JP7258488B2 - 電気コネクター及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電気コネクター及びその製造方法に関する。
従来、電子デバイス同士を接続するために、微細な電極同士を圧接により接続するコネクター(以下、電気コネクターという。)が用いられている。通常の電気コネクターはシート状であり、複数の導電部とその間を相互に絶縁する絶縁部とを有し、第一デバイスの接続端子と第二デバイスの接続端子との間に配置され、これらを電気的に接続する。このような電気コネクターの製造方法として、特許文献1には、基板の表面に導電性粒子を含む感光性樹脂組成物を塗布し、この塗膜をプリベークするとともに磁場を作用させることにより、導電性粒子を塗膜の厚さ方向に配向させる。さらに、接続する電子デバイスの端子の配置に合わせたマスクを用いてフォトリソグラフィーを行い、電気コネクターの導電部を形成した後、樹脂からなる絶縁部を導電部の周囲に形成する。
特開平11-154550号公報
特許文献1の方法ではフォトリソグラフィーを実施する高価な設備が必要であり、電気コネクターの製造コストが嵩む問題がある。
そこで、本発明者は、フォトリソグラフィーが必須ではなくなる方法として、図13に示すように、接続する予定の電子デバイスの端子の配置に合わせて複数の磁石Jを保持する1組の金型Oを用いる次の方法を検討した。すなわち、対向するように配置した1組の金型Oの間に、導電性粒子Fを含む樹脂組成物層Gを形成し、対向する磁石Jの間だけに導電性粒子Fを配置させることを試みた。しかし、磁力のみで全ての導電性粒子Fの配置を制御することは困難であった。このため、樹脂組成物層G内において、第一の配線を構成する導電性粒子Fの一部と、これに隣接する第二の配線を構成する導電性粒子Fの一部とが接触して、第一の配線と第二の配線が短絡する懸念があった。図中、破線の丸で囲んだ箇所が短絡の懸念される箇所の一例である。
また、特許文献1の方法、及び図13に示す方法では、導電性粒子からなる貫通配線の端部は、電気コネクターの表面と面一となる。この電気コネクターの貫通配線の端部からなる端子を電子デバイスの陥没電極に圧接することは通常難しい。貫通配線の端部を電気コネクターの表面から突出させることができれば、陥没電極への圧接が容易となる。しかし、貫通配線は導電性粒子の集合体であるので、貫通配線の端部周辺の樹脂基材をエッチング等で除去すると、端部が崩壊してしまう。陥没電極への接続を容易にする別の方法として、貫通配線の端部の直上に、半田ボールを載置して、導電性の突出部(バンプ)を形成することが考えられる。しかし、半田ボールと貫通配線との接合性が悪く、電気抵抗が高まる、圧接により半田ボールが取れる等の問題がある。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、電気コネクター内で隣接する配線同士の短絡を防止し、磁力を利用した簡便な電気コネクターの製造方法と、電子デバイスに対する接続性が向上した電気コネクターを提供する。
本発明者が鋭意検討したところ、図11等に示すように、基材シート1を準備し、貫通配線を形成したい箇所に予め穴部2を形成し、導電性粒子Fを含む樹脂材料を基材シート1の表面に塗布し、その樹脂材料の一部を穴部2に注入し、穴部2の中にある導電性粒子Fを磁力によって厚さ方向に配向させる方法により、貫通配線同士が短絡する問題を解決した。さらに、樹脂材料の残部を基材シート1の表面で硬化させ、各貫通配線と一続きで境界や接合面を有しない導電性の突出部を貫通配線の直上に形成する方法により、電子デバイスに対する接続性や耐久性を向上させた。本発明は以下の態様を有する。
[1] 第一電子デバイスの接続端子と、第二電子デバイスの接続端子との間に配置され、これらを電気的に接続するための電気コネクターの製造方法であって、複数の凸部が形成された成形型に樹脂又は樹脂前駆体を含む第一樹脂材料を導入し、前記第一樹脂材料を硬化させて、前記成形型の各凸部に対応する貫通又は非貫通の穴部が第一面に開口する基材シートを作製する工程(A1)と、前記基材シートの前記第一面に、強磁性体を含有する導電性粒子と樹脂又は樹脂前駆体とを含む第二樹脂材料を塗布し、前記穴部の各々の中に前記第二樹脂材料の一部を注入するとともに、前記第二樹脂材料の残部を前記第一面上に留め置き、さらに磁力をかけて、前記穴部内の前記導電性粒子を前記穴部の深さ方向に整列させた後、前記穴部内に注入した前記第二樹脂材料、及び前記第一面上に留め置いた前記第二樹脂材料を硬化させることにより、前記穴部の各々の中に第一導電部を形成するとともに、前記第一導電部の各々と一続きの導電層を前記第一面上に形成し、さらに前記導電層の一部をエッチングにより除去して、互いに独立に区画された複数の第二導電部を形成する工程(B)と、を有する、電気コネクターの製造方法。
[2] 第一電子デバイスの接続端子と、第二電子デバイスの接続端子との間に配置され、これらを電気的に接続するための電気コネクターの製造方法であって、成形型に樹脂又は樹脂前駆体を含む第一樹脂材料を導入し、前記第一樹脂材料を硬化させてシートを作製し、前記シートの第一面に開口する貫通又は非貫通の複数の穴部を形成し、基材シート得る工程(A2)と、前記基材シートの前記第一面に、強磁性体を含有する導電性粒子と樹脂又は樹脂前駆体とを含む第二樹脂材料を塗布し、前記穴部の各々の中に前記第二樹脂材料の一部を注入するとともに、前記第二樹脂材料の残部を前記第一面上に留め置き、さらに磁力をかけて、前記穴部内の前記導電性粒子を前記穴部の深さ方向に整列させた後、前記穴部内に注入した前記第二樹脂材料、及び前記第一面上に留め置いた前記第二樹脂材料を硬化させることにより、前記穴部の各々の中に第一導電部を形成するとともに、前記第一導電部の各々と一続きの導電層を前記第一面上に形成し、さらに前記導電層の一部をエッチングにより除去して、互いに独立に区画された複数の第二導電部を形成する工程(B)と、を有する、電気コネクターの製造方法。
[3] 第一電子デバイスの接続端子と、第二電子デバイスの接続端子との間に配置され、これらを電気的に接続するための電気コネクターの製造方法であって、樹脂によって形成され、第一面に開口する貫通又は非貫通の複数の穴部が形成された基材シートを準備し、前記基材シートの前記第一面に、強磁性体を含有する導電性粒子と樹脂又は樹脂前駆体とを含む第二樹脂材料を塗布し、前記穴部の各々の中に前記第二樹脂材料を注入するとともに、前記第二樹脂材料の残りを前記第一面上に留め置き、さらに磁力をかけて、前記穴部内の前記導電性粒子を前記穴部の深さ方向に整列させた後、前記穴部内に注入した前記第二樹脂材料、及び前記第一面上に留め置いた前記第二樹脂材料を硬化させることにより、前記穴部の各々の中に第一導電部を形成するとともに、前記第一導電部の各々と一続きの導電層を前記第一面上に形成し、さらに前記導電層の一部をエッチングにより除去して、互いに独立に区画された複数の第二導電部を形成する工程(B)、を有する、電気コネクターの製造方法。
[4] 第一電子デバイスの接続端子と、第二電子デバイスの接続端子との間に配置され、これらを電気的に接続するための電気コネクターであって、基材シートと、前記基材シートの厚さ方向に貫通する複数の第一導電部と、前記基材シートの第一面側に突出し、前記複数の第一導電部のうちの少なくとも1つと一続きに一体化した第二導電部と、を備え、前記第一導電部及び前記第二導電部は、樹脂及び導電性粒子を含む同じ樹脂組成物によって形成されている、電気コネクター。
本発明の電気コネクターの製造方法によれば、必ずしもフォトリソグラフィーを用いる必要が無いので、簡便に電気コネクターを製造することができる。また、成形型を用いて導電部よりも先に絶縁部を形成するので、隣接する配線同士の短絡を確実に防止できる。さらに、磁力を利用して導電性粒子同士を密に集合させるので、導電性に優れた配線を形成できる。また、電気コネクターの第一面側に突出した、貫通配線である第一導電部と一続きの第二導電部を容易に形成することができる。
本発明の電気コネクターは、第一面側に突出した第二導電部を有するので、電子デバイスの電極に対する接続性が向上している。また、第一面側に突出した第二導電部は、貫通配線である第一導電部と一続きに一体化しているので、導電性が高く、繰り返しの使用における耐久性にも優れる。
本発明の第一実施形態の製造方法において電気コネクター10を製造する様子を示す平面図である。 図1のII-II線で切断した断面図である。 電気コネクター10を製造する様子を示す断面図である。 本発明の第一実施形態の製造方法で使用する基材シート1の平面図である。 電気コネクター10を製造する様子を示す平面図である。 図5のVI-VI線で切断した断面図である。 電気コネクター10を製造する様子を示す平面図である。 図7のVIII-VIII線で切断した断面図である。 本発明の一例である電気コネクター10の平面図である。 図9のX-X線で切断した断面図である。 本発明の第二実施形態の製造方法において電気コネクター10を製造する様子を示す断面図である。 電気コネクター10の一部を厚さ方向に沿って切断した断面を拡大した断面図である。 樹脂組成物Gに広く分散している導電性粒子Fを対向する磁石Jの間に配置することを試みた様子を示す断面図である。 電気コネクター10の各面に電子デバイスがそれぞれ1つずつ圧接された状態で接続された様子を示す断面図である。
≪電気コネクターの製造方法≫
<第一実施形態>
本発明の電気コネクターの製造方法の第一実施形態は、第一電子デバイスの接続端子と、第二電子デバイスの接続端子との間に配置され、これらを電気的に接続するための電気コネクターの製造方法であり、以下の工程(A1)及び工程(B)を少なくとも有する。
工程(A1)は、複数の凸部が形成された成形型に樹脂又は樹脂前駆体を含む第一樹脂材料を導入し、前記第一樹脂材料を硬化させて、前記成形型の各凸部に対応する貫通又は非貫通の穴部が第一面に開口する基材シートを作製する工程である。
工程(B)は、前記基材シートの前記第一面に、強磁性体を含有する導電性粒子と樹脂又は樹脂前駆体とを含む第二樹脂材料を塗布し、前記穴部の各々の中に前記第二樹脂材料の一部を注入するとともに、前記第二樹脂材料の残部を前記第一面上に留め置き、さらに磁力をかけて、前記穴部内の前記導電性粒子を前記穴部の深さ方向に整列させた後、前記穴部内に注入した前記第二樹脂材料、及び前記第一面上に留め置いた前記第二樹脂材料を硬化させることにより、前記穴部の各々の中に第一導電部を形成するとともに、前記第一導電部の各々と一続きの導電層を前記第一面上に形成し、さらに前記導電層の一部をエッチングにより除去して、互いに独立に区画された複数の第二導電部を形成する工程である。
以下、図面を参照して実施形態の一例を説明する。
<成形型K>
図9、図10に示す電気コネクター10の作製を例示する。まず、図1、図2に示す成形型Kを準備する。成形型Kの表面には、凹部Nと、凹部N内に配置された複数の円柱状の凸部Mが形成されている。
凹部Nの形状は、大まかには電気コネクター10の外形に相当する。図示例では上方に開口した扁平な直方体の空間である凹部Nが成形型K内の表面に形成されている。凹部Nは、電気コネクター10が有する絶縁部6を形成する空間であり、凹部Nの形状が反映された基材シート1を有する電気コネクター10を形成することができる。
凸部Mの各々の断面形状や配置は、電気コネクター10が有する貫通配線である第一導電部5の各々の断面形状や配置に相当する。
各凸部Mの高さは、凹部Nの深さと同じであってもよいし、異なっていてもよい。つまり、凸部Mの先端の位置は、成形型Kの表面Kaと面一であってもよいし、表面Kaよりも低い位置(即ち、凹部Nの内部)にあってもよいし、表面Kaよりも高い位置(即ち、凹部Nの外部であって上方)にあってもよい。図示例では、各凸部Mの高さ位置は成形型Kの表面Kaと面一である。
<工程A1>
図1、図2に示すように、凹部N及び凸部Mを有する成形型Kの表面に、樹脂又は樹脂前駆体を含む液状の第一樹脂材料L1を塗布する。第一樹脂材料L1は、絶縁部6を形成する絶縁性材料である。塗布により第一樹脂材料L1は凹部N内に導入される。この際、凹部Nに入り切らない余剰の第一樹脂材料L1は成形型Kの表面Kaに溢れる。第一樹脂材料L1の凹部N内への導入を促進するために、真空処理、スキージによる押し込み等を行ってもよい。
次に図3に示すように、成形型Kの各凹部N内に充填した第一樹脂材料L1を硬化させ、成形型K内に基材シート1を形成する。この際、凹部N内に入らずに溢れた第一樹脂材料L1が、基材シート1の一方の主面(第二面)を覆う残膜Rになる。
続いて、成形型Kから基材シート1を脱型する。得られた基材シート1の第一面1aには、成形型Kの凸部Mに対応する複数の穴部2が形成されている(図4)。
図示例では、穴部2は非貫通孔であるが、貫通孔として穴部2を形成してもよい。例えば、成形型Kの凸部Mの高さが凹部Nの深さよりも充分に高く、成形型Kの表面に塗布した第一樹脂材料L1の表面から凸部Mの先端が突出する場合、基材シート1の穴部2は貫通孔となる。
<工程B>
図5、図6に示すように、基材シート1の第一面1aに第二樹脂材料L2を塗布する。この際、穴部2に入り切らない過剰量の第二樹脂材料L2を第一面1aに塗布する。続いて、図7、図8に示すように、穴部2の各々の中に導電性粒子を含む第二樹脂材料L2の一部を注入する。穴部2に入らずに余った、導電性粒子を含む第二樹脂材料L2の残部は、基材シート1の第一面1aを覆うように溢れた状態となる。
第二樹脂材料L2を穴部2へ注入する方法は特に制限されず、例えば、毛細管現象を利用しつつ真空下で自然に流入させる方法、スキージにより強制的に押し込む方法等が挙げられる。
上記注入の完了後、穴部2内に注入されずに基材シート1の第一面1aに残った余分な第二樹脂材料L2を、そのまま、第一面1a上に留め置く。留め置く方法としては、例えば、不図示の枠を第一面1a上に置き、この枠内に第二樹脂材料L2を留める方法が挙げられる。
第二樹脂材料L2の一部を各穴部2内に注入した後、図7、図8に示す状態で、穴部2の深さ方向(基材シート1の厚さ方向)に略平行な磁場をかけて、穴部2内の第二樹脂材料L2に含まれる導電性粒子を、磁力により穴部2の深さ方向に整列させる。磁力によって穴部2内の導電性粒子が互いに接触した状態で高密度に連結することにより、基材シート1の第一面1aに第一端部を有し、第二面1bに第二端部を有する貫通配線を形成する。
導電性粒子が貫通配線を形成した状態で、各穴部2の中の第二樹脂材料L2、及び第一面1a上に留め置いた第二樹脂材料L2を硬化させることにより、樹脂の中で導電性粒子が固定される。この結果、穴部2の各々の中には、基材シート1を厚さ方向に貫通する貫通配線としての第一導電部5を形成し、第一面1a上には、各穴部2内の第一導電部5の各々と一続きの導電層7を形成することができる。導電層7の厚さは、第一面1a上に留め置く第二樹脂材料L2の量によって、又は、導電層7をスライスすることによって、任意に調整することができる。導電層7の厚さとして、例えば、1μm~50μmの厚さが挙げられる。
次に、第一面1aを覆う導電層7の一部をエッチングにより除去して、互いに独立に区画された複数の第二導電部8を形成する。図9、図10の例では、平面視で四角形の第二導電部8の複数が、縦×横の格子模様で配置されるように、格子縞の線上にある導電層7を除去した。この結果、各々の第二導電部8の直下には、貫通配線をなす第一導電部5が1つある状態となり、第二導電部8と第一導電部5の一組は一続きで、明確な境界はなく、一体化している。したがって、第二導電部8と第一導電部5の接合性が優れているので、導電性が高く、耐久性にも優れる。
導電層7の一部をエッチングする方法としては、レーザ加工が好ましい。UVレーザはレーザ径が小さく、微細な第二導電部8の形成に特に適している。加工用レーザを照射した箇所の第二導電部8は熱により除去される。この際、導電性粒子を含む第二導電部8は、導電性粒子を含むので、レーザを吸収し易く、容易に除去される。第二導電部8が除去されると第一面1aが露出する。露出した第一面1aは導電性粒子を含まないので比較的除去され難いが、仮に少しエッチングされた(オーバーエッチングが起きた)としても電気コネクター10の機能に悪影響を及ぼすことはない。
レーザ加工は、導電層7の任意の領域を所望の形状でエッチングできるので、任意の模様やパターンで第二導電部8を形成することができる。例えば、図9、図10の電気コネクター10の変形例として、電気コネクター10では互いに隣接していた第二導電部8を任意の組み合わせで結合するようにエッチングした別の形態が挙げられる。この別の形態では、1つの第二導電部8に対して複数の第一導電部5が一続きに接続している。
最後に、必要に応じて、基材シート1の第二面1bに残る残膜Rを除去し、平面視で外側の枠部分の形状(外形)を成形するために基材シート1の一部を切除することにより、目的の電気コネクター10が得られる(図9、図10)。
第一導電部5の端部が第二面1bに露出していない場合には、第一導電部5を貫通配線とするために、第二面1bを覆う残膜Rの除去は必須である。残膜Rを除去する方法として、例えば、一般的な基板の表面を切削又は研磨する接触式の公知方法、レーザ加工、プラズマ処理等の非接触式の公知方法が挙げられる。
一方、第一導電部5の端部が基材シート1の第二面1bに露出している場合には、残膜Rの除去は必須ではない。例えば、基材シート1の各穴部2が貫通孔である場合、貫通孔に第二樹脂材料L2を注入し、硬化することによって、貫通孔内に形成される第一導電部5からなる貫通配線の端部は、残膜Rの有無に関わらず、第二面1bに露出し得る。
以上で得られた電気コネクター10の第一面1aには各第一導電部5の一方の端部と一続きの第二導電部8が露出し、第二面1bには各第一導電部5の他方の端部が露出している。第一導電部5と第二導電部8は一続きに一体化しているので、第二導電部8と第一導電部5の接合性が優れており、導電性が高く、繰り返しの使用にも耐える優れた耐久性を示す。また、各第二導電部8は第一面1aから突出しているので、電気コネクター10の使用時に、第一面1a側に圧接する電子デバイスの電極に対して、第二導電部8を容易に接続することができる。前記電極が陥没電極である場合も同様に容易に接続することができる。
電気コネクター10が有する個々の第二導電部8の高さhを調整する方法としては、(1)製造時に基材シート1の第一面1a上に留め置き、硬化させる第二樹脂材料L2の厚さを調整する方法と、(2)形成した導電層7又は第二導電部8の上部をスライスして厚さを調整する方法と、(3)前記オーバーエッチングの程度を調整する方法とが挙げられる。
<第二実施形態>
本発明の電気コネクターの製造方法の第二実施形態は、第一電子デバイスの接続端子と、第二電子デバイスの接続端子との間に配置され、これらを電気的に接続するための電気コネクターの製造方法であり、以下の工程(A2)および工程(B)を少なくとも有する。
工程(A2)は、成形型に樹脂又は樹脂前駆体を含む第一樹脂材料を導入し、前記第一樹脂材料を硬化させてシートを作製した後、前記シートの第一面に開口する貫通又は非貫通の複数の穴部を形成し、基材シートを得る工程である。
工程(B)は、第一実施形態の工程(B)と同じである。
まず、図11(a)に示すように、作製する電気コネクター10の外形に対応する凹部Uが形成された成形型Wの表面Waに、樹脂又は樹脂前駆体を含む液状の第一樹脂材料L1を塗布する。この際、凹部Uに入り切らない余剰の第一樹脂材料L1は成形型Wの表面Waに溢れる。
次に、図11(b)に示すように、成形型Wの凹部U内に充填した第一樹脂材料L1を硬化させ、成形型W内にシートαを形成する。この際、凹部U内に入らずに溢れた第一樹脂材料L1が、シートαの一方の主面(第二面)を覆う残膜Rになる。
続いて、図11(c)に示すように、成形型Wから脱型したシートαの厚さ方向に貫通する複数の穴部2を形成することにより、基材シート1を得る。各穴部2の配置は作製する電気コネクター10が有する第一導電部5の配置に対応している。穴部2を形成する方法は特に制限されず、例えば、ドリル掘削、レーザ加工等の樹脂シートに貫通又は非貫通の穴部を形成する公知方法が適用される。穴部の深度は、ドリル掘削やレーザ加工の程度によって調整する。図示例では貫通孔としての穴部2を形成している。
次いで、図11(d)に示すように、基材シート1の第一面1aに第二樹脂材料L2を塗布し、穴部2内に第二樹脂材料L2の一部を注入する。塗布及び注入の方法としては第一実施形態と同様の方法が挙げられる。穴部2に入らずに余った、導電性粒子を含む第二樹脂材料L2の残部は、基材シート1の第一面1aを覆うように溢れた状態となる。
さらに、図11(e)に示す状態で、基材シート1の厚さ方向に略平行な磁場をかけて、穴部2内の第二樹脂材料L2に含まれる導電性粒子を、穴部2の深さ方向(基材シート1の厚さ方向)に磁力により整列させる。磁力によって穴部2内の導電性粒子が互いに接触した状態で高密度に連結することにより、基材シート1の第一面1aに第一端部を有し、第二面1bに第二端部を有する貫通配線を形成する。この状態で、第二樹脂材料L2を硬化させて導電性粒子を固定する。この結果、穴部2の各々の中には、基材シート1を厚さ方向に貫通する貫通配線としての第一導電部5を形成し、第一面1a上には、各穴部2内の第一導電部5の各々と一続きの導電層7を形成することができる。
次に、第一面1aを覆う導電層7の一部をエッチングにより除去して、互いに独立に区画された複数の第二導電部8を形成する。
最後に、必要に応じて、第二面1bに残る残膜Rを除去し、外形を成形することにより、図11(f)に示すように、目的の電気コネクター10が得られる。
<第三実施形態>
以上で説明した第一実施形態および第二実施形態では、成形型を用いて基材シート1を作製した。本発明の製造方法において、基材シート1を作製する工程は必ずしも必須ではなく、第一面1aに開口する貫通又は非貫通の穴部2が形成された基材シート1を何らかの方法(例えば第三者から購入する方法)等によって準備して、工程(B)以降を第一実施形態と同様に実施することにより、電気コネクター10を製造してもよい。
[磁場を作用させる方法]
各実施形態の製造方法において、基材シート1の穴部2に注入した第二樹脂材料L2に含まれる導電性粒子を穴部2の深さ方向に整列(配向)させる方法は、穴部2の深さ方向に沿う磁力線が存在する磁場中に基材シート1を設置する方法が好ましい。ここで、地磁気は本発明の磁力に該当しないものとする。
具体的な方法としては、特開平11-154550号公報に記載されている方法を適用できる。例えば、基材シート1の第一面1aの近傍及び第二面1bの近傍にそれぞれ電磁石を配置し、1対の電磁石の間に基材シート1を配置した状態で電磁石を作動させる。基材シート1の厚み方向に平行磁場が作用する結果、穴部2中における導電性粒子が厚み方向に並ぶように配向する。
平行磁場の強度は、例えば、1000~10000ガウスが挙げられる。
平行磁場を作用させる領域は、穴部2だけでもよいし、基材シート1の全体でもよい。穴部2だけに平行磁場を作用させる場合、穴部2の真上及び直下に磁石を配置する。複数の穴部2に均一な強度で磁場を作用させる観点から、基材シート1の全体に平行磁場を作用させることが好ましい。
[導電性粒子]
第二樹脂材料L2に含まれる強磁性体を含有する導電性粒子としては、例えば、1種以上の強磁性体を含有し、強磁性体のみからなる導電性粒子、及び、前記1種以上の強磁性体を含有し、さらに前記強磁性体以外の導電性物質を含有する複合型の導電性粒子が挙げられる。
前記強磁性体としては、10~40℃で強磁性を示すものが好ましく、鉄、コバルト、ニッケル、及びガドリニウムから選ばれる1種以上がより好ましい。
前記強磁性体以外の導電性物質としては、例えば、銅、亜鉛、クロム、白金、金、銀、アルミニウム、パラジウム、カーボン材料等が挙げられる。カーボン材料としては、例えば、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン、グラファイト等が挙げられる。
複合型の導電性粒子の構造としては、芯物質として強磁性体を含有し、芯物質のまわりを前記導電性物質が被覆した構造、芯物質として前記導電性物質を含有し、芯物質のまわりを前記強磁性体が被覆した構造、芯物質と被覆の区別がなく、前記強磁性体と前記導電性物質が混合された構造等が挙げられる。被覆の厚さは例えば50nm~1μm程度が挙げられる。芯物質及び被覆からなる導電性高分子の全質量に対する芯物質の含有量は、例えば90~99質量%が挙げられる。
導電性粒子の形状は特に限定されず、第二樹脂材料L2における分散性を高める観点から繊維状、棒状、薄片状以外の形状が好ましく、球状又は星形状がより好ましい。
導電性粒子の表面の導電性が失われない限りにおいて、導電性粒子の表面がシランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤で処理されていてもよい。
第一導電部5及び第二導電部8に含まれる導電性粒子の種類は1種類でもよいし、2種類以上でもよい。
第一導電部5及び第二導電部8における導電性粒子の含有割合としては、例えば体積分率で1~50%、好ましくは体積分率で10~30%が挙げられる。第二樹脂材料L2における導電性粒子の含有量は、上記体積分率が実現されるように調整されることが好ましい。
導電性粒子の平均粒子径としては、例えば10nm~10μmが挙げられ、好ましくは50nm~5μmである。この範囲であると磁力によって導電性粒子を配向させることが容易であり、導電性の高い(抵抗値の低い)第一導電部5が得られやすい。導電性粒子の平均粒子径は、第一導電部5及び第二導電部8に含まれる導電性粒子を無作為に100個選択して、それらの長径(球状の場合は直径)を顕微鏡観察により測定し、100個の測定値の算術平均として求められる。
基材シート1の厚さ方向に対して直交する方向で第一導電部5の任意の箇所を切断した断面を含む最小円の直径を第一導電部5の太さとする。ここで、第一導電部5の太さと、導電性粒子の平均粒子径との比(太さ/平均粒子径)は、例えば、3~1000が好ましく、5~500がより好ましく、10~200がさらに好ましい。これらの好適な範囲であると磁力によって導電性粒子を配向させることが容易であり、導電性の高い第一導電部5が得られやすい。
[樹脂又は樹脂前駆体]
第一樹脂材料L1に含まれる樹脂又は樹脂前駆体は、基材シート1の絶縁部6を構成する主材料である。
第二樹脂材料L2に含まれる樹脂又は樹脂前駆体は、導電性粒子同士が接触した状態を保持する材料である。
樹脂前駆体は、樹脂を形成する化合物であり、例えば重合反応により樹脂を形成するモノマーが挙げられる。
前記樹脂としては、例えば、光重合性樹脂、熱重合性樹脂、活性エネルギー線重合性樹脂、触媒重合性樹脂等の公知の硬化性樹脂が挙げられる。
可撓性を有する電気コネクター10を製造する観点から、第一樹脂材料L1の前記樹脂は、エラストマーであることが好ましい。
前記エラストマーとしては、例えば、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。これらの中でも、成形型から取り出した後の寸法変化が小さく、成形型から取り出した後の反りが生じ難く、圧縮永久歪が小さく、耐熱性が高い、シリコーンゴムが好ましい。シリコーンゴムは、縮合型、付加型のいずれでもよい。
第一樹脂材料L1と第二樹脂材料L2に含まれる樹脂又は樹脂前駆体は、互いに同じでもよく、異なっていてもよく、第一導電部5及び第二導電部と、絶縁部6との接着性を向上させる観点から、同じであることが好ましい。接着性が向上すると、電気コネクター10の可撓性が向上するので、電子デバイスの端子に対する設置が容易になるので好ましい。
第二樹脂材料L2に含まれる前記樹脂は、エラストマーであることが好ましい。好適なエラストマーの具体例は、第一樹脂材料L1の例示と同じである。
[第一樹脂材料]
各実施形態で用いられる第一樹脂材料には、前述した樹脂又は樹脂前駆体の他に、従来の電気コネクターの基材に添加される任意の物質、例えば樹脂前駆体の重合を促す触媒、樹脂同士の架橋を促す架橋剤、抗酸化剤、染料、顔料、充填剤、レベリング剤等が添加されてもよい。これらの添加剤は、第一樹脂材料の総質量に対して例えば0~5質量%程度で含有され得る。また、成形型に対する第一樹脂材料の塗工性を向上させるために、第一樹脂材料に希釈溶剤を添加してもよい。
[第二樹脂材料]
各実施形態で用いられる第二樹脂材料には、前述した導電性粒子並びに樹脂又は樹脂前駆体の他に、例えば、導電性粒子の分散性を向上させるための界面活性剤、樹脂前駆体の重合を促す触媒、樹脂同士の架橋を促す架橋剤、抗酸化剤、染料、顔料、充填剤、レベリング剤等が添加されても構わない。これらの添加剤は、第二樹脂材料の総質量に対して例えば0~5質量%程度で含有され得る。また、基材シートに対する第二樹脂材料の塗工性を向上させるために、第二樹脂材料に希釈溶剤を添加してもよい。
≪電気コネクター≫
本発明の電気コネクターは、第一電子デバイスの接続端子と、第二電子デバイスの接続端子との間に配置され、これらを電気的に接続するための電気コネクターであり、基材シートと、前記基材シートの厚さ方向に貫通する複数の第一導電部と、前記基材シートの第一面側に突出し、前記複数の第一導電部のうちの少なくとも1つと一続きに一体化した第二導電部と、を備える。
本発明の電気コネクターは前述の方法によって製造することができる。本発明の電気コネクターの一例である電気コネクター10は、図9及び図10に示すように、基材シート1を備える。基材シート1は、第一面1aとこれに対向する第二面1bを有する。基材シート1は複数の第一導電部5と絶縁部6とを備え、第一導電部5が島部分で、絶縁部6が海部分である海島構造を形成している。各第一導電部5は、第一面1aから第二面1bへ貫通する配線を形成し、第一面1aに突出する第二導電部8へ続く第一端部と、第二面に露出する第二端部を有する。各第一導電部5は互いに独立し、絶縁部6によって互いの絶縁性が保たれている。また、各第二導電部8は、絶縁部6の上に形成されており、空気によって互いの絶縁性が保たれている。
電気コネクター10は、矩形のシート状であり、その長手方向をX方向、その短手方向をY方向、その第一面1aに対する垂線方向(すなわちシートの厚さ方向)をZ方向とする。
電気コネクター10の平面視の形状は矩形に限定されず、円形、楕円形、多角形、その他の任意の形状が採用できる。
電気コネクター10の縦×横のサイズは特に限定されず、例えば、1mm×1mm~10cm×10cmとすることができる。
電気コネクター10の厚さは、例えば、50μm以上500μm以下とすることができる。
電気コネクター10の形態、サイズ、厚さ等は、第一面1a及び第二面1bにそれぞれ接続する電子デバイスの形状や端子の配置に合わせて適宜設定される。
(第一導電部5)
電気コネクター10の第一導電部5は、海島構造のうちの島部分であり、海部分によって互いに独立化された複数の円柱状の導電性部分である。各第一導電部5は電気コネクター10の基材シート1を貫通しているので、各第一導電部5の第一端部は、電気コネクター10の第一面1aに露出した第二導電部8に続き、反対側の第二端部は、第二面1bに露出している。各第一導電部5は、X方向及びY方向に沿って一定のピッチで配置されている。
第一導電部5の形状は、柱状であることが好ましい。第一導電部5をXY平面で切断した断面形状は、例えば、円形、楕円形、四角形、その他の多角形等が挙げられる。第一導電部5の第一面1a側の第一端部の前記断面形状と、第二面1bに露出する第二端部の前記断面形状は、互いに同じでもよく、異なってもよいが、電子デバイスに対する接続安定性の観点から同じであることが好ましい。
柱状の第一導電部5の中心軸の軸線は、第一面1a及び第二面1bに対して、垂直でもよいし、傾いていてもよい。
図12を参照する。個々の第一導電部5の第二面に露出する端部の大きさS1は、前記端部を含む最小円の直径である。前記直径は、第一導電部5の抵抗を低減する観点と、接続する電子デバイスにおける端子の狭いピッチに対応する観点とから、例えば、1μm~100μmが好ましく、3μm~50μmがより好ましく、5μm~25μmがさらに好ましい。個々の第一導電部5の端部の大きさS1は、互いに同じでもよいし、異なっていてもよい。
前記直径は、測定顕微鏡等の公知の微細構造観察手段によって測定することができる。
柱状の第一導電部5の(大きさS1:高さH)で表されるアスペクト比は、1:5~1:30が好ましく、1:8.5~1:25.5がより好ましい。
上記範囲の下限値以上であると隣接する第一導電部5間のピッチを狭くすることができる。
上記範囲の上限値以下であると第一導電部5の機械的強度を高め、外部からの応力を受けた場合に断線することを防止でき、かつ抵抗値を低くすることができる。
個々の大きさS1及び高さH(電気コネクター10の厚さ方向の長さ)は、測定顕微鏡等の公知の微細構造観察手段を用いて、測定することができる。
第二面1bに露出する第一導電部5の互いに隣接する端部同士のピッチは、個々の端部を含む各最小円同士の中心間距離である。このピッチは、接続する電子デバイスの端子の配置に応じて任意に設定される。第一導電部5の配置は、電気コネクター10の製造時に任意の位置に形成することが可能な、穴部2の配置に対応している。
電気コネクター10の第二面1bにおける第一導電部5の配置は、X列×Y行の2次元アレイ状の配置である。第一導電部5の配置はこの例に限定されず、任意の配置パターンが採用される。X列×Y行において、例えば、X,Yはそれぞれ独立に10~1000の任意の整数とすることができる。配置パターンは、2次元アレイ状でもよく、ジグザグ状でもよく、その他の任意のパターンでもよく、無作為なランダム配置でもよい。
(絶縁部6)
電気コネクター10の絶縁部6は、海島構造のうちの海部分であり、絶縁部分である。
絶縁部6のZ方向の長さは、基材シート1の厚さと同様であり、25μm以上750μm以下が好ましく、50μm以上500μm以下がより好ましい。
前記長さが前記下限値以上であれば、電気コネクター10の機械的強度が高くなる。前記長さが前記上限値以下であれば、電気コネクター10の可撓性がより高くなり、薄型化が求められる電子機器の内部に容易に実装することができる。
絶縁部6の全質量に対するエラストマーの含有量は、70~100質量%が好ましく、80~100質量%がより好ましく、90~100質量%がさらに好ましい。
前記含有量が70質量%以上であることにより、電気コネクター10の可撓性が充分に高まる。
(第二導電部8)
電気コネクター10が有する個々の第二導電部8の平面視の形状は特に制限されず、任意の形状が適用できる。例えば、四角形、円形、楕円形、その他の多角形等が挙げられる。各々の第二導電部8の平面視の形状は、互いに同じでもよいし、異なっていてもよい。
電気コネクター10が有する個々の第二導電部8の平面視の大きさS2は特に限定されず、接続する電子デバイスが有する電極の形状に合わせて適宜設定できる。ここで、大きさS2は、単一の第二導電部8の平面視の形状を含む最小円の直径とする。前記直径は、第二導電部8の抵抗を低減する観点と、接続する電子デバイスにおける端子の狭いピッチに対応する観点とから、例えば、1μm~100μmが好ましく、3μm~50μmがより好ましく、5μm~25μmがさらに好ましい。
前記直径は、測定顕微鏡等の公知の微細構造観察手段によって測定することができる。
電子デバイスに対する接続性をより一層向上させる観点から、第二導電部8の平面視の大きさS2は、その第二導電部8と一続きの第一導電部5の端部の大きさS1よりも大きいことが好ましい。
第二導電部8の高さhは特に制限されず、例えば、1μm~50μmが挙げられる。各々の第二導電部8の高さhは、互いに同じでもよいし、異なっていてもよい。
第二導電部8の高さhは、図12に示すように、電気コネクター10の厚さ方向の断面を公知方法により撮像した画像から求められる。上述の第二導電部8の高さhは、例えば、10個以上、好ましくは30個以上の第二導電部8が写った断面の画像から、無作為に選択した5個以上、好ましくは10個以上の第二導電部8の高さを画像処理により得て算出した平均値であることが好ましい。
本発明の電気コネクターが前述の方法によって製造された場合、第一導電部5を形成する樹脂組成物と、第二導電部8を形成する樹脂組成物は同じになる。その理由は、第一導電部5に含まれる樹脂と第二導電部8に含まれる樹脂、及び、第一導電部5に含まれる導電性粒子と第二導電部8に含まれる導電性粒子は、共通の第二樹脂材料L2によって形成されるからである。したがって、第一導電部5と第二導電部8が同じ樹脂組成物によって形成されていれば、樹脂の種類、樹脂の組成、導電性粒子の種類、導電性粒子の量がほぼ同一になるはずである。
[電気コネクターの使用方法]
本発明の一例である電気コネクター10の用途としては、公知の電気コネクターと同じ用途が挙げられる。電子デバイスの端子の導通試験を行う検査用途の他、例えば、電子機器内に備えられた複数の電子デバイス(例えば回路基板)同士を接続する等のいわゆる実装用途にも適用できる。
複数の電子デバイス同士を、電気コネクター10を介して接続した様子の一例を図14に示す。各電子デバイスは電気コネクター10に対して圧接されている。本例において、第一電子デバイスD1が有する複数の端子T1は電気コネクター10の第一面1a上に突出する第二導電部8の何れかに接触している。第二電子デバイスD2が有する複数の端子T2は電気コネクター10の第二面1bに露出する第一導電部5の端部の何れかに接触している。各電子デバイスの目的の端子が接続されるのであれば、電気コネクター10の第一導電部5及び第二導電部8の全てが各電子デバイスの端子に接触している必要はない。
電気コネクター10の基材シート1がエラストマーを含んでいる場合、電気コネクター10は可撓性を有し、弾性変形するので、電子デバイスへの設置および取り外しが比較的容易であり、電子デバイスの端子の破損を防止することができる。また、電子デバイスの端子の破損をより確実に防止する観点から、第一導電部5及び第二導電部8はエラストマーを含むことが好ましい。
1…基材シート、2…穴部、5…第一導電部、6…絶縁部、7…導電層、8…第二導電部、10…電気コネクター、D1…第一電子デバイス、D2…第二電子デバイス、G…樹脂組成物層、J…磁石、K…成形型、M…凸部、N…凹部、L1…第一樹脂材料、L2…第二樹脂材料、O…金型、F…導電性粒子、R…残膜、T1…端子、T2…端子、U…凹部、W…成形型

Claims (3)

  1. 第一電子デバイスの接続端子と、第二電子デバイスの接続端子との間に配置され、これらを電気的に接続するための電気コネクターの製造方法であって、
    複数の凸部が形成された成形型に樹脂又は樹脂前駆体を含む第一樹脂材料を導入し、前記第一樹脂材料を硬化させて、前記成形型の各凸部に対応する貫通又は非貫通の穴部が第一面に開口する基材シートを作製する工程(A1)と、
    前記基材シートの前記第一面に、強磁性体を含有する導電性粒子と樹脂又は樹脂前駆体とを含む第二樹脂材料を塗布し、前記穴部の各々の中に前記第二樹脂材料の一部を注入するとともに、前記第二樹脂材料の残部を前記第一面上に留め置き、さらに磁力をかけて、前記穴部内の前記導電性粒子を前記穴部の深さ方向に整列させた後、
    前記穴部内に注入した前記第二樹脂材料、及び前記第一面上に留め置いた前記第二樹脂材料を硬化させることにより、
    前記穴部の各々の中に第一導電部を形成するとともに、前記第一導電部の各々と一続きの導電層を前記第一面上に形成し、
    さらに前記導電層の一部をエッチングにより除去して、互いに独立に区画された複数の第二導電部を形成する工程(B)と、
    を有する、電気コネクターの製造方法。
  2. 第一電子デバイスの接続端子と、第二電子デバイスの接続端子との間に配置され、これらを電気的に接続するための電気コネクターの製造方法であって、
    成形型に樹脂又は樹脂前駆体を含む第一樹脂材料を導入し、前記第一樹脂材料を硬化させてシートを作製し、前記シートの第一面に開口する貫通又は非貫通の複数の穴部を形成し、基材シートを得る工程(A2)と、
    前記基材シートの前記第一面に、強磁性体を含有する導電性粒子と樹脂又は樹脂前駆体とを含む第二樹脂材料を塗布し、前記穴部の各々の中に前記第二樹脂材料の一部を注入するとともに、前記第二樹脂材料の残部を前記第一面上に留め置き、さらに磁力をかけて、前記穴部内の前記導電性粒子を前記穴部の深さ方向に整列させた後、
    前記穴部内に注入した前記第二樹脂材料、及び前記第一面上に留め置いた前記第二樹脂材料を硬化させることにより、
    前記穴部の各々の中に第一導電部を形成するとともに、前記第一導電部の各々と一続きの導電層を前記第一面上に形成し、
    さらに前記導電層の一部をエッチングにより除去して、互いに独立に区画された複数の第二導電部を形成する工程(B)と、
    を有する、電気コネクターの製造方法。
  3. 第一電子デバイスの接続端子と、第二電子デバイスの接続端子との間に配置され、これらを電気的に接続するための電気コネクターの製造方法であって、
    樹脂によって形成され、第一面に開口する貫通又は非貫通の複数の穴部が形成された基材シートを準備し、
    前記基材シートの前記第一面に、強磁性体を含有する導電性粒子と樹脂又は樹脂前駆体とを含む第二樹脂材料を塗布し、前記穴部の各々の中に前記第二樹脂材料を注入するとともに、前記第二樹脂材料の残りを前記第一面上に留め置き、さらに磁力をかけて、前記穴部内の前記導電性粒子を前記穴部の深さ方向に整列させた後、
    前記穴部内に注入した前記第二樹脂材料、及び前記第一面上に留め置いた前記第二樹脂材料を硬化させることにより、
    前記穴部の各々の中に第一導電部を形成するとともに、前記第一導電部の各々と一続きの導電層を前記第一面上に形成し、
    さらに前記導電層の一部をエッチングにより除去して、互いに独立に区画された複数の第二導電部を形成する工程(B)、を有する、電気コネクターの製造方法。
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