JP7184675B2 - エアジェット織機の緯入れ装置 - Google Patents
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Description
図は、本発明の実施形態に係るエアジェット織機の緯入れ装置を示す側断面図であり、図2はその概略正面図、図3はその要部斜視図である。
図1~図3に示すように、エアジェット織機の緯入れ装置は変形筬1を備えている。変形筬1はスレイ2に取り付けられている。この変形筬1は、上下一対の補強部材3,4と、これらの補強部材3,4によって保持された複数の筬羽5とを備えている。変形筬1は、織幅方向を長手方向とする長尺状の部材である。複数の筬羽5は、変形筬1の長手方向Xに所定の間隔で配列されている。変形筬1の長手方向Xで隣り合う筬羽5間には、経糸Tを通すための隙間が設けられている。一対の補強部材3,4のうち、上側の補強部材3は複数の筬羽5の上縁部を挟持し、下側の補強部材4は複数の筬羽5の下縁部を挟持している。また、下側の補強部材4は、固定用部材6によってスレイ2に固定されている。
図4に示すように、複数の筬羽5は、変形筬1の長手方向Xにおいて2つの筬羽列21,22に区分されている。筬羽列21は第1の筬羽列に相当し、筬羽列22は第2の筬羽列に相当するものである。筬羽列21は、変形筬1の長手方向Xに配列された複数の筬羽5aによって構成され、筬羽列22は、変形筬1の長手方向Xに配列された複数の筬羽5bによって構成されている。筬羽列22は、緯入れ方向X1において筬羽列21の下流側に配置されている。また、筬羽列21の中で最も下流側に配置された筬羽5aと筬羽列22の中で最も上流側に配置された筬羽5bとは、緯入れ方向X1で隣り合わせに配置されている。
まず、メインノズル7および複数のサブノズル8からそれぞれ所定のタイミングでエアを噴射して緯糸Yを飛走させると、緯糸Yはエアの流れに乗って緯入れ方向X1に移動する。このとき、変形筬1の揺動動作が後退移動から前進移動へと切り替わるタイミングで緯糸Yの先端が通過する位置を第1の位置E1とすると、筬羽列21,22の境界位置Pは、第1の位置E1に設定されている。第1の位置E1は、緯入れ装置の設計上、または緯入れ装置を動作させたときの実験データ、あるいは緯入れ装置のシミュレーション結果などに基づいて特定される位置である。以下、筬羽列21,22の境界位置Pの設定に関して、さらに詳しく説明する。
筬の角速度は、変形筬1が揺動動作するときの移動方向に応じて、負の値をとる場合と正の値をとる場合とがある。筬の角速度が負の値をとる期間は、変形筬1が後退移動する期間(以下、「後退移動期間」ともいう。)となる。後退移動期間は、機台角度が0°~180°の期間となっている。一方、筬の角速度が正の値をとる期間は、変形筬1が前進移動する期間(以下、「前進移動期間」ともいう。)となる。前進移動期間は、機台角度が180°~360°の期間となっている。この場合、変形筬1が後退移動から前進移動へと切り替わるタイミングは、機台角度が180°の時点となる。なお、変形筬1が後退移動から前進移動へと切り替わるタイミングは、緯入れ装置の設計上、機台角度が180°の時点よりも前または後にずれることもある。
まず、変形筬1の長手方向Xにおいて、筬羽列21は、第1の位置E1よりも緯入れの始端側に位置し、筬羽列22は、第1の位置E1よりも緯入れの終端側に位置している。また、筬羽列21に属する筬羽5aの奥壁面18は第1の傾斜角θ1で傾斜し、筬羽列22に属する筬羽5bの奥壁面18は第1の傾斜角θ1よりも大きい第2の傾斜角θ2で傾斜している。風圧測定用のサブノズルから緯入れ通路Sに向けてエアを吹き付けた場合、緯入れ通路S内の風圧値は、筬羽5の奥壁面18の傾斜角が大きいほど大きくなる。これは、風圧測定用のサブノズルから緯入れ通路Sに向けてエアを吹き付けた場合に、筬羽5の奥壁面18に当たって緯入れ通路S側に反射するエアの量が、奥壁面18の傾斜角が大きくなると増加し、このエア量の増加によって緯入れ通路S内の風圧値が大きくなるからである。したがって、緯入れ通路S内の風圧値は、変形筬1の長手方向Xにおいて、図7に示すように、第1の位置E1よりも緯入れの終端側でΔLだけ大きくなる。
まず、変形筬1を揺動動作させると、この揺動動作における変形筬1の移動によって各々の筬羽5間にエアの流れが生じる。具体的には、図8に示すように、変形筬1が反筬打ち方向Rに移動している場合は、この移動方向Rと反対方向に向かって各々の筬羽5間をエアAが流れる。また、図9に示すように、変形筬1が筬打ち方向Fに移動している場合は、この移動方向Fと反対方向に向かって各々の筬羽5間をエアAが流れる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
まず、上記第1実施形態によって得られる効果は、筬羽列21と筬羽列22との境界位置Pを第1の位置E1よりも緯入れ方向X1の下流側に設定した場合にも得られる。ただし、その場合は、緯糸Yの先端が第1の位置E1を通過した後に実施されるブレーキ処理を考慮して、筬羽列21と筬羽列22との境界位置Pを設定する必要がある。以下、詳しく説明する。
図12に示すように、緯糸の先端は、緯入れ期間の開始時点となる機台角度=80°の時点から、緯入れ期間の終了時点となる機台角度=240°の時点まで、変形筬の長手方向に移動する。また、緯糸の先端は、機台角度=180°の時点では、変形筬の長手方向で第1の位置E1を通過し、機台角度=205°の時点では、変形筬の長手方向で第2の位置E2を通過する。そして、緯糸の先端が第2の位置E2を通過した後は、緯糸先端の位置変化の割合が小さくなる。これは、緯糸の先端が第2の位置E2を通過するタイミングで緯糸にブレーキが掛かり始め、これによって緯糸の飛走速度が低下するからである。筬羽列21と筬羽列22との境界位置Pは、この第2の位置E2にあわせて設定されている。
まず、変形筬1を揺動動作させると、上記図8および図9に示すように、変形筬1の移動方向に応じて各々の筬羽5間にエアAの流れが生じる。その際、変形筬1の筬打ち方向Fへの移動によって筬羽5間を流れるエアA(図9参照)は、各々のサブノズル8から緯入れ通路Sに向けて吹き付けられるエアの漏れを促進するように働く。ただし、変形筬1の揺動動作が後退移動から前進移動へと切り替わるタイミングでは、変形筬1の移動速度が実質的にゼロとなり、その状態から変形筬1が前進移動を開始する。このため、変形筬1が前進移動を開始してから、変形筬1の移動速度が充分に高まるまでの期間は、変形筬1の前進移動が緯糸Yの飛走状態に及ぼす影響は小さくなる。したがって、筬羽列21と筬羽列22との境界位置Pを、第1の位置E1よりも緯入れの終端側にずらして設定しても、エンドちぢれの発生を抑制する効果にそれほど大きな差は生じない。ただし、緯糸Yの先端が第2の位置E2を通過すると、緯糸Yにブレーキが掛かって緯糸Yの飛走速度が低下するため、緯糸Yの先端が筬羽5間に吸い込まれやすくなる。これに対し、筬羽列21と筬羽列22との境界位置Pを第2の位置E2に設定した場合は、第2の位置E2よりも緯入れの終端側において、筬羽5bの奥壁面18に当たって緯入れ通路S側に反射するエアの量が増える。このため、緯糸Yの先端が第2の位置E2を通過しても、緯糸Yの先端が筬羽5b間に吸い込まれにくくなる。よって、エンドちぢれの発生を抑制することができる。
続いて、本発明の第3実施形態について説明する。
本発明の第3実施形態においては、図14に示すように、複数の筬羽5が、変形筬1の長手方向Xで3つの筬羽列20,21,22に区画されている点が、上記第1実施形態と異なる。筬羽列21は第1の筬羽列に相当し、筬羽列22は第2の筬羽列に相当し、筬羽列20は第3の筬羽列に相当するものである。筬羽列20は、変形筬1の長手方向Xに配列された複数の筬羽5cによって構成されている。筬羽列20は、緯入れ方向X1において筬羽列21の上流側に配置されている。筬羽列20と筬羽列21との境界位置P0は、筬羽列21と筬羽列22との境界位置Pよりもメインノズル7に近い側に設定されている。
Claims (2)
- 上壁面、下壁面および奥壁面によって形成される凹部をそれぞれ有する複数の筬羽を緯入れ方向に配列して緯入れ通路を形成するとともに、筬打ち方向への前進移動と反筬打ち方向への後退移動とを交互に繰り返すように揺動動作可能に設けられる変形筬を備える、エアジェット織機の緯入れ装置であって、
前記複数の筬羽は、前記緯入れ通路の軸線に対して前記奥壁面が第1の傾斜角で緯入れ方向に向かうにつれて前記緯入れ通路側に入り込む方向に傾斜した第1の筬羽列と、前記緯入れ方向において前記第1の筬羽列の下流側に配置されるとともに、前記奥壁面が前記第1の傾斜角よりも大きい第2の傾斜角で緯入れ方向に向かうにつれて前記緯入れ通路側に入り込む方向に傾斜した第2の筬羽列とを含み、
前記変形筬の揺動動作が前記後退移動から前記前進移動へと切り替わるタイミングで緯糸の先端が通過する位置を第1の位置とした場合に、前記第1の筬羽列と前記第2の筬羽列との境界位置が、前記第1の位置またはそれよりも前記緯入れ方向の下流側に設定されており、
前記緯入れ通路を飛走中の緯糸にブレーキを掛け始めるタイミングで緯糸の先端が通過する位置を第2の位置とした場合に、前記第2の位置は前記第1の位置よりも前記緯入れ方向の下流側に位置し、前記第1の筬羽列と前記第2の筬羽列との境界位置は、前記第2の位置またはそれよりも前記緯入れ方向の上流側に設定されている、エアジェット織機の緯入れ装置。 - 前記複数の筬羽は、前記緯入れ方向において前記第1の筬羽列の上流側に配置された第3の筬羽列を含み、
前記第3の筬羽列に属する前記筬羽の前記奥壁面は、前記第1の傾斜角よりも小さい傾斜角を有する、請求項1に記載のエアジェット織機の緯入れ装置。
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