JP2017145391A - セルロースナノファイバー分散体、およびセルロースナノファイバー分散体の製造方法 - Google Patents

セルロースナノファイバー分散体、およびセルロースナノファイバー分散体の製造方法 Download PDF

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【課題】セルロースナノファイバーが良好に分散した分散体及びその製造方法を提供する。【解決手段】セルロースナノファイバーと分散剤とを主成分とするセルロースナノファイバー分散体であって、該分散剤が(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(共)重合体を主成分とするものである、セルロースナノファイバー分散体、ならびにセルロースと(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを主成分とする分散剤を含む分散体を、高速撹拌型のメディアレス分散機で処理するセルロースナノファイバー分散体の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、セルロースナノファイバーが良好に分散した分散体及びその製造方法に関する。
天然に多量に存在するバイオマスであるセルロースは、ナノファイバーが集束化して繊維構造をとり、主に植物の強靭な構造材として機能している。このようなセルロース繊維の構造材中では、ナノファイバー表面間での主に水素結合を介した結合力によって強く集束しているため、本来のナノファイバーの状態に分散させることは難しい。
そこで、特許文献1では、セルロースナノファイバーと、リン酸またはポリリン酸、リン酸またはポリリン酸の塩、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸共重合体、ポリアクリル酸の塩、ポリアクリル酸共重合体の塩などの、P-OH基、−COOH基、−SOH基、あるいは、それらの金属塩基が少なくとも1種が結合した陰イオン性分散剤を含む分散体を、高圧噴射処理することにより得られるセルロースナノファイバーの分散体が提案されている。
しかしながら、この特許文献では、分散剤として上記のような陰イオン性分散剤を用いているためにセルロースナノファイバー表面に陰イオン層が形成され、また、分散体を製造する際には、高圧噴射処理するため、特別な専用装置が必要となる。
特開2012−51991号公報
本発明は、上述の問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、セルロースナノファイバーが良好に分散した分散体及びその製造方法を提供することにある。
本発明は、セルロースナノファイバーと分散剤とを主成分とするセルロースナノファイバー分散体であって、該分散剤が(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(共)重合体を主成分とするものであることを特徴とする、セルロースナノファイバー分散体に関する。
ここで、「セルロースナノファイバーと分散剤とを主成分とする」とは、固形分として、セルロースナノファイバーと分散剤が10重量%以上含まれていることを指称し、1重量%以下、他の固形分が含まれていてもよい。
また、「(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(共)重合体を主成分とする」とは、分散剤として、当該(共)重合体が固形換算で0.1重量%以上含まれていることを指称し、0.05重量%以下、他の分散剤が含まれていてもよい。
ここで、セルロースナノファイバーの平均繊維径は、好ましくは10〜100nmである。
また、本発明において、分散剤を構成する(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(共)重合体としては、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、ポリメタクリル酸ブチル・メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン及びポリメタクリル酸ステアリル・メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
さらに、本発明のセルロースナノファイバー分散体は、セルロースナノファイバー0.01〜10重量%と分散剤をセルロースナノファイバーに対して0.1〜50重量%含むことが好ましい。
次に、本発明は、セルロースと(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(共)重合体を主成分とする分散剤を含む分散体を、高速撹拌型のメディアレス分散機で処理する上記セルロースナノファイバー分散体の製造方法に関する。
本発明によれば、セルロースナノファイバーが良好に分散した分散体を得ることができる。
<セルロースナノファイバーの原料>
本発明のセルロースナノファイバー分散体の製造に使用するセルロースの原料は、繊維状、粒状などの任意の形態であってもよい。セルロース原料は、リグニンやヘミセルロースを除去した結晶セルロースが好ましい。また、市販の原料を使用してもよい。メディアレス分散機でセルロースを処理すると、セルロースは繊維の長さを保ったまま繊維同士の絡まりがほどけて細くなるが、処理条件を変えることで、繊維の切断もしくは分子量を低下させることも可能である。なお、本発明において「ナノファイバー」とは、繊維の幅がナノサイズになったものを意味する。例えばセルロースは、本発明の方法の実施により繊維同士がほどけて1本の最小単位の繊維になると、その直径は10〜50nm程度となる。セルロース原料ないしナノファイバーの直径(幅)は、電子顕微鏡写真により測定することができる。このような繊維は、長さはナノサイズではないが、直径(幅)がナノサイズであるので、本発明においてナノファイバーと指称する。
<分散剤>
本発明に用いられる分散剤は、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(共)重合体を含むものである。
ここで、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとは、メタアクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと、アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとを統括した言葉である。これらは、常法に従って製造される。即ち、一例を挙げれば、2−ブロモエチルホスホリルジクロリドと2−ヒドロキシエチルホスホリルジクロリドと2−ヒドロキシエチルメタクリレートとを反応させて2−メタクリロイルオキシエチル−2′−ブロモエチルリン酸を得、更にこれをトリメチルアミンとメタノール溶液中で反応させて得ることができる。
かかる(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(以下「MPC」)を用いて重合体(ホモポリマー)を作成する方法としては、通常の重合方法に従えば良く、例えば、これらのモノマーを溶媒中で重合開始剤の存在下、反応させて得られる。ここで使用される溶媒としては、MPCが溶解するものであれば良く、具体的には水、メタノール、エタノール、プロパノール、t−ブタノール、ベンゼン、トルエン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、クロロホルムまたはこれらの混合溶媒等が例示される。また、重合開始剤としては、通常のラジカル開始剤ならば何れを用いても良く、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、3−カルボキシプロピオニトリル、アゾビスマレノニトリル等の脂肪酸アゾ化合物や過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸カリウム等の有機過酸化物を挙げることができる。
共重合体(コポリマー)を作成する場合には、これらのモノマーに加えて、更に、任意のモノマーを加え、同様に重合することができる。該任意のモノマーとしては、アクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタアクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタアクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタアクリル酸ブチル、アクリル酸ラウリル、メタアクリル酸ラウリル、アクリル酸セチル、メタアクリル酸セチル、アクリル酸ステアリル、メタアクリル酸ステアリル、アクリル酸イソステアリル、メタアクリル酸イソステアリル、アクリル酸オレイル、メタアクリル酸オレイルなどの(メタ)アクリル酸アルキル、アクリル酸、メタアクリル酸などの(メタ)アクリル酸或いはそれらの塩、ポリオキシエチレンアクリル酸、ポリオキシエチレンメタアクリル酸、ポリオキシプロピレンアクリル酸、ポリオキシプロピレンメタアクリル酸等のポリオキシアルキレン変性(メタ)アクリル酸等が好ましく例示できる。又、共重合の方法は、通常知られているものであれば、特段の限定はなく、ランダム共重合、ブロック共重合などが好ましく例示できる。
このようなポリマー或いはコポリマーには既に市販されているものがあり、かかる市販品を購入して利用することもできる。この様な市販品としては、例えば、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンである、「リピジュアHM」(日本油脂株式会社製)、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチルコポリマーである、「リピジュアPMB」(日本油脂株式会社製)、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリルコポリマーである、「リピジュアNR」(日本油脂株式会社製)等が好ましく例示できる。
なお、本発明の分散体において、分散剤としては、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(共)重合体のほか、リン酸またはポリリン酸、リン酸またはポリリン酸の塩、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸共重合体、ポリアクリル酸の塩、ポリアクリル酸共重合体の塩などの陰イオン性分散剤など、常用される他の分散剤を配合してもよい。
また、本発明のセルロースナノファイバー分散体には、リン酸、クエン酸、酢酸、リンゴ酸などの酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリを少量加えてもよい。
<分散媒>
セルロースナノファイバー分散体の分散媒としては、水、低級アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール)、グリコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール)、グリセリン、アセトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトアミドなどが挙げられ、これらは1種または2種以上を混合して用いることができる。好ましい分散媒は、水、含水溶媒が挙げられ、水が特に好ましい。
<分散体の組成>
本発明の分散体において、セルロースナノファイバーは好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5.0重量%、より好ましくは1.0〜3.0重量%含まれ、分散剤は、セルロースナノファイバー(固形分重量)に対して好ましくは0.1〜50重量%、さらに好ましくは1〜20重量%、より好ましくは5〜20重量%含まれる。セルロースナノファイバーの分散体の分散媒の含有量は、好ましくは50〜99.9重量%、さらに好ましくは60〜99.5重量%、より好ましくは70〜99重量%である。
なお、本発明のセルロースナノファイバー分散体は、セルロースナノファイバー1重量部に対し、分散剤を好ましくは0.01〜0.4重量部、さらに好ましくは0.02〜0.3重量部、より好ましくは0.03〜0.25重量部、最も好ましくは0.05〜0.2重量部程度である。分散剤は多すぎても少なすぎてもセルロースナノファイバーの沈降を生じやすくなる。
<セルロースナノファイバー>
本発明により得られるナノファイバーは、繊維径が100nm以下、より好ましくは80nm以下、さらに好ましくは60nm以下、特に40nm以下である。本発明のナノファイバーは、繊維径が非常に細く、開繊が不十分なセルロースは実質的に存在せず、水に分散させた場合に透明な溶液に近い外観を有し、水の中にナノファイバーが分散していることは肉眼的には認められず、透明な分散液(低濃度の場合)または透明ゲルもしくは不透明ゲル(高濃度の場合)を得ることができる。本発明の「分散体」は、水分散液、水分散ゲル、水分散ペーストなどの種々の形態が含まれる。高圧噴射の処理回数を増やすことで不透明なゲルから透明なゲルにすることができる。
伸びきり鎖結晶からなるセルロースナノファイバーの弾性率、強度はそれぞれ140GPaおよび3GPaに達し、代表的な高強度繊維、アラミド繊維に等しく、ガラス繊維よりも高弾性であることが知られている。しかも線熱膨張係数は1.0×10-7/℃と石英ガラスに匹敵する低さである。本発明のセルロースナノファイバーの水分散液は、ナノファイバーの分散性に優れているのでコンポジットの補強繊維としても有用である。
<分散体の製造方法>
本発明の分散体は、セルロース、分散剤、および分散媒を機械的開繊手段に供給して、機械的開繊により、セルロースをナノファイバー化するとともに、分散剤により、安定した分散体として得られる。
機械的開繊手段としては、グラインダー、混練り機、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、水中カウンターコリージョン、高速回転分散機、ビーズレス分散機、高速撹拌型のメディアレス分散機などが挙げられるが、好ましくは高速撹拌型のメディアレス分散機が最も好ましい。
メディアレス分散機は、不純物の混入が少なく、純度の高いセルロースナノファイバー分散体が得られる。
高速攪拌型のメディアレス分散機とは、分散メディア(例えば、ビーズ、サンド(砂)、ボール、等)を実質的に用いず、剪断力を利用して分散処理を行う分散機を意味する。
メディアレス分散機としては、特に限定はされないが、例えば、IKA社製 DR−PILOT2000、ULTRA−TURRAXシリーズ、Dispax−Reactorシリーズ;プライミクス株式会社製 T.K.ホモミクサー、T.K.パイプラインホモミクサー;シルバーソン社製 ハイ・シアー・ミキサー;大平洋機工株式会社製 マイルダー、キャビトロン;エムテクニック株式会社製 クレアミックス:みずほ工業株式会社製 ホモミキサー、パイプラインミキサー、寿工業(株)製 K−2等が挙げられる。
これらの中でも、メディアレス分散機としては、ロータとステータとを備える分散機が好ましく、そのような高速攪拌型のメディアレス分散機の例として、寿工業(株)製の分散機が挙げられる。この分散機は、ステータと、前記ステータの内部で回転するロータとを備える。これらのステータとロータの間には、隙間が形成されている。ロータを回転させて、ステータとロータの間に混合液を通過させることで、剪断力を与えることができる。ステータとロータの距離を、剪断部クリアランスとする。
また、分散機は、上記のものに限定されず、例えばステータ及びロータが多段階に設置されている分散機を用いてもよい。
本発明のメディアレス分散機としては、処理を均一に行う観点から、該分散機の中を混合液が循環するインライン循環式のものを用いることが好ましい。
メディアレス分散機における剪断速度は、900,000[1/sec]を超える。剪断速度が900,000[1/sec]以下である場合には、セルロースが解砕されない。
剪断速度は、2,000,000[1/sec]以下が好ましく、1,500,000[1/sec]以下が好ましく、1,200,000[1/sec]以下がより好ましい。
また、メディアレス分散機の剪断部クリアランスは、上記の剪断速度に応じて適宜設定されるが、最適な顔料粒径を得る観点から、10μm以上が好ましく、15μm以上がより好ましく、20μm以上が更に好ましい。また、分散機の回転速度を適切な数値に保つ観点から、当該クリアランスは、100μmが以下好ましく、50μm以下がより好ましく、40μm以下がより更に好ましい。
さらに、メディアレス分散機の回転周速は、上記剪断速度に応じて適宜設定されるが、最適なセルロースナノファイバーを得る観点から、18m/s以上が好ましく、20m/s以上がより好ましく、23m/s以上がより好ましい。また、最適なセルロースナノファイバー径を得る観点から、当該回転周速は、50m/sが以下好ましく、40m/s以下がより好ましく、35m/s以下がより更に好ましい。回転周速は、ロータの最先端部分の周速である。
このように、本発明のセルロースナノファイバーの分散体は、セルロースと分散剤を含む分散体を1回〜複数回、上記のような高速撹拌型のメディアレス分散機を用いて処理することにより製造することができる。
本発明の方法により処理されて得られたセルロースナノファイバーの平均繊維径は10〜100nm程度、好ましくは10〜40nm程度、最も好ましくは15〜25nm程度である。本発明のナノファイバーは、繊維長/繊維幅(アスペクト比)が大きくて分散状態が良好であるため、強度を保ちつつ不織布のようにナノファイバーが絡み合ったフィルム・シート状に成型することが容易であり、各種の材料として好適に使用できる。本発明のセルロースナノファイバーの水分散体をフィルム・シート状にした不織布は、透明性が高い特徴がある。前記の分散剤は、セルロースナノファイバーと同様に生体適合性を有することから、当該分散体を医療あるいは食品用途に好適に使用できる。
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1〜3、比較例1〜3
メディアレス分散機として、寿工業社製のK‐2を用い、分散媒としての精製水、セルロースナノファイバーおよび分散剤を分散したスラリー状物を当該メディアレス分散機に投入して回転周速30m/sで循環させ、せん断によりセルロースの分散・解繊を促進させて、分散が安定したセルロースナノファイバー分散体を得た。
すなわち、上記の装置を用いて、セルロースナノファイバー原料(BiNFi−s、(株)スギノマシン製)を0.1重量%、分散剤として異なった濃度(0.004重量%〜0.01重量%)のポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(日本油脂(株)製、リピジュアHM)を含む水分散液について5回メディアレス分散処理を繰り返し、セルロースナノファイバー分散体を調製し、ゼータ電位、分散性を測定し、沈降安定性を目視にて評価した。結果を表1に示す。
なお、比較例1は、分散剤を含まない例である。
また、分散剤の添加量は、セルロースナノファイバーに対する重量割合であり、残量は水である(表2〜4も同様)。
実施例4〜6、比較例4〜5
分散剤の種類をポリメタクリル酸ブチル・メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(日本油脂(株)製、リピジュアPMB)に変更した以外は、実施例1と同様に操作して、セルロースナノファイバー分散体を調製した。結果を表2に示す。
実施例7〜9、比較例6〜7
分散剤の種類をポリメタクリル酸ステアリル・メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(日本油脂(株)製、リピジュアNR)に変更した以外は、実施例1と同様に操作して、セルロースナノファイバー分散体を調製した。結果を表3に示す。
実施例10〜12、比較例8〜10
分散剤の添加量を一定にする一方、セルロースナノファイバーの添加量を変える以外は、実施例1と同様に操作して、セルロースナノファイバー分散体を調製して同様に評価した(実施例10〜12)。一方、分散剤を添加することなく、セルロースナノファイバーの添加量を変えた以外は実施例1と同様に操作して、セルロースナノファイバー分散体を調製して評価した(比較例8〜10)。結果を表4に示す。



なお、ゼータ電位の測定および分散性は下記のようにして測定した。
(ゼータ電位測定法)
以下の順序でサンプル調製及びゼータ電位の測定を行った。
サンプルを充分攪拌したのち、ディスポーザブルガラス試験管を用いて、蒸留水で希釈しセルロースナノファイバー濃度(重量%濃度)を0.01%に調整する。次いで、30分超音波処理後、下記のゼータ電位測定に供した。用いた機器及び測定条件は以下のごとくである。
測定機器:ゼータ電位・粒径測定システム (大塚電子製)
測定条件:ゼータ電位用 標準セルSOP
測定温度:25.0℃
ゼータ電位換算式:Smolchowskiの式
溶媒名:water (溶媒の屈折率・粘度・誘電率のパラメータは、大塚電子製ELSZソフトの値をそのまま適用)
システム適合性:Latex262nm標準溶液(0.001%)で規格値の範囲を超えない。
(セルロースナノファイバーの分散・凝集の目視判定)
上記のゼータ電位測定液の、セルロースナノファイバー分散性ならびに添加成分の沈降の有無を評価した。
均一微分散とは、白濁している分散液全体が全体に一様な明度であり、色むらや凝集物がまったく見られない状態が長時間安定している。
不均一分散とは、白濁している分散液全体に色むらが見られ、凝集物が散在しているか、または分散状態が経時的に変化している。
(沈降安定性の測定方法)
得られた分散体組成物の分散性を目視評価したのち、24時間静置して、セルロースナノファイバーの沈降の有無(セルロースナノファイバー沈降安定性)を目視にて観察した。
〇:分散液を24時間静置した後でも、分散液が均一な白濁状態を保持している。
×;分散液を静置すると、セルロースナノファイバーが沈降し、透明部(上側)と白濁部(下側)に層分離する。
<実施例の効果>
表1〜4より、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(共)重合体からなる分散剤であれば、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、ポリメタクリル酸ブチル・メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン及びポリメタクリル酸ステアリル・メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンいずれであっても、セルロースナノファイバーの水中での分散性を向上させ、経時的に安定な分散体を作成できることがわかった。
また、セルロースナノファイバーに対する分散剤の比率はほぼ一定で、4重量%〜10重量%であれば、均一に微分散し分散状態が安定な分散体を得ることができる。
本発明のセルロースナノファイバー分散体は、さまざまな高分子材料などと組み合わせることで、機械部品、構造部材、フィルター部材、高ガスバリア包装部材、エレクトロニクスデバイス、光学部材、食品、医薬、化粧品、ヘルスケアなど様々な分野において、構造材料、摺動材料、ペイント材料、成形用材料、フィルム用材料などの機能を向上させることが期待できる。


Claims (5)

  1. セルロースナノファイバーと分散剤とを主成分とするセルロースナノファイバー分散体であって、該分散剤が(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(共)重合体を主成分とするものであることを特徴とする、セルロースナノファイバー分散体。
  2. セルロースナノファイバーの平均繊維径が10〜100nmである請求項1記載のセルロースナノファイバー分散体。
  3. 分散剤を構成する(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(共)重合体が、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、ポリメタクリル酸ブチル・メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン及びポリメタクリル酸ステアリル・メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの群から選ばれた少なくとも1種である請求項1または2記載のセルロースナノファイバー分散体。
  4. セルロースナノファイバー0.01〜10重量%と分散剤をセルロースナノファイバーに対して0.1〜50重量%含む請求項1〜3いずれかに記載のセルロースナノファイバー分散体。
  5. セルロースと(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(共)重合体を主成分とする分散剤を含む分散体を、メディアレス分散機で処理することを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のセルロースナノファイバー分散体の製造方法。



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