JP2008280687A - 合成梁 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コンクリートスラブまたはコンクリート4とデッキプレート3との合成スラブ5と鉄骨梁2とがシアーコネクター6で一体となっている合成梁であって、鉄骨梁2の両端は単純支持され、鉄骨梁2はH形鋼からなり、H形鋼2の上フランジに直接またはデッキプレートを貫通して頭付きスタッド等のシアーコネクター6が溶接されてコンクリート4と一体化され、H形鋼2の下フランジの下面に鋼板7が面を接するようにして溶接により取り付けられている。
【選択図】図5
Description
高層事務所ビルでは小梁の全鉄骨重量に占める割合は20%程度、低層商業施設では30〜40%となり、鉄骨工事のコストダウンのためには、小梁のコストダウンも重要な要素となる。
頭付きスタッドを溶接することは、床スラブの水平力を鉄骨に伝達する効果以外に、床スラブのコンクリートとH形鋼が一体となった合成梁として機能し、鉄骨の応力とたわみが小さくなると言う効果ももたらす。
一方、小梁の場合は断面も小さく両端が単純支持のため、たわみが大きくなるが、正曲げしか受けないので、合成梁としてたわみを計算して評価する場合が多い。
(イ)上下異フランジのビルトHを使う。すなわち、下フランジの板厚または板幅を上フランジより大きくする。この方法は橋梁で実施されている。
(ロ)上下異フランジの軽量Hを使う。すなわち、下フランジの板厚または板幅を上フランジより大きくする。ウェブはできるだけ薄くする。
(1)ビルトHの製造コストがロールHや軽量Hよりも高い。
(2)フランジとウェブをアーク溶接するので、ウェブを薄くすると溶接ひずみが生じる。
(3)小梁の場合、両端が単純支持であるため、端部の曲げモーメントはゼロに近い。その部位の下フランジが中央部と同じ断面積では不経済となる。
(4)上記への対策として、橋梁の単純桁のように、端部と中央部でフランジの板厚を変えて溶接で継ぐ方法も考えられるが、製造コストがさらに高くなる。
(1)軽量HのコストがロールHよりもやや高い。
(2)熱延コイルを素材とするため、フランジ厚を増大させるのにも限界がある。通常の設備では12mm程度が限度である。
(3)上フランジと下フランジを同じ一条の熱延コイルを分割して使うような設備では、上下のフランジ厚を変えることはできない。
(4)上下のフランジ幅に差をつける場合でも、通用の設備では幅200mm程度が最大限度である。一方、上フランジの幅は建方の際の安全確保から、最低150mm程度は必要である。したがって、上下フランジの断面積にあまり差はつけられない。
(5)通常の加工設備ではH形鋼を横にした状態でローラーテーブル上を搬送するので、上下のフランジ幅に差をつけた場合に、穴明け、切断の自動加工ラインが利用できないため、加工コストが増大する。
(6)小梁の場合、両端が単純支持であるため、端部の曲げモーメントはゼロに近い。その部位の下フランジが中央部と同じ断面積では不経済となる。
この構成により、従来の合成梁と同等の曲げ剛性を有しながら、鉄骨梁の使用鋼材重量を削減することができ、さらには加工費まで含めたトータルコストを削減することができる。
このように、H形鋼の下フランジの中央部に鋼板を溶接することにより、以下の作用効果を得ることができる。
(a)曲げモーメントの大きい梁の中央部のみに下フランジの断面積を増加させるので、無駄がない。
(b)上下異フランジの特殊な形状のH形鋼を使う必要がない。そのため、通常の穴明け・切断ラインを利用することができる。
(c)溶接する鋼板として、一般に流通している平鋼を使うことができる。平鋼の長さは、梁の長さと一致させる必要がないので、梁の長さに応じて、それより短めの定尺長さ(5.5mまたは6m)またはその半分長さ(2.25mまたは3m)とすることができ、材料ロスが出ない。
(d)下フランジの下面に鋼板を溶接するため、孫梁や座屈止め接合用のガセットプレートがある場合でも邪魔にならない。
別紙参照
一方、鋼板の断面積はH形鋼の下フランジの断面積以上とするのがよく、また鋼板の長さはH形鋼の長さの半分以上とするのがよい。この両方を満たすようなサイズの鋼板を使用することで概ね2割以上の軽量化が期待できる。
(a)鋼板に作用する引張力をH形鋼の下フランジに伝達するには、端部の溶接だけでほぼ十分である。したがって、鋼板全長を溶接するのと比較して、溶接のコストを低減できる。また、H形鋼の片側だけ(下フランジだけ)を溶接することから生じる溶接ひずみによる反りを抑制できる。
ただし、鋼板の両端だけを溶接した場合には、溶接部付近の応力が許容応力を超過する場合もあり得る。また、鋼板が自重により垂れ下がり、下フランジとの間に隙間が生じる恐れもある。したがって、溶接位置は中間部にも数箇所設けることが望ましい。
H形鋼としては、ロールHまたは軽量Hが好ましく、特に軽量Hが好ましい。軽量Hの方がロールHよりも、重量あたりの単価は高いが、ウェブ厚さを薄くできるので、全重量をロールHよりも少なくすることができ、その結果としてコストダウンを図ることができる。
図4および図5に示すように、大梁1の間隔が7200mm(小梁2(2A)の長さが6980mm)の高層事務所ビルの床を想定し、本発明に係る小梁2と従来技術による小梁2Aとが、合成梁としての曲げ剛性が同等となるように設計し、両者のコストを比較した。
平鋼7の幅をH形鋼のフランジ幅よりも若干小さくしたのは、平鋼7の側面とフランジ面とをそのまま隅肉溶接できるからである。また、平鋼の定尺長さが5500mm(5.5m)または6000mm(6m)なので、本実施例では5500mmの平鋼7をそのまま使用することにより、切断手間と材料ロスを省くことができる。
溶接(隅肉溶接)箇所は、平鋼7の両端部および中間部を3箇所とし、溶接長さ、脚長等は図7に記載のとおりである。
さらに、鋼材費および小梁としての加工費の合計コストを比較する。加工費には、H形鋼2,2Aの長さ切断、端部のウェブのボルト穴明けと摩擦面処理までを含み、本発明の場合は平鋼7の溶接費も含む。
鋼材の重量当たり単価は、現時点では平鋼の方が圧延H形鋼よりも若干高く、溶接軽量H形鋼は更に高い。しかし、平鋼も含んだ鋼材重量が大幅に減っているので、材料費(鋼材費)も大幅な削減率を達成している。
したがって、鋼材費と加工費を合計した全コストを比較しても、本発明の方が安くなる。試算では、本発明の場合の方が従来技術の場合より約15%安くなる。
3 デッキプレート
4 コンクリート
5 合成スラブ
6 スタッド(シアーコネクター)
7 鋼板(平鋼)
11、11A 柱
12 基礎
13 アンカーボルト
14 座金
15 ナット
17 ドリリングタッピンねじ(ドリルねじ)
Claims (7)
- コンクリートスラブまたはコンクリートとデッキプレートとの合成スラブと鉄骨梁とがシアーコネクターで一体となっている合成梁であって、
鉄骨梁の両端は単純支持され、
鉄骨梁はH形鋼からなり、
H形鋼の上フランジに直接またはデッキプレートを貫通して頭付きスタッド等のシアーコネクターが溶接されてコンクリートと一体化され、
H形鋼の下フランジの下面に鋼板が面を接するようにして溶接により取り付けられている、
ことを特徴とする合成梁。 - 鋼板の長さはH形鋼の長さよりも短く、かつ鋼板の端部からH形鋼の端部までの距離は両側でほぼ等しいことを特徴とする請求項1に記載の合成梁。
- 鋼板の幅はH形鋼のフランジ幅より小さいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の合成梁。
- H形鋼が圧延H形鋼または溶接軽量H形鋼であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の合成梁。
- 鋼板は、H形鋼の下フランジに鋼板の全長に渡って連続的に溶接されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の合成梁。
- 鋼板は、H形鋼の下フランジに鋼板の両端部で溶接されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の合成梁。
- 鋼板は、H形鋼の下フランジに鋼板の両端部および中間部で断続的数箇所を溶接されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の合成梁。
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