JP4418393B2 - 根菜収穫機の根切断部 - Google Patents

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Description

本発明は、ニンニク、玉葱或いは百合根といった根菜作物を収穫する根菜収穫機に関し、特に根切断部を改良することを特徴とするものである。
圃場から抜き上げられたニンニクなどの根菜作物をこれの葉茎部を挟持搬送することにより略水平状の特定方向へ搬送する搬送装置と、該搬送手段の下側に位置され前記搬送手段に対し上下変位自在となされスプリングの弾力で上方へ引き上げられた根切断装置と、前記搬送装置に対する前記根切断装置の上方変位を制限する変位制限手段とを備えた根菜収穫機の根切断部は知られている(特許文献1参照)。
該根切断部では、搬送装置が根菜作物をその正立姿勢を維持して搬送する過程で、根切断装置が根菜作物の根菜部の下面部から垂れ下がっている根を切り離すように作用する。
特開2004−194601号公報
上記した従来の根菜収穫機の根切断部では、根菜作物の根を正確な位置で切り離すことが重要であることから、収穫される根菜作物の根菜部の大きさに関連して変位制限手段の作用状態を変更操作し、搬送手段に対する根切断装置の上方変位の制限される高さ位置を変化させることが行われる。
しかし、従来の根切断部において、このような処理を行うにはスパナなどの工具を使用することが必要となって、作業者は迅速な対応ができず、面倒な思いをすることが多いのである。
また従来の根切断部においては、根切断装置の保守を簡便に行う上で必ずしも充分ではないのであり、また搬送手段による根菜作物の搬送中に根菜作物の意図しない落下が生じたとき、この落下した根菜作物が根切断装置の狭隘な場所に詰まって根切断装置の切断性能を損ねることがあるのであり、また根切断装置による根切断処理位置の後側に根菜作物から分離された葉茎片や切り離された根などが詰まって根切断装置の機能を低下させるなどの問題もある。
本発明は、上記した諸々の問題点を解消することのできる根菜収穫機の根切断部を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するため、本発明は、次のようなものとなす。
即ち、本発明に係る根菜収穫機の根切断部は、請求項1に記載したように、圃場から抜き上げられたニンニクなどの根菜作物を正立姿勢の状態でその肩部が特定移動軌跡上を略水平な特定方向へ移動するように搬送する搬送装置と、該搬送装置の下側に位置され該搬送装置に対し上下変位自在となされスプリングの弾力で上方へ引き上げられる根切断装置とを備えた根菜収穫機において、前記搬送装置又は前記根切断装置の何れか一方の側から他方の側へ向けた張り出し量を任意に変化され前記根切断装置が前記特定高さ位置に達したときに前記他方の側の固定部材に衝接して前記根切断装置のそれ以上の上方変位を規制するものとした衝接部材と、この衝接部材の前記張り出し量をスプリングの弾力を介して固定化させる操作部材とを具備した変位規制手段を形成され、この際、操作部材がスプリングの弾力に抗する操作力で変位されることにより衝接部材による前記張り出し量の固定状態が解除される構成となされていることを特徴とするものである。
該発明は次のように具体化する。
即ち、請求項2に記載したように、前記根切断装置が前記搬送手段から特定距離以上に下方変位した状態を保持するための下方変位保持機構を設けた構成とする。
また請求項3に記載したように、前記根切断装置が駆動ケースと、該駆動ケースから起立された一対の縦駆動軸と、これら縦駆動軸に固定された一対の円板刃とを具備しており、前記駆動ケースの前側でしかも前記一対の円板刃と前記駆動ケースとの間となる高さ範囲に、根菜作物の根菜部の通過を制限する作物通過制限手段を設けた構成とする。
さらには請求項4に記載したように、前記根切断装置が駆動ケースと、該駆動ケースから起立された一対の縦駆動軸と、これら縦駆動軸に固定された一対の円板刃とを具備しており、前記一対の円板刃の後側でこれら円板刃と前記駆動ケースとの間となる高さ範囲に、後下方へ傾斜された多数の上下向き棒部材を具備し且つ上面が根菜部の案内面となされたレーキが前記根切断装置と同体状に設けられており、このレーキが一対の円板刃の中央位置の真後ろに上下向き棒部材を位置されてないものとなされている構成とする。
上記した本発明によれば次のような効果が得られる。
即ち、請求項1に記載したものによれば、搬送手段に対する根切断装置の上方変位の制限される高さ位置を変化させる場合に、操作部材をスプリングの弾力に抗して変位させることで足りるため、スプリングの弾力を適当な大きさになすことによりスパナなどの工具を使用しないでも根切断装置の上方変位の制限される高さ位置を変更することができるものとなるのであり、これにより収穫作業をする圃場や収穫される根菜作物の品種が相違するなどして根菜部の大きさが作業中に変化するようなときにも根菜作物の根を最適に切断する処理の行われる収穫作業を、工具を持ち運ぶような面倒な思いをすることなく効率的に行えるようになる。
さらには根切断装置の上方変位の制限される高さ位置を変更することのできる変位規制手段を比較的簡易な構造となすことができる。
請求項2に記載したものによれば、根切断装置が下方変位保持機構により搬送手段から特定距離以上に下方変位した状態を保持されるため、搬送装置と根切断装置との間に比較的大きな空間が形成されて、根切断装置の保守点検作業が便利に行えるようになるのであり、また根切断装置が搬送装置で搬送される根菜作物の根を切断しない状態となすことができ、根を切断しない根菜作物の収穫作業が便利に行えるようになる。
請求項3に記載したものによれば、搬送装置で搬送される根菜作物の葉茎部が不用意に切断するなどして根菜部などが搬送装置から離れて落下する事態が生じて、この根菜部が一対の円板刃とこれの駆動ケースとの間となる箇所へ向かうように斜め下方へ落下したとき、作物通過制限手段がこの斜め下方への落下する根菜部に衝接してそれ以上の進行を規制するため、一対の円板刃とこれの駆動ケースとの間となる箇所に根菜部が進入してその複数個が堆積するなどの現象が生じなくなり、一対の円板刃による根の切断が確実且つ安定的に行えるようになる。
請求項4に記載したものによれば、レーキにこれの上面で根菜部を案内する機能を維持させることができる上に次のような効果が得られるのであって、即ち、一対の円板刃で根が切断されたときに生じる根菜作物の分離片がレーキの上下向き棒部材に引っ掛かり難くなって、切断部とレーキとの間の空間に根菜作物の分離片や土などが堆積する従来の現象が抑制され、一対の円板刃による根の切断が確実且つ安定的に行えるようになる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一例を示す根菜収穫機の側面図、図2は前記根菜収穫機の平面図、図3は前記根菜収穫機の正面図、図4は前記根菜収穫機の挟持搬送装置の後部を示す平面図、図5は前記根菜収穫機の泥落とし装置などを示す側面図、図6は前記泥落とし装置の一部を示す平面図、図7は前記泥落とし装置のスターホイール及び回転ブラシなどを示す正面視説明図、図8は前記根菜収穫機の側部処理ユニットの後部を示す側面図、図9は前記側部処理ユニットの後部の骨組み構造を示しAは平面図でBは側面図、図10は前記根菜収穫機の根切断装置周辺を示しAは平面図でBは側面視断面図、図11は前記根菜収穫機の変位規制手段を示す側面図、図12は図11のx−x部を示す拡大断面図、図13は前記根菜収穫機の根切断装置及びレーキを示しAは平面図でBは側面図、図14は下方変位保持機構を示す正面視断面図である。
図1〜図3に示すように、本発明に係る根菜収穫機 (以下、収穫機という)は、クローラ形の走行装置1を有して自走機能を有する自走車体(機体)2で構成されている。ニンニクなどの根菜作物3は、畝に条植えされていることは上述したが、この収穫機は、まず、根菜作物3の葉茎部3aを挟持して根菜部3bごと引き抜き、これをその吊り下げ姿勢を保ったままで後上方に搬送する間、根菜部3bの底面から下向きに延びている根3cと葉茎部3aを切断し、残った根菜部3bを収穫するものであり、このような収穫作業を機体2が畝に沿う方向に走行しながら行なうものである。
機体2の走行中には、後上がり傾斜方向へ垂直面内でタイン4を後方回動させる分葉装置5で、いまから収穫する葉茎部3aと、収穫しない葉茎部3aとを分け、後上がり傾斜の平面内で後方回動するタイン6からなる掻込装置7で、いまから収穫する葉茎部3aのみを後方に掻き込む。掻込装置7で掻き込まれた葉茎部3aは、その後方に設けられている後上がり傾斜の平面内で対向面によって葉茎部3aを挟持しながら共に後方回動する一対のベルト8からなる挟持搬送装置9で挟持されて根菜部3bを地中から引き抜く。
各ベルト8は無端状体となされ、後述する側部処理ユニット12の後部に設けられた駆動プーリ9aに巻き掛けられている。また図4に示すように駆動プーリ9aの近傍にはその対応するテンションプーリ9bが設けられており、テンションプーリ9bはスプリング9cの弾力で無端状体の緩み側前後向き部を押圧してその対応する無端状体に緊張力を付与し、この無端状体が駆動プーリ9a上でスリップするのを防止する上で寄与する。
挟持搬送装置9の始端下部には、サブソイラ10aが土中に差し込まれて根菜部3bの周りの土を緩めるものとした振動装置10が設けられており、これにより、ベルト8の挟持力をあまり強くしなくても、引抜きが可能になる。
引き抜かれた根菜部3bは、葉茎部3aと一緒に挟持搬送装置9によって後上方へと搬送されて行くが、このときの根菜作物3は、挟持搬送装置9によってほぼ垂直に吊り下げられた姿勢となっている。尚、葉茎部3aの挟持位置は、挟持搬送装置9の始端高さによることになり、この高さは適宜変更できる必要がある。
そこで、この挟持搬送装置9、肩揃え装置15、根切断部13、葉茎切断部14などを一つの側部処理ユニット12に構成しておき、この側部処理ユニット12を機体2に設けられる支点軸16の回りの上下方向へ回動して調整するようにしている。
側部処理ユニット12の支点軸16回りの設定位置、即ち、挟持搬送装置9の始端高さは、機体2の前部に設けられて畝底を走行するゲージホイル11の高さを調整することで行なう。挟持搬送装置9の中程には、挟持搬送装置9よりも緩やかな後上がり傾斜の平面内で共に後方回動し対向面間に葉茎部3aを挟んだ状態で後方へ移動させる一対のベルト15aからなる肩揃え装置15が設けられており、ベルト15a、15aが搬送中の根菜部3bの肩を押えてこれを所定高さに押し下げる。
肩揃え装置15の後下方には、図5に示すように、挟持搬送装置9のベルト8に略平行に設置されて回転する左右一対の第1回転体17を有する根菜部摺接泥落とし装置18が設けられており、肩揃えされた根菜部3bや根3cに作用してこれに付いた泥を落とす。また本例では、根菜部摺接泥落とし装置18の前方、肩揃え装置15の下方に、図5中で左右向き回転軸19a回りの時計方向に回転させられる前回転体19を有する前方泥落とし装置20が設けられており、根菜部摺接泥落とし装置18に至る前の根菜部3bの底面や根3cに作用してこれに付いている泥を前以って落とす。
この際、前回転体19はゴムなどの弾性材からなる図示のようなスターホイルとか、同様の材質からなる多角形ローラのようものとなされるのであり、回転されることにより根3cに間欠的な打撃力を加えて泥を効果的に落下させる。
根菜部摺接泥落とし装置18についてさらに図6をも参照して詳細に説明すると、この泥落とし装置18は、挟持搬送装置9のベルト8の下方位置に、挟持搬送装置9の搬送経路を含む縦面を挟んでベルト8と平行に左右一対の第1回転軸21を配置し、この第1回転軸21に第1回転体17が装着されている。本例の第1回転体17はゴムなどの弾性材からなるスターホイル17aとなされているが、同様な材質からなる多角形ローラのようなものであってもよいし或いはドラムの外周にナイロン毛などを植設したブラシのようものであってもよい。各第1回転軸21は側部処理ユニット12に支持された駆動ケース22から後上方へ延出されていて、駆動ケース22により回転可能に位置保持されるものとなされている。
各第1回転軸21の後端にはこれを後上方へ向けて延長するように第2回転軸23が係着されており、第1回転軸21と第2回転軸23との結合は第1回転軸21の後端部を第2回転軸23の前端面に形成された結合孔に相対回転の規制された状態に挿入したものとなされている。そして各第2回転軸23の後端は側部処理ユニット12のフレーム12aに取外し移動可能に固定された軸受部24を介して回転自在に支持されている。
各第2回転軸23には第2回転体25が固定状に設けられている。本例の第2回転体25は第2回転軸23の外周にナイロン毛などを植設したブラシとなされているが、弾性変形が可能な円筒体状をしたものである限り、既述と同様なスターホイルや多角形ローラのようものであってもよい。第2回転体25は時折、掃除したり交換することが必要であるが、このようなときには軸受部24を側部処理ユニット12のフレーム12aから取り外し、次に第2回転体25の固定された第2回転軸23を後方へ引き変位させて第1回転軸21から分離させた後、側部処理ユニット12の外方へ取り出すのであり、これにより掃除や交換が容易に行える。
第1回転体17及び第2回転体25共に、根菜作物3の搬送面内で縦回転して根菜部3bの根3cに作用するものであるが、この場合において、第1回転体17をなすスターホイル17aは、その外周が根菜部3bの底面すれすれに作用するように設定されており、また第2回転体25をなす回転ブラシは、後方に至るほど根菜部3bを取り込む範囲が拡大するように(後方ほど持ち上げて)設定されている。即ち、回転ブラシ25は、側面視で、根菜部3bの移動軌跡に対して後方ほど重複範囲が大きくなるようになされ、徐々に広い範囲で泥落としができるようにするためであり、この重複範囲は、第1回転軸21の角度を変更することで調整される。
また図7に示すように、左右の第1回転体17は突起部a1と凹陥部a2とで星形をしたスターホイル17aを複数枚(本例では3枚)装着しているものとなされているが、この際、一方のスターホイル17aの突起部a1が根菜作物3の搬送経路を越えて他方のスターホイル17aの凹陥部a2に突入するような径、芯間距離、位相で配されており、両方の突起部a1で確実に根3c全体を叩くようになっている。また左右の回転ブラシ25は、互いに相手方の回転半径内に入り込むような径、芯間距離に設定されており、両者で根3cを挟み込んですり潰すようになっている。また左右のスターホイル17a及び左右の回転ブラシ25の回転方向は、根3cを上から下にすごくように設定されており、これによって、特に、回転ブラシ25ですり潰された根3cは細く絞られることになり、後続する切断に都合の良いように形が整えられる。これらのことから、スターホイル17aや回転ブラシ25は、軟質樹脂やゴムといった根菜部3bを傷付けない素材で構成される。
スターホイル17aや回転ブラシ25に以上の作用をさせるには、図5及び図6のようにどちらも共に強制回転させられる必要があるが、本例における駆動構成は、側部処理ユニット12の高さを変えてもその位置は不変である支点軸16の動力を第1プーリ・ベルト機構26で第1回転軸21の前方に機体2に対して直角に設けられた駆動ケース22の左右向き入力軸27まで導いている。また左右向き入力軸27に伝えられた動力は、駆動ケース22内のべベルギア機構によって第1回転軸21に伝えられ、さらに第2回転軸23に伝えられる。
この際、第1プーリ・ベルト機構26は支点軸16に固定されたプーリ28と、左右向き入力軸27に固定されたプーリ29の間に無端状のベルト30を掛け回すと共に、ベルト30を案内するための中間プーリ31と、スプリングの弾力で特定方向へ変位され且つベルト30の外周面を押圧するテンションプーリ32とを設けたものとなされている。
また前方泥落とし装置20の前回転体19は支点軸16の動力を第1プーリ・ベルト機構26から第2プーリ・ベルト機構33を経て伝達されるようになされている。第2プーリ・ベルト機構33は中間プーリ31の後側近傍の特定位置に支持軸34を介して設けられベルト30の外周面に圧接された入力側プーリ35と、入力側プーリ35に同心に固定された出力側プーリ36と、出力側プーリ36と左右向き回転軸19aに固定されたプーリ37とに巻き掛けられたベルト38と、スプリングの弾力で特定方向の変位可能となされ且つベルト38の外周面に圧接されベルト38に緊張力を付与するものとなされたテンションプーリ39とからなっている。
この際、入力側プーリ36に対するベルト38の巻き角を必要に応じて大小に変更できるようになすのがよいのであり、具体的には、入力側プーリ35の設置される位置を変更可能となしたり、或いは中間プーリ31の設置される位置を変更可能となす。
次に側部処理ユニット12の後上部の構造について図8〜図14を参照して詳細に説明する。ここには図8に示すように、根切断部13及び葉茎切断部14が形成されており、根切断部13は根3cを切断する根切断装置40と、葉茎部3aの挟持搬送を挟持搬送装置9から引き継いで根切断装置40へ誘導する第二挟持搬送装置41とを備えたものとなされ、また葉茎切断部14は葉茎部3aを切断する葉茎切断装置42と、葉茎部3aの挟持搬送を挟持搬送装置9から引き継いで根切断装置40へ誘導し切断後の葉茎部3aを排出する排葉装置72とを備えたものとなされる。
根切断部13及び葉茎切断部14を支持するための後部骨組み構造は、図9にも示すように、側部処理ユニット12のフレーム12aの後上部の左右側に固着された左右一対の縦支持板43から後側へ片持ち状に延出された左右一対の前後向き支持部材44と、左右一対の縦支持板43から斜め下方へ延出された後方視門形の管部材45と、管部材45の左側辺部の長さ途中箇所と左側の前後向き支持部材44の後端部とを結合した左側結合管部材46aと、管部材45の右側辺部の長さ途中箇所と右側の前後向き支持部材44の後端部とを結合した右側結合管部材46bと、左側結合管部材46aの前後向き部後部と右側結合管部材46bの前後向き部後部とを結合した左右向き結合管部材47とを備えたものとなされている。
そして根切断部13を支持するための切断部骨組み構造は、左右向き結合管部材47に固定された軸受管48に回動自在に挿通された左右向き支持軸49と、この支持軸49の左端部から左下方へ延出され次に前方へ延長された前後向き管部材50と、この前後向き管部材50に固定された前後向き縦板51とからなっている。この際、前後向き管部材50の前後向き部、及び前後向き縦板51は左側の前後向き支持部材44及び左側の前後向き結合管部材46aの真下か或いはそれよりも左側に位置されるのであり、これにより左右の前後向き結合管部材46a、46bの間に根切断装置40を形成するための広い空間が確保される。この広い空間は根菜作物3の切断片が落下するのを促進する上でも寄与する。
根切断装置40は切断部骨組み構造に支持されて左右向き支持軸49回りの上下変位自在となされたもので、前後向き縦板51の前部に固定された駆動ケース52と、駆動ケース52の上面左右箇所から起立された図10に示す左右一対の縦駆動軸53、53と、これら縦駆動軸53、53の上端のそれぞれに固定され略水平面内で交差して回転する一対の円板刃54、54とを具備している。
そして第二挟持搬送装置41は、根切断装置40の前上方に存在して略水平面内で対向面が共に後方回動する一対のベルト55を主体とするものであり、この際、第二挟持搬送装置41の搬送方向の傾斜は挟持搬送装置9のそれよりも小さくなされ、且つ、第二挟持搬送装置41の挟持力は挟持搬送装置9のそれよりも小さくなされる。従って、第二挟持搬送装置41が一対のベルト55で葉茎部3aを挟んで後方へ移送する過程で、挟持搬送装置9は葉茎部3aを引き上げて根菜部3bの肩部を一対のベルト55の下端縁に当接させて上下の位置決めをし、この位置決め状態で根切断装置40の一対の円板刃54の中央位置に誘導する。このとき、第二挟持搬送装置41の一対のベルト55は、根3cの切断される根菜部3bの直上の葉茎部3aを保持し、その根3cの切断を確実となす。
また根切断装置40の駆動ケース52から前方へ延長された延長板57には縦支持板43に掛け止められ切断部骨組み構造を左右向き支持軸49回りの上方へ引き上げるスプリング66aと、根切断装置40の上方変位を特定高さ位置で制限する変位規制手段56とが設けられており、変位規制手段56は、図11及び図12に示すように、駆動ケース52から前方へ延長された延長板57に固定された案内部58と、この案内部58により前上方への移動自在に案内された直状の被案内部材59と、被案内部材59から前上方へ延長状に設けられた衝接部材60と、被案内部材59をこれの移動方向上の複数位置の任意な1つの位置に固定させることを可能とした固定操作手段61とからなっている。
この際、案内部58は延長板57にコ字形板部材62を固着して断面四角形の案内孔b1を形成したものとなされており、被案内部材59は板部材59aをコ字形に屈曲され案内孔b1に移動自在に内挿され板部材59aの移動方向箇所に複数の透孔b2を列設された棒状部材となされており、衝接部材60は根切断装置40が上方変位したときにゴム質材63で覆われた先端部が左側の前後向き結合管部材46aの下面部に衝接するものとなされており、固定操作手段61はコ字形板部材62の外面に固着されたコ字形板片64と、これに形成された透孔b3及びコ字形板部材62に形成された透孔b4及び延長板57に形成された透孔b5に特定範囲内でのみ左右変位可能に挿通された操作棒部材65と、コ字形板片64の内方に位置され操作棒部材65を機体2右方向へ付勢するスプリング66bとからなっている。
上記した変位規制手段56は例えば次のように操作されるのであり、即ち、一方の手で操作棒部材65をスプリング66bの弾力に抗して引き変位させて案内部58の透孔b5及び被案内部材59の透孔b2から抜き出した状態となし、他方の手で被案内部材59を案内部58上でその案内方向へ移動させるようになし、被案内部材59の任意に選択した1つの透孔b2が操作棒部材65の先部と対向したときに操作棒部材65を解放するようになす。これにより、操作棒部材65はスプリング66bの弾力で機体右方へ変位して被案内部材59の透孔b2及び延長板57の透孔b5に挿通され被案内部材59を案内部58に固定させた状態となり、また衝接部材60は選択された1つの透孔b2に対応した距離だけ前上方へ張り出した状態となる。
衝接部材60が前上方へ張り出した距離が大きいほど、根切断装置40の上方変位の制限される特定高さ位置が低くなってベルト55から円板刃54までの距離が大きくなり、逆に衝接部材60が前上方へ張り出した距離が小さいほど、根切断装置40の上方変位の制限される特定高さ位置が高くなってベルト55から円板刃54までの距離が小さくなる。
上記特定高さ位置は収穫される根菜作物3の根菜部3bの上下方向寸法によって適宜に決定されるものであり、最適状態では一対の円板刃54、54が第2挟持搬送装置41で移送される根菜作物3の根菜部3bの底面よりも僅かに低い位置となるように設定される。このように設定された状態の下で根3cは切断されるのであり、これにより過小な根菜部3bについては一対の円板刃54、54で切断された後に根菜部3b側に残る根3cは比較的長くなり、逆に過大な根菜部3bについてはベルト55に肩部を支持された根菜部3bが根切断装置40側に設けられた図示しない案内手段を介して特開2004−73060号の発明の場合に準じて根切断装置40をスプリングの弾力に抗して押し下げるため、一対の円板刃54、54で切断された後に根菜部3b側に残る根は予定された長さとなる。
また根切断装置40が第2挟持搬送装置41に対し特定距離以上に下方変位した状態を保持するための下方変位保持機構67が設けられている。この下方変位保持機構67は任意に形成し得るものであり、例えば、図14に示すように、左側の前後向き結合管部材46aに長孔の形成されたリンク部材d1を左右向き支軸を介して枢着し、一方ではこの長孔内を摺動変位する係合部材d2を前後向き縦板51に固定した構造となす。根切断装置40を第2挟持搬送装置41に対し下方変位させるときはスプリング66aを取り外すのであり、これにより根切断装置40は前後向き縦板51の係合部材d2がリンク部材d1の長孔内を自由に下方変位できる範囲で左右向き支軸回りの下方へ降下され、この係合部材d2がリンク部材d1の長孔の下端に到達したときにそれ以上の下方変位を制限され、以後その位置(斜線位置s1)を安定的に保持される。
根切断装置40が下方変位保持機構67で下方変位を制限されたときには、根切断装置40と第2挟持搬送装置41との間に、一対の円板刃54、54などを保守するに必要な充分な空間が形成されるのであり、またこの空間は第2挟持搬送装置41で移送される根菜作物3の根3cが一対の円板刃54、54で切断されない状態となす上でも寄与し、根菜作物3をその根3cを切断することなく収穫することを可能となす。
また駆動ケース52よりも前側で、しかも一対の円板刃54、54と駆動ケース52の間となる高さ範囲で、しかも第2挟持搬送装置41による根菜作物3の移送経路近傍に、図10に示すように、根菜作物3の根3cの通過は許容するが根菜部3bの通過は制限する作物通過制限手段68が設けられている。本例の作物通過制限手段68は駆動ケース52の各円板刃54、54前方箇所に起立支持片69、69を設け、各起立支持片69の高さ途中箇所から棒部材70を後方へ延ばし次に下方へ延ばして起立状部70aを形成し、左右の起立状部70a、70aの左右方向中央位置が一対の縦駆動軸53、53の左右方向中央位置を通る前後方向線上に位置された構成となされている。この際、左右の起立状部70a、70aの左右方向の間隔は収穫する根菜作物3の左右方向直径よりも小さくなされる。
第2挟持搬送装置41で移送される根菜作物3は葉茎部3aに挟持搬送装置9による引き力が付与されるため、病害を受けた根菜作物3や損傷を受けた根菜作物3の葉茎部3aが根菜部3の肩部近傍で不用意に切断されることがあり、このような切断が生じたとき、その根菜部3bは第2挟持搬送装置41などの後方送り作用を受けて後下方へ落下するのであり、作物通過制限手段68の存在しない状況の下では、その落下の軌跡によっては根菜部3bが一対の円板刃54、54の下側で駆動ケース52の上面上に進入することがあり、このような根菜部3bの進入が生じると、円板刃54、54による根3cの切断が的確に行われないようになる。
しかし作物通過制限手段68をなす一対の起立状部70a、70aが駆動ケース52上に進入しようとする根菜部3bを駆動ケース52の前側で阻止するのであり、このように阻止された根菜部3bは起立状部70a、70aの前側にて重力作用により下方へ落下する。従って単数又は複数の根菜部3bが駆動ケース52上に進入することはなくなり、一対の円板刃54、54は第2挟持搬送装置41で正常に移送された根菜作物3bの根3cを確実且つ安定的に切断する。
また一対の円板刃54、54の後側でこれら円板刃54、54と駆動ケース52との間となる高さ範囲に、図13に示すように、後下方へ傾斜された多数の前上方へ向けられた上下向き棒部材71aを左右向き棒部材71bで結合してなるレーキ71が根切断装置40と同体状に設けられており、このレーキ71は一対の円板刃54、54の中央位置の真後ろに棒部材71aが位置しないものとなされている。
一対の円板刃54、54は交差箇所が後方へ移動するように回転され、根3cがこの交差箇所で切断されたときに生じる切断片を交差箇所が後方へ蹴り飛ばすように作用するものとなり、こうして後方へ蹴り飛ばされた切断片のうち比較的大きいものはレーキ71で受け止められて重力作用により下方へ落下し、比較的小さいものはレーキ71の棒部材71a間を通過してさらに後方へ向かいつつ落下する。
このように処理される切断片は、一対の円板刃54、54の中央位置の真後ろに棒部材71aが位置している場合には、この棒部材71aに後方へ蹴り飛ばされた比較的小さい切断片が引っ掛かり、この引っ掛かった切断片が核となり、この核となった切断片に、さらに後続して後方へ蹴り飛ばされた切断片が引っ掛かる現象が繰り返され、レーキ71の前面に切断片の堆積が生じて漸次に成長していき、最終的に、この切断片の堆積が一対の円板刃54、54による根3cの切断に障害を及ぼすようになる。
しかし、実際には一対の円板刃54、54の中央位置の真後ろには棒部材71aが存在していないのであって隣接した2本の棒部材71a、71aの左右方向略中央が配置されているため、後方へ蹴り飛ばされた比較的小さい切断片は棒部材71aに引っ掛かることなく円滑にレーキ71の後方へ通り抜けていく傾向が強くなるのであり、従ってレーキ71の前面に切断片の堆積が形成され難くなり、一対の円板刃54、54は根3cを確実且つ安定的に切断するのである。
葉茎切断部14は図8に示すように葉茎切断装置42と排葉装置72とからなっている。葉茎切断装置42は、根切断装置40の後上方に在って略水平面内で交差して回転する二つの円板刃82を主体とするものであり、根切断装置40で根3cを切断された根菜部3bの葉茎部3aを所定長さに切断する。排葉装置72は、葉茎切断装置42の上方に左右配置状態に設けられて略水平面内で対向面が共に後方回動するベルト73aと、挟持チェーン73bとを主体とするものであり、葉茎部3aの比較的上方を挟持して葉茎切断装置42からその後方へ移送する。切断された葉茎部3aは、図1などに示す排葉シュート74を経て圃場に放出される。
葉茎切断装置42で葉茎部3aを切断された状態の葉茎を備えた根菜部3bが収穫目的物であり、この収穫目的物はレーキ71の上面に落下し続いてレーキ71上面に案内されて後下方へ滑落し、次に図1に示す機体2後部の横向きベルトコンベア75上に自由落下する。横向きベルトコンベア75の搬送面上に載置状態となった収穫目的物は機体2右側へ搬送され、図2に示すコンテナ台76上に用意されたコンテナe1内に収容される。尚、以上のようにして収穫された収穫目的物は、所定の水分含量になるまで乾燥され、再度、根3cと葉茎部3aを調製されて出荷される。
最後に、上記のように作動する葉茎切断部14及び根切断部13などへの動力伝達構成について図8などを参照して説明する。
支点軸16の動力がチェーン・スプロケット伝動機構を介して葉茎切断装置42の入力スプロケット77に伝達され、次に入力スプロケット77に同心に固定されたスプロケット78からチェーンを介して根切断装置40の入力スプロケット79に伝達されると共に、別のチェーンを介して排葉装置72の入力スプロケット80及び挟持搬送装置9の入力スプロケット81に伝達される。
そして、入力スプロケット77に伝達された動力が葉茎切断装置42の一対の円板刃82を回転させるのであり、また入力スプロケット79に伝達された動力が根切断装置40の一対の円板刃54を回転させるのであり、また入力スプロケット80に伝達された動力が排葉装置72のベルト73a及びチェーン73bを作動させると共に伝動ベルト83を介して第2挟持搬送装置41のベルト55を作動させるのであり、さらには入力スプロケット81に伝達された動力が挟持搬送装置9を作動させる。
なお、上記実施例では根切断装置40側に変位規制手段56を設けたが、これに代えて第2挟持搬送装置11側に設けることも差し支えない。この場合には根切断装置40が特定高さ位置に到達したとき、衝接部材60は根切断装置40側の駆動ケース52と同体状部位に衝接するものとなる。
本発明の一例を示す根菜収穫機の側面図である。 前記根菜収穫機の平面図である。 前記根菜収穫機の正面図である。 前記根菜収穫機の挟持搬送装置の後部を示す平面図である。 前記根菜収穫機の泥落とし装置などを示す側面図である。 前記泥落とし装置の一部を示す平面図である。 前記泥落とし装置のスターホイルなどを示す説明図である。 前記挟持搬送装置の後部及びその後方の骨組み構造を示しAは平面図でBは側面図である。 前記根菜収穫機の側部処理ユニットの後部を示す側面図である。 前記根菜収穫機の根切断装置周辺を示しAは平面図でBは側面視断面図である。 前記根菜収穫機の変位規制手段を示す側面図である。 図10のx−x部を示す拡大断面図である。 前記根菜収穫機の根切断装置及びレーキを示しAは平面図でBは側面図である。 前記根菜収穫機の下方変位保持機構を示す正面視断面図である。
符号の説明
3 根菜作物
3b 根菜部
9 挟持搬送装置
11 第2挟持搬送装置
40 根切断装置
46b 左側の前後向き結合管部材(固定部材)
52 駆動ケース
53 駆動軸
54 円板刃
56 変位規制手段
60 衝接部材
65 操作部材
66a スプリング
66b スプリング
67 下方変位保持機構
68 作物通過制限手段
71a 上下向き棒部材
71 レーキ

Claims (4)

  1. 圃場から抜き上げられたニンニクなどの根菜作物を正立姿勢の状態でその肩部が特定移動軌跡上を略水平な特定方向へ移動するように搬送する搬送装置と、該搬送装置の下側に位置され該搬送装置に対し上下変位自在となされスプリングの弾力で上方へ引き上げられる根切断装置とを備えた根菜収穫機において、前記搬送装置又は前記根切断装置の何れか一方の側から他方の側へ向けた張り出し量を任意に変化され前記根切断装置が前記特定高さ位置に達したときに前記他方の側の固定部材に衝接して前記根切断装置のそれ以上の上方変位を規制するものとした衝接部材と、この衝接部材の前記張り出し量をスプリングの弾力を介して固定化させる操作部材とを具備した変位規制手段を形成され、この際、操作部材がスプリングの弾力に抗する操作力で変位されることにより衝接部材による前記張り出し量の固定状態が解除される構成となされていることを特徴とする根菜収穫機の根切断部。
  2. 前記根切断装置が前記搬送手段から特定距離以上に下方変位した状態を保持するための下方変位保持機構を設けたことを特徴とする請求項1記載の根菜収穫機の根切断部。
  3. 前記根切断装置が駆動ケースと、該駆動ケースから起立された一対の縦駆動軸と、これら縦駆動軸に固定された一対の円板刃とを具備しており、前記駆動ケースの前側でしかも前記一対の円板刃と前記駆動ケースとの間となる高さ範囲に、根菜作物の根菜部の通過を制限する作物通過制限手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の根菜収穫機の根切断部。
  4. 前記根切断装置が駆動ケースと、該駆動ケースから起立された一対の縦駆動軸と、これら縦駆動軸に固定された一対の円板刃とを具備しており、前記一対の円板刃の後側でこれら円板刃と前記駆動ケースとの間となる高さ範囲に、後下方へ傾斜された多数の上下向き棒部材を具備し且つ上面が根菜部の案内面となされたレーキが前記根切断装置と同体状に設けられており、このレーキが一対の円板刃の中央位置の真後ろに上下向き棒部材を位置されてないものとなされていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の根菜収穫機の根切断部。
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