JP4923641B2 - 耐震性能に優れる柱梁接合部と鉄骨骨組、鉄骨構造物 - Google Patents
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「冷間成形角形鋼管設計・施工マニュアル」(日本建築センター)
(1)地震力は骨組の面内だけでなく任意の方向に作用し、斜め方向に作用した場合でも、梁の降伏を先行させるためには直交2方向の梁が塑性化するまで柱は、ほぼ弾性状態を保つ必要がある。直交2方向の梁が塑性化する耐力は1方向の場合の約1.4倍である。
(2)床スラブと梁はスタッドなどのシヤコネクターで一体化されている場合が多い。床スラブが圧縮側になる場合約1.4倍、引張側に場合には約1.1倍、平均的には約1.25倍に梁耐力は大きくなる。
(3)地震時の骨組の応答は1次モードだけでなく、高次モードの振動成分がある。この影響により柱の応力が大きくなって、梁より早期に降伏する可能性がある。高次モードの影響を避けるためには柱の耐力を約1.3倍にする必要がある。
(4)鋼材の降伏点のばらつきにより、設計上は梁が先行降伏するものでも実際には梁の強度が高く、そうならない場合がある。これを避けるためには鋼材の降伏点のばらつきを統計的に評価する必要がある。この影響を避けるためには、柱耐力を1.15〜1.2倍にする必要がある。
(5)角形鋼管柱の場合、斜め方向の断面性能(耐力)が低くなる。45度方向の場合、0(90)度方向に比較して約6%断面性能が低下する。従って柱耐力を1.06倍にする必要がある。
(6)上記の全てを考慮すれば、柱の塑性化を完全に防止するためには柱の耐力を1.4×1.25×1.3×1.2×1.06=2.89倍もしくは√(1.42+1.252+1.32+1.22+1.062)=2.79倍とする必要がある。その結果、柱として通常の設計に従う場合の約3倍の耐力の断面を使うこととなり、建築コストの上昇を招く。
図2に接合部パネルの変形挙動の調査に用いた試験装置を示す。地上に固定された試験台8にパネル部試験体4を固定し、地震力として水平力7を負荷する。
1.柱および梁から構成され、該柱と該梁が剛接合されている柱梁接合部において、
前記柱と前記梁の節点に設けられた接合部パネルは、柱が角形鋼管の場合、式(3−2)、または、柱が円形鋼管の場合、式(6−1)の条件を満たすことを特徴とする柱梁接合部。
2.柱および梁から構成され、該柱と該梁が剛接合されている柱梁接合部において、
前記柱と前記梁の節点に設けられた接合部パネルは、その構成する鋼材の耐力と板厚が、該接合部パネルの上下となる柱に用いる鋼材の耐力と板厚にそれぞれ等しく、且つ、柱が角形鋼管の場合、式(3−3)、または、柱が円形鋼管の場合、式(6−2)の条件を満たすことを特徴とする柱梁接合部。
3.柱および梁から構成され、柱と梁の節点を複数有する鉄骨ラーメン骨組を含む鉄骨骨組であって、1または2に記載の柱梁接合部を少なくとも一つ有することを特徴とする鉄骨骨組。
4.柱および梁から構成され、柱と梁の節点を複数有し、降伏層間変位角が1/100以上である鉄骨ラーメン骨組と、エネルギー吸収部材を設置した鉄骨骨組であって、
1または2に記載の柱梁接合部を少なくとも一つ有することを特徴とする鉄骨骨組。
5.3または4に記載の鉄骨骨組を有し、最下層の柱の柱脚に柱よりも耐力の低い柱脚を設けたことを特徴とする鉄骨構造物。
[角形鋼管]
図3は、地震時における、接合部パネルでの応力状態を模式的に示す図で、接合部パネルには、上の柱と接合部パネルの境界面に作用する柱のモ−メントTMcと下の柱と接合部パネルの境界面に作用する柱のモーメントBMcがそのまま作用するので、接合部パネルの曲げ耐力Mpが、両者の和よりも小さければ、接合部パネルは塑性変形を生じる。ただし、梁が極端に弱い場合は、接合部パネルが塑性化しないこともあるが、全体崩壊となるので問題ない。
が取り付く場合にはブレースからの付加軸力もnに考慮する。cZpは柱フランジ中心間距
離(例えば、柱の外径から柱の板厚を減じた値)dcと柱の板厚tcを用いて下式で求められる。
られる。
柱の全塑性曲げ耐力cMpは柱の軸力比nによって変化し、(4)式で求められる。
(実施例1)
図6に示す2層2スパンの鉄骨ラーメン骨組を製作する。梁には15cmのスラブが付き、合成梁となっている。柱には80キロ級の高張力鋼を用いた□−300x12(mm)の角形鋼管、梁にはSN490を用いたH−650x200x12x19(mm)のH形鋼を用いる。
実施例1の梁の変わりにH−750x200x12x22(mm)のH形鋼を用いる。接合部パネルの高さ/幅比は2.5である。接合部パネルには柱の板厚を9mmとして耐力を低下させた。
実施例1の骨組みの柱の鋼種を50キロ鋼とし、梁はSN400を用いたH−650x200x9x16(mm)のH形鋼を用いる。接合部パネルの高さ/幅比は実施例1と同じ1.67である。接合部パネル/柱耐力比は0.88と実施例1と同じである。
実施例1の梁サイズをH−750x200x12x22(mm)に変更する。その結果、接合部パネル高さ比は2.5となり、接合部パネル/柱耐力比は1.10となっている。
(実施例3)
図6に示す2層2スパンの鉄骨ラーメン骨組を製作する。梁には15cmのスラブが付き、合成梁となっている。柱には80キロ級の高張力鋼を用いた○−300x12(mm)の円形鋼管、梁にはSN490を用いたH−650x200x12x19(mm)のH形鋼を用いる。図には示していないが柱脚部には柱ヒンジが発生しないように、柱耐力よりも15%低い露出型柱脚を使用した。鉛直荷重は柱の軸力比で0.15となるように設定している。柱の降伏点は827N/mm2でYRは94%である。
実施例3の梁の替わりにH−700x200x12x22(mm)のH形鋼を用いる。接合部パネルの高さ/幅比は2.0である。接合部パネルには柱の板厚を9mmとしてパネル耐力を低下させた。
実施例3の骨組みの柱の鋼種を50キロ鋼とし、梁はSN400を用いたH−500x250x12x22(mm)のH形鋼を用いる。接合部パネルの高さ/幅比は実施例3と同じ1.43である。
実施例3の梁サイズをH−700x200x12x22(mm)に変更する。その結果、接合部パネル高さ比は2.0となり、接合部パネル/柱耐力比は1.29となっている。
ントの和が柱のそれより大きくなっている。したがって、中柱では梁は降伏しない。接合部パネルの高さ/幅比は、角形鋼管の場合、2.17で、円形鋼管の場合、1.43である。
2 柱
2a 柱(上)
2b 柱(下)
3、5 梁
3a、5a 梁フランジ(上)
3b,5b 梁ウェブ
3c、5c 梁フランジ(下)
4 接合部パネル
41 鋼管
42 ダイヤフラム
6 載置梁
7 水平力
8 試験台
Claims (5)
- 柱および梁から構成され、柱と梁の節点を複数有する鉄骨ラーメン骨組を含む鉄骨骨組であって、
請求項1または2に記載の柱梁接合部を少なくとも一つ有することを特徴とする鉄骨骨組。 - 柱および梁から構成され、柱と梁の節点を複数有し、降伏層間変位角が1/100以上である鉄骨ラーメン骨組と、エネルギー吸収部材を設置した鉄骨骨組であって、
請求項1または2に記載の柱梁接合部を少なくとも一つ有することを特徴とする鉄骨骨組。 - 請求項3または4に記載の鉄骨骨組を有し、最下層の柱の柱脚に柱よりも耐力の低い柱脚を設けたことを特徴とする鉄骨構造物。
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