JP7184524B2 - 樹脂組成物及び樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
(2) 前記セルロースナノファイバーが、未変性セルロースナノファイバーである事を特徴とする、(1)に記載の樹脂組成物。
(3) 前記溶媒分散性のフッ素樹脂が水系溶媒分散性のフッ素樹脂である事を特徴とする、(1)又は(2)に記載の樹脂組成物。
(4) 前記溶媒分散性のフッ素樹脂が架橋可能な構造を有する架橋性フッ素樹脂である事を特徴とする、(1)~(3)に記載の樹脂組成物。
(5〕 前記セルロースナノファイバー分散剤が、水系溶媒内でセルロースナノファイバーを分散させるアクリルスルホン系分散剤、カルボン酸系分散剤、ホスホリルコリン系分散剤である事を特徴とする、(1)~(4)に記載の樹脂組成物。
(6) 架橋剤を含む事を特徴とする、(1)~(5)に記載の樹脂組成物。
(7) 摩擦面の少なくとも一部が(1)~(6)記載の前記樹脂組成物からなるしゅう動部材。
(8) 非粘着面の少なくとも一部が(1)~(6)記載の前記樹脂組成物からなる非粘着性部材。
(9) (1)~(6)記載の前記樹脂組成物からなるコーティング材料。
(10) 溶媒分散性のフッ素樹脂、平均直径が1nm以上100nm以下であり、且つ、アスペクト比が100以上であるセルロースナノファイバー、セルロースナノファイバーを溶媒中で分散させる分散剤と、を含む樹脂組成物を溶媒内で攪拌混合し、前記セルロースナノファイバーを溶媒内で分散させる事で混合分散体を得る混合分散工程と、
前記混合分散体の溶媒を乾燥させる事で乾燥組成物を得る乾燥工程と、
を含む事を特徴とするフッ素樹脂組成物の製造方法。
(11) 前記混合分散工程において、前記溶媒分散性のフッ素樹脂が水系溶媒内でエマルジョンを形成する事を特徴とする、(10)記載のフッ素樹脂組成物の製造方法。
(12) 前記乾燥組成物を成形加工する成形工程を含む事を特徴とする請求項10又は11記載のフッ素樹脂成形品の製造方法。
セルロースナノファイバーは、その分子鎖中及び/又は分子鎖末端のセルロース由来の水酸基が変性されている変性CNF、これら水酸基が変性されていない未変性CNFどちらであっても良い。このうち、変性CNFとしては、TEMPO酸化CNF、リン酸エステル化CNFが用いられる。特に特開2010-242063号に示すように、CNFの水酸基をTEMPO酸化処理する事で分散性を高めた、カルボキシル化CNFが広く用いられる。さらに、特開2017-171698号に示すような疎水化したCNFで補強した樹脂組成物を用いる事もできる。また、未変性CNFとしては、スギノマシン製BiNFi-s(登録商標)、モリマシナリー(株)製セルロースナノファイバーが用いられる。本発明の用いられるCNFは、未変性CNFが特に好適である。この理由として、未変性CNFは化学的な変性を行う事がないため安価であり、水分散液の粘度が低く取り扱いが容易である。さらに化学的変性工程で用いた触媒や反応助剤がCNF分散体に不純物として混入する事がないため、電子機器への適用性が高く、人体適合性にも優れる点が挙げられる。さらに、未変性CNFはCNF由来の水酸基が残存するため、組成物を製造後、又は製造の段階で、この水酸基へ後付けのカップリング処理を行う事も可能である点で好ましい。
本発明による組成物では、金属などのしゅう動相手材とのしゅう動初期にはCNFより軟らかい、該部材のマトリックスである水溶性樹脂が先に摩耗して、CNFがしゅう動界面に残存し、その結果、CNFの端面、又は側面がしゅう動界面にまんべんなく多数存在する状態となる。これらのしゅう動界面に露出しているCNFがしゅう動の荷重を支えながらしゅう動するため、結果として真実接触面が小さくなり、しゅう動部材全体として低摩擦、低摩耗を示す。
本件発明に用いるフッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、PFA、ETFE、FEP、PVDF、ECTFE、ポリビニリデンフルオライド(PVF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体が挙げられる。このうち、PTFE、PFA、ETFE、FEP及びPVDFが好ましい。これらは1種でもよいし、2種以上組み合わせたものでもよい。これらは溶媒分散性が低い為、置換基を変性させる処理、溶媒分散性を有する共重合体とする処理等、溶媒分散性を高めるための適切な処理をする必要がある。
HBC-SR、JSR株式会社製 SIFCLEAR F102(フッ化ビニリデン‐シリコーン‐アクリル共重合体)等が好ましい。これらのうち、架橋剤が既に配合されているAGCコーテック株式会社製ボンフロンHBC-SR、JSR(株)製SIFCLEAR F102が特に好ましい。尚、上記の水性フッ素樹脂は、架橋剤の添加により架橋構造を形成することができ、耐水性や強度等を向上させることが可能という点でも、好適に使用することができる。また、本発明のフッ素樹脂組成物を溶融成形する場合、ダイキン工業株式会社製のネオフロンEFEPのように、CNFが熱劣化する温度(200℃)以下の融点のフッ素樹脂を選択すると、CNFが熱劣化しないため、特に望ましい。
本件発明に用いる分散剤は、CNFを溶媒中で分散させる分散剤であれば何でも良いが、CNFが一般に水分散性である事より、特に水系溶媒に分散させる分散剤が好ましい。具体的には、水溶性分散剤であり、好ましくは未変性セルロースナノファイバーが表面に有する水酸基などの官能基とイオン結合可能な水溶性分散剤であり、より好ましくは未変性セルロースナノファイバーが表面に有する水酸基などの官能基とイオン結合可能でありかつ静電反発力などにより本発明の樹脂組成物中での未変性セルロースナノファイバーの分散性及び分散安定性を高め得るような分散剤である。該分散剤としては、前述のように水溶性であれば特に限定されないが、陰イオン性分散剤を好ましく使用できる。陰イオン性分散剤としては、例えば、リン酸基、-COOH基、-SO3H基、これらの金属エステル基、及びイミダゾリン基から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する化合物、アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(共)重合体などが挙げられる。陰イオン性分散剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明の組成物は、架橋剤を含む事ができる。これにより、本発明に係る組成物に加熱処理や放射線処理等の架橋処理を施す事で、フッ素樹脂とCNF組成物の架橋体が得られる。これにより、非粘着部材やしゅう動部材を形成する事が出来る。特にフッ素樹脂が架橋性樹脂である場合、CNF同士間、架橋性樹脂(又は自己架橋性樹脂)間、CNFと架橋性樹脂との間のいずれかに架橋構造が導入される。これらのことにより、本発明の樹脂組成物は、耐水性が発現し、機械的強度、剛性が向上することとあいまって、しゅう動特性に優れる組成物とすることができるだけでなく、耐候性、耐熱性、柔軟性、耐薬品性、自己修復性に優れたものになる。
本件発明において親水性CNFを用いる場合、CNFの分散性を向上させるため、水系溶媒を用いる事が好ましい。ここで水系溶媒は、水、水溶性溶媒、水と水溶性溶媒との混合溶媒などを含む。水溶性溶媒としては、前述の水溶性溶媒と同じものをいずれも使用でき、水溶性溶媒としては、水、低級アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール)、グリコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール)、グリセリン、アセトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトアミドなどが好ましい。これらの水溶性溶媒は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。好ましい水系溶媒は、水、水と水溶性溶媒との混合溶媒などであり、特別な廃液処理設備が不要で環境汚染をしにくい水が特に好ましい。
また、本発明の樹脂組成物にアルカリ剤を配合し、そのpHを弱アルカリに調整することにより、未変性セルロースナノファイバーの分散性及び分散安定性をさらに向上させても良い。アルカリ剤としては特に限定されず、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどが挙げられる。アルカリ剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
また、本発明では、得られる本発明樹脂組成物の好ましい特性を損なわない範囲で、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末などの固体潤滑剤、ヒンダードフェノール、リン酸エステルや亜リン酸エステルなどの酸化防止剤、耐熱安定剤、トリアジン系化合物などの耐候性付与剤等の安定剤、染料等の着色剤、揆水剤、アンチブロッキング剤、レベリング剤、消泡剤、防腐剤などを配合することができる。これらの添加剤は、上記した各成分と共に同時に一段で混合してもよく、また、得られた本発明の樹脂組成物に添加及び混合してもよい。
[製造工程]
予備混合工程では、溶媒に、CNF、フッ素樹脂、分散剤を、ロッキングミル、ヘンシェルミキサー、インラインミキサー、二軸ニーダー等の混合装置によって予備的に混合する。また、架橋剤を同時に混合しても良い。予備混合工程を経る事により、溶媒内でCNFやフッ素樹脂等が均一に混合され、後の工程である混合分散工程の効率が良くなる。
混合分散工程では、CNF、フッ素樹脂、分散剤、架橋剤等の添加剤を溶媒内で機械的に攪拌する事で混合分散させる。混合分散工程を経る事で、CNF及びフッ素樹脂が溶媒内に分散する。特に分散剤がCNFの溶媒への分散性を向上させる。ここで混合分散は、例えば、高圧ホモジナイザー、水中カウンターコリジョン、高速回転分散機、ビーズレス分散機、高速撹拌型メディアレス分散機等を用いて、機械的解繊処理を同時に行うと、CNFの凝集が解け、分散剤と効率よく結合して、さらにCNFの分散効率が向上するため、望ましい。特にCNFの分散性が高く、不純物の混入が少ないという理由から、高速撹拌型メディアレス分散機が好ましい。
乾燥工程では、CNF、フッ素樹脂、分散剤、架橋剤等の添加剤を溶媒内で混合分散させた分散液容器に注ぎこみ、乾燥させる。これにより、本件発明の樹脂組成物が得られる。乾燥手段としては、例えば、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥などの公知の方法を採用することができる。これらのうち、分散剤による静電反発によりもたらされた水分散体におけるCNFの分散状態を保持したまま水分除去が可能であることから、凍結乾燥が特に望ましい。ここで、乾燥には溶媒をほぼ全て揮発させ、樹脂組成物の固形物やスラリーを得る方法の他、溶媒の一部を乾燥させる事で分散液の濃縮液としても良い。
乾燥工程で得られた樹脂組成物は、硬化処理や溶融成形により、所望の形状に成形できる。硬化処理は、乾燥工程で得られたスラリーや濃縮液を、塗膜状等の所望の形状に成形した後、架橋や乾燥する事で行うより行う。また、溶融成形としては、固形物等を射出成形、押出成形が挙げられる。ここで、CNFは200℃以上熱劣化が始まるため、過度な加熱を行わずに硬化及び成形可能な架橋処理が成形工程として特に好ましい。以下に、基材等に塗膜を形成するコーティング工程及び架橋処理する架橋工程について記載する。尚、溶融成形を行う場合、CNFの熱劣化が始まる温度以下で溶融成形可能な樹脂を選択する事が、CNFが熱劣化しないため、望ましい。
コーティグ工程は、例えば、樹脂組成物又はその架橋体の溶液又は分散液を基材表面に塗布し、加熱乾燥することにより、塗膜状成形品が得られる。ここで、塗布方法としては特に限定されず、例えば、スピンコーター法、バーコーター法、スプレーコート法、刷毛、ヘラ、ブラシやローラーによる塗布、ディッピング法、電着塗装法などが挙げられる。
架橋工程では、混合工程で得られた本発明の樹脂組成物の溶液又は分散液に対して架橋処理を施す。このとき、樹脂組成物が架橋性樹脂及び架橋剤を含む場合、又は樹脂組成物が自己架橋性樹脂及び必要に応じて架橋剤を含む場合は、少なくとも一部の未変性セルロースナノファイバー間、少なくとも一部の未変性セルロースナノファイバーと少なくとも一部の架橋性樹脂(又は自己架橋性樹脂)との間、および少なくとも一部の架橋性樹脂(又は自己架橋性樹脂)間の1又は2以上に架橋剤及び/又は自己架橋性樹脂による架橋構造が形成された架橋体を含む本発明の樹脂組成物の架橋体の溶液又は分散液が得られる。これを後述する成形工程に従って成形することにより、機械的強度、耐熱性、耐薬品性、耐摩耗性、耐傷つき性、吸水性、保水性、ガスバリア性、自己修復性などが一層向上した、架橋構造を含む成形品が得られる。また本発明では、水系溶媒を分散媒として用いているので、本発明の樹脂組成物の溶液又は分散液にそのまま架橋処理を施しても、安全性が高いという利点がある。
上記の成形工程以外にも、溶液キャスト(流延)法のほか、異形押出し成形法、ブロー成形法、圧縮成形法、真空成形法、射出成形法等によって本件発明の樹脂組成物を成形できる
水系フッ素樹脂として、以下の3種類の水系フッ素樹脂エマルジョンを用いた。
(A-1)ルミフロン FE4400 (商品名、旭硝子(株)製、固形分50%)
(A-2)ボンフロン HBC-SR (商品名、AGCコーテック(株)製、固形分37%)
(A-3)SIFCLEAR F102 (商品名、JSR(株)製、固形分47%)
(B)未変性CNF(商品名:BiNFi-s、(株)スギノマシン製、固形分10重量%の水分散体)を用いた。
(C)アクリルスルホン酸系分散剤(商品名:アロン A-6012、水溶性、東亞合成(株)製)を用いた。
(D)水系フッ素樹脂(A-1)の架橋剤として、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI、デュラネート WL70-100、旭化成(株)製、水溶性液体)を用いた。(A-2)、(A-3)については、架橋剤が製造者によりすでに配合済されており、新たに添加しなかった。
ビーズを使わずにスラリーの分散・乳化・混合を行うことのできるアペックスディスパーザーZERO(商品名、(株)広島メタル&マシナリー製)を用い、CNFの化機械的解繊処理を図るとともに、CNF/水性フッ素樹脂水分散液を調整した。
得られた水分散液を、バーコーター(塗工機3、(株)井元製作所製)を用いて、塗布速度20mm/secにて基材に塗布し、その後架橋処理として、小型電気炉にて150℃×1時間加熱処理を行い、塗工膜(F)を得た。
また、下記のピンディスク試験用試料として、SUS304製ディスク(φ90×φ20×7t、表面粗さRa=0.2μm)を用いて同様に塗布し、風乾後、その後架橋処理を行って塗工膜(F-2)を得た。塗工膜の厚さは50~100μmとした。
実施例および比較例で得られたナノファイバー複合体1mlをディスポーザブルガラス試験管に入れ、精製水で希釈し、CNF濃度を0.01重量%に調整する。次いで、30分超音波処理後、下記のゼータ電位測定に供した。使用機器および測定条件は以下のとおりである。
測定条件:ゼータ電位用 標準セルSOP
測定温度:25.0℃
ゼータ電位換算式:Smolchowskiの式
溶媒:水(屈折率=1.33、粘度=0.89cP、誘電率=78.3F/mとした)
システム適合性:Latex262nm標準溶液(0.001%)で規格値の範囲を超えない。
塗工膜のしゅう動特性は、ピンオンディスク型摩擦摩耗試験機を用いて、SUS304製ディスク面に塗工した(F)CNF/水系フッ素樹脂塗工膜に対して、S45C製半球状(φ9)ピンをしゅう動させて、生じる摩擦力及び塗工膜の摩耗速度を調べた。
摩耗速度は、試験開始後に塗工膜が半球状ピンがしゅう動して摩耗し、下地のSUS304が露出する点を摩耗寿命とし、試験開始後に露出した時間で摩耗高さを除することで求めた。摩耗寿命時間は、ピンオンディスク型摩擦摩耗試験機の測定データから、摩耗進行が停止し、かつ摩擦力が高くなり始める点を求めることで判定した。
摩擦力は、ディスク上の塗工膜と半球状鋼製ピン試料が下記の条件でしゅう動する際に発生する摩擦力の値をそのまま用いた。
また、試験後の鋼製ピンのしゅう動部を目視観察し、表面の色の変化および金属摩耗粉の発生の有無から、その荒れの有無を判定した。色の変化としては、金属が削れて光沢が現れたり、濃い色の摩耗粉が現れたりすると、鋼製ピン表面が荒れたものとして判定した。
試験装置 :ピンオンディスク型摩擦摩耗試験機(商品名:オートピンディスク、スターライト工業(株)製)
相手ディスク :SUS304
(φ90×φ20×7t、Ra=0.2μm)
しゅう動円直径 : 55 mm
試験荷重 : 0.2kgf
試験速度 : 0.2 m/sec
試験温度 : 常温
試験時間 : 90min
水系フッ素樹脂(A-1)を用い、(B)CNFを水系フッ素樹脂に対して1重量%、(C)分散剤を(B)に対して4重量%、(D)架橋剤を(A-1)に対して10重量%添加し、プロペラ式卓上型攪拌機にて予備混合後、アペックスディスパーザーZEROに投入し、CNFの解繊処理と混合処理を同時に行い、水分散液(E-1)を得た。
該水分散液をPETフィルム(OHPフィルムPPC用、コクヨ(株)製、0.1mm厚)およびSUS304製ディスクにバーコーターを用いて塗工し、乾燥後、小型定温電気炉にて150℃×1時間加熱保持することで架橋処理を行った。
塗工したPETフィルムを用いて、CNFの分散性を肉眼で以下の基準でランク付けして評価した。
1:CNFが直径1mm以上の凝集体となり斑になっている。
2:CNFの凝集体は直径1mm以下である。
3:わずかにCNFの凝集体が見られる。
4:凝集体はほとんど見られない。
5:凝集体は見られず、均一な塗工膜である。
K5600-5-4に従って測定した。
○:傷の幅が非常に小さくかつ寸法が10mm以下と短い擦り傷が数本ある。
△:傷の幅は非常に小さいものの、寸法が10mmを超えるような擦り傷が10本を超えて多数存在する。
×:傷の幅が大きく、明確であり、表面には摩耗粉が散らばっている。
実施例1において、(B)CNFの添加量を3重量%とした以外は、実施例1と同様に操作し、水分散液(E-2)を調製した。該塗工液のゼータ電位を測定するとともに、該水分散液をPETフィルム、およびSUS304ディスクに塗工し、実施例1と同一条件で架橋処理後、塗工膜の分散性、鉛筆硬度、耐擦傷性及びピンオンディスク型摩擦摩耗試験機を用いて、摩擦力及び摩耗速度を測定した。
実施例1において、(B)CNFの添加量を5重量%とした以外は、実施例1と同様に操作し、水分散液(E-3)を調製し、該塗工液のゼータ電位を測定するとともに、塗工膜の分散性、鉛筆硬度、耐擦傷性及びピンディスク試験機を用いて、摩擦力及び摩耗速度を測定した。
実施例1において、(B)CNFの添加量を10重量%とした以外は、実施例1と同様に操作し、水分散液(E-4)を調製し、該塗工液のゼータ電位を測定するとともに、塗工膜の分散性、鉛筆硬度、耐擦傷性及びピンオンディスク型摩擦摩耗試験機を用いて、摩擦力及び摩耗速度を測定した。
実施例2において、水性フッ素樹脂(A-1)の代わりに、水性フッ素樹脂(A-2)を使用した以外は、実施例2と同様に操作し、水分散液(E-5)を調製し、該水分散液のゼータ電位を測定するとともに、塗工膜の分散性、鉛筆硬度、耐擦傷性及びピンオンディスク型摩擦摩耗試験機を用いて、摩擦力及び摩耗速度を測定した。
実施例2において、水系フッ素樹脂(A-1)の代わりに、水性フッ素樹脂(A-3)を使用した以外は、実施例2と同様に操作し、水分散液(E-6)を調製し、該水分散液のゼータ電位を測定するとともに、塗工膜の分散性、鉛筆硬度、耐擦傷性及びピンオンディスク型摩擦摩耗試験機を用いて、摩擦力及び摩耗速度を測定した。
実施例1において、CNFを加えずさらに(C)分散剤を加えなかった以外は、実施例1と同様に操作し、水分散液(E-7)を調製し、該水分散液のゼータ電位を測定するとともに、塗工膜の分散性、鉛筆硬度、耐擦傷性及びピンオンディスク型摩擦摩耗試験機を用いて、摩擦力及び摩耗速度を測定した。
実施例1において、CNF添加量を15重量%とした以外は、実施例1と同様に操作し、水分散液(E-8)を調製し、該水分散液のゼータ電位を測定するとともに、塗工膜の分散性、鉛筆硬度、耐擦傷性及びピンオンディスク型摩擦摩耗試験機を用いて、摩擦力及び摩耗速度を測定した。
実施例2において、(C)分散剤を添加しなかった以外は、実施例2と同様に操作し、水分散液(E-9)を調製し、該水分散液のゼータ電位を測定するとともに、塗工膜の分散性、鉛筆硬度、耐擦傷性及びピンオンディスク型摩擦摩耗試験機を用いて、摩擦力及び摩耗速度を測定した。
実施例2において、(B)CNFの代わりに、(F)ミルドガラス繊維(EFH30-01,セントラル硝子(株)製、平均繊維長30μm)を5重量%添加し、さらに(C)分散剤を添加せず、また水分散液の攪拌・分散をプロペラ式卓上攪拌装置を用いて300rpm×30分攪拌した以外は、実施例2と同様に操作し、水分散液(E-10)を調製し、該水分散液のゼータ電位を測定するとともに、塗工膜の分散性、鉛筆硬度、耐擦傷性及びピンオンディスク型摩擦摩耗試験機を用いて、摩擦力及び摩耗速度を測定した。
実施例2において、(B)CNFの代わりに、(G)ピッチ系炭素繊維のミルドファイバー(商品名:ダイヤリード K6371M、三菱ケミカル(株)製、平均繊維長:50μm)を用い、さらに(C)分散剤を添加せず、また水分散液の攪拌・分散をプロペラ式卓上攪拌装置を用いて300rpm×30分攪拌した以外は、実施例2と同様に操作し、水分散液(E-11)を調製し、該水分散液のゼータ電位を測定するとともに、塗工膜の分散性、鉛筆硬度、耐擦傷性及びピンオンディスク型摩擦摩耗試験機を用いて、摩擦力及び摩耗速度を測定した。
さらに、CNFを他の一般的に用いられる強化繊維であるガラス繊維あるいは炭素繊維に置き換えると、ピンディスク試験において相手ピン試料の表面に荒れが生じ、摩擦摩耗用とではふさわしくない。
Claims (11)
- 水、または水と水溶性の有機溶媒との混合溶媒に分散可能なフッ素樹脂を主成分とし、
前記フッ素樹脂が、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ペンタフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレンから選ばれる一種以上の炭素数2~4のフルオロオレフィンに基づく重合単位を必須成分とするフルオロオレフィン系共重合体であり、
該フルオロオレフィン系共重合体が、 フルオロオレフィンに基づく繰返し単位と、カルボキシ基および/又は水酸基を含む繰返し単位からなる、フルオロオレフィン共重合体の水系エマルジョンであり、
前記フルオロオレフィン系共重合体と、平均直径が1nm以上100nm以下であり且つアスペクト比が100以上であるセルロースナノファイバー、前記セルロースナノファイバーを前記水、または水と水溶性の有機溶媒との混合溶媒中で分散させる分散剤と、を含む樹脂組成物。 - 前記セルロースナノファイバーが、未変性セルロースナノファイバーである事を特徴とする、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記水、または水と水溶性の有機溶媒との混合溶媒に分散可能なフッ素樹脂が架橋可能な構造を有する架橋性フッ素樹脂である事を特徴とする、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 前記セルロースナノファイバーを前記水、または水と水溶性の有機溶媒との混合溶媒中で分散させる分散剤が、該水、または水と水溶性の有機溶媒との混合溶媒内でセルロースナノファイバーを分散させるアクリルスルホン系分散剤、カルボン酸系分散剤、ホスホリルコリン系分散剤である事を特徴とする、請求項1~3いずれかに記載の樹脂組成物。
- 架橋剤を含む事を特徴とする、請求項1~4いずれかに記載の樹脂組成物。
- 摩擦面の少なくとも一部が請求項1~5いずれかに記載の前記樹脂組成物からなるしゅう動部材。
- 非粘着面の少なくとも一部が請求項1~5いずれかに記載の前記樹脂組成物からなる非粘着性部材。
- 請求項1~5いずれかに記載の樹脂組成物からなるコーティング材料。
- 水、または水と水溶性の有機溶媒との混合溶媒に分散可能なフッ素樹脂が、
フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ペンタフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレンから選ばれる一種以上の炭素数2~4のフルオロオレフィンに基づく重合単位を必須成分とするフルオロオレフィン系共重合体であり、
該フルオロオレフィン系共重合体が、 フルオロオレフィンに基づく繰返し単位と、カルボキシ基および/又は水酸基を含む繰返し単位からなる、フルオロオレフィン系共重合体の水系エマルジョンであり、
前記フッ素樹脂と、平均直径が1nm以上100nm以下であり、且つ、アスペクト比が100以上であるセルロースナノファイバー、セルロースナノファイバーを前記水、または水と水溶性の有機溶媒との混合溶媒中で分散させる分散剤と、を含む樹脂組成物を前記水、または水と水溶性の有機溶媒との混合溶媒内で攪拌混合し、前記セルロースナノファイバーを前記水、または水と水溶性の有機溶媒との混合溶媒内で分散させる事で混合分散体を得る混合分散工程と、
前記混合分散体の溶媒を乾燥させる事で乾燥組成物を得る乾燥工程と、
を含む事を特徴とする樹脂組成物の製造方法。 - 前記混合分散工程において、前記水、または水と水溶性の有機溶媒との混合溶媒に分散可能なフッ素樹脂が、前記水、または水と水溶性の有機溶媒との混合溶媒内でエマルジョンを形成する事を特徴とする、請求項9に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 前記乾燥組成物を成形加工する成形工程を含む事を特徴とする請求項9又は10に記載の樹脂成形品の製造方法。
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