JP2003046244A - 多層配線基板及びその製造方法 - Google Patents

多層配線基板及びその製造方法

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JP2003046244A
JP2003046244A JP2001228028A JP2001228028A JP2003046244A JP 2003046244 A JP2003046244 A JP 2003046244A JP 2001228028 A JP2001228028 A JP 2001228028A JP 2001228028 A JP2001228028 A JP 2001228028A JP 2003046244 A JP2003046244 A JP 2003046244A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】バイア導体と導体配線層との接続信頼性を向上
させ、過酷な環境下においても特性劣化のない高信頼性
の多層配線基板を得る。 【解決手段】少なくとも熱硬化性樹脂を含む絶縁層4
と、該絶縁層4表面に埋設された導体配線層5と、導体
配線層5間を接続するために貫通孔に金属粉末および有
機成分を含む導体成分を充填されたバイア導体6とを具
備する多層配線基板において、導体配線層5のバイア導
体6との接続側が凹凸面によって形成されており、導体
配線層5の凹部7内に絶縁層4中の熱硬化性樹脂8を存
在せしめる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、多層配線
基板及び半導体素子収納用パッケージなどに適した多層
配線基板とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】近年、電子機器は小型化が進んでいるが、
近年携帯情報端末の発達や、コンピューターを持ち運ん
で操作するいわゆるモバイルコンピューティングの普及
によってさらに小型、薄型且つ高精細の多層配線基板が
求められる傾向にある。
【0003】また、通信機器に代表されるように、高速
動作が求められる電子機器が広く使用されるようになっ
てきた。高速動作が求められるということは、高い周波
数の信号に対し、正確なスイッチングが可能であるなど
多種な要求を含んでいる。そのような電子機器に対応す
るため、高速な動作に適した多層プリント配線板が求め
られている。
【0004】高速な動作を行うためには、配線の長さを
短くし、電気信号の伝播に要する時間を短縮することが
必要である。配線の長さを短縮するために、配線の幅を
細くし、配線の間隙を小さくするという、小型、薄型且
つ高精細の多層配線基板が求められる傾向にある。
【0005】そのような高密度配線の要求に対応するた
め、ビルドアップ法と呼ばれる製造方法が用いられてい
る。ビルドアップ法の基本構造としては、JPCA規格
では(1)ベース+ビルドアップ法、(2)全層ビルド
アップ法の2種類に分類されている。
【0006】(1)ベース+ビルドアップ法は、両面銅
張ガラスエポキシ基板などの絶縁基板の表面に導体配線
層やスルーホール導体などが形成されたコア基板表面に
感光性樹脂を塗布後、露光現象して貫通孔を形成した
後、感光性絶縁層の表面全面に銅などのメッキ層を施
し、その後、メッキ層に感光性レジストを塗布し、回路
パターンを露光、現像した後、非レジスト形成部をエッ
チングして回路を形成した後、レジストを除去して導体
配線層を作製したもので、この工程を繰り返して多層化
するものである。
【0007】また、(2)全層ビルドアップの製造方法
は、例えば特許2587593号の様に、絶縁シートに
レーザーなどで貫通孔を形成し、その貫通孔内に導電性
ペーストを充填することにより絶縁シートの表面に形成
された導体配線層を電気的に接続して配線シートを形成
し、このように作製した配線シートを繰り返して形成し
て多層化するものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、(1)
ベース+ビルドアップ法では、絶縁シートとして感光性
エポキシ樹脂などが多用されるが、エポキシ樹脂はもと
もとガラス転移点が低い上に感光性としたことで吸水率
が増加し、高温高湿放置で絶縁性が低下するなど信頼性
が低下しやすいために、アリル化ポリフェニレンエーテ
ル(A−PPE)樹脂やBTレジンといったエポキシ樹
脂より吸水率の低い樹脂を用いるが、吸水率の低い樹脂
は極性が低くなるため、極性の高い金属表面との濡れ性
が悪くなり、絶縁層と導体配線層の界面が弱くなり、特
性劣化の要因となる水分等を非常に通しやすくなる。ま
た、貫通孔の径を小さくした場合には、バイア導体の抵
抗上昇等の問題が顕著に現れ、高密度配線基板を作製す
るための大きな障害となっていた。
【0009】また、前記(2)全層ビルドアップ法で
は、バイア導体を、貫通孔内への導電性ペーストの充填
によって形成するものの高温放置、PCT等の信頼性試
験においてバイア導体が酸化し、電気抵抗が上昇すると
いう問題がある。また、バイア導体のピッチを狭くした
場合には、バイア導体間の絶縁抵抗が低下するという問
題があった。これは、導体配線層やバイア導体と絶縁樹
脂との界面が弱く水分等の劣化の要因となるものが通り
やすい。また、樹脂中を通ってきた水分がバイア導体内
部に直接侵入してくるために発生していると考えられ
る。
【0010】従って、本発明は、上記のような従来のビ
ルドアップ法における課題を解決することを目的とする
ものであり、具体的には、バイア導体と導体配線層との
接続信頼性を向上させ、過酷な環境下においても特性劣
化のない高信頼性の多層配線基板と、これを容易に製造
することのできる多層配線基板の製造方法を提供するこ
とを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の多層配線基板
は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む絶縁層と、該絶縁層
表面に埋設された導体配線層と、導体配線層間を接続す
るために貫通孔に金属粉末と有機成分を含む導体成分を
充填されたバイア導体とを具備する多層配線基板におい
て、前記導体配線層の前記バイア導体との接続側が凹凸
面によって形成されており、前記導体配線層の凹部内に
前記絶縁層中の熱硬化性樹脂が存在すること特徴とする
ものである。
【0012】特に、前記バイア導体の両端におけるバイ
ア径が異なり、径の小さい端部側の導体配線層凹部に絶
縁層中の熱硬化性樹脂が残存することによって、バイア
径が小さい端部側の導体配線層との接続信頼性を高める
ことができる。
【0013】また、前記導体配線層凹部内の熱硬化性樹
脂が、前記導体成分中の有機成分と化学反応しているこ
とによって強固な結合が可能となる。
【0014】さらに、前記導体配線層凹部の高さの1/
4〜1/2の底部分に熱硬化性樹脂が存在することが低
い接続抵抗と、接続信頼性を付与する上で望ましい。
【0015】またさらに、前記導体配線層の凹凸面の表
面粗さ(Rz)が1μm以上であることによって強固な
接続が可能となる。
【0016】さらに、本発明の多層配線基板の製造方法
によれば、(a)半硬化状態の第1の絶縁シートの表面
に、上面側が凹凸面からなる導体配線層を形成する工程
と、(b)該絶縁シートの表面に半硬化状態の熱硬化性
樹脂を含む第2の絶縁シートを熱圧着し、前記第1の絶
縁シートにおける導体配線層上面の凹部底部まで前記第
2の絶縁シートの樹脂を浸入させる工程と、(c)第2
の絶縁シートの所定箇所にレーザーを照射して、前記導
体配線層凹部内に熱硬化性樹脂が残存するように貫通孔
を形成する工程と、(d)(c)で形成した貫通孔に金
属粉末と有機成分を含む導体ペーストを充填してバイア
導体を形成する工程と、(e)前記バイア導体が形成さ
れた第2の絶縁シートの表面に、第2の導体配線層を形
成する工程とを具備することを特徴とするものである。
【0017】特に、前記(b)工程において、熱圧着
が、温度80℃以上、圧力10kg/cm2以上で行わ
れるによって効率的に導体配線層上面の凹部底部まで前
記第2の絶縁シートの樹脂を浸入させることができる。
【0018】また、前記(c)工程において、レーザー
の出力を0.05〜0.5mJとすることによって、効
率的に前記導体配線層凹部内に熱硬化性樹脂が残存する
ように貫通孔を形成することができる。
【0019】さらに、前記(d)工程において、前記導
体ペーストの有機成分が第2の絶縁シート中の半硬化状
態の熱硬化性樹脂と化学反応することによって強固な接
続が可能となる。
【0020】上記本発明の多層配線基板は、バイア導体
と導体配線層の接続部における配線層凹部内に絶縁層中
の熱硬化性樹脂が存在しているためバイア導体と導体配
線層の接続信頼性を向上させることができ、バイア導体
と導体配線層を含めた回路の断線や抵抗変化のない高信
頼性の多層配線基板を得ることができる。
【0021】また、本発明の製造方法によれば、導体配
線層間を接続するための貫通孔をレーザー照射によって
形成しているため、感光性樹脂を使用する必要がなく、
絶縁層材料としてガラス転移点が高く、吸水率の小さい
などの材料特性に優れた任意の絶縁材料を選定できる。
また、バイア導体と導体配線層の接続部において導体配
線層凹部内に半硬化状態の熱硬化性樹脂が残存するよう
に貫通孔(ブラインドバイア)を形成し、さらには導体
ペースト中の有機成分と化学反応せしめることによっ
て、過酷な環境下においても良好な電気的接続を保つこ
とができる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の多層配線基板を製造方法
とあわせて図面をもとに説明する。図1は、本発明にお
ける多層配線基板を説明するための概略断面図である。
【0023】この図1の多層配線基板は、絶縁層が複数
積層された絶縁基板1の表面や内部に導体配線層2やバ
イア導体3が形成されたコア基板Aの表裏に、薄層の絶
縁層4と、微細なパターンからなる導体配線層5および
バイア導体6が形成された多層配線層Bを具備したもの
である。なお、上記のバイア導体3、6はいずれも金属
粉末および有機樹脂を含む導体成分を貫通孔内に充填す
ることによって形成されたものである。
【0024】図2に、図1の多層配線基板における多層
配線層Bの要部拡大断面図を示す。この図2に示すよう
に、多層配線層Bにおける導体配線層5のバイア導体6
との接続部表面は、凹凸面によって形成されており、そ
の凹凸面の凹部7の底部に絶縁層4中の熱硬化性樹脂8
が存在することが重要である。本発明によれば、この凹
部7内への熱硬化性樹脂8の存在によって、バイア導体
6中に含まれる有機成分6aと凹部7内の熱硬化性樹脂
8とが強固に結合することによって、導体配線層5とバ
イア導体6との接続信頼性を高めることができる。
【0025】なお、係る接続部の構造において、バイア
導体6と導体配線層5の接続抵抗を低く、且つ接続信頼
性を高める上で、導体配線層5の凹部7の深さの1/4
〜1/2、望ましくは1/3〜1/2の底部に熱硬化性
樹脂8を存在させることが望ましい。
【0026】また、このバイア導体6をレーザー光で形
成した場合、レーザー光の入射側と出射側でバイア径が
異なり、出射側の径が小さくなるために、特に導体配線
層5との接続信頼性が劣化するために、このバイア径の
小さい端部側での導体配線層5との接続部が上記の構造
からなることが望ましい。
【0027】また、導体配線層5の凹凸面の表面粗さ
(Rz)は、1μm以上、特に1.5μmであることが
望ましい。
【0028】次に、本発明の多層配線基板の製造方法を
図3、図4をもとに説明する。図3はコア基板の製造方
法を説明する工程図、図4は多層配線層Bを形成する方
法を説明するための工程図である。
【0029】図3のコア基板Aの製造方法によれば、ま
ず、樹脂フィルム22の表面に接着剤を介して金属箔2
1を接着する(a)。この時、金属箔21はこの後の配
線形成のしやすさ、電気抵抗等を考慮すると銅箔を用い
るのが望ましい。そして、金属箔21表面にさらにフォ
トレジスト23を貼付する(b)。そしてフォトレジス
ト23を露光、現像することにより、導体配線部分にフ
ォトレジスト24を残す(c)。フォトレジスト24は
ネガ型を用いる方が、その後の導体配線層25を粗化す
るときに処理が行いやすい。その後、金属箔21をエッ
チングすることにより導体配線層25を形成し(d)、
フォトレジスト24を除去する(e)。この時、樹脂フ
ィルム22表面に形成した導体配線層25の断面は形成
角(下底両端における角度)が45〜80°の台形形状
に形成することによって絶縁層への密着性、埋設性を高
めることができる。このような台形形状の導体配線層2
5は、2〜50μm/minでエッチングするのが良
い。
【0030】次に、樹脂フィルム22上に形成した導体
配線層25表面を表面粗さ(Ra)を0.2μm以上に
粗化するのが望ましい。金属の種類によっても異なる
が、蟻酸、NaClO2、NaOH、Na2PO4あるい
はこれらの混合液等の酸性溶液をスプレー等で吹き付け
る、ディッピングするのが良く、特に蟻酸を吹き付ける
のが表面粗さを細かく制御できる点で望ましい。
【0031】一方では、絶縁シート26を準備する
(f)。この絶縁シート26は、熱硬化性樹脂と無機フ
ィラーからなるものである。絶縁シート26を構成する
熱硬化性樹脂は吸水率が0.5%以下、特に0.3%以
下であることによって、水分の影響を受けてバイア導体
28の抵抗が上昇するのを防止することができる。
【0032】具体的には、絶縁シート26を構成する熱
硬化性樹脂としては、A−PPE(アリル化ポリフェニ
レンエーテル)、BTレジン(ビスマレイミドトリアジ
ン)、ポリイミド樹脂、ポリアミドビスマレイミドの群
から選ばれる少なくとも1種の樹脂が望ましい。また、
絶縁シート26の無機フィラーとしては、SiO2、A
23、AlNの群から選ばれる少なくとも1種が好適
であり、フィラーの形状は平均粒径が20μm以下、特
に10μm以下、最適には7μm以下の略球形状の粉末
が用いられる。また、多層配線基板の強度を持たせるた
めには繊維質の織布や不織布を含むことが望ましい。コ
ア基板を形成する絶縁層のうち少なくとも1層が繊維質
フィラーを含むことが望ましい。
【0033】この無機質フィラーは、有機樹脂:無機質
フィラーの体積比率で15:85〜95:5の比率で混
合される。高密度配線基板を作製するためにバイアピッ
チを小さくするためには繊維質のフィラーよりも、球状
のフィラーを用いるほうが望ましい。
【0034】次に、レーザー光を照射して絶縁シート2
6に貫通孔27を形成する。貫通孔27加工は、CO2
レーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー等が使用
できる。その後、金、銀、銅、アルミニウム等から選ば
れる少なくとも1種を含む金属粉末に有機成分を添加し
た導体ペーストを調製し、貫通孔27に導体ペーストを
充填し、バイア導体28を形成する(g)。有機成分
は、不揮発で絶縁層を構成する熱硬化性樹脂と反応する
ものを用いるのが望ましい。また、導体ペーストの充填
方法として常圧の印刷機等も使用できるが、真空印刷機
を用いる方がより充填率を上げることができる。
【0035】その後、樹脂フィルム22上に作製した鏡
像の導体配線層25を、バイア導体28を形成した絶縁
シート26の両面または片面に熱圧着する(h)。そし
て、この鏡像の導体配線層25のパターンを有する樹脂
フィルム22をBステージ状の絶縁シート26の表面に
積層して3kg/cm2以上の圧力を印加した後、樹脂
フィルム22を剥離する(i)ことにより、絶縁シート
26の表面に導体配線層25を転写するとともに、導体
配線層25を絶縁層の表面に埋設し、配線シート29を
得ることができる(j)。
【0036】次に、以上のようにして得られた複数の配
線シート29−1〜5を位置合せして重ねて積層するこ
とによりコア基板Aを作製することができる(k)。
【0037】なお、このコア基板Aは、積層処理後に、
熱処理して絶縁層中の熱硬化性樹脂を完全に硬化しても
よいし、あるいは後述する多層配線層Bの形成後に合わ
せて完全熱硬化することもできる。
【0038】なお、後述する多層配線層Bの形成にあた
り、多層配線層Bの絶縁層やバイア導体との接続性を高
めるために、コア基板A表面の導体配線層の表面粗さR
zを1μm以上、特に1.5μm以上に粗面加工するこ
とが望ましい。この粗面加工は、金属の種類によっても
異なるが、蟻酸、NaClO2、NaOH、Na2PO 4
あるいはこれらの混合液等の酸性溶液をスプレー等で吹
き付け、特に蟻酸を吹き付けるのが表面粗さを細かく制
御できる点で望ましい。
【0039】次に、コア基板Aの表裏に多層配線層Bを
形成する方法について図4をもとに説明する。まず、上
記のようにして作製した表面に導体配線層30が形成さ
れた半硬化状態のコア基板Aの表面に未硬化または半硬
化の熱硬化性樹脂を含む絶縁シート31を熱圧着する
(b)。この絶縁シート31は、熱硬化性樹脂と無機フ
ィラーからなることが望ましく、熱硬化性樹脂および無
機フィラーとしては、コア基板Aと同様の熱硬化性樹脂
や無機フィラーが選択される。また、高密度配線基板を
作製するためにバイアピッチを小さくするためにはこの
多層配線層Bにおいては、繊維質のフィラーよりも、球
状のフィラーからなることが望ましい。
【0040】本発明によれば、このコア基板Aの表面に
絶縁シート31を熱圧着する際に、コア基板Aの表面に
形成された導体配線層30の表面の凹凸面における凹部
内に絶縁シート31中の熱硬化性樹脂を浸入させること
が重要である。
【0041】絶縁シート31の熱硬化性樹脂を導体配線
層30の凹部内に浸入させるには、樹脂の種類、樹脂の
溶融粘度によっても異なるが、温度が80℃以上で、3
0kg/cm2以上の圧力を印加することが望ましい。
【0042】また、コア基板Aの表面の導体配線層30
の表面粗さ(Rz)は1.0μm以上、望ましくは1.
5μm以上であることが望ましい。この表面粗さ(R
z)が1.0μmより小さいと絶縁シートあるいはバイ
ア導体との間で剥離が発生する。
【0043】次に、コア基板Aの表面に熱圧着された絶
縁シート31にレーザーを照射することによって貫通孔
32を形成する(c)。この貫通孔32の加工は、コア
基板Aと同様にCO2レーザー、YAGレーザー、エキ
シマレーザー等が使用できる。このレーザーの照射によ
って、絶縁シート31の照射部は熱分解することによっ
て穿孔されるが、この時、レーザー照射部分絶縁シート
31のすべての熱硬化性樹脂を除去するのではなく、導
体配線層30の表面の凹凸における凹部の深さの1/4
〜1/2、望ましくは1/3〜1/2の底部に半硬化状
態の熱硬化性樹脂が残存するように加工することが前述
した理由から望ましい。
【0044】この時のレーザー光の出力は0.05〜
0.5mJ、望ましくは0.1〜0.3mJで行うのが
良い。レーザー光の出力が0.5mJを超えると、導体
配線層30の凹部内の熱硬化性樹脂をすべて分解除去し
てしまう。0.05mJ未満では、絶縁シートの熱硬化
性樹脂を分解除去しきれずに、貫通孔を形成することが
難しい。
【0045】次に、貫通孔32に導体ペーストを埋め込
み、バイア導体33を形成する(d)。導体ペースト
は、金、銀、銅、アルミニウム等から選ばれる少なくと
も1種を含む金属粉末に有機成分を添加したものからな
る。また、導体ペーストの充填方法として常圧の印刷機
等も使用できるが、真空印刷機を用いる方がより充填率
を上げることができる。
【0046】この時、導体ペーストには、有機成分とし
て、絶縁シート31中の半硬化状態の熱硬化性樹脂、言
い換えれば導体配線層30の表面の凹部内に残存する熱
硬化性樹脂と化学反応をする有機成分を含むことが望ま
しい。導体ペースト中の有機成分と導体配線層30の凹
部に存在する熱硬化性樹脂を反応させることによりバイ
ア導体32と導体配線層30との接続信頼性を高めるこ
とができる。例えば、絶縁シート31中の熱硬化性樹脂
としてA−PPEを用いた場合は、導体ペーストの有機
成分としては、トリアリルイソシアヌレート(TAI
C)が好適に使用できる。また、絶縁シート31中の熱
硬化性樹脂としてBTレジンを用いた場合は、導体ペー
ストの有機成分として、エポキシ樹脂が好適に使用でき
る。樹脂の吸水率、耐熱性、電気特性を考慮するとA−
PPEとTAICの組み合わせで使用するのが望まし
い。
【0047】その後、このバイア導体33が形成された
絶縁シート31の表面に導体配線層34を形成する
(e)。この導体配線層34の形成は、コア基板A作製
時と同様に、予め樹脂フィルム35の表面に接着剤を介
して金属箔を接着し、この金属箔をフォトレジスト法に
よってパターン化して導体配線層34を形成する。ま
た、この樹脂フィルム35上に形成した導体配線層34
の表面を表面粗さ(Ra)を0.2μm以上に粗化する
のが望ましい。金属の種類によっても異なるが、蟻酸、
NaClO2、NaOH、Na2PO4あるいはこれらの
混合液等の酸性溶液をスプレー等で吹き付ける、特に蟻
酸を吹き付けるのが表面粗さを細かく制御できる点で望
ましい。
【0048】その後、樹脂フィルム35上に作製した鏡
像の導体配線層34を、バイア導体33を形成した絶縁
シート31の表面に100〜150℃、3kg/cm2
以上の圧力を印加して熱圧着した後、樹脂フィルム35
を剥離することによって絶縁シート31の表面に導体配
線層34を転写形成することができる。
【0049】その後、この導体配線層34が形成された
絶縁シート31の表面に、上記(b)〜(e)の処理を
繰り返し行うことによって、任意の層数の多層配線層B
を積層形成することができる(f)。そして、最終的
に、すべてを200℃以上の温度で圧力をかけながら一
括で硬化することにより本発明の多層配線基板を得るこ
とができる。
【0050】本発明によれば、多層配線基板、例えばコ
ア基板Aの表面に微細回路からなる多層配線層Bを形成
した多層配線基板において、多層配線層Bにおいてバイ
ア導体を任意の位置に配置できるため、多層配線層Bに
高密度の回路を形成することができる。また、多層配線
層Bにおいて、バイア導体と導体配線層の接続信頼性が
向上できるため、過酷な環境下においても導通不良のな
い多層配線基板が得られる。
【0051】また、上記の製造方法においては、転写法
によれば、導体配線層のパターン化を、絶縁層の加工と
並列して行うことができるため、また、多層化した多層
配線層やコア基板を一括で完全硬化できるため、短い製
造工程で信頼性の高い多層配線基板を作製することがで
きる。
【0052】
【実施例】コア基板の絶縁層として、アリル化ポリフェ
ニレンエーテル(A−PPE)またはBTレジンをガラ
ス布に含浸させ、厚み100μmのプリプレグを作製し
第1の絶縁シートとした。また、コア基板表面の多層配
線層の絶縁樹脂として、コア基板と同様A−PPE樹脂
またはBTレジンを用い、無機フィラーとして溶融シリ
カを体積比で50:50となるよう調製し、これに有機
溶剤を加えてスラリー状にした。これをドクターブレー
ド法によって厚さ40μmのBステージ状態の第2の絶
縁シートを作製した。この2種類の絶縁層にCO2レー
ザーでコア基板のに用いるプリプレグに100μmφの
貫通孔を形成し、次いで銅の表面を銀でコーティングし
た金属粉末とトリアリルイソシアヌレート(TAIC)
からなる有機成分を混合して導体ペーストを調製し、こ
の導体ペーストを貫通孔に充填した。
【0053】一方では、38μmのPETフィルムに、
厚さ12μmの電解銅箔を貼り合わせて転写用の銅箔付
きフィルムを準備した。銅箔表面にドライフィルムレジ
ストを貼付し、露光、炭酸ナトリウムによる現像、塩化
第二鉄によるエッチングを行い台形の形成角60°の形
成角を持つ導体配線層を形成した。その後、水酸化ナト
リウムによるレジストの剥離を行い、PETフィルム上
に配線パターンを形成した。この後、10%の蟻酸によ
り導体配線層表面(プリプレグへの埋め込み側)を表面
粗さRz3.0μmに粗化した。
【0054】次に、バイア導体を形成したプリプレグに
樹脂フィルム上に作製した配線パターンを位置合わせし
て貼り合わせ、130℃、50kg/cm2で熱圧着す
ることによりプリプレグ表面に導体配線層を転写した。
その後、導体配線層を転写したプリプレグ4層を130
℃、50kg/cm2で積層して半硬化状態のコア基板
を作製した。その後、コア基板表面の導体配線層の表面
粗さ(Rz)を10%蟻酸を用いて0.8〜3.4μm
と変化させた。
【0055】コア基板の表裏に上記のように作製した第
2の絶縁シートを60〜130℃、5〜50kg/cm
2で貼り合わせて、CO2レーザーにより50μmφの貫
通孔を形成した。この時、レーザーの出力は0.03〜
1.0mJで行った。
【0056】次いで、銅の表面を銀でコーティングした
金属粉末と有機樹脂とを混合して導体ペーストを調製し
た。ぺースト中の樹脂としては、絶縁シートがA−PP
E樹脂の場合は、TAICを、また、BTレジンの場合
はエポキシ樹脂をそれぞれ選択した。この導体ペースト
を真空印刷機を用いて貫通孔に充填してバイア導体を形
成した。
【0057】次に、バイア導体を形成した第2の絶縁シ
ートとコア基板の導体配線層の形成方法と同様にして形
成された樹脂フィルムの導体配線層を貼り合わせ、13
0℃、50kg/cm2で熱圧着して、絶縁シートの表
面に導体配線層を転写形成した。
【0058】コア基板の絶縁層4層、導体配線層5層、
コア基板の表裏に絶縁層各1層、導体層各1層、合計絶
縁層6層、導体層7層の多層配線基板を作製し、200
℃、20kg/cm2ですべての絶縁層を一括で硬化し
た。
【0059】なお、評価用の配線パターンとしては、多
層配線層に対して800個のバイア導体を導体配線層で
直列につないだデイジーチェーンを形成した。 (評価)作製した多層配線基板において、導体配線層の
表面粗さ(Rz)は原子間力顕微鏡(AFM)で測定し
た。また、導体配線層凹部への熱硬化性樹脂の浸入状態
は断面をSEM観察することにより求めた。
【0060】作製した多層配線基板に対して、1)15
0℃、1000時間の高温放置試験、2)130℃、8
5%RH、2.3atm、200時間のPCT試験、
3)−55℃〜125℃、1000サイクルの温度サイ
クル試験、4)260℃〜20℃、100サイクルのホ
ットオイル試験を行った。上記試験の前後で800個の
バイアホール導体を導体配線層で直列に接続したデイジ
ーチェーンの抵抗変化が10%以内のものを良品、10
%を越えるものを不良品としてN数20個の多層配線基
板について試験した。
【0061】
【表1】
【0062】表1からわかるように、多層配線層におけ
るバイア導体と導体配線層の接続部において、導体配線
層凹部内に絶縁層中の熱硬化性樹脂を存在させることに
より、高温放置、PCT、温度サイクル、ホットオイル
等の信頼性試験後において電気断線のない高信頼性の多
層配線基板が作製できた。
【0063】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
多層配線基板におけるバイア導体と導体配線層の接続
性、特にコア基板の表面に形成された微細配線を有する
多層配線層に形成された金属粉末を充填して形成された
バイア導体と導体配線層との接続性を高めることがで
き、これによって過酷な環境下においても優れた接続信
頼性を有する多層配線基板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層配線基板の一例の概略断面図であ
る。
【図2】本発明の多層配線基板の要部拡大断面図であ
る。
【図3】本発明の多層配線基板におけるコア基板の製造
方法の一例を説明するための工程図である。
【図4】本発明の多層配線基板における多層配線層の製
造方法の一例を説明するための工程図である。
【符号の説明】
A コア基板 B 多層配線層 1 絶縁基板 2 導体配線層 3、6 バイア導体 4 絶縁層 5 導体配線層 7 凹部 8 熱硬化性樹脂
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05K 3/00 H05K 3/00 N 3/20 3/20 A 3/40 3/40 K // B23K 101:42 B23K 101:42 Fターム(参考) 4E068 AF02 DA11 5E317 AA24 BB02 BB12 CC25 CC31 CD05 CD25 CD32 GG09 GG16 5E343 AA02 AA12 BB24 BB67 BB72 DD56 DD62 GG01 5E346 AA05 AA06 AA12 AA15 AA22 AA32 AA35 AA43 AA51 BB16 CC02 CC04 CC09 CC32 DD32 EE06 EE07 EE09 EE13 EE18 EE19 FF18 GG15 GG19 GG22 GG27 GG28 HH11

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも熱硬化性樹脂を含む絶縁層と、
    該絶縁層表面に埋設された導体配線層と、導体配線層間
    を接続するために貫通孔に金属粉末および有機成分を含
    む導体成分を充填されたバイア導体とを具備する多層配
    線基板において、前記導体配線層の前記バイア導体との
    接続側が凹凸面によって形成されており、前記導体配線
    層の凹部内に前記絶縁層中の熱硬化性樹脂が存在するこ
    と特徴とする多層配線基板。
  2. 【請求項2】前記バイア導体の両端におけるバイア径が
    異なり、径の小さい端部側の導体配線層凹部に絶縁層中
    の熱硬化性樹脂が残存することを特徴とする請求項1記
    載の多層配線基板。
  3. 【請求項3】前記導体配線層凹部内の熱硬化性樹脂が前
    記導体成分中の有機成分と化学反応していることを特徴
    とする請求項1または請求項2記載の多層配線基板。
  4. 【請求項4】前記導体配線層凹部の高さの1/4〜1/
    2の底部分に熱硬化性樹脂が存在することを特徴とする
    請求項1乃至請求項3のいずれか記載の多層配線基板。
  5. 【請求項5】前記導体配線層の凹凸面の表面粗さ(R
    z)が1μm以上であることを特徴とする請求項1乃至
    請求項4のいずれか記載の多層配線基板。
  6. 【請求項6】(a)半硬化状態の第1の絶縁シートの表
    面に、上面側が凹凸面からなる第1の導体配線層を形成
    する工程と、(b)該絶縁シートの表面に半硬化状態の
    熱硬化性樹脂を含む第2の絶縁シートを熱圧着し、前記
    第1の絶縁シートにおける第1の導体配線層上面の凹部
    底部まで前記第2の絶縁シートの樹脂を浸入させる工程
    と、(c)第2の絶縁シートの所定箇所にレーザーを照
    射して、前記第1の導体配線層凹部内に熱硬化性樹脂が
    残存するように貫通孔を形成する工程と、(d)(c)
    で形成した貫通孔に金属粉末と有機成分を含む導体ペー
    ストを充填してバイア導体を形成する工程と、(e)前
    記バイア導体が形成された第2の絶縁シートの表面に、
    第2の導体配線層を形成する工程とを具備することを特
    徴とする多層配線基板の製造方法
  7. 【請求項7】前記(b)工程において、熱圧着が、温度
    80℃以上、圧力10kg/cm2以上で行われること
    特徴とする請求項6記載の多層配線基板の製造方法。
  8. 【請求項8】前記(c)工程において、レーザーの出力
    が0.05〜0.5mJであることを特徴とする請求項
    6または請求項7記載の多層配線基板の製造方法。
  9. 【請求項9】前記(d)工程において、前記導体ペース
    トの有機成分が第2の絶縁シート中の半硬化状態の熱硬
    化性樹脂と化学反応することを特徴とする請求項6乃至
    請求項8のいずれか記載の多層配線基板の製造方法。
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