JP4161679B2 - 高強度高靭性低降伏比鋼管素材およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パイプラインあるいは建築構造物に使用される大径溶接鋼管素材、特に強度がAPI-5LX80級を超え、降伏比が85% 未満になる、高強度高靭性低降伏比鋼管素材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
石油のパイプライン敷設コストの低減のため、鋼管を高強度化して管厚を薄くすることで、素材コストを削減する試みがなされている。厚鋼板を素材としてUOE プロセスあるいはロールベンダープロセスで成形される大径溶接鋼管においては、従来、特許文献1に示されるように、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、Vといった元素を多量に添加した鋼を熱間圧延し、圧延後加速冷却を施すことで素材厚鋼板の高強度化が図られている。また、特許文献2においては、Ar1〜Ar3温度間のいわゆる2相域で圧延をし、フェライトの加工強化を付与した後に同様に加速冷却を行ってさらなる高強度化を図っている。
【0003】
【特許文献1】
特開平08−35011号公報
【特許文献2】
特開平08−269544号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年このような高強度鋼管の安全性評価の研究がさかんに行われており、使用環境温度で脆性破壊を起こさないようにすると同時に、突発的な外力の作用によって鋼管に延性亀裂が発生しても、パイプライン全体にその亀裂が伝播しないよう、その亀裂がある長さで止まることが要求されるようになった。この亀裂伝播停止特性は、鋼管母材のシャルピー吸収エネルギーが高いほど向上することが調査の結果知られており、API-5LX80 級を超えるような高強度鋼管において、300Jを超えるような高吸収エネルギーが必要であると見積もられている。
【0005】
また、地震発生時に土中に埋設された鋼管が大きく変形してしまった場合に座屈したところから亀裂が発生することを防止する観点から鋼管の降伏応力(以下YSとも記す)を引張強さ(以下TSとも記す)で割って得られる降伏比(以下YRとも記す)が低いことが望ましいことがわかってきた。また、最近、鋼管を高層建築物の柱材として使用するケースが増えており、こちらも地震時の塑性変形能を確保するために低降伏比が要求される。
【0006】
しかしながら、特許文献1に示されるような合金元素と加速冷却の組み合わせによる高強度化手法は、必ずしも母材のシャルピー高吸収エネルギー化を安定して達成することはできず、さらには高冷却速度ではマルテンサイト組織化するために降伏比が高くなる。また、特許文献2によるようなフェライトの加工強化を付与した場合には、フェライトに形成された集合組織に起因してシャルピー試験時に試験片にセパレーション(破面が圧延面にほぼ平行になる脆性破壊)が発生することによりむしろ吸収エネルギーは下がってしまう。そして、2相域圧延によるフェライト強化は特にYSが高くなるため、むしろYRが高くなってしまう。このように、低降伏比や高吸収エネルギーを満足しつつ高強度化を達成する手段は明確にされていなかった。
【0007】
本発明は、上記従来技術の現状に鑑み、高吸収エネルギーを満足しつつ高強度に達し、しかもYR85% 未満の低降伏比をも達成することができる、高強度高靭性低降伏比鋼管素材およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ミクロ組織制御による高強度化について鋭意研究を重ね、素材鋼板のミクロ組織をベイナイトとすることで、フェライト‐ベイナイトやフェライト‐マルテンサイトといった組織制御を行った場合に較べ、強度とシャルピー吸収エネルギーのバランスが良好になることを見いだした。さらに、ベイナイト組織中に含まれる島状マルテンサイトやセメンタイトに注目し、これらベイナイト中に存在する第2相を低減してやることで、ベイナイトの引張強度は低下するものの、-46 ℃で300Jを超える高いシャルピー吸収エネルギーが達成されることを見いだした。このベイナイト中の島状マルテンサイトやセメンタイトの低減は、鋼の炭素量をbcc鉄の固溶限である0.02mass% 以下として、オーステナイトからベイナイトへの変態時にCの拡散移動と濃化が起こらないようにすることにより達成できる。
【0009】
次に、これら島状マルテンサイトやセメンタイトを極力減らしたベイナイト組織の高強度化手法の確立について、研究を続けた結果、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、Nbといった焼入性向上元素の組み合わせと、圧延後の冷却との組み合わせによってグラニュラーベイニティックフェライト(granular bainitic ferrite :記号αB ) と呼ばれる形態のベイナイト組織よりベイニティックフェライト(bainitic ferrite:記号α°B ) と呼ばれる形態のベイナイト組織の体積率を多くすることで、強度が増加することを見いだした。さらにこのα°B 形態を呈するベイナイト組織が70vol.% 以上を超える場合、変態前のオーステナイトを低温域で強加工することでオーステナイトに導入された歪を受け継ぐため、熱間圧延時の制御圧延条件によっても強度を上昇させうることもわかった。これら、オーステナイトの強加工によるα°B 形態のベイナイトの高強度化は、オーステナイト加工温度域が低くなりすぎて変態後のベイナイトにセパレーションが発生するような場合を除き、島状マルテンサイトやセメンタイトを排除したベイナイトの持つシャルピー高吸収エネルギー特性を維持する。
【0010】
以上の合金元素調整と熱間圧延および熱間圧延後の加速冷却制御により、高強度かつシャルピー高吸収エネルギーという課題が解決された。
しかしα°B 形態のベイナイト組織の体積率が高くなるほど降伏比が増加するという結果が得られたため、降伏比を低減するための手段の確立が必要となった。従来から硬度差のある2相組織化することで降伏比が下がることは知られているが、前述の通り、α°B 形態のベイナイト中に硬質な島状マルテンサイトやセメンタイトを分散させることは、シャルピーの吸収エネルギーが低下するために用いることはできない。そこで、むしろ軟質な相を生成させてやることに着目し、再度熱間圧延後の冷却条件の見直しを行った。その結果、高温域での冷却において冷却速度を少し遅くしてやることで擬ポリゴナルフェライト(quasi-polygonal ferrite :記号αq )と呼ばれるフェライト相が生成し、その後急冷するような2段階の冷却を行うことで、残りのオーステナイトがα°B 形態のベイナイト組織に変態することがわかった。このαq とα°B の硬さの差は2倍以上あるため、αq を生成させているときの冷却の終了温度でαq の体積率を10% 以上に制御してやることで、85% 以下の降伏比が達成されることを見いだした。また、α°B 形態のベイナイトの体積率を70% 以上確保できていれば、引張強度の低下はほとんど起こらず、シャルピーの吸収エネルギーもほとんど変わらないことを確認した。
【0011】
本発明は、上記の知見に基づいてさらに検討を重ねてなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
(1)C:0.005 〜0.020mass%、Si:0.05〜1.0mass%、Mn:0.5 〜2.0mass%、Al:0.01〜0.10mass% 、Nb:0.01〜0.50mass% 、Ti:0.005 〜0.10mass% 、B:0.0005〜0.0020mass% 、S:0.003mass%以下を含有し、
さらに、Cu:0.2 〜3.0mass%、Ni:0.2 〜3.0mass%、Cr:0.2 〜1.0mass%、Mo:0.1 〜1.0mass%のうちの1種または2種以上を下記のX1が650 以下になる範囲で含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる鋼板からなり、該鋼板のミクロ組織がα°B 形態のベイナイト相を70vol.% 以上かつαq 形態のフェライト相を10vol.% 以上含むことを特徴とする高強度高靭性低降伏比鋼管素材。
【0012】
記
X1=970-130*Mn-55*Cu-30*Ni-70*Cr-90*Mo-1450*Nb
(2)前記鋼板がさらに、Ca:0.001 〜0.003mass%、REM :0.005 〜0.020mass%のうちの1種または2種を含有することを特徴とする請求項1記載の高強度高靭性低降伏比鋼管素材。
【0013】
(3)C:0.005〜0.020mass%、Si:0.05〜1.0mass%、Mn:0.5〜2.0mass%、Al:0.01〜0.1mass%、Nb:0.0.1〜0.50mass%、Ti:0.005〜0.10mass%、B:0.0005〜0.0020mass%、S:0.003mass%以下を含有し、
さらに、Cu:0.2〜3.0mass%、Ni:0.2〜3.0mass%、Cr:0.2〜1.0mass%、Mo:0.1〜1.0mass%のうちの1種または2種以上を下記の X1 が 650 以下になる範囲で含有し、
あるいはさらに、Ca:0.001〜0.003mass%、REM:0.005〜0.020mass%のうちの1種または2種を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる鋼片を、
1000〜1250℃に加熱後熱間圧延して鋼板となし、該圧延では、900℃以下の低温オーステナイト温度域での累積圧下率を50%以上、圧延終了温度を700〜850℃とし、次いで前記鋼板を前記圧延終了温度-50℃以上の温度から冷却速度1〜5℃/sで550〜650℃の温度まで加速冷却(:1段目の加速冷却)し、次いで該温度から冷却速度10℃/s以上で400℃以下の温度まで加速冷却(:2段目の加速冷却)することを特徴とする高強度高靭性低降伏比鋼管素材の製造方法。
【0014】
記
X1=970-130*Mn-55*Cu-30*Ni-70*Cr-90*Mo-1450*Nb
なお、上記X1の記述式において、右辺の各元素記号は当該元素の鋼中含有量(mass% )、「* 」は積の演算子、「- 」は差の演算子を意味する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明において化学組成(化学成分含有量)、ミクロ組織、および製造プロセス(加熱、熱間圧延、加速冷却)を上記のように限定した理由について説明する。
まず、化学組成の限定理由について述べる。
【0016】
C:0.005 〜0.020mass%
C量はベイナイト組織化した鋼板のシャルピー吸収エネルギーを低下させるベイナイト中の島状マルテンサイトあるいはセメンタイトの生成に影響する。C量を0.020mass%以下とすることにより、これらの生成をほぼ抑制でき、300Jを超えるような高吸収エネルギーを達成できることから、上限を0.020mass%とした。一方、0.005mass%を下回るような極低C化を行ってもこれ以上のシャルピー吸収エネルギーの向上は見込まれず、かつ製鋼時のコストが増大するだけなので、下限を0.005mass%とした。
【0017】
Si:0.05〜1.0mass%
Siは製鋼上0.05mass% 以上が必要であり、かつ添加量の増加に伴い固溶強化で鋼の強度を上昇させる。しかし、1.0mass%を超えて添加すると、母材が低温で脆性破壊を起こしやすくなるため、上限は0.05mass% とした。なお、好適な範囲は0.10〜0.40mass% である。
【0018】
Mn:0.5 〜2.0mass%
Mnは焼入れ性を高める元素であり、後述する式に従って添加することで、ベイナイトの形態をα°B とすることができる。また他と較べて安価であるため、下限を0.5mass%とすることで、コスト増加を抑えて高強度化が可能となる。しかし、2.0mass%を超えて添加すると低降伏比を達成するために必要なαq の生成が抑制されるため、上限は2.0mass%とした。なお、好適な範囲は1.0 〜1.5mass%である。
【0019】
Al:0.01〜0.10mass%
Alは製鋼時に脱酸剤として添加されるが、鋼板での含有量が0.01mass% 未満になるような少量の添加では脱酸不足になりやすいので、下限を0.01mass% とした。一方、0.10mass% を超えて添加すると母材の清浄度が劣化し、シャルピーの吸収エネルギーが低下するため、上限を0.10mass% とした。
【0020】
Nb:0.01〜0.50mass%
Nbはオーステナイトの未再結晶温度範囲を高温側に拡大するために0.01mass% 以上は必要である。また、後述する式に従って添加することで、ベイナイトの形態をα°B とすることができる。このNb添加の効果(:900 ℃以下の圧延で導入された加工歪の受け継ぎ)により変態後のα°B 形態を呈するベイナイトがさらに高強度化される。一方、0.50mass% を超えて添加すると、母材が低温で脆性破壊を起こしやすくなるので、上限は0.50mass% とした。なお、好適な範囲は0.02〜0.04mass% である。
【0021】
Ti:0.005 〜0.10mass%
Tiは、不可避的に存在する鋼中のフリーNをTiN として固定するために0.005mass%以上必要である。また、このTiN は溶接熱影響部のオーステナイト粒成長抑制にも寄与する。一方、0.10mass% を超えて添加すると、余剰Tiが炭化物を形成し、鋼の強度が著しく上昇して降伏比が増加するとともに脆性破壊を起こしやすくなるので、上限を0.10mass% とした。なお、好適な範囲は0.008 〜0.020mass%である。
【0022】
B:0.0005〜0.0020mass%
Bは熱間圧延後の冷却過程で起こる変態に際し、オーステナイト粒界からのフェライト変態を抑制してベイナイト変態を起こりやすくさせる作用がある。特に、本発明ではC量を低減しているので、フェライト変態を抑制するためには0.0005mass% 以上必要である。一方、0.0020mass% を超えて添加すると逆にαq の生成までもが抑制されてしまい、低降伏比の達成が難しくなるため、上限は0.0020mass% とした。
【0023】
S:0.003mass%以下
Sは不純物元素として、鋼中に不可避的に混入するが、特に形態制御等を行っていない場合、MnS として鋼中に存在する。MnS はフェライトの変態核となりやすく、ベイナイト変態に先立ってフェライトを生成する原因となるため、S量を低減してMnS の量を減らす必要があるため、S量の上限は0.003mass%とした。CaやREM 添加による形態制御を行わない場合、0.0010mass% 未満まで低減することが好ましい。
【0024】
本発明では、上記のように限定される成分元素のほか、Cu、Ni、Cr、Moのうちから選ばれた1種または2種以上を、式:
X1=970-130*Mn-55*Cu-30*Ni-70*Cr-90*Mo-1450*Nb
で表されるX1が650 以下になる範囲で添加することで、熱間圧延後の水冷の冷却速度を10℃/s以上としたときにα°B 形態となっているベイナイト組織の体積率を70% 以上とすることができ、鋼板の高強度化が達成される。
【0025】
ただし、Cu、Ni、Cr、Moの各成分含有量は次の範囲とする。
Cu:0.2 〜3.0mass%
Cuは0.2mass%以上の添加でα°B 形態化に寄与するが、3.0mass%を超えて添加すると、析出物分散強化により、特に降伏強度が著しく上昇し低降伏比を達成できなくなるため、上限を3.0mass%とした。なお、好適範囲は0.2 〜0.7mass%である。
【0026】
Ni:0.2 〜3.0mass%
Niは0.2mass%以上の添加でα°B 化促進に寄与する。一方、3.0mass%を超えて添加してもその効果が飽和するため、上限を3.0mass%とした。
Cr:0.2 〜1.0mass%
Crは0.2mass%以上の添加でα°B 化促進に寄与する。一方、1.0mass%を超えて添加すると、母材の脆性破壊が起こりやすくなるので、上限を1.0mass%とした。
【0027】
Mo:0.1 〜1.0mass%
Moは0.1mass%以上の添加でα°B 化促進に寄与する。一方、1.0mass%を超えて添加すると、Mo炭化物の析出物分散強化が過剰となって、特に降伏強度が著しく上昇し低降伏比を達成できなくなるため、上限は1.0mass%とした。
また、本発明では、介在物形態制御の目的で、Ca、REM のうちから選ばれた1種または2種を、以下の成分含有量範囲で添加することができる。
【0028】
Ca:0.001 〜0.003mass%
Caは、鋼中に不可避的に存在する非金属介在物MnS がHAZ 靭性等で問題となる場合、0.001mass%以上添加することで、より高温で生成するCaS に介在物形態を制御して、その影響をなくすことができる。しかし、0.003mass%を超えて添加すると、CaS がクラスター状に生成するためむしろ悪影響を及ぼすので、上限を0.003mass%とした。
【0029】
REM :0.005 〜0.020mass%
REM は、鋼中に不可避的に存在する非金属介在物MnS がHAZ 靭性等で問題となる場合、0.005mass%以上添加することで、より高温で生成するREM 硫化物に介在物形態を制御して、その影響をなくすことができる。しかし、0.020mass%を超えて添加すると、鋼の清浄度を劣化させるため、上限を0.020mass%とした。
【0030】
次に、鋼板のミクロ組織の限定理由を述べる。
α°B (bainitic ferrite)形態のベイナイト相≧70vol.%
炭素量が少ない鋼のベイナイト組織は、その形態がαB (guranular bainitic ferrite)およびα°B に区分される(αB 、α°B 及び後述のαq の形態については、「日本鉄鋼協会・基礎研究会ベイナイト調査研究部会編:鋼のベイナイト写真集−1、--- 低炭素鋼の連続冷却(中間段階)変態組織--- 、1992年6月、第24頁」参照)。このうち、α°B 形態を呈するベイナイト組織は、その分率が70vol.% 以上であると、変態前のオーステナイトを低温域で強加工することでオーステナイトに導入された歪を受け継ぐため、熱間圧延時の制御圧延条件によっても強度を上昇させうるほか、このようなオーステナイトの強加工による高強度化を行っても、-46 ℃で300Jを超える高いシャルピー吸収エネルギーを達成することができるため、ミクロ組織の限定として、α°B 形態のベイナイト相が70vol.% 以上の分率で存在するものとした。
【0031】
αq (quasi-polygonal ferrite )形態のフェライト相≧10vol.%
降伏比を下げる考え方としては、 軟質な相を混入させる方法がある。αq はα°B の硬さの1/2 以下であり、αq の体積率を10% 以上に制御してやることで、85% 以下の降伏比を達成できたことから、αq の体積率の下限を10% とした。なお、上述のα°B 形態のベイナイトの体積率を70% 以上とするためには、αq の体積率は30% を超えてはならない。
【0032】
次に、製造プロセスについて説明する。
本発明に係る製造プロセスでは、上記限定範囲の組成になる鋼片(スラブ)を、加熱‐熱間圧延‐加速冷却の順次工程からなる製造プロセスにより製品鋼板となし、その際、以下の諸条件を満たすものとする。
加熱温度:1000〜1250℃
スラブの加熱温度を1000℃以上とすることで、均一なオーステナイトとなることから、加熱温度の下限を1000℃とする。一方、1250℃超に加熱すると、オーステナイト粒が著しく粗大化し、そのまま熱間圧延すると鋼板の靭性劣化が著しいので、上限を1250℃とした。なお、より好ましくは、1050〜1150℃である。
【0033】
900 ℃以下の低温オーステナイト域での累積圧下率≧50%
加熱されたスラブはただちに熱間圧延に供するが、特に900 ℃以下のいわゆるオーステナイト未再結晶域での累積圧下率が50%以上になるような圧下スケジュールで圧延することにより、累積圧下率の増加とともにα°B 形態を呈するベイナイトの強度が上昇し、所望の高強度化を達成しうる。よって、熱間圧延における900 ℃以下での累積圧下率を50%以上とした。
【0034】
熱間圧延終了温度:700 〜850 ℃
オーステナイトが再結晶しない低温域での圧延は、その圧延温度が低いほど歪蓄積効果が大きくなるが、700 ℃を下回る温度まで圧延を継続すると、オーステナイトに圧延集合組織が形成され、それに起因して変態後のベイナイト組織がセパレーション発生性向の強いものとなり、シャルピー吸収エネルギーが著しく低下する。そのため、圧延終了温度の下限を700 ℃とした。一方、圧延終了温度が850 ℃より高い場合、実操業において上述の900 ℃以下での累積圧下率50%以上を確保するのが困難となるため、圧延終了温度の上限は850 ℃とした。
【0035】
冷却開始温度≧圧延終了温度-50 ℃
熱間圧延成品(鋼板)は、これをベイナイト変態させるために、圧延終了後可及的速やかに(加速冷却までの空冷の時間をできるだけ短くして)水冷等により加速冷却する必要がある。特に、鋼板温度が圧延終了温度-50 ℃を下回ってからの加速冷却開始では、圧延終了から加速冷却開始までの間でフェライト変態が起きてフェライト生成によるYSおよびTSの低下を招くので、加速冷却開始温度は圧延終了温度-50 ℃以上とした。
【0036】
1段目の冷却速度≧1〜5℃/s
軟質のαq 組織を少量分散させるためには温度の高いうちは緩い加速冷却をする必要がある。5℃/sを超える冷却速度で冷やした場合、αB 形態のベイナイト組織が生成し、その後変態させるα°B 形態のベイナイト組織との硬度差が小さくなるので、画期的な低降伏比化ができないことから、1段目の冷却速度の上限は5℃/sとした。一方、1℃/sより遅い冷却速度とすると、ポリゴナル・フェライトが多量に生成し、強度が著しく低下するため、下限は1℃/sとした。
【0037】
中間冷却停止温度(:1段目の冷却停止温度): 550〜 650℃
αq の体積率はこの中間冷却停止温度に依存する。αq の変態開始温度がおよそ 650℃であることから、 650℃より高い温度で1段目の冷却を停止すると、αq はほとんど生成しないため、 上限は 650℃とした。一方、 550℃より低い温度まで1段目の冷却を続けると、αq の体積率が30% を超えて、その後の冷却で生成させるα°B 形態のベイナイト組織の体積率を70% 以上確保できなくなるため、1段目の冷却停止温度の下限は 550℃とした。
【0038】
2段目の冷却速度≧10℃/s
特に母材引張強度は硬い方の相の硬さに影響されるため、 引張強度を確保するために、残りのオーステナイトをα°B 形態にする必要がある。しかし、2段目の冷却時の冷却速度が10℃/s未満の場合変態生成するのは硬さが低いαB 形態のベイナイトになってしまうため、α°B 形態のベイナイト組織化のために、冷却速度の下限は10℃/sとした。なお、冷却速度の上限は特に設けないが、実操業上可能な冷却速度は50℃/s以下であるため、好ましくは10〜50℃/sとする。
【0039】
冷却停止温度≦ 400℃
本発明における合金元素設計では連続冷却変態での変態終了温度は400 ℃以上と考えられる。よって、オーステナイトが完全にベイナイト組織化するのは低くとも400 ℃であり、この400 ℃以下の温度まで加速水冷を続ければ十分であることから、冷却停止温度の上限は400 ℃とする。
【0040】
なお、本発明に係る製造プロセスに供するスラブについては、その製造方法は特に限定されず、常法に従い、平炉法、転炉法あるいは電炉法で鋼を溶製して成分調整を行った後、連続鋳造法、造塊法の何れで鋳造してもよい。また、製造した鋼板を鋼管に成形するにあたり、UOE プロセス、ロールベンダープロセスの何れを用いたとしても、本発明の目的とする高強度かつ高吸収エネルギー、および低降伏比が達成される。
【0041】
【実施例】
表1に示す化学組成になる鋼片を用い、表2に示す加熱‐熱間圧延‐冷却条件で板厚15.2〜25.4mmの厚鋼板を製造した。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
得られた鋼板からミクロ組織観察用の全厚×20mm幅×10mm高さのブロック試料をL断面(圧延方向に平行な板厚方向断面)が被検面となるように採取し、その被検面を3%ナイタール腐食液で処理してミクロ組織を現出させ、そのミクロ組織を走査型電子顕微鏡にて800 〜2000倍の適当な倍率で無作為に4視野以上写真撮影し、それぞれの写真中に観察されたα°B 形態のベイナイト相およびαq 相の領域を別個にトレース後、画像解析処理により前記トレース領域の全視野面積に対する面積率を計算し、αq 、α°B とも等方的形状であると仮定して(この仮定と実際との誤差は無視できる程度に小さいと考えられる。)、この計算した面積率を各相の体積率とした。この体積率を表3に示す。
【0045】
次に、上記の各鋼板から、JIS Z 2201に規定されている4号引張試験片をL方向(圧延方向に平行な方向)が引張方向となるように採取し、JIS Z 2241に規定されている引張試験を行い、0.2%耐力および引張強度を評価した。また、同鋼板からJIS Z 2202に規定されている4号シャルピー試験片をC方向(圧延幅方向に平行な方向)が試験片長手方向となるように採取し、JIS Z 2242に規定されているシャルピー衝撃試験を行い、-46 ℃における吸収エネルギー(略号:vE-46 )、および、脆性破面率の遷移曲線から50%破面遷移温度(略号:vTrs)を評価した。
【0046】
これら機械的性質の評価結果を表3に示す。
【0047】
【表3】
【0048】
化学組成およびミクロ組織が本発明要件を満たし、該ミクロ組織が満たすべき本発明要件(:α°B 相≧70vol.% 、αq 相≧10vol.% )が本発明に係る製造プロセスにより具現した発明例A1〜G1は、いずれもYS≧555MPa、TS≧700MPaとAPI-5LX80 の規格を満足する強度を示し、かつ降伏比はいずれも85% 未満と優れた低降伏比を示した。また、- 46℃におけるシャルピー吸収エネルギーも300Jを超えるような高い値を満足した。
【0049】
一方、発明例G1と同じ組成のスラブを用いた熱間圧延において、圧延終了温度が 700℃を下回った比較例G2は、ポリゴナル・フェライトの生成やαB 相の増加により強度が低下したほか、シャルピーの吸収エネルギーも300Jを達成しなかった。また、同じスラブを用い、 熱間圧延条件は同じで1段目の加速冷却の開始温度が圧延終了から 100℃下がってしまった比較例G3は、αq 生成に先立ってポリゴナル・フェライトが多量に生成した結果、同様に強度および吸収エネルギーが低い結果となった。1段目の加速冷却の冷却速度が10℃/sと速すぎた比較例G4および、1段目の加速冷却の冷却停止温度が 670℃と高い比較例G6はいずれもαq の生成が少なく、高強度、 高靭性は達成したものの、 降伏比が90% と高かった。逆に、1段目の加速冷却の冷却速度が0.5 ℃/sと遅い比較例G5および、1段目の加速冷却の冷却停止温度が530 ℃と低い比較例G7は、それぞれポリゴナル・フェライト、あるいはαq の体積率が大きくなり、 相対的にα°B の体積率が減少したため、強度およびシャルピー吸収エネルギーが低い値となった。また、2段目の加速冷却の冷却速度が8℃/sと遅い比較例G8は、低温域での冷却速度が足りず、α°B の変態が少なくαB の体積率の方が大きくなり、強度、シャルピー吸収エネルギーが低下した。
【0050】
一方、Cが本発明上限0.020mass%を超えた比較例J1は、ベイナイト中に島状マルテンサイトが多数生成し、 シャルピー吸収エネルギーが低下した。また、Mnが本発明上限2.0mass%を超えた比較例K1は、1段目に緩冷却を行ってもαq が生成せず、降伏比が上昇した。NbおよびTiが本発明上限を超えた比較例L1およびM1は狙い組織となっても析出物分散強化による降伏強度の増加により、降伏比が高くなった。また、Bが本発明下限を下回った比較例N1は、ポリゴナル・フェライトの生成を抑制できず、強度およびシャルピー吸収エネルギーが低下した。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、炭素量の低減と、適切な合金元素添加と、適切な加熱‐熱間圧延‐加速冷却条件の組み合わせにより、α°B 形態のベイナイト体積率を70%以上、αq 形態のフェライト体積率を10% 以上にすることにより、高強度かつ高シャルピー吸収エネルギーの鋼板特性と、YR85% 以下の低降伏比とを具備する高強度高靭性低降伏比鋼管素材が実現するという効果を奏する。
Claims (3)
- C:0.005〜0.020mass%、Si:0.05〜1.0mass%、Mn:0.5〜2.0mass%、Al:0.01〜0.10mass%、Nb:0.01〜0.50mass%、Ti:0.005〜0.10mass%、B:0.0005〜0.0020mass%、S:0.003mass%以下を含有し、
さらに、Cu:0.2〜3.0mass%、Ni:0.2〜3.0mass%、Cr:0.2〜1.0mass%、Mo:0.1〜1.0mass%のうちの1種または2種以上を下記のX1が650以下になる範囲で含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる鋼板からなり、該鋼板のミクロ組織がα°B 形態のベイナイト相を70vol.%以上かつαq形態のフェライト相を10vol.%以上含むことを特徴とする高強度高靭性低降伏比鋼管素材。
記
X1=970−130*Mn−55*Cu−30*Ni−70*Cr−90*Mo−1450*Nb - 前記鋼板がさらに、Ca:0.001〜0.003mass%、REM:0.005〜0.020mass%のうちの1種または2種を含有することを特徴とする請求項1記載の高強度高靭性低降伏比鋼管素材。
- C:0.005〜0.020mass%、Si:0.05〜1.0mass%、Mn:0.5〜2.0mass%、Al:0.01〜0.1mass%、Nb:0.0.1〜0.50mass%、Ti:0.005〜0.10mass%、B:0.0005〜0.0020mass%、S:0.003mass%以下を含有し、
さらに、Cu:0.2〜3.0mass%、Ni:0.2〜3.0mass%、Cr:0.2〜1.0mass%、Mo:0.1〜1.0mass%のうちの1種または2種以上を下記の X1 が 650 以下になる範囲で含有し、
あるいはさらに、Ca:0.001〜0.003mass%、REM:0.005〜0.020mass%のうちの1種または2種を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる鋼片を、
1000〜1250℃に加熱後熱間圧延して鋼板となし、該圧延では、900℃以下の低温オーステナイト温度域での累積圧下率を50%以上、圧延終了温度を700〜850℃とし、次いで前記鋼板を前記圧延終了温度-50℃以上の温度から冷却速度1〜5℃/sで550〜650℃の温度まで加速冷却し、次いで該温度から冷却速度10℃/s以上で400℃以下の温度まで加速冷却することを特徴とする高強度高靭性低降伏比鋼管素材の製造方法。
記
X1=970−130*Mn−55*Cu−30*Ni−70*Cr−90*Mo−1450*Nb
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