JP7175166B2 - 配線シート及びその製造方法 - Google Patents
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Description
[2] 前記基材シートを作製する工程(A1)を有し、前記工程(A1)において、凸部が形成された成形型に樹脂又は樹脂前駆体を含む樹脂材料を導入し、前記樹脂材料を硬化させて、前記成形型の凸部に対応する溝部が第一面に開口する前記基材シートを作製する、[1]に記載の配線シートの製造方法。
[3] 前記基材シートを作製する工程(A2)を有し、前記工程(A2)において、成形型に樹脂又は樹脂前駆体を含む樹脂材料を導入し、前記樹脂材料を硬化させてシートを作製し、前記シートの第一面に開口する溝部を形成し、前記基材シートを得る、[1]に記載の配線シートの製造方法。
[4] 前記基材シートがエラストマーによって形成されている、[1]~[3]の何れか一項に記載の配線シートの製造方法。
[5] 第一面に開口する溝部を有する基材シートと、前記基材シートの第一面に少なくとも一部が露出する導電性配線と、を備える配線シートであって、前記導電性配線は、前記溝部の中に形成された第一導電部と、前記第一面上に、前記第一導電部に接合した第二導電部と、を有し、前記第一導電部は、前記溝部の壁面に形成されためっき層である、配線シート。
[6] 前記溝部の長さ方向に直交する前記第二導電部の幅が、前記第一導電部の幅よりも広い、[5]に記載の配線シート。
[7] 前記基材シートがエラストマーによって形成されている、[5]又は[6]に記載の配線シート。
本発明の配線シートは、第一導電部と第二導電部の接合が優れており、導電性が高く、繰り返しの使用における耐久性にも優れる。また、第一導電部は基材シートの第一面に埋め込まれた状態にあるので、第一導電部及び第二導電部からなる配線の基材シートに対する接着性が向上している。さらに、配線が第一導電部を有しているので、配線の長さ方向(溝部の長さ方向)に直交する断面積が増えている。配線の断面積が増加したことにより、配線の長さ方向の電気抵抗が低減し、優れた導電性が発揮される。
本発明の配線シートの製造方法の第一実施形態は、基材シートと、前記基材シートの表面に少なくとも一部が露出する導電性配線と、を備える配線シートの製造方法であり、以下の工程(B)を少なくとも有する。工程(B)は、第一面に開口する溝部を有する前記基材シートを準備し、前記基材シートの前記第一面を覆い、且つ前記溝部の一部分を覆わずに開口した状態を残して金属層を設置し、前記金属層を電極として用いて電気めっきを行い、前記溝部の中に、前記金属層と接合し、前記溝部の壁面に沿う第一導電部を形成し、さらに前記金属層の一部をエッチングにより除去して、第二導電部を形成する工程である。前記基材シートは工程(B)以外の工程で作製される。以下、図面を参照して実施形態の一例を説明する。
図1、図2に示すように、本工程で用いる絶縁性の基材シート1は、平面視矩形であり、第一面1aに複数の溝部2が形成されている。溝部2は、基材シート1が構成する絶縁部6の表面に形成された凹構造である。各溝部2は、長さ方向(長手方向)が一方向に揃えられ、互いに平行である。
本工程では、まず、基材シート1の第一面1aに電気めっき用の平板電極である金属層Eを密着させる。この際、各溝部2において、金属層Eにより一部分のみを覆い、残りの部分を覆わず、開口した部分を残す。図示例では各溝部2を長さ方向に見たときの第一端部2a(2)と、第二端部2b(2)とが開口した状態としている。この状態で、図示しない電気めっき槽に基材シート1及び金属層Eを浸漬すると、めっき液が溝部2の第一端部2a及び第二端部2bの開口から溝部2の中に自然に流入し、電気めっきに必要な成分が溝部2内に拡散可能な状態となる。
めっき層である第一導電部3は、電極である金属層Eを起点の一つとして成長するので、第一導電部3の金属層Eに対する接合性が優れる。この優れた接合性の発現は、めっき層が金属層Eに接合する箇所のめっき層の厚みが充分に厚くなることによる。
前記接触式の加工方法としては、研磨、切削等が挙げられ、前記非接触式の加工方法としては、レーザ加工、プラズマ処理等が挙げられる。
実施形態B1は、第一面1aに形成した第二導電部8を研磨又はスライス等の方法を用いて、第一面1aから第二導電部8を研削することにより形成することができる。
実施形態B2は、第一面1aの上方から加工用のレーザを照射して、第一導電部3と重ならない部分の第二導電部8を除去することにより形成することができる。
本工程は、基材シートを作製する工程の一例である。まず、図6、図7に示す成形型Kを準備する。成形型Kの表面には、凹部Nと、凹部N内に配置された複数の直方体状の凸部Mが形成されている。
凹部Nの形状は、大まかには配線シート10の外形に相当する。図示例では上方に開口した扁平な直方体の空間である凹部Nが成形型K内の表面に形成されている。凹部Nは、配線シート10が有する絶縁部6を形成する空間であり、凹部Nの形状が反映された基材シート1を有する配線シート10を形成することができる。
凸部Mの各々の断面形状や配置は、配線シート10が有する第一導電部3の各々の断面形状や配置に相当する。
各凸部Mの高さは、凹部Nの深さと同じであってもよいし、異なっていてもよい。つまり、凸部Mの先端の位置は、成形型Kの表面Kaと面一であってもよいし、表面Kaよりも低い位置(即ち、凹部Nの内部)にあってもよいし、表面Kaよりも高い位置(即ち、凹部Nの外部であって上方)にあってもよい。図示例では、各凸部Mの高さ位置は成形型Kの表面Kaと面一である。
続いて、成形型Kから基材シート1を脱型する。得られた基材シート1の第一面1aには、成形型Kの凸部Mに対応する複数の溝部2が形成されている(図1、図2)。
本工程は、基材シートを作製する工程の別の一例である。図9に示す成形型Wを準備する。成形型Wの表面Waには、作製する配線シート10の外形に対応する、上方に開口した扁平な直方体の空間である凹部Uが形成されている。
まず、図9に示すように、成形型Wの表面Waに、樹脂又は樹脂前駆体を含む液状の樹脂材料Lを塗布する。この際、凹部Uに入り切らない余剰の樹脂材料Lは成形型Wの表面Waに溢れる。
次に、図10に示すように、成形型Wの凹部U内に充填した樹脂材料Lを硬化させ、成形型W内にシートαを形成する。この際、凹部U内に入らずに溢れた樹脂材料Lが、シートαの第二面を覆う残膜Rになる。
続いて、成形型Wから脱型したシートαの第一面に、所望の形状の溝部2を任意の数で形成することにより、基材シート1を得る。溝部2の配置や形状は作製する配線シート10が有する第一導電部3の配置に対応している。溝部2を形成する方法は特に制限されず、例えば、ドリル掘削、レーザ加工等の樹脂シートの表面を加工する公知方法が適用される。
各実施形態の製造方法において、電気めっきにより基材シート1の溝部2の壁面に金属薄膜を形成し、さらに溝部2の長さ方向に沿う配線を形成する方法は、樹脂に対する公知の電気めっき法が適用される。好適な方法として、例えば、次の方法が挙げられる。すなわち、まず、無電解めっきの触媒となる金属イオンを予め溝部2の壁面に担持させ、次いで無電解めっきにより、めっき膜を形成した後、電気めっきにより所望の厚みの金属薄膜を形成する方法である。無電解めっきにより下地の金属薄膜を形成した後、電気めっきにより重ねて金属薄膜を形成することにより、溝部2の壁面に対する密着性が高い配線を形成することができる。溝部2内に形成する配線は中実でもよいし、中空でもよい。前記配線が中空である場合、溝部2の壁面に形成する金属薄膜の厚さとしては、例えば、0.1μm~10μmが挙げられる。
本発明においてもこのような電気めっき方法が適用できる。
樹脂材料Lに含まれる樹脂又は樹脂前駆体は、基材シート1の絶縁部6を構成する主材料である。樹脂前駆体は、樹脂を形成する化合物であり、例えば重合反応により樹脂を形成するモノマーが挙げられる。
前記樹脂としては、例えば、光重合性樹脂、熱重合性樹脂、活性エネルギー線重合性樹脂、触媒重合性樹脂等の公知の硬化性樹脂が挙げられる。
前記エラストマーとしては、例えば、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。これらの中でも、成形型から取り出した後の寸法変化が小さく、成形型から取り出した後の反りが生じ難く、圧縮永久歪が小さく、耐熱性が高い、シリコーンゴムが好ましい。シリコーンゴムは、縮合型、付加型のいずれでもよい。
本発明の配線シートは、第一面に開口する溝部を有する基材シートと、前記基材シートの第一面に少なくとも一部が露出する導電性配線と、を備える配線シートであって、前記導電性配線は、前記溝部の中に形成された第一導電部と、前記第一面上に、前記第一導電部に接合した第二導電部と、を有し、前記第一導電部は、前記溝部の壁面に形成されためっき層である。
ここで、導電性配線の一部が第一面に「露出する」とは、その一部が他の部材で被覆されていないことを意味する。その一部は第一面から突出していてもよいし、第一面と面一でもよいし、第一面から陥没した位置にあってもよい。
配線シート10の平面視の形状は矩形に限定されず、円形、楕円形、多角形、その他の任意の形状が採用できる。
配線シート10の縦×横のサイズは特に限定されず、例えば、1mm×1mm~10cm×10cmとすることができる。
配線シート10を構成する基材シート1の厚さは、例えば、50μm以上500μm以下とすることができる。
配線シート10の形態、サイズ、厚さ等は、配線シート10の用途や目的に合わせて適宜設定される。
配線シート10の第一導電部3は、海島構造のうちの島部分であり、海部分によって互いに独立化された複数の直方体状の導電性部分である。各第一導電部3は基材シート1の第一面1aと面一の高さまでの領域であり、第二導電部8によって少なくとも一部が覆われている。第一導電部3の長さ方向の端部は、基材シート1の側面に露出していても構わない。各第一導電部3は、X方向又はY方向に沿って一定のピッチで配置されていてもよいし、特定の繰り返しパターンを有しない配置であってもよい。
第一面1aから第二面1bへ向けた、第一導電部3の中心軸の軸線は、第一面1a及び第二面1bの各々に対して、それぞれ独立に垂直でもよいし、傾いていてもよい。
前記幅S1は、測定顕微鏡等の公知の微細構造観察手段によって測定される。
上記範囲の下限値以上であると隣接する第一導電部3間のピッチを狭くしつつ、配線の長さ方向の抵抗を低減することができる。
上記範囲の上限値以下であると配線の機械的強度を高め、外部からの応力を受けた場合に断線することを確実に防止できる。
前記高さZは、測定顕微鏡等の公知の微細構造観察手段によって測定される。
上記範囲の下限値以上であると、配線同士の短絡を防止し、配線を両側面から支持する絶縁部6の機械的強度を高めることができ、外部からの応力を受けた場合に断線することを確実に防止できる。
上記範囲の上限値以下であると、高精細な配線を形成できる。
配線シート10の絶縁部6は、海島構造のうちの海部分であり、絶縁部分である。
絶縁部6のZ方向の長さは、基材シート1の厚さHと同様であり、例えば、25μm以上750μm以下が好ましく、50μm以上500μm以下がより好ましい。
前記下限値以上であれば、配線シート10の機械的強度がより高くなる。
前記上限値以下であれば、配線シート10の可撓性がより高くなり、薄型化が求められる電子機器の内部に容易に実装することができる。
前記含有量が70質量%以上であることにより、配線シート10の可撓性が充分に高まり、外部からの応力に対する耐性がより一層高まる。
配線シート10が有する個々の第二導電部8の平面視の形状は特に制限されず、任意の配線の形状が適用できる。例えば、直線部と屈曲部を任意に組み合わせた形状が挙げられる。個々の第二導電部8の平面視の形状は、互いに同じでもよいし、異なっていてもよい。
第二導電部8の長さ方向に直交する平面で配線シート10を切断した断面において、第二導電部8のうち、端子部の幅S2は接続性向上の観点から、第一導電部3の幅S1よりも広いことが好ましい。また、第二導電部8のうち、回路部の幅S2は配線の狭ピッチ化の観点から第一導電部3の幅S1以下であることが好ましい。第二導電部8は回路部にはなくても良い。前記端子部としては、例えば、図12に示す配線シート20の領域A、図20に示す配線シート40の領域Aが挙げられる。前記回路部としては、例えば、図12に示す配線シート20の領域B、図20に示す配線シート40の領域B1及び領域B2が挙げられる。
前記幅S2は、測定顕微鏡等の公知の微細構造観察手段によって測定される。
第二導電部8の高さhは、図11に示すように、配線シート10の厚さ方向の断面を公知方法により撮像した画像から求められる。上述の第二導電部8の高さhは、例えば、10個以上、好ましくは30個以上の第二導電部8が写った断面の画像から、無作為に選択した5個以上、好ましくは10個以上の第二導電部8の高さを画像処理により得て算出した平均値であることが好ましい。
本発明の配線シートの用途としては、公知の配線や回路を備えた電子基板と同じ用途が挙げられる。例えば、電子デバイスの端子の導通試験を行う検査用途や、電子機器内に備えられる回路基板を構成する実装用途に適用できる。
配線シートの基材シートがエラストマーを含んでいる場合、配線シートは優れた柔軟性を有し、弾性変形するので、電子デバイスへの設置および取り外しが容易である。
配線シート40の領域Aにおける基材シート1の第一面1aには、第一導電部3よりも幅広で、第一面1aから突出した第二導電部8からなる第一接続部が形成されている。この第一接続部には別のデバイス等が電気的に接続可能とされている。
配線シート40の領域B1における基材シート1の第一面1aには、第二導電部8は無く、第一導電部3の表面が第一面1aと面一の位置にあり、第一導電部3の表面及び第一面1aは、レジストからなる絶縁層9によって被覆されている。
配線シート40の領域B2の平面視で、第一導電部3の真上のみに第二導電部8が備えられており、第二導電部8は第一面1aから突出しており、第二接続部を構成する。この第二接続部には別のデバイス等が電気的に接続可能とされている。
配線シート40の領域Aにおける配線同士のピッチよりも、領域B2における配線同士のピッチの方が狭ピッチである。
Claims (6)
- 基材シートと、前記基材シートの表面に少なくとも一部が露出する導電性配線と、を備える配線シートの製造方法であって、
第一面に開口する溝部を有する前記基材シートを準備し、
前記基材シートの前記第一面に金属層を密着させ、前記溝部の一部分を覆った状態で、前記金属層を電極として用いて電気めっきを行い、前記溝部の中に、前記金属層と接合し、前記溝部の壁面に沿う第一導電部を形成し、
さらに前記金属層の一部をエッチングにより除去して、第二導電部を形成する工程(B)を有する、配線シートの製造方法。 - 前記基材シートを作製する工程(A1)を有し、
前記工程(A1)において、凸部が形成された成形型に樹脂又は樹脂前駆体を含む樹脂材料を導入し、前記樹脂材料を硬化させて、前記成形型の凸部に対応する溝部が第一面に開口する前記基材シートを作製する、請求項1に記載の配線シートの製造方法。 - 前記基材シートを作製する工程(A2)を有し、
前記工程(A2)において、成形型に樹脂又は樹脂前駆体を含む樹脂材料を導入し、前記樹脂材料を硬化させてシートを作製し、前記シートの第一面に開口する溝部を形成し、前記基材シートを得る、請求項1に記載の配線シートの製造方法。 - 前記基材シートがエラストマーによって形成されている、請求項1~3の何れか一項に記載の配線シートの製造方法。
- 第一面に開口する溝部を有する基材シートと、
前記基材シートの第一面に少なくとも一部が露出する導電性配線と、を備える配線シートであって、
前記導電性配線は、
前記溝部の中に形成された第一導電部と、
前記第一面上に、前記第一導電部に接合した第二導電部と、を有し、
前記第一導電部は、前記溝部の壁面に形成されためっき層であり、
前記溝部の長さ方向に直交する前記第二導電部の幅が、前記第一導電部の幅よりも広い、
配線シート。 - 前記基材シートがエラストマーによって形成されている、請求項5に記載の配線シート。
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