〜(5)で求められる。
溝形断面部材:TJ=TTtf 3/3+2×(H-TtfTtw 3/3 ・・(3)
T形断面部材:TJ=TTtf 3/3+(H-TtfTtw 3/3 ・・(4)
箱形断面部材:TJ={2×Ttf×Ttw×(TH-Ttf)2×(B-Ttw)2}/{Ttw×(TB-Ttw)+Ttf×(TH-Ttf)} ・(5)
T形断面の部材では、T字の横辺がフランジ部13に相当し、縦辺がウェブ部15に相当し、フランジ部13に頭付きスタッド19が取り付けられる。
T形断面の場合、製作が容易で、頭付きスタッド19を配するための十分なフランジサイズを確保でき、かつウェブ部15と鉄骨梁9の上フランジ7の溶接接合が容易である。
ただし、ウェブ部15の面外曲げ剛性が小さいと上フランジ7拘束効果が低下する恐れがある。そこで、鉄骨梁9の梁せいの2倍以下のピッチで全長にわたって補強リブ29を配設して、ウェブ部15の面外曲げ剛性を確保することで、確実に鉄骨梁9の上フランジ7の変形を拘束することができる。補強リブ29は、ウェブ部15を挟んでウェブ部15の両面に配置され、かつウェブ部15とフランジ部13及び鉄骨梁9の上フランジ7に両面すみ肉溶接接合されている。
なお、図示を省略しているが、鋼部材17のフランジ部13にはコンクリート打設用のデッキプレートが溶接接合され、その上にコンクリート床スラブ11が設けられる。
デッキプレートには捨て型枠用のフラットデッキ、コンクリート25と一体となって挙動する波形の合成デッキ、鉄筋27が溶接された鉄筋トラス付き捨て型枠デッキなどがある。
<頭付きスタッド>
鋼部材17のフランジ部13に配設される頭付きスタッド19は、十分な耐力が期待できる、軸部の直径が16mm以上で、高さが床スラブの厚さの0.5倍以上のものが望ましい。頭付きスタッド19の配置形状は1列配置、2列以上の複数列配置、千鳥配置などが挙げられる。
頭付きスタッド19の配置に関しては2列以上の複数列配置とし、頭付きスタッド19と鋼部材17におけるフランジ部13の側面との距離を60mm以上とするのが望ましい。この理由は以下の通りである。
頭付きスタッド19接合部の面外曲げ剛性が小さいと鉄骨梁9の上フランジ7の拘束効果が低下してしまう。頭付きスタッド19が1列配置の場合、頭付きスタッド19の接合部の面外曲げ剛性に鋼部材17のフランジ部13の厚さが大きく影響するため、鋼部材17のフランジ厚を十分大きくする必要があり使用する鋼材量が増えてしまう。
しかし、頭付きスタッド19を2列以上の配置とした場合、頭付きスタッド19接合部の面外曲げ剛性に及ぼす鋼部材17のフランジ厚さの影響は十分小さくなるため、鋼部材17のフランジ厚が十分大きくなくても十分な面外曲げ剛性を確保することができる。
一方で、一般的にデッキプレートはかかり代として30mm以上を確保したうえで溶接接合されるため、頭付きスタッド19と鋼部材17のフランジ部13の側面との距離が短いと頭付きスタッド19近辺にデッキプレート端部位置することとなる。また、デッキプレート端部はエンドクローズ加工されていることが多く、厚みが増している部分がある。この場合、デッキプレートが存在する分頭付きスタッド19周囲のコンクリート25が減るため、頭付きスタッド19が十分な耐力を発揮しない恐れがある。これに対し、頭付きスタッド19と鋼部材17のフランジ側面との距離を60mm以上とすることで、頭付きスタッド19の耐力低下の危険を防ぐことができる。
本発明の効果を確認するために床スラブ付き鉄骨梁1を模擬したFEM解析を実施したので、以下これについて説明する。
解析に使用した解析モデルを図6〜図9に示す。図6、図7はコンクリート床スラブ11と鉄骨梁9の間に鋼部材17を設けない従来例解析モデル31であり、図8、図9はコンクリート床スラブ11と鉄骨梁9の間に鋼部材17を設けた発明例解析モデル33である。図6〜図9において、各モデルにおける各部位は実施の形態を示した図1、図2における対応する部位と同一の符号を付してある。
解析ケースは表1に示す5ケースである。
Figure 2021055462
いずれのケースも1本の鉄骨梁9の両端が柱3と接合されている。
ケース1は基本ケースとして鉄骨梁9の鉛直上側に梁要素でモデル化したコンクリート床スラブ11を設け、コンクリート床スラブ11と鉄骨梁9の上フランジ7を、頭付きスタッド19を模擬したバネ要素でつないでいる(図6、図7参照)。
ケース2、3はコンクリート床スラブ11の位置が鉄骨梁9上面より上方にあり、コンクリート床スラブ11と鉄骨梁9の間に鋼部材17を設けたモデルを対象としており、鋼部材17の鉛直上側にケース1と同じ形状、特性のコンクリート床スラブ11を模擬した梁要素と頭付きスタッド19を模擬したバネ要素を設けた(図8、図9参照)。
鉄骨梁9(大梁)はH-1000x350x19x36、長さ17800mmのH形断面部材とし、YS:385N/mm2、TS:550N/mm2の高強度鋼を模した材料特性を用いた。柱3は箱形断面の弾性部材とした。頭付きスタッド19は軸部直径が19mmで高さ80mmの形状で1列配置を想定した剛性と耐力を設定し、梁全長にわたって等間隔で計85箇所設けた。
コンクリート床スラブ11は厚さ150mm、幅3,910mmとし、圧縮強度21N/mm2の普通コンクリートを模した材料特性を用いた。
鉄骨梁9上の鋼部材17はケース2〜5のいずれにおいてもT形断面部材とし、鋼部材17のねじり定数と鉄骨梁9の上フランジ7のねじり定数の比0.005〜0.093の範囲で断面を調整した。いずれにおいてもT形断面部材の両側面に梁せいの約2倍となる1975mmピッチで補強リブ29を設けた。
T形断面部材と補強リブ29の材料特性は400N級鋼を模した特性とした。
この5ケースについて、両側の柱3の上端に水平変位を与え、梁に逆対称曲げを生じさせて、横座屈によって耐力が低下する梁の曲げモーメント-回転角関係について検討した。
図10に梁の塑性変形能力の指標となる塑性変形倍率と、鋼部材17と鉄骨梁9の上フランジ7のねじり定数比(TJ/bJf)の関係を示す。
縦軸の塑性変形倍率は、梁の曲げモーメント-回転角関係において、横座屈によって梁の曲げ耐力が全塑性モーメントまで低下した時点の梁の回転角の塑性変形成分を、梁に生じるモーメントが全塑性モーメントまで到達した時点の梁回転角の弾性成分で除した値である。鋼部材17のねじり定数が大きいほど塑性変形能力が大きくなる傾向がある。
本実施例の結果から、鋼部材17を設けることなくコンクリート床スラブ11と直接接合した鉄骨梁9と同等の変形能力を発揮するためには、鋼部材17と鉄骨梁9の上フランジ7のねじり定数比が3.5%以上必要であることが示された。
また、図11〜図13に示す実構造の1/2縮小モデルの試験体35を対象とした構造実験を実施した。図11〜図13において、試験体35の各部位は実施の形態を示した図1、図2における対応する部位と同一の符号を付してある。
鉄骨梁9はH-300x100x6x9(550N級鋼)、長さ5200mmのH形断面部材とし、YS:385N/mm2、TS:550N/mm2の高強度鋼を用いた。
柱3は□300x16の冷間ロール成形角形鋼管で、通しダイアフラム形式とした。ダイアフラム21には、PL-16(SN490C)を用いた。
鉄骨梁9の上には、せい100mm、幅60mm、ウェブ厚3.2mm、フランジ厚4.5mmのT形断面部材を断続すみ肉溶接接合し、ウェブ部15の両面に厚さ4.5mmの補強リブ29を575mmピッチで設けた。T形断面部材と補強リブ29には400N級鋼を用いた。
T形断面部材のフランジ部13の上面に軸径10mm、高さ50mmの頭付きスタッド19を、200mmピッチで25本設置した。
コンクリート床スラブ11は、スラブ厚75mm、Fc=21N/mm2の普通コンクリートと、φ3.2mm、ピッチ75mmの2段配置の溶接金網からなり、かぶり厚さは15mmとした。試験体35は計2体でデッキプレート(図示なし)の有無がパラメータとなっている。
デッキプレートを設けた試験体35ではT形断面部材のフランジ部13上にデッキプレート端部が溶接接合されており、頭付きスタッド19とデッキプレートが近接している。この試験体35に対して図14、図15に示す載荷装置で層間変形角0.03radまで正負交播漸増振幅繰返し載荷を、その後押切り載荷を行い、梁の耐力が全塑性モーメントMpまで低下した時点までの塑性変形能力について検討した。
図16に横座屈が生じて耐力が低下する側の梁端における曲げモーメント(kNm)と梁変形角(rad)関係(M-θ関係)を示す。グラフの縦軸が梁端に生じる曲げモーメント(kNm)を示し、横軸が梁変形角(rad)を示している。なお、縦軸の曲げモーメントの値がマイナスの際に梁は負曲げを受けて横座屈による構面外変形が生じている。デッキプレートありの試験体35では早々に負曲げの際に耐力が低下して、梁の耐力がMpを下回ったのに対し、デッキプレートなしの試験体35では梁の変形が1/20radまでMp以上の耐力を保持しており、デッキプレートありの試験体35と明瞭な差が見てとれる。
これはデッキプレートありの試験体35ではデッキプレートが頭付きスタッド19に近接していて、頭付きスタッド19の根元部分にコンクリート25が十分に充填されず、実験時に頭付きスタッド19が根元から破断してしまったことが原因と考えられる。よって頭付きスタッド19の根元に十分コンクリート25が充填されるよう、頭付きスタッド19と梁フランジ側面との距離を設けるのが望ましい。
1 床スラブ付き鉄骨梁
3 柱
5 下フランジ
7 上フランジ
9 鉄骨梁
11 コンクリート床スラブ
13 フランジ部
15 ウェブ部
17 鋼部材
19 頭付きスタッド
21 ダイアフラム
23 ウェブ
25 コンクリート
27 鉄筋
29 補強リブ
31 従来例解析モデル
33 発明例解析モデル
35 試験体
<従来例>
41 床スラブ付き鉄骨梁(従来例)
43 ガセットプレート
45 小梁
47 アングル
49 ガセットプレート
51 シヤプレート
53 山形鋼

Claims (5)

  1. 両端部が柱に剛接合されると共に下フランジの構面外変形が補剛されていないH形断面の鉄骨梁と、該鉄骨梁の上部に接合されたコンクリート床スラブとを有する床スラブ付き鉄骨梁であって、
    フランジ部を有し、該フランジ部が前記鉄骨梁の上フランジの上方に配置されるように、前記鉄骨梁の上フランジの全長に亘って接合されると共に下式(1)を満たす鋼部材を有し、前記コンクリート床スラブが前記鋼部材の前記フランジ部に配設された頭付きスタッドを介して接合されていることを特徴とする床スラブ付き鉄骨梁。
    TJ≧0.035×bJf ・・・(1)
    ここで、
    TJ:鋼部材のねじり定数
    bJf:鉄骨梁の上フランジのねじり定数
  2. 前記鋼部材がフランジ部とウェブ部とを有するT形断面部材からなり、該T形断面部材を補強する補強リブが設けられ、該補強リブは前記鉄骨梁の梁せいの2倍以下のピッチで該T形断面部材の全長に亘って設けられると共に、該補強リブは、前記ウェブ部を挟んで該ウェブ部の両面に配置され、かつ該ウェブ部と前記フランジ部及び前記鉄骨梁の上フランジに両面すみ肉溶接接合されていることを特徴とする請求項1記載の床スラブ付き鉄骨梁。
  3. 前記鋼部材が前記鉄骨梁と断続すみ肉溶接で接合され、かつ前記柱と接合されていないことを特徴とする請求項1又は2に記載の床スラブ付き鉄骨梁。
  4. 前記頭付きスタッドが、2列以上の複数列に配置され、かつ前記頭付きスタッドと前記鋼部材におけるフランジ部側面との距離が60mm以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の床スラブ付き鉄骨梁。
  5. 両端部が柱に剛接合されると共に下フランジの構面外変形が補剛されていないH形断面の鉄骨梁と、該鉄骨梁の上部に接合されたコンクリート床スラブとを有する床スラブ付き鉄骨梁の設計方法であって、
    フランジ部を有する鋼部材を、前記フランジ部が前記鉄骨梁の上フランジの上方に配置されるように、前記鉄骨梁の上フランジの全長に亘って接合し、かつ該鋼部材が下式(1)を満たすように設定することを特徴とする床スラブ付き鉄骨梁の設計方法。
    TJ≧0.035×bJf ・・・(1)
    ここで、
    TJ:鋼部材のねじり定数
    bJf:鉄骨梁の上フランジのねじり定数
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JP2015086595A (ja) * 2013-10-31 2015-05-07 大成建設株式会社 接合構造

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