JP7182525B2 - 莢豆収穫機 - Google Patents
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Description
つまり、風選処理による選別では、比較的小さな葉屑や、質量の小さいゴミ等は選別風で吹き飛ばされ、比較的質量の大きい莢部分を効果的に落下回収することができる点で有用なものである。しかしながら、被処理物である莢付き作物の全体処理量が一時的に多くなったり、莢部分とともに脱落した葉屑の量が極端に多く堆積した場合などには、選別箇所からの出口で詰まりが生じて、風選作用が的確に行えなくなる虞があった。
被処理物となる莢付き作物の茎葉部分を把持して後方搬送する後方搬送装置と、
前記後方搬送装置で送り込まれた被処理物を、茎葉部分から莢部分を脱落させるように脱莢処理する脱莢装置と、
脱莢処理後の被処理物を選別する選別装置と、が備えられた莢豆収穫機であって、
前記選別装置に、選別対象の被処理物に向けて選別風を供給する送風装置と、被処理物における茎葉部分の根元近くを把持して後方送りする送り出し装置と、ドラム状の外周面を有した回転送り装置と、が備えられ、
前記回転送り装置が、前記送り出し装置による被処理物の送り方向に平面視で交差する方向に回転軸心を沿わせた姿勢で配設され、
前記外周面に、被処理物の茎葉部分に作用する扱き歯が形成され、
前記回転送り装置は、前記外周面の上部が、前記送り出し装置の挟持搬送面の高さと同程度の高さ位置にあり、かつ、前記外周面の前部が、前記送風装置による選別風の送風方向と交差する位置に配設されている点にある。
そして、回転送り装置のドラム状の外周面に、被処理物の茎葉部分に作用する扱き歯が形成されているので、回転送り装置による、被処理物の茎葉部分に作用する後方側への送り出し作用が確実に発揮され易く。この選別箇所での詰まり発生を極力回避し易い。
尚、本実施形態での説明における前後方向及び左右方向は、特段の説明がない限り、次のように記載している。つまり、本発明を適用した莢豆収穫機において、走行機体1の作業走行時における前進側の進行方向(図1,2における矢印F参照)が「前」、後進側への進行方向(図1,2における矢印B参照)が「後」、その前後方向での前向き姿勢を基準としての右側に相当する方向(図2における矢印R参照)が「右」、同様に左側に相当する方向(図2における矢印L参照)が「左」である。
図1乃至図5は、莢付き作物としての枝豆を収穫対象とする莢豆収穫機を例示したものである。
この莢豆収穫機は、機体フレーム10の下方に左右一対のクローラ式の走行装置11を備え、機体フレーム10上における右側前部に操縦部12を備えて走行機体1を構成している。
走行機体1には、圃場の作物を収穫する収穫部1Aと、収穫された作物(被処理物に相当する)の莢部分を茎部分から分離させるように脱莢処理する脱莢部1Bと、脱莢処理された被処理物を選別する選別部1Cと、被処理物から選別された莢部分を収容する回収部1Dと、が備えられている。
脱莢部1Bでは、茎部分を把持された状態の作物から莢部分が、もぎ取られるように脱莢処理されるが、このとき、多くの葉部や茎の一部も同時的に茎部分から分離されて脱落する。この脱莢処理時点では、作物のうち、脱莢部1Bに送り込まれた部位が被処理物として処理される。脱莢処理後の茎部分や葉部等の排稈部分は機体後部から、圃場などの機外へ排出される。
選別部1Cでは、脱莢処理されて茎部分から分離した莢部分や葉部が選別対象の被処理物となる。そして、選別部1Cで葉部等の大部分の夾雑物が除去された後の被処理物が回収部1Dに送り込まれる。
収穫部1Aについて説明する。
図1及び図2に示すように、収穫部1Aには、収穫対象の莢付き作物を把持して茎ごと後方搬送する後方搬送装置2が備えられている。
この後方搬送装置2は、圃場の作物の茎部分を挟持した状態で後方上方へ搬送する長尺の挟持搬送装置20と、挟持搬送装置20の搬送終端部で、作物の上部を横倒し姿勢に姿勢変更して、後続の脱莢装置3へ受け渡す横倒し供給装置23と、を備えている。これらの挟持搬送装置20と横倒し供給装置23が走行機体1の機体左側部に配置されている。
また、挟持搬送装置20には、上記の無端回動ベルト20a,20a、駆動プーリ20b、及び従動プーリ20cを支持する支持フレーム21の前部に、植立状態の作物の根部に近い位置の茎部分を刈り取る切断装置としての回転カッター22が取り付けられている。
したがって挟持搬送装置20では、植立状態の作物の茎部分を左右一対の無端回動ベルト20a,20aに挟持させ、かつ、植立状態の作物の根部付近の茎部分を回転カッター22で刈り取る。そして、刈り取られた莢付き作物が無端回動ベルト20a,20aに把持された状態で後方上方へ搬送される。
この横倒し供給装置23は、掻き込み回転体24の前部が挟持搬送装置20の終端部と前後方向で重複し、掻き込み回転体24の後部が後述するフィードチェーン26の前端部と前後方向で重複するように設けられている。つまり、莢付き作物に対する横倒し供給装置23による横倒し作用が、挟持搬送装置20による後方搬送作用が終了する前から作用し、横倒し供給装置23による横倒し作用の終了前に、フィードチェーン26による後方搬送が開始されているように、横倒し供給装置23の配設位置を設定してある。
また、図1,2に示すように、挟持搬送装置20の終端部とフィードチェーン26の前端部も前後方向で重複する位置関係にあり、挟持搬送装置20による莢付き作物の挟持搬送領域と、フィードチェーン26による搬送領域とが部分的に重複するように、挟持搬送装置20とフィードチェーン26が配設されている。
また、左右方向では、図2に示すように、挟持搬送装置20の左右一対の無端回動ベルト20a,20aの挟持搬送面によって構成される縦搬送経路r1の延長線が、平面視でフィードチェーン26の左横外側に位置している。そして、掻き込み回転体24の無端回動チェーン24aが、縦搬送経路r1の左横外側から、フィードチェーン26の位置を越えて、右横側方へ向けて莢付き作物の杆身を横倒しするように設けられている。
脱莢部1Bについて説明する。
図1乃至図5に示されるように、脱莢部1Bには、莢付き作物の茎部分から莢部分を脱落させるように脱莢処理する脱莢装置3が備えられている。
脱莢装置3は、上下一対の前部回転軸体30,30と、上下一対の後部回転軸体31,31と、を備えている。
各前部回転軸体30,30は、丸筒状の胴部の外周面上に板状の突起部材が突出した断面形状に形成され、被処理物を掻き込むように回転駆動される。
後側側に位置する上下の後部回転軸体31,31のそれぞれは、反時計回りに回転する上側の回転軸31aと、時計回りに回転する下側の回転軸31aによって回転駆動される。
各後部回転軸体31,31は、回転軸31aの外周面上に幅広の板状の突起部材が突出した断面形状に形成され、被処理物を掻き込むように回転駆動される。
したがって、フィードチェーン26に根部側を把持された莢付き作物の茎葉部分が、上側の前部回転軸体30と下側の前部回転軸体30の間、及び上側の後部回転軸体31と下側の後部回転軸体31の間を通過する際に、前部回転軸体30,30と後部回転軸体31,31によって叩かれ、かつ、しごかれる。このように、フィードチェーン26に挟持されて引っ張られる茎部分が、上下の前部回転軸体30,30、及び後部回転軸体31,31の間を通過する際にも受けるしごきも加えられることによって、茎葉部分から莢部分が効率良くもぎ取られる。このようにして脱莢処理が行われる。
選別部1Cについて説明する。
選別部1Cには、脱莢処理後の被処理物を選別する選別装置4が備えられている。
選別装置4には、選別風を発生する送風装置としての唐箕40と、選別対象の被処理物に当接するドラム状の外周面を備えた回転送り装置41と、脱莢処理後の被処理物における茎葉部分の根元近くを把持して後方送りする送り出し装置と、が備えられている。この送り出し装置は、脱莢装置3において莢付き作物の根部側を挟持して後方搬送するフィードチェーン26のうちの、脱莢装置3を出て選別箇所に位置する部分によって兼用されている。
選別部1Cの下部には、受け止めコンベヤ32の終端よりも後方側で、回転送り装置41の下方位置に、選別処理された被処理物のうち、風選処理で除去物が取り除かれた良品の莢部分などの落下物を受け止めて、走行機体1の右横側部に備えた回収部1Dへ向けて右横方向へ搬送する横送り搬送装置42が備えられている。
この横送り搬送装置42の始端側部分、及び前記回転送り装置41の左右両側が、機体フレーム10から立設された支持枠体44に支持されている。回転送り装置41は、フィードチェーン26による被処理物の機体後方への送り方向に対して、平面視でほぼ直交する方向に沿う回転軸心P1周りで回動可能に支持され、図5で示すように時計回りに回転駆動される。
つまり、唐箕40の選別風の方向に沿う搬送面を有したベルトコンベアを用いて被処理物を後方送りするような従来構造のものであれば、選別風の風圧をあまり大きくすると、良品の莢部分までが風に乗って排出されてしまう虞がある。このため、選別風の風圧はかなり低く設定して、ごく軽い塵埃や葉屑を吹き飛ばす程度にしており、選別精度や選別効率を向上させることは困難であった。
しかし、上記のように唐箕40から吹き出された選別風が回転送り装置41の外周面に衝突するようにしたことで、一旦選別風に乗った被処理物であっても、それが質量の大きい莢部分などであれば、回転送り装置41の外周面に衝突した際に失速して横送り搬送装置42上に落下し、回収部1Dへ向けて搬送される。それゆえ、選別風の風圧をある程度大きくして選別精度や選別効率の向上を図かることも可能である。
回転送り装置41の外周面のうち、平坦に形成されている部位に多数の取付孔60が形成され、その取付孔60にボルト部材61を挿通して締め付け固定している。そのボルト部材61の、外周面から突出する部位が扱き歯6として用いられる。
扱き歯6は、外周面の、周方向、及び回転軸心P1に沿う軸線方向の複数箇所に点在するように植設されている。そして、扱き歯6は、外周面の周方向、又は回転軸心P1に沿う方向における植設間隔が、フィードチェーン26に把持された被処理物の根元に近い側よりも先端に近い側に対応する部分ほど密であるように設けられている(図4参照)。
尚、回転送り装置41の外周面において、取付孔60は、図3,4に示すように、ボルト部材61の植設箇所以外にも設けられている。したがって、取付孔60に対するボルト部材61の植設箇所を変更したり、ボルト部材61の植設本数を変更したり、するなどの仕様変更も簡単に行うことができる。
回収部1Dについて説明する。
回収部1Dは、走行機体1の右側部において、機体フレーム10の前後方向に沿って設けられた搭載台5である。
この搭載台5は、横送り搬送装置42の終端から投入された被処理物を受け止めて収容可能な前後に長いベルト状の底板部分の周辺を縦枠で囲んだ箱状に構成されている。このような箱状のものに代えて、複数個の回収容器(図示せず)を搭載可能であるように、前後長い搭載台5で上面にローラーコンベア(図示せず)を備えた構造のものであってもよい。
上記の実施形態では、収穫部1Aに備える後方搬送装置2として、挟持搬送装置20の始端側に回転カッター22を設けて、作物の茎部分を切断して後方搬送するように構成された構造のものを示したが、この構造に限られるものではない。
例えば、後方搬送装置2として、作物を刈り取るのではなく、圃場の作物の茎部分を挟持して根部がついたまま抜き取って後方上方へ搬送する長尺の挟持搬送装置20を備えた構造のものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
上記の実施形態では、後方搬送装置2として、作物の茎部分を挟持して後方上方へ搬送する長尺の挟持搬送装置20と、掻き込み回転体24で作物の上部を横倒し姿勢に姿勢変更して、後続の脱莢装置3へ受け渡すようにした横倒し供給装置23と、を備えた構造のものを例示したが、必ずしもこの構造に限定されるものではない。
例えば、横倒し供給装置23として掻き込み回転体24を備えずに、単なるガイド杆に案内させて横倒し姿勢に変更する構造や、その他の横倒し手段を採用してもよい。また、横倒し供給装置23そのものを備えずに、挟持搬送装置20の終端側が横倒し方向に少し傾けられたものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
上記の実施形態では、脱莢部1Bにおける脱莢処理時における茎葉部分の後方搬送と、選別部1Cにおける被処理物の根元に近い側の送り出し作用とを、一連のフィードチェーン26で行うようにした構造のものを例示したが、必ずしもこの構造に限られるものではない。
例えば、脱莢部1Bにおける脱莢処理時における茎葉部分の後方搬送に用いるフィードチェーンと、選別部1Cにおける被処理物の根元に近い側の送り出しに用いるフィードチェーンとを、別々のフィードチェーンで構成するなど、適宜の構造を採用し得るものである。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
上記の実施形態では、選別部1Cにおける回転送り装置41の外周面形状を、正12角形の多角形状に形成したものを例示したが、必ずしもこの構造に限られるものではない。
例えば、正8角形や正16角形など、任意の多角形状を採用することができる。また、多角形状に限らず、円筒状に形成してもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
上記の実施形態では、回転送り装置41の外周面から突出する扱き歯6として、回転送り装置41の外周面に形成した取付孔60にボルト部材61を挿通して締め付け固定した構造のものを例示したが、必ずしもこの構造に限定されるものではない。
例えば、ボルト部材61に代えて、リベットを取り付けたり、棒状や板状の突部材を取り付けたりしてもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
上記の実施形態では、回転送り装置41の外周面から突出する扱き歯6として、外周面の周方向、又は回転軸心P1に沿う方向における植設間隔が、フィードチェーン26に把持された被処理物の根元に近い側よりも先端に近い側に対応する部分ほど密であるようにした構造のものを例示したが、必ずしもこの構造に限定されるものではない。
例えば、外周面の周方向、又は回転軸心P1に沿う方向における扱き歯6の植設間隔が、全て同一であったり、外周面の周方向、又は回転軸心P1に沿う方向における扱き歯6の植設間隔が、フィードチェーン26に把持された被処理物の根元に近い側ほど密であるように設定する、あるいは全く不規則した構造、など適宜に変更可能である。
また、外周面の周方向、又は回転軸心P1に沿う方向における扱き歯6の植設間隔が全て同一で、扱き歯6の外周面からの突出長さが、フィードチェーン26に把持された被処理物の根元に近い側よりも先端に近い側に対応する部分ほど長くなるようにした構造、逆に短くなるようにした構造、あるいは全く不規則した構造など、適宜の構造のものを採用し得る。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
3 脱莢装置
4 選別装置
6 扱き歯
26 送り出し装置
26a 挟持搬送面
40 送風装置
41 回転送り装置
42 横送り搬送装置
60 取付孔
61 ボルト部材
P1 回転軸心
Claims (4)
- 被処理物となる莢付き作物の茎葉部分を把持して後方搬送する後方搬送装置と、
前記後方搬送装置で送り込まれた被処理物を、茎葉部分から莢部分を脱落させるように脱莢処理する脱莢装置と、
脱莢処理後の被処理物を選別する選別装置と、が備えられた莢豆収穫機であって、
前記選別装置に、選別対象の被処理物に向けて選別風を供給する送風装置と、被処理物における茎葉部分の根元近くを把持して後方送りする送り出し装置と、ドラム状の外周面を有した回転送り装置と、が備えられ、
前記回転送り装置が、前記送り出し装置による被処理物の送り方向に平面視で交差する方向に回転軸心を沿わせた姿勢で配設され、
前記外周面に、被処理物の茎葉部分に作用する扱き歯が形成され、
前記回転送り装置は、前記外周面の上部が、前記送り出し装置の挟持搬送面の高さと同程度の高さ位置にあり、かつ、前記外周面の前部が、前記送風装置による選別風の送風方向と交差する位置に配設されている莢豆収穫機。 - 前記回転送り装置の下方に、落下する被処理物の莢部分を受け止めて左右方向に横送りする横送り搬送装置が備えられ、
前記回転送り装置が、前記横送り搬送装置の後端よりも前側に前記回転軸心が位置する状態で配設されている請求項1記載の莢豆収穫機。 - 前記回転送り装置は、前記扱き歯が、前記外周面において、周方向、及び前記回転軸心に沿う方向の複数箇所に点在するように植設され、かつ、前記周方向、又は前記回転軸心に沿う方向における植設間隔が、前記送り出し装置に把持された被処理物の根元に近い側よりも先端に近い側に対応する部分ほど密であるように設けられている請求項1又は2記載の莢豆収穫機。
- 前記扱き歯は、前記回転送り装置の前記外周面に形成された取付孔に、脱着可能なボルト部材を挿通して固定したものである請求項1~3のいずれか一項記載の莢豆収穫機。
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