JP4668030B2 - プリント配線板及びその製造方法 - Google Patents
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Description
図19(a)は、一般的なプリント配線板の一形態である、スルーホールを有する両面配線板の構造及びその製造方法を説明するための模式的断面図である。
また、図19(b)は、IVHを有する4層のビルドアップ型プリント配線板の構造及びその製造方法を説明するための模式的断面図である。
次に、この貫通孔105の内壁及び銅箔102a,102bの各表面上に、銅めっき層107を形成する。この銅めっき層107が形成された両面銅張り板103をめっき基板108と呼ぶ場合がある。
その後、フォトリソ法により、所定の配線パターン109a,109bが得られるように、銅箔102a,102b及び銅めっき層107を選択的にエッチングする。このように導体層(例えば、銅箔102a,102b及び銅めっき層107)を選択的にエッチングして配線パターンを得る方法を、サブトラクティブ法と言う。
また、配線パターン109aと配線パターン109bとは、貫通孔105の内壁に形成された銅めっき層107によって電気的に接続されている。この内壁に銅めっき層107が形成された貫通孔105をスルーホール110と言う。
上述した製造方法により、両面配線板120を得る。
このめっき基板108の貫通孔105の内部を充填材121で充填する。この充填材121が充填されためっき基板108を孔埋めめっき基板122と呼ぶ場合がある。
次に、フォトリソ法により、所定の配線パターン123a,123bが得られるように、この孔埋めめっき基板122の銅箔102a,102b及び銅めっき層107を選択的にエッチングする。
さらに、このめっき基板108の両面にそれぞれ絶縁層124a,124bを形成する。
次に、この有底孔125a,125bの内壁を覆うように絶縁層124a,124bの各表面に銅めっき層126を形成する。
そして、フォトリソ法により、所定の配線パターン128a,128bが得られるように、この銅めっき層126を選択的にエッチングする。
配線パターン123aと配線パターン123bとは、貫通孔105の内壁に形成された銅めっき層107によって電気的に接続されている。この内壁に銅めっき層107が形成された貫通孔105をIVH130と言う。
上述した製造方法により、IVHを有する4層のビルドアップ型プリント配線板140を得る。
特許文献1によれば、充填材の表面にめっき層、所謂、蓋めっき層を形成することによって、充填材の表面上に配線パターンを形成し、この配線パターン上の絶縁層に有底孔を形成できるとしている。
図20(a)は、蓋めっき層を有する両面配線板の構造及びその製造方法を説明するための模式的断面図であり、図20(b)は、この蓋めっき層を有する両面配線板の両面にそれぞれビルドアップ層が形成された4層のビルドアップ型プリント配線板の構造及びその製造方法を説明するための模式的断面図である。
次に、フォトリソ法により、所定の配線パターン203a,203bが得られるように、銅箔102a,102b、銅めっき層107、及び蓋めっき層201を選択的にエッチングする。
上述した製造方法により、両面配線板210を得る。
次に、配線パターン203a,203bの表面が露出するように、絶縁層222a,222bに有底孔224a,224bを形成する。
さらに、この有底孔224a,224bの内壁を覆うように絶縁層222a,222bの各表面に銅めっき層226を形成する。
その後、フォトリソ法により、所定の配線パターン228a,228bが得られるように、銅めっき層226を選択的にエッチングする。
上述した製造方法により、4層のビルドアップ型プリント配線板240を得る。
1)絶縁性を有する基板(1)と、前記基板(1)の両面それぞれを覆い、前記基板を3層構造基板に形成する絶縁層(12a,12b)と、前記3層構造基板を貫通する貫通孔(14)と、前記貫通孔(14)の内面をその両端部をそれぞれ残して覆い、前記絶縁層のそれぞれから凹んだ端面を有する筒状の筒状導電体(22)と、前記筒状導電体(22)の内部に充填され、前記絶縁層のそれぞれから突出した端部を有する充填材(20)と、前記絶縁層上にそれぞれ形成され、前記充填材の前記端部を覆うとともに前記筒状導電体の前記端面に密着する配線層(26,27)と、を有し、前記筒状導電体(22)の前記端面は、前記絶縁層(12a,12b)と前記配線層との間の境界面よりも前記基板(1)側に位置付けられ、且つ、前記配線層と前記筒状導電体とを電気的に接続する接続面を形成していることを特徴とするプリント配線板(50)である。
2)絶縁性を有する基板(1)の両面に絶縁層(12a,12b)をそれぞれ形成し、前記基板を3層構造基板とする絶縁層形成工程と、前記3層構造基板を貫通する貫通孔(14)を形成する貫通孔形成工程と、前記貫通孔(14)の内面及び前記3層構造基板の表裏に導電体のめっきをそれぞれ施し、前記貫通孔の内面を覆う円筒めっき層と前記3層構造基板の前記表裏をそれぞれ覆う平坦なめっき層を形成する導電体めっき工程と、前記円筒めっき層で覆われた前記貫通孔(14)に充填材(20)を前記平坦なめっき層に至るまで充填する充填工程と、前記絶縁層(12a,12b)のそれぞれ及び前記充填材の両端部を露出させるべく、前記3層構造基板における表裏の平坦なめっき層をそれぞれ除去すると共に、前記円筒めっき層の両端部を除去し、前記貫通孔内に除去後の前記円筒めっき層からなる筒状導電体を形成する筒状導電体形成工程と、露出された前記絶縁層(12a,12b)及び前記充填材(20)の端部をそれぞれ覆い、前記筒状導電体(22)を介して互いに電気的に接続された配線層(26,27)を形成する配線層形成工程とを備え、前記筒状導電体の端部はその端面が前記配線層との電気的な接続面を形成しており、この接続面は前記配線層と前記絶縁層との間の境界よりも前記基板側に位置付けられていることを特徴とするプリント配線板(50)の製造方法である。
以下に、第1実施例及び第2実施例について、それぞれ順を追って説明する。
各実施例の各工程をわかりやすく区別するために、各工程名に、第1実施例ではAを、第2実施例ではBを付している。
まず、第1実施例として、サブトラクティブ法により、プリント配線板の一形態である、導通孔を有する両面配線板を製造する方法について、図1〜図11を用いて説明する。
図1及び図2は、本発明のプリント配線板及びその製造方法の第1実施例におけるA1工程を説明するための模式的断面図である。
図3及び図4は、本発明のプリント配線板及びその製造方法の第1実施例におけるA2工程を説明するための模式的断面図である。
図5,図6,及び図7は、本発明のプリント配線板及びその製造方法の第1実施例におけるA3工程を説明するための模式的断面図である。
図8は、本発明のプリント配線板及びその製造方法の第1実施例におけるA4工程を説明するための模式的断面図である。
図9及び図10は、本発明のプリント配線板及びその製造方法の第1実施例におけるA5工程を説明するための模式的断面図である。
図11は、本発明のプリント配線板及びその製造方法の第1実施例におけるA6工程を説明するための模式的断面図である。
なお、コア材1の両面側をそれぞれ区別する場合に、添え字a,bを符号に付している。
まず、両面銅張り板3を準備する。この両面銅張り板3は市販のものを使用することができる。
ここで、両面銅張り板とは、高剛性のシート状補強材と絶縁性樹脂とを有するコア材の両面に銅箔がそれぞれ形成されているものであり、図1ではコア材1中のシート状補強材を、わかりやすくするために点線で示している。また、一般的に、銅箔とコア材との界面は、良好な密着性を得るために粗面となっている。
ところで、シート状補強材とは、ガラスクロス,ガラス不織布,アラミドクロス,及びアラミド不織布を示す。
第1実施例では、コア材1の厚さが約400μmであり、各銅箔2a,2bの厚さが約12μmである両面銅張り板3を準備した。
また、第1実施例では、上述したように、市販の両面銅張り板の銅箔をエッチング除去することによりコア材のみを得たが、これに限定されるものではない。
即ち、材料メーカーからの入手が可能であれば、工程の始めから銅箔のないコア材を準備しても構わないが、このコア材と後述する第1の絶縁層12a,12bとの密着性をより良好にするために、コア材の表面は粗面であることが望ましい。
図3に示すように、コア材1の両面に、例えば、ロールコート法により、絶縁性樹脂インク5を塗布する。この絶縁性樹脂インク5は、例えば炭酸カルシウム(CaCO3)からなる複数の粒子6を約10重量%含有する絶縁性樹脂7であるエポキシ系樹脂と、このエポキシ系樹脂をインク状にするための溶剤とからなる。
この塗布された絶縁性樹脂インク5からなる層を、樹脂インク層10a,10bと呼ぶ。
第1実施例では、樹脂インク層10a,10bの各厚さが約20μmになるように、絶縁性樹脂インク5の塗布条件を設定した。また、第1実施例では、粒子6の直径を1〜10μmの範囲とした。
この第1の絶縁層12a,12bは、後述する第1めっき層18との密着性を向上させるために形成するものである。
図5に示すように、酸化剤処理(または、化学粗化処理ともいう)を行って、A2工程で貫通孔14の内壁に発生したスミアを除去すると共に、第1の絶縁層12a,12bの表面を、粗化する。第1実施例では、粗化後の第1の絶縁層12a,12bの厚さが約10μmになるように、酸化剤処理条件を設定した。
ここで、酸化剤処理の工程は、主として、カセイソーダや溶剤等を含む水溶液を用いた膨潤工程と、過マンガン酸塩(例えば、過マンガン酸カリウム)やカセイソーダ等の酸化剤を含む水溶液を用いた粗化工程と、硫酸等を含む水溶液を用いた中和(酸処理)工程とからなる。
上述したように、第1の絶縁層12a,12bは、絶縁性樹脂7であるエポキシ系樹脂と炭酸カルシウムからなる複数の粒子6とを有している。
周知のようにエポキシ系樹脂は酸化剤に対して可溶であるので、酸化剤処理の内の粗化工程によって、まず、第1の絶縁層12a,12bの表面近傍部におけるエポキシ系樹脂がエッチングされる。このエッチングにより第1の絶縁層12a,12bの表面に複数の粒子6が露出する。
また、周知のように炭酸カルシウムは酸に対して可溶であるので、この表面に露出した複数の粒子6を中和(酸処理)工程によりエッチングする。
従って、図3中の吹き出し部に示すように酸化剤処理前の第1の絶縁層12a,12bの表面Xは平坦な面であるが、図5中の吹き出し部に示すように酸化剤処理後の第1の絶縁層12a,12bの表面Yは複数の粒子6が除去された跡からなる複数の凹部16が形成された粗化面となる。
この第1めっき層18は、例えば、無電解銅めっきを行った後、さらに電解銅めっきを行うことで形成される。第1実施例では、第1めっき層18の厚さが約20μmとなるように、めっき条件を設定した。
また、図6中の吹き出し部に示すように、第1めっき層18は、第1の絶縁層12a,12bの表面に形成された複数の凹部16の内部に入り込んで凹部16を充填する。従って、アンカー効果により、第1めっき層18と第1の絶縁層12a,12bとは、高い密着性を得ることができる。
詳しくは、充填材20である孔埋め用インクを、例えばスクリーン印刷法により、貫通孔14の内部に充填させた後に硬化させ、第1めっき層18の表面より突出して硬化した余分なインクを、例えばバフ研磨により除去して平坦な表面を形成する。孔埋め用インクとしては市販の孔埋め用インクを使用することができる。また、他の充填方法としてロールコート法を用いることができる。
貫通孔14の内壁における基板1と接する範囲の第1めっき層18部を少なくとも残して、第1の絶縁層12a,12bの表面上の第1めっき層18のみをエッチングする。このエッチングにより残った第1めっき層18部を導体層22と呼ぶ。また、このエッチングを行う際、第1の絶縁層12a,12bの表面から導体層22の端面までの距離(凹み量という場合がある)Hが20μm以下になるようにすることが望ましい。凹み量Hが20μmよりも大きいと、後述する第2めっき層24を形成する際に凹み部23に第2めっき層24が付き回らないため、導体層22と第2めっき層24とが接続しなかったり、接続強度が不足するといった問題が発生する場合がある。
また、第1の絶縁層12a,12bの表面の凹部16の内部に入り込んでいる第1めっき層18は、このエッチングによりその全部がエッチングされる必要はないが、後述する第2めっき層24と第1の絶縁層12a,12bとのより高い密着性を得るためには、その全部をエッチングすることが望ましい。
図9に示すように、導体層22の端面と接続するように、第1の絶縁層12a,12b及び充填材20上に、例えば、銅からなる第2めっき層24を形成する。
この第2めっき層24は、例えば、無電解銅めっきを行った後、さらに電解銅めっきを行うことで形成される。第1実施例では、第2めっき層24の厚さが約20μmとなるように、めっき条件を設定した。
また、図9中の吹き出し部に示すように、第2めっき層24は、第1の絶縁層12a,12bの表面に形成された複数の凹部16の内部に入り込んで凹部16を充填する。従って、アンカー効果により、第2めっき層24と第1の絶縁層12a,12bとは、十分な密着性を得ることができる。
この第1配線層26と第2配線層27とは、導体層22により電気的に接続されている。また、導体層22が形成された貫通孔14を導通孔28と呼ぶ。
上述のA5工程を経たコア材1の両面に、フォトリソ法により、所定の開口部29を有するソルダーレジスト30を形成する。
この両面配線板50は、第1配線層26及び第2配線層27が第2めっき層24からなる1層構造の導体層であるため、その厚さを薄くできるので、微細な配線パターンを形成することが可能である。また、この両面配線板50は、導通孔28が形成された範囲にも配線パターンを形成することが可能である。
次に、第2実施例として、第1実施例の両面配線板50を用いて、プリント配線板の一形態である、IVH(Interstitial Via Hole)を有する4層のビルドアップ型プリント配線板を製造する方法について、図12〜図15を用いて説明する。
図12は、本発明のプリント配線板及びその製造方法の第2実施例におけるB1工程を説明するための模式的断面図である。
図13及び図14は、本発明のプリント配線板及びその製造方法の第2実施例におけるB2工程を説明するための模式的断面図である。
図15は、本発明のプリント配線板及びその製造方法の第2実施例におけるB3工程を説明するための模式的断面図である。
まず、第1実施例におけるA1工程からA5工程までの工程を経たコア材1を準備する。
次に、このコア材1の両面側、即ち、第1配線層26、第2配線層27、及び第1の絶縁層12a,12b上に、例えば、ロールコート法により、絶縁性樹脂インク5を塗布する。この絶縁性樹脂インク5は、第1実施例のA2工程で用いた絶縁性樹脂インク5と同じである。
この塗布された絶縁性樹脂インク5からなる層を、樹脂インク層60a,60bと呼ぶ。
第2実施例では、樹脂インク層60a,60bの各厚さが約80μmになるように、絶縁性樹脂インク5の塗布条件を設定した。
具体的には、第2の絶縁層62a,62bの所定の位置にレーザ光を照射させて、第1配線層26及び第2配線層27の表面が露出するように、レーザ照射部における第2の絶縁層62a,62bを除去することにより、各開口径が約100μmであるBVH64a,64bを形成する。このBVH64a,64bは、炭酸ガス(CO2)レーザやYAGレーザにより、形成することができる。
酸化剤処理(または、化学粗化処理ともいう)により、上述したレーザ加工によりBVH64a,64bの底部に発生した残渣を除去すると共に、BVH64a,64bの内壁及び第2の絶縁層62a,62bの表面を、粗化する。第2実施例では、粗化後の第2の絶縁層62a,62bの厚さが約55μmになるように、酸化剤処理条件を設定した。
また、この酸化剤処理により第2の絶縁層62a,62bの表面が粗化される理由は、第1実施例のA3工程で説明した理由と同じである。
この第3めっき層66は、例えば、無電解銅めっきを行った後、さらに電解銅めっきを行うことで形成される。第2実施例では、第3めっき層66の厚さが約20μmとなるように、めっき条件を設定した。
また、図13中の吹き出し部に示すように、第3めっき層66は、第2の絶縁層62a,62bの表面に形成された複数の凹部68の内部に入り込んで凹部68を充填する。従って、アンカー効果により、第3めっき層66と第2の絶縁層62a,62bとは、十分な密着性を得ることができる。
この第3配線層68と第1配線層26とは第1のBVH64aを介して電気的に接続されており、この第4配線層69と第2配線層27とは第2のBVH64bを介して電気的に接続されている。また、導体層22が形成された貫通孔14をIVH70と呼ぶ。
上述したB2工程を経たコア材1の両面に、フォトリソ法により、所定の開口部71を有するソルダーレジスト72を形成する。
このビルドアップ型プリント配線板80は、第1配線層26及び第2配線層27が第2めっき層24からなる1層構造の導体層であり、第3配線層68及び第4配線層69が第3めっき層66からなる1層構造の導体層であるため、各配線層26,27,68,69の厚さをそれぞれ薄くできるので、各配線層26,27,68,69において微細な配線パターンを形成することが可能である。また、このビルドアップ型プリント配線板80は、導通孔であるIVH70が形成されている範囲に配線層68,69を形成することも可能であり、また、IVH70が形成されている範囲における配線層68,69上の絶縁層にBVH64a,64bを形成することも可能である。
次に、第1実施例に対する変形例について、図16〜図18を用いて説明する。
第1実施例ではサブトラクティブ法を用いて第1配線層26及び第2配線層27を形成したが、変形例では、セミアディティブ法(所謂、選択的に電気めっきを行って配線層を形成する方法)を用いて、第1配線層86及び第2配線層87を形成する。
一般的に、セミアディティブ法は、サブトラクティブ法に比べて、工程は増えるが、配線パターンの微細化や高密度化に有利な方法である。
なお、変形例では、各実施例と区別するために、各工程名にCを付している。
図17は、本発明のプリント配線板及びその製造方法の変形例におけるC2工程を説明するための模式的断面図である。
図18は、本発明のプリント配線板及びその製造方法の変形例におけるC3工程を説明するための模式的断面図である。
まず、第1実施例におけるA1工程からA4工程までの工程を経たコア材1を準備する。
次に、図16中の吹き出し部に示すように、導電層22の端面と接続するように、第1の絶縁層12a,12b及び充填材20の表面上に、例えば、銅からなる導電薄膜88を形成する。
この導電薄膜88は、無電解めっき法、真空成膜法(スパッタ法や蒸着法などを示す)を用いて形成することができる。変形例では、導電薄膜88をその厚さが約1μmとなるように、無電解めっき法により形成した。
また、この導電薄膜88は、図16中の吹き出し部に示すように、第1の絶縁層12a,12bの凹部16の内面を覆って形成される。
次に、所定のパターンの開口部89を有するめっきレジスト90を、フォトリソ法により形成する。このめっきレジスト90は、市販のものを使用することができる。
電気めっき法により、例えば、銅からなる電気めっき層91を、開口部89の導電薄膜88上に形成する。変形例では、電気めっき層91の厚さが約20μmとなるように、めっき条件を設定した。
また、この電気めっき層91は、図17中の吹き出し部に示すように、導電層22の端面の範囲における導電薄膜88上の凹み部92を埋めると共に、導電薄膜88が形成された凹部16を充填する。
従って、アンカー効果により、電気めっき層91と第1の絶縁層12a,12bとは、高い密着性を得ることができる。
めっきレジスト90を除去した後、露出している部分の導電薄膜88をエッチングすることによって、第1配線層86及び第2配線層87を得る。また、このエッチングによって、電気めっき層91の表面近傍部も若干エッチングされる。変形例では、エッチング後の電気めっき層91の厚さは約18μmであった。
以降の工程は、第1実施例のA6工程と同様である。
また、市販されているこのような両面銅張り板及び多層板は、その両面に銅箔を有するものが一般的であるが、材料メーカーからの入手が可能であれば、両面に銅箔のないものを用いることも可能である。
酸化剤処理において、ブタジエン成分をエッチングするエッチング速度v1は、エポキシ系樹脂をエッチングするエッチング速度v2よりも速い(v1>v2)ので、ブタジエン成分とエポキシ系樹脂とが混在する絶縁層表面において、この酸化剤処理により、露出しているブタジエン成分は、露出しているエポキシ系樹脂よりもよりエッチングされるので、このブタジエン成分が除去された部分が凹部となって、絶縁層表面は粗面化される。
また、ブタジエン成分の代わりに、エポキシ系樹脂をエッチングするエッチング速度v2と異なるエッチング速度を有する成分を添加してもよい。
発明者らの鋭意実験した結果によれば、上記の粒子5は、その直径の範囲が1〜20μmであり、その含有率が1〜30重量%の範囲であれば、第1実施例及び第2実施例と同様の効果、即ち、めっき層と絶縁層との界面は高い密着性が得られるという効果を奏することを確認している。
また、その直径の範囲が1〜20μmでありその含有率が1〜30重量%の範囲である粒子を含有する絶縁性樹脂インクからなる絶縁層は、その直径またはその含有率が上述の範囲よりも小さい粒子を含有する絶縁性樹脂インクからなる絶縁層よりもより密着性に優れ、その直径またはその含有率が上述の範囲よりも大きい粒子を含有する絶縁性樹脂インクからなる絶縁層よりもより剛性または絶縁性に優れる。
即ち、絶縁性樹脂インク5の代わりに、酸化剤処理において硫酸等の酸に可溶であり、その直径の範囲が1〜20μmでありその含有率が1〜30重量%の範囲である粒子を含有する半硬化のBステージ状態である樹脂シートを用いてもよい。
例えば、第1実施例のA4工程において、第1の絶縁層12a,12bの表面上の第1めっき層18をエッチングした後、第1の絶縁層12a,12bの表面よりも突出した部分の充填材20を、例えば研磨により除去してもよい。この研磨により、凹み部23への第2めっき層24の付き回り性が向上する。また、この研磨により、第1の絶縁層12a,12bの表面に形成された凹部16が除去されてしまうため、研磨後に再度、第1の絶縁層12a,12bに酸化剤処理を行うことが望ましい。
例えば、第1実施例及び第2実施例のように、導体層22、第1配線層26、及び第2配線層27が、それぞれ無電解銅めっき層と電解銅めっき層とからなる場合、分断された貫通孔14の分断面に希塩酸または希硫酸を用いてエッチング処理を施すことにより、導体層22と第1配線層26及び第2配線層27との界面を確認することができる。
これは、無電解銅めっき層に対する希塩酸または希硫酸のエッチング速度が、電解銅めっき層に対する希塩酸または希硫酸のエッチング速度よりも速いため、無電解銅めっき層がよりエッチングされるので、分断面において無電解銅めっき層は凹部となり、導体層22と第1配線層26及び第2配線層27との界面を確認することができる。
即ち、導体層及び配線層の構成やその構成材料に応じて、導体層と配線層27とのエッチング速度に差が生じるように、適宜エッチング処理条件を設定することにより、導体層と配線層との界面を認識することができる。
Claims (2)
- 絶縁性を有する基板と、
前記基板の両面それぞれを覆い、前記基板を3層構造基板に形成する絶縁層と、
前記3層構造基板を貫通する貫通孔と、
前記貫通孔の内面をその両端部をそれぞれ残して覆い、前記絶縁層のそれぞれから凹んだ端面を有する筒状の筒状導電体と、
前記筒状導電体の内部に充填され、前記絶縁層のそれぞれから突出した端部を有する充填材と、
前記絶縁層上にそれぞれ形成され、前記充填材の前記端部を覆うとともに前記筒状導電体の前記端面に密着する配線層と、
を有し、
前記筒状導電体の前記端面は、前記絶縁層と前記配線層との間の境界面よりも前記基板側に位置付けられ、且つ、前記配線層と前記筒状導電体とを電気的に接続する接続面を形成していることを特徴とするプリント配線板。 - 絶縁性を有する基板の両面に絶縁層をそれぞれ形成し、前記基板を3層構造基板とする絶縁層形成工程と、
前記3層構造基板を貫通する貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記貫通孔の内面及び前記3層構造基板の表裏に導電体のめっきをそれぞれ施し、前記貫通孔の内面を覆う円筒めっき層と前記3層構造基板の前記表裏をそれぞれ覆う平坦なめっき層を形成する導電体めっき工程と、
前記円筒めっき層で覆われた前記貫通孔に充填材を前記平坦なめっき層に至るまで充填する充填工程と、
前記絶縁層のそれぞれ及び前記充填材の両端部を露出させるべく、前記3層構造基板における表裏の平坦なめっき層をそれぞれ除去すると共に、前記円筒めっき層の両端部を除去し、前記貫通孔内に除去後の前記円筒めっき層からなる筒状導電体を形成する筒状導電体形成工程と、
露出された前記絶縁層及び前記充填材の端部をそれぞれ覆い、前記筒状導電体を介して互いに電気的に接続された配線層を形成する配線層形成工程と
を備え、
前記筒状導電体の端部はその端面が前記配線層との電気的な接続面を形成しており、この接続面は前記配線層と前記絶縁層との間の境界よりも前記基板側に位置付けられている
ことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
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