JP7032905B2 - 積層体およびそれを用いたフィルター濾材 - Google Patents
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Description
さらに、有機溶媒を用いる関係上、廃液処理に問題を生じる。
前記未変性セルロースナノファイバー繊維表面に有する水酸基の少なくとも一部が前記表面被覆剤と化学結合し、前記未変性セルロースナノファイバーの繊維表面の前記表面被覆剤と化学結合していない水酸基のうち少なくとも一部が高分子分散剤と結合し、水溶性樹脂中に分散している、積層体。
〔2〕 前記表面被覆剤が、エポキシ基、ヒドロキシ基、イソシアネート基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、トリアルコキシシリル基、オキセタン基、ニトリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を含む化合物を含む、〔1〕に記載の積層体。
〔3〕前記化合物が、トリアルコキシシリル基を含むことを特徴とする、〔1〕、〔2〕に記載の積層体。
〔4〕前記表面被覆材が抗菌剤又は抗ウィルス剤である、〔1〕~〔3〕に記載の積層体。
〔5〕〔1〕~〔4〕に記載の積層体からなるフィルター濾材。
また、当該積層体は例えば、食品工場や医療機関における換気装置、空気清浄機などのエアフィルター、及び水道水などの浄化に用いる浄水器の抗菌性・抗カビ性・抗ウィルス性浄水用フィルターとして、洗浄、食品加工、飲用に好適に使用することができる。
なお、本明細書においては、「抗菌性・抗カビ性・抗ウィルス性」、あるいは「抗菌・抗カビ・抗ウィルス剤」をまとめて、それぞれ単に「抗菌性」、「抗菌剤」と示すことがある。
本発明で使用する未変性セルロースナノファイバーは、機械的解繊処理を施すことにより、繊維径10~100nmの範囲の未変性セルロースナノファイバーを含むものになるという特徴がある。
未変性セルロースナノファイバーとしては、セルロース原料から対向水流衝突法によって製造されるものが、製造工程において異物の混入する可能性がなく好ましい。セルロース原料を化学的処理、あるいはグラインダー等による摩砕処理により製造したセルロースナノファイバーでは、触媒成分やグラインダーの摩耗粉などのコンタミネーションを含む可能性があり、食品や医薬品工場、医療施設などの清浄環境で用いるフィルター濾材の原料には好ましくはない。
また、未変性セルロースのファイバーは、表面の水酸基が変性されておらず反応性が高いため、後述する抗菌剤や水溶性樹脂(架橋剤を含む)との反応が強固となりやすく好ましい。
本発明で用いる表面被覆剤としては、防腐剤、防臭剤、耐摩耗性付与剤、低摩擦剤、耐候性付与剤、導電性付与剤等から選ばれる一種以上が挙げられる。当該被覆剤は、エポキシ基、ヒドロキシ基、イソシアネート基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、トリアルコキシシリル基、オキセタン基、ニトリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を含む化合物であり、これにより該表面被覆剤がセルロースナノファイバーの水酸基と反応して、この化学結合によりセルロースナノファイバーの表面が該表面被覆剤に一面に被覆され、かつ固定化される。
また、上記抗菌剤は、未変性セルロースナノファイバー表面に固定化すると、高い安全性のもとに抗菌性効果を長期にわたって安定化させることができる。
なかでも上記両イオン界面活性剤を含むのが望ましい。これらの界面活性剤を含有することにより、上記ケイ素含有化合物を剤中で安定化させて、溶液の白濁、ゲル化を防止することがより容易となる。なお、用いることのできる上記両イオン界面活性剤及び陽イオン界面活性剤の種類、並びにその含有量は、上記本発明の抗菌・抗ウィルス剤組成物と同様である。
分散剤は水溶性分散剤であり、好ましくは未変性セルロースナノファイバーが表面に有する水酸基などの官能基とイオン結合可能な水溶性分散剤であり、より好ましくは未変性セルロースナノファイバーが表面に有する水酸基などの官能基とイオン結合可能でありかつ静電反発力等により本発明の樹脂組成物中での未変性セルロースナノファイバーの分散性及び分散安定性を高め得るような分散剤である。該分散剤としては、前述のように水溶性であれば特に限定されないが、陰イオン性分散剤を好ましく使用できる。陰イオン性分散剤としては、例えば、リン酸基、-COOH基、-SO3H基、これらの金属エステル基、及びイミダゾリン基から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する化合物、アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(共)重合体などが挙げられる。このうち、アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(共)重合体は、生体適合性を有することから、本発明における分散剤として好ましく使用できる。水溶性分散剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明の架橋性樹脂は、水溶性又は水分散性を有するものである。水溶性架橋性樹脂とは水系溶媒に溶解可能な架橋性樹脂である。水分散性架橋性樹脂とは、乳化剤などにより水系溶媒に分散させることができる強制乳化タイプの架橋性樹脂、及びその主鎖骨格の側鎖及び/又は末端に親水性基を導入することにより、水系溶媒に分散させることのできる自己乳化タイプの架橋性樹脂を含み、水溶液、スラリー、エマルジョンを含む。
水溶性又は水分散性樹脂中に分散剤を含む未変性セルロースナノファイバーを分散させ、分散媒を除去、乾燥した後に架橋処理を施し、次いで前記抗菌、抗ウィルス剤を噴霧、浸漬することで、前記抗菌、抗ウィルス剤を固定化したセルロースナノファイバー水溶性樹脂分散体を作製することができる。
生分解性を有する架橋性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体樹脂、ポリカルボン酸系樹脂(アクリル酸系樹脂、メタクリル酸系樹脂など)、ポリアミン、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、これらの塩や誘導体等の架橋性架橋性樹脂、ポリウロン酸、澱粉、カルボキシメチル澱粉、カチオン化澱粉、キチン、キトサン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、アルギン酸、ペクチン、ゼラチン、グアガム、カラギーナン、これらの誘導体等の架橋性天然高分子化合物等が挙げられる。架橋性架橋性樹脂は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
水溶性溶媒としては、例えば、1価又は多価のアルコール類(一価アルコールには例えば炭素数1~4の低級アルコールがある)、アミド類、ケトン類、ケトアルコール類、環状エーテル類、グリコール類、多価アルコールの低級アルキルエーテル類、ポリアルキレングリコール類、グリセリン、N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2,6-ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオール類、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類,エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類および多価アルコールアラルキルエーテル類、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、ε-カプロラクタム等のラクタム類、1,3-ジメチルイミダゾリジノンアセトン、N-メチルー2-ピロリドン、m-ブチロラクトン、グリセリンのポリオキシアルキレン付加物、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメチルスルホキシド、ジアセトンアルコール、ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどである。水溶性溶媒は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明で使用する架橋成分は、主に架橋性樹脂が有する架橋性基、架橋構造や、未変性セルロースナノファイバーがその表面に有する官能基と架橋反応を生成するものである。該架橋反応の結果、架橋性樹脂間、未変性セルロースナノファイバー間、架橋性樹脂と未変性セルロースナノファイバーとの間の少なくとも1つに、架橋成分に由来する架橋構造が形成され、得られる本発明のフィルタ濾材の耐水性、強度をはじめとする物性が向上する。
本発明では、製造するセルロースナノファイバー複合体の好ましい特性を損なわない範囲で、ヒンダードフェノール、リン酸エステルや亜リン酸エステルなどの酸化防止剤、防腐剤、耐熱安定剤、トリアジン系化合物などの耐候性付与剤、耐候性付与剤などの安定剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉末、その他の無機、有機充填材、顔料、染料などの着色剤、滑剤、揆水剤、アンチブロッキング剤、柔軟性改良材、レベリング剤、消泡剤、金属石鹸、有機シラン、有機金属化合物などを配合することができる。これらの添加剤は、上記した各成分と共に同時に一段で混合してもよく、また、得られたナノファイバー複合体に添加及び混合してもよい。
本発明のフィルター濾材の製造方法は、例えば、混合工程を含み、混合工程の前に実施される予備混合工程、混合工程の後に実施される乾燥工程、架橋工程、成形工程等を含む。本発明の製造方法において、予備混合工程、架橋工程及び乾燥工程、成形工程の有無、順序などは、適宜選択できる。本発明の製造方法によれば、未変性セルロースナノファイバーが架橋性樹脂中にほぼ均一に分散した複合体組成物、該複合体組成物からなり抗菌・抗ウィルス剤を固定化したフィルター濾材原料、該フィルター濾材原料の固形分の少なくとも一部を架橋させたフィルター濾材などが得られる。
当該樹脂複合体に、前記抗菌剤を噴霧、又は浸漬することで、未変性セルロースナノファイバー表面に存在する水酸基と抗菌剤に含まれるトリアルコキシシリル基が反応し、該抗菌剤がセルロースナノファイバー表面に固定化される。該抗菌剤がセルロースナノファイバー表面に固定化されたセルロースナノファイバー樹脂複合体を用いることで、抗菌、抗ウィルス性が長期に渡って発揮される成形体等を作製することができる。
各成分の詳細は以下のとおりである。
各工程の詳細は次の通りである。
本発明のフィルター濾材組成物を作製するための予備混合工程では、水系溶媒に、未変性セルロースナノファイバー、水溶性又は水分散性を有する架橋性樹脂、水溶性分散剤、及び他の添加剤より成る群から選ばれる少なくとも1種を添加及び混合する。未変性セルロースナノファイバー、架橋性樹脂、水溶性分散剤、などを水系溶媒に添加する場合は、機械的解繊処理を行うことなく単に混合だけを行なうことにより、予備混合物Aが得られる。また、未変性セルロースナノファイバー及び分散剤を水系溶媒に添加及び混合して予備混合物Bを得る場合は、機械的解繊処理下に混合を行なってもよく、単なる混合のみを行なってもよい。この混合には、例えば、ホモジナイザー、ロッキングミル、ヘンシェルミキサー、インラインミキサー、二軸ニーダー等の混合装置が用いられる。なお、架橋性樹脂に対しては、同時に架橋剤を添加することが好ましい。
本発明のフィルター濾材複合体組成物を作製するための混合工程では、好ましくはナノファイバー、水溶性又は水分散性を有する架橋性樹脂、水溶性分散剤、水系溶媒、必要に応じてその他の添加剤などを機械的解繊処理下に一段で混合する。架橋性樹脂である場合は、同時に架橋剤を併用することが好ましい。また、混合工程では、予備混合工程で得られた予備混合物(A)に機械的解繊処理を施してもよく、予備混合物(B)にさらに架橋性樹脂、水系溶媒等を添加及び混合する二段混合を行なったあとに、機械的解繊処理を施してもよい。ここで、一段での混合とは、上記した各成分を同一容器に一度に投入して混合することを意味する。混合工程では、架橋性樹脂は、得られる樹脂組成物の水系溶媒溶液又は水系溶媒分散液(以下これらを「樹脂組成物の溶液又は分散液」という)中での未変性セルロースナノファイバーの分散性などの観点から、溶液又は分散液の形態で用いることが好ましく、水系溶媒溶液又は水系溶媒分散液の形態で用いることがより好ましい。また、ナノファイバー、分散剤、架橋剤、その他の添加剤は、それぞれ別個に水系溶媒に溶解又は分散させた形態で用いてもよい。
分散媒の除去手段としては、分散媒の種類に応じて適切なものが選択される。例えば、分散体を室温下で放置するだけの自然乾燥でも良く、あるいは加熱乾燥、真空乾燥(減圧乾燥)、凍結乾燥、噴霧乾燥等の公知の乾燥方法でも良い。噴霧乾燥は、前記分散体をノズルから噴出させて微細な液滴となし、次いで対流空気中で該液滴を加熱乾燥することによりなされる。特に、自然乾燥や加熱乾燥を用いる場合には、前記混合物をキャスト(流延)する等して膜状あるいはシート状に成形してからその成形体を乾燥させることが、乾燥効率の点から好ましい。
乾燥手段としては、特に得られる乾燥品の品質の劣化が少なく、また乾燥体が、多孔質固体の形態となり、その後の加工工程等での取扱いが簡便・容易である点から、凍結乾燥が好ましい
凍結乾燥において、凍結した分散体中の分散媒を減圧下で昇華させなければならない。減圧時の圧力は、100Pa以下であることが好ましく、10Pa以下であることがより好ましい。圧力が100Paを超えると凍結した分散体中の分散媒が融解してしまう可能性がある。
該抗菌・抗ウィルス剤を表面に固定化した未変性セルロースナノファイバーは、生体適合性を有する高分子分散剤を用いて水系溶媒に安定分散させており、食品工場又は医療施設などにおいて、人体への有害性の心配のないエアフィルター濾材を作製することができる。さらに、該セルロースナノファイバーの水系溶媒分散液には、水溶性樹脂とその架橋成分が添加されており、該分散液から連続孔固体を作製した後に、物理架橋処理を行なうことで、耐水性、耐熱性、強度などが高く、エアフィルター濾材とすることができる。
本発明では、抗菌・抗ウィルス剤として、トリアルコキシシリル基を含む抗菌・抗ウィルス剤を好適に使用することができる。
本発明の抗菌・抗ウィルス剤固定化方法は、表面に含酸素官能基を有する物品を用い、該ナノファイバーの表面に上記抗菌・抗ウィルス剤を塗布又は噴霧すること、或いは該ナノファイバーを上記抗菌・抗ウィルス剤中に浸漬することを特徴とする。すなわち、これら抗菌・抗ウィルス剤の固定化方法は、いずれも、表面に-OH基や-O-基等の含酸素官能基を有するセルロースナノファイバーを用い、その表面に上記抗菌・抗ウィルス剤を塗布又は噴霧する方法、或いはセルロースナノファイバーを上記抗菌・抗ウィルス剤中に浸漬する方法である。上述のとおり、上記抗菌・抗ウィルス剤はアルコキシシリル基を有するケイ素含有化合物を含んでいるため、かかるアルコキシシリル基がセルロースナノファイバーに存在する含酸素官能基(水酸基)と反応してエタノールを放出するとともに酸素を介して共有結合する。これにより、セルロースナノファイバー表面にトリアルコキシシリル基を含む抗菌・抗ウィルス剤中の抗菌部位が堅固に固定化され、被理物品表面に強い抗菌性能或と優れた持続性とが付与されることとなる。
架橋処理は、前記抗菌剤をフィルター濾材に固定化する前段階、又はあと段階いずれに行なってもよい。
架橋性の水溶性又は水分散性を有する樹脂として、エポキシ樹脂エマルジョン(商品名:アデカレジン EM-0427WC、(株)アデカ製、固形分50重量%)を用いた。この樹脂の固形分に対して、架橋剤として酸アミン錯体(三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体、和光純薬(株)製)を5重量%添加した。
未変性セルロースナノファイバー(商品名:BiNFi-s、(株)スギノマシン製)5重量%水分散液として用いた。以下、「未変性CNF」と呼ぶことがある。
生体適合性のある高分子分散剤として、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(商品名:リピジュアBL、水溶性、日油(株)製)を使用した。
[抗菌・抗ウィルス剤]
トリアルコキシシリル基を含む抗菌・抗ウィルス剤として、市販の抗菌・抗ウィルス剤A(商品名:Etak、マナック(株)製、エタノール含量80重量%のエタノール/水混合溶液)を用いた。
アペックスディスパーザーZERO(商品名、(株)広島メタル&マシナリー製)を用いた。
以下、水溶液又は水分散液の形態で用いた成分の配合量を固形分量で示すが、これらはもちろん水を含んでいる。
エポキシ樹脂エマルジョン(アデカレジン EM-0427)50gに、架橋剤(酸アミン錯体)を2.5g(エポキシ樹脂エマルジョン固形分に対し5重量%)、未変性セルロースナノファイバー(BiNFi-s)を固形分で1.5g(エポキシ樹脂エマルジョン固形分に対し3重量%)、及び分散剤(リピジュアBL)0.075g(未変性CNFに対し5重量%)を、高速型メディアレス分散機(アペックスディスパーザーZERO)に同時に投入し、せん断部クリアランス1mm、ロータの回転周速45m/secに設定し、10分間の解繊処理を5回行い、固形分量38重量%の白濁液状の本発明の樹脂組成物の水分散液(以下単に「水分散液」と呼ぶことがある)を調製した。
実施例1において、抗菌剤として抗菌剤Aから抗菌剤B(エタノール、試薬1級)に代えたほかは、実施例1と同様に操作してフィルター濾材を作製し、同様の評価を行なった。結果を表1に示す。
実施例1において、抗菌剤として抗菌剤Aから抗菌剤C(商品名:スーパーミル88、(株)エプロ製、汎用防カビ剤)に代えたほかは、実施例1と同様に操作してフィルター濾材を作製し、同様の評価を行なった。結果を表1に示す。
実施例1において、フィルター濾材を、本発明による未変性セルロースナノファイバー/水溶性樹脂/分散剤からなる乾燥固体から、ポリエチレン製不織布(商品名;タイベック、旭・デュポン フラッシュスパン プロダクツ(株)製)に代えた以外は、同様に操作し、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、フィルター濾材を、本発明による未変性セルロースナノファイバー/水溶性樹脂/分散剤からなる乾燥固体から、実験用定性濾紙(商品名;アドバンテック、東洋濾紙(株)製)に代えた以外は、同様に操作し、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
以下の評価は、抗菌剤の種類の異なる抗菌性フィルター濾材の諸特性、および該フィルター濾材の材質による特性を比較したものであり、抗菌性フィルター全般の特性を評価するものではない。
抗菌性は、フィルタ濾材として定性濾紙を用いた場合、及びフィルター濾材が表面に水酸基を持たないポリエチレン製不織布の場合では得られていない。定性濾紙は、濾材の素材がセルロースではあるものの、ミクロフィブリル化されていない未解繊状態で、セルロース繊維に存在する水酸基の数が少ない、そのため該抗菌剤との反応性が低く、流水洗浄により周出した抗菌剤成分が多いと考えられる。又濾材を構成する繊維がポリエチレンのように不活性である場合は、該抗菌剤が固定化されず、流水洗浄により流出して、抗菌性を保持しなくなることを示している。該抗菌剤に含まれるシラン化合物のシラノール基が未変性セルロースナノファイバーの水酸基と強く結合していることを示唆している。
Claims (5)
- 未変性セルロースナノファイバーが分散した層の上面に表面被覆剤を少なくとも一部に積層した積層体であって、
前記未変性セルロースナノファイバー繊維表面に有する水酸基の少なくとも一部が前記表面被覆剤と化学結合し、前記未変性セルロースナノファイバーの繊維表面の前記表面被覆剤と化学結合していない水酸基のうち少なくとも一部が高分子分散剤と結合し、水溶性樹脂中に分散している、積層体。 - 前記表面被覆剤が、エポキシ基、ヒドロキシ基、イソシアネート基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、シラノール基、トリアルコキシシリル基、オキセタン基、ニトリル基、からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を含む化合物を含む、請求項1に記載の積層体。
- 前記化合物が、トリアルコキシシリル基を含むことを特徴とする、請求項1、2に記載の積層体。
- 前記表面被覆材が抗菌剤又は抗ウィルス剤である、請求項1~3に記載の積層体。
- 請求項1~4に記載の積層体からなるフィルター濾材。
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