JP2023164291A - 発光装置及びその製造方法、表示装置、光電変換装置、電子機器、照明装置、並びに移動体 - Google Patents

発光装置及びその製造方法、表示装置、光電変換装置、電子機器、照明装置、並びに移動体 Download PDF

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宜瑛 田口
Yoshiaki Taguchi
幸司 石津谷
Koji Ishizuya
雅彦 曽根
Masahiko Sone
彰宜 馬飼野
Akinobu Makaino
敏弘 庄山
Toshihiro Shoyama
健太郎 鈴木
Kentaro Suzuki
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Abstract

【課題】発光装置の発光効率を向上するための技術を提供する。【解決手段】発光装置は、複数の第1電極と、複数の第1電極の上に位置し、発光層を含む有機層と、有機層の上に位置する第2電極と、複数の第1電極を互いに分離する絶縁層と、を備える。複数の第1電極のそれぞれの上面は、有機層に接する内側領域と、絶縁層に接する外側領域とを含む。絶縁層は、内側領域を画定する開口と、開口から離れ且つ外側領域に重なる位置にある段差と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、発光装置及びその製造方法、表示装置、光電変換装置、電子機器、照明装置、並びに移動体に関する。
近年、有機EL素子を用いた表示装置の画素の高密度化が進んでいる。これにともない、複数の画素に対して共通に設けられた有機層を通じて画素間にわたるリーク電流が発生しやすくなっている。リーク電流が発生すると、発光画素からの影響で非発光画素がわずかに発光してしまい、混色や発光効率低下の原因となる。特許文献1は、画素間にわたるリーク電流を軽減するために、有機EL素子のアノード電極同士を分離する絶縁層に溝を形成することによって、低抵抗な有機層の膜厚を溝の内部で薄くすることを提案する。
特開2012-216338号公報
特許文献1のように画素の間の位置で絶縁層に溝を形成する方法では、低抵抗な有機層を通じて溝の付近まで電流が流れる。この電流によって、有機層のうちアノード電極に接触している部分だけでなく、その周辺まで発光してしまう。光の干渉効果により発光強度を強める構造を有する発光装置では、発光部分の広がりが大きいと、発光効率が低下してしまう恐れがある。本発明の一部の側面は、発光装置の発光効率を向上するための技術を提供することを目的とする。
上記課題に鑑みて、発光装置であって、複数の第1電極と、前記複数の第1電極の上に位置し、発光層を含む有機層と、前記有機層の上に位置する第2電極と、前記複数の第1電極を互いに分離する絶縁層と、を備え、前記複数の第1電極のそれぞれの上面は、前記有機層に接する内側領域と、前記絶縁層に接する外側領域とを含み、前記絶縁層は、前記内側領域を画定する開口と、前記開口から離れ且つ前記外側領域に重なる位置にある段差と、を有することを特徴とする発光装置が提供される。
上記手段により、発光装置の発光効率が向上する。
第1実施形態の発光装置の構成例を説明する断面図。 第1実施形態の発光装置の構成例を説明する拡大図。 第1実施形態の発光装置の構成例を説明する平面図。 第1実施形態の発光装置の発光強度を説明する図。 第1実施形態の発光装置の製造方法例を説明する断面図。 第1実施形態の低抵抗層の蒸着方法例を説明する模式図。 第1実施形態の変形例の発光装置の製造方法例を説明する断面図。 第1実施形態の変形例の発光装置の製造方法例を説明する断面図。 第2実施形態の発光装置の構成例を説明する断面図。 第3実施形態及び第4実施形態の発光装置の構成例を説明する断面図。 第5実施形態の発光装置の構成例を説明する断面図。 上記実施形態の発光装置を用いた表示装置の一例を示す図。 上記実施形態の発光装置を用いた光電変換装置及び電子機器の一例を示す図。 上記実施形態の発光装置を用いた表示装置の一例を示す図。 上記実施形態の発光装置を用いた照明装置及び移動体の一例を示す図。 上記実施形態の発光装置を用いたウェアラブルデバイスの一例を示す図。
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
<第1実施形態>
図1~図3を参照して、第1実施形態に係る発光装置100の構成例について説明する。図1は、発光回路101を通る平面における発光装置100の断面模式図を示す。発光装置100は、複数の発光回路101を有する。発光装置100が表示装置に使用される場合に、複数の発光回路101のそれぞれは画素として機能してもよい。複数の発光回路101のうちの1つの発光回路101についての以下の説明は、複数の発光回路101のそれぞれの発光回路101に同様に適用されてもよい。
発光装置100は、基板102と、基板102の上に形成された様々な構成要素とを有する。基板102は、トランジスタ103を含む。複数の発光回路101のそれぞれが個別のトランジスタ103を含んでもよい。発光装置100は、基板102の上に絶縁層104を有する。絶縁層104の上面は平坦化されている。発光装置100は、絶縁層104の内部に、導電パターン105及び106を有する。導電パターン105は、基板102に形成された回路素子(例えば、トランジスタ103)とコンタクトプラグによって接続されている。導電パターン106は、導電パターン105とコンタクトプラグによって接続されている。基板102に形成された回路素子(例えば、トランジスタ103)と、導電パターン105及び106と、これらを接続するコンタクトプラグとによって、後述する発光素子を駆動するための駆動回路107が構成される。
発光装置100は、絶縁層104の上に絶縁層108を有する。絶縁層108の上面は平坦化されている。発光装置100は、絶縁層108の内部にコンタクトプラグ109を有する。コンタクトプラグ109は絶縁層108を貫通し、導電パターン106と、後述する下部電極110とを接続する。
発光装置100は、絶縁層108の上に複数の下部電極110を有する。複数の下部電極110は互いに分離されている。複数の発光回路101のそれぞれが個別の下部電極110を含んでもよい。複数の下部電極110の上面は平坦である。発光装置100は、複数の下部電極110の上に有機層112を有する。有機層112は、複数の発光回路101にわたって配置されている。発光装置100は、有機層112の上に上部電極113を有する。上部電極113は、複数の発光回路101にわたって配置されている。発光装置100は、絶縁層108と有機層112との間に絶縁層111を有する。
絶縁層111は、複数の下部電極110を互いに分離する。絶縁層111は、絶縁層108のうち複数の下部電極110で覆われていない部分と、複数の下部電極110のそれぞれの側面と、複数の下部電極110のそれぞれの上面の一部とに接触している。絶縁層111には、個別の下部電極110に重なる位置に開口117が形成されている。開口117を通じて有機層112は個別の下部電極110の上面の一部に接触している。さらに、絶縁層111には溝118が形成されている。溝118の詳細については後述する。
個別の下部電極110と、有機層112と、上部電極113とによって、発光素子が構成される。この発光素子は、有機層112を含むため、有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)素子と呼ばれうる。個別の下部電極110は、発光素子のアノードとして機能しうる。上部電極113は、発光素子のカソードとして機能しうる。1つの有機層112及び1つの上部電極113が複数の発光素子で共通に使用される。
発光装置100は、上部電極113の上に防湿層114を有する。防湿層114は、複数の発光回路101にわたって配置されている。発光装置100は、防湿層114の上に平坦化層115を有する。平坦化層115は、複数の発光回路101にわたって配置されている。平坦化層115の上面は平坦化されている。発光装置100は、平坦化層115の上に複数のカラーフィルタ116を有する。複数の発光回路101のそれぞれが個別のカラーフィルタ116を含んでもよい。複数の発光回路101の発光素子は、いずれも白色光を発するように構成されてもよい。この白色光がカラーフィルタ116を透過することにより、赤色、緑色、青色の各色に分離されて出射される。
図2を参照して、溝118を詳細に説明する。図2は、図1の破線119で囲まれた部分の拡大図である。本実施形態の有機層112は、低抵抗層201と、発光層202とを含む積層構造を有する。低抵抗層201及び発光層202はそれぞれ、有機材料で形成される。低抵抗層201及び発光層202はそれぞれ、複数の発光回路101にわたって配置されている。低抵抗層201は、発光層202と複数の下部電極110との間に位置する。低抵抗層201の抵抗値は、発光層202の抵抗値よりも低い。低抵抗層201は、正孔注入層、正孔輸送層又は電荷生成層であってもよいし、これらの層の組み合わせであってもよい。発光層202は、発光層202を電流が流れることに応じて発光する。図2の例では、有機層112が低抵抗層201及び発光層202を1層ずつ有する。これに代えて、有機層112は、複数の発光色のそれぞれについて発光層を含み、白色光を発するように構成されてもよい。
個別の下部電極110の上面は、内側領域203と、外側領域204とを含む。外側領域204は、内側領域203の外側に位置する。内側領域203は、外側領域204によって全周的に取り囲まれてもよい。内側領域203は、絶縁層111の開口117によって画定される。言い換えると、個別の下部電極110の上面のうち、絶縁層111によって覆われていない部分(開口117と重なる部分)が内側領域203となる。内側領域203は、有機層112(具体的に、その低抵抗層201)に接する。外側領域204は、絶縁層111に接する。
溝118は、開口117から離れ且つ外側領域204の平坦な部分に重なる位置にある。溝118によって、段差206及び207が形成されている。段差とは、基準となる平面(例えば、外側領域204の平坦な部分)からの高さが異なる2つの平坦な部分と、これらの2つの部分を連結する部分とによって形成される構造のことであってもよい。段差206及び207は、開口117に面した段差205とは異なる段差である。溝118は、下部電極110に到達していない。すなわち、溝118の底面は絶縁層111の一部によって構成される。段差206及び207の斜面(すなわち、溝118の側壁)の傾斜は、段差205の斜面(すなわち、開口117に面した側壁)の傾斜よりも急であってもよい。
有機層112は、溝118に入り込んでいる。後述するように、低抵抗層201を蒸着によって形成すると、溝118の内部で低抵抗層201の厚さが薄くなったり、さらには途切れたりする。言い換えると、溝118の底と発光層202との間の距離が、溝118の周辺と発光層202との間の距離よりも小さくなる。図2の例では、溝118の内部で低抵抗層201が途切れている。このように低抵抗層201の厚さが薄くなると、その部分で抵抗値が高くなる。その結果、個別の下部電極110から低抵抗層201に流れる電流が、溝118を超えて流れにくくなる。これによって、溝118の外側(すなわち、内側領域203から遠い側)における発光層202の発光量を低減できる。また、互いに隣接する発光回路101間のリーク電流も低減できる。
図3を参照して、発光装置100の平面図について説明する。具体的に、図3は、基板102の主面(絶縁層104等が形成された面)に対する平面視におけるコンタクトプラグ109、下部電極110及び溝118の配置を示す。基板102の主面と内側領域203とは平行であるため、基板102の主面に対する平面視は、内側領域203に対する平面視と一致する。
上述のように、下部電極110の上面は、内側領域203及び外側領域204を有する。図3の例で、溝118は、内側領域203に対する平面視において内側領域203を全周的に取り囲む。これによって、内側領域203からすべての方向に対して溝118を超えて流れる電流を低減できる。これに代えて、溝118は複数の部分に分離され、内側領域203に対する平面視において内側領域203を部分的に取り囲んでもよい。この場合であっても、溝118が位置する方向において、溝118を超えて流れる電流を低減できる。
内側領域203の面積は、外側領域204の面積よりも小さくてもよい。このように外側領域204の面積が相対的に大きい場合に、内側領域203から下部電極110の外側までの距離が長くなる。そのため、外側領域204に重なる位置に溝118を形成することによって、低抵抗層201を流れる電流の範囲を狭くできる。また、溝118は、内側領域203に対する平面視において、コンタクトプラグ109と内側領域203との間に位置してもよい。このように溝118を内側領域203の近くに配置することによって、低抵抗層201を流れる電流の範囲を狭くできる。これに代えて、溝118は、コンタクトプラグ109に重なる位置にあってもよいし、コンタクトプラグ109の外側に位置してもよい。
溝118は、溝118の内部で低抵抗層201の厚さを低減できるようなアスペクト比を有する。アスペクト比とは、溝118の幅W1に対する溝118の深さD1の比率(D1/W1)のことである。溝118の幅W1とは、溝118が伸びる方向に直交する断面(例えば、図2に示す断面)における2つの側壁間の距離のことであってもよい。2つの側壁間の距離が溝118の深さによって異なる場合に、溝118の幅W1は、中間の深さにおける2つの側壁間の距離であってもよいし、複数の深さにおける2つの側壁間の距離の平均であってもよい。溝118の深さD1とは、基準となる平面(例えば、基板102の主面)に直交する方向における溝118の底と溝118の周囲の部分との間の距離のことであってもよい。溝118の周囲の部分の高さが溝118の両側で異なる場合に、溝118の深さD1は、それぞれの側における深さの平均であってもよい。
溝118のアスペクト比は、例えば0.02以上20以下であってよい。より好ましくは0.3以上20以下であってもよい。言い換えると、溝118の深さD1は、溝118の幅W1の0.02倍以上20倍以下であってもよく、より好ましくは、0.3倍以上20倍以下であってもよい。さらに、溝118のアスペクト比は、1以上であってもよい。このようなアスペクト比にするために、溝118の深さD1は、例えば10nm~200nmの範囲であってもよく、溝118の幅W1は、例えば10nm~500nmの範囲であってもよい。また、溝118の幅W1は、低抵抗層201の膜厚よりも大きくてもよい。
溝118は、上部電極113が局所的に高抵抗化することを抑制できるようなアスペクト比を有してもよい。例えば、溝118のアスペクト比は、1以上であってもよい。これにより、例えばシェーディング(すなわち、上部電極113の面内での電圧降下による輝度のムラ)などの表示性能の低下を抑制できる。
溝118の幅W1及び深さD1は、溝118の位置によって異なってもよい。例えば、溝118の幅W1及び深さD1は、発光領域における発光素子の形状や配列、上部電極113の抵抗分布などに基づいて選択されてもよい。また、異なる発光色の発光回路間においてリーク電流による発光特性の低下(混色による色再現範囲の低下)を抑制するため、異なる発光色の発光回路間で、溝118のアスペクト比を相対的に高くしてもよい。
図4を参照して、溝118の位置による発光回路101の発光強度の違いについて説明する。図4の各グラフの横軸は発光波長を示し、縦軸は発光回路101から発光される光の強度を示す。図4では、溝118と内側領域203との距離を3通りに切り替え、それ以外は同じ条件で行った実験結果を示す。グラフ301は、溝118と内側領域203との距離が最も大きい場合の結果を示す。グラフ303は、溝118と内側領域203との距離が最も小さい場合の結果を示す。グラフ302は、溝118と内側領域203との距離がこれらの中間の場合の結果を示す。図4の結果から見て取れるように、溝118と内側領域203との距離が小さいほど、発光強度が大きくなる。そのため、本実施形態のように、上部電極113に重なる位置に絶縁層111が溝118を有することによって、発光回路101の発光効率を向上できる。
図5を参照して、発光装置100の製造方法の一例について説明する。図5では、発光装置100の製造途中の状態を、図1と同じ位置における断面図で示す。まず、基板102及び絶縁層104に駆動回路107を形成する。駆動回路107は既存のMOS(metal oxide semiconductor)プロセスで形成されてもよいため、詳細な説明を省略する。図5の各図では、基板102及び絶縁層104を省略する。
図5(a)に示されるように、絶縁層104の上に、コンタクトプラグ109を含む絶縁層108を形成し、その上に複数の下部電極110を形成する。例えば、絶縁層108は、例えばプラズマ化学気相成長(CVD)法、高密度プラズマ法やそれらの製法を組み合わせることにより、例えば酸化膜(SiOx)、酸窒化膜(SiON)などの絶縁膜を成膜することによって形成されてもよい。絶縁層108の表面は、成膜された後に、化学的機械研磨(CMP)法により平坦化されてもよい。絶縁層108の所定の位置に、フォトリソグラフィ法及びドライエッチング法により複数の開口が形成される。各開口に、例えばタングステン(W)が配され、CMP法あるいはエッチバック法によって余分な部分が除去され、残った部分がコンタクトプラグ109となる。
その後、絶縁層108の上に、例えばスパッタリング法により、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、アルミ合金、及びチタン(Ti)からなる積層金属膜を成膜する。次に、フォトリソグラフィ法と、ドライエッチング法又はウエットエッチング法とを用いてこの積層金属膜を所定の形状にパターニングすることによって、複数の下部電極110が形成される。
その後、図5(b)に示されるように、複数の下部電極110の上に、プラズマCVD法により、例えば酸化膜(SiOx)、酸窒化膜(SiON)、窒化ケイ素膜(SiNx)などの絶縁層を成膜することによって、絶縁層111を形成する。絶縁層111の膜厚は、例えば1nm~500nmであってもよい。絶縁層111の成膜方法は上記に限定されるものではなく、絶縁層を形成する任意の方法であってもよい。例えば、上記以外の製造方法として、高密度プラズマCVD法、原子層堆積(ALD)法、スパッタ法等、又は塗布材料をスピンコートやスリットコート法などがある。絶縁層111は、複数の層を積層することによって形成されてもよい。複数の層は、いずれも同一材料であってもよいし、異なる材料の層が混在してもよい。
続いて、図5(c)に示されるように、絶縁層111を、フォトリソグラフィ法と、ドライエッチング法又はウエットエッチング法とを用いて所定の形状にパターニングすることによって、溝118を形成する。溝118は、個別の下部電極110の外側領域204に重なる位置に形成される。さらに、図5(d)に示されるように、絶縁層111を、フォトリソグラフィ法と、ドライエッチング法又はウエットエッチング法とを用いて所定の形状にパターニングすることによって、開口117を形成する。開口117は、個別の下部電極110の内側領域203に重なる位置に形成される。開口117の形成とともに、後工程で形成する上部電極113を下部電極110と同層の金属層に接続するための開口部も形成してもよい。溝118は、開口117の後に形成されてもよい。続いて、下部電極110及び絶縁層111の表面を洗浄することによって、この表面から異物を除去する。このような洗浄工程後に、脱水処理を実施して基板表面の水分を除去する。
続いて、図5(e)に示されるように、溝118及び開口117が形成された絶縁層111の上に、発光層202を含む有機層112を形成する。上述のように、有機層112は、低抵抗層201を含んでもよい。低抵抗層201は、正孔注入層、正孔輸送層又は電荷生成層並びにこれらの組み合わせであってもよい。低抵抗層201及び発光層202は、例えば真空蒸着法により、有機材料を蒸着することによって形成されてもよい。発光層202の上に、電子輸送層がさらに形成されてもよい。真空蒸着法としては、例えば、回転蒸着法、ライン型蒸着法、又は転写型蒸着法などが使用されてもよい。
その後、引き続き減圧雰囲気から大気に開放することなく、真空蒸着法によって有機層112の上に上部電極113を形成する。続いて、例えばプラズマCVD法、スパッタ法、ALD法など、又はそれらを組み合わせて上部電極113を被覆するように防湿層114を成膜する。防湿層114の成膜温度は、有機層112を構成する有機材料の分解温度以下、例えば120℃以下であってもよい。続いて、防湿層114の上に、密着性向上のための平坦化層115を形成する。続いて、平坦化層115の上に、例えば赤色フィルタの材料を塗布し、フォトリソグラフィによりパターニングすることによって、赤色フィルタを形成する。同様にして、緑色フィルタ及び青色フィルタを順次形成することで、カラーフィルタ116を形成する。続いて、発光装置100における端子取り出し用パッド部を、フォトリソグラフィ法及びドライエッチング法により、所定の形状にパターニングして形成する。以上によって、図1の発光装置100が製造される。
図6を参照して、低抵抗層201の蒸着方法について説明する。低抵抗層201を形成するための有機材料が蒸着源600から絶縁層111の表面に向かって放出される。低抵抗層201を形成する際に、絶縁層111の表面に直交する方向601と、有機材料が溝118に向かう軌跡602とのなす角θは、0度より大きくなるように設定される。真空蒸着では、蒸着源600から蒸発する有機物が溝118へ向かう軌跡602がほぼ直線状となる。このため、溝118の内部ではシャドーウィングが生じて、低抵抗層201の膜厚にばらつきが生じる。具体的に、溝118の内部において、低抵抗層201の膜厚が薄くなり、場合によっては膜厚がゼロとなる(すなわち、低抵抗層201が途切れる)。このようにして、図2に示される形状の低抵抗層201が形成される。
図7を参照して、絶縁層111の形成方法の変形例について説明する。この変形例では、図5(b)~図5(d)の工程に代えて、図7(a)~図7(c)の工程が実行される。それ以外は上述の実施形態と同様であってもよい。
図7(a)に示されるように、複数の下部電極110の上に、絶縁層701と絶縁層702とを含む積層構造の絶縁層111を形成する。具体的に、まず、複数の下部電極110の上に、プラズマCVD法により、例えば酸化膜(SiOx)、酸窒化膜(SiON)、窒化ケイ素膜(SiNx)などの絶縁層を成膜することによって、絶縁層701を形成する。絶縁層701の膜厚は、例えば1nm~50nmであってもよい。その後、絶縁層701の上に、プラズマCVD法により、例えば酸化膜(SiOx)、酸窒化膜(SiON)、窒化ケイ素膜(SiNx)などの絶縁層を成膜することによって、絶縁層702を生成する。絶縁層702の膜厚は、例えば10nm~500nmであってもよい。絶縁層702は、絶縁層701とは異なる材料である。例えば、絶縁層701は窒化ケイ素膜(SiNx)であってもよく、絶縁層702は酸化膜(SiOx)であってもよい。
絶縁層701及び702の成膜方法は上記に限定されるものではなく、絶縁層を形成する任意の方法であってもよい。例えば、上記以外の製造方法として、高密度プラズマCVD法、原子層堆積(ALD)法、スパッタ法等、又は塗布材料をスピンコートやスリットコート法などがある。
絶縁層701は、複数の層を積層して形成されてもよい。例えば、酸化膜(SiOx)を成膜したあと、窒化ケイ素膜(SiNx)を成膜することによって絶縁層701が形成されてもよい。下部電極110がITO(酸化インジウムスズ)で形成される場合、シランガスをもちいたCVD法による窒化ケイ素膜(SiNx)は均一に成膜できないことがある。そこで、酸化膜(SiOx)を成膜したのち、窒化ケイ素膜(SiNx)を積層することによって、ITOの下部電極110の上に絶縁層701を形成してもよい。
続いて、図7(b)に示されるように、絶縁層111を、フォトリソグラフィ法と、ドライエッチング法又はウエットエッチング法とを用いて所定の形状にパターニングすることによって、溝118を形成する。溝118は、個別の下部電極110の外側領域204に重なる位置に形成される。このエッチングにおいて、絶縁層701がエッチング停止層として機能する。したがって、溝118は、絶縁層702を貫通し、絶縁層701に到達する。絶縁層701は、溝118の底となる。絶縁層701がエッチング停止層として機能することによって、溝118の複数の位置における深さのばらつきが低減されるため、リーク電流の低減の効果を均一にできる。
さらに、図7(c)に示されるように、絶縁層111を、フォトリソグラフィ法と、ドライエッチング法又はウエットエッチング法とを用いて所定の形状にパターニングすることによって、開口117を形成する。開口117は、個別の下部電極110の内側領域203に重なる位置に形成される。溝118は、開口117の後に形成されてもよい。開口117のうち、絶縁層701の部分と絶縁層702の部分とは互いに異なるテーパー角を有していてもよい。
図8を参照して、絶縁層111の形成方法の別の変形例について説明する。この変形例では、図5(b)~図5(c)の工程に代えて、図8(a)~図8(c)の工程が実行される。それ以外は上述の実施形態と同様であってもよい。
図8(a)に示されるように、複数の下部電極110の上に、絶縁層801を形成する。具体的に、複数の下部電極110の上に、プラズマCVD法により、例えば酸化膜(SiOx)、酸窒化膜(SiON)、窒化ケイ素膜(SiNx)などの絶縁層を成膜することによって、絶縁層801を形成する。
続いて、図8(b)に示されるように、絶縁層801を、フォトリソグラフィ法と、ドライエッチング法又はウエットエッチング法とを用いて所定の形状にパターニングすることによって、溝802を形成する。溝802は、個別の下部電極110の外側領域204に重なる位置に形成される。
続いて、図8(c)に示されるように、絶縁層801の上に、絶縁層803を形成する。具体的に、絶縁層801の上に、プラズマCVD法により、例えば酸化膜(SiOx)、酸窒化膜(SiON)、窒化ケイ素膜(SiNx)などの絶縁層を成膜することによって、絶縁層803を形成する。絶縁層803の一部は溝802の内部に入り込み、溝118が形成される。絶縁層801と絶縁層803とを合わせたものが絶縁層111となる。このように溝802を形成した後にさらに絶縁層803を成膜することによって、溝802よりもアスペクト比が高い溝118を形成できる。
絶縁層801及び803の成膜方法は上記に限定されるものではなく、絶縁層を形成する任意の方法であってもよい。例えば、上記以外の製造方法として、高密度プラズマCVD法、原子層堆積(ALD)法、スパッタ法等、又は塗布材料をスピンコートやスリットコート法などがある。
<第2実施形態>
図9を参照して、第2実施形態に係る発光装置900の構成例について説明する。以下の説明では、第1実施形態との相違点について説明し、第1実施形態との共通点については説明を省略する。第2実施形態においても、第1実施形態で説明した変形例を適用可能である。図9(a)は、図1と同じ位置における発光装置900の断面図を示す。
発光装置900は、発光装置100の構成要素に加えて、反射層901及び絶縁層902をさらに有する。反射層901は、個別の下部電極110の下に位置する。反射層901は、例えば金属である。発光装置900の下部電極110は透過性を有する。有機層112で発生し、下部電極110を透過した光は、反射層901で反射し、再び下部電極110を通って発光装置900の外部に射出される。これによって、発光装置900から射出される光を強めることができる。反射層901と下部電極110との距離は、光を強め合う光路長となるように設定される。
反射層901と下部電極110との間に絶縁層902が配置されている。下部電極110の内側領域203に対する平面視において、下部電極110の一部は、反射層901に接合する。溝118は、内側領域203に対する平面視において、下部電極110が反射層901に接合する部分と、内側領域203との間に位置する。
下部電極110の外側領域204は、反射層901の上面の形状に従って、内側から外側に向かって高くなる段差903を有する。溝118は、外側領域204のうち、段差903よりも外側の平坦な部分に重なる位置にある。
図9(b)を参照して、発光装置900の変形例について説明する。この変形例で、溝118は、下部電極110が反射層901に接合する部分に重なる位置にある。この位置の溝118を形成するためのフォトリソグラフィでは、段差の影響を低減させ、フォーカス深度を改善するために、多層レジストプロセスが用いられてもよい。
図9(c)を参照して、発光装置900の別の変形例について説明する。この変形例で、溝118は、外側領域204のうち、段差903よりも内側の平坦な部分に重なる位置にある。これによって、溝118を内側領域203に近づけることができる。
<第3実施形態>
図10(a)を参照して、第3実施形態に係る発光装置1000の構成例について説明する。以下の説明では、第1実施形態との相違点について説明し、第1実施形態との共通点については説明を省略する。第3実施形態においても、第1実施形態で説明した変形例を適用可能である。また、第1実施形態と第3実施形態との相違点を、第2実施形態に適用することも可能である。図10(a)は、図1と同じ位置における発光装置1000の断面図を示す。
発光装置1000は、絶縁層111が溝118の代わりに凸部1001を有する点で発光装置100とは異なる。凸部1001は、開口117から離れ且つ外側領域204の平坦な部分に重なる位置にある。凸部1001によって、2つの段差(すなわち、内側領域203に近い方の段差と、内側領域203から遠い方の段差)が形成されている。
このような凸部1001の有する絶縁層111の上に低抵抗層201を蒸着によって形成する場合に、凸部1001の側壁を覆う部分の低抵抗層201の厚さは、凸部1001の周囲及び凸部1001の上部を覆う部分の低抵抗層201の厚さよりも薄くなる。その結果、第1実施形態と同様に、凸部1001を超えて流れるリーク電流を低減できる。図3で説明した溝118と同様に、凸部1001は、内側領域203に対する平面視において内側領域203を全周的に取り囲んでもよい。凸部1001は、溝118と同様に、絶縁層111をパターニングすることによって形成されてもよい。
<第4実施形態>
図10(b)を参照して、第4実施形態に係る発光装置1050の構成例について説明する。以下の説明では、第1実施形態との相違点について説明し、第1実施形態との共通点については説明を省略する。第4実施形態においても、第1実施形態で説明した変形例を適用可能である。また、第1実施形態と第4実施形態との相違点を、第2実施形態に適用することも可能である。図10(b)は、図1と同じ位置における発光装置1050の断面図を示す。
発光装置1050は、絶縁層111が溝118の代わりに段差1051を有する点で発光装置100とは異なる。段差1051は、開口117から離れ且つ外側領域204の平坦な部分に重なる位置にある。
このような段差1051の有する絶縁層111の上に低抵抗層201を蒸着によって形成する場合に、段差1051の側壁を覆う部分の低抵抗層201の厚さは、段差1051の周囲を覆う部分の低抵抗層201の厚さよりも薄くなる。その結果、第1実施形態と同様に、段差1051を超えて流れるリーク電流を低減できる。図3で説明した溝118と同様に、段差1051は、内側領域203に対する平面視において内側領域203を全周的に取り囲んでもよい。段差1051は、溝118と同様に、絶縁層111をパターニングすることによって形成されてもよい。
<第5実施形態>
図11を参照して、第5実施形態に係る発光装置1100の構成例について説明する。以下の説明では、第1実施形態との相違点について説明し、第1実施形態との共通点については説明を省略する。第5実施形態においても、第1実施形態で説明した変形例を適用可能である。また、第1実施形態と第5実施形態との相違点を、第2実施形態から第4実施形態のいずれにも適用可能である。図11(a)は、図1と同じ位置における発光装置1100の断面図を示す。
発光装置1100は、上部電極113の上に複数のマイクロレンズ1101をさらに有する点で発光装置100とは異なり、他の点は同様であってもよい。マイクロレンズ1101は透光性を有する。複数の発光回路101のそれぞれに個別のマイクロレンズ1101が形成されている。マイクロレンズ1101は、カラーフィルタ116から上方に突出する。マイクロレンズ1101は、凸面である。マイクロレンズは、球面レンズであってもよいし、非球面レンズであってもよい。マイクロレンズ1101の構成材料は、透光性及び絶縁性を有する材料であってもよい。例えば、マイクロレンズ1101の構成材料は、酸化シリコン等のケイ素系の無機材料、又はアクリル樹脂等の樹脂材料等であってもよい。
図11(b)を参照して、発光装置1100の平面図について説明する。具体的に、図11(b)は、基板102の主面に対する平面視におけるコンタクトプラグ109、下部電極110、溝118及びマイクロレンズ1101の配置を示す。
マイクロレンズ1101の平面視での形状は、特に限定されないが、図11(b)の例では円形である。1つのマイクロレンズ1101は、1つの下部電極110に対応して配置される。また、マイクロレンズ1101は、平面視で内側領域203の全体と重なる。これに代えて、マイクロレンズ1101は、内側領域203の一部のみと重なってもよい。基板102の主面に対する平面視において、マイクロレンズ1101の面積は、内側領域203の面積よりも大きい。これに代えて、マイクロレンズ1101の面積は、内側領域203の面積と同じ、又はこれよりも小さくてもよい。
図11(b)の例で、絶縁層111の溝118は、マイクロレンズ1101に重なる位置にある。これに代えて、絶縁層111の溝118は、マイクロレンズ1101に部分的に重なる位置にあってもよいし、重ならない位置にあってよい。複数のマイクロレンズ1101の大きさは、互いに異なっていてもよい。溝118の内側にある内側領域203における発光がマイクロレンズ1101に入射できるように設計することによって、混色を抑えつつ、マイクロレンズ1101によって視野角特性を改善できる。
上述の実施形態では、有機層112が低抵抗層201を含んでおり、溝118、凸部1001、又は段差1051を有する絶縁層111の上に低抵抗層201を形成することによって、低抵抗層201の厚さを低減する。これに代えて、有機層112は、低抵抗層201を含まなくてもよい。この場合に、発光層202が下部電極110の内側領域203及び絶縁層111に接してもよい。このような構成であっても、溝118、凸部1001、又は段差1051を有する絶縁層111の上に発光層202を形成することによって、発光層202を部分的に薄くすることができ、その結果、リーク電流が低減する。
[有機発光素子の構成]
有機発光素子は、基板の上に、絶縁層、第1電極、有機化合物層、第2電極を形成して設けられる。陰極の上には、保護層、カラーフィルタ、マイクロレンズ等を設けてよい。カラーフィルタを設ける場合は、保護層との間に平坦化層を設けてよい。平坦化層はアクリル樹脂等で構成することができる。カラーフィルタとマイクロレンズとの間において、平坦化層を設ける場合も同様である。
[基板]
基板は、石英、ガラス、シリコンウエハ、樹脂、金属等が挙げられる。また、基板上には、トランジスタなどのスイッチング素子や配線を備え、その上に絶縁層を備えてもよい。絶縁層としては、第1電極との間に配線が形成可能なように、コンタクトホールを形成可能で、かつ接続しない配線との絶縁を確保できれば、材料は問わない。例えば、ポリイミド等の樹脂、酸化シリコン、窒化シリコンなどを用いることができる。
[電極]
電極は、一対の電極を用いることができる。一対の電極は、陽極と陰極であってよい。有機発光素子が発光する方向に電界を印加する場合に、電位が高い電極が陽極であり、他方が陰極である。また、発光層にホールを供給する電極が陽極であり、電子を供給する電極が陰極であるということもできる。
陽極の構成材料としては仕事関数がなるべく大きいものが良い。例えば、金、白金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム、タングステン、等の金属単体やこれらを含む混合物、あるいはこれらを組み合わせた合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム等の金属酸化物が使用できる。またポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性ポリマーも使用できる。
これらの電極物質は一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用して使用してもよい。また、陽極は一層で構成されていてもよく、複数の層で構成されていてもよい。
反射電極として用いる場合には、例えばクロム、アルミニウム、銀、チタン、タングステン、モリブデン、又はこれらの合金、積層したものなどを用いることができる。上記の材料にて、電極としての役割を有さない、反射膜として機能することも可能である。また、透明電極として用いる場合には、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛などの酸化物透明導電層などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。電極の形成には、フォトリソグラフィ技術を用いることができる。
一方、陰極の構成材料としては仕事関数の小さなものがよい。例えばリチウム等のアルカリ金属、カルシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム、チタニウム、マンガン、銀、鉛、クロム等の金属単体またはこれらを含む混合物が挙げられる。あるいはこれら金属単体を組み合わせた合金も使用することができる。例えばマグネシウム-銀、アルミニウム-リチウム、アルミニウム-マグネシウム、銀-銅、亜鉛-銀等が使用できる。酸化錫インジウム(ITO)等の金属酸化物の利用も可能である。これらの電極物質は一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用して使用してもよい。また陰極は一層構成でもよく、多層構成でもよい。中でも銀を用いることが好ましく、銀の凝集を低減するため、銀合金とすることがさらに好ましい。銀の凝集が低減できれば、合金の比率は問わない。例えば、銀:他の金属が、1:1、3:1等であってよい。
陰極は、ITOなどの酸化物導電層を使用してトップエミッション素子としてもよいし、アルミニウム(Al)などの反射電極を使用してボトムエミッション素子としてもよいし、特に限定されない。陰極の形成方法としては、特に限定されないが、直流及び交流スパッタリング法などを用いると、膜のカバレッジがよく、抵抗を下げやすいためより好ましい。
[有機化合物層]
有機化合物層は、単層で形成されても、複数層で形成されてもよい。複数層を有する場合には、その機能によって、ホール注入層、ホール輸送層、電子ブロッキング層、発光層、ホールブロッキング層、電子輸送層、電子注入層、と呼ばれてよい。有機化合物層は、主に有機化合物で構成されるが、無機原子、無機化合物を含んでいてもよい。例えば、銅、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、イリジウム、白金、モリブデン、亜鉛等を有してよい。有機化合物層は、第1電極と第2電極との間に配置されてよく、第1電極及び第2電極に接して配されてよい。
[保護層]
陰極の上に、保護層を設けてもよい。例えば、陰極上に吸湿剤を設けたガラスを接着することで、有機化合物層に対する水等の浸入を低減し、表示不良の発生を低減することができる。また、別の実施形態としては、陰極上に窒化ケイ素等のパッシベーション膜を設け、有機化合物層に対する水等の浸入を低減してもよい。例えば、陰極を形成後に真空を破らずに別のチャンバーに搬送し、CVD法で厚さ2μmの窒化ケイ素膜を形成することで、保護層としてもよい。CVD法の成膜の後で原子堆積法(ALD法)を用いた保護層を設けてもよい。ALD法による膜の材料は限定されないが、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等であってよい。ALD法で形成した膜の上に、さらにCVD法で窒化ケイ素を形成してよい。ALD法による膜は、CVD法で形成した膜よりも小さい膜厚であってよい。具体的には、50%以下、さらには、10%以下であってよい。
[カラーフィルタ]
保護層の上にカラーフィルタを設けてもよい。例えば、有機発光素子のサイズを考慮したカラーフィルタを別の基板上に設け、それと有機発光素子を設けた基板と貼り合わせてもよいし、上記で示した保護層上にフォトリソグラフィ技術を用いて、カラーフィルタをパターニングしてもよい。カラーフィルタは、高分子で構成されてよい。
[平坦化層]
カラーフィルタと保護層との間に平坦化層を有してもよい。平坦化層は、下の層の凹凸を低減する目的で設けられる。目的を制限せずに、材質樹脂層と呼ばれる場合もある。平坦化層は有機化合物で構成されてよく、低分子であっても、高分子であってもよいが、高分子であることが好ましい。
平坦化層は、カラーフィルタの上下に設けられてもよく、その構成材料は同じであっても異なってもよい。具体的には、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂等があげられる。
[マイクロレンズ]
有機発光装置は、その光出射側にマイクロレンズ等の光学部材を有してよい。マイクロレンズは、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等で構成されうる。マイクロレンズは、有機発光装置から取り出す光量の増加、取り出す光の方向の制御を目的としてよい。マイクロレンズは、半球の形状を有してよい。半球の形状を有する場合、当該半球に接する接線のうち、絶縁層と平行になる接線があり、その接線と半球との接点がマイクロレンズの頂点である。マイクロレンズの頂点は、任意の断面図においても同様に決定することができる。つまり、断面図におけるマイクロレンズの半円に接する接線のうち、絶縁層と平行になる接線があり、その接線と半円との接点がマイクロレンズの頂点である。
また、マイクロレンズの中点を定義することもできる。マイクロレンズの断面において、円弧の形状が終了する点から別の円弧の形状が終了する点までの線分を仮想し、当該線分の中点がマイクロレンズの中点と呼ぶことができる。頂点、中点を判別する断面は、絶縁層に垂直な断面であってよい。
[対向基板]
平坦化層の上には、対向基板を有してよい。対向基板は、前述の基板と対応する位置に設けられるため、対向基板と呼ばれる。対向基板の構成材料は、前述の基板と同じであってよい。対向基板は、前述の基板を第1基板とした場合、第2基板であってよい。
[有機層]
本発明の一実施形態に係る有機発光素子を構成する有機化合物層(正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層等)は、以下に示す方法により形成される。
本発明の一実施形態に係る有機発光素子を構成する有機化合物層は、真空蒸着法、イオン化蒸着法、スパッタリング、プラズマ等のドライプロセスを用いることができる。またドライプロセスに代えて、適当な溶媒に溶解させて公知の塗布法(例えば、スピンコーティング、ディッピング、キャスト法、LB法、インクジェット法等)により層を形成するウェットプロセスを用いることもできる。
ここで真空蒸着法や溶液塗布法等によって層を形成すると、結晶化等が起こりにくく経時安定性に優れる。また塗布法で成膜する場合は、適当なバインダー樹脂と組み合わせて膜を形成することもできる。
上記バインダー樹脂としては、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、これらバインダー樹脂は、ホモポリマー又は共重合体として一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を混合して使用してもよい。さらに必要に応じて、公知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を併用してもよい。
[画素回路]
発光装置は、発光素子に接続されている画素回路を有してよい。画素回路は、第1の発光素子、第2の発光素子をそれぞれ独立に発光制御するアクティブマトリックス型であってよい。アクティブマトリックス型の回路は電圧プログラミングであっても、電流プログラミングであってもよい。駆動回路は、画素毎に画素回路を有する。画素回路は、発光素子、発光素子の発光輝度を制御するトランジスタ、発光タイミングを制御するトランジスタ、発光輝度を制御するトランジスタのゲート電圧を保持する容量、発光素子を介さずにGNDに接続するためのトランジスタを有してよい。
発光装置は、表示領域と、表示領域の周囲に配されている周辺領域とを有する。表示領域には画素回路を有し、周辺領域には表示制御回路を有する。画素回路を構成するトランジスタの移動度は、表示制御回路を構成するトランジスタの移動度よりも小さくてよい。
画素回路を構成するトランジスタの電流電圧特性の傾きは、表示制御回路を構成するトランジスタの電流電圧特性の傾きよりも小さくてよい。電流電圧特性の傾きは、いわゆるVg-Ig特性により測定できる。
画素回路を構成するトランジスタは、第1の発光素子など、発光素子に接続されているトランジスタである。
[画素]
有機発光装置は、複数の画素を有する。画素は互いに他と異なる色を発光する副画素を有する。副画素は、例えば、それぞれRGBの発光色を有してよい。
画素は、画素開口とも呼ばれる領域が、発光する。この領域は第1領域と同じである。画素開口は15μm以下であってよく、5μm以上であってよい。より具体的には、11μm、9.5μm、7.4μm、6.4μm等であってよい。
副画素間は、10μm以下であってよく、具体的には、8μm、7.4μm、6.4μmであってよい。
画素は、平面図において、公知の配置形態をとりうる。例えば、ストライプ配置、デルタ配置、ペンタイル配置、ベイヤー配置であってよい。副画素の平面図における形状は、公知のいずれの形状をとってもよい。例えば、長方形、ひし形等の四角形、六角形、等である。もちろん、正確な図形ではなく、長方形に近い形をしていれば、長方形に含まれる。副画素の形状と、画素配列と、を組み合わせて用いることができる。
[本発明の一実施形態に係る有機発光素子の用途]
本発明の一実施形態に係る有機発光素子は、表示装置や照明装置の構成部材として用いることができる。他にも、電子写真方式の画像形成装置の露光光源や液晶表示装置のバックライト、白色光源にカラーフィルタを有する発光装置等の用途がある。
表示装置は、エリアCCD、リニアCCD、メモリーカード等からの画像情報を入力する画像入力部を有し、入力された情報を処理する情報処理部を有し、入力された画像を表示部に表示する画像情報処理装置でもよい。
また、撮像装置やインクジェットプリンタが有する表示部は、タッチパネル機能を有していてもよい。このタッチパネル機能の駆動方式は、赤外線方式でも、静電容量方式でも、抵抗膜方式であっても、電磁誘導方式であってもよく、特に限定されない。また表示装置はマルチファンクションプリンタの表示部に用いられてもよい。
次に、図面を参照しながら本実施形態に係る表示装置について説明する。以下の実施形態において、表示装置は、上述の何れの実施形態に係る発光装置(例えば、発光装置100)で構成されてもよい。
図12は、本実施形態に係る表示装置の一例を表す模式図である。表示装置1200は、上部カバー1201と、下部カバー1209と、の間に、タッチパネル1203、表示パネル1205、フレーム1206、回路基板1207、バッテリー1208、を有してよい。タッチパネル1203および表示パネル1205は、フレキシブルプリント回路FPC1202、1204が接続されている。回路基板1207には、トランジスタがプリントされている。バッテリー1208は、表示装置が携帯機器でなければ、設けなくてもよいし、携帯機器であっても、別の位置に設けてもよい。
本実施形態に係る表示装置は、赤色、緑色、青色を有するカラーフィルタを有してよい。カラーフィルタは、当該赤色、緑色、青色がデルタ配列で配置されてよい。
本実施形態に係る表示装置は、携帯端末の表示部に用いられてもよい。その際には、表示機能と操作機能との双方を有してもよい。携帯端末としては、スマートフォン等の携帯電話、タブレット、ヘッドマウントディスプレイ等が挙げられる。
本実施形態に係る表示装置は、複数のレンズを有する光学部と、当該光学部を通過した光を受光する撮像素子とを有する撮像装置の表示部に用いられてよい。撮像装置は、撮像素子が取得した情報を表示する表示部を有してよい。また、表示部は、撮像装置の外部に露出した表示部であっても、ファインダ内に配置された表示部であってもよい。撮像装置は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラであってよい。
図13(a)は、本実施形態に係る撮像装置の一例を表す模式図である。撮像装置1300は、ビューファインダ1301、背面ディスプレイ1302、操作部1303、筐体1304を有してよい。ビューファインダ1301は、本実施形態に係る表示装置を有してよい。その場合、表示装置は、撮像する画像のみならず、環境情報、撮像指示等を表示してよい。環境情報には、外光の強度、外光の向き、被写体の動く速度、被写体が遮蔽物に遮蔽される可能性等であってよい。
撮像に好適なタイミングはわずかな時間なので、少しでも早く情報を表示した方がよい。したがって、本発明の有機発光素子を用いた表示装置を用いるのが好ましい。有機発光素子は応答速度が速いからである。有機発光素子を用いた表示装置は、表示速度が求められる、これらの装置、液晶表示装置よりも好適に用いることができる。
撮像装置1300は、不図示の光学部を有する。光学部は複数のレンズを有し、筐体1304内に収容されている撮像素子に結像する。複数のレンズは、その相対位置を調整することで、焦点を調整することができる。この操作を自動で行うこともできる。撮像装置は光電変換装置と呼ばれてもよい。光電変換装置は逐次撮像するのではなく、前画像からの差分を検出する方法、常に記録されている画像から切り出す方法等を撮像の方法として含むことができる。
図13(b)は、本実施形態に係る電子機器の一例を表す模式図である。電子機器1350は、表示部1351と、操作部1352と、筐体1353を有する。筐体1353には、回路、当該回路を有するプリント基板、バッテリー、通信部、を有してよい。操作部1352は、ボタンであってもよいし、タッチパネル方式の反応部であってもよい。操作部は、指紋を認識してロックの解除等を行う、生体認識部であってもよい。通信部を有する電子機器は通信機器ということもできる。電子機器は、レンズと、撮像素子とを備えることでカメラ機能をさらに有してよい。カメラ機能により撮像された画像が表示部に映される。電子機器としては、スマートフォン、ノートパソコン等があげられる。
図14は、本実施形態に係る表示装置の一例を表す模式図である。図14(a)は、テレビモニタやPCモニタ等の表示装置である。表示装置1400は、額縁1401を有し表示部1402を有する。表示部1402には、本実施形態に係る発光装置が用いられてよい。
額縁1401と、表示部1402を支える土台1403を有している。土台1403は、図14(a)の形態に限られない。額縁1401の下辺が土台を兼ねてもよい。
また、額縁1401および表示部1402は、曲がっていてもよい。その曲率半径は、5000mm以上6000mm以下であってよい。
図14(b)は本実施形態に係る表示装置の他の例を表す模式図である。図14(b)の表示装置1450は、折り曲げ可能に構成されており、いわゆるフォルダブルな表示装置である。表示装置1450は、第1表示部1451、第2表示部1452、筐体1453、屈曲点1454を有する。第1表示部1451と第2表示部1452とは、本実施形態に係る発光装置を有してよい。第1表示部1451と第2表示部1452とは、つなぎ目のない1枚の表示装置であってよい。第1表示部1451と第2表示部1452とは、屈曲点で分けることができる。第1表示部1451、第2表示部1452は、それぞれ異なる画像を表示してもよいし、第1および第2表示部とで一つの画像を表示してもよい。
図15(a)は、本実施形態に係る照明装置の一例を表す模式図である。照明装置1500は、筐体1501と、光源1502と、回路基板1503と、光学フィルム1504と、光拡散部1505と、を有してよい。光源は、本実施形態に係る有機発光素子を有してよい。光学フィルムは光源の演色性を向上させるフィルタであってよい。光拡散部は、ライトアップ等、光源の光を効果的に拡散し、広い範囲に光を届けることができる。光学フィルム、光拡散部は、照明の光出射側に設けられてよい。必要に応じて、最外部にカバーを設けてもよい。
照明装置は例えば室内を照明する装置である。照明装置は白色、昼白色、その他青から赤のいずれの色を発光するものであってよい。それらを調光する調光回路を有してよい。照明装置は本発明の有機発光素子とそれに接続される電源回路を有してよい。電源回路は、交流電圧を直流電圧に変換する回路である。また、白とは色温度が4200Kで昼白色とは色温度が5000Kである。照明装置はカラーフィルタを有してもよい。
また、本実施形態に係る照明装置は、放熱部を有していてもよい。放熱部は装置内の熱を装置外へ放出するものであり、比熱の高い金属、液体シリコン等が挙げられる。
図15(b)は、本実施形態に係る移動体の一例である自動車の模式図である。当該自動車は灯具の一例であるテールランプを有する。自動車1550は、テールランプ1551を有し、ブレーキ操作等を行った際に、テールランプを点灯する形態であってよい。
テールランプ1551は、本実施形態に係る有機発光素子を有してよい。テールランプは、有機EL素子を保護する保護部材を有してよい。保護部材はある程度高い強度を有し、透明であれば材料は問わないが、ポリカーボネート等で構成されることが好ましい。ポリカーボネートにフランジカルボン酸誘導体、アクリロニトリル誘導体等を混ぜてよい。
自動車1550は、車体1553、それに取り付けられている窓1552を有してよい。窓は、自動車の前後を確認するための窓でなければ、透明なディスプレイであってもよい。当該透明なディスプレイは、本実施形態に係る有機発光素子を有してよい。この場合、有機発光素子が有する電極等の構成材料は透明な部材で構成される。
本実施形態に係る移動体は、船舶、航空機、ドローン等であってよい。移動体は、機体と当該機体に設けられた灯具を有してよい。灯具は、機体の位置を知らせるための発光をしてよい。灯具は本実施形態に係る有機発光素子を有する。
図16を参照して、上述の各実施形態の表示装置の適用例について説明する。表示装置は、例えばスマートグラス、HMD、スマートコンタクトのようなウェアラブルデバイスとして装着可能なシステムに適用できる。このような適用例に使用される撮像表示装置は、可視光を光電変換可能な撮像装置と、可視光を発光可能な表示装置とを有する。
図16(a)は、1つの適用例に係る眼鏡1600(スマートグラス)を説明する。眼鏡1600のレンズ1601の表面側に、CMOSセンサやSPADのような撮像装置1602が設けられている。また、レンズ1601の裏面側には、上述した各実施形態の表示装置が設けられている。
眼鏡1600は、制御装置1603をさらに備える。制御装置1603は、撮像装置1602と各実施形態に係る表示装置に電力を供給する電源として機能する。また、制御装置1603は、撮像装置1602と表示装置の動作を制御する。レンズ1601には、撮像装置1602に光を集光するための光学系が形成されている。
図16(b)は、1つの適用例に係る眼鏡1650(スマートグラス)を説明する。眼鏡1650は、制御装置1652を有しており、制御装置1652に、撮像装置1602に相当する撮像装置と、表示装置が搭載される。レンズ1651には、制御装置1652内の撮像装置と、表示装置からの発光を投影するための光学系が形成されており、レンズ1651には画像が投影される。制御装置1652は、撮像装置および表示装置に電力を供給する電源として機能するとともに、撮像装置および表示装置の動作を制御する。制御装置は、装着者の視線を検知する視線検知部を有してもよい。視線の検知は赤外線を用いてよい。赤外発光部は、表示画像を注視しているユーザーの眼球に対して、赤外光を発する。発せられた赤外光の眼球からの反射光を、受光素子を有する撮像部が検出することで眼球の撮像画像が得られる。平面視における赤外発光部から表示部への光を低減する低減手段を有することで、画像品位の低下を低減する。
赤外光の撮像により得られた眼球の撮像画像から表示画像に対するユーザーの視線を検出する。眼球の撮像画像を用いた視線検出には任意の公知の手法が適用できる。一例として、角膜での照射光の反射によるプルキニエ像に基づく視線検出方法を用いることができる。
より具体的には、瞳孔角膜反射法に基づく視線検出処理が行われる。瞳孔角膜反射法を用いて、眼球の撮像画像に含まれる瞳孔の像とプルキニエ像とに基づいて、眼球の向き(回転角度)を表す視線ベクトルが算出されることにより、ユーザーの視線が検出される。
本発明の一実施形態に係る表示装置は、受光素子を有する撮像装置を有し、撮像装置からのユーザーの視線情報に基づいて表示装置の表示画像を制御してよい。
具体的には、表示装置は、視線情報に基づいて、ユーザーが注視する第1の視界領域と、第1の視界領域以外の第2の視界領域とを決定される。第1の視界領域、第2の視界領域は、表示装置の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。表示装置の表示領域において、第1の視界領域の表示解像度を第2の視界領域の表示解像度よりも高く制御してよい。つまり、第2の視界領域の解像度を第1の視界領域よりも低くしてよい。
また、表示領域は、第1の表示領域、第1の表示領域とは異なる第2の表示領域とを有し、視線情報に基づいて、第1の表示領域および第2の表示領域から優先度が高い領域を決定される。第1の表示領域、第2の表示領域は、表示装置の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。優先度の高い領域の解像度を、優先度が高い領域以外の領域の解像度よりも高く制御してよい。つまり優先度が相対的に低い領域の解像度を低くしてよい。
なお、第1の視界領域や優先度が高い領域の決定には、AIを用いてもよい。AIは、眼球の画像と当該画像の眼球が実際に視ていた方向とを教師データとして、眼球の画像から視線の角度、視線の先の目的物までの距離を推定するよう構成されたモデルであってよい。AIプログラムは、表示装置が有しても、撮像装置が有しても、外部装置が有してもよい。外部装置が有する場合は、通信を介して、表示装置に伝えられる。
視認検知に基づいて表示制御する場合、外部を撮像する撮像装置を更に有するスマートグラスに好ましく適用できる。スマートグラスは、撮像した外部情報をリアルタイムで表示することができる。
<実施形態のまとめ>
[項目1]
発光装置であって、
複数の第1電極と、
前記複数の第1電極の上に位置し、発光層を含む有機層と、
前記有機層の上に位置する第2電極と、
前記複数の第1電極を互いに分離する絶縁層と、を備え、
前記複数の第1電極のそれぞれの上面は、前記有機層に接する内側領域と、前記絶縁層に接する外側領域とを含み、
前記絶縁層は、
前記内側領域を画定する開口と、
前記開口から離れ且つ前記外側領域に重なる位置にある段差と、を有することを特徴とする発光装置。
[項目2]
前記絶縁層は、前記開口から離れ且つ前記外側領域に重なる位置にある溝を有し、
前記絶縁層の前記段差は、前記絶縁層の前記溝によって形成されることを特徴とする項目1に記載の発光装置。
[項目3]
前記溝は、前記内側領域に対する平面視において前記内側領域を全周的に取り囲むことを特徴とする項目2に記載の発光装置。
[項目4]
前記絶縁層は、第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上にあり、前記第1絶縁層とは異なる材料の第2絶縁層とを含む積層構造を有し、
前記溝は、前記第2絶縁層を貫通し、前記第1絶縁層に到達していることを特徴とする項目2又は3に記載の発光装置。
[項目5]
前記溝の深さは、前記溝の幅の0.3倍以上且つ20倍以下であることを特徴とする項目2乃至4の何れか1項に記載の発光装置。
[項目6]
前記有機層は、前記発光層と前記複数の第1電極との間に、正孔注入層、正孔輸送層又は電荷生成層をさらに含み、
前記絶縁層の前記溝の底と前記発光層との間の距離は、前記絶縁層の前記溝の周辺と前記発光層との間の距離よりも小さいことを特徴とする項目2乃至5の何れか1項に記載の発光装置。
[項目7]
前記絶縁層は、前記開口から離れ且つ前記外側領域に重なる位置にある凸部を有し、
前記絶縁層の前記段差は、前記絶縁層の前記凸部によって形成されることを特徴とする項目1に記載の発光装置。
[項目8]
前記第1電極は、透光性を有し、
前記発光装置は、前記第1電極のそれぞれの下に反射層をさらに備え、
前記絶縁層の前記段差は、前記内側領域に対する平面視において、前記第1電極が前記反射層に接合する部分と、前記内側領域との間に位置することを特徴とする項目1乃至7の何れか1項に記載の発光装置。
[項目9]
前記発光装置は、前記第1電極に接続されたコンタクトプラグをさらに備え、
前記絶縁層の前記段差は、前記内側領域に対する平面視において、前記コンタクトプラグと前記内側領域との間に位置することを特徴とする項目1乃至8の何れか1項に記載の発光装置。
[項目10]
前記発光装置は、前記第2電極の上にマイクロレンズをさらに備え、
前記絶縁層の前記段差は、前記マイクロレンズに重なる位置にあることを特徴とする項目1乃至9の何れか1項に記載の発光装置。
[項目11]
前記内側領域の面積は、前記外側領域の面積よりも小さいことを特徴とする項目1乃至10の何れか1項に記載の発光装置。
[項目12]
前記有機層は、前記発光層と前記複数の第1電極との間に、正孔注入層、正孔輸送層又は電荷生成層をさらに含むことを特徴とする項目1乃至11の何れか1項に記載の発光装置。
[項目13]
項目1乃至12の何れか1項に記載の発光装置と、前記発光装置に接続されている能動素子と、を有することを特徴とする表示装置。
[項目14]
複数のレンズを有する光学部と、前記光学部を通過した光を受光する撮像素子と、画像を表示する表示部と、を有し、
前記表示部は、前記撮像素子が撮像した画像を表示する表示部であり、且つ、項目1乃至12の何れか1項に記載の発光装置を有することを特徴とする光電変換装置。
[項目15]
表示部が設けられた筐体と、前記筐体に設けられ、外部と通信する通信部と、を有し、
前記表示部は、項目1乃至12の何れか1項に記載の発光装置を有することを特徴とする電子機器。
[項目16]
光源と、光拡散部および光学フィルムの少なくとも一方と、を有する照明装置であって、
前記光源は、項目1乃至12の何れか1項に記載の発光装置を有することを特徴とする照明装置。
[項目17]
機体と、前記機体に設けられている灯具と、を有する移動体であって、
前記灯具は、項目1乃至12の何れか1項に記載の発光装置を有することを特徴とする移動体。
[項目18]
発光装置の製造方法であって、
複数の第1電極の上に絶縁層を形成する工程と、
複数の第1電極のそれぞれの外側領域に重なる位置において、前記絶縁層に段差を形成する工程と、
複数の第1電極のそれぞれの内側領域に重なる位置において、前記絶縁層に開口を形成する工程と、
前記段差及び前記開口が形成された前記絶縁層の上に、発光層を含む有機層を形成する工程と、
前記有機層の上に第2電極を形成する工程と、を有することを特徴とする製造方法。
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
100 発光装置、110 下部電極、111 絶縁層、112 有機層、113 上部電極、118 溝

Claims (18)

  1. 発光装置であって、
    複数の第1電極と、
    前記複数の第1電極の上に位置し、発光層を含む有機層と、
    前記有機層の上に位置する第2電極と、
    前記複数の第1電極を互いに分離する絶縁層と、を備え、
    前記複数の第1電極のそれぞれの上面は、前記有機層に接する内側領域と、前記絶縁層に接する外側領域とを含み、
    前記絶縁層は、
    前記内側領域を画定する開口と、
    前記開口から離れ且つ前記外側領域に重なる位置にある段差と、を有することを特徴とする発光装置。
  2. 前記絶縁層は、前記開口から離れ且つ前記外側領域に重なる位置にある溝を有し、
    前記絶縁層の前記段差は、前記絶縁層の前記溝によって形成されることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
  3. 前記溝は、前記内側領域に対する平面視において前記内側領域を全周的に取り囲むことを特徴とする請求項2に記載の発光装置。
  4. 前記絶縁層は、第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上にあり、前記第1絶縁層とは異なる材料の第2絶縁層とを含む積層構造を有し、
    前記溝は、前記第2絶縁層を貫通し、前記第1絶縁層に到達していることを特徴とする請求項2に記載の発光装置。
  5. 前記溝の深さは、前記溝の幅の0.3倍以上且つ20倍以下であることを特徴とする請求項2に記載の発光装置。
  6. 前記有機層は、前記発光層と前記複数の第1電極との間に、正孔注入層、正孔輸送層又は電荷生成層をさらに含み、
    前記絶縁層の前記溝の底と前記発光層との間の距離は、前記絶縁層の前記溝の周辺と前記発光層との間の距離よりも小さいことを特徴とする請求項2に記載の発光装置。
  7. 前記絶縁層は、前記開口から離れ且つ前記外側領域に重なる位置にある凸部を有し、
    前記絶縁層の前記段差は、前記絶縁層の前記凸部によって形成されることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
  8. 前記第1電極は、透光性を有し、
    前記発光装置は、前記第1電極のそれぞれの下に反射層をさらに備え、
    前記絶縁層の前記段差は、前記内側領域に対する平面視において、前記第1電極が前記反射層に接合する部分と、前記内側領域との間に位置することを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
  9. 前記発光装置は、前記第1電極に接続されたコンタクトプラグをさらに備え、
    前記絶縁層の前記段差は、前記内側領域に対する平面視において、前記コンタクトプラグと前記内側領域との間に位置することを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
  10. 前記発光装置は、前記第2電極の上にマイクロレンズをさらに備え、
    前記絶縁層の前記段差は、前記マイクロレンズに重なる位置にあることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
  11. 前記内側領域の面積は、前記外側領域の面積よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
  12. 前記有機層は、前記発光層と前記複数の第1電極との間に、正孔注入層、正孔輸送層又は電荷生成層をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
  13. 請求項1乃至12の何れか1項に記載の発光装置と、前記発光装置に接続されている能動素子と、を有することを特徴とする表示装置。
  14. 複数のレンズを有する光学部と、前記光学部を通過した光を受光する撮像素子と、画像を表示する表示部と、を有し、
    前記表示部は、前記撮像素子が撮像した画像を表示する表示部であり、且つ、請求項1乃至12の何れか1項に記載の発光装置を有することを特徴とする光電変換装置。
  15. 表示部が設けられた筐体と、前記筐体に設けられ、外部と通信する通信部と、を有し、
    前記表示部は、請求項1乃至12の何れか1項に記載の発光装置を有することを特徴とする電子機器。
  16. 光源と、光拡散部および光学フィルムの少なくとも一方と、を有する照明装置であって、
    前記光源は、請求項1乃至12の何れか1項に記載の発光装置を有することを特徴とする照明装置。
  17. 機体と、前記機体に設けられている灯具と、を有する移動体であって、
    前記灯具は、請求項1乃至12の何れか1項に記載の発光装置を有することを特徴とする移動体。
  18. 発光装置の製造方法であって、
    複数の第1電極の上に絶縁層を形成する工程と、
    複数の第1電極のそれぞれの外側領域に重なる位置において、前記絶縁層に段差を形成する工程と、
    複数の第1電極のそれぞれの内側領域に重なる位置において、前記絶縁層に開口を形成する工程と、
    前記段差及び前記開口が形成された前記絶縁層の上に、発光層を含む有機層を形成する工程と、
    前記有機層の上に第2電極を形成する工程と、を有することを特徴とする製造方法。
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