以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。本発明は、環状物の計数を行う計数装置に広く適用できる。
[全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る計数装置1を側方から視た模式図である。計数装置1での計数対象となる環状物であるワークWは、例えば一例として、環状の歯付ベルトである。ワークWは、後述する図4に示すように、ワークWの中心軸線に対して平行な方向である高さ方向において高さh(以下において、高さhと称する)を有する比較的小径に形成された無端状の環状物である。ワークWの高さhは、概ね2mm以上のものが想定されるが、2mm以下であってもよい。より具体的には、環状のワークWの周方向の長さ(以下、周長と称する)は、60.0mmから300.0mmに設定されていることが好ましい。このため、ワークWの直径は、19.0mm程度から96.0mm程度に設定されていることが好ましい。また、ワークWの内周側から外周側、及び、外周側から内周側に向かう方向の寸法である厚みは、1.0mmから2.4mmに設定されていることが好ましい。そして、ワークWの高さhは、2.0mmから7.0mmに設定されていることが好ましい。なお、図1でのワークWは、側方から視た状態であるため、模式的に横長の矩形状に図示されている。また、以下で説明する各図のうちワークWが示されている図については、図面が煩雑になるのを避けるため、ワークWの内周面側に形成された歯部の図示を省略している。
計数装置1は、ワークWの数量をカウントする装置であり、図1から図3を参照して、パーツフィーダ2と、周回路部10と、回収路部20と、排出機構25と、搬送機構30と、保持動作機構50と、回収バー63(環状物蓄積部)と、操作盤65と、を備えている。
[パーツフィーダの構成]
パーツフィーダ2は、振動部3及びボウル部4を有している。パーツフィーダ2では、振動部3が小刻みに振動する毎にボウル部4を斜め上方に細かく押し上げる。これにより、ボウル部4に収容された複数のワークWに振動が伝わり、詳しくは後述する螺旋状の周回路11に沿って、ワークWが搬送機構30側へ搬送される。
[周回路部の構成]
図2は、図1に示す計数装置1のうち周回路部10及び回収路部20付近を拡大して示す斜視図であって、ワークWが搬送されている状態を示す図である。
周回路部10は、図2を参照して、ボウル部4に対して固定された部分であって、下方から上方へ向かって螺旋状に延びる周回路11を構成する部分として設けられている。ボウル部4に投入されたワークWは、周回路11に沿って、上方から視て反時計回り方向(図2における破線矢印方向)に向かって移動し、搬送機構30まで搬送される。周回路部10は、周回路底部12(底部)及び側壁部15を有し、これらが一体に形成されている。
周回路底部12は、周回路11を通過するワークWが載せ置かれた状態となる部分として設けられている。周回路底部12は、その始端部がボウル部4に設けられている一方、その終端部が、搬送機構30の流入端部と連通している。周回路底部12は、始端部から終端部へ向かって、螺旋状に延びるように形成されている。
周回路底部12は、径方向外方へ向かって斜め下方に傾斜している傾斜部13と、水平方向に延びるように形成された(すなわち、鉛直方向に対して斜め方向に傾斜していない)水平部14とを有している。傾斜部13は、周回路底部12における始端部側の部分(すなわち、ボウル部4側の部分)である。水平部14は、周回路底部12における終端部側の部分(すなわち、搬送機構30側の部分)である。傾斜部13及び水平部14は、ともに平面状に形成されている。これにより、ワークWの高さ方向における一方側の円環状の端面が、傾斜部13及び水平部14の双方に全体的に当接するため、振動部3からの振動をワークWへ効率的に伝えることができる。
側壁部15は、傾斜部13における径方向外方の縁部から上方へ延びるように形成された壁部である。側壁部15は、比較的高さが高い高壁部16と、高壁部16よりも高さが低い低壁部17とを有している。
高壁部16は、その高さが、ワークWの高さhよりも高い壁状に形成されている。これにより、周回路11における高壁部16が設けられた部分を通過するワークWが、該高壁部16を乗り越えて周回路11外へ離脱してしまうことを防止できる。
低壁部17は、低壁部17の高さが、ワークWの高さh以下となるように形成されている。低壁部17の高さは、ワークWの高さhの3分の1程度に設定されている。こうすると、上下方向に重なった2つのワークWのうちの下側のワークWLが周回路11外へ離脱することを防止しつつ、上側のワークWUについては、周回路11外へ落とすことができる。これにより、周回路11を通過するワークWの上下方向の積み重なりを抑制することができる。
回収路部20は、図2を参照して、周回路部10の外側に形成され、上方から視て円弧状に形成されている。回収路部20は、周回路部10と一体に設けられている。そして、回収路部20は、周回路11に沿ってワークWが搬送機構30側へ搬送される際に、低壁部17の上端を超えて周回路11の外方へ離脱したワークWをボウル部4へ案内する回収路21を構成する部分として設けられている。
回収路部20では、受け部22が、低壁部17を超えて落下するワークW、及び、周回路11の傾斜部13から水平部14へ向かう際に下方へ落下するワークWを受け止める。その後、受け部22によって受け止められたワークWは、周回路部10とともに振動する回収路部20によって回収路21を反時計回りに進んだ後、開口部(図示省略)を介してボウル部4内へ侵入する。開口部24は、周回路部10の側壁における、回収路部20の終端部付近の部分に形成されている。これにより、回収路21を進んだワークWは、ボウル部4に回収される。
[排出機構の構成]
排出機構25は、排出対象ワーク用センサ26(検出部)と、圧縮空気噴出部27(空気噴出部)とを有している。
排出対象ワーク用センサ26は、例えば一例として、非接触式の透過型レーザセンサで構成されている。排出対象ワーク用センサ26は、レーザを照射する投光部と、投光部からのレーザを受光する受光部(図示省略)とを有している。投光部及び受光部は、周回路11における搬送機構30側の端部である周回路終端部11aに設けられている。投光部におけるレーザを照射する部分は、周回路底部12の上面を高さ方向の基準とした場合における、ワークWの高さhよりも高い部分にレーザが照射される位置に設けられている。投光部におけるレーザを照射する部分は、他のワークWLの上側に重なったワークWU(排出対象ワークWa)の上側の部分にレーザが照射される位置に設けられる。排出対象ワーク用センサ26は、排出対象ワークWaを検出すると、その旨を通知するための信号である排出対象ワーク検出信号Saを後述の制御部70へ通知する。このように、排出対象ワーク用センサ26は、周回路終端部11aのうちの、周回路終端部11aの周回路底部12を基準としたワークWの高さh以上の部分、を通過するワークWである排出対象ワークWa(排出対象環状物)を検出するように構成されている。
圧縮空気噴出部27は、圧縮空気を噴出するように構成されている。圧縮空気噴出部27は、その内部を通過した圧縮空気が先端部分から噴出する金属パイプを有している。
排出機構25では、排出対象ワーク用センサ26が後述の制御部70へ検出信号Saを送信すると、制御部70が、圧縮空気を噴出する旨の指令信号Sbを圧縮空気噴出部27に通知する。この指令信号Sbを受けた圧縮空気噴出部27が圧縮空気を瞬間的に噴出することにより、排出対象ワークWaが周回路11外へ吹き飛ばされる。これにより、排出対象ワークWaは、周回路終端部11aの外側に設けられた下方へ傾斜する傾斜ガイド5(図2参照)に沿って滑り落ちて、排出ワーク用容器6内に回収される。なお、図2、図5、及び図6では、傾斜ガイド5及び排出ワーク用容器6の一部のみを図示している。
[搬送機構の構成]
図3は、搬送機構30を上方から視た模式図である。図4は、図3に示す搬送機構のA-A線矢視位置における断面を示す断面図である。搬送機構30は、周回路11から搬送されてきたワークWを、当該ワークWが保持動作機構50によって保持される位置である第1位置P1まで搬送するためのものである。搬送機構30は、直線搬送路31と、振動部32と、一対の壁部33,33と、突出部34と、当接機構35と、外壁部36とを有している。搬送機構30は、ワークWを一列に整列させた状態で列方向に沿って後方側である上流側から前方側である下流側に向かって搬送する機構として構成されている。尚、搬送機構30における上流側の端部は、周回路底部12の終端部からワークWが流入する部分であり、搬送機構30における下流側の端部は、ワークWが保持動作機構50によって保持される部分である。
直線搬送路31は、水平方向に拡がる平板状の部分であって、ワークWが搬送される直線経路を含んで構成されている。本実施形態における直線搬送路31は、図3に示すように、前後方向に全体が直線状に延びるように形成されている。即ち、直線搬送路31は、ワークWが上流側から下流側に向かって搬送される方向である搬送方向に沿って直線状に延びるように形成されている。直線搬送路31においては、その上側の表面に形成された搬送面31aにおいてワークWが搬送される。直線搬送路31における後側の部分は、搬送機構30の流入端部として設けられ、直線搬送路31における前側の部分は、搬送機構30の流出端部として設けられている。直線搬送路31における前側の端部である搬送路終端部31b(流出端部)には、第1位置P1にあるワークWを検出する回収対象ワーク用センサ37が設けられている。直線搬送路31は、後述する可動壁33bを超え幅方向外側に向かって延びている。直線搬送路31の可動壁33b側に延びた終端部分には、外壁部36が、可動壁33bと平行な状態で上方に向かって延びている。
回収対象ワーク用センサ37は、搬送機構30によって直線搬送路31の第1位置P1まで搬送されたワークWを、回収対象ワークWbとして検出するためのセンサである。回収対象ワーク用センサ37は、排出対象ワーク用センサ26の場合と同様、非接触式の透過型レーザセンサで構成されている。回収対象ワーク用センサ37は、レーザを照射する投光部(図示省略)と、投光部からのレーザを受光する受光部(図示省略)とを有している。投光部及び受光部は、上述したように、直線搬送路31の上流側端部に隣接する周回路終端部11aに設けられている。回収対象ワーク用センサ37は、回収対象ワークWbを検出すると、その旨を通知するための信号である回収対象ワーク検出信号Scを制御部70へ通知する。
振動部32(図1参照、図3では図示省略)は、振動する機構を有し、周回路11から供給されたワークWを振動によって前方へ搬送するためのものである。振動部32は、例えば、励磁状態と消磁状態とが繰り返して切り替えられる電磁石と、電磁石に対して吸引された状態と電磁石から離間した状態とを繰り返して振動するとともに直線搬送路31を支持する板バネと、を備えて構成されている。搬送機構30では、振動部32が小刻みに振動し、その振動が直線搬送路31に伝わって直線搬送路31が細かく振動することにより、直線搬送路31上のワークWが前方へ搬送される。なお、直線搬送路31を前方へ進むワークWの後側には、ワーク搬送用エアー噴出部38から噴出した圧縮空気が吹き付けられる。これにより、振動部32の設定(例えば振動部32の振動数)を変更するだけでは所望の搬送速度が得られない場合であっても、ワークWの搬送速度を速めることができる。
一対の壁部33,33は、搬送機構30において、パーツフィーダ2から直線搬送路31上の第1位置P1にワークWを誘導するために設けられている。一対の壁部33,33は、直線搬送路31の幅方向両側において直線搬送路31の表面で平面状に形成された搬送面31aの上の領域を挟んで対向して設けられている。一対の壁部33,33はそれぞれ平板状に形成されており、互いに平行に配置されている。
図3及び図4を参照して、一対の壁部33,33は、搬送面31aに固定された固定壁33a、及び、搬送面31a上においてスライド可能に設けられた可動壁33bとして構成されている。
また、搬送機構30は、固定壁33aに対して可動壁33bを近接及び離間させることができる幅調整機構39を更に有している。幅調整機構39は、搬送面31a上に固定された固定壁33aに対して可動壁33bを近接及び離間させることによって、搬送面31aの幅を調整することができる。これにより、カウント対象であるワークWをサイズの異なるものに変更する場合であっても、設備を加工及び交換することなく壁部の間隔をワークWの直径に合わせた幅に調整することができる。
幅調整機構39は、ワークWが搬送される直線搬送路31の幅を、ワークWの直径に合わせて調整するためのものである。幅調整機構39は、シャフトShと、調整摘みGrとを有している。シャフトShは、フランジFrを介して外壁部36及び可動壁33bによってそれぞれ支持されている。シャフトShは、一方側が外壁部36において搬送面31aの幅方向と水平な方向に配置されており、他方側が可動壁33bにおいて搬送面31aの幅方向に対して水平な方向に配置されている。可動壁33bは、外壁部36に対して変位可能な状態で連結されている。調整摘みGrは、シャフトShを回転操作するための操作部分であり、回転操作することによって可動壁33bを外壁部36に対して近接及び離間させることができる。
突出部34は、直線搬送路31の第1位置P1まで搬送された回収対象ワークWbを、後述する保持動作機構50のチャック部51で保持させるように、ワークWbを第1位置P1において停止させるために、設けられている。突出部34は、搬送機構30の下流側端部において、一対の壁部33,33のうちの少なくとも一方から搬送面31aの上の領域に向かって突出して設けられている。
図3を参照して、突出部34は、一対の突出壁34a,34bを備えて構成されている。各突出壁34a,34bは、板状に形成されており、搬送路終端部31b(下流側端部)において、ネジによって取付けられている。一対の突出壁34a,34bは、保持動作機構50のチャック部51が、第1位置P1においてワークWを掴む動作が支障なくできるように、互いに対向して所定の隙間を開けた状態で配置されている。搬送機構30では、直線搬送路31を前方へ進んだワークWの前側の部分が、一対の突出壁34a,34bに当接することにより、ワークWが第1位置から更に前方へ進んで落下することなく、第1位置P1で待機する。
当接機構35は、他のワークWに積み重なった状態で搬送されるワークWに対して当接することで、積み重なった状態のワークWの通過を規制するためのものである。また、搬送機構30の中途位置においてワークWの積み重なった状態を解消させるためのものである。当接機構35は、搬送面31a上でワークWが搬送される領域の上方に設けられている。当接機構35は、当接壁40を有している。
当接壁40は、ワークWの積み重なった状態を解消して、ワークWを直線搬送路31の第1位置P1に1つずつ搬送させるために設けられている。当接壁40は、搬送面31aと平行な方向に沿って延びるとともに他のワークWに積み重なった状態で搬送されるワークWに当接するように構成されている。ワークWが上下方向に2つ積み重なった状態の場合においては、積み重なった状態の下側のワークWLには当接せずに、上側のワークWUにのみ当接させることができる。
図4及び図7を参照して、当接壁40は、一対の壁部33,33に対して、搬送面31aからワークW1つ分の高さhより高くて且つワークW2つ分の高さより低い位置に配置されている。より具体的には、搬送面31aを基準とする当接壁40の下面側までの高さをhaとしたとき、当接壁40の高さhaの下限は、ワークWの1つ分の高さhよりも高く設定される。また、当接壁40の高さhaの高さは、上下方向に積み重ねられた状態におけるワークWの2つ分の高さよりも低い高さに設定される。このため、積み重なった状態で搬送されるワークWのうち上側のワークWUは搬送面31aから弾かれて、下側のワークWLのみが1つずつ搬送面31a上を搬送される。
また、当接機構35においては、当接壁40は、一対で設けられている。具体的には、当接機構35においては、当接壁40として、一対の壁部33,33のそれぞれから一対の壁部33,33の内側に向かってそれぞれ延びる一対の当接壁40,40が設けられている。一対の当接壁40,40は、固定壁33aに設けられた固定壁側当接壁40a、及び、可動壁33bとともに搬送面31aの幅方向に可動可能な状態で可動壁33bにおいて設けられた可動壁側当接壁40bとして構成されている。
固定壁側当接壁40a及び可動壁側当接壁40bは、平板状に形成されており、それぞれ対向した状態で搬送面31aから同じ高さに配置されている。固定壁側当接壁40a及び可動壁側当接壁40bはそれぞれ、ワークWが搬送される搬送面31a上において、固定壁33a及び可動壁33bから片持ち状に延びており、互いに離間した状態で配置されている。このため、固定壁側当接壁40a及び可動壁側当接壁40bの間には、空間が形成される。なお、固定壁側当接壁40a及び可動壁側当接壁40bは、その形状及び数を変更したものであってもよい。例えば、当接壁40を搬送面31aの幅方向に長く搬送方向に短い矩形板状のものとしてもよく、これを上流側から下流側に連続して複数設けてもよい。
図5は、計数装置1のうち周回路部10及び搬送機構30の一部を拡大して示す図であって、周回路部10上を搬送される積み重なった状態のワークWを示す図である。図6は、計数装置1のうち周回路部10及び搬送機構30の一部を拡大して示す図であって、搬送機構30に搬送される積み重なった状態のワークWを示す図である。図7は、図6に示す搬送機構のB-B線矢視位置における断面を示す断面図である。
ワークWは、図5に示すように、周回路11の下流側に積み重なった状態で搬送されてくる場合がある。このとき、排出対象ワーク用センサ26によって検知されて、圧縮空気噴出部27から圧縮空気が吹き付けられた場合でも、ワークWの高さhが低いサイズのものである場合には、ワークWの積み重なった状態が解消されない場合がある。そのような場合であっても、搬送機構30は、図6及び図7に示すように、例えば上下方向に2つ積み重なった状態で搬送されるワークWのうち上側のワークWUを、一対の壁部33,33に設けられた当接壁40に直接当接させて、下側のワークWLのみを1つずつ搬送面31a上を搬送させて、ワークWの積み重なった状態を解消させることができる。なお、当接壁40によって弾かれた上側のワークWUは、周回路終端部11a上から傾斜ガイド5に沿って滑り落ちていく。傾斜ガイド5を滑り落ちた上側のワークWUは、排出ワーク用容器6に回収される。
[保持動作機構の構成]
保持動作機構50は、図1を参照して、チャック部51と、チャック部駆動機構55とを有している。保持動作機構50は、チャック部51をチャック部動作機構55によって上下方向及び前後方向の所望の方向に駆動することで、搬送機構30における第1位置P1に搬送されるワークWを、順次回収するための機構である。
保持動作機構50のチャック部51は、搬送機構30の下流側においてワークWの保持動作及び保持解除動作を行う。チャック部51は、本体部52と、一対の爪部53とを有している。チャック部51は、一対の爪部53によってワークWを挟んで保持できるとともに、その保持を解除してワークWを放すことができるように構成されている。本体部52は、ブロック状に形成された部分であって、圧縮空気を動力源として、詳しくは後述する第1ベース部56に対して上下方向に移動可能である。一対の爪部53は、前後方向に並んで設けられており、圧縮空気を動力源として、互いに近接又は離間する。
チャック部駆動機構55は、第1ベース部56及び第1シリンダ57と、第2ベース部58及び第2シリンダ59とを備えている。第1ベース部56は、第1シリンダ57が固定されたベース部分であり、第2ベース部58に対して前後方向にスライド自在に設けられている。第2ベース部58は、第2シリンダ59が固定されたベース部分であり、基台部60から上方へ延びる支柱部61に固定されている。チャック部駆動機構55では、第1シリンダ57のロッド部57aが圧縮空気によって上下方向に沿って進退することにより、ロッド部57aの先端側に固定されたチャック部51が昇降する。また、チャック部駆動機構55では、第2シリンダ59のロッド部59aが圧縮空気によって前後方向に沿って進退することにより、第1ベース部56とともにチャック部51が前後方向に移動する。
[環状物蓄積部の構成]
ワークWが溜められる環状物蓄積部である回収バー63は、基台部60から上方へ延びる棒状に形成されている。回収バー63は、上方から視て、詳しくは後述する第2位置と重なるように配置されている。回収バー63では、チャック部駆動機構55によって順次回収されたワークWが該回収バー63に通されることにより、ワークWが順次重ねられて溜められる。
回収バー63の上端部付近には、図1を参照して、掴み損ね検出用センサ54が設けられている。掴み損ね検出用センサ54は、チャック部51がワークWを掴み損ねていることを検出するためのセンサである。掴み損ね検出用センサ54は、図1を参照して、支柱部61に取り付けられた取付け部材61aによって、該支柱部61に対して固定されている。掴み損ね検出用センサ54として、反射型レーザセンサが用いられている。掴み損ね検出用センサ54は、照射したレーザが、第1位置とは異なる回収バー63のやや上方の位置(以下、第2位置P3と称する)まで移動したチャック部51によって把持されているワークWの側面に当たるよう、支柱部61に対して固定されている。なお、掴み損ね検出用センサ54の取り付け位置は、回収バー63のやや上方であって、チャック部51に掴まれたワークWに照射レーザが当たる位置であればよい。
掴み損ね検出用センサ54は、第2位置P3に移動したチャック部51にワークWが把持されていないことを検出すると、その旨を通知するための信号である掴み損ね検出信号Sgを制御部70へ通知する。例えば一例として、チャック部51が第2位置P3まで移動したときにワークWが検出されれば(すなわち、第2位置P3に移動したチャック部51がワークWを把持していれば)、掴み損ね検出用センサ54は、掴み損ね検出信号Sgを制御部70へ通知しない。一方、チャック部51が第2位置P3まで移動したときにワークWが検出されなければ(すなわち、第2位置P3に移動したチャック部51がワークWを把持していなければ)、掴み損ね検出用センサ54は、掴み損ね検出信号Sgを制御部70へ通知する。
保持動作機構50は、詳しくは後述するが、概ね以下のように動作する。具体的には、チャック部51が第1位置P1の上方に位置した状態において回収対象ワークWbが検出されると、制御部70が、回収対象ワークWbを回収する旨の指令信号Sdを、保持動作機構50へ通知する。なお、ここでのチャック部51の位置を、以下では待機位置(所定位置)と称する。
保持動作機構50は、指令信号Sdを受けて、以下のように駆動する。具体的には、保持動作機構50では、チャック部51が、チャック部駆動機構55によって駆動されて下降した後、回収対象ワークWbを挟んで保持する。それから、チャック部51が第2位置P3まで移動してワークWを放すことにより、ワークWの保持を解除する。これにより、ワークWが下方へ落下して回収バー63に回収される。その後、保持動作機構50のチャック部51は、再び待機位置に戻り、その位置で待機する。なお、チャック部51は、待機位置において待機させることなく連続して変位させてもよい。
そして、保持動作機構50は、チャック部51が回収対象ワークWbを保持するために下降したときに、チャック部下降信号Seを制御部70へ通知する。このチャック部下降信号Seは、回収バー63に回収されたワークWの数をカウントするための計数用の信号として用いられる。
[操作盤の構成]
操作盤65は、図1を参照して、ボックス部66と、ディスプレイ67(表示部)と、制御部70とを備えている。ボックス部66は、金属部材によってボックス状に形成された部分であって、操作盤65の外形を形成している。操作盤65は、支柱部68に固定されている。なお、操作盤65には、非常停止ボタン69が設けられている。非常停止ボタン69が押圧されると、計数装置1の動作が直ちに停止する。
図8は、ディスプレイ67に表示される表示画面の一例を示す図である。ディスプレイ67には、現在本数を示す数値67aと、設定本数を示す数値67bと、残り本数を示す数値67cとが表示される。現在本数は、その時点でカウントされたワークWの本数である。また、設定本数は、ユーザによって設定されたワークWの本数であり、回収バー63で回収されるワークWの本数である。計数装置1によるワークWのカウント数が当該設定本数に到達すると、詳しくは後述するように計数装置1の動作が停止する。残り本数は、残り何本のワークWを回収すれば、ワークWに回収されるワークWの本数が設定本数に到達するかを示す値である。
図9は、制御部70の構成を示すブロック図である。制御部70は、CPU及びメモリ等で構成されている。制御部70は、装置動作制御部71と、保持動作機構制御部72と、エアー噴出部制御機構73とを有している。
装置動作制御部71は、計数装置1の駆動及び停止を切り替えるための制御部である。具体的には、装置動作制御部71は、計数装置1が起動されると、パーツフィーダ2の振動部3、排出対象ワーク用センサ26、搬送機構30の振動部32、回収対象ワーク用センサ37、掴み損ね検出用センサ54、及び保持動作機構50へオン信号を通知する。これにより、各振動部3,32、各センサ26,37,54、及び保持動作機構50がオンされて、計数装置1が動作する。
装置動作制御部71は、カウント部71aを有している。カウント部は、保持動作機構50のチャック部51によるワークWの保持動作及び保持解除動作を1回ずつ含むルーチン動作の回数に基づいて環状物Wをカウントする。より具体的には、カウント部71aは、保持動作機構50が各ルーチン動作内に1回だけ含まれる所定動作を行ったときのこの所定動作の回数を、回収バー73に溜められたワークWの数量としてカウントする。カウント部71aは、保持動作機構50から順次通知されるチャック部下降信号Seが通知された回数をカウントし、そのカウント数を記憶する。具体的には、カウント部71aは、カウント数の初期値として0を記憶している。そして、カウント部71aは、チャック部下降信号Seが通知される毎に、その時点で記憶しているカウント数に1を加算し、その値をそれまで記憶していたカウント数と置き換えて記憶する。カウント部71aは、その時点で記憶しているカウント数を、現在本数としてディスプレイ67に表示させる。なお、カウント数の加算は、チャック部51の下降以外の動作でカウントされるものであってもよく、例えば、チャック部51がワークWを保持したときにカウント数の加算が行われてもよく、或いは、チャック部51がワークWを第2位置で放したときにカウント数の加算が行われるものであってもよい。
装置動作制御部71は、カウント部71aによるカウント数が、ユーザによって予め設定された設定本数に到達すると、パーツフィーダ2の振動部3、排出対象ワーク用センサ26、搬送機構30の振動部32、回収対象ワーク用センサ37、及び保持動作機構50へ、それぞれを停止するための信号であるオフ信号Sfを通知する。各振動部3,32及び各センサ26,37は、オフ信号Sfを受けてオフされる。また、保持動作機構50は、オフ信号Sfを受けた後、チャック部51が待機位置まで移動してから、停止する。
また、装置動作制御部71は、掴み損ね検出信号Sgの通知を受けると、各振動部3,32、各センサ26,37、及び保持動作機構50へオフ信号を通知する。これにより、各振動部3,32、各センサ26,37、及び保持動作機構50は停止し、計数装置1の動作が直ちに停止する。
保持動作機構制御部72は、保持動作50を動作させるための制御部である。具体的には、保持動作機構制御部72は、チャック部51に所定の動作を行わせるための制御部である。
保持動作機構制御部72は、回収対象ワーク検出信号Scの通知を受けると、保持動作機構50へ指令信号Sdを通知する。保持動作機構50がこの指令信号Sdを受けると、チャック部51が、チャック部駆動機構55によって駆動され、第1位置での回収対象ワークWbの保持、第2位置P3である回収バー63の上方での当該回収対象ワークWbの保持解除、及び待機位置へ戻るまでの一連の動作であるルーチン動作を繰り返し行う。
エアー噴出部制御機構73は、圧縮空気噴出部27から圧縮空気を噴出させるための制御部である。具体的には、エアー噴出部制御機構73は、排出対象ワーク検出信号Saの通知を受けると、指令信号Sbを圧縮空気噴出部27に通知する。この通知を受けた圧縮空気噴出部27は、瞬間的に圧縮空気を噴出する。これにより、他のワークWの上に積み重なった状態の排出対象ワークWa、或いは少なくとも一部が周回路底部12から浮き上がった状態となっている排出対象ワークWaを周回路11外へ吹き飛ばし、排出ワーク用容器6内へ回収することができる。
[計数装置の動作]
図10は、計数装置1の動作を示すフローチャートである。また、図11は、図10に示すステップS10に含まれる各ステップを説明するためのフローチャートであって、ステップS11からステップS14までを示すフローチャートである。また、図12は、図10に示すステップS10に含まれる各ステップを説明するためのフローチャートであって、ステップS15からステップS23までを示すフローチャートである。また、図13から図16は、保持動作機構50の動作を説明するための模式図である。具体的には、図13は、ステップS13,S17A,及びS17Bを説明するための図であり、図14は、ステップS18A及びS18Bを説明するための図であり、図15は、ステップS21A及びS21Bを説明するための図であり、図16は、ステップS22A及びS22Bを説明するための図である。以下では、図10~図16を参照して、計数装置1の動作を説明する。
計数装置1では、まずワークWがボウル部4内に投入され(ステップS1)、その後、計数装置1が起動される(ステップS2)。計数装置1が起動されると、パーツフィーダ2の振動部3及び搬送機構30の振動部32が駆動することにより、ワークWが順次、搬送される(ステップS3)。ボウル部4へのワークWの補充は、作業者によって適宜行われる。なお、計数装置1を起動した後、ワークWをボウル部4内へ投入してもよい。
次にステップS4では、排出対象ワークWaの排出が行われる。具体的には、図2を参照して、他のワークWLの上に乗ったワークWU、或いは図示は省略するが、少なくとも一部が周回路底部12から浮き上がった状態となっているワークWが、排出対象ワーク用センサ26に、排出対象ワークWaとして検出される。そして、ステップS4では、圧縮空気噴出部27が、検出された排出対象ワークWaへ圧縮空気を吹き付ける。これにより、排出対象ワークWaが周回路11外へ吹き飛ばされ、排出ワーク用容器6内へ回収される。
一方、ステップS4と並行して、ステップS10では、パーツフィーダ2及び搬送機構30によって順次、搬送されるワークWの回収及び計数が行われる。
計数装置1を起動してから最初のワークWが回収される前の状態では、チャック部51は、図13を参照して、待機位置P2に位置している(ステップS11)。この状態において、回収対象ワークWbが検出されると(ステップS12のYes)、第1シリンダ57のロッド部57aが下方へ進出する。これにより、チャック部51は、図13において下向きの矢印で示す方向に向かって移動し、待機位置P2から第1位置P1まで下降する(ステップS13)。回収対象ワークWbが検出されない場合には(ステップS12のNo)、回収対象ワークWbが検出されるまで、チャック部51は、待機位置P2で待機する。
ステップS13でチャック部51が下降すると、保持動作機構50が、チャック部下降信号Seをカウント部71aへ出力する。カウント部71aは、その時点で記憶しているカウント数に1を加算し、その値を最新のカウント数として記憶する(ステップS14)。
次に、ステップS15では、カウント部71aに記憶されているカウント数が設定本数に到達したか否かが判定される。
[カウント数が所定本数に到達していない場合]
カウント数が設定本数に到達していない場合(ステップS15のNo)、図13を参照して、チャック部51の一対の爪部53は、図中において前後方向の矢印で示す方向に向沿って互いに近接する方向に移動する。そして、チャック部51は、図14を参照して、一対の爪部53で回収対象ワークWbを挟んで保持する(ステップS17A)。その後、ロッド部57aが第1シリンダ57側へ退避し、チャック部51が、図14において上向きの矢印で示す方向に向かって移動し、一旦上昇する。チャック部51が一旦上昇すると、ロッド部59aが第2シリンダ59側へ退避する。これにより、図14において前向きの矢印で示す方向に向かって、チャック部51がワークWを保持したまま、第2位置P3まで移動する(ステップS18A)。なお、ワークWの第2位置P3までの移動(ステップS18A)におけるロッド部59aを第2シリンダ59側へ退避する動作の前において、ロッド部57aが第1シリンダ57側へ退避させる動作が行われなくてもよい。この場合、ワークWは、チャック部51によって、一対の突出壁34a,34bの間の空間を通過して引き出されるようにして、第2位置P3に移動することになる。
次に、ステップS19Aでは、チャック部51によるワークWの掴み損ねが、掴み損ね検出用センサ54によって検出される。
ステップS19Aで、チャック部51によるワークの掴み損ねが検出されない場合(ステップS19AのNo)、一対の爪部53は、図15において前後方向の矢印で示す方向に沿って、互いに離間する方向に移動する。そして、ワークWは、図16に示すように、チャック部51によるワークWの保持が解除され(ステップS21A)、回収バー63に回収される。その後、ロッド部57aが第1シリンダ57側へ退避するとともにロッド部59aが第2シリンダ59から進出する。即ち、ワークWの保持が解除された後のチャック部51は、第2位置P3から図16において上向きの矢印で示すように上方向に移動し、その後、図16において後ろ向きの矢印で示すように、第1位置P1に向かって後ろ方向に移動する。これにより、チャック部51は再び待機位置P2まで戻り(ステップS22A)、その位置で待機する(ステップS11)。
一方、ステップS19Aで、ワークWの掴み損ねが検出された場合(ステップS19AのYes)、各振動部3,32、各センサ26,37,54、及び保持動作機構50がオフされ(ステップS20)、計測装置1の動作が停止する。
[カウント数が所定本数に到達した場合]
カウント数が設定本数に到達した場合(ステップS15のYes)、各振動部3,32及び各センサ26,37がオフされる(ステップS16)。そしてその後、ステップS17B及びステップS18Bが行われた後(すなわちワークWを保持したチャック部51が第2位置P3まで移動した後)、ステップS19Bで、チャック部51によるワークWの掴み損ねが検出される。
チャック部51によるワークの掴み損ねが検出されない場合(ステップS19BのNo)、チャック部51によるワークWの保持解除(ステップS21B)、及びチャック部51の待機位置への移動(ステップS22B)が行われた後、保持動作機構50がオフされ(ステップS23)、計測装置1の動作が停止する。
一方、ステップS19Bで、ワークWの掴み損ねが検出された場合(ステップS19BのYes)、保持動作機構50がオフされ(ステップS23)、計測装置1の動作が停止する。
[本実施形態の作用及び効果]
計数装置1によると、搬送機構30によってワークWが一列に整列した状態で搬送され、搬送されたワークWの保持動作及び保持解除動作が保持動作機構50によって行われる。そして、カウント部71aにより、ワークWの保持動作及び保持解除動作を1回ずつ含むルーチン動作の回数に基づいて、ワークWがカウントされ、ワークWの計数が行われる。また、搬送機構30は、直線搬送路31に沿って、その幅方向両側の一対の壁部33,33の間において、ワークWを搬送するように構成される。更に、搬送機構30は、ワークWが搬送される領域の上方に設けられた当接機構35を有し、他のワークWに積み重なった状態で搬送されるワークWに対して当接することで、積み重なった状態のワークWの通過を規制するように構成されている。
これにより、例えば、ワークWが、上下方向に積み重なった状態で搬送されてきた場合において、上下方向に積み重なったワークWのうちの上側のワークWを当接機構に当接させて弾いて排除し、下側のワークWのみを搬送させることができる。また、高さが低いワークWであって、積み重なった状態が解消されにくい場合あっても、上側のワークWに当接機構を直接当接させて弾くことができるため、ワークWが積み重なった状態をより確実に解消することができる。また、ワークWが搬送される搬送機構30の中途位置において、ワークWが他のワークWに乗り上がるようにして積み重なった状態になりかける場合が発生しても、当接機構35が、他のワークWに積み重なりかけたワークWに対して当接することで、ワークW同士が積み重なった状態となることが抑制され、積み重なった状態のワークWの通過が規制される。その結果、搬送機構は、搬送されるワークWが積み重なった状態になることをより確実に解消してワークWを円滑に搬送することができる。そして、搬送されたワークWは、保持動作機構50において、1つずつ確実に保持され、より確実にワークWを計数することができる。
従って、この構成によれば、載置された状態において高さが低いワークWであっても一列に整列させた状態で円滑に搬送することができ、より確実にワークWの計数を行うことができる。
また、計数装置1によると、当接機構35は、搬送面31aに沿って延び、積み重なった状態で搬送されるワークWに当接する当接壁40を有している。これにより、積み重なった状態のワークWは、当接壁40に物理的に接触して弾かれて排除されることになる。そのため、圧縮空気の噴出によっては、積み重なった状態を解消しきれないような場合であっても、積み重なった状態のワークWに当接壁40が直接当接することでより確実に積み重なった状態を解消することができる。
また、計数装置1によると、当接機構35が有する当接壁40が、一対の壁部33,33において、ワークWの1つ分の高さより高い位置であって、且つ、2つ分の高さよりも低い位置に設けられている。このため、例えば、ワークWが、上下方向に2つ積み重なった状態で搬送されてきた場合、上下方向に積み重なった2つのワークWのうち上側のワークWUのみを当接機構35に当接させて弾き、下側のワークWLのみを搬送させることができる。これにより、搬送面31aに進入するワークWが積み重なった状態であっても、搬送されるワークWの積み重なった状態を解消し、1つずつ搬送させることができ、保持動作機構50によってワークWを確実に保持することができる。
また、計数装置1によると、搬送機構30は、下流側端部において、搬送面31aの上の領域に向かって壁部33から突出する突出部34を更に有する。これにより、直線搬送路31の下流側端部において、ワークWを突出部34に当接させて確実に停止させることができる。そして、直線搬送路31の下流側端部で停止させたワークWを、保持動作機構50によって確実に保持することができる。
また、計数装置1によると、保持動作機構50は、搬送されてきたワークWが保持される位置である第1位置P1でワークWを保持し、第1位置P1とは異なる第2位置P3においてワークWの保持を解除し、再びワークWを保持するため待機位置に戻るルーチン動作を行う。そして、カウント部71aは、ルーチン動作において1回だけ含まれる動作によって保持が解除されたワークWの数量をカウントする。これにより、カウント部71aは、保持動作機構50のルーチン動作の回数に基づいてワークWの数量を確実にカウントすることができる。尚、計数装置1によると、カウント部71aが、保持動作機構50のルーチン動作の回数に基づいてワークWの数量を確実にカウントするため、例えばワークWの数量をカウントするために透過型又は反射型の計数センサを用いた場合に生じ得る、ワークWの重なりに起因する計数ミス、を防止できる。
[実施例]
以下において、本実施形態に係る計数装置1において歯付きベルトのワークWが保持動作機構50に不具合なく供給できるか否かについての評価試験を行った。具体的には、搬送機構30から保持動作機構50に供給されるワークWのうち、積み重なった状態のものを計数することで試験結果についての評価を行った。評価試験は、比較例1、比較例2、実施例1、及び実施例2の4つの条件で行った。比較例1及び2に係る計数装置を使用した評価試験では、比較のため搬送機構30に当接機構35が設けられていない状態の計数装置を使用して、ワークWを保持動作機構50に供給した。一方、実施例1及び2に係る計数装置1を使用した評価試験では、搬送機構30にワークWを通過させ、即ち、積み重なった状態でワークWが搬送される際に当接機構35に当接する状態で、ワークWを保持動作機構50に供給した。
図22は、比較例に係る計数装置、及び実施例に係る計数装置1において搬送したワークWの寸法について示す表である。比較例1に係る計数装置で使用したワークWは、周長を118.0mm、直径を38.0mm程度、厚みを1.6mm、高さhを4.5mmに設定した。比較例2に係る計数装置で使用したワークWは、周長を227.0mm、直径を72.0程度mm、厚みを1.6mm、高さhを4.5mmに設定した。また、実施例1に係る計数装置1で使用したワークWは、比較例1と同様に、周長を118.0mm、直径を38.0mm程度、厚みを1.6mm、高さhを4.5mmに設定した。実施例2に係る計数装置1で使用したワークWは、比較例2と同様に、周長を227.0mm、直径を72.0程度mm、厚みを1.6mm、高さhを4.5mmに設定した。即ち、比較例1に係る計数装置、及び実施例1に係る計数装置1で使用したワークWは、同じ寸法である。また、比較例2に係る計数装置、及び実施例2に係る計数装置1で使用したワークWは、同じ寸法である。
図23は、比較例に係る計数装置、及び実施例に係る計数装置1で行った評価試験の条件について示す表である。比較例に係る計数装置、又は実施例に係る計数装置1で使用したワークWは、ワーク搬送用エアー噴出部38から噴出する圧縮空気が吹付けられた状態で、搬送機構30上を周回路部10側から保持動作機構50側へと搬送された。
図23を参照して、比較例1では、一対の壁部33,33の間の最短距離である直線搬送路31の幅を70.5mmに設定した。また、ワーク搬送用エアー噴出部38による搬送機構30の入口付近における風速を6.0m/s、出口付近における風速を3.0m/sに設定した。比較例1では、当接壁40を設けなかった。
比較例2では、直線搬送路31の幅を112.0mmに設定した。比較例2では、比較例1と同様に、ワーク搬送用エアー噴出部38による搬送機構30の入口付近における風速を6.0m/s、出口付近における風速を3.0m/sに設定し、当接壁40を設けなかった。
実施例1では、直線搬送路31の幅を70.5mmに設定した。実施例1では、比較例と同様に、ワーク搬送用エアー噴出部38による搬送機構30の入口付近における風速を6.0m/s、出口付近における風速を3.0m/sに設定した。また、実施例1では、積み重なった状態のワークWを当接させるための当接壁40を設けた。実施例1では、当接機構35の当接壁40の高さhaを6.0mmに設定して評価試験を行った。即ち、実施例1における当接壁40の高さhaを、ワークW1つ分の高さh4.5mmより1.5mm高い6.0mmに設定した。
実施例2では、直線搬送路31の幅を112.0mmに設定した。実施例2では、比較例及び実施例1と同様に、ワーク搬送用エアー噴出部38による搬送機構30の入口付近における風速を6.0m/s、出口付近における風速を3.0m/sに設定した。また、実施例2では、実施例1と同様に、当接壁40を設け、当接機構35の当接壁40の高さhaを6.0mmに設定して評価試験を行った。
図24は、比較例に係る計数装置、及び実施例に係る計数装置1で行った評価試験の評価項目及び評価結果について示す表である。評価試験では、比較例1及び2に係る各計数装置、並びに、実施例1及び2に係る各計数装置1において使用するワークWをそれぞれ500個ずつ作製し、積み重なった状態で保持動作機構50に供給されたワークWの数を計数した。尚、以下において、積み重なった状態で保持動作機構50に供給されたワークWの個数を、重なり個数と称する。また、保持動作機構50に供給された500個のワークWに対する、積み重なった状態で供給されたワークWの個数を、不具合発生率と称する。
比較例1では、保持動作機構50に供給した500個のワークWのうち、3個のワークWが積み重なった状態で保持動作機構50に供給された。即ち、比較例1における重なり個数は3個、不具合発生率は0.6%であった。
比較例2では、保持動作機構50に供給した500個のワークWのうち、4個のワークWが積み重なった状態で保持動作機構50に供給された。即ち、比較例2における重なり個数は4個、不具合発生率は0.8%であった。
実施例1では、保持動作機構50に供給した500個のワークWのうち、積み重なった状態で保持動作機構50に供給されたワークWはなかった。即ち、実施例1における重なり個数は0個であり、不具合発生率は0%であった。
また、実施例2では、実施例1と同様に、保持動作機構50に供給した500個のワークWのうち、積み重なった状態で保持動作機構50に供給されたワークWはなかった。即ち、実施例2における重なり個数は0個であり、不具合発生率は0%であった。
上述したように、実施例1及び2では、当接機構35を有する搬送機構30によってワークWが積み重なった状態で保持動作機構50に搬送されるのを確実に防止することができた。これにより、ワークWを保持動作機構50に1つずつ供給し計数することができた。上記の結果から、計数装置1は、当接機構35を備えることでより確実にワークWを計数できることが確認できた。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。例えば、次のような変形例が実施されてもよい。
(1)図17は、変形例に係る搬送機構30を上方から視た模式図である。図18は、図17に示す搬送機構において当接壁を可動させた状態の一例を示す模式図である。図19は、図17に示す搬送機構のC-C線矢視位置における断面を示す断面図である。
上述した実施形態では、搬送機構30の一対の壁部33,33が搬送機構30の前後方向の全体に亘って直線状に延びるように形成されている場合を例に挙げて説明したが、これに限らない。具体的には、図17乃至図19に示す変形例のように、一対の壁部33A,33Aのうちいずれか一方の壁部33Aが、上流側において、ワークWの径方向の寸法よりも互いに離間した状態で配置されるとともに上流側から下流側に向かうに従って互いに近接するように配置されていてもよい。本変形例においては、可動壁33bAは、前後方向に直線状に延びており、固定壁33aAは、搬送機構30Aの下流側において、上流側から下流側に向かうに従って、可動壁33bAに近接するように配置されている。なお、固定壁33aAは、可動壁33bAに対して上流側から下流側に向かうに従って互いに近接するように、搬送機構30Aの前後方向における中途位置で固定壁33aAを搬送方向に対して揺動して傾斜させることが可能な可動部分を下流側において設けたものであってもよい。搬送機構30Aは、直線搬送路31Aを有し、直線搬送路31Aには、上面においてワークWが搬送される搬送面31aAが形成される。
一対の壁部33aA、33bAが、搬送機構30Aの下流側において、上流側から下流側に向かうに従って近接するように配置されることで、一対の壁部33aA、33bAの上流側においては、ワークWが搬送面31aAの幅方向に変位可能となる空間が生じる。これにより、ワークWは、周回路終端部11aから搬送機構30に進入し易くなるため、ワークWは、搬送面31aA上を円滑に搬送される。
また、上述した実施形態における当接機構35においては、一対の壁部33,33と、一対の壁部33,33のそれぞれにおいて設けられた当接壁40,40について説明したが、これに限らない。具体的には、図17乃至図19に示す変形例のように、当接機構35Aが、当接壁40Aとして設けられた第1当接壁41Aと、連結部材42Aと、当接壁40Aとして設けられた第2当接壁43Aと、高さ調整機構44Aとを有していてもよい。
第1当接壁41Aは、一対の壁部33A,33Aのうちの一方から一対の壁部33A,33Aの内側に向かって延びている。より具体的には、第1当接壁41Aは、搬送面31aAに対して上下方向に高さ調整機構44Aによって可動可能な状態で、固定壁33aAの上方に設けられている。また、第1当接壁41Aは、搬送機構30Aの上流側に配置されている。
連結部材42Aは、複数の当接壁40Aを搬送面31aAに対して同じ高さに連結した状態で保持できるものである。連結部材42Aは、第1当接壁41Aに一端側が連結されている。より具体的には、連結部材42Aは、当接壁40Aの上側に設けられており、一対の壁部33A,33Aのうち固定壁33aA側に設けられた第1当接壁41Aにおいて一端側が回動自在に連結されている。また、連結部材42Aは、1つの当接壁40に対して複数設けたものであってもよい。本変形例において連結部材42Aは、第1当接壁41Aの上流側と下流側においてそれぞれ、第1連結部材42aA及び第2連結部材42bAとして設けられている。
第2当接壁43Aは、連結部材42Aの他端側に連結されている。第2当接壁43Aは、第1当接壁41Aに対して、連結部材42Aを介して、揺動自在に支持されている。即ち、第2当接壁43Aは、連結部材42Aが第1当接壁41Aに連結された箇所を中心として、搬送面31aAの幅方向に沿って変位可能な状態で連結されている。一対の当接壁40Aと連結部材42Aとの連結は、必要に応じて第2当接壁43Aを搬送面31aA上の所望の位置に移動させて固定できるように、例えばネジ留めによってなされる。
また、本変形例においては、当接壁40Aとして、第1当接壁41A及び第2当接壁43Aに加え、更に、第3当接壁45Aが備えられている。第3当接壁45Aは、搬送機構30Aの下流側において、固定壁33aAの上方に設けられている。そして、第3当接壁45Aは、一端側が第2当接壁43Aに連結された第3連結部材42cAの他端側に連結されている。即ち、本変形例においては、第1当接壁41Aと第2当接壁43Aとは、第1連結部材42aA及び第2連結部材42bAによって連結されている。そして、第2当接壁43Aと第3当接壁45Aとは、第3連結部材42cAによって連結されている。
第3当接壁45Aは、第2当接壁43Aに一端側が連結される第3連結部材42cAの他端側に連結されている。第3当接壁45Aは、第2当接壁43Aに対して、第3連結部材42cAを介して、揺動自在に支持されている。
高さ調整機構44Aは、搬送面31aAに対して近接及び離間する方向に当接壁40Aの高さを、ワークWの高さhに合わせて調整するためのものである。高さ調整機構44Aは、シャフトShAと、調整摘みGrAとを有している。シャフトShAは、フランジFrAを介して第1当接壁41A及び直線搬送路31Aの外縁部分によって支持されている。シャフトShAは、一方側が直線搬送路31Aの外縁部分において搬送面31aAに対して垂直な方向に配置されている。そして、シャフトShAの他方側は、第1当接壁41Aにおいて、搬送面31aAに対して垂直な方向に配置されている。即ち、第1当接壁41Aは、直線搬送路31Aの搬送面31aAに対して変位可能な状態で当接機構35Aに設けられている。調整摘みGrAは、シャフトShAを回転操作するための操作部分であり、回転操作することによって第1当接壁41Aを搬送面31aAに対して近接及び離間させることができる。
本変形例における当接機構35Aは、固定壁33aAの上方に設けられて高さ調整機構44Aによって高さが調整される第1当接壁41Aと、第1当接機構41Aに一端側が連結される連結部材42Aと、連結部材42Aの他端側に連結される第2当接壁42Aを有している。そして第2当接壁43Aは、連結部材42Aを介して第1当接壁41Aに対して揺動自在に支持されている。これにより、連結部材42Aによって連結された複数の当接壁40をまとめて高さ調整することができるとともに、可動壁33aAを固定壁33aAに対して近接させる際においても、第2当接壁43Aを第1当接壁41Aに対して揺動させ、第2当接壁43Aを第1当接壁41A側に退避させることができる。
計数装置1Aによると、当接機構35Aは、搬送面31aAに対する当接壁40Aの高さを、搬送面31aAに載置された状態のワークWの高さに応じて変更することができる高さ調整機構44Aを有している。これにより、例えば、上下方向に積み重なったワークWを、ワークWの高さhに応じて調整した所定の高さhaにおいて弾いて排除することができ、調整した高さより下側にあるワークWのみを搬送させることができる。従って、搬送するワークWのサイズを変更してワークWの高さ寸法を異なるものに変更する場合であっても、設備をワークWの高さ寸法に合わせて加工及び交換することなく、当接壁40Aの高さを搬送面31aAに載置された状態のワークWの高さに応じて調整することで、ワークWを1つずつ、より円滑に搬送して保持作動機構50に供給することができる。
また、計数装置1Aによると、当接機構35Aは、第1及び第2当接壁41A,43Aと連結部材42Aとを有しており、連結部材42Aは、一端側が第1当接壁41Aに連結され、他端側が第2当接壁43Aに連結されている。これにより、第1及び第2当接壁41A,43Aは、搬送面31aAの上方において、空間を介して連結部材42Aによって互いに連結される。このため、ワークWが1つずつ搬送面31aA上を搬送されていることを視認により容易に確認することができる。また、第2当接壁43Aが、連結部材42Aを介して第1当接壁41Aに対して揺動自在に支持されているため、直線搬送路31Aを搬送されるワークWの径寸法に応じて、搬送されるワークWの視認性を向上させるように、第1当接壁41A及び第2当接壁43Aの間に形成される空間の幅を容易に調整することができる。また、搬送されるワークWの径寸法に応じて第1当接壁41Aに対する第2当接壁43Aの位置を変更することができるため、搬送されるワークWの径寸法に応じて、積み重なった状態のワークWの通過をより効率よく規制することができる。
(2)図20は、変形例に係る搬送機構30Bを上方から視た模式図である。図21は、図20に示す搬送機構のD-D線矢視位置における断面を示す断面図である。
本変形例における搬送機構30Bの一対の壁部33B,33Bは、図20及び図21に示すように、上流側から下流側に延びる一対の壁部33B,33Bの中途位置において方向を変えて屈曲して構成されている。そして、当接機構35Bは、当接壁40Bとして、搬送機構30Bの上流側において設けられた上流側当接壁40aBと、搬送機構30Bの下流側において設けられた下流側当接壁40bBとを有している。なお、搬送機構30Bは、直線搬送路31Bを有し、直線搬送路31Bには、上面においてワークWが搬送される搬送面31aBが形成されている。
一対の壁部33Bが搬送機構30Bの中途位置において屈曲した状態で形成されることで、ワークWは、搬送機構30Bの中途位置において、一対の壁部33Bに沿って方向を変えて搬送されることになる。この変形例のように、搬送機構30BによるワークWの搬送方向が途中で変更される形態が実施されてもよい。