JP7170509B2 - 半導体装置及びその製造方法、表示装置、光電変換装置、電子機器、照明装置並びに移動体 - Google Patents

半導体装置及びその製造方法、表示装置、光電変換装置、電子機器、照明装置並びに移動体 Download PDF

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Description

本発明は、半導体装置及びその製造方法、表示装置、光電変換装置、電子機器、照明装置並びに移動体に関する。
有機エレクトロルミネッセンス(EL)膜を用いた有機発光装置が知られている。有機発光装置は、優れた発光特性を有する一方で、水分によってその発光特性が低下しうることが知られている。有機発光装置の特性を維持するために有機発光素子への水分の浸入を抑制することが好ましい。特許文献1には複数の有機EL素子と、複数の有機EL素子を覆う窒化シリコンで形成されたバリア層とを有する有機EL表示パネルが記載されている。特許文献1には、バリア層におけるシリコンに対する窒素の濃度が30atomic%以上70atomic%以下の領域を含む例が開示されている。また、特許文献2には窒化シリコンで形成された封止膜が記載されている。特許文献2には、封止膜におけるSi-Hに由来する水素濃度とN-Hに由来する水素濃度との合計が3E22atoms/cm以上である例が開示されている。
特開2007-123174号公報 国際公開第2014/188731号
本発明者らは、凹凸を有する面の上に窒化シリコンで保護膜を形成した場合に、保護膜に低密度領域が形成される場合があることを発見した。この低密度領域は水分を透過しやすいので、保護膜の下の有機発光素子などの半導体素子へ水分が侵入してしまう。特許文献1、2に記載された組成の窒化シリコンは固体としてのガスバリア性に優れるものの、耐湿性に関しては不十分である。本発明は、保護膜の耐湿性を向上するための技術を提供することを目的とする。
本発明の一部の実施形態では、半導体素子と、前記半導体素子の上に配置され、シリコン原子と窒素原子とを含有する保護膜と、を有する半導体装置であって、前記保護膜において1個のシリコン原子に結合する窒素原子の平均個数が1.25以上かつ1.35以下であることを特徴とする半導体装置が提供される。
上記手段により、保護膜の耐湿性を向上するための技術が提供される。
本発明の第1実施形態の有機発光装置の構成を模式的に示す断面図。 一般的な有機発光装置の断面TEM写真。 窒化シリコン膜の形成途中の状態を示す模式図。 1個のシリコン原子に結合する窒素原子の平均個数の算出方法を示す図。 本発明の第1実施形態の有機発光装置の製造方法を模式的に示す断面図。 本発明の第2実施形態の有機発光装置の構成を模式的に示す断面図。 本発明の一部の実施形態の表示装置の構成例を示す図。 本発明の一部の実施形態の撮像装置の構成例を示す図。 本発明の一部の実施形態の表示装置の構成例を示す図。 本発明の一部の実施形態の表示装置及び電子機器の構成例を示す図。 本発明の一部の実施形態の表示装置及び電子機器の構成例を示す図。 本発明の一部の実施形態の照明装置及び移動体の構成例を示す図。
添付の図面を参照しつつ本発明の実施形態について以下に説明する。様々な実施形態を通じて同様の要素には同一の参照符号を付し、重複する説明を省略する。また、各実施形態は適宜変更、組み合わせが可能である。
<第1実施形態>
図1を参照して、第1実施形態に係る有機発光装置100の構成例について説明する。有機発光装置100の1つの画素回路PXは、図1に示す断面構造を有する。ガラス基板又はシリコン基板などである基板101の上に、不図示のトランジスタ及び配線パターンが配置されている。トランジスタ及び配線パターンの上に無機絶縁膜102が配置されている。無機絶縁膜102は、例えば酸化シリコン又は窒化シリコン等によって形成される。
無機絶縁膜102の上に複数の電極103が間隔を置いてアレイ状に配置されている。各電極103は、組成が互いに異なる複数の導電体層が積層されることによって構成されてもよい。例えば、電極103は、下側(基板101に近い側)から順に、Ti層103aと、TiN層103bと、AlCu層103cと、Ti層103dとによって構成されてもよい。各電極103は、無機絶縁膜102に形成された不図示のプラグを介して、基板101上に配置されたスイッチング素子(例えば、トランジスタ)に電気的に接続されている。プラグは、例えばタングステン等の導電性材料で形成される。
無機絶縁膜102の上面のうち複数の電極103によって覆われていない部分を覆うように絶縁体104が配置されている。絶縁体104は、例えば無機絶縁体によって形成される。絶縁体104はさらに、各電極103の側面と、各電極103の上面のうちの端部付近とを覆うことによって、バンクを構成する。各電極103の上面のうちの端部付近以外は絶縁体104によって覆われていない。絶縁体104は、組成が互いに異なる複数の絶縁体層が積層されることによって構成されてもよい。例えば、絶縁体104は、下側から順に、TEOS-SiO層104aと、HDP-SiO層104bと、TEOS-SiO層104cとによって構成されてもよい。
複数の電極103及び絶縁体104の上に有機化合物膜105が配置されている。有機化合物膜105の上に電極106が配置されている。電極106は、有機化合物膜105が発生した光を透過させるように透明な材料で形成される。
電極103と、絶縁体104と、有機化合物膜105と、電極106とによって有機発光素子113が構成される。有機化合物膜105は、電極103及び電極106の間に配置されている。複数の電極103は、不図示のプラグを介して、基板101上に配置された複数のスイッチング素子にそれぞれ電気的に接続されている。これらのスイッチング素子によって、複数の電極103に印加する電圧を個別に制御できる。電極103と電極106との間に電圧が印加されることによって、有機化合物膜105の一方の面を通して有機化合物膜105に正孔が注入され、有機化合物膜105の他方の面を通して有機化合物膜105に電子が注入される。有機化合物膜105において、注入された正孔および電子が再結合し、これによって光が発生する。そのため、上述の構成によって複数の有機発光素子113を有するアレイが形成される。有機化合物膜105は、例えば白色光を発生するように構成される。有機化合物膜105及び電極106は複数の有機発光素子113に対して共通に設けられる。電極103は、下部電極や個別電極と呼ばれてもよい。電極106は、上部電極や共通電極と呼ばれてもよい。
電極106の上、すなわち有機発光素子113の上に保護膜107が配置されている。保護膜107は、有機発光素子113を外部雰囲気中の水分から遮断する機能を有する。一例において、保護膜107は、シリコン原子及び窒素原子を含有する。例えば、保護膜107は、化学気相堆積法(CVD法)によって形成される窒化シリコン(SiN)膜である。
保護膜107の下面は、保護膜107の下にある有機化合物膜105の上面の形状の影響を受けて凹凸を有する。有機化合物膜105の上面が凹凸を有することによって、電極106から注入された電荷の横方向の抵抗が上昇するので、隣接する有機発光素子113まで電荷が移動し、他の電荷と再結合する電荷数が低減する。その結果、混色が抑制される。
保護膜107が窒化シリコン膜である場合に、保護膜107において1個のシリコン原子に結合する窒素原子の平均個数は1.35以下であってもよい。1個のシリコン原子に結合する窒素原子の最大個数は、化学量論比的に全て結合した場合であり、4個である。1個のシリコン原子に結合する窒素原子の平均個数を1.35以下であるとは、化学量論比的に全て結合した場合よりもシリコン原子に窒素原子が結合する数が少ないことを意味する。より具体的に、1個のシリコン原子に結合する窒素原子の平均個数は1.00以上1.35以下であってよい。
保護膜107において1個のシリコン原子に結合する窒素原子の平均個数は0より多くてもよいし、1以上であってもよい。さらに、保護膜107において1個のシリコン原子に結合する窒素原子の平均個数は1.05以上であってもよい。これによって、窒化シリコン膜の可視光の波長領域の光の吸収率を低く保つことができる。さらに、保護膜107において1個のシリコン原子に結合する窒素原子の平均個数は1.25以上であってもよい。これによって、保護膜107の結合のネットワークが密となり、固体としての水分浸透性も特に良好な水準となる。
保護膜107が薄すぎると、保護膜107によって覆われる有機発光素子113のアレイ又は異物に対する被覆性が低下し、後述する低密度領域が保護膜107の表面近傍にも生じうる。これにより、ダークスポット(DS)が生じやすくなる。他方、保護膜107が厚すぎると、有機発光装置100の製造のためのプロセス時間が長くなるために生産性が低下する。また、保護膜107が厚すぎると、カラーフィルタ層109と有機化合物膜105との間隔が大きくなり過ぎることによって色ずれが発生しやすくなる。そこで、保護膜107の厚さは、例えば、1.0μm以上3.0μm以下であってもよい。
保護膜107の上に平坦化膜108が配置されている。平坦化膜108の上にカラーフィルタ層109が配置されている。カラーフィルタ層109は、互いに異なる波長の光を透過するカラーフィルタ109a、109b及び109cを含んでもよい。カラーフィルタ層109の上に平坦化膜110が配置されている。平坦化膜108及び110は、例えば樹脂で形成される。平坦化膜110の上に充填膜111が配置されている。充填膜111は、例えば樹脂で形成される。充填膜111の上にガラス基板112が配置されている。
カラーフィルタ109a、109b及び109cのそれぞれに対して1つの電極106が割り当てられている。それによって、カラーフィルタ109a、109b及び109cに対して、副画素回路PXa、PXb及びPXcがそれぞれ構成される。3つの副画素回路PXa、PXb及びPXcによって1つの画素回路PXが構成される。3つの副画素回路PXa、PXb及びPXcのそれぞれの発光量を制御することによって、画素回路PXはカラー表示に対応可能である。
図2を参照して、有機発光装置の保護膜中に発生する低密度領域について説明する。図2は、有機化合物膜201の上側と、電極202と、保護膜203の下側とに着目した有機発光装置の断面TEM(透過型電子顕微鏡)写真である。
本発明者らは、窒化シリコンで形成された保護膜203の下面に接した下地層(図2の例では電極202)の上面が凹凸を有する場合に、下地層の凹凸をきっかけに、保護膜203に低密度領域が発生することを発見した。図2の保護膜203は、低密度領域204、205及び207を有する。低密度領域とは、周囲に比べて密度が低い領域のことである。
低密度領域204は、保護膜203の下に凸の部分の左下の隅から延びる。低密度領域205は、保護膜203の下に凸の部分の右下の隅から延びる。低密度領域204及び低密度領域205は合流位置206で合流し、低密度領域207となって上方に延びる。低密度領域204、205及び207は周囲の部分と比較して水分を通しやすい。また、低密度領域204、205及び207の幅が大きいほど、そして密度が低いほど水分を通しやすいと考えられる。低密度領域204、205及び207が発生することによって、保護膜203の耐湿性が低下する。
図3を参照して、保護膜203に低密度領域が発生する原因について説明する。図3は、電極202に保護膜203を形成途中の状態を説明する模式図である。保護膜203は、化学気相堆積法(CVD法)によって保護膜203の材料を電極202に堆積することによって形成される。説明を分かりやすくするために、電極202の上面の凸部は直角に立ち上がるとする。そのため、電極202の上面の凹部は、水平面202a及び垂直面202bを有する。
保護膜203の材料は、電極202の水平面202a及び垂直面202bのそれぞれから成長する。形成途中で、水平面202aに堆積物301が付着し、垂直面202bに堆積物302が付着している。堆積物301と堆積物302との間に隙間303が生じている。堆積物301は、水平面202aから遠ざかる方向(図面の上方向)へ成長する。堆積物302は、垂直面202bから遠ざかる方向(図面の右方向)へ成長する。隙間303には成膜用の原料ガスが到達しにくいので、この部分は他の部分よりも成膜速度が遅くなると推察される。これによって、保護膜203の成膜後も隙間303に対応する位置の密度が低くなり、その結果としてこの位置に低密度領域が発生すると考えられる。
隙間303へは原料ガスの供給量が少ないため、効率よく原料ガスを反応及び堆積させることによって、低密度領域の発生を抑制できる。本発明者らは、保護膜203をシリコン原子及び窒素原子を含有する材料で形成し、1個のシリコン原子に結合する窒素原子の平均個数を1.35以下とすることによって、低密度領域の発生を抑制できることを発見した。
1個のシリコン原子に結合する窒素原子の平均個数が1.35以下である窒化シリコン膜は、シリコン原子と窒素原子との結合が少ないために、膜表面にダングリングボンドが露出しやすい。隙間303において、膜表面のダングリングボンドが少量の原料ガスをトラップすることにより、隙間303における反応及び成膜速度が向上し、低密度領域の発生が抑制されると考えられる。
1個のシリコン原子に結合する窒素原子の平均個数は、例えばR.Karcher et al., Physical review B, 1984, Vol.30, No.4, pp.1896-1910に記載される方法を参考にして測定又は算出されてもよい。具体的に、以下のように平均個数を測定又は算出できる。まず初めに、X線光電子分光法(XPS)を用いて、窒化シリコン膜のSi2pスペクトルを測定する。測定環境は1×10-7Torr以下の高真空である。測定前に、酸化膜やコンタミネーションの除去のために、窒化シリコン膜の表面に対してArイオン銃などを用いてスパッタリングを行う。測定装置は、アルバック・ファイ社製のQuantera SXMであってもよい。必要ならば、比較的安定であるAuやAg、Cu等の純金属の主要ピークの結合エネルギー値を参考にして、窒化シリコン膜のSi2pスペクトルのエネルギー軸を校正してもよい。
図4を参照して、窒化シリコン膜のスペクトルについて説明する。図4(a)において、実線は窒化シリコン膜のSi2pスペクトルを示し、点線はベースラインを示す。図4(a)の一点鎖線は、Si2pスペクトルのピーク以外の領域をフィッティングし、Si2pスペクトルからベースラインを減算して得られるグラフである。この処理の後のスペクトルを処理後スペクトルと呼ぶ。
図4(b)において、実線は図4(a)の処理後スペクトルを示し、一点鎖線は、処理後スペクトルに対してフィッティングを行うことによって得られるフィッティングスペクトルを示す。フィッティングスペクトルは以下の式1で与えられる。
[式1]
Figure 0007170509000001
図4(b)の破線は、1個のシリコン原子にn個(nは0以上4以下の整数)の窒素原子が結合する場合のSi2pスペクトルSを示す。Sは、以下の式2のように正規分布として表される。
[式2]
Figure 0007170509000002
式2において、Eは結合エネルギーである。μはSの中心エネルギーであり、n=0,1,2,3,4の場合に、それぞれ、99.5eV,100.375eV,101.25eV,102.125eV,103eVである。Iとσはフィッティングパラメータである。IはSの強度であり、各nに対して個別に求められる。σはSの標準偏差であり、各nに対して共通の値が求められる。
フィッティングによって得られたIを以下の式3に適用することによって、1個のシリコン原子に結合する窒素原子の平均個数を求めることができる。
[式3]
Figure 0007170509000003
保護膜107において、X線光電子分光におけるSi2pスペクトルの結合エネルギーの重心が100.2eV以上100.6eV以下であってもよい。この重心は100.2eV未満であってもよい。前述したように、1個のシリコン原子に結合する窒素原子の平均個数は、XPSによるSi2pスペクトルの形状を解析することによって得られる量である。これは、Si2pスペクトルの結合エネルギーの重心として表現することも可能である。Si2pスペクトルの結合エネルギーの重心を100.6eV以下とすることによって、保護膜107における低密度領域の発生を抑制できる。この結合エネルギーの重心とは、処理後スペクトルにおいて、スペクトルが存在する結合エネルギーの範囲において強度と結合エネルギーとの積を結合エネルギーで積分した量を、同範囲において強度を結合エネルギーで積分した量で割った量である。
保護膜107において、1個のシリコン原子に結合する窒素原子の平均個数を、シリコン原子に対する窒素原子の組成比で割った量が、1.2以上1.55以下であってもよい。この量は、1.2未満であってもよい。シリコン原子に対する窒素原子の組成比の算出は以下のように行うことができる。1個のシリコン原子に結合する窒素原子の平均個数を、シリコン原子に対する窒素原子の組成比で割ることによって、シリコン原子と窒素原子との結合に対する情報を抽出できる。
まず、前述したようにXPSを用いて窒化シリコン膜のSi2pスペクトルを測定し、図4(a)に示すように、ベースラインを差し引き、スペクトルの面積を計算する。同様に、N1sスペクトルの面積を計算する。そして、相対感度係数を用いて、シリコン原子に対する窒素原子の原子濃度比(組成比)を算出する。
図5を参照して、有機発光装置100の製造方法の一例について説明する。まず、図5(a)に示す構造を形成する。具体的に、基板101上に、例えば既存のフォトリソグラフィ技術を用いて、不図示のスイッチング回路や配線パターンを形成する。その後、基板101の上に無機絶縁膜102を形成する。その後、無機絶縁膜102に不図示のコンタクトホールを形成し、コンタクトホールに不図示のプラグを形成し、無機絶縁膜102の上に電極103を形成する。電極103は、例えばTi層103a、TiN層103b、AlCu層103c及びTi層103dを順に形成することによって形成される。その後、電極103を、アレイを構成するようにパターニングする。その後、アレイ状の電極103の上に絶縁体104を形成する。絶縁体104は、例えばTEOS-SiO層104a、HDP-SiO層104b及びTEOS-SiO層104cを順に形成することによって形成される。
続いて、図5(b)に示すように、各電極103の上面が露出するように絶縁体104をエッチングすることによって、絶縁体104に開口を形成する。続いて、図5(c)に示すように、開口が形成された絶縁体104の上に、有機化合物膜105、電極106及び保護膜107を順に形成する。有機化合物膜105は、例えば蒸着によって形成される。電極106は、例えばAgとマグネシウムを共蒸着することによって形成される。保護膜107は、例えば電極106とは別のチャンバにおいて、SiHガス、Nガス及びHガスを用いたプラズマCVD法を行うことによって形成される。電極106が形成された後、有機発光素子113を含む構造体の上面は凹凸を有する。その後、平坦化膜108以降の構成要素を形成することによって、図1に示される有機発光装置100が製造される。
<第2実施形態>
図6を参照して、第2実施形態に係る有機発光装置600の構成例について説明する。図6は、図1に対応する位置における有機発光装置600の断面を示す。有機発光装置600は、保護膜107と平坦化膜108との間に保護膜601と保護膜602とをさらに有する点で有機発光装置100と異なる。保護膜601は、保護膜107の上に配置されている。保護膜602は、保護膜601の上に配置されている。保護膜107、保護膜601及び保護膜602によって保護構造603が構成される。
保護膜601は、例えば原子層堆積法(ALD法)によって形成される酸化アルミニウム膜である。ALD法で形成される酸化アルミニウム膜は、凹凸部に対する被覆性が極めて高いので、有機発光装置600の外部からの水分を遮断しやすい。酸化アルミニウムの成膜用のガスとして用いられる水蒸気は、低密度領域の形成が抑制された保護膜107によって遮断される。
ALD法で形成される酸化アルミニウム膜である保護膜601は、高温の多量の水やアルカリ性溶液に触れると溶出する可能性がある。そのため、保護膜601上に、これらの溶液に耐性を有する保護膜602を積層する。保護膜602は、例えば化学気相堆積法(CVD法)によって形成される窒化シリコン膜又は酸窒化シリコン膜である。CVD法で形成される窒化シリコン膜又は酸窒化シリコン膜の水透過率は、1×10-6(g/(m・day))程度であり、十分に低い。
保護構造300が薄すぎると、保護構造300によって覆われる有機発光素子113のアレイ又は異物に対する被覆性が低下し、低密度領域が保護構造300の表面近傍にも生じうる。これにより、ダークスポット(DS)が生じやすくなる。他方、保護構造300が厚すぎると、有機発光装置600の製造のためのプロセス時間が長くなるために生産性が低下する。そこで、保護構造300の厚さ(すなわち、保護膜107、保護膜601及び保護膜602の合計の厚さ)は、例えば、1.6μm以上3.0μm以下であってもよく、2.0μm以上2.8μm以下であってもよい。保護膜107の厚さは、保護膜602の2倍以上であってもよい。
<その他の実施形態>
図7~図12を参照して、上述の有機発光装置100又は600を利用した様々な実施形態について説明する。以下では有機発光装置100を例として説明するが、有機発光装置100の代わりに有機発光装置600が用いられてもよい。有機発光装置100は、光を発生する任意の装置に組み込まれうる。例えば、有機発光装置100は、表示装置や照明装置の構成部材として用いられてもよい。その他、電子写真方式の画像形成装置の露光光源や液晶表示装置のバックライト、白色光源にカラーフィルタを有する発光装置等に用いられてもよい。有機発光装置100は、タッチパネル機能を有するデバイスの一部であってもよい。このタッチパネル機能の駆動方式は、赤外線方式、静電容量方式、抵抗膜方式及び電磁誘導方式のいずれであってもよい。また、有機発光装置100はマルチファンクションプリンタの表示部として用いられてもよい。
図7は、一部の実施形態に係る表示装置700の構成例を示す。表示装置700は、有機発光装置100を含む表示部701と、有機発光素子113を駆動する駆動回路702と、駆動回路702を制御する制御部705とを備える。駆動回路702は、例えば、水平駆動回路703と、垂直駆動回路704とを含む。
表示装置700は、例えば、テレビの表示部、PCモニタ、自動車の表示部、携帯端末の表示部、スマートフォンの表示部、タブレット端末の表示部、マルチファンクションプリンタ又はインクジェットプリンタ等の画像形成装置の表示部として採用されてもよい。表示装置700は、エリアCCD、リニアCCD、メモリーカード等からの画像情報を入力する画像入力部を有してもよい。表示装置700に、ポインティングデバイスが組み込まれてもよい。有機発光装置100のカラーフィルタ層109に、赤色、緑色及び青色を有するカラーフィルタが設けられてもよい。赤色、緑色及び青色のカラーフィルタはデルタ配列で配置されてもよい。
図8は、一部の実施形態に係る撮像装置800の構成例を示す。撮像装置800は、光電変換装置とも呼ばれうる。撮像装置800は、撮像部(イメージセンサ)801と、撮像部801を制御したり、撮像部801によって撮像された画像を処理したりするプロセッサ802と、画像を表示する表示部803とを備える。撮像部801は、光を電気信号に変換する光電変換素子を含む。表示部803は、有機発光装置100を含む。表示部803は、例えば、撮像部801によって得られた電気信号をプロセッサ802が処理することによって得られた画像、又は撮像装置800の操作のための情報を表示する。撮像装置800は、撮像機能を有する任意の装置である。表示部803は、例えば、デジタルスチルカメラに代表される撮像装置の背面表示部であってもよいし、ビューファインダであってもよいし、その他の部分に設けられた表示部であってもよい。ビューファインダは、撮像装置800のファインダの中に配置されている表示装置である。その表示領域のサイズは、例えば、0.5インチ以下であってもよい。
図9は、一部の実施形態に係る表示装置900の構成例を示す。表示装置900は、上部カバー901と、下部カバー909との間に、タッチパネル903、表示パネル905、フレーム906、回路基板907及びバッテリ908を有する。表示パネル905は、有機発光装置100を含む。タッチパネル903及び表示パネル905に、フレキシブルプリント回路FPC902、904が接続されている。回路基板907には、トランジスタがプリントされている。バッテリ908は、表示装置900が携帯機器でなければ、設けなくてもよいし、携帯機器であっても、別の位置に設けてもよい。
表示装置900は、複数のレンズを有する光学部と、当該光学部を通過した光を受光する撮像素子とを有する撮像装置の表示部として用いられてよい。撮像装置は、撮像素子が取得した情報を表示する表示部を有してよい。また、表示部は、撮像装置の外部に露出した表示部であっても、ファインダ内に配置された表示部であってもよい。撮像装置は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラであってよい。
図10(a)は、一部の実施形態に係る撮像装置1000の構成例を示す。撮像装置1000は、ビューファインダ1001、背面ディスプレイ1002、操作部1003及び筐体1004を有する。ビューファインダ1001は、有機発光装置100を含む。ビューファインダ1001は、撮像する画像のみならず、環境情報、撮像指示等を表示してよい。環境情報は、外光の強度、外光の向き、被写体の動く速度、被写体が遮蔽物に遮蔽される可能性等を含んでもよい。ビューファインダ1001を有機発光装置100で構成することによって、表示速度が向上する。撮像装置1000は、不図示の光学部を有する。光学部は複数のレンズを有し、筐体1004内に収容されている撮像素子に結像する。複数のレンズの相対位置を調整することによって、焦点を調整できる。焦点の調整は自動で行われてもよい。
図10(b)は、一部の実施形態に係る電子機器1010の構成例を示す。電子機器1010は、表示部1011と、操作部1012と、筐体1013と、通信部1014とを有する。表示部1011は、有機発光装置100によって構成される。筐体1013は、回路、当該回路を有するプリント基板、バッテリ及び通信部1014を格納してもよい。操作部1012は、ボタンであってもよいし、タッチパネル方式の反応部であってもよい。操作部1012は、指紋を認識してロックの解除等を行う生体認識部であってもよい。通信部1014は、外部の装置と通信する。通信部1014を有する電子機器は通信機器ということもできる。電子機器1010は、スマートフォン等の携帯電話、タブレット、ヘッドマウントディスプレイ等の携帯端末であってもよい。
図11(a)は、一部の実施形態に係る表示装置1100の構成例を示す。表示装置1100は、テレビモニタやPCモニタ等の表示装置である。表示装置1100は、額縁1101、表示部1102及び土台1103を有する。表示部1102は、有機発光装置100を含む。土台1103は額縁1101及び表示部1102を支持する。額縁1101の下辺が土台を兼ねてもよい。また、額縁1101および表示部1102は、曲がっていてもよい。その曲率半径は、5000mm以上6000mm以下であってよい。
図11(b)は、一部の実施形態に係る表示装置1110の構成例を示す。表示装置1110は、折り曲げ可能に構成されており、いわゆるフォルダブルな表示装置である。表示装置1110は、表示部1111、表示部1112、筐体1113及び屈曲点1114を有する。表示部1111及び表示部1112は、有機発光装置100を含む。表示部1111と表示部1112とは、つなぎ目のない1枚の表示装置であってよい。表示部1111と表示部1112とは、屈曲点1114で分けられる。表示部1111及び表示部1112は、それぞれ異なる画像を表示してもよいし、連携して1つの画像を表示してもよい。
図12(a)は、一部の実施形態に係る照明装置1200の構成例を示す。照明装置1200は、筐体1201と、光源1202と、回路基板1203と、光学フィルム1204と、光拡散部1205と、を有する。光源1202は、有機発光装置100を含む。光学フィルム1204は光源1202の演色性を向上させるフィルタであってよい。光拡散部1205は、ライトアップ等、光源1202の光を効果的に拡散し、広い範囲に光を届けることができる。光学フィルム1204及び光拡散部1205は、光源1202が発する光を透過する。光学フィルム1204及び光拡散部1205は、照明の光出射側に設けられてよい。照明装置1200は最外部にカバーを有してもよい。
照明装置1200は例えば室内を照明する装置である。照明装置1200は白色、昼白色、その他青から赤のいずれの色を発光するものであってもよい。照明装置1200は、それらを調光する調光回路を有してよい。照明装置1200は電源回路を有してもよい。電源回路は、交流電圧を直流電圧に変換する回路である。また、白とは色温度が4200Kで昼白色とは色温度が5000Kである。照明装置1200はカラーフィルタを有してもよい。照明装置1200は、放熱部を有していてもよい。放熱部は装置内の熱を装置外へ放出するものであり、比熱の高い金属、液体シリコン等で形成される。
図12(b)は、一部の実施形態に係る車両として自動車1210の構成例を示す。自動車1210は、移動体の一例である。自動車1210は、灯具の一例であるテールランプ1211を有し、ブレーキ操作等に応じてテールランプ1211を点灯してもよい。テールランプ1211は、有機発光装置100を含む。テールランプ1211は、有機発光装置100を保護する保護部材を有してもよい。保護部材はある程度高い強度を有し、透明であれば材料で形成され、例えばポリカーボネート等で構成される。ポリカーボネートにフランジカルボン酸誘導体、アクリロニトリル誘導体等が混ぜられてもよい。
自動車1210は、車体1213、及びそれに取り付けられている窓1212を有してよい。窓1212は、自動車1210の前後を確認するための透明な部材であってもよいし、透明なディスプレイであってもよい。透明なディスプレイは、有機発光装置100によって構成されてもよい。この場合に、有機発光装置100が有する電極等の構成材料は透明な部材で構成される。
有機発光装置100を有する移動体は、自動車1210のほかに、船舶、航空機、ドローン等であってよい。移動体は、機体と当該機体に設けられた灯具を有してよい。灯具は、機体の位置を知らせるための発光をしてよい。灯具は有機発光装置100によって構成される。
<実施例>
上述の有機発光装置100を含む表示装置700の実施例について以下に説明する。基板101をシリコンで形成した。無機絶縁膜102を酸化シリコンで形成した。上述の例のように、電極103を、Ti層103a、TiN層103b、AlCu層103c及びTi層103dの積層構造で形成した。上述の例のように、絶縁体104を、TEOS-SiO層104a、HDP-SiO層104b及びTEOS-SiO層104cの積層構造で形成した。絶縁体104の開口の斜面の角度を65°とし、開口の径を0.7μmとし、開口の深さ(高さ)を0.12μmとした。
有機化合物膜105を、蒸着法によって、180nm厚となるように形成した。さらに、白色光を発生するように有機化合物膜105を形成した。電子注入層として、1nm厚のフッ化リチウム膜を形成した。電極106を、Agとマグネシウムを1:1の割合で共蒸着することによって、10nm厚となるように形成した。
シャドウマスクを用いて表示部701(図7)を覆うように有機化合物膜105及び電極106を形成した。電極106の形成後、別のチャンバで、SiH、N、Hガスを用いたプラズマCVD法により、表示装置700全体を覆うように、窒化シリコンからなる保護膜107を形成した。保護膜107の厚さは、1μmとした。保護膜107の特性評価を容易にするために、平坦化膜108及びそれ以降に形成される構造を形成しなかった。
表1に示される9種類の成膜条件で保護膜107のサンプルを形成した。この9種類の条件を実施例1~5及び比較例1~4と呼ぶ。表1の左の列から、高周波電源の周波数、原料ガス流入中の圧力、RFパワー、圧力/RFパワー、SiHガスの流量、Nガスの流量、Hガスの流量、電極103及び106の間の距離、基板温度、成膜速度が記載されている。圧力(Pa)/RFパワー(W)の列では、小数第4位を四捨五入している。
Figure 0007170509000004
各サンプルの保護膜107をXPSによって測定し、1個のシリコン原子に結合する窒素原子の平均個数を求めた。測定前に、窒化シリコン膜の表面を、酸化膜やコンタミネーションの除去のために、Arイオン銃を用いて10分間スパッタリングを行った。測定装置は、アルバック・ファイ社製のQuantera SXMを用いた。
また、各サンプルに対して、温度85℃、相対湿度85%の環境で3時間の保管試験(8585試験)を行った。その結果、比較例1~4については、8585試験後のサンプルを光学顕微鏡で観察したところ、表示部701の周辺に変色した領域(変色領域)が形成されていた。これは、電極106の上面の凹凸に起因して、保護膜107に低密度領域が発生したことにより、低密度領域を介して水分が有機化合物膜105に侵入し、表示部701の周辺に拡散したためである。有機発光素子113を含まないため凹凸がない領域では、水分が侵入した形跡がないため、保護膜107の高密度領域部分からの水の浸透はなかったと考えられる。
変色する理由は水分と電極106とが反応し電極106の透過率が変化するためである。表示部701に対して垂直方向の変色領域端の幅を、表示部701周辺の複数個所で測定し平均値をとったものを水分侵入距離とする。水分侵入距離が長いほど、保護膜107の低密度領域の程度が大きく、水分が侵入しやすい膜であることが分かる。
表2に、1個のシリコン原子に結合する窒素原子の平均個数と、水分侵入距離の関係とをまとめた。その結果、保護膜107における1個のシリコン原子に結合する窒素原子の平均個数が1以上1.35以下である実施例1~5では、水分侵入距離が0μmであり、保護膜107の低密度領域の形成が抑制された高い耐湿性を有する窒化シリコン膜であることが分かる。また、シリコン原子に対する窒素原子の組成比と水分侵入距離とは相関がないことが分かった。表1に示すように、圧力(Pa)/RFパワー(W)の値は、実施例1~5において何れも0.67以上であり、比較例1~4において何れも0.67未満である。そこで、圧力(Pa)/RFパワー(W)の値が0.67以上となるように保護膜107を形成してもよい。さらに、圧力(Pa)/RFパワー(W)の値は、実施例1~5において何れも0.72以上である。そこで、圧力(Pa)/RFパワー(W)の値が0.72以上となるように保護膜107を形成してもよい。
Figure 0007170509000005
また、XPSのSi2pスペクトルにおける結合エネルギー重心が100.6eV以下であれば、水分侵入距離が0μmであることが確認できた。また、1個のシリコン原子に結合する窒素原子の平均個数を、シリコン原子に対する窒素原子の組成比で割った量が1.55以下であれば、水分侵入距離が0μmであることも確認できた。
さらに、実施例1~5について、8585試験を継続した。その結果、いずれのサンプルも、ある時間が経過すると表示部701内に円形の変色部(DS)が多発するのが確認された。表示部701内にDSが50個以上多発する時間をDS出現時間とする。
表3に、1個のシリコン原子に結合する窒素原子の平均個数と、水分侵入距離の関係をまとめた。その結果、シリコン原子に結合する窒素原子の平均個数が1.25以上である実施例4~5が、実施例1~3に比べて、DS出現時間が長いことが確認された。
Figure 0007170509000006
実施例1、3、5及び比較例2の成膜条件で、透明なガラス基板上に窒化シリコン膜を1μm成膜した。各サンプルの波長450nmにおける光吸収率を測定した。測定装置は、島津製作所製分光光度計SolidSpec-3700を用いた。
表4に、1個のシリコン原子に結合する窒素原子の平均個数と、光吸収率の関係をまとめた。その結果、1個のシリコン原子に結合する窒素原子の平均個数が1.05以上の場合に、光吸収率が小さいことが確認できた。
Figure 0007170509000007
上述の実施形態では、有機発光装置(有機発光装置100又は600)を例として説明した。本発明は、有機発光装置以外の半導体装置に適用されてもよい。このような半導体装置は、基板の上に配置されている半導体素子を備える。上述の有機発光装置(すなわち、有機発光装置100又は600)の有機発光素子113は半導体装置が備える半導体素子の一例である。上述の有機発光装置と同様に、半導体装置は、半導体素子の上に、シリコン原子と窒素原子とを含有する保護膜を備える。保護膜の下面は凹凸を有する。この凹凸に起因する低密度領域の発生を抑制するために、半導体装置の保護膜は上述の保護膜107と同様の構成を有する。上述の実施形態では、保護膜の下面が凹凸を有する場合について説明した。保護膜の下面が凹凸を有していない場合であっても、保護膜が上述の特徴を有することによって、保護膜における低密度領域の発生を抑制できる。
100 有機発光装置、101 基板、105 有機化合物膜、107 保護膜

Claims (14)

  1. 半導体素子と、
    前記半導体素子の上に配置され、シリコン原子と窒素原子とを含有する保護膜と、を有する半導体装置であって、
    前記保護膜において1個のシリコン原子に結合する窒素原子の平均個数が1.25以上かつ1.35以下であることを特徴とする半導体装置。
  2. 前記保護膜のX線光電子分光法におけるSi2pスペクトルの結合エネルギーの重心が100.2eV以上100.6eV以下であることを特徴とする請求項に記載の半導体装置。
  3. 前記保護膜において、1個のシリコン原子に結合する窒素原子の平均個数を、シリコン原子に対する窒素原子の組成比で割った量が、1.2以上1.55以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
  4. 記保護膜のX線光電子分光法におけるSi2pスペクトルの結合エネルギーの重心が100.2eV以上100.6eV以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置。
  5. 前記保護膜は、第1保護膜であり、
    前記半導体装置は、前記第1保護膜の上に配置された第2保護膜をさらに有し、
    前記第2保護膜は、酸化アルミニウムを含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の半導体装置。
  6. 前記保護膜の下面は凹凸を有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の半導体装置。
  7. 前記半導体素子は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極の間に配置された有機化合物膜とを有する有機発光素子であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の半導体装置。
  8. 請求項に記載の半導体装置と、
    前記半導体装置の前記有機発光素子を駆動するための駆動回路と、を有することを特徴とする表示装置。
  9. 光を電気信号に変換する光電変換素子と、
    前記光電変換素子によって得られた電気信号に基づく画像を表示する表示部と、を有し、
    前記表示部は、請求項に記載の半導体装置を含むことを特徴とする光電変換装置。
  10. 請求項に記載の半導体装置を含む表示部と、
    前記表示部が設けられた筐体と、
    前記筐体に設けられ、外部の装置と通信する通信部と、
    を有することを特徴とする電子機器。
  11. 請求項に記載の半導体装置を含む光源と、
    前記光源が発する光を透過する光拡散部又は光学フィルムと、
    を有することを特徴とする照明装置。
  12. 請求項に記載の半導体装置を含む灯具と、
    前記灯具が設けられた機体と、
    を有することを特徴とする移動体。
  13. 半導体装置の製造方法であって、
    半導体素子の上に、シリコン原子と窒素原子とを含有する保護膜を形成する工程を有し、
    前記保護膜において1個のシリコン原子に結合する窒素原子の平均個数が1.25以上かつ1.35以下であることを特徴とする製造方法。
  14. 前記保護膜のX線光電子分光法におけるSi2pスペクトルの結合エネルギーの重心が100.2eV以上100.6eV以下であることと、
    前記保護膜において、1個のシリコン原子に結合する窒素原子の平均個数を、シリコン原子に対する窒素原子の組成比で割った量が、1.2以上1.55以下であることと、
    前記保護膜を形成する工程において、圧力(Pa)/RFパワー(W)の値が0.72以上であることと、
    のうちの少なくとも1つを満たすことを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
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