JP7187002B2 - 耐震シェルター及び耐震シェルターの組み立て方法 - Google Patents

耐震シェルター及び耐震シェルターの組み立て方法 Download PDF

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Description

特許法第30条第2項適用 2017年12月26日、京都府木造住宅耐震改修等事業費補助金交付要綱に規定する耐震シェルター装置としての認定を受けるための申請資料を京都府(京都府建設交通部長宛)に提出
本発明は、既存の木造家屋等の木造建築物が備える部屋の内部に設置する耐震シェルター及び耐震シェルターの組み立て方法に関する。
木造家屋等の既存の木造建物において、地震等の災害が発生した際に建物や屋内の家具類が倒壊すると、建物内にいる住民の生命が危険にさらされる。特に、旧耐震基準に適合する状態で建築された木造家屋等では、震度6以上の地震では倒壊する可能性もあり、耐震性や安全性についての問題が指摘されているものもある。
このような既存の木造建物において耐震性を高める手法として耐震補強工事や制振・免震工事がある。耐震補強工事では、例えば、屋根の軽量化、壁や接合部の補強等により耐震性の向上が図られている。また、制振・免震工事では、制振装置の設置により地震の揺れを吸収したり、免震装置の設置により地震の揺れが建物に伝わることを防止したりしている。しかしながら、これらの手法は、建物全体に対して適用されるため、比較的大規模な工事が必要であり、多大なコストが必要になるため、木造家屋等ではそれほど広くは普及していないという実情がある。
一方、建物や屋内の家具類が倒壊するような状況下において、木造建物内にいる住民の生命の安全を確保するという観点では、建物内に耐震シェルターを設置する手法も提案されている(例えば、特許文献1-3等参照。)。
耐震シェルターは、建物等が倒壊した場合でも破壊されることがない空間を確保することができる強度を有する箱体により構成され、例えば、木造建物内の一室に配置される。耐震シェルターは、地震の揺れにより、建物内で移動することがないように、地表面に構築された基礎部に固定される構成を採用するものもあるが、このような構成であっても、建物全体に対して耐震補強工事や制振・免震工事を施す場合に比べれば、一般的に低コストで実現することができる。
特開2006-083540号公報 特開2014-031682号公報 特開平09-158526号公報
従来の耐震シェルターは、例えば、ベタ基礎上に柱材を固定するとともに当該柱に梁材を固定して箱体の枠組みが構成され、当該枠組みに対して外壁材及び内壁材を取り付けることで構成されている。
このような構造を有する耐震シェルターでは、耐震シェルターを設置する既存の部屋内において、耐震シェルターの外壁を施工するために、既存の部屋の壁と、設置する耐震シェルターの壁との間に作業スペースが必要になる。
耐震シェルターであっても、屋内に設置する以上、災害が発生していない平常時には居住空間として使用可能であることが好ましいが、以上のような構造の従来の耐震シェルタ
ーでは、必然的に、既存の部屋よりも床面積が狭くなる上、天井高も低くなってしまう。すなわち、居住空間として使用するには、圧迫感のあるものになっているという実情がある。
本発明は、このような従来技術の課題を鑑みてなされたものであって、既存の木造家屋等の木造建築物が備える部屋の内部に設置する場合でも、従来に比べて大きな内部空間を確保することができる耐震シェルター及び耐震シェルターの組み立て方法を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために、本発明は以下の技術的手段を採用している。まず、本発明は、既存の木造建築物が備える部屋の内部に設けられる耐震シェルターを前提としている。そして、本発明に係る耐震シェルターは、基礎部、4つの壁面、貫通孔、アンカーボルト、及び天井部を備える。基礎部は、木造建築物の基礎と別体で設けられる。4つの壁面は、下枠材、縦枠材及び上枠材により囲まれた枠空間と、当該枠空間の外壁面側に固定された板材とを備え、互いに独立して組み立てられる。貫通孔は、各壁面の下枠材に複数設けられる。アンカーボルトは、貫通孔に対応して基礎部の外縁に設けられ、貫通孔を通じて各壁面を立設状態で固定する。天井部は、4つの壁面の上端に固定支持される。
本発明の耐震シェルターによれば、耐震シェルターを構成する4つの壁面が、耐震シェルターが設けられる部屋の内部で一面ずつ組み立てられてから基礎部の外縁に立設されるため、従来のように、耐震シェルターが設けられる部屋の壁面と耐震シェルターの壁面との間に作業スペースを設ける必要がない。そのため、耐震シェルターの壁面と耐震シェルターが設けられる部屋の壁面とを近接して配置することができる。その結果、従来に比べて大きな内部空間を確保した耐震シェルターを実現することができる。
一方、他の観点では、本発明は、既存の木造建築物が備える部屋の内部に設けられる耐震シェルターの組み立て方法を提供することもできる。すなわち、本発明に係る耐震シェルターの組み立て方法は、耐震シェルターが設けられる木造建築物の部屋に対応する地面に、木造建築物の基礎と別体の基礎部が設けられる。次いで、耐震シェルターが設けられる部屋の内部で壁面が一面ずつ組み立てられる。組み立てられた壁面は、一面ずつ建て起こされ、基礎部に固定される。そして、4つの壁面の上端に固定支持される天井部が組み立てられる。
この耐震シェルターの組立て方法において、例えば、各壁面は、下枠材、縦枠材及び上枠材により囲まれた枠空間と、当該枠空間の外壁面側に固定された板材とを備える構成を採用することができる。また、当該構成において、基礎部は、各壁面を基礎部に固定するための複数のアンカーボルトを備えるとともに、各壁面の立設位置において露出するアンカーボルトの長さが、板材が配置される面と垂直な方向の下枠材の厚さよりも小さく、かつ縦枠材に沿う方向の下枠材の厚さよりも大きい構成を採用することもできる。
以上の構成において、基礎部は、中央部の下面が外周部の下面よりも上方に位置し、かつ、中央部の下面は地表面よりも上方に位置する構成を採用することができる。また、天井部は、厚さ32mm以上の構造用合板を備える構成を採用することができる。さらに、天井部は、中央部に作業用の貫通孔を備える構成を採用することができる。
本発明によれば、既存の木造家屋等の木造建築物が備える部屋の内部に設置する場合でも、従来に比べて大きな内部空間を確保することができる。
本発明の一実施形態における耐震シェルターの一例を示す概略斜視図 本発明の一実施形態における耐震シェルターの一例を示す概略断面図 本発明の一実施形態における耐震シェルターが備える壁面の一例を示す図 本発明の一実施形態における耐震シェルターが備える壁面とアンカーボルトの関係を示す図 本発明の一実施形態における耐震シェルターが備える天井部の一例を示す平面図
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながらより詳細に説明する。図1は、本実施形態における耐震シェルターの一例を示す概略斜視図である。また、図2は、本実施形態における耐震シェルターの一例を示す概略断面図である。なお、図1では、本実施形態の耐震シェルター10が設置される既存の木造建築物の図示を省略している。また、図2では、本実施形態の耐震シェルター10が設置される既存の木造建築物の一部を破線で図示している。
図1及び図2に示すように、耐震シェルター10は、基礎部11、4つの壁面12、及び天井部13を備える。耐震シェルター10は、既存の木造建築物100(以下、既存建物100という。)が備える部屋110の内部に設けられる。既存建物100が複層構造である場合、耐震シェルター10は1階に設置される。ここでは、部屋110の床面は長方形状であり、耐震シェルター10も直方体状(長手方向の壁芯幅:3300mm、短手方向の壁芯幅:2400mm、床面から屋根天までの高さ:2500mm)としている。図2は、耐震シェルター10の長手方向中央部付近における縦断面図である。
耐震シェルター10を設置する際、耐震シェルター10が設置される部屋110の床材及び天井板は取り外される。また、ここでは、既存建物100の基礎101は布基礎であり、部屋110の直下に、耐湿シート及び耐湿コンクリートが敷設されている場合には除去される。
基礎部11は、既存建物100の基礎101と別体で設けられる。ここで別体とは、基礎内部に配置される鉄筋(配筋)が一体化されていないことを意味する。本実施形態の耐震シェルター10では、基礎部11は、既存建物100の基礎101を型枠として打設される。そのため、基礎部11が構築される際には、部屋110の直下の地面は掘り下げられ、部屋110を取り囲む基礎101のフーチングが部屋110の全周にわたって露出される。また、図2に示すように、基礎部11の外周部において、基礎部11の下地となる砕石層111の下面は、既存建物100の砕石層102の下面よりも下方に位置する状態に構成され、採石層111上に配置される捨コン112の上面が既存建物100の基礎101の下地である捨コン103の上面と同等、もしくは、捨コン103の上面より上方に位置する状態に構成される。
当該基礎部11の外縁には、4つの壁面12が立設される。そのため、壁面12を基礎部11に固定するために使用する複数のアンカーボルト20が、壁面12の固定位置と対応する位置に予め設置される。基礎部11へアンカーボルト20を設置する方法は従来と同様であるため、ここでの説明は省略する。
基礎部11の上面には、基礎パッキン14を介して土台15となる横材が配置され、当該土台15の内側の領域に所定の間隔で大引き16が配置される。土台15及び大引き16により仕切られた空間に断熱材17が配置された後、土台15及び大引き16に対して床材18が固定される。土台15、大引き16、断熱材17、床材18の設置には、公知の任意の手法を適用すればよい。なお、本実施形態では、このようにして構成される新たな床面の最終的な高さは、既存建物100の既存部分と床高さと一致している。
なお、特に限定されないが、本実施形態では、図2に示すように、砕石層111の中央部の下面は、外周部の下面に比べて上方に位置する状態になっている。これは、既存建物100の基礎101を露出させるために除去した土砂を中央部に堆積しているためである。その結果、基礎部11の中央部の下面は外周部の下面よりも上方に位置し、かつ、中央部の下面は地表面120よりも上方に位置する状態になっている。このような構成を採用することで、耐震シェルター10を設置することに起因する土砂の搬出量をゼロにする、あるいは減少させることができ、土砂の搬出に起因するコストを低減できる。
上述のように、基礎部11は既存建物100の基礎101を型枠として構成されるため、基礎部11は、既存建物100の基礎101のフーチングと一部が当接する状態で設けられる。しかしながら、基礎部11と基礎101とにおいて配筋は一体化されていないため、別体となっている。この構成により、地震の際に、耐震シェルター10が既存建物100と一体となって揺れることを回避できる。
4つの壁面12は、耐震シェルター10が設けられる部屋110の内部で一面ずつ組み立てられ、基礎部11の外縁に立設される。図3は、耐震シェルター10が備える壁面12の一例を示す図である。図3(a)は、長手方向に沿う壁面12(以下、壁面12aという。)の一例を示す図であり、図3(b)は、短手方向に沿う壁面12(以下、壁面12bという。)の一例を示す図である。なお、図3(a)、図3(b)では、板材24は紙面において枠材の奥側に配置されている。
本実施形態では、各壁面12を木造枠組壁工法(いわゆる、ツーバイフォー工法)により形成している。すなわち、各壁面12は、下枠材21、縦枠材22及び上枠材23により囲まれた枠空間25と、当該枠空間の外壁面側に固定された板材24とを備える。本実施形態では、下枠材21、縦枠材22及び上枠材23のそれぞれに、断面が2×4インチサイズの構造用製材を使用し、板材24に、厚さ12mmの構造用合板を使用している。
短手方向の壁面12bにおいて両端に位置する縦枠材22には構造用製材を3本並べて使用している。本実施形態では、図1に示すように、長手方向の壁面12aの両端が、短手方向の壁面12bに挟まれる状態で配置されており、長手方向の壁面12aにおいて両端に位置する縦枠材22が短手方向の壁面12bにおいて両端に位置する縦枠材22に対して釘等を打ち付けることで固定される。
また、本実施形態では、長手方向に沿う壁面12aは、床面からの高さが2200mmであり、床面からの高さが1800mm程度、幅が1820mm程度の開口部26を備えている。また、短手方向に沿う壁面12bは、床面からの高さが2200mmであり、床面からの高さが1800mm程度、幅が995mm程度の開口部27を備えている。当該開口部26、27は、耐震シェルター10の出入口や既存建物100が備える窓からの採光口として機能する。従来同様、各開口部26、27の上端には横材であるまぐさが配置され、幅方向の両端には構造用製材からなるまぐさ受けが配置される。
さて、本実施形態の耐震シェルター10では、上述のように、4つの壁面12は、耐震シェルター10が設けられる部屋110の内部で一面ずつ組み立てられる。本実施形態では、まず、部屋110内において、1面目の短手方向に沿う壁面12bが組み立てられる。すなわち、当該壁面を構成する下枠材21、縦枠材22及び上枠材23、まぐさ、まぐさ受け等がそれぞれ互いに固定されて図3(b)に示す枠体が構成され、当該枠体の外壁面側に板材24が固定される。ここでは、図1に示すように、開口部27の両側に下枠材21から上枠材23にわたって配置された2枚の板材24と、開口部27の上方で開口部27の上端から上枠材23にわたって配置された板材24との3枚の板材24により外壁
面を構成している。
壁面12bの組み立てが完了すると、組み立てられた壁面12bは建て起こしにより、基礎部11の外縁の所定位置に立設される。本実施形態では、壁面12bは、基礎部11に埋設されたアンカーボルト20により基礎部11に固定される。上述のように、基礎部11の外縁上には、土台15及び床材18が配置されているが、アンカーボルト20と対応する土台15及び床材18の位置には貫通孔が設けられており、アンカーボルト20はこれらの貫通孔を通じて床材上に露出している。
図4は、壁面とアンカーボルトの関係を示す模式図である。図4(a)は、組み立てられた壁面が床材上に置かれた状態を示す図であり、図4(b)は、組み立てられた壁面が基礎部の外縁に立設された状態を示す図である。
本実施形態では、図4に示すように、各壁面12(ここでは、壁面12b)の立設位置において露出するアンカーボルト20の長さL(ここでは、床材18上に露出するアンカーボルト20の長さ)が、壁面12bにおいて板材24が配置される面と垂直な方向の下枠材21の厚さA(下枠材21の断面において長手方向の厚さ)よりも小さくなっている。また、各壁面12(ここでは、壁面12b)の立設位置において露出するアンカーボルト20の長さLは、縦枠材22に沿う方向の下枠材21の厚さB(下枠材21の断面において短手方向の厚さ)よりも大きくなっている。なお、本実施形態では、アンカーボルト20と対応する下枠材21の位置にもアンカーボルト20が通過する貫通孔28が設けられている。
このような構成によれば、例えば、壁面12bを組み立てる際に、図4に示すように、下枠材21の下端21a(立設時に底面となる面)の配置位置を、立設状態にある壁面12bにおいて、下枠材21の耐震シェルター10内部側の端部の位置とし、下端21aと床材との接点を支点として壁面12bを建て起こすと、下枠材21の下端21aがアンカーボルト20の上端上に乗り上げる状態となる。なお、図4(a)では、当該建て起こしの過程で、下枠材21の下端21aがアンカーボルト20の上端と接触した状態を点線で示している。当該状態で壁面12bの位置を微調整すると、上述の下枠材21の貫通孔28にアンカーボルト20が入り込み、壁面12bが所定の位置に位置合わせされることになる。当該状態でアンカーボルト20にナット等を螺合することで、壁面12bを基礎部11に固定することができる。なお、壁面12bと基礎部11との固定にホールダウン金物を使用してもよい。この場合、必要に応じて高ナット等を使用してアンカーボルトの長さを延長してもよい。
1面目の壁面12bの固定が完了すると、次いで、部屋110内において、2面目の短手方向に沿う壁面12bが組み立てられる。そして、壁面12bの組み立てが完了すると、上述の手法により、組み立てられた壁面12bは基礎部11の外縁の所定位置に立設される。
2面目の壁面12bの固定が完了すると、次いで、部屋110内において、1面目の長手方向に沿う壁面12aが組み立てられる。すなわち、当該壁面を構成する下枠材21、縦枠材22及び上枠材23、まぐさ、まぐさ受け等がそれぞれ互いに固定されて図3(a)に示す枠体が構成され、当該枠体の外壁面側に板材24が固定される。ここでは、図1に示すように、開口部26の両側に下枠材21から上枠材23にわたって配置された2枚の板材24と、開口部26の上方で開口部26の上端から上枠材23にわたって配置された板材24との3枚の板材24により外壁面を構成している。そして、壁面12aの組み立てが完了すると、上述の手法により、組み立てられた壁面12aは基礎部11の外縁の所定位置に立設される。なお、1面目の壁面12aの固定が完了すると、上述のとおり、
当該壁面12aは壁面12bに対しても固定される。
1面目の壁面12aの固定が完了すると、次いで、部屋110内において、2面目の長手方向に沿う壁面12aが組み立てられる。そして、壁面12aの組み立てが完了すると、上述の手法により、組み立てられた壁面12aは基礎部11の外縁の所定位置に立設される。2面目の壁面12aの固定が完了すると、上述のとおり、当該壁面12aは壁面12bに対しても固定される。
以上のようにして、4つの壁面12の立設が完了すると、4つの壁面12の上端に天井部13が固定支持される。すなわち、4つの壁面12の上端に天井根太31が所定の間隔で配置される。特に限定されないが、本実施形態では、天井根太31は、耐震シェルター10の長手方向に沿って配置されている。各天井根太31の配置間隔は207.6mmである。また、各天井根太31の間には、ころび止め32が耐震シェルター10の短手方向に沿って配置されている。各ころび止め32の配置間隔は450mmである。本実施形態では、天井根太31及びころび止め32のそれぞれに、断面が2×10インチサイズの構造用製材を使用している。また、天井根太31の上面に屋根として固定される板材33として、厚さ32mmの構造用合板を使用している。このように厚さ32mmの構造用合板を使用することで、地震の際に、既存建物100が倒壊した場合でも、落下物により耐震シェルター10の天井部13を貫通して耐震シェルター10内に落下物が侵入することを確実に防止することができる。
図5は、天井部13の一例を示す平面図である。なお、図5では、説明のため、板材33の記載を省略している。図5に示すように、本実施形態では、天井部13の中央部に524×524mmサイズの矩形の貫通孔35を耐震シェルター10の長手方向に沿って2つ設けている。当該貫通孔は、天井部13の施工時に、上方からの作業が必要となった場合に使用される。当該貫通孔を通じた作業において、作業者の手が届かない位置については、全て耐震シェルター10の内部側からの作業となる。なお、本実施形態では、上述のように、耐震シェルター10の屋根を構成する板材33に厚さ32mmの構造用合板を使用しているため、当該構造用合板を上方からの作業で天井根太31に固定することは困難である。そのため、本実施形態では、耐震シェルター10の内部側からの作業により板材33を天井根太31に固定している。また、図1に示すように、本実施形態では、貫通孔35の両側に耐震シェルター10の長手方向に沿って2枚ずつ配置された4枚の板材33と、これらの板材33と貫通孔35以外の部分に配置された3枚の板材33と、各貫通孔35を閉塞する板材33との9枚の板材33により屋根を構成している。
以上のようにして構成された耐震シェルター10は、内壁、天井、床面等の内装を施すことにより完成する。なお、内装については従来の手法により施工すればよい。
以上で説明したように、本発明によれば、耐震シェルター10を構成する4つの壁面12が、耐震シェルター10が設けられる部屋110の内部で一面ずつ組み立てられてから基礎部11の外縁に立設されるため、従来のように、耐震シェルター10が設けられる部屋110の壁面と耐震シェルター10の壁面との間に、作業スペースを設ける必要がない。そのため、耐震シェルター10の壁面12と耐震シェルター10が設けられる部屋110の壁面とを近接して配置することができる。その結果、従来に比べて大きな内部空間を確保した耐震シェルターを実現することができる。
また、上述のように、各壁面12を木造枠組壁工法により構成することで、木質の耐震シェルター10であっても、既存建物100が倒壊した場合でも、耐震シェルター10内の空間を維持可能な十分な強度を確保することができる。
なお、上述した実施形態は本発明の技術的範囲を制限するものではなく、既に記載したもの以外でも、本発明の範囲内で種々の変形や応用が可能である。例えば、上記実施形態では、特に好ましい形態として、壁面を木造枠組壁工法により構成したが、耐震シェルターを設置する部屋の内部での組み立てが可能であれば他の構造の壁面を使用することも可能である。また、上記実施形態では、特に好ましい形態として、壁面を持ち上げることなく、アンカーボルトと壁面の連結が可能となる構成について説明したが、アンカーボルトの露出長さLをより長くし、壁面を持ち上げて、壁面の下枠材の貫通孔にアンカーボルトを挿通する手法により壁面を立設する手法を排除するものではない。さらに、ベタ基礎の形状や天井部の貫通孔の有無等も適宜変更可能である。なお、天井部に貫通孔を設けない場合、上方からの作業が必要な場合は、例えば、既存建物の2階の床材を一時的に除去して作業することも可能である。
本発明によれば、既存の木造家屋等の木造建築物が備える部屋の内部に設置する場合でも、従来に比べて大きな内部空間を確保することができ、耐震シェルター及び耐震シェルターの組み立て方法として有用である。
10 耐震シェルター
11 基礎部
12、12a、12b 壁面
13 天井部
15 土台
18 床材
20 アンカーボルト
21 下枠材
21a 下端
22 縦枠材
23 上枠材
24 板材
25 枠空間
26、27 開口部
28 貫通孔
31 天井根太
32 ころび止め
33 板材
35 貫通孔
100 既存の木造建築物(既存建物)
101 基礎
110 部屋

Claims (7)

  1. 既存の木造建築物が備える部屋の内部に設けられる耐震シェルターであって、
    前記木造建築物の基礎と別体で設けられた基礎部と、
    下枠材、縦枠材及び上枠材により囲まれた枠空間と、当該枠空間の外壁面側に固定された板材とを備え、互いに独立して組み立てられた 4つの壁面と、
    前記各壁面の下枠材に設けられた複数の貫通孔と、
    前記貫通孔に対応して前記基礎部の外縁に設けられ、前記貫通孔を通じて前記各壁面を立設状態で固定する複数のアンカーボルトと、
    前記4つの壁面の上端に固定支持される天井部と、
    を備える耐震シェルター。
  2. 既存の木造建築物が備える部屋の内部に設けられる耐震シェルターの組み立て方法であって、
    前記部屋に対応する地面に、前記木造建築物の基礎と別体の基礎部を設けるステップと、
    前記部屋の内部で壁面を一面ずつ組み立てるステップと、
    前記組み立てられた壁面を、一面ずつ建て起こして前記基礎部に固定するステップと、
    4つの前記 壁面の上端に固定支持される天井部を組み立てるステップと、
    を有する耐震シェルターの組み立て方法。
  3. 前記各壁面は、下枠材、縦枠材及び上枠材により囲まれた枠空間と、当該枠空間の外壁面側に固定された板材とを備える、請求項2記載の耐震シェルターの組み立て方法。
  4. 前記基礎部は、前記各壁面を基礎部に固定するための複数のアンカーボルトを備えるとともに、前記各壁面の立設位置において露出する前記アンカーボルトの長さが、前記板材が配置される面と垂直な方向の前記下枠材の厚さよりも小さく、かつ前記縦枠材に沿う方向の前記下枠材の厚さよりも大きい、請求項3記載の耐震シェルターの組み立て方法。
  5. 前記基礎部は、中央部の下面が外周部の下面よりも上方に位置し、かつ中央部の下面が地表面よりも上方に位置する、請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の耐震シェルターの組み立て方法。
  6. 前記天井部は、厚さ32mm以上の構造用合板を備える、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の耐震シェルターの組み立て方法。
  7. 前記天井部は、中央部に作業用の貫通孔を備える、請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の耐震シェルターの組み立て方法。
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