JP2662617B2 - 耐震建築構造物の構造用部材 - Google Patents

耐震建築構造物の構造用部材

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JP2662617B2 JP62258053A JP25805387A JP2662617B2 JP 2662617 B2 JP2662617 B2 JP 2662617B2 JP 62258053 A JP62258053 A JP 62258053A JP 25805387 A JP25805387 A JP 25805387A JP 2662617 B2 JP2662617 B2 JP 2662617B2
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【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この発明は、地震等の外力に対して良好な耐震効果を
示す耐震建築構造物に用いられて好適な耐震建築構造物
の構造用部材に関する。 「従来の技術」 従来、建築構造物に適用されている耐震設計法は、比
較的生起頻度の高い地震のような規模の外力に対して、
前記建築構造物の構成する部材に発生する応力が許容応
力度以内であるように、各部材の強度及びその構造を決
定するような設計法であった。又、前記建築構造物の耐
用年限内に発生が予想される最大級の地震のような規模
の外力に対しては、前記建築構造物全体の部材に若干の
塑性変形を許容するが、この建築構造物が倒壊しなけれ
ばよい、という考えが認められており、この、いわゆる
塑性化を指向した終局設計法と呼ばれる設計法が実際に
適用されつつある。しかし、前記終局設計法において
は、塑性化させる部材の位置、塑性化の程度等が必ずし
も明確ではない。 本発明者等は、前記問題点に鑑みて鋭意研究した結
果、以下の知見を得るに至った。すなわち、エネルギー
理論に基づく耐震極限設計法によれば、建築物各層の強
度(降伏剪断力)の最適分布、言い替えれば第i層にお
ける降伏剪断力係数分布iは一義的に求めることがで
き、これは次式で与えられる(秋山宏著、「建築物の耐
震極限設計」(東京大学出版会))。 f(x)=1+1.5927x−11.8519x2+42.5833x3 −59.4827x4+30.1586x5 そして、ある層の強度αiが、この最適分布iより
も小さい場合、この層に地震等による外力のエネルギー
が集中することになる。逆に、この原理を利用すれば、
各層の強度αiを適宜調整することで、外力のエネルギ
ーを所望の割合で各層に配分することができ、例えば、
建築物の第1層の強度のみを低減させることで、この第
1層に外力エネルギーを集中させることができる。さら
に、前述の終局設計法に従って、第1層に集中した外力
エネルギーを、この第1層の部材の塑性変形によって吸
収すれば、第2層以上に伝達する外力エネルギーを小さ
くすることができ、よって、建築物全体への免震効果を
もたらすことができる。 前記第1層の強度のみを低減させるには、次のような
手法に従えば良い。すなわち、第1層が吸収する累積塑
性歪エネルギーが、全累積塑性歪エネルギーの95%以上
となることを条件として、第2層以上の強度を、前記最
適分布に対して次式により与えられるa倍以上とすれ
ば、この第1層に外力からのエネルギーを集中させるこ
とができる(秋山宏、日本建築学会論文報告集、341
昭和59年7月)。 a=1.2 ここに、 a:強度倍率 α1:第1層の降伏剪断力係数 αe1:構造物が弾性に留まる限界の第1層の降伏剪断力
係数 よって、本発明者等は以上示した知見に基づいて、多
層からなる建築構造物の少なくとも一つの層に外力から
のエネルギーを集中し、前記小さな外力に対しては前記
建築構造物を構成する部材に発生する応力を許容応力度
以内に抑制し、かつ、前記大きな外力に対しては前記エ
ネルギーが集中する層の部材の降伏を許容すると共に、
前記部材の降伏によりこれら部材に前記外力のエネルギ
ーを吸収させることで、外力に対するエネルギー吸収量
を的確に把握でき、また、設計上の自由度が増加すると
共に、使用される鉄骨等の部材重量の削減が可能な建築
構造物を提案している(特願昭61−227781号)。 この際、前記外力のエネルギーが集中される層の部材
は、前記大きな外力に対して降伏する普通鋼等からなる
塑性化部材と、前記大きな外力に対しても弾性領域内で
挙動する高張力鋼等からなる弾性部材とから構成される
ことが望ましい。すなわち、大きな外力が作用した場合
においても、前記弾性部材が弾性状態を保つことによ
り、前記エネルギーが集中される層全体の最大変形、残
留変形の増大が抑止されると共に、生じた水平変形によ
るP−δ効果で建築構造物が劣化するのが防止され、復
元力が確保されるからである。 「発明が解決しようとする問題点」 しかしながら、従来の建築構造物に供用されている鉄
骨は、鉄筋コンクリート等の各種構造用部材は、前述の
如く自身の塑性変形により外力のエネルギーを吸収した
り、あるいは大変形下においても弾性状態に留まること
を意図して製作されたものではない。すなわち、前記構
造用部材の殆どは、その全長に亙って一様な断面形状を
した部材であるため、このような部材に地震等水平方向
からの外力が付与されると、その端部に最も大きな応力
が発生する。従って、従来の構造用部材の塑性変形能力
及び弾性変形能力は、その端部における前記各能力によ
り決定付けられてしまうため、部材全体の有効的利用が
図りにくく、結果的に低い性能しか得られないでいた。 この発明は前記事情に鑑みてなされたもので、部材全
体の塑性変形能力及び弾性変形能力を有効に利用するこ
とで、これら能力の向上を図りうる耐震建築構造物の構
造用部材を如何にして実現するかを問題にしている。 「問題点を解決するための手段」 本発明者等は、前記事情に鑑みて鋭意研究を行った結
果、以下に示すような知見を得るに至った。すなわち、
材料力学の教えるところによれば、棒状部材に1軸方向
の曲げモーメントMが作用する場合、この部材に生じる
曲げ応力の最大値σmaxは部材の中立軸より最も遠い位
置に生じ、これはσmax=M/Zで与えられる。この際、Z
は曲げモーメントMの作用する軸に関する断面係数であ
る。すなわち、この部材に作用する曲げモーメントMに
対応して前記断面係数Zを材軸方向(部材の長手方向)
で変化させれば、前記曲げ応力(の最大値)σmaxを材
軸方向に対して任意値に設定でき、例えば断面係数Zを
曲げモーメントMに比例させて変化させれば、曲げ応力
σmaxを材軸方向に対して一定と為すことが可能とな
る。よって、このような部材に外力が作用すれば、その
材軸方向の広範囲に亙って一様な応力が発生するため、
例えば比較的小さな変形によって降伏するように部材断
面を選択すれば、この部材が広範囲に亙って降伏するこ
とで部材そのものの持つエネルギー吸収能力を向上する
ことができる。逆に、前記曲げた応力σmaxが降伏応力
に達する時の変形を大きくするように部材断面及び部材
長を選択すれば、この部材が大変形に対しても弾性状態
を保つことで部材そのものの持つ弾性変形能力を向上す
ることができる。 以上示した知見に基づいて、この発明は、地震等の外
力が入力された際に該入力エネルギーを任意の階に集中
せしめて当該階において入力エネルギーを集中的に吸収
するように構成された耐震建築構造物に適用されて当該
階の躯体を構成する構造用部材であって、想定規模の外
力に対して弾性変形を維持する弾性部材と、当該想定規
模の外力に対して降伏して塑性変形する塑性化部材とか
らなり、前記弾性部材と前記塑性化部材の少なくともい
ずれか一方は、前記想定規模の外力が加えられた際に当
該部材に作用する曲げモーメント分布に基づいて、その
長手方向に沿う軸に対する断面係数が設定されているも
のである。 「実施例」 以下、この発明の実施例について図面を参照して説明
する。 第3図ないし第6図は、この発明の第1実施例である
耐震建築構造物の構造用部材を示す図である。まず、こ
の構造用部材が適用される耐震建築構造物について説明
すれば、第1図ないし第2図において、符号Aで表され
るものは地盤G上に構築された耐震建築構造物(以下、
単に建築構造物と称する)である。この建築構造物Aは
いわゆる鉄骨構造の建築物であり、その第1層Fの躯体
には弾性部材としての柱1の小径部1aと塑性化部材4と
が用いられている。それら柱1の小径部1a(弾性部材)
と塑性化部材4とは本発明の実施例たる構造用部材を構
成するものであって、柱1の小径部1aは想定規模の外力
に対して弾性変形を維持するものとされ、塑性化部材4
はその想定規模の外力に対して降伏して塑性変形するも
のとされている。 すなわち、この建築構造物のAにおける柱1は高張力
鋼製の角形鋼管からなり、その第1層Fにおいてはその
径が縮小された小径部1aとされている。なお、この建築
構造物Aの梁2は同じく高張力鋼製のH形鋼管により形
成されている。また、前記建築構造物Aの第1層Fには
普通鋼製のH形鋼からなる前記塑性化部材4が設けられ
ている。この塑性化部材4は、前記柱1、1間に位置す
るように、地盤Gに立設され、これら塑性化部材4の上
端部には、H形鋼からなる連結部材5が水平方向に延在
されて取り付けられている。この連結部材5の両端部か
らは、前記柱1と梁2との交叉部C,Cに向って普通鋼又
は高張力鋼製の鋼管からなる一対のブレース3、3が取
付プレート7、7を介して延出され、これらブレース
3、3は、ガセットプレート8、8により、前記交叉部
C、Cにおいて梁2に取り付けられている。 上記塑性化部材4について第3図ないし第6図を参照
して説明すれば、この塑性化部材4は、その横断面形状
がH字形に形成され、また下端に移行するに従ってその
フランジ部が幅広に形成されている。この塑性化部材4
は、普通鋼からなる鋼板がフランジ部あるいはウェブ部
に相当する形状に切り出され、これら鋼板が所定個所で
溶接されることで構成されている。そして、このような
塑性化部材4は、その上端部に水平方向の外力が作用す
ることで曲げモーメントMが作用した場合に、部材4に
発生される曲げ応力の最大値σmaxが材軸方向に対して
ほぼ一様となるように(第10図参照)、その断面形状が
選択されている。具体的に言えば、塑性化部材4が第1
図ないし第2図に示すように建て込まれていれば、その
上端部に水平方向への外力Qが加えられると、この塑性
化部材4の曲げモーメントM分布は第9図に示すように
M=Ql(l:部材長)となる(すなわち、片持ち梁の問題
となる)。従って、この塑性化部材4は、その断面係数
Zが曲げモーメントMに比例する一次関数となるよう
に、その断面形状が材軸方向に対して変化されている。
なお、このような形状の塑性化部材4において、前記曲
げ応力が最大値σmaxとなる位置はフランジ部の両端縁
部である。 そして、この建築構造物Aの躯体を構成している部材
すなわち柱1および梁2は、建築構造物Aの耐用年限中
に数度発生が予想される地震規模の外力に対して発生す
る応力が許容応力度以内であるように、その材質及び断
面形状が選択されており、特に柱1はその小径部1aも含
めて、この建築構造物Aの耐用年限中に発生が予想され
る最大級の地震規模の外力に対しても弾性変形を維持す
るものとされている。一方、建築構造物Aの第1層Fに
設けられている前記塑性化部材4は、この建築構造物A
の耐用年限中に発生が予想される最大級の地震規模の外
力に対して降伏するように、その材質及び断面形状が選
択されている。 以上のような構成の建築構造物Aは、その柱1が第1
層Fにおいてその径が縮小されているので、第1層Fの
強度とそれ以外の層の部分の強度に格差が生じ、これに
より地震等の外力が前記建築構造物Aに加えられた時、
その第1層Fに外力からのエネルギーが集中される。よ
って、建築構造物Aの耐用年限中に数度発生が予想され
る地震規模の外力が加えられた場合、前記第1層Fを中
心とする各部材は復元力特性における弾性域内で挙動す
ることとなる。また、建築構造物Aの耐用年限中に発生
が予想される最大級の地震規模の外力が加えられた場
合、前記ブレース3を介して外力のエネルギーが前記塑
性化部材4、4に伝達されることで、この塑性化部材
4、4がその材軸方向の広範囲に亙って降伏する。これ
により、外力のエネルギーの大部分がこの第1層Fで塑
性歪エネルギーとして吸収されることで、これ以上の層
に伝達されるエネルギーが減少され、よって、建築構造
物全体への耐震効果を得ることができる。 また、前記柱1は、小径部1aも含めて自身の大きな弾
性変形能力により、前記最大級の地震規模の外力に対し
ても弾性状態を保つことにより、エネルギー集中層(第
1層F)全体の最大変形、残留変形の増大を抑止する。
又、生じた水平変形によるP−δ効果で建築構造物Aが
劣化するのを防止し、復元力を確保する。 従って、以上のような構成の塑性化部材4は、地震等
の水平方向への外力が作用した際にその内部に生じる曲
げ応力の最大値σmaxがその材軸方向にほぼ一様となる
ように、その断面係数Zが選択されているので、前記建
築構造物Aの耐用年限中に発生が予想される最大級の地
震規模の外力が作用することでこの部材4が降伏する際
には、その材軸方向の広範囲に亙って降伏することとな
る。よって、部材全体の有する塑性変形能力が有効に利
用されることで、部材そのものの持つエネルギー吸収能
力が格段に向上する。 次に、第7図および第8図を参照して本発明の第2実
施例を説明する。なお、以下の説明において、前記第1
実施例と同一の構成要素については同一の符号を付し、
その説明を省略する。 本第2実施例においては、建築構造物Aの第1層Fに
弾性部材11が設けられているとともに、柱1′が塑性化
部材として機能するものとされており、それら弾性部材
11と柱1′(塑性化部材)とにより本第2実施例の構造
用部材が構成されている。すなわち、この建築構造物A
においては、躯体を構成する柱1′が普通鋼製で形成さ
れていると共に、この柱1′はその全長に亙って同一径
に形成されていて、この柱1′はこの建築構造物Aの耐
用年限中に発生が予想される最大級の地震規模の外力に
対しては降伏して塑性変形するものとされている。ま
た、この建築構造物Aには、各柱・梁の交叉部C間を対
角線状に結ぶL形鋼又は溝形鋼からなる筋かい10、10、
…(図中では1個のみ図示してある)が設けられてい
る。さらに、これら筋かい10、10、…は建築構造物Aの
第1層Fには設けられておらず、代わりに高張力鋼から
なる弾性部材11、11、…(図中では1個のみ図示してあ
る)が、建築構造物Aの高さ方向に延在されて取り付け
られている。 この弾性部材11は、前記第1実施例の塑性化部材4と
同様の形状に形成されており、すなわち第3図ないし第
6図に示すように、その横断面形状がH字形に形成さ
れ、また下端に移行するに従ってそのフランジ部分が幅
広く形成されている。これにより、弾性部材11の上端部
に水平方向への外力が加えられることで曲げモーメント
が作用した場合、部材11に発生される曲げ応力σmax
材軸方向に対してほぼ一様の分布を持つこととなる。弾
性部材11の下端は前記地盤G内に埋設されている。ま
た、弾性部材11の上の上端には梁2への取付用プレート
12が設けられ、この取付プレート12と前記建築構造物A
の第1層Fの天井部分に相当する梁2の下部に設けられ
た取付プレート13とが互いにピンに接合されることで、
弾性部材11がこの梁2に接合されている。また、図中符
号14は梁2に設けられた補強用リブ、符号15は柱・梁接
合用ブラケット、符号16は柱・筋かい接合用ガセットプ
レートである。 そして、この建築構造物Aを構成する部材は、建築構
造物Aの耐用年限中に数度発生が予想される地震規模の
外力に対して発生する応力が許容応力度以内であるよう
に、その材質及び断面形状が選択されている。また、前
記建築構造物Aの第1層Fを構成する柱1′は上述のよ
うに、この建築構造物Aの耐用年限中に発生が予想され
る最大級の地震規模の外力に対して降伏するように、そ
の材質及び断面形状が選択されている。すなわち、前記
筋かい10、10、…の有無により、第1層Fの強度とそれ
以外の層の部分の強度に格差を持たせ、これにより地震
等の外力が前記建築構造物Aに加えられた時、その第1
層Fに外力からのエネルギーを集中させるのである。さ
らに、前記弾性部材11は、建築構造物Aの耐用年限中に
発生が予想される最大級の地震規模の外力に対しても弾
性状態を保つように、その材質、断面形状及び部材長が
選択されている。なお、この弾性部材11は、建築構造物
AのP−δ効果に抵抗するのに必要な剛性を確保しうる
ように、その設置本数が決定されている。 以上のような構成の建築構造物Aに、建築構造物Aの
耐用年限中に数度発生が予想される地震規模の外力が加
えられた場合、前記第1実施例の建築構造物Aと同様
に、各部材が復元力特性における弾性域内で挙動するこ
ととなる。また、建築構造物Aの耐用年限中に発生が予
想される最大級の地震規模の外力が加えられた場合、こ
の建築構造物Aの第1層Fの柱1′が降伏して塑性変形
し、これにより外力のエネルギーの大部分がこの第1層
Fで塑性歪エネルギーとして吸収されることで、これ以
上の層に伝達されるエネルギーが減少され、よって、建
築構造物A全体への耐震効果を得ることができる。 また、前記弾性部材11は、地震等の水平方向への外力
が作用した際にその内部に生じる曲げ応力の最大値σ
maxがその材軸方向にほぼ一様となるように、その断面
係数Zが選択されているので、前記建築構造物Aの耐用
年限中に発生が予想される最大級の地震規模の外力が作
用しても、部分的に大きな曲げ応力が作用することで降
伏してしまうことがない。よって、部材11全体の有する
弾性変形能力が有効に利用されることで、自身の大変形
に対しても弾性状態を保つことが容易となり、これによ
り、エネルギー集中層(第1層F)全体の最大変形、残
留変形の増大をより抑止することができる。又、生じた
水平変形によるP−δ効果で建築構造物Aが劣化するの
を防止し、復元力を大きく確保しうる。 次に、第11図ないし第15図を参照して本発明の第3実
施例を説明する。本第3実施例においては、第1実施例
と同様に、建築構造物Aの第1層Fにおいて柱1が小径
部1aとされてそれが弾性部材として機能するとともに、
その第1層には2本で対をなす塑性化部材4,4が設けら
れたものである。すなわち、この建築構造物Aは、前記
第1実施例の建築構造物と比較して、その第1層Fの柱
1、1間に塑性化部材4、4が2本ずつ立設され、これ
ら塑性化部材4、4上端部間に連結部材5が架設されて
いる点が異なるのみであり、他の構成要素及びその構成
状態に異なる点はない。 しかしながら、塑性化部材4、4が2本ずつ設けら
れ、これら塑性化部材4、4間に連結部材5が架設され
ていることにより、塑性化部材4、4の上端部に水平方
向への外力が作用した際に生じる曲げモーメントM分布
は、前記第1実施例の塑性化部材のそれと異なるものと
なる。従って、この実施例の塑性化部材4の断面形状
も、前記第1実施例のそれと異なるように形成されてい
る。すなわち、塑性化部材4の上端部に水平方向への外
力Qが加えられると、この塑性化部材4の曲げモーメン
トM分布は、第16図に示すように、前記第1実施例の塑
性化部材の曲げモーメントM分布を中間点で反転接続し
たような分布となる。よって、この塑性化部材4の断面
形状も、前記第1実施例の塑性化部材の断面形状を中間
点で反転接続したような形状とすれば良い。これによ
り、前述の如き水平方向への外力が作用しても、塑性化
部材4に発生される曲げ応力の最大値σmaxは材軸方向
に対してほぼ一様となる。 よって、この実施例の塑性化部材4によっても、前記
第1実施例の塑性化部材4と同様の作用効果を得ること
ができ、塑性化部材4全体の有する塑性変形能力が有効
に利用されることで、部材4そのものの持つエネルギー
吸収能力が格段に向上する。 「発明の変形実施例」 以上説明したこの発明の耐震建築構造物の構造用部材
を構成する塑性化部材や弾性部材は、その形状及び材質
等が前記実施例に限定されない。以下に、片持ち梁形式
の部材を例にとって、この発明の変形実施例について説
明する。 a.H形鋼(I形鋼)を用いた場合 前記第1〜第3実施例においては、H形鋼のフランジ
幅を変化させることで断面係数Zを変化させていたが、
第17図ないし第20図に示すように、ウェブ成を変化させ
たり、あるいは第21図ないし第24図に示すように、フラ
ンジ幅及びウェブ成を同時に変化させたりすることでも
断面係数Zを変化させ、これにより水平方向からの外力
が作用した際に部材内部に生じる曲げ応力の最大値σ
maxを材軸方向に対してほぼ一様と為すことが可能であ
る。また、第25図ないし第28図に示すように、一様断面
形状のH形鋼に中間フランジを設け、このフランジ幅を
変化させることで断面係数Zを変化させることも可能で
ある。この場合、前述の如くフランジ幅及びウェブ成を
同時に変化させても良いことは勿論である。 b.他の断面形状の部材 H形鋼のみならず、他の断面形状の部材であってもこ
の発明の構造用部材を構成することが可能である。一例
として、第29図ないし第31図に示すように断面形状正方
形の角型鋼管を用い、これの一辺の長さを変化させるこ
とで断面係数Zを変化させ、これにより、水平方向から
の外力が作用した際に部材内部に生じる曲げ応力の最大
値σmaxを材軸方向に対してほぼ一様と為すことが可能
である。この場合、断面形状を長方形等の矩形とするこ
とで、部材の性能に方向性を持たすことができる。ま
た、第32図ないし第34図に示すように、一様断面形状の
角型鋼管内に井桁状にリブ板を複数枚配置すると共に、
これらリブ板間の間隔を変化させることで、断面係数Z
を変化させることも可能である。 さらに言えば、前述の変形実施例は片持ち梁形式の部
材であり、部材に作用する曲げモーメントMの分布によ
ってその断面形状も適宜変更されることは言うまでもな
い。 「発明の効果」 以上詳細に説明したように、この発明によれば、地震
等の外力が入力された際に該入力エネルギーを任意の階
に集中せしめて当該階において入力エネルギーを集中的
に吸収するように構成された耐震建築構造物に適用され
て当該階の躯体を構成する構造用部材を、想定規模の外
力に対して弾性変形を維持する弾性部材と、当該想定規
模の外力に対して降伏して塑性変形する塑性化部材とに
より構成し、前記弾性部材と前記塑性化部材の少なくと
もいずれか一方を、前記想定規模の外力が加えられた際
に当該部材に作用する曲げモーメント分布に基づいて、
その長手方向に沿う軸に対する断面係数を設定している
ので、前記外力が加えられた時の前記部材に生じる曲げ
応力の最大値をその材軸方向に対して任意値と為すこと
ができる。これにより、部材をその材軸方向に対して広
範囲に降伏させることで、部材全体の有する塑性変形能
力を有効に利用したり、あるいは逆に一部分のみが早く
降伏してしまうことを防ぐことで、部材全体の有する弾
性変形能力を有効に利用することが可能となり、これら
能力の向上を図ることができる。よって、この発明によ
れば、部材全体の塑性変形能力及び弾性変形能力を有効
に利用することで、これら能力の向上を図りうる耐震建
築構造物の構造用部材を実現することができる。
【図面の簡単な説明】 第1図ないし第2図はこの発明の第1実施例である耐震
建築構造物の構造用部材が適用された耐震建築構造物を
示す図であって、第1図はその第1層部分を拡大視して
示した正面図、第2図はその全体を示す概略正面図、第
3図ないし第6図はこの発明の第1実施例である耐震建
築構造物の構造用部材を示す図であって、第3図は正面
図、第4図は側面図、第5図は上面図、第6図は下面
図、第7図ないし第8図はこの発明の第2実施例である
耐震建築構造物の構造用部材が適用された耐震建築構造
物を示す図であって、第7図はその第1層部分を拡大視
して示した正面図、第8図は第7図のVIII−VIII′線に
沿う矢視断面図、第9図ないし第10図はこの発明の耐震
建築構造物の構造用部材の作用を説明する為の図、第11
図はこの発明の第3実施例である耐震建築構造物の構造
用部材が適用された耐震建築構造物の第1層部分を示す
正面図、第12図ないし第15図はこの発明の第3実施例で
ある耐震建築構造物の構造用部材を示す図であって、第
12図は正面図、第13図は側面図、第14図は平面図、第15
図は第12図のXV−XV′線に沿う矢視断面図、第16図はこ
の発明の第3実施例である耐震建築構造物の構造用部材
に作用する曲げモーメント分布を示す図、第17図ないし
第20図はこの発明の第4実施例である耐震建築構造物の
構造用部材を示す図であって、第17図は正面図、第18図
は側面図、第19図は上面図、第20図は下面図、第21図な
いし第24図はこの発明の第5実施例である耐震建築構造
物の構造用部材を示す図であって、第21図は正面図、第
22図は側面図、第23図は上面図、第24図は下面図、第25
図ないし第28図はこの発明の第6実施例である耐震建築
構造物の構造用部材を示す図であって、第25図は正面
図、第26図は側面図、第27図は上面図、第28図は下面
図、第29図ないし第31図はこの発明の第7実施例である
耐震建築構造物の構造用部材を示す図であって、第29図
は正面図、第30図は上面図、第31図は下面図、第32図な
いし第34図はこの発明の第8実施例である耐震建築構造
物の構造用部材を示す図であって、第32図は正面図、第
33図は上面図、第34図は下面図である。 A……建築構造物(耐震建築構造物)、 1……柱、1a……柱の小径部(弾性部材)、1′……柱
(塑性化部材)、4……塑性化部材、11……弾性部材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢部 喜堂 東京都中央区京橋2丁目16番1号 清水 建設株式会社内 (72)発明者 伊倉 清 東京都中央区京橋2丁目16番1号 清水 建設株式会社内 (72)発明者 平間 敏彦 東京都中央区京橋2丁目16番1号 清水 建設株式会社内 (72)発明者 寺田 岳彦 東京都中央区京橋2丁目16番1号 清水 建設株式会社内 (72)発明者 清水 秀夫 東京都千代田区大手町1―1―3 住友 金属工業株式会社内 (72)発明者 加藤 征宏 東京都千代田区大手町1―1―3 住友 金属工業株式会社内 (72)発明者 大竹 章夫 東京都千代田区大手町1―1―3 住友 金属工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭57−193640(JP,A)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.地震等の外力が入力された際に該入力エネルギーを
    任意の階に集中せしめて当該階において入力エネルギー
    を集中的に吸収するように構成された耐震建築構造物に
    適用されて当該階の躯体を構成する構造用部材であっ
    て、 想定規模の外力に対して弾性変形を維持する弾性部材
    と、当該想定規模の外力に対して降伏して塑性変形する
    塑性化部材とからなり、前記弾性部材と前記塑性化部材
    の少なくともいずれか一方は、前記想定規模の外力が加
    えられた際に当該部材に作用する曲げモーメント分布に
    基づいて、その長手方向に沿う軸に対する断面係数が設
    定されていることを特徴とする耐震建築構造物の構造用
    部材。
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