JP7198521B2 - 木造建築物の建前工法及び木造建築物の建前構造 - Google Patents
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Description
図6に示すように、こうした従来の工法においては、まず、例えば土台や礎石の上に第1柱51を立てるとともに、第1柱51の貫通孔51aに第1横架材61の一端を貫通させる。この場合、上下方向に互いに間隔をおいて3本の第1横架材61が設けられている。
続いて、第3柱53を水平方向にスライドさせることで、第3柱53の貫通孔53bに第3横架材63の他端63aを貫通させる。
続いて、中間柱55を水平方向にスライドさせることで、中間柱55の貫通孔55aに第2横架材62を貫通させる。
このようにして柱と横架材とを1本ずつ順に組み立てていくと、同図に二点鎖線で示す第4柱54が、最後に組み立てられる柱となる。このとき、第4柱54を水平方向にスライドさせることで、第4柱54の貫通孔54aに第2横架材62の他端62aを貫通させると、第4横架材64の他端64aを第4柱54の貫通孔(図示略)に貫通させることができない。すなわち、最後に組み立てられる柱に対しては、互いに直交する2つの方向から横架材を貫通させることができない。
上記木造建築物の建前工法において、前記第1横架材と、前記第2横架材と、前記第3横架材と、前記第4横架材とを、上下方向において同一の位置に設けることが好ましい。
また、上記課題を解決するための木造建築物の建前構造は、互いに間隔をおいて設けられた第1柱及び第2柱、及び前記第1柱の貫通孔及び前記第2柱の貫通孔を貫通する第1横架材を有する第1フレームと、互いに間隔をおいて設けられた第3柱及び第4柱、及び前記第3柱の貫通孔及び前記第4柱の貫通孔を貫通する第2横架材を有する第2フレームと、前記第1柱の貫通孔を貫通する第1端と前記第3柱の貫通孔を貫通する第2端とを有する第3横架材と、前記第2柱の貫通孔を貫通する第1端と前記第4柱の貫通孔を貫通する第2端とを有する第4横架材と、を備える。
同構成によれば、第1柱に対して第1横架材及び第3横架材を貫通させることができるとともに、第2柱に対して第1横架材及び第4横架材を貫通させることができる。また、第3柱に対して第2横架材及び第3横架材を貫通させることができるとともに、第4柱に対して第2横架材及び第4横架材を貫通させることができる。これにより、柱と横架材との仕口の全てを固定端とすることができる。したがって、木造建築物の強度を高めることができる。
図1~図3に示すように、本実施形態の木造建築物の建前構造(以下、建前構造)は、互いに間隔をおいて設けられた第1柱11及び第2柱14、並びに第1柱11の貫通孔12及び第2柱14の貫通孔15を貫通する第1横架材19を有する第1フレーム10を備えている。本実施形態の第1フレーム10では、第1柱11と第2柱14との間に第1中間柱17が設けられている。第1横架材19は、第1中間柱17の貫通孔18を貫通している。本実施形態では、上下方向に互いに間隔をおいて3本の第1横架材19が設けられている。
本実施形態の柱11,14,17,21,24,27の形状は、四角柱である。
次に、本実施形態の木造建築物の建前工法(以下、建前工法)について説明する。
この状態において、図4(b)に示すように、第1横架材19をスライドさせることで、第1横架材19の一方の端19aを第1中間柱17の貫通孔18及び第1柱11の貫通孔12に順に貫通させる。
このようにして、第1フレーム10を形成する(以上、第1工程)。
次に、図5(a)に示すように、クレーンにより、第1フレーム10を吊り上げることで第1柱11、第1中間柱17、及び第2柱14を直立させた状態にする。そして、クレーンにより、第1柱11、第1中間柱17、及び第2柱14を、図示しない礎石上に立てる。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
(1)建前工法は、第1フレーム10を形成する第1工程と、第2フレーム20を形成する第2工程とを備える。また、建前工法は、第1柱11及び第2柱14を直立させた状態で、第1柱11の貫通孔13に対して第3横架材30の第1端31を貫通させるとともに、第2柱14の貫通孔16に対して第4横架材40の第1端41を貫通させる第3工程を備える。また、建前工法は、第3柱21及び第4柱24を直立させた状態で第2フレーム20をスライドさせることで、第3柱21の貫通孔23に対して、第3横架材30の第1端31とは反対側の第2端32を貫通させるとともに、第4柱24の貫通孔26に対して、第4横架材40の第1端41とは反対側の第2端42を貫通させる第4工程を備える。
こうした方法によれば、木造建築物の意匠性を高めることができる。
<変更例>
上記実施形態は、例えば以下のように変更して実施することもできる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・例えば第1横架材19及び第2横架材29は、それぞれ1つの木材によって構成されていてもよいし、長さ方向において複数に分割して構成されていてもよい。また、第3横架材30及び第4横架材40についても同様である。
・第1横架材19、第2横架材29、第3横架材30、及び第4横架材40は、上下方向において同一の位置に設けられるものに限定されない。例えば、第1横架材19及び第2横架材29の上下方向における位置と、第3横架材30及び第4横架材40の上下方向における位置とを互いに異ならせてもよい。この場合、横架材19,29,30,40の高さ寸法を長さ方向の全体にわたって同一にすることもできる。
・第1中間柱17及び第2中間柱27を省略することもできる。
・第1柱11と第3柱21との間に1本または複数本の中間柱を設けることもできる。また、第1柱11と第3柱21との間に1本または複数本の中間柱を設けることもできる。
・例えば第1柱11及び第3柱21が上下方向に対して傾斜しているものであってもよい。
これに代えて、例えば横架材の端部に、横架材の長さ方向に突出する直方体状の凸部、所謂長ホゾを設けるとともに、この長ホゾが、柱に設けられた貫通孔、所謂ホゾ孔を貫通する構成としてもよい。すなわち、横架材を、長ホゾなどを有する差し物として具体化することもできる。この場合、柱と長ホゾとの仕口には、柱と長ホゾとを固定する車知栓や込み栓などが設けられる。
11…第1柱
12,13…貫通孔
14…第2柱
15,16…貫通孔
17…第1中間柱
18…貫通孔
19…第1横架材
19a…端
20…第2フレーム
21…第3柱
22,23…貫通孔
24…第4柱
25,26…貫通孔
27…第2中間柱
28…貫通孔
29…第2横架材
29a…端
30…第3横架材
31…第1端
32…第2端
40…第4横架材
41…第1端
42…第2端
Claims (3)
- 互いに間隔をおいて設けられた第1柱及び第2柱、並びに前記第1柱の貫通孔及び前記第2柱の貫通孔を貫通する第1横架材を備える第1フレームを形成する第1工程と、
互いに間隔をおいて設けられた第3柱及び第4柱、並びに前記第3柱の貫通孔及び前記第4柱の貫通孔を貫通する第2横架材を備える第2フレームを形成する第2工程と、
前記第1柱及び前記第2柱を直立させた状態で、前記第1柱の貫通孔に対して第3横架材の第1端を貫通させるとともに、前記第2柱の貫通孔に対して第4横架材の第1端を貫通させる第3工程と、
前記第3柱及び前記第4柱を直立させた状態で前記第2フレームをスライドさせることで、前記第3柱の貫通孔に対して、前記第3横架材の前記第1端とは反対側の第2端を貫通させるとともに、前記第4柱の貫通孔に対して、前記第4横架材の前記第1端とは反対側の第2端を貫通させる第4工程と、を備え、
前記第1横架材と、前記第2横架材と、前記第3横架材と、前記第4横架材とを、上下方向において同一の位置に設け、
前記第1横架材、前記第2横架材、前記第3横架材、及び前記第4横架材の各々の端については、上部または下部を切り欠くことで当該端を有する横架材の長さ方向の中央部に比べて上下方向の寸法を小さくする、
木造建築物の建前工法。 - 前記第1工程では、前記第1柱及び前記第2柱を寝かせた状態で、前記第1フレームを形成し、
前記第2工程では、前記第3柱及び前記第4柱を寝かせた状態で、前記第2フレームを形成し、
前記第3工程に先立ち、前記第1フレームを吊り上げることで前記第1柱及び前記第2柱を直立させた状態にし、
前記第4工程に先立ち、前記第2フレームを吊り上げることで前記第3柱及び前記第4柱を直立させた状態にする、
請求項1に記載の木造建築物の建前工法。 - 互いに間隔をおいて設けられた第1柱及び第2柱、並びに前記第1柱の貫通孔及び前記第2柱の貫通孔を貫通する第1横架材を有する第1フレームと、
互いに間隔をおいて設けられた第3柱及び第4柱、並びに前記第3柱の貫通孔及び前記第4柱の貫通孔を貫通する第2横架材を有する第2フレームと、
前記第1柱の貫通孔を貫通する第1端と前記第3柱の貫通孔を貫通する第2端とを有する第3横架材と、
前記第2柱の貫通孔を貫通する第1端と前記第4柱の貫通孔を貫通する第2端とを有する第4横架材と、を備え、
前記第1横架材と、前記第2横架材と、前記第3横架材と、前記第4横架材とは、上下方向において同一の位置に設けられており、
前記第1横架材、前記第2横架材、前記第3横架材、及び前記第4横架材の各々の端については、上部または下部を切り欠くことで当該端を有する横架材の長さ方向の中央部に比べて上下方向の寸法が小さくされている、
木造建築物の建前構造。
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