JP7175206B2 - 水性ボールペン - Google Patents
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Description
コバルト及びニッケルからなる群のうちの少なくとも1つからなる結合相成分、
クロム、並びに
モリブデン、
を含有する混合物からなる筆記ボールを有するボールペンチップと、
ゲル化剤を含有するとともに、剪断減粘指数が0.6以下である水性インク組成物と、
を備えることを特徴とする。
図1は、第1実施形態に係る水性ボールペン10の側面図である。この水性ボールペン10は、後端に尾栓12が装着されている軸筒11の先端に、クリップ14を備えたキャップ13が装着された外観を呈している。
本実施形態の筆記ボール30は、主成分として炭窒化チタン(TiCN)及び窒化チタン(TiN)からなる群のうちの少なくとも1つからなる硬質相成分と、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)からなる群のうちの少なくとも1つからなる結合相成分と、クロム(Cr)と、モリブデン(Mo)と、を含有する混合物からなる。この混合物は、いわゆるサーメットと称されるものである。ここで、上記にて言及されている金属元素に関しては、単体であっても、化合物であってもいずれでもよい。
本実施形態の水性インク組成物40は、ゲル化剤を含有するとともに、剪断減粘指数が0.6以下である、いわゆるゲルインクである。
下記の組成による5種類の筆記ボールを、前記した方法にて製造した。
以下の組成の混合物を、前記した方法にて筆記ボールとして形成したものをボール1とした。
TiCN(硬質相成分):70質量%
Ni:(結合相成分)12質量%
Cr3C2:6質量%
Mo2C:12質量%
なお、このボール1は、後述の実施例1、5及び6並びに比較例1、5及び6で使用した。
以下の組成の混合物を、前記した方法にて筆記ボールとして形成したものをボール2とした。
TiCN(硬質相成分):85質量%
Ni(結合相成分):8質量%
Cr3C2:3質量%
Mo:4質量%
なお、このボール2は、後述の実施例2及び比較例2で使用した。
以下の組成の混合物を、前記した方法にて筆記ボールとして形成したものをボール3とした。
TiN(硬質相成分):85質量%
Ni(結合相成分):8質量%
Cr3C2:3質量%
Mo:4質量%
なお、このボール3は、後述の実施例3及び比較例3で使用した。
以下の組成の混合物を、前記した方法にて筆記ボールとして形成したものをボール4とした。
TiCN(硬質相成分):85質量%
Co(結合相成分):8質量%
Cr3C2:3質量%
Mo:4質量%
なお、このボール4は、後述の実施例4及び比較例4で使用した。
下記の各実施例及び比較例において、各組成に示す成分として、ゲル化剤以外は下記の製品又は物質を使用した。
顔料:FUJI RED 2510(冨士色素)
顔料分散剤:Joncryl 60(BASF JAPAN)
pH調整剤:トリエタノールアミン
防腐剤:バイオデンS(大和化学工業)
防錆剤:ベンゾトリアゾール
潤滑剤:RS-610(東邦化学工業)
水溶性有機溶剤:プロピレングリコール
水:イオン交換水
各実施例及び比較例において使用したゲル化剤は、以下のとおりである。
キサンタンガム:ケルザンAR(三晶)
サクシノグリカン:レオザン(ソルベイ日華)
ダイユータンガム:KELCO-VIS DG-F(KELCO)
酸化セルロース:レオクリスタ C-2SP(第一工業製薬)
カルボキシビニルポリマー:ハイビスワコー104(富士フイルム和光純薬)
アクリルポリマー:TT-615(ロームアンドハース)
実施例1~5及び比較例1~5における共通成分の組成は以下のとおりである。
顔料:8.0質量%
顔料分散剤:6.0質量%
pH調整剤:1.4質量%
防腐剤:0.2質量%
防錆剤:0.3質量%
潤滑剤:0.2質量%
水溶性有機溶剤:15.0質量%
共通成分合計:31.1質量%
各実施例の水性インク組成物の組成は、以下のとおりであった。
共通成分:31.1質量%
ゲル化剤(キサンタンガム):0.4質量%
水:68.5質量%
共通成分:31.1質量%
ゲル化剤(サクシノグリカン):0.38質量%
水:68.52質量%
共通成分:31.1質量%
ゲル化剤(ダイユータンガム):0.3質量%
水:68.6質量%
共通成分:31.1質量%
ゲル化剤(酸化セルロース):1.0質量%
水:67.9質量%
共通成分:31.1質量%
ゲル化剤(カルボキシビニルポリマー):0.34質量%
水:68.56質量%
共通成分:31.1質量%
ゲル化剤(アクリルポリマー):1.5質量%
水:67.4質量%
各比較例の水性インク組成物の組成は、以下のとおりであった。
共通成分:31.1質量%
ゲル化剤(キサンタンガム):0.1質量%
水:68.8質量%
共通成分:31.1質量%
ゲル化剤(サクシノグリカン):0.05質量%
水:68.85質量%
共通成分:31.1質量%
ゲル化剤(ダイユータンガム):0.02質量%
水:68.88質量%
共通成分:31.1質量%
ゲル化剤(酸化セルロース):0.25質量%
水:68.65質量%
共通成分:31.1質量%
ゲル化剤(カルボキシビニルポリマー):0.12質量%
水:68.78質量%
共通成分:31.1質量%
ゲル化剤(アクリルポリマー):0.6質量%
水:68.3質量%
剪断減粘性指数(n)は、E型回転粘度計(VISCOMETER RE215、東機産業)を用いて、下記の条件にて測定した。
コーン角:1°34′×R24
測定モード:スロープ測定
回転速度(ずり速度):1rpm(3.83sec-1)~100rpm(383sec-1)
上昇時間設定:56sec
測定温度:25℃
上記した各種筆記ボールを装着したボールペンチップと、上記した各実施例又は比較例の水性インク組成物を収容したリフィルとを備えた、各実施例及び比較例に係る水性ボールペンを調整した。これらの水性ボールペンにつき、JIS S6054-2000の規定に基づき機械筆記を400m行った後、ボールペンチップのボール受座を実体顕微鏡下で観察し、以下の基準にてチタン粒子の堆積を評価した。
A:チタン粒子の堆積は認められなかった。
B:チタン粒子の堆積が一部において認められた。
C:チタン粒子の堆積が全体的に認められた。
上記評価方法による結果を、各実施例及び比較例の概要とともに下記表1に示す。
実施例1の水性ボールペンでは、ゲル化剤としてキサンタンガムを0.4質量%含有することで、水性インク組成物の剪断減粘指数(n)は0.31と0.6以下であった。この水性インク組成物を収容し、筆記ボールとしてボール1を使用した実施例1の水性ボールペンでは、チタン粒子の堆積に関する評価がAと極めて優れていた。
実施例2の水性ボールペンでは、ゲル化剤としてサクシノグリカンを0.38質量%含有することで、水性インク組成物の剪断減粘指数(n)は0.36と0.6以下であった。この水性インク組成物を収容し、筆記ボールとしてボール2を使用した実施例2の水性ボールペンでは、チタン粒子の堆積に関する評価がAと極めて優れていた。
実施例3の水性ボールペンでは、ゲル化剤としてダイユータンガムを0.3質量%含有することで、水性インク組成物の剪断減粘指数(n)は0.40と0.6以下であった。この水性インク組成物を収容し、筆記ボールとしてボール3を使用した実施例3の水性ボールペンでは、チタン粒子の堆積に関する評価がAと極めて優れていた。
実施例4の水性ボールペンでは、ゲル化剤として酸化セルロースを1質量%含有することで、水性インク組成物の剪断減粘指数(n)は0.45と0.6以下であった。この水性インク組成物を収容し、筆記ボールとしてボール4を使用した実施例4の水性ボールペンでは、チタン粒子の堆積に関する評価がAと極めて優れていた。
実施例5の水性ボールペンでは、ゲル化剤としてカルボキシビニルポリマーを0.34質量%含有することで、水性インク組成物の剪断減粘指数(n)は0.53と0.6以下であった。この水性インク組成物を収容し、筆記ボールとしてボール1を使用した実施例5の水性ボールペンでは、チタン粒子の堆積に関する評価がBと優れていた。
実施例6の水性ボールペンでは、ゲル化剤としてアクリルポリマーを1.5質量%含有することで、水性インク組成物の剪断減粘指数(n)は0.58と0.6以下であった。この水性インク組成物を収容し、筆記ボールとしてボール1を使用した実施例6の水性ボールペンでは、チタン粒子の堆積に関する評価がBと優れていた。
なお、実施例1、実施例2、実施例3及び実施例4の水性インク組成物において使用されたゲル化剤はそれぞれ、キサンタンガム、サクシノグリカン、ダイユータンガム及び酸化セルロースであり、これらはいずれも多糖類である。一方、実施例5及び実施例6の水性インク組成物において使用されたゲル化剤はそれぞれ、カルボキシビニルポリマー及びアクリルポリマーであり、これらはいずれも多糖類ではない。そして、上記表1より、水性インク組成物のゲル化剤として多糖類を用いた実施例1~4の評価はAと、ゲル化剤として多糖類以外を用いた実施例5及び6の評価Bを上回った。このことにより、ゲル化剤としては、多糖類がより優れていると推察される。
13 キャップ 14 クリップ
15 リフィル 16 インク収容管 17 継手
20 ボールペンチップ 21 ホルダー 22 ボールハウス
23 カシメ部 24 ボール受座 25 インク溝
26 インク誘導孔 27 テーパー部 28 バック孔
30 筆記ボール 31 ボール表面
40 水性インク組成物 41 フォロワー
Claims (3)
- 炭窒化チタン及び窒化チタンからなる群のうちの少なくとも1つからなる硬質相成分、
コバルト及びニッケルからなる群のうちの少なくとも1つからなる結合相成分、
クロム、並びに
モリブデン、
を含有する混合物からなる筆記ボールを有するボールペンチップと、
ゲル化剤を含有するとともに、剪断減粘指数が0.6以下である水性インク組成物と、
を備えることを特徴とする水性ボールペン。 - 前記ゲル化剤が多糖類であることを特徴とする、請求項1に記載の水性ボールペン。
- 前記多糖類が、キサンタンガム、サクシノグリカン、ダイユータンガム及び酸化セルロースからなる群から選ばれる1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項2に記載の水性ボールペン。
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