JP3662892B2 - プリント配線板の製造方法及びプリント配線板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に電子機器等に用いられ、絶縁基板の両面に形成された導体パターンを要所で層間接続させたプリント配線板の製造方法及びプリント配線板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、プリント配線板は、生産性の向上、量産品質の確保、信頼性の向上等を目的として、テレビ等の量産機器からロケット等の高い信頼性を要求される機器まで、あらゆる電子機器に使用されている。近年、電子機器の小型化が進み、それに伴いプリント配線板の高精度化及び高密度化が要求されている。
【0003】
一般に、この種のプリント配線板は、絶縁基板の両面に形成された導体パターンを要所で層間接続させた構成をなしている。該接続部は、貫通孔の壁面に銅等の導電材料を析出させた構成のもの(バイアホール)が一般的であるが、この場合は、バイアホールの直上面及び直下面に電子部品を搭載するためのパッド部を形成することができず、回路設計上の制約を受けることとなり、プリント配線板の表面積の縮小化が困難であることから、電子機器の小型化に対応できない問題があった。
【0004】
この問題を解決する構成として、バイアホールに充填材を充填し、その直上面及び直下面に上記パッド部を形成する構成と、内周面に銅鍍金層が形成されていない貫通孔に、エポキシ樹脂等の絶縁材料と銅等の導電材料の粉末とを混錬した導電ペーストを充填し、その直上面及び直下面に上記パッド部を形成する構成とが知られている。前者の構成の場合は、一般に以下の形成方法が知られている。
【0005】
図3において、まず、絶縁基板1表面に銅箔2が貼着された積層板10の上面から下面にかけて、絶縁基板1の両面に形成される導体パターンを要所で層間接続させるための貫通孔3を形成し、その後、無電解銅鍍金の付着性を向上させるための触媒11を積層板10表面及び貫通孔3の内周面に塗布する(図3(A))。
【0006】
そして、積層板10表面及び貫通孔3の内周面に無電解銅鍍金を施し、該各面に第1の銅鍍金層5を析出させる。ここで、貫通孔3の内周面に第1の銅鍍金層5が析出した状態がバイアホール3aとなる(図3(B))。そして、バイアホール3aにエポキシ樹脂等の充填材6を第1の銅鍍金層5表面から膨出するまで充填し(図3(C))、その後、充填材6の上記膨出部を研磨し、充填材6の面位置と第1の銅鍍金層5の面位置とを合わせ、その表面に触媒11を塗布する(図3(D))。
【0007】
さらに、その表面に無電解銅鍍金を施し、第2の銅鍍金層7を析出させた後、感光性レジスト層8を形成し、さらにその表面に、要求する導体パターンと対応した穴9が形成されたドライフィルム10を載置する。そして、ドライフィルム10の外部から紫外線15を照射して、ドライフィルム10に形成された穴9に対応する部分の感光性レジスト層8を露光、硬化させる(図3(E))。
【0008】
そして、現像処理を行い、露光されない部分、すなわちドライフィルム10に覆われた部分の感光レジスト層8を除去し、露光され硬化した感光レジスト層8を残す。その後、エッチング液12を該基板表面に噴射し(図3(F))、導体パターン以外の露出不要となる銅材部2、5、7を溶解除去することで、導体パターン13及びパッド部14が形成される。これにより、要求する導体パターン13と、バイアホール3aの直上面及び直下面に形成されたパッド部14とを備えたプリント配線板20が形成される(図3(G))。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のプリント配線板の製造方法によれば、図3(G)に示すように、導体パターン13及びパッド部14の厚さBが、充填材6外周面(あるいはバイアホール3a内周面)に形成された第1の銅鍍金層5の厚さAより大となる関係を有し形成されることになる。これにより、プリント配線板20において、導体部の断面積が不均一になる部分が形成されるため、電流の伝搬損失が大きくなり、特に衛星放送等の分野で使用される高周波回路に対応することが困難であるという問題があった。
【0010】
また、導体パターン13及びパッド部14をエッチングにより形成するため、該各部の突端部から絶縁基板1表面に向かうに従い漸次その幅が広くなるように形成され、さらに、上述したように、導体パターン13及びパッド部14の突出方向の厚さが厚くなることと相俟って、プリント配線板20の表面積の縮小化、すなわち電子機器の小型化に対応することが困難であるという問題があった。
また、上記後者の構成の場合は、層間接続部の電気的特性のバラツキが大きくなるとともに、電流の伝搬損失が大きいため、高周波回路に対応することが困難であるという問題もあった。
【0011】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、バイアホールの直上面及び直下面に形成されたパッド部の厚さを、バイアホール内周面に形成された導体材料の鍍金層の厚さと略同等に形成することが可能になるとともに、導体パターン及びパッド部の絶縁基板からの立ち上がりを急峻に形成することが可能なプリント配線板の製造方法及びプリント配線板を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。
請求項1に係る発明は、絶縁基板表面に導体パターンが形成されたプリント配線板の製造方法であって、上記絶縁基板表面に形成された、内周面に導電材料の鍍金層が形成された貫通孔に、充填材を充填した後、研磨によって前記充填材及び前記鍍金層の面位置と前記絶縁基板の面位置とを合わせ、該基板表面に鍍金レジストパターンを形成し、その後、上記充填材表面及び絶縁基板表面に無電解鍍金を施し、導体パターンを形成することを特徴とする。
【0013】
この発明に係るプリント配線板の製造方法によれば、上記絶縁基板上に形成された、内周面に導電材料の鍍金層が形成された貫通孔に、充填材を充填した後、該基板表面に鍍金レジストパターンを形成し、その後、上記充填材表面及び絶縁基板表面に無電解鍍金を施し、導体パターンを形成するため、貫通孔の内周面に形成された鍍金層の厚さを導体パターンの厚さと略同等に形成することが可能になる。すなわち、プリント配線板に形成される全ての導体部の断面積を略均一に形成することが可能になる。これにより、電流の伝搬損失を抑制することができるため、特に衛星放送等の分野で使用される高周波回路に対応可能なプリント配線板を形成することが可能になる。
【0014】
請求項2に係る発明は、請求項1記載のプリント配線板の製造方法において、上記絶縁基板を形成するに際し、当初、その表面に導電材料箔が貼着された積層板を用い、該積層板表面に貫通孔を穿設するとともに上記導電材料箔を除去した後、無電解鍍金により上記貫通孔の内周面に導電材料の鍍金層を形成することを特徴とする。
【0015】
この発明に係るプリント配線板の製造方法によれば、上記絶縁基板を形成するに際し、当初、その表面に導電材料箔が貼着された積層板を用い、該積層板表面に貫通孔を穿設するとともに上記導電材料を除去した後、無電解鍍金により上記貫通孔の内周面に導電材料の鍍金層を形成するため、汎用されている積層板を基に、上記鍍金層の厚さと略同等の厚さを有する導体パターンを形成することが可能になる。これにより、高周波回路に対応可能なプリント配線板を安価に形成することが可能になる。また、上記鍍金層と導体パターンとを同一工法で形成することが可能になるため、容易に上記各厚さを略同等に形成することが可能になる。
【0016】
請求項3に係る発明は、絶縁基板表面に導体パターンと、貫通孔とが形成され、該貫通孔の内周面には、上記絶縁基板の一方の面及び他方の面双方に形成された導体パターンを接続する鍍金層が形成された後に、前記貫通孔に充填材が充填されてなるプリント配線板であって、前記充填材及び前記鍍金層の面位置と前記絶縁基板の面位置とが合い、かつ前記貫通孔の直上面及び直下面に形成された導体パターンの厚さと、上記鍍金層の厚さとの差が5μm以下であることを特徴とする。
【0017】
この発明に係るプリント配線板によれば、上記貫通孔の直上面及び直下面上に形成された導体パターンの厚さと、上記鍍金層の厚さとの差が5μm以下であるため、電流の伝搬損失を抑制することができ、高周波回路に対応可能なプリント配線板を提供することが可能になる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。図1は、この発明の一実施形態として示したプリント配線板の製造方法及びプリント配線板を説明するための説明図を示すものである。
【0019】
まず、絶縁基板1表面に銅箔2が貼着された積層板10において、絶縁基板1表面に形成される導体パターンを貫通接続させるための貫通孔3を穿設した後、積層板10表面にエッチング液12を噴射し(図1(A))、銅箔2を除去する。その後、絶縁基板1表面及び貫通孔3の内周面に無電解銅鍍金の付着性を向上させるための触媒11を塗布する(図1(B))。
そして、絶縁基板1表面及び貫通孔3の内周面に無電解銅鍍金を施し、該各面に第1の銅鍍金層5を析出させる。ここで、貫通孔3の内周面に第1の銅鍍金層5が析出した状態がバイアホール3aとなる(図1(C))。その後、貫通孔3にエポキシ樹脂等の充填材6を第1の銅鍍金層5表面から膨出するまで充填し、エッチング液12を該基板表面に噴射し(図1(D))、絶縁基板1表面に形成された第1の銅鍍金層5を溶解除去する(図1(E))。その後、充填材6の膨出部と第1の銅鍍金層5の該膨出部への付着部分を研磨し、充填材6及び第1の銅鍍金層5の面位置と絶縁基板1の面位置とを合わせ、その表面に触媒11を塗布する(図1(F))。
【0020】
さらに、その表面に、印刷法等の適宜方法により鍍金レジストパターン15を形成した後、図示しない無電解鍍金装置を第1の銅鍍金層5の厚さと同等になるように設定した状態で、無電解銅鍍金を施し、第2の銅鍍金層7を析出させることで、絶縁基板1上に導体パターン16を形成する。その後、導体パターン16表面を研磨及びエッチング等を施し、該表面上の異物等を除去する。これにより、要求する導体パターン16と、バイアホール3aの直上面及び直下面上に形成されたパッド部17とを備えたプリント配線板30が形成される(図1(G))。
このとき、例えば、充填材6の外周面(バイアホール3a内周面)に形成された第1の銅鍍金層5の厚さAは、10μm以上20μm以下で、導体パターン16及びパッド部17の厚さBは、10μm以上15μm以下でそれぞれ形成され、両厚さの差は、5μm以下となる。
【0021】
以上説明したように、本実施形態によるプリント配線板の製造方法によれば、充填材6の外周面(バイアホール3a内周面)に形成された第1の銅鍍金層5の厚さと、絶縁基板1の表面に形成された第2の銅鍍金層7の厚さとを略同等に形成することが可能になる。また、バイアホール3aの直上面及び直下面にパッド部17を形成することが可能になる。
【0022】
これにより、プリント配線板上に形成される導体部の断面積を全て均一に形成することが可能になることから、電流の伝搬損失を抑制することができ、高周波回路に対応可能なプリント配線板を形成することが可能になる。また、バイアホール3aの直上面及び直下面にパッド部17を形成することが可能になることから、回路設計上の制約を受けることなく、プリント配線板の表面積の縮小化を図ることができ、電子機器の小型化に対応可能なプリント配線板を形成することが可能になる。
また、パッド部17を含む導体パターン16が無電解銅鍍金により形成されることから、導体パターン16の絶縁基板1からの立ち上がりを急峻に形成することが可能になる。これにより、導体パターン16の細線化及びプリント配線板30の高密度化を図ることができ、電子機器の小型化に対応することが可能になる。
【0023】
図2は、この発明の別の実施形態として示したプリント配線板の製造方法を説明するための説明図を示すものである。この図に示す実施の形態は、図1に示すプリント配線板の製造方法で使用する要素と基本的に同一であるので、図1に示す要素と同一のものには同一符号を付し、その説明を省略する。
【0024】
図2において、まず、積層板10表面に貫通孔3を穿設した後、積層板10表面にエッチング液12を噴射し(図2(A))、銅箔2を除去する。そして、貫通孔3を除く絶縁基板1表面に絶縁フィルム21を載置した後、貫通孔3の内周面に無電解銅鍍金の付着性を向上させるための触媒11を塗布する(図2(B))。その後、無電解銅鍍金を施し、貫通孔3の内周面に第1の銅鍍金層5を析出させ、バイアホール3aを形成した後、絶縁フィルム21を除去する(図2(C))。そして、貫通孔3にエポキシ樹脂等の充填材6を第1の銅鍍金層5表面から膨出するまで充填、硬化させた後(図2(D))、充填材6の膨出部を研磨し、充填材6の面位置と絶縁基板1の面位置とを合わせ、その表面に触媒11を塗布する(図2(E))。
以下、図1に示したプリント配線板の製造方法と同様にすることにより、要求する導体パターン16と、バイアホール3aの直上面及び直下面上に形成されたパッド部17とを備えたプリント配線板30が形成される(図2(F))。
【0025】
以上説明したように、本実施形態によるプリント配線板の製造方法によれば、図1に示した先の実施形態と同様の効果が得られるとともに、図2(B)において、絶縁基板1表面に絶縁フィルム21を載置することで、無電解銅鍍金を施した際、貫通孔3の内周面にのみ銅鍍金層5を析出させることが可能になる。すなわち、排出物を発生させるエッチング工程を削減することができるため、環境に対して良好なプリント配線板の製造方法を実現することが可能になる。
【0026】
なお、本実施の形態においては、充填材6としてエポキシ樹脂等の絶縁材を使用したが、銅等の導電材料の粉末とエポキシ樹脂等の絶縁材とを混錬させた導電ペーストを使用しても良い。
また、当初、絶縁基板1表面に銅箔2が貼着された積層板10を使用し、積層板10表面にエッチング液12を噴射して、銅箔2を除去したが、当初から絶縁基板1表面に銅箔2が貼着されていない絶縁基板1を使用しても良い。
【0027】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1に係る発明によれば、、プリント配線板に形成される全ての導体部の断面積を略均一に形成することが可能になる。これにより、電流の伝搬損失を抑制することができるため、高周波回路に対応可能なプリント配線板を形成することが可能になる。
【0028】
請求項2に係る発明によれば、汎用されている積層板を基に、上記鍍金層の厚さと略同等の厚さを有する導体パターンを形成することが可能になる。これにより、高周波回路に対応可能なプリント配線板を安価に形成することが可能になる。また、上記鍍金層と導体パターンとを同一工法で形成することが可能になるため、容易に上記各厚さを略同等に形成することが可能になる。
【0029】
請求項3に係る発明によれば、プリント配線板に形成される全ての導体部の断面積を略均一に形成することが可能になる。これにより、電流の伝搬損失を抑制することができるため、高周波回路に対応可能なプリント配線板を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態として示したプリント配線板の製造方法及びプリント配線板を示す説明図である。
【図2】 本発明の別の実施形態として示したプリント配線板の製造方法及びプリント配線板を示す説明図である。
【図3】 従来のプリント配線板の製造方法及びプリント配線板を示す説明図である。
【符号の説明】
1 絶縁基板
3 貫通孔
3a バイアホール(内周面に導電材料の鍍金層が形成された貫通孔)
6 充填材
10 積層板
15 鍍金レジストパターン
16 導体パターン
30 プリント配線板
A 貫通孔の内周面に形成された銅鍍金層の厚さ
B 導体パターンの厚さ
Claims (3)
- 絶縁基板表面に導体パターンが形成されたプリント配線板の製造方法であって、
上記絶縁基板表面に形成された、内周面に導電材料の鍍金層が形成された貫通孔に、充填材を充填した後、研磨によって前記充填材及び前記鍍金層の面位置と前記絶縁基板の面位置とを合わせ、該基板表面に鍍金レジストパターンを形成し、その後、上記充填材表面及び絶縁基板表面に無電解鍍金を施し、導体パターンを形成することを特徴とするプリント配線板の製造方法。 - 請求項1記載のプリント配線板の製造方法において、
上記絶縁基板を形成するに際し、当初、その表面に導電材料箔が貼着された積層板を用い、該積層板表面に貫通孔を穿設するとともに上記導電材料箔を除去した後、無電解鍍金により上記貫通孔の内周面に導電材料の鍍金層を形成することを特徴とするプリント配線板の製造方法。 - 絶縁基板表面に導体パターンと、貫通孔とが形成され、該貫通孔の内周面には、上記絶縁基板の一方の面及び他方の面双方に形成された導体パターンを接続する鍍金層が形成された後に、前記貫通孔に充填材が充填されてなるプリント配線板であって、
前記充填材及び前記鍍金層の面位置と前記絶縁基板の面位置とが合い、かつ前記貫通孔の直上面及び直下面に形成された導体パターンの厚さと、上記鍍金層の厚さとの差が5μm以下であることを特徴とするプリント配線板。
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